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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1288495
審判番号 不服2013-11335  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-17 
確定日 2014-06-12 
事件の表示 特願2010-508250「ゲートウエイ装置と方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日国際公開、WO2009/128515〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2009(平成21)年4月16日(優先権主張2008(平成20)年4月18日、日本)を国際出願日とする出願であって、平成22年10月13日付けで手続補正がなされ、平成24年12月7日付けの拒絶理由通知に応答して平成25年2月12日付けで手続補正がなされたが、平成25年3月11日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成25年6月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成25年6月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年6月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、請求項1に係る次の補正事項を含むものである(アンダーラインは補正箇所)。

(補正前の請求項1)
「コンテンツサーバからネットワークを介して、映像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツを受け無線ネットワークを介して携帯端末に送出するゲートウェイ装置であって、
前記携帯端末から前記携帯端末の能力を含む情報を受け、
前記コンテンツサーバから入力される、映像、音声、オーディオのうちの少なくとも一つを含むコンテンツについて、前記コンテンツの復号に関する情報としてコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力と比較し、前記コンテンツの変換が必要であるか否かを判断する制御部と、
前記変換が必要と判断された場合、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式のうちの少なくとも一つを変換して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成し、前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する変換部と、
を備える、ことを特徴とするゲートウェイ装置。」
(補正前の請求項2)
「前記制御部は、
前記携帯端末から送信される前記携帯端末の能力を含む情報を受けて解析し、
前記コンテンツサーバから入力される、映像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツについて、前記コンテンツと共に、又は別途入力される、前記コンテンツの復号化情報、ファイル形式から、前記コーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式の情報を取得して、前記携帯端末の能力と比較し、
前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、前記変換部に変換指示を出力し、
前記変換部は、前記制御部からの変換の指示を受けると、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式のうち前記携帯端末の能力に合致しないものについて、前記コンテンツにトランスコード処理を施す、ことを特徴とする請求項1記載のゲートウェイ装置。」
とあるのを、
(補正後の請求項1)
「コンテンツサーバからネットワークを介して、動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツを受け無線ネットワークを介して携帯端末に送出するゲートウェイ装置であって、
前記携帯端末から前記携帯端末の能力を含む情報を受けて解析し、
前記コンテンツサーバからデータストリーム又はファイルとして入力される、動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも一つを含むコンテンツについて、前記コンテンツと共に、又は別途入力される、前記コンテンツの復号化情報、ファイル形式に関する情報からコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力情報と比較し、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、変換指示を出力する制御・解析部と、
前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し、
前記制御・解析部からの変換指示を受けると、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式のうちの前記携帯端末の能力に合致しないものについてトランスコード処理を施して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成し、
前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み、前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する変換部と、
を備える、ことを特徴とするゲートウェイ装置。」
と補正する。

2.補正の適否
この補正は、平成22年10月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に同請求項2を組み込むと共に、コンテンツがコンテンツサーバからデータストリーム又はファイルとして入力されるものである点を規定し、さらに「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し」、「前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み」という技術事項を加える補正を行うものであり、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記第2.1.の(補正後の請求項1)に記載した事項により特定されるとおりのものである。

(2)刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1である特開2005-149113号公報(以下「引用例」という)には、次に掲げる事項が記載されている。

ア.「【0001】
本発明は、コンテンツを利用する通信端末の表示機能の仕様に合わせてネットワーク上のコンテンツを配信する方法、その方法の実施に用いる装置、並びにその装置をコンピュータ上で実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの発達と共に、パーソナルコンピュータ以外にも、インターネット上のコンテンツを利用する様々な通信端末が普及してきた。コンテンツを表示できる通信端末としては、パーソナルコンピュータ以外に、いわゆる携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等がある。
【0003】
これらの通信端末はその種類に応じた表示機能を有し、各通信端末は、自己が有する表示機能によって表示できるコンテンツを、予め決められたネットワーク上のサイトから取得して表示するようになっている。具体的には、携帯電話機は、コンテンツを通信事業者が設けたネットワーク上のサーバから取得して表示するようになっている(例えば、非特許文献1参照。)。一方、パーソナルコンピュータ等では、インターネット上のサイトから取得して表示する。」

イ.「【0023】
(第1の実施の形態)
図1は本発明方法を実施する通信システム全体を示すもので、図中、10は複数の通信端末(♯1,♯2,……♯n)、20はコンテンツ変換サーバ、30はコンテンツホルダ、40はこれらを通信可能に接続するネットワークである。ここで、コンテンツホルダ30は、通信端末10が要求するコンテンツ等を保持するサーバである。また、ネットワーク40は、有線でも、無線でも、又はそれらの組み合わせでも良い。
【0024】
通信端末10からネットワーク40にコンテンツの要求を送信すると、コンテンツ変換サーバ20は、この要求を受信してコンテンツホルダ30から要求されたコンテンツを取得すると共に、所定の処理を行って通信端末10に送信するようになっている。
【0025】
図2は本発明の第1の実施の形態に係る通信端末を示すブロック構成図である。
【0026】
図2において、通信端末10は、ネットワーク上のコンテンツを特定するコンテンツ特定情報を入力させる入力部11と、入力部11を介して入力されたコンテンツ特定情報及びコンテンツを表示する表示機能の仕様を特定する装置仕様情報をネットワークを介してコンテンツ変換サーバ20へ送信する要求情報送信部12と、コンテンツ特定情報によって特定されるコンテンツであって装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツをコンテンツ変換サーバからネットワークを介して受信するコンテンツ受信部13と、コンテンツ受信部13が受信した要求コンテンツを表示もしくは再生するコンテンツ表示部14とを備えている。」

ウ.「【0032】
ここで、コンテンツ特定情報の具体例としては、インターネット上のURL(Uniform Resource Locator)、URN(Uniform Resource Name)、URI(Uniform Resource Identifier)があげられる。また、装置仕様情報としては、ディスプレイの有無、表示画面の解像度、画素数等の画面の大きさ、表示可能色数、表示可能階調数、CPUの能力、再生コーデックの有無、再生コーデックの種類、通信速度等が具体例としてあげられる。」

エ.「【0034】
図4は本発明の第1の実施の形態に係るコンテンツ変換サーバを示すブロック構成図である。
【0035】
図4において、コンテンツ変換サーバ20は、通信端末10からネットワークを介して送信された前記コンテンツ特定情報及び装置仕様情報を受信する要求情報受信部21と、コンテンツ特定情報によって特定されるコンテンツのうち装置仕様情報と合致するコンテンツを選択するコンテンツ判断部22と、前記選択されたコンテンツをネットワーク40上(正確にはネットワーク40上のコンテンツホルダ30)から取得するコンテンツ取得部23と、取得したコンテンツを装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツに変換するコンテンツ変換部23と、要求コンテンツをネットワークを介して通信端末10へ送信するコンテンツ送信部24とを備えている。」

オ.「【0039】
ここで、コンテンツ判断部22が行う判断(選択)の具体例としては、以下のものがあげられる。例えば、通信速度が足りない場合は、特定されたコンテンツよりも更に低レートで同一内容のコンテンツを選択する。再生コーデックが無い場合に動画コンテンツが選択された場合は、静止画のサムネイルを選択する。また、CPUの能力が足りない場合は、動画よりも静止画を選択したり、より低レートのコンテンツを選択する。勿論、特定されたコンテンツが装置仕様と一致している場合は、特定されたコンテンツそのものを取得する。」

カ.「【0040】
また、コンテンツ変換部24が行う変換の具体例としては、以下のものがあげられる。
【0041】
まず、表示画面の大きさが不十分である場合は、フォントサイズを小さくして文字を縮小し、画像データを間引いて画像を縮小し、必要性の低いタグを除去する等の変換を行う処理(以下、コンテンツを変換する処理を単に「変換処理」という。)を行う。逆に表示画面が大きい場合、フォントサイズを大きくして文字を拡大し、画像を補間等によって拡大する等の変換処理を行う。
【0042】
また、表示されるコンテンツの縦横比と表示画面の縦横比とが合わない場合、コンテンツに改行等を挿入したりして縦横比を変換し、縦横比の一致度を高める。機種依存があることによって表示できない態様の文字は、コンテンツを要求する機種が有する文字や標準的な文字にして文字化け等を防止する。また、CPUの処理速度が遅い場合等は、動画から静止画に変換したり、画像のフレームを間引いたりして表示させるフレームの数を減らす等の変換処理を行う。
【0043】
HTML(Hyper Text Markup Language)で記述されたコンテンツを表示できない場合は、CMDL(Communication Machine Definition Language)等の端末の仕様に適した言語で記述したコンテンツに変換するのでも良い。ディスプレイの有無や、メモリ容量、その他の仕様の観点からページ自体を表示できない場合は、リンク先やテキストデータ等の表示の容易な情報部分だけを抜き取って表示するようにする。
【0044】
なお、コンテンツ変換部24が行う変換処理は、上記のものに限られるものではなく、コンテンツを要求する通信端末において、コンテンツの表示を可能とし又はより適切にコンテンツが表示できるようにするための全ての変換処理を含むものである。」

キ.「【0065】
(第3の実施の形態)
図10は本発明の第3の実施の形態に係るコンテンツ変換サーバ、ここでは第1の実施の形態に係るコンテンツ変換サーバにおいてコンテンツ変換の要否を判断する判断部を追加した例を示す。即ち、図中、26は変換要否判断部であり、コンテンツ取得部23によって取得したコンテンツにおける、前記装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能にするための変換の要否を判断し、その結果をコンテンツ変換部24に出力する。」

ク.「【0068】
変換要否判断部26は、コンテンツ特定情報によって特定されるコンテンツが受信されたら、受信されたコンテンツがコンテンツ変換部24によって行われる変換無しにコンテンツを要求した通信端末10、10bに表示できるか否かを、上記の装置仕様情報に基づいて判断するようになっている。具体的には、装置仕様情報によって特定される、ディスプレイの有無、表示画面の解像度、画素数等の画面の大きさ、表示可能色数、表示可能階調数、CPUの能力、再生コーデックの有無、再生コーデックの種類等の表示機能の仕様に基づいてコンテンツホルダ30から受信したコンテンツが表示できるか否かを判断するのでも良い。」

ケ.「【0071】
ステップS5でコンテンツ取得部23によって受信されたコンテンツは、コンテンツ変換部24による変換処理の要否が変換要否判断部26によって判断される(S21)。ステップS21でコンテンツ変換部24による変換処理が必要と判断された場合、コンテンツに変換処理を行うステップS6以降での処理が行われ、コンテンツ変換部24による変換処理が不要と判断された場合、ステップS5でコンテンツ取得部23によって受信されたコンテンツを要求コンテンツとして、コンテンツ送信部25が通信端末10(又は第2の実施の形態に係る通信端末10b)に送信するステップS7以降での処理が行われる。」

(3)引用発明
a.通信端末、コンテンツ変換サーバ、コンテンツホルダ
引用例の前掲ア,イの記載によると、引用例には、携帯電話機等の通信端末10から要求されたコンテンツを、通信端末10が要求するコンテンツ等を保持するサーバであるコンテンツホルダ30から有線又は無線のネットワーク40を介して取得し、所定の処理を行って有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10に送信するコンテンツ変換サーバ20が記載されている。

b.装置仕様情報
引用例の前掲イ、ウ、エの記載によると、引用例のコンテンツ変換サーバ20は、通信端末10から、再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度等のコンテンツを表示する表示機能の仕様を特定する装置仕様情報を受信する。

c.要求情報受信部、コンテンツ判断部、コンテンツ取得部
引用例の前掲エ,オの記載によると、引用例のコンテンツ変換サーバ20は、要求情報受信部21、コンテンツ判断部22、コンテンツ取得部23を備えている。
要求情報受信部21は、通信端末10から装置仕様情報を受信する。
コンテンツ判断部22は、装置仕様情報と合致するコンテンツを選択する。
コンテンツ取得部23が、選択したコンテンツをコンテンツホルダ30から取得する。
なお、前掲オ,カの記載によれば、コンテンツ変換サーバ20が取得するコンテンツには動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツが含まれている。

d.変換要否判断部、コンテンツ変換部、コンテンツ送信部
引用例の前掲エ,カ,キ,ク,ケの記載によると、引用例のコンテンツ変換サーバ20は、変換要否判断部26、コンテンツ変換部24、コンテンツ送信部25を備えている。
変換要否判断部26は、取得したコンテンツが変換無しに通信端末10に表示できるか否かを装置仕様情報に基づいて判断し、その変換の要否をコンテンツ変換部24に出力する。
コンテンツ変換部24は、変換要否判断部26により変換処理が必要と判断された場合、取得したコンテンツを装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツに変換する。
コンテンツ送信部25は、コンテンツ変換部24により変換された要求コンテンツを、有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10へ送信する。
なお、前掲エ,カには、コンテンツ判断部22行う判断(選択)とコンテンツ変換部24が行う変換の具体例が記載されており、コンテンツ判断部22は、通信速度が足りない場合には低レートのコンテンツを選択し、再生コーデックが無い場合には動画に代えて静止画のコンテンツを選択するものであることが例示され、コンテンツ変換部24は、フォントサイズを変更や画像の拡大縮小による画像の大きさの変換、コンテンツに改行等を挿入することによる画面の縦横比の変換、動画から静止画への変換、HTML等の記述言語の変換等を行うものであることが例示されている。
ただし、前掲カの段落【0044】には、「コンテンツ変換部24が行う変換処理は、上記のものに限られるものではなく、コンテンツを要求する通信端末において、コンテンツの表示を可能とし又はより適切にコンテンツが表示できるようにするための全ての変換処理を含むものである。」と記載されており、コンテンツ変換部24は、上述した例示の変換に限らず、通信端末10においてコンテンツが表示できるように、通信端末10の装置仕様情報に合わせて、コンテンツの再生コーデック、通信速度、解像度等の仕様を変換することも実行しえるものと認められる。

e.以上によれば、引用例には、下記の発明(以下「引用発明」という)が記載されていると認められる。

記(引用発明)
携帯電話機等の通信端末10から要求された動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツを含むコンテンツを、通信端末10が要求するコンテンツ等を保持するサーバであるコンテンツホルダ30から有線又は無線のネットワーク40を介して取得し、所定の処理を行って有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10に送信するコンテンツ変換サーバ20であって、
通信端末10から、再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度等のコンテンツを表示する表示機能の仕様を特定する装置仕様情報を受信する要求情報受信部21と、
装置仕様情報と合致するコンテンツを選択するコンテンツ判断部22と、
選択したコンテンツをコンテンツホルダ30から取得するコンテンツ取得部23と、
取得したコンテンツが変換無しに通信端末10に表示できるか否かを装置仕様情報に基づいて判断し、その変換の要否をコンテンツ変換部24に出力する変換要否判断部26と、
変換要否判断部26により変換処理が必要と判断された場合、取得したコンテンツを装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツに変換するコンテンツ変換部24と、
コンテンツ変換部24により変換された要求コンテンツを、有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10へ送信するコンテンツ送信部25と、
を備えるコンテンツ変換サーバ20。

(4)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると次のことが認められる。

(a)「コンテンツサーバからネットワークを介して、動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツを受け無線ネットワークを介して携帯端末に送出するゲートウェイ装置」について

引用発明は、携帯電話機等の通信端末10から要求された動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツを含むコンテンツを、通信端末10が要求するコンテンツ等を保持するサーバであるコンテンツホルダ30から有線又は無線のネットワーク40を介して取得し、所定の処理を行って有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10に送信するコンテンツ変換サーバ20に関する発明であり、このうち「携帯電話機等の通信端末10」、「通信端末10が要求するコンテンツ等を保持するサーバであるコンテンツホルダ30」は、それぞれ本願補正発明の「携帯端末」、「コンテンツサーバ」に相当する。
また、引用発明の「コンテンツ変換サーバ20」は、コンテンツ等を保持するサーバであるコンテンツホルダ30から取得したコンテンツを、携帯電話機等の通信端末10に送信するものであり、一般にサーバ間の通信プロトコルとサーバと携帯電話機との間の通信プロトコルは異なるものであるから、このコンテンツ変換サーバ20は通信プロトコルを変換するゲートウェイ機能を有しているといえ、本願補正発明の「ゲートウェイ装置」に相当するものといえる。
引用発明は、動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツを含むコンテンツを扱うものであり、動画像を含むコンテンツを扱うものである点で本願補正発明と一致する。
しかし、本願補正発明が「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものであるのに対し、引用発明は、動画像を含むコンテンツを扱うものであるものの、音声、オーディオを含むコンテンツを扱うものであるか特定されていない点で両者は相違する。
また、引用発明は、有線又は無線のネットワーク40を利用するものであり、コンテンツ変換サーバ20と通信端末10の間を、無線ネットワークを介してコンテンツを送信する発明を含んでいる。
以上のことから、引用発明は「コンテンツサーバからネットワークを介して、動画像を含むコンテンツを受け無線ネットワークを介して携帯端末に送出するゲートウェイ装置」である点で、本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明は、「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものであるのに対し、引用発明は、動画像を含むコンテンツを扱うものであるものの、音声、オーディオを含むコンテンツを扱うものであるか特定されていない点で、両者は相違する。

(b)「前記携帯端末から前記携帯端末の能力を含む情報を受けて解析し、前記コンテンツサーバからデータストリーム又はファイルとして入力される、動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも一つを含むコンテンツについて、前記コンテンツと共に、又は別途入力される、前記コンテンツの復号化情報、ファイル形式に関する情報からコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力情報と比較し、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、変換指示を出力する制御・解析部」について

(b-1)本願補正発明の「携帯端末の能力を含む情報」は、どのような項目を含む情報であるか特定されていないものの、携帯端末の能力情報をコンテンツのコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式と比較していることから、「携帯端末の能力を含む情報」には、少なくともコーデック、ビットレート、解像度、及び、ファイル形式の情報が含まれている。
一方、引用発明は、要求情報受信部21が、通信端末10の再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度等のコンテンツを表示する表示機能の仕様を特定する「装置仕様情報」を受信している。そして、引用発明のこの「再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度」は、本願補正発明の「コーデック、ビットレート、解像度」に相当するものといえる。
したがって、本願補正発明の「携帯端末の能力を含む情報」と引用発明の「通信端末10の装置仕様情報」とは、「前記携帯端末の少なくともコーデック、ビットレート、解像度を含む端末能力情報」である点で一致し、本願補正発明の携帯端末の能力情報が、さらにファイル形式の情報を含むものであるのに対し、引用発明の携帯端末の能力情報は、ファイル形式を含むものであるのか特定されていない点で相違する。
また、引用発明は、受信した装置仕様情報に基づいて、コンテンツ判断部22よるコンテンツの選択と変換要否判断部26によるコンテンツの変換の要否の判断をしていることから、受信した装置仕様情報を解析しているものといえる。
よって、引用発明の要求情報受信部21、コンテンツ判断部22、及び変換要否判断部26は、「前記携帯端末から前記携帯端末の少なくともコーデック、ビットレート、解像度を含む能力情報を受けて解析し」という機能を有している点で本願補正発明と一致し、本願補正発明の携帯端末の能力情報が、さらにファイル形式の情報を含むものであるのに対し、引用発明の携帯端末の能力情報は、ファイル形式を含むものであるのか特定されていない点で相違する。

(b-2)引用発明のコンテンツ取得部23は、コンテンツホルダ30からコンテンツを取得しており、上記(a)で述べたように、引用発明のコンテンツは、動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツを含むものであるので、引用発明のコンテンツ取得部23は、「前記コンテンツサーバから入力される、動画像を含むコンテンツ」を扱っている点で本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明が「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものであるのに対し、引用発明は、動画像を含むコンテンツを扱うものであるものの、音声、オーディオを含むコンテンツを扱うものであるか特定されていない点で両者は相違する。
また、本願補正発明のコンテンツは、コンテンツサーバから「データストリーム又はファイルとして」入力されるものであるのに対し、引用発明のコンテンツは、コンテンツサーバからどのような形式で入力されるのか特定されていない点で、両者は相違する。

(b-3)引用発明は、装置仕様情報と合致するコンテンツを選択するコンテンツ判断部22と、選択したコンテンツをコンテンツホルダ30から取得するコンテンツ取得部23と、取得したコンテンツが変換無しに通信端末10に表示できるか否かを装置仕様情報に基づいて判断し、その変換の要否をコンテンツ変換部24に出力する変換要否判断部26を有している。
つまり、引用発明は、コンテンツホルダ30に保持されているコンテンツのうち通信端末10の装置仕様情報と合致するコンテンツを選択するが、そのコンテンツが装置仕様情報と完全に合致しない場合には、コンテンツの変換を指示するというものである。
そして、引用発明の装置仕様情報は、通信端末10の再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度等の表示機能の仕様であり、引用発明はコンテンツホルダ30から取得したコンテンツと通信端末10の装置仕様情報との比較を行っていることから、引用発明がコンテンツホルダ30から取得したコンテンツの再生コーデックの種類、通信速度、解像度等の情報を取得して参照していることは明白である。
また、引用発明の「コンテンツの再生コーデックの種類、通信速度、解像度」は、本願補正発明の「コーデック、ビットレート、解像度」に相当するものといえ、それらは符号化・復号化に関する情報であるので、まとめて「コンテンツの復号化情報」であるともいえる。
以上のことから、引用発明のコンテンツ判断部22、コンテンツ取得部23、及び変換要否判断部26は、「前記コンテンツの復号化情報に関する情報からコーデック、ビットレート、解像度を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力情報と比較し、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、変換指示を出力する」という機能を備えている点で本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報が「前記コンテンツと共に、又は別途入力される」ものであるのに対し、引用発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報をどのように取得するのか特定されていない点で両者は相違する。
また、本願補正発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、符号化情報のほかに「ファイル形式」を含む情報であり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのに対し、引用発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、「ファイル形式」を含んでおり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのか特定されていない点で両者は相違する。

(b-4)上記(b-1)?(b-3)をまとめると、引用発明の要求情報受信部21、コンテンツ判断部22、コンテンツ取得部23、及び変換要否判断部26は、本願補正発明の「制御・解析部」に相当するものといえ、「前記携帯端末から前記携帯端末の少なくともコーデック、ビットレート、解像度を含む能力情報を受けて解析し、前記コンテンツサーバから入力される、動画像を含むコンテンツについて、前記コンテンツの復号化情報に関する情報からコーデック、ビットレート、解像度を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力情報と比較し、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、変換指示を出力する制御・解析部」である点で、本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明の携帯端末の能力情報が、さらにファイル形式の情報を含むものであるのに対し、引用発明の携帯端末の能力情報は、ファイル形式を含むものであるのか特定されていない点、本願補正発明が「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものであるのに対し、引用発明は、動画像を含むコンテンツを扱うものであるものの、音声、オーディオを含むコンテンツを扱うものであるか特定されていない点、本願補正発明のコンテンツは、コンテンツサーバから「データストリーム又はファイルとして」入力されるものであるのに対し、引用発明のコンテンツは、コンテンツサーバからどのような形式で入力されるのか特定されていない点、また、本願補正発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報が「前記コンテンツと共に、又は別途入力される」ものであるのに対し、引用発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報をどのように取得するのか特定されていない点、そして、本願補正発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、符号化情報のほかに「ファイル形式」を含む情報であり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのに対し、引用発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、「ファイル形式」を含んでおり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのか特定されていない点で両者は相違する。

(c)「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し、前記制御・解析部からの変換指示を受けると、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度、ファイル形式のうちの前記携帯端末の能力に合致しないものについてトランスコード処理を施して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成し、前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み、前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する変換部」について

(c-1)引用発明は、変換要否判断部26により変換処理が必要と判断された場合、取得したコンテンツを装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツに変換するコンテンツ変換部24を有している。
引用発明における、取得したコンテンツを装置仕様情報によって特定される仕様の表示機能で表示可能な要求コンテンツに変換するというコンテンツ変換部24の動作は、引用発明の装置仕様情報が通信端末10の再生コーデックの種類、通信速度、表示画面の解像度等の表示機能の仕様であることから、装置使用情報に合致しないコンテンツの再生コーデックの種類、通信速度、解像度の変換を行うものである。
そして、変換要否判断部26により変換処理が必要と判断された場合、装置使用情報に合致しないコンテンツの再生コーデックの種類、通信速度、解像度の変換を行って、要求コンテンツに変換する引用発明のコンテンツ変換部24は、「前記制御・解析部からの変換指示を受けると、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のうちの前記携帯端末の能力に合致しないものについて変換処理を施して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成する変換部」である点で本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明の変換部は、コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のほかにコンテンツの「ファイル形式」についての変換も行うものであるのに対し、引用発明の変換部は、「ファイル形式」についての変換も行うものであるのか特定されていない点で両者は相違する。
また、本願補正発明の変換部が行う変換処理はトランスコード処理であって、一般にトランスコードとは、ある形式で圧縮・符号化された動画データなどを復号しないで直接別の形式に変換することであるが、これに対し引用発明の変換部は、コンテンツを復号しないで変換処理を行うもの、すなわちトランスコード処理を行うものであるのか特定されていない点で両者は相違する。

(c-2)本願補正発明は、変換部が「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し」、及び「前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み」という機能を有しているのに対し、引用発明の変換部がそのような機能を有しているか特定されていない点において、両者は相違する。

(c-3)引用発明は、コンテンツ変換部24により変換された要求コンテンツを、有線又は無線のネットワーク40を介して通信端末10へ送信するコンテンツ送信部25を有している。
すなわち、引用発明のコンテンツ送信部25は、本願補正発明の変換部が有する、「前記生成したコンテンツを前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する」という機能に相当する。

(c-4)上記(c-1)?(c-3)をまとめると、引用発明のコンテンツ変換部24及びコンテンツ送信部25は、本願補正発明の「前記制御・解析部からの変換指示を受けると、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のうちの前記携帯端末の能力に合致しないものについて変換処理を施して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成し、前記生成したコンテンツを前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する変換部」である点で、本願補正発明と一致する。
ただし、本願補正発明の変換部は、コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のほかにコンテンツの「ファイル形式」についての変換も行うものであるのに対し、引用発明の変換部は、「ファイル形式」についての変換も行うものであるのか特定されていない点、本願補正発明の変換部が行う変換処理はトランスコード処理であって、一般にトランスコードとは、ある形式で圧縮・符号化された動画データなどを復号しないで直接別の形式に変換することであるが、これに対し引用発明の変換部は、コンテンツを復号しないで変換処理を行うもの、すなわちトランスコード処理を行うものであるのか特定されていない点、本願補正発明は、変換部が「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し」、及び「前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み」という機能を有しているのに対し、引用発明の変換部がそのような機能を有しているか特定されていない点、において、両者は相違する。

(5)一致点・相違点
上記(4)(a)ないし(c)での対比結果をまとめると、本願補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
コンテンツサーバからネットワークを介して、動画像を含むコンテンツを受け無線ネットワークを介して携帯端末に送出するゲートウェイ装置であって、
前記携帯端末から前記携帯端末の少なくともコーデック、ビットレート、解像度を含む能力情報を受けて解析し、
前記コンテンツサーバから入力される、動画像を含むコンテンツについて、前記コンテンツの復号化情報に関する情報からコーデック、ビットレート、解像度を含む情報を取得して、前記携帯端末の能力情報と比較し、前記コンテンツに関するコーデック、ビットレート、解像度のうち前記携帯端末の能力に合致しないものが少なくとも1つある場合に、変換指示を出力する制御・解析部と、
前記制御・解析部からの変換指示を受けると、前記コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のうちの前記携帯端末の能力に合致しないものについて変換処理を施して、前記携帯端末の能力に適合したコンテンツを生成し、
前記生成したコンテンツを前記無線ネットワークを介して前記携帯端末に送出する変換部と、
を備える、ことを特徴とするゲートウェイ装置。

[相違点1]
本願補正発明は、「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものであるのに対し、引用発明は、動画像を含むコンテンツを扱うものであるものの、音声、オーディオを含むコンテンツを扱うものであるか特定されていない点。

[相違点2]
本願補正発明の携帯端末の能力情報が、さらにファイル形式の情報を含むものであるのに対し、引用発明の携帯端末の能力情報は、ファイル形式を含むものであるのか特定されていない点。

[相違点3]
本願補正発明のコンテンツは、コンテンツサーバから「データストリーム又はファイルとして」入力されるものであるのに対し、引用発明のコンテンツは、コンテンツサーバからどのような形式で入力されるのか特定されていない点。

[相違点4]
本願補正発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報が「前記コンテンツと共に、又は別途入力される」ものであるのに対し、引用発明は、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報をどのように取得するのか特定されていない点。

[相違点5]
本願補正発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、符号化情報のほかに「ファイル形式」を含む情報であり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのに対し、引用発明のコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報は、「ファイル形式」を含んでおり、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行うものであるのか特定されていない点。

[相違点6]
本願補正発明の変換部は、コンテンツのコーデック、ビットレート、解像度のほかにコンテンツの「ファイル形式」についての変換も行うものであるのに対し、引用発明の変換部は、「ファイル形式」についての変換も行うものであるのか特定されていない点。

[相違点7]
符号化された動画データのビットレート、解像度、符号化形式などを変換する際に、本願補正発明の変換部が行う変換処理はトランスコード処理であるのに対し、引用発明の変換部は、トランスコード処理を行うものであるのか特定されていない点。

[相違点8]
本願補正発明は、変換部が「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し」、及び「前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み」という機能を有しているのに対し、引用発明の変換部がそのような機能を有しているか特定されていない点。

(6)相違点の判断
[相違点1]について
引用発明は、コンテンツホルダ30に保持された動画コンテンツやHTMLで記述されたコンテンツなどのテキストデータのコンテンツを通信端末10に提供するものであり、少なくとも動画コンテンツとテキストコンテンツを提供するものである。
ネットワークを介してコンテンツを提供する技術においては、一般にマルチメディアコンテンツを提供しており、動画像、オーディオをはじめとして様々な種類のコンテンツを提供することが周知のこととなっている。
よって、引用発明において、動画コンテンツとテキストコンテンツのほかに、音声、オーディオの提供を行うことは当業者が容易に想到し得ることであり、引用発明を「動画像、音声、オーディオのうちの少なくとも1つを含むコンテンツ」を扱うものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点3]について
コンテンツサーバから動画等のコンテンツデータを配信する際の配信形式には、ストリーミング形式の配信とダウンロード形式の配信があることは周知の事項であり、コンテンツサーバからゲートウェイサーバ等の中継サーバへのコンテンツの転送においても、ストリーミング形式の転送とダウンロード形式の転送の両方を可能とすることは、当該技術分野における周知技術である(例えば、特表2005-520456号公報の段落【0030】、特開2008-22509号公報の段落【0033】等を参照のこと)。
引用発明においては、コンテンツサーバからどのような形式でコンテンツが入力されるのか特定されていないが、コンテンツ受信方法として周知のものであるストリーミング形式とダウンロード形式の2つの受信方法に対応させようとすることは当業者が普通に考えうることであり、引用発明に、上記のコンテンツサーバからゲートウェイサーバ等の中継サーバへのコンテンツの転送においてストリーミング形式の転送とダウンロード形式の転送の両方を可能とする周知技術を適用して、コンテンツをデータストリーム形式又はファイル形式で受信するようにすることは当業者が容易になし得たことである。
すなわち、引用発明に上記周知技術を適用し、コンテンツをコンテンツサーバから「データストリーム又はファイルとして」入力されるものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]、[相違点5]及び[相違点6]について
映像や音声等の符号化データをまとめて扱う際には、コンテナフォーマットと呼ばれるファイル形式(ファイルフォーマット)にまとめて扱うことが技術常識であり、コンテナフォーマットにはMPEG、MOV、3GPPなど複数の種類があって、データ転送の形式がストリーミング形式かダウンロード形式にかかわらず、伝送路やシステムの能力特性に応じて最適なコンテナフォーマットを選択し使用されている。
さらに、伝送路やシステムの能力特性に応じてコンテナフォーマットを変換することも普通に行われていることである(例えば、前置報告書において周知例として示された特開2002-342218号公報の段落【0031】?【0037】等を参照のこと)。
そして、引用発明が扱うコンテンツにおいても、データ転送の形式がストリーミング形式かダウンロード形式にかかわらず、何れかのコンテナフォーマットすなわちファイル形式が使用されているものと考えられるので、引用発明において携帯端末の能力情報とコンテンツの形式を比較する際に、ファイル形式を比較対象とし、コンテンツの変換を行う際にファイル形式の変換を考慮することは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。
よって、引用発明において、携帯端末の能力情報を「ファイル形式」を含む情報とするとともに、コンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報を「ファイル形式」を含む情報とし、その「ファイル形式」を含む情報を取得して、携帯端末情報の能力情報との比較を行い、変換部でコンテンツの「ファイル形式」についての変換も行うものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点4]について
コンテンツサーバからクライアント端末へコンテンツを配信する際に、コンテンツに関する情報がコンテンツに含まれており、コンテンツと同時に受け取ることは一般的に行われている周知技術である(例えば、特開2006-129468号公報の段落【0047】,【0065】等を参照のこと)。また、コンテンツに関する情報をコンテンツとは別に取得することも周知の技術である(例えば、特開2007-4493号公報の段落【0101】?【0103】等を参照のこと)。
これらの周知技術を踏まえると、コンテンツに関する情報を取得する装置を、コンテンツに付加された情報として受信するものとするか、コンテンツと別途受信するものとするかは、当業者が適宜選択しえるものであり、引用発明においてコンテンツサーバから入力されるコンテンツについての情報を「前記コンテンツと共に、又は別途入力される」ものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点7]について
符号化された動画データのビットレート、解像度、符号化形式などをトランスコード処理で変換を行うことで変換処理の負荷の軽減や画像の劣化防止を図る技術は、当該技術分野における周知技術であり(例えば、特開2003-78856号公報の段落【0006】,【0031】?【0033】、特開2007-281868号公報の段落【0042】等を参照のこと)、引用発明においても変換処理の負荷軽減や画像の劣化防止を図ることは当然考慮することと考えられるので、引用発明に上記周知技術を適用し、引用発明の変換処理をトランスコード処理とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点8]について
相違点3についての検討で示したように、コンテンツサーバからゲートウェイサーバ等の中継サーバへのコンテンツの転送において、ストリーミング形式の転送とダウンロード形式の転送の両方を可能とすることは、当該技術分野における周知技術であり、コンテンツの配信がダウンロード形式の場合には、ダウンロードしたファイルをダウンロード形式で転送する前に中継サーバ等で一旦記録することは普通に行われることである(例えば、特開2008-22509号公報の段落【0045】等を参照のこと)。
このような技術背景を踏まえると、引用発明において、ダウンロード形式によりファイルとして入力されたコンテンツを一旦記録手段に記録しておき、そのコンテンツが変換要否判断部26から変換が必要と判断されたコンテンツである場合には、変換要否判断部26からの指示により、変換前のファイル形式で格納されているコンテンツを読み出し、指示されたファイル形式に変換することは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、中継サーバ等がダウンロード形式でクライアントへコンテンツを送信する場合は、コンテンツ全体を1つのファイルとして一旦蓄積しておき、その蓄積されたファイルを送信することが普通であることから、引用発明において、コンテンツ変換部24により指示されたファイル形式に変換したコンテンツを、通信端末10への送信用コンテンツとして記録手段に一旦変換後のファイル形式で書き込んでおくことは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、引用発明の変換部に「前記コンテンツサーバから入力される前記コンテンツがファイルの場合、前記制御・解析部から指示されたファイル形式に格納されているコンテンツを受信バッファから読み出し」、及び「前記コンテンツがファイルの場合、前記生成したコンテンツを、前記制御・解析部から指示されたファイル形式のファイルに書き込み」という機能を設けることは、当業者が容易になし得たことである。

(7)効果等について
本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。

(8)まとめ
以上のように、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成25年6月17日付けの手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成22年10月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし6,9,10、及び平成25年2月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項7,8に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1及び2に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明2」という)は、前記第2.1.の(補正前の請求項1及び2)に記載した事項により特定されるとおりのものである。

2.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載事項は、前記第2.2.(2)に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明2は、前記第2.2.で摘示した本願補正発明に追加された限定事項を省いたものであり、本願発明1は、さらに補正前の請求項2の技術事項を省いたものである。
そうすると、本願発明1及び2の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記第2.2.に記載したとおり、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1及び2も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1及び2に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-02 
結審通知日 2014-04-08 
審決日 2014-04-25 
出願番号 特願2010-508250(P2010-508250)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上嶋 裕樹  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
渡邊 聡
発明の名称 ゲートウエイ装置と方法  
代理人 加藤 朝道  

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