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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03K
管理番号 1288499
審判番号 不服2013-16528  
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-27 
確定日 2014-06-12 
事件の表示 特願2008-239315「リレー装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月 2日出願公開、特開2010- 74499〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年9月18日の出願であって、平成25年5月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月27日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに手続補正がなされ、同年10月21日付けで審尋がなされ、同年12月25日に上申書が提出されたものである。


第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年8月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成25年4月30日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「 【請求項1】
交流電源の一端と接続される電源側端子と、前記交流電源より電源供給される負荷の一端と接続される負荷側端子と、前記電源側端子に接続される第1給電路と、前記負荷側端子に接続される第2給電路と、前記第1及び第2給電路のそれぞれに接続される第1及び第2電極と、該第1及び第2電極の通電を制御する制御信号が入力されるゲート電極とを有するスイッチング素子と、該スイッチング素子のゲート電極に与える前記制御信号を生成する制御部と、該制御部からの前記制御信号が流れる信号線と、を備えたリレー装置であって、
前記スイッチング素子は、第1端子と、第2端子とを有し、
前記第1端子は、前記スイッチング素子を搭載するステムの表面上に形成され、かつその一端が前記第1給電路に接続されるとともに、その他端が前記スイッチング素子における前記第1電極を形成する面に面接続することによって前記第1電極に接続され、
前記第2端子は、リボン状のワイヤで形成され、かつその一端が前記第2給電路に接続されるとともに、その他端が前記第2電極に面接続され、
前記スイッチング素子の第1電極と前記第1給電路との接続部分及び前記スイッチング素子の第2電極と前記第2給電路との接続部分のそれぞれの接続面積が、前記スイッチング素子のゲート電極と前記信号線との接続部分の接続面積よりも広いことを特徴とするリレー装置。」

という発明(以下、「本願発明」という。)を、

「 【請求項1】
交流電源の一端と接続される電源側端子と、前記交流電源より電源供給される負荷の一端と接続される負荷側端子と、前記電源側端子に接続される第1給電路と、前記負荷側端子に接続される第2給電路と、前記第1及び第2給電路のそれぞれに接続される第1及び第2電極と、該第1及び第2電極の通電を制御する制御信号が入力されるゲート電極とを有するスイッチング素子と、該スイッチング素子のゲート電極に与える前記制御信号を生成する制御部と、該制御部からの前記制御信号が流れる信号線と、を備えたリレー装置であって、
前記スイッチング素子は、第1端子と、第2端子とを有し、
前記第1端子は、前記スイッチング素子を搭載するステムの表面上に形成され、かつその一端が前記第1給電路に接続されるとともに、その他端が前記スイッチング素子における前記第1電極を形成する面と面接続することによって前記第1電極と接続され、
前記第2端子は、前記第2給電路に接続されるT字形端子とリボン状のワイヤとで形成され、かつ該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続されるとともに、その他端が前記第2電極と面接続され、
前記スイッチング素子の第1電極と前記第1給電路との接続部分及び前記スイッチング素子の第2電極と前記第2給電路との接続部分のそれぞれの接続面積が、前記スイッチング素子のゲート電極と前記信号線との接続部分の接続面積よりも広いことを特徴とするリレー装置。」(下線は、補正箇所を示すものとして、請求人が手続補正書において記載したものと援用した。)
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
本件補正の内容は、「第2端子」に関し、本件補正前は「リボン状のワイヤで形成され、かつその一端が前記第2給電路に接続される」としていたものを、「前記第2給電路に接続されるT字形端子とリボン状のワイヤとで形成され、かつ該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続される」と補正することによって、第2の端子がリボン状のワイヤに加え、第2給電路に接続されるT字形端子も含み、該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続されることを特定するものである。したがって、本件補正は特許請求の範囲の減縮に該当するものである。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)、及び、特許法第17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。


(2)独立特許要件
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、補正後の発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて、以下に検討する。

[補正後の発明]
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項において、「補正後の発明」として認定したとおりである。


[引用発明1]
原査定の拒絶理由に引用された特開2007-174409号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0005】
第2の従来スイッチの動作について図4を用いて説明する。図4は第2の従来スイッチの回路図である。なお、第2の従来スイッチ9では、負荷開閉部としてのトライアック90が交流電源AC及び負荷Lと直列に接続している。まず、制御部91の制御出力端子910からの制御信号がローレベルになると、第2の電源部92がオフ状態になる。このとき、第3の電源部93が第1の電源部94に電力を供給する。この状態では、トライアック90のゲート(駆動信号入力端)には、トライアック90をターンオンさせるのに必要な大きさのゲート電流(駆動信号)が流れないので、トライアック90がオフ(開)状態になり、交流電源ACから負荷Lへの電力供給が遮断される。
【0006】
一方、制御部91の制御出力端子910からの制御信号がハイレベルになると、第2の電源部92がオン状態になる。これにより、第2の電源部92が第1の電源部94に電力を供給する。このとき、第1の電源部94の充電が完了すると、充電完了検出部920から補助開閉部95に電流が流れて補助開閉部95がオン(閉)状態になる。補助開閉部95がオン状態になると、トライアック90をターンオンさせるのに必要な大きさの電流がトライアック駆動部96に流れ、トライアック駆動部96からトライアック90にゲート電流が流れる。これにより、トライアック90がオン(閉)状態になり、交流電源ACから負荷Lへの電力供給が行われる。」(3頁)

上記摘記事項イ.及び図4並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
a.特に図4によれば、第2の従来スイッチ9は交流電源ACの一端に接続する端子を有しており、また第2の従来スイッチ9は、交流電源ACから電力供給される負荷Lの一端に接続する端子を有している。

b.上記摘記事項イ.の「負荷開閉部としてのトライアック90が交流電源AC及び負荷Lと直列に接続している。」という記載と図4によれば、第2の従来スイッチ9の交流電源ACの一端に接続する端子、及び、第2の従来スイッチ9の負荷Lの一端に接続する端子には、それぞれに配線が接続され、前記配線はトライアック90の内部の主電流路上に形成された電極にそれぞれ接続されていることは明らかである。また、トライアック90は主電流路をオン状態に制御するゲート電流が流れるゲート電極を備えていることも自明である。

c.トライアック90のゲート電極に流れるゲート電流は、制御部91、第2の電源部92、補助開閉部95、充電完了検出部920、第1の電源部94、及びトライアック駆動部96からなる構成によって生成され、そしてこれらの構成からトライアック90のゲート電極まで配線を通ってゲート電流が流れることは明らかである。

したがって、摘記した引用例1の記載及び図4の記載を総合すると、引用例1には以下のような発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明1)
「交流電源ACの一端に接続する端子と、交流電源ACから電力供給される負荷Lの一端に接続する端子と、前記交流電源ACの一端に接続する端子に接続される配線と、負荷Lの一端に接続する端子に接続される配線と、
前記交流電源ACの一端に接続する端子に接続される配線が接続されるトライアック内部の電極と、負荷Lの一端に接続する端子に接続される配線が接続されるトライアック内部の電極と、前記電極間のオン状態を制御するゲート電流が流れるトライアック内部のゲート電極とを有するトライアック90と、
該トライアック90のゲート電極に流れるゲート電流を生成する、制御部91、第2の電源部92、補助開閉部95、充電完了検出部920、第1の電源部94、及びトライアック駆動部96からなる構成と、そして当該構成からのゲート電流が流れる配線と、
を備えた第2の従来スイッチ9。」


[引用発明2]
原査定の拒絶理由に引用された特開平10-84108号公報(以下、「引用例2」という。)には、従来の技術として図面とともに以下の事項が記載されている。

ロ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイリスタ(Thyristor)やトライアック(TRIAC)などの中・大電流用の電力制御素子に関する。
【0002】
【従来の技術】電力制御素子には、サイリスタ、トライアックなどがあり、電気給湯器のスイッチなどに好適に用いられる。たとえばサイリスタは、アノード、カソードおよびゲートの3端子を有する半導体デバイスであり、3端子の内のゲートを流れる電流によって、残りのアノードとカソードとの間を流れる電流を導通または遮断するスイッチング素子として働く。
【0003】図14(a)は典型的な電力制御素子1を示す正面図であり、図14(b)はその側面図である。金属製の台座2には、その中央に半導体部品3が固定され、端子4aおよび端子4bが設けられている。半導体部品3の下面と台座2とは半田付けされ、半導体部品3の上面はワイヤ5によって端子4aおよび端子4bに接続される。これらを合成樹脂から成るパッケージで覆ったものが、電力制御素子1である。
【0004】図15および図16は第1の従来技術を示し、図15は電力制御素子1を使った回路11を示す回路図であり、図16(a)は電力制御素子1を構成する半導体部品3を示す平面図であり、図16(b)は切断面線F-Fから見た断面図である。図16は半導体部品3の、特に電極構造を示しており、その電極構造を有する半導体部品3は電力制御素子1を構成する。この電力制御素子1を使った回路11が図15に示される。回路11は、サイリスタやトライアックなどの電力制御素子を複数種類、組み合わせたSSR(Solid State Relay;ソリッド・ステート・リレー)12を含んで構成される。回路11ではSSR12によって、負荷13で発生する熱を制御することができる。
【0005】電力制御素子1を含んで構成される回路には、突入電流、雷サージなどによって急激に大きな電流が流れることがある。これは一般にサージ電流と呼ばれ、サージ電流が流れると、電力制御素子1の内部の半導体部品3において、順方向2次降伏などによってpn接合が破壊されることがある。このサージ電流に対して電力制御素子1は、通常の定格電流の約10?40倍のサージ電流耐量を保証しており、半導体部品3の電極や、半導体部品3ならびに端子4aおよび端子4bを接続するワイヤ5についても、サージ電流耐量に充分に耐えるものを使用している。
【0006】・・・略・・・
【0007】次に電力制御素子1を構成する半導体部品3の電極構造について説明する。図16(a)および図16(b)に示されるように、半導体チップ22の上面は、電極が半導体チップ22に接触するためのコンタクト窓を有するマスキング用の酸化膜23で覆われ、このコンタクト窓を埋めるようにアルミニウムから成るカソード電極24とゲート電極25とが配置される。カソード電極24の、コンタクト窓を埋める部分と、ゲート電極25のコンタクト窓を埋める部分とが、半導体チップ22に接触する。半導体チップ22の下面は、半田付け可能な金属(たとえばTi-Ni合金等)から成るアノード電極26で覆われる。このように構成された半導体部品3のカソード電極24およびゲート電極25において、その下面は半導体チップ22に接触し、その上面はワイヤボンディングされる。
【0008】図16に示す半導体部品3を含んで構成される電力制御素子1において、最大定格および信頼性を考慮して、余裕をもった厚みおよび幅のカソード電極24が設けられている。これによって、カソード電極24自体が配線抵抗となることによる電圧降下、サージ電流による溶断およびエレクトロ・マイグレーション(Electro Migration)による溶断を防止することができる。特に、カソード電極24が半導体チップ22に接触する接触面積は、可能な限り大きくなるように形成される。さらに、ワイヤ5はサージ電流に耐えるように、断面積を充分大きくしている。」(2頁1欄?3頁3欄)

上記摘記事項及び図14、16並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
a.上記摘記事項【0001】【0002】によれば、引用例2はサイリスタやトライアックなどの電力制御素子に関するものであり、【0005】【0008】を参照すれば、突入電流などのサージ電流に対して耐性を高めたものといえる。

b.上記摘記事項【0003】【0007】及び図14、16をみると、金属製の台座2は半導体部品3の一方の面を構成するアノード電極26と半田付けにより面接続され、その一端は端子形状にされ、主電流が流れる経路に接続されることは明らかである。

c.端子4bは、特に図14、16をみれば、ワイヤ5の一端に接続され、当該ワイヤ5の他端が半導体部品3のカソード電極24に接続されている。また端子4bはワイヤ5を介してカソード電極に接続されることから、主電流が流れる経路上の構成であることは明らかである。

d.端子4aは、特に図14、16をみればワイヤ5の一端に接続され、ワイヤ5の他端がゲート電極に接続されている。ここで、アノード電極26が台座2に接続される部分の面積はゲート電極とワイヤ5の接続部分の面積よりも広くなることは明らかである。

e.上記摘記事項【0002】ないし【0008】の記載、及び図14、16はサイリスタを例に記載しているが、【0001】【0002】には電力制御素子として、トライアックについてもサイリスタと同様であることが示唆されており、トライアックとして構成した場合、「アノード電極」「カソード電極」がそれぞれ「T2電極」「T1電極」に置き換わることは当業者にとって自明である。

したがって、摘記した引用例2の記載及び図14、16の記載を総合すると、引用例2には以下のような発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明2)
「トライアックであって、一端が端子形状にされた金属製の台座2と、端子4bとワイヤ5からなる構成とを有し、
前記一端が端子形状にされた金属製の台座2は、一端が主電流路に接続されるとともに、他端がT2電極を構成する面と面接続することによって前記T2電極と接続され、
前記端子4bとワイヤ5からなる構成は、主電流が流れる経路に接続される端子4bとワイヤ5とで形成され、前記ワイヤ5の一端が前記端子4bに接続されるとともに、他端がT1電極と接続され、
T2電極と金属製の台座2とが接続される部分の接続面積はゲート電極とワイヤ5の接続部分の面積よりも広く構成された、サージ電流に対して耐性を高めたトライアック。」


[対比・判断]
補正後の発明を引用発明1と対比すると、
あ.引用発明1の「交流電源AC」「交流電源ACの一端に接続する端子」「負荷L」「負荷Lの一端に接続する端子」が、補正後の発明の「交流電源」「電源側端子」「負荷」「負荷側端子」にそれぞれ相当する。

い.引用発明1の「前記交流電源ACの一端に接続する端子に接続される配線」「負荷Lの一端に接続する端子に接続される配線」が、補正後の発明の「第1給電路」「第2給電路」にそれぞれ相当する。

う.引用発明1の「前記交流電源ACの一端に接続する端子に接続される配線が接続されるトライアック内部の電極と、負荷Lの一端に接続する端子に接続される配線が接続されるトライアック内部の電極と、前記電極間のオン状態を制御するゲート電流が流れるトライアック内部のゲート電極とを有するトライアック90」はスイッチング動作を行うから、補正後の発明の「前記第1及び第2給電路のそれぞれに接続される第1及び第2電極と、該第1及び第2電極の通電を制御する制御信号が入力されるゲート電極とを有するスイッチング素子」に相当する。

え.引用発明1の「該トライアック90のゲート電極に流れるゲート電流を生成する、制御部91、第2の電源部92、補助開閉部95、充電完了検出部920、第1の電源部94、及びトライアック駆動部96からなる構成」は、制御に用いるゲート電流を生成する構成であるから、補正後の発明の「該スイッチング素子のゲート電極に与える前記制御信号を生成する制御部」に相当する。そして引用発明1において「当該構成からのゲート電流が流れる配線」は、制御に用いるゲート電流をゲート電極まで運ぶ配線であるから、補正後の発明の「制御信号が流れる信号線」に相当する。

お.引用発明1の「第2の従来スイッチ9」は、交流電源を負荷に接続したり、切り離したりする構成であり、補正後の発明のように「リレー装置」と称することは任意である。

したがって、両者は以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「交流電源の一端と接続される電源側端子と、前記交流電源より電源供給される負荷の一端と接続される負荷側端子と、前記電源側端子に接続される第1給電路と、前記負荷側端子に接続される第2給電路と、前記第1及び第2給電路のそれぞれに接続される第1及び第2電極と、該第1及び第2電極の通電を制御する制御信号が入力されるゲート電極とを有するスイッチング素子と、該スイッチング素子のゲート電極に与える前記制御信号を生成する制御部と、該制御部からの前記制御信号が流れる信号線と、を備えたリレー装置。」

(相違点)
補正後の発明は、「スイッチング素子」に関して、
「前記スイッチング素子は、第1端子と、第2端子とを有し、
前記第1端子は、前記スイッチング素子を搭載するステムの表面上に形成され、かつその一端が前記第1給電路に接続されるとともに、その他端が前記スイッチング素子における前記第1電極を形成する面と面接続することによって前記第1電極と接続され、
前記第2端子は、前記第2給電路に接続されるT字形端子とリボン状のワイヤとで形成され、かつ該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続されるとともに、その他端が前記第2電極と面接続され、
前記スイッチング素子の第1電極と前記第1給電路との接続部分及び前記スイッチング素子の第2電極と前記第2給電路との接続部分のそれぞれの接続面積が、前記スイッチング素子のゲート電極と前記信号線との接続部分の接続面積よりも広い」
という構成を有するのに対して、引用発明1においては「トライアック90」の構造について明らかではない点。

上記相違点について検討する。
引用発明1はトライアック90により交流電源ACから負荷Lへの電力供給を制御しているものであり、このような用途で使用されるトライアックでは、突入電流などのサージ電流に対する耐性が考慮されることは当業者にとって一般的な技術常識にすぎない(例えば、特開平6-260633号公報【0001】、特開2007-317850号公報【0002】?【0010】参照。)。そうすると、引用発明1に用いるトライアックとして、引用発明2に記載されたサージ電流に対して耐性を高めたトライアックを適用することは当業者によって格別な事項とはいえない。
そして、このように引用発明1に引用発明2のトライアックを適用すると、引用発明2の「一端が端子形状にされた金属製の台座2」「端子4bとワイヤ5からなる構成」「T2電極」「T1電極」が、それぞれ補正後の発明の「第1端子」「第2端子」「第1電極」「第2電極」に相当することになる。
ところで、補正後の発明の「第1端子は、前記スイッチング素子を搭載するステムの表面上に形成され」る構成について引用発明2は有していない。しかしながら、スイッチング素子を搭載するステム上に端子が設けられる構成は周知の構成に過ぎないことから(例えば、特開平6-260633号公報【0005】、特開2007-317850号公報参照。)、ステムを有する構成にすることは格別の事項ではなく、当業者が適宜なし得たものである。
また、補正後の発明では「第2端子は、前記第2給電路に接続されるT字形端子とリボン状のワイヤとで形成され、かつ該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続される」構成を有する点で、引用発明2と異なるものの、引用例2【0008】には「ワイヤ5はサージ電流に耐えるように、断面積を充分大きくしている。」と記載されているように、サージ電流が流れるT1電極に接続されるワイヤの断面積を十分大きくする旨記載されているから、このように断面積を大きく抵抗を小さくできるワイヤとして周知の構成であるリボン状のワイヤ(例えば、国際公開第2006/135773号パンフレットの1頁27行?2頁1行、特開平9-45726号公報【0042】、特開平6-125143号公報【0016】参照。)を用いることに格別の困難性はない。また、T字形端子の水平部分に接続する点に関しても、リボンワイヤが幅広の構成を有するから、これを接続する端子の形状もこれに合わせることは適宜なし得る事項にすぎず、端子の形状としてT字形の端子は周知の構成であり(例えば、特開2006-81314号公報の図2、4、6、特開平6-125143号公報の図2(b)、4(b)、6、特開平7-45778号公報の図3参照。)、また、リボン状のワイヤの一端をT字形端子の水平部分に接続する構成も行われている(例えば、特開平6-125143号公報の図2(b)、4(b)、6、特開平7-45778号公報の図3参照。)ことを考慮しても、補正後の発明の「第2端子は、前記第2給電路に接続されるT字形端子とリボン状のワイヤとで形成され、かつ該リボン状のワイヤの一端が前記T字形端子の水平部分に接続」する構成は格別の事項とはいえない。
さらに、引用発明2において、引用例2【0008】の「ワイヤ5はサージ電流に耐えるように、断面積を充分大きくしている。」との記載から、サージ電流が流れるT1電極に接続されるワイヤの断面積を、サージ電流が流れないゲート電極に接続されるワイヤの断面積より大きくすることは適宜なし得た事項にすぎず、そうすればT1電極と断面積の大きなワイヤとの接続は面接続となり、その接続面積がゲート電極とワイヤとの接続面積より広くなることは明らかである。
したがって、上記相違点とした補正後の発明の構成は、引用発明1、2及び周知技術から当業者が容易に想到できたものである。

そして、補正後の発明が奏する効果も引用発明1、2及び周知技術から到達した構成から容易に予測できる範囲内のものである。

よって、補正後の発明は、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によって特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年8月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2 補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明及び周知技術は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で引用発明1、2及び周知技術として認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、引用発明1、2及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1,2及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-03 
結審通知日 2014-04-08 
審決日 2014-04-21 
出願番号 特願2008-239315(P2008-239315)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03K)
P 1 8・ 575- Z (H03K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 船越 亮吉田 隆之  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 山中 実
山本 章裕
発明の名称 リレー装置  
代理人 中井 宏行  

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