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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1288489
審判番号 不服2013-7244  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-19 
確定日 2014-06-12 
事件の表示 特願2007-228969「ガス検知装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 3月26日出願公開,特開2009- 63311〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成19年9月4日の出願であって,平成24年2月29日付けの拒絶理由通知に対し同年4月9日付けで意見書及び補正書が提出され,さらに同年7月11日付けの拒絶理由通知に対し同年9月24日付けで意見書が提出されたが,平成25年1月23日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年4月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は,平成24年4月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「レーザ光を測定対象ガスの雰囲気中に出射する投光手段と,
前記レーザ光を受光して電気信号に変換する受光手段と,
前記ガス雰囲気を挟んで前記投光手段及び受光手段と対向し,前記投光手段からのレーザ光を反射させて前記受光手段に導く楕円球面反射鏡と,
前記受光手段の出力信号に基づいて前記測定対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出手段とを有し,
前記投光手段は,前記レーザ光を出射するレーザダイオードと,このレーザダイオードから発せられた光を前記ガス雰囲気中に出射する第1の光ファイバとからなるものであり,
前記受光手段は,前記楕円球面反射鏡からの反射光を受光する第2の光ファイバと,この第2の光ファイバからの光を受光して電気信号に変換するフォトダイオードとからなるものであり,
前記第1の光ファイバは,その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設され,前記第2の光ファイバは,その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設されることを特徴とするガス検知装置。」

3 刊行物の記載事項
本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表2003-501653号公報(以下,「刊行物」という)には,図面とともに,次の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである)

(1)「【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は,透過測定により濃度を測定するための分析装置であって,小型で且つ外部の機械的及び熱的影響に対して安定でありまた数ppmから数十パーセントまでの広範囲な濃度領域を信頼度良く且つ連続的に測定することを可能とする分析装置を提供するという課題に基くものである。」

(2)「【0014】
【発明を実施する形態】
本発明に従えば,二つの放射経路,即ち放射源から第一の受信器に到る第一の放射経路及び放射源から第二の受信器に到る第二の放射経路が,濃度を測定するべき物質と共に試料を含む吸収チャンバーを横断する。
【0015】
これら経路の双方において,測定は同一波長において行われる。しかし,これら二つの放射経路は,長さが異なるのであって,第一の経路は,第二の経路よりも実質的に長く,具体的には少なくとも四倍は長い。このため,検出するべき物質の存在下では当該放射は,第一の長い経路に沿って通過する過程で,第二の短い経路に沿った放射よりも消衰する度合いが大きくなる。
【0016】
先行技術との境界づけを行うに際して,これら二つの放射経路は,試料中を完全に誘導通過するだけでなく,同一波長において測定されるのである。この結果,これら二つのビームの光学的等価が生起し,それによって従来記載されてきたアプローチが持つ本質的な欠点が回避されるのである。等価のビームコントロールのお蔭で,経時的に生起する可能性のある強度消衰をもたらす揺動効果が,二つの放射経路の双方に同等に作用する。同一波長において二つのの放射経路を測定するため,測定結果は,この場合も二つの経路が同等に影響を受けることなり,放射源のスペクトル分布,光学的要素のスペクトル特性又は老化効果によるその変化とは独立することになる。
【0017】
更には二つの放射経路において吸収経路が大幅に異なるため,当該装置の動的領域を有利に広げることが出来る。測定対象である物質の濃度が高いとき,長い放射経路における吸収は極めて強くなり,その結果検出器に到達する信号がノイズ限界以下となった場合は,短い放射経路からの信号はそのまま直接数値として得ることが出来る。実現可能な動的利点は,これら二つの吸収経路の比に相当する。
【0018】
それぞれの受信器によって測定された放射強度は,強度比較値,例えば第一と第二の受信器によって測定された強度の商・比率が導かれるが,かかる測定済み強度比較値又は強度の商・比率は,測定対象である物質のある濃度に対応する。上記したランバートーベアーの法則を二つの放射経路に適用し,二つの放射の商・比率を算出し,対数をとり,次いで解いて濃度を求めた場合,下記が得られる。
C = -1/(kL_(1 ) - kL_(2))ln(I_(1)/I_(2))
【0019】
他方では,これら二つの式の対数をとり,次に相応に展開し,相互に引き算をし,次いで解いて放射強度を求める。これによって下記が得られる:
I_(0) = exp[L_(1)lnI_(2) - L_(2)lnI_(1)/(L_(1) - L_(2))
二つの受信器の信号の数値化は,単に濃度Cの決定を可能とするだけではなくまた放射出力I_(0)に係わる記述を行うことが出来る。
【0020】
仮にこの数値が,技術的な理由によって放射源を制御するために使用されないとしても,当該分析装置の余分な機能試験に使用することが出来る。
【0021】
この方法は,単にシングルチャンネル方式,即ち試料中の一つの物質の濃度を測定決定するためだけでなく,マルチチャンネル方式,即ち混合物中の複数の物質の濃度を同時に測定するためにも実施することが出来る。後者の場合,一対の放射経路,つまり第一の長い放射経路と第二の短い放射経路とが,それぞれの測定するべき個別のチャンネルに必要である。しかしながら,本発明に従えば,全てのチャンネルの放射経路は,同一の放射源から動作され,また同一試料に誘導・通過せしめられる。
【0022】
本発明に従った分析装置又は分光器は,特にガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能である。しかしながら,液体中のある物質の濃度を測定・決定するためにも使用することが出来る。」

(3)「【0024】
放射としては,具体的には赤外放射を使用する。赤外放射源は,分析対象である試料を照射し,受信器又は検出器が,IR放射の消衰を測定するのである。ある種の物質に対する感度は,当該物質が特性波長領域において分子振動によって可能な限り最大限に光を吸収する領域にまで光を狭帯フィルターすることによって得られる。
【0025】
IR放射源としては,好ましくは熱IR放射源を使用する;即ち,好ましくは熱受信器,例えば高温検出器(pyrodetector)又は熱電対列を使用する。しかしながら,これに代わる電気光学放射源,例えば低温で作動するダイオードレーザー又はガスレーザーなどを使用することも可能である。受信器としては,量子受信器を使用することも出来る。
【0026】
吸収チャンバー内で一つのチャンネルに属する長さの異なる二つの光学的経路を形成するために,好ましくは当該吸収チャンバー内に二つのミラーを配設するが,これらのミラーは,IR放射源から異なる距離に配置され且つ放射源の放射を第一及び第二の受信器に反射させるのである。
【0027】
ミラーは,本発明に従えば好ましくは凹面ミラーにより形成されるが,好ましくは非球面ミラー,特に表面が回転楕円体の一断面で形成されるミラーが使用される。即ち,放射源から発射される光が,殆ど完全に受信器を焦点にして集束するのである。
【0028】
従って放射源としては,本発明によれば薄膜又は厚膜技法によって製造されるIR平面放射体が使用される。平面放射体は,コサインの法則に従って放射の角分布を有しており,そのため点放射体乃至線放射体とは異なって強度に前方配向した放射を発射するので,その放射は,格別有利に受信器を焦点として集束させることが出来るのである。反応性の強いガス類を測定した場合のガスとの接触や分解によって生起する老化から保護するために,放射源は,好ましくは吸収チャンバー外に配置される,即ち吸収チャンバーから,従って測定対象となる物質からは光学窓によってガス気密状に分離されるのである。」

(4)「【0040】
本発明に従った分析装置は,例えば環境上有害又は有毒なガス,具体的には排気ガスの継続的なモニタリング,例えば排気ガス浄化装置をモニタリングするため使用することが出来る。本発明に従った分析装置によって分析することが出来る環境上有害なガスは,具体的には不活性なフッ素含有ガス,例えばフッ素化又は過フッ素化炭化水素,三フッ化窒素又は六フッ化硫黄である。
【0041】
本発明に従った分析装置によって,例えば1ppm以下乃至50%以上もの一種以上の物質の濃度を信頼度高く且つ連続的に測定・決定することが出来る。
【0042】
【実施例】
以下において,本発明の分析装置のシングルチャンネル及びダブルチャンネルでの実施態様を,図面を参照して実施例として説明する。
【0043】
【実施例1】
本装置は従って,図1において破線で示した寸法が実質的に等しいハウジングパーツを有するのである。
【0044】
図2に従えば,ハウジングのハーフ部材1,2は,例えばアルミに上側間仕切り部材料製の実質的に立方体形状である。ハウジングハーフ部材1,2の間には,シーリングリング3が設けられる。孔4,5は,ハウジングハーフ部材1,2を一体に螺子止めするためのものである。
【0045】
一つの空洞部をハウジングハーフ部材2の内部6に加工配設して,凹面ミラー7を形成する。さらに,突起部8をハウジングハーフ部材2の内部6に加工配設し,次いでより小さい凹面ミラー9を突起部8の先端に設ける。第一の凹面ミラー7は,第二の凹面ミラー9よりもIR放射源11からは実質的に遠距離に配置する。凹面ミラー7,9は,ハウジングパーツ2と一体であり,それぞれ回転楕円体の一段面を形成し,第一の凹面ミラー7の回転楕円体の軸は従って,第二の凹面ミラー9の回転楕円体の軸よりも大きい。二つの回転楕円体は,放射源と受信器のうちの一台が,何れの場合にも焦点に位置するように配置する。ハウジングパーツ1の内部12も,特に突起部8を受容するための空洞部を一つ有する。
【0046】
ハウジングパーツ2,1の内部にある空洞部は,取り付けたハウジングの吸収チャンバー13を形成する(図1)。
【0047】
分析対象である媒質は,ハウジングパーツ2の壁部にある孔14を経由して,ミラー7に対向する吸収チャンバー13に供給される(図2b)。媒質は,ハウジングパーツ1又は2にあるもう一つの孔(図示していない)を経由して流出する。
【0048】
IR放射源11は,平面放射体として形成され,ハウジングパーツ1の外側の開口部16に配置される。更には,第一に受信器17が,開口部18に設けられ,また第二の受信器19は,ハウジングパーツ1にある別の開口部21に設けられる(図2)。
【0049】
図1に従えば,放射源11からの放射は,ミラー7に対面するミラー9の縁端部において放射経路22及び23に,好ましくは及び特に有利には同等に分離される。放射源11から受信器17,19に到る放射経路22,23は,吸収チャンバー13を横断し,かくして分析対象である物質が,その中に封入される。放射源からの放射一部が,大きいミラー7により反射される際の放射経路22は,他のミラー9に反射される放射経路22よりも実質的に大きな距離を有する。」

以上の記載事項(1)?(4)を総合すると,上記刊行物には,以下の発明が記載されていると認められる。

「透過測定により濃度を測定するための分析装置であって,
第一の凹面ミラー7は,第二の凹面ミラー9よりもIR放射源11からは実質的に遠距離に配置し,
凹面ミラー7,9は,それぞれ回転楕円体の一段面を形成し
二つの回転楕円体は,放射源と受信器のうちの一台が,何れの場合にも焦点に位置するように配置し,
IR放射源11は,平面放射体として形成され,
放射源11から受信器17,19に到る放射経路22,23は,吸収チャンバー13を横断し,かくして分析対象である物質が,その中に封入される分析装置であり,
ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能であり,
IR放射源としては,ダイオードレーザーを使用することも可能であり,
これらのミラーは,IR放射源から異なる距離に配置され且つ放射源の放射を第一及び第二の受信器に反射させるのであり,
表面が回転楕円体の一断面で形成されるミラーが使用され,放射源から発射される光が,殆ど完全に受信器を焦点にして集束するのであり,
それぞれの受信器によって測定された放射強度は,強度比較値,例えば第一と第二の受信器によって測定された強度の商・比率が導かれるが,かかる測定済み強度比較値又は強度の商・比率は,測定対象である物質のある濃度に対応する分析装置。」(以下「引用発明」という)

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明において,「IR放射源」は,「ダイオードレーザーを使用することも可能」であり,「放射源11から受信器17,19に到る放射経路22が,吸収チャンバー13を横断し,分析対象である物質が,その中に封入される」ものであり,「ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能」であるから,引用発明の「IR放射源」は,本願発明の「レーザ光を測定対象ガスの雰囲気中に出射する投光手段」に相当する。

(2)引用発明の「IR放射源」は,「ダイオードレーザーを使用することも可能」であり,「放射源から発射される光が,殆ど完全に受信器を焦点にして集束する」ものであって,「第一及び第二の受信器」が受光した光を電気信号に変換することは自明であるから,引用発明の「第一及び第二の受信器」は,本願発明の「前記レーザ光を受光して電気信号に変換する受光手段」に相当する。

(3)引用発明は「放射源11から受信器17,19に到る放射経路22,23は,吸収チャンバー13を横断し,かくして分析対象である物質が,その中に封入される分析装置」であり,「ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能」であり,「ミラーは,IR放射源から異なる距離に配置され且つ放射源の放射を第一及び第二の受信器に反射させる」ものであり「表面が回転楕円体の一断面で形成されるミラーが使用され,放射源から発射される光が,殆ど完全に受信器を焦点にして集束する」ものであるから,引用発明の「ミラー」は,本願発明の「前記ガス雰囲気を挟んで前記投光手段及び受光手段と対向し,前記投光手段からのレーザ光を反射させて前記受光手段に導く楕円球面反射鏡」に相当する。

(4)引用発明は「透過測定により濃度を測定するための分析装置」であって,「ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能」であり,「それぞれの受信器によって測定された放射強度は,強度比較値,例えば第一と第二の受信器によって測定された強度の商・比率が導かれるが,かかる測定済み強度比較値又は強度の商・比率は,測定対象である物質のある濃度に対応する」ものであるところ,その濃度を算出するための手段を備えることは自明であるから,引用発明は,本願発明の「前記受光手段の出力信号に基づいて前記測定対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出手段」に相当する手段を備えるものといえる。

(5)引用発明の「IR放射源」は「ダイオードレーザーを使用することも可能」であり,「放射源11から受信器17,19に到る放射経路22,23は,吸収チャンバー13を横断し,かくして分析対象である物質が,その中に封入され」,「ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能」であるから,引用発明の「IR放射源」と,本願発明の「前記投光手段は,前記レーザ光を出射するレーザダイオードと,このレーザダイオードから発せられた光を前記ガス雰囲気中に出射する第1の光ファイバとからなるもの」とは,「前記投光手段は,前記レーザ光を出射するレーザダイオードから発せられた光を前記ガス雰囲気中に出射するもの」である点で共通する。

(6)引用発明の「第一及び第二の受信器」は,「表面が回転楕円体の一断面で形成されるミラー」によって「放射源の放射」が「反射させ」られ,「放射源から発射される光が,殆ど完全に受信器を焦点にして集束する」ものであって,「第一及び第二の受信器」が受光した光を電気信号に変換することは自明であるから,引用発明の「第一及び第二の受信器」と,本願発明の「前記受光手段は,前記楕円球面反射鏡からの反射光を受光する第2の光ファイバと,この第2の光ファイバからの光を受光して電気信号に変換するフォトダイオードとからなるもの」とは,「前記受光手段は,前記楕円球面反射鏡からの反射光を,受光して電気信号に変換する受光器からなるもの」である点で共通する。

(7)引用発明の「IR放射源11」は,「平面放射体として形成され」るものであり,「凹面ミラー7,9は,それぞれ回転楕円体の一断面を形成し,二つの回転楕円体は,放射源と受信器のうちの一台が,何れの場合にも焦点に位置するように配置」されるものであるから,引用発明のこれらの構成と,本願発明の「前記第1の光ファイバは,その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設され,前記第2の光ファイバは,その入射面が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設される」とは,「前記第1の投光手段は,その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設され,前記受光手段は,その入射部が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設される」点で共通する。

(8)引用発明の「透過測定により濃度を測定するための分析装置」は,「ガス混合物中の物質を測定・決定するために適用可能」であるから,本願発明の「ガス検知装置」に相当する。

してみると,本願発明と引用発明とは
「レーザ光を測定対象ガスの雰囲気中に出射する投光手段と,
前記レーザ光を受光して電気信号に変換する受光手段と,
前記ガス雰囲気を挟んで前記投光手段及び受光手段と対向し,前記投光手段からのレーザ光を反射させて前記受光手段に導く楕円球面反射鏡と,
前記受光手段の出力信号に基づいて前記測定対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出手段とを有し,
前記投光手段は,前記レーザ光を出射するレーザダイオードから発せられた光を前記ガス雰囲気中に出射するものであり,
前記受光手段は,前記楕円球面反射鏡からの反射光を,受光して電気信号に変換する受光器からなるものであり,
前記第1の投光手段は,その出射面が前記楕円球面反射鏡の一方の焦点に位置するように配設され,前記受光手段は,その入射部が前記楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設されるガス検知装置。」
である点で一致し,次の各点で相違する。

(相違点1)
レーザ光を出射するレーザダイオードから発せられた光をガス雰囲気中に出射する投光手段,及び,楕円球面反射鏡からの反射光を受光して電気信号に変換する受光手段が,それぞれ,本願発明では「第1の光ファイバ」,及び,「第2の光ファイバ」を介して構成されるものであるのに対し,引用発明ではそのようなものではない点。

(相違点2)
受光手段が,本願発明では「フォトダイオード」からなるものであるのに対し,引用発明はその点が不明な点。

(相違点3)
楕円球面反射鏡の他方の焦点に位置するように配設される入射部が,本願発明では「面」であるのに対し,引用発明では「面」か否か不明である点。

5 判断
(1)相違点1について
投光手段及び受光手段を,光ファイバーを介して構成することは,例えば,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平7-198590号公報(入射側光ファイバ3の出射端5,出射側光ファイバ4の入射端6),本願の発明の詳細な説明の段落【0006】に従来技術として引用されている特開2007-113948号公報(図7(b)の光ファイバ4aの出射部52,光ファイバ4bの入射部53)に開示されているように,周知技術である。
そして,引用発明においても,例えば,IR放射源及び受信器がガスに晒されないようにするために,あるいは,IR放射源及び受信器のレイアウトの便宜のために,上記周知技術を適用し,IR放射源及び受信器を光ファイバーを介した構成とすることは当業者が容易になし得たものというべきである。

(2)相違点2について
光の強度を検出するための受光器としてフォトダイオードを用いることは,例えば,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開昭63-127128号公報(「シリコンフォトダイオードなどの好感度の量子型光検出器」第1頁右下欄第15?17行),本願の発明の詳細な説明の段落【0006】に従来技術として引用されている特開2007-113948号公報(フォトダイオード29,34)に開示されているように周知技術である。
そして,引用発明の受信器として,上記周知技術を適用してフォトダイオードを用いることは当業者が容易になし得たものというべきである。

(3)相違点3について
入射部を面状にすることは,例えば,本願の発明の詳細な説明の段落【0006】に従来技術として引用されている特開2007-113948号公報(【0045】…光ファイバ…4bが挿通される貫通穴端面(配管12内のガス雰囲気に晒される端面)を…入射部53(光ファイバ4b側)としている。),特許第3012999号公報(【0023】…光導波路6は,その端面の中心がブロック1の焦点B上に位置するように,その端面をブロック1の光導波路接続面11に接続する。)に開示されているように周知技術である。
そして,相違点1で検討したように,引用発明の受信器を光ファイバーを介した構成とした際に,上記周知技術を適用して,光が集束する部分を入射面とすることは当業者が容易になし得たものというべきである。

(4)効果について
本願発明の奏する相違点による効果は,刊行物の記載及び周知技術から,当業者が予測できる範囲のものであり,格別顕著なものとはいえない。

6 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-13 
結審通知日 2014-03-25 
審決日 2014-04-23 
出願番号 特願2007-228969(P2007-228969)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼場 正光  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 藤田 年彦
森林 克郎
発明の名称 ガス検知装置  
代理人 山川 茂樹  
代理人 山川 政樹  
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