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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01C
管理番号 1288899
審判番号 無効2012-800142  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-09-03 
確定日 2014-03-24 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2695393号発明「位置特定方法および装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 特許第2695393号の請求項1、3、4、7及び8のそれぞれに係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第2695393号(以下、「本件特許」という。)の請求項1から7までのそれぞれに係る発明は、平成7年4月10日に特許出願され、平成9年9月12日にその特許権の設定の登録がされた。
請求人は、平成24年9月3日付け審判請求書を提出して、本件特許の請求項1から7までのそれぞれに係る発明についての特許を無効にすることについて審判(以下、「本件審判」という。)を請求した。
その後、請求人及び被請求人は、それぞれ以下に掲げる書類を提出した。

被請求人 平成24年12月3日付け訂正請求書
同日付け答弁書
請求人 平成25年1月10日付け弁駁書
被請求人 同年3月8日付け答弁書
請求人 同年5月20日付け口頭審理陳述要領書
被請求人 同日付け口頭審理陳述要領書
被請求人 同年5月28日付け上申書

当審は、平成25年5月31日に第1回口頭審理を行った。さらに、当審は、当事者が申し立てない理由について審理したので、その結果を、同年6月4日付け無効理由通知書で被請求人に、同日付け職権審理結果通知書で請求人に、それぞれ通知した。
これに対し、請求人及び被請求人は、それぞれ以下に掲げる書類を提出した。

被請求人 平成25年7月8日付け意見書
請求人 同日付け意見書

その後、当審は、平成25年8月15日付けで審決の予告をした。
これに対し、請求人及び被請求人は、それぞれ以下に掲げる書類を提出した。

被請求人 平成25年10月18日付け訂正請求書
請求人 同年11月27日付け弁駁書
被請求人 平成26年1月6日付け訂正請求書
同日付け答弁書

上記のとおり、被請求人から平成26年1月6日付け訂正請求書が提出されて、願書に添付した明細書の訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求がされたので、特許法第134条の2第6項の規定により、平成24年12月3日付け訂正請求書による訂正の請求及び平成25年10月18日付け訂正請求書による訂正の請求は、いずれも取り下げられたものとみなす。
なお、本件特許については、東京地方裁判所に特許権侵害差止請求事件(平成24年(ワ)第18038号)及び仮処分命令申立事件(平成24年(ヨ)第22009号)が係属していたが、仮処分命令申立事件は、平成25年10月17日に債権者(本件審判の被請求人)の取下げによって終了し、特許権侵害差止請求事件は、平成25年10月30日に原告(本件審判の被請求人)の請求を棄却する判決が言い渡され、その後、控訴期間徒過によって同判決が確定して終了した。

第2 本件訂正の適否について
1.本件訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を以下のように訂正する。

(訂正前)
「【請求項1】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定することを特徴とする位置特定方法。」

(訂正後)
「【請求項1】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、
前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を以下のように訂正する。

(訂正前)
「【請求項3】
特定した目標位置を、地名等が明示されている二次元地図上に表示することを特徴とする請求項1または2記載の位置特定方法。」

(訂正後)
「【請求項3】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、
前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。」

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を以下のように訂正する。

(訂正前)
「【請求項4】
目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示することを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の位置特定方法。」

(訂正後)
「【請求項4】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、
前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。」

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を以下のように訂正する。

(訂正前)
「【請求項7】
空中を移動可能な機体と、
機体の位置を特定する機体位置特定手段と、
機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、
機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、
地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、
機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段とを含むことを特徴とする位置特定装置。」

(訂正後)
「【請求項7】
空中を移動可能な機体と、
機体の位置を特定する機体位置特定手段と、
機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、
機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、
地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、
機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と、
目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段と、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する手段と、
を含むことを特徴とする位置特定装置。」

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項4を以下のように訂正した上で、新たな請求項8とする。

(訂正前)
「【請求項4】
目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示することを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の位置特定方法。」

(訂正後)
「【請求項8】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、
前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。」

(9)訂正事項9
発明の詳細な説明の段落0007を以下のように訂正する。

(訂正前)
「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定することを特徴とする位置特定方法である。さらに本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、距離計測装置は使用せずに目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定することを特徴とする位置特定方法である。さらに本発明は、特定した目標位置を、地名等が明示されている二次元地図上に表示することを特徴とする。また本発明は、目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示することを特徴とする。また本発明の空中からの撮影は、赤外線カメラを用いて夜間も可能であり、撮影した映像は地上でも受信可能であることを特徴とする。また本発明は、目標物の撮影を飛行体に搭載するカメラから行い、空中における撮影位置を三次元的に特定する機能を利用して、飛行体の運航管理を行うことを特徴とする。さらに本発明は、空中を移動可能な機体と、機体の位置を特定する機体位置特定手段と、機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段とを含むことを特徴とする位置特定装置である。また本発明の前記撮影手段は、2軸または3軸安定化ジャイロを内蔵するジンバル機構によって支持されることを特徴とする。」

(訂正後)
「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法である。さらに本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。また本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。さらに本発明は、空中を移動可能な機体と、機体の位置を特定する機体位置特定手段と、機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と、目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段と、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する手段と、を含むことを特徴とする位置特定装置である。さらに本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。また本発明の前記撮影手段は、2軸または3軸安定化ジャイロを内蔵するジンバル機構によって支持されることを特徴とする。」

2.本件訂正の適否についての当審の判断
(1)願書に添付した明細書及び図面に記載された事項
願書に添付した明細書及び図面を参照すると、以下のことが認められる。

ア.請求項3には、「特定した目標位置を、地名等が明示されている二次元地図上に表示する」という記載がある。

イ.請求項4には、「目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示する」という記載がある。

ウ.段落0016には、「ヘリコプタ1に搭載される撮影装置2は、目標物3を含む空撮映像6を撮影する。空撮映像6および空撮映像6に基づいて特定する目標物3の位置は、無線電波によって伝送され、現地本部指揮車7や、災害対策本部10で受信される。」という記載がある。

エ.段落0018には、「図4は、特定された災害発生地点20を、二次元的な地図に合わせて画像表示している状態を示す。災害発生地点20の周囲には、画像表示を行っているカメラの視野21に対応する領域が表示され、カメラの方向22も矢印で表示される。」という記載がある。

オ.図4には、地名等が明示されている二次元地図上に「カメラの視野21」を表す円及び「カメラの方向22」を表す矢印が表示されている様子が記載されている。

カ.図4からは、目標物である「災害発生地点20」が、地名等が明示されている二次元地図上の中央にあることが読み取れる。

(2)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に係る「位置特定方法」を、「目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」ものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、この訂正は、上記(1)ア.からカ.までに基づくものであるから、願書に添付した明細書又は図面(以下、「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。そして、この訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(4)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が引用する訂正前の請求項1の記載を訂正前の請求項3に追加し、他の請求項の記載を引用する旨の記載を訂正前の請求項3から削除した上で、「地名等が明示されている二次元地図上に表示」する対象として「目標物を撮影する際の視野」を追加するとともに、請求項3に係る「位置特定方法」を、「前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」ものに限定する訂正である。したがって、訂正事項3は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項3の記載を当該請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、この訂正は、上記(1)イ.からオ.までに基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(5)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4が引用する訂正前の請求項1の記載を訂正前の請求項4に追加し、他の請求項の記載を引用する旨の記載を訂正前の請求項4から削除した上で、請求項4に係る「位置特定方法」を、「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」ものに限定する訂正である。したがって、訂正事項4は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項4の記載を当該請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、この訂正は、上記(1)ア.、ウ.及びカ.に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(6)訂正事項5及び6について
訂正事項5及び6は、それぞれ請求項5及び6を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。そして、これらの訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(7)訂正事項7について
訂正事項7は、請求項7に係る「位置特定装置」を、「前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する手段」を含むものに限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、この訂正は、上記(1)ウ.に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項4が引用する訂正前の請求項1及び3の記載を訂正前の請求項4に追加し、他の請求項の記載を引用する旨の記載を訂正前の請求項4から削除した上で、請求項4に係る「位置特定方法」を、「前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」ものに限定し、新たに請求項8とする訂正である。したがって、訂正事項8は、訂正前の請求項1及び3の記載を引用する請求項4の記載を当該請求項1及び3の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正であり、また、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
そして、この訂正は、上記(1)ウ.に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(9)訂正事項9について
訂正事項9は、発明の詳細な説明の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。また、この訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(10)本件訂正の適否についてのまとめ
以上に検討したとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合するので、本件訂正を認める。

第3 本件特許に係る発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1、3、4、7及び8のそれぞれに係る発明は、訂正した明細書の特許請求の範囲の請求項1、3、4、7及び8のそれぞれに記載された事項によって特定される以下のとおりのものである。ただし、各請求項に記載された事項は、構成要件に分節して符号を付した。

「【請求項1】
1A 空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であ
って、
1B 空中における撮影位置を三次元的に特定し、
1C 撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
1D 予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地
勢データから目標物の存在する地表面を求め、
1E 地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置とし
て、目標物の位置を特定し、
1F 目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が
明示されている二次元地図上に表示するとともに、
1G 前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表
示し、
1H 前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介
して予め定められた外部装置へ伝送する
1I ことを特徴とする位置特定方法。
【請求項3】
3A 空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であ
って、
3B 空中における撮影位置を三次元的に特定し、
3C 撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
3D 予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地
勢データから目標物の存在する地表面を求め、
3E 地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置とし
て、目標物の位置を特定し、
3F 特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明
示されている二次元地図上に表示し、
3H 前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部
装置へ伝送する
3I ことを特徴とする位置特定方法。
【請求項4】
4A 空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であ
って、
4B 空中における撮影位置を三次元的に特定し、
4C 撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
4D 予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地
勢データから目標物の存在する地表面を求め、
4E 地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置とし
て、目標物の位置を特定し、
4F 目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上
に表示するとともに、
4G 前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表
示し、
4H 前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部
装置へ伝送する
4I ことを特徴とする位置特定方法。
【請求項7】
J 空中を移動可能な機体と、
K 機体の位置を特定する機体位置特定手段と、
L 機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、
M 機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と

N 地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録
しておく地表面記録手段と、
O 機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段か
らの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばし
た直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処
理手段と、
P 目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地
図上に表示する手段と、
Q 前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部
装置へ伝送する手段と、
R を含むことを特徴とする位置特定装置。
【請求項8】
8A 空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であ
って、
8B 空中における撮影位置を三次元的に特定し、
8C 撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
8D 予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地
勢データから目標物の存在する地表面を求め、
8E 地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置とし
て、目標物の位置を特定し、
8F 特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明
示されている二次元地図上に表示し、
8H 前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介
して予め定められた外部装置へ伝送する
8I ことを特徴とする位置特定方法。」

なお、以下では、本件特許の各請求項に係る発明を、対応する請求項の番号を用いて「本件特許発明1」、「本件特許発明3」などという。そして、本件特許発明1、3、4、7及び8をまとめて「本件特許発明」という。
また、分節した構成要件のそれぞれを、それに付した符号を用いて「構成要件1A」、「構成要件1B」などということがある。

第4 証拠方法
請求人は、証拠方法として甲第1号証から甲第56号証までの各刊行物を提出した。これらの刊行物は、甲第34号証、甲第39号証、甲第40号証及び甲第52号証の各刊行物を除き、本件特許発明の特許出願前に日本国内又は外国において頒布されたものである。また、請求人は、参考資料1-1、1-2及び2から5までを提出した。
一方、被請求人が証拠方法として提出したものはない。

甲第1号証 英国特許第2228642号公開公報
(1990年8月29日発行)
甲第2号証 米国特許第4954837号公報
(1990年9月4日発行)
甲第3号証 特開平2-285875号公報
甲第4号証 特開平2-205788号公報
甲第5号証 特開平7?81695号公報
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第5 請求人の主張
本件特許発明は、いずれも、その特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本件特許発明についての特許は、いずれも同法第123条第1項第2号に該当する。

1.本件特許発明3
(1)無効理由の要旨(無効理由1から3まで)
本件特許発明3は、甲第32号証刊行物に記載された発明(以下、「甲第32発明」という。)と、甲第1号証刊行物に記載された発明(以下、「甲第1発明」という。)と、甲第42号証から甲第49号証までの各刊行物に記載された周知技術(以下、「周知技術1」という。)とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由1」という。)。
本件特許発明3は、甲第32発明と、甲第33号証刊行物に記載された発明(以下、「甲第33発明」という。)と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由2」という。)。
本件特許発明3は、甲第32発明と、甲第41号証刊行物に記載された発明(以下、「甲第41発明」という。)と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由3」という。)。

(2)甲第32発明との対比
本件特許発明3は、「地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定」することが明示されている点(相違点1)及び「前記撮影された画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」点(相違点2)で甲第32発明と相違し、その他の点で一致する。

(3)無効理由1についての検討
相違点1は、甲第1発明との組み合わせによって当業者が容易に思い付くことである。
相違点2は、周知技術1の適用によって当業者が容易に思い付くことである。

(4)無効理由2についての検討
甲第33発明は、甲第1発明と実質的に同じ内容を開示するから、相違点1は、甲第33発明との組み合わせによっても当業者が容易に思い付くことである。
相違点2は、周知技術1の適用によって当業者が容易に思い付くことである。

(5)無効理由3についての検討
甲第41発明は、相違点1に係る構成を開示するから、相違点1は、甲第41発明との組み合わせによっても当業者が容易に思い付くことである。
相違点2は、周知技術1の適用によって当業者が容易に思い付くことである。また、甲第41発明との組み合わせによっても当業者が容易に思い付くことである。

2.本件特許発明7
本件特許発明7は、方法の発明である本件特許発明3を、装置の発明として表現したものにすぎない。
したがって、無効理由1から3までは、本件特許発明7にも当てはまる。

3.本件特許発明8
本件特許発明8は、外部装置へ伝送する情報として「該目標物の位置」を付加した点のみが本件特許発明3と異なるが、この点は、甲第32発明との対比において新たな相違点をもたらさない。
したがって、無効理由1から3までは、本件特許発明8にも当てはまる。

4.本件特許発明4
(1)無効理由の要旨(無効理由4から6まで)
本件特許発明4は、甲第32発明と、甲第1発明と、周知技術1と、甲第15号証、甲第20号証及び甲第50号証から甲第56号証までの各刊行物に記載された周知技術(以下、「周知技術2」という。)とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由4」という。)。
本件特許発明4は、甲第32発明と、甲第33発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由5」という。)。
本件特許発明4は、甲第32発明と、甲第41発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由6」という。)。

(2)甲第32発明との対比
本件特許発明4は、相違点1及び2に加えて、「前記特定した目標物の位置」を「前記二次元地図上の中央となるように表示」する点(相違点3)で甲第32発明と相違し、その他の点で一致する。

(3)相違点についての検討
無効理由4から6までのいずれに関しても、相違点1及び2については、無効理由1から3までに関して説明したとおりである(上記1.(3)から(5)まで)。
相違点3は、その技術上の意義が特許明細書等に開示されていないから、これによって本件特許発明4の進歩性が基礎付けられるとは考えられない。また、周知技術2の適用によって当業者が容易に思い付くことである。

5.本件特許発明1
(1)無効理由の要旨(無効理由7から9まで)
本件特許発明1は、甲第32発明と、甲第1発明と、甲第15号証刊行物に記載された発明(以下、「甲第15発明」という。)と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由7」という。)。
本件特許発明1は、甲第32発明と、甲第33発明と、甲第15発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由8」という。)。
本件特許発明1は、甲第32発明と、甲第41発明と、甲第15発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである(以下、「無効理由9」という。)。

(2)甲第32発明との対比
本件特許発明1は、相違点1から3までに加えて、「目標物に対する撮影方向」も「地名等が明示されている二次元地図上に表示する」点(相違点4)で甲第32発明と相違し、その他の点で一致する。

(3)相違点についての検討
無効理由7から9までのいずれに関しても、相違点1及び2については、無効理由1から3までに関して説明したとおりである(上記1.(3)から(5)まで)。また、相違点3については、無効理由4から6までに関して説明したとおりである(上記4.(3))。
相違点4は、甲第15発明との組み合わせによって当業者が容易に思い付くことである。

第6 被請求人の反論
本件特許発明は、いずれも、その特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでない。したがって、本件特許発明についての特許は、いずれも同法第123条第1項第2号に該当しない。

1.本件特許発明3
(1)無効理由1について
甲第32発明と甲第1発明とを組み合わせることには、阻害要因がある。
審決の予告において認定されているように、「甲第1号証刊行物には、航空機に搭載したテレビカメラによって撮影した画像を別の場所に送信することは、記載も示唆もされていない」(審決の予告書、第82ページ第7行から第8行まで)。すなわち、甲第1発明は、撮影した画像を別の場所に送信することは前提としていない。
一方、甲第32発明は、センサ映像の受信、表示、制御及び記録や目標物の位置特定を地上管制局で行っており、リアルタイムビデオ映像は、地上管制局に送信され、そこでモニターに表示される(甲第32号証抄訳、第5ページ下から4行目から第6ページ第5行まで及び第12ページ第8行から第14行まで)。すなわち、甲第32発明は撮影した映像を別の場所に送信することを前提とするものである。
このことから、甲第32発明と甲第1発明とでは、撮影した画像(映像)の利用に関する前提が相違する。
また、審決の予告において認定されているように、「甲第1発明は、もともと、航空機が自らの存在を明らかにすることなく目標物の距離を測定できるようにするために、レーザー又はレーダーを放射する必要のない受動的な方法を採用したものである」(審決の予告書、第82ページ第25行から第27行まで)。このため、甲第32発明を組み合わせれば航空機から何らかの信号波を発する必要があるが、そのような信号波を発すれば、自らの存在を明らかにする可能性が増大する。これは、甲第1発明の目的に反する。
以上から、甲第32発明と甲第1発明との組み合せは、1)前提の相違と2)目的の観点から、たとえ当業者であっても容易に思い付けるものではない。
したがって、甲第32発明と甲第1発明とを組み合わせることには、阻害要因があり、無効理由1があるとする請求人の主張は失当である。

(2)無効理由2について
甲第32発明と甲第33発明とを組み合わせることには、阻害要因がある。
まず、甲第33発明が甲第1発明と実質的に同じ内容を開示することは、請求人が自認している(平成25年11月27日付け弁駁書(以下、単に「弁駁書」という。)、第34ページ第18行から第19行まで)。
また、甲第33号証刊行物には、甲第1号証刊行物と同様、航空機に搭載したテレビカメラによって撮影した画像を別の場所に送信することは、記載も示唆もされていない。
また、甲第33発明が、甲第1発明と同様に自らの存在を明らかにすることなく目標物の距離測定を行う受動的な方法を採用したものであることは、例えば、「パッシブ測距技術のブロックダイアグラムが、目標物補足…のために…図2に示されている。」(甲第33号証抄訳、第62-3ページ第22行から第23行まで)や「目標補足のための地形支援パッシブ推定」(甲第33号証抄訳、第62-6ページ下から12行目)などから明らかである。このため、甲第33発明の目的も航空機が自らの存在を明らかにすることなく目標物の距離を測定できるようにすることである。
以上から、甲第32発明と甲第33発明との組み合わせは、上述した甲第32発明と甲第1発明の組み合わせと同様の上記1)及び2)の理由により、たとえ当業者であっても容易に思い付けるものではない。
したがって、甲第32発明と甲第33発明とを組み合わせることには、阻害要因があり、無効理由2があるとする請求人の主張は失当である。

(3)無効理由3について
請求人は、本件特許発明3と甲第32発明との相違点1に係る構成(「地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定する」構成)に対して、甲第41号証刊行物の記載に基づいて甲第41発明におけるe41の構成を認定する(弁駁書、第42ページ第6行から第8行まで)。
しかしながら、e41の構成(請求人が、相違点1に係る構成と対応するものとした構成)は、甲第41号証刊行物に記載がないばかりか、請求人はその記載を相違点1に係る構成を充足するように拡大解釈している。以下、この点について詳述する。
まず、e41の構成は、「指揮管制局において、電気光学センサーの視線ベクトルに沿って、RPVの現在位置から始めて、テスト点と地形高度との比較を繰り返すことによって、所定の誤差内で目標物の位置を特定し、」である(弁駁書、第42ページ第6行から第8行まで)。
このうち、「テスト点」が何であるかが判然としない。甲第41号証刊行物の記載を参酌してみても、「テスト点」がどのような点であるのかについては明示されておらず、このことから、少なくとも、請求人がe41の構成において認定するような視線ベクトルに沿った「テスト点」は甲第41号証刊行物に開示がない。
むしろ、この「テスト点」は、甲第41号証刊行物中の「Scartometry」アルゴリズムに関する説明に用いられているから(例えば、
「『Scartometry』アルゴリズムは、…テスト点を地形高度と比較することで、所定の誤差内で目標物の現在位置を得ることが可能である。」(甲第41号証刊行物、第6-4ページ左欄第23行から第33行まで)などを参照)、この「Scartometry」アルゴリズム中の「テスト点」と言える。
さらに「Scartometry」は、請求人が弁駁書の第41ページ脚注に記載したように、「着弾点と目標物との間の距離と方位を測定することをいう。先に発射した弾の着弾点の位置を観測して、それと目標物との位置関係を測定することで、次に発射する弾の照準を修正するという射撃法において用いられる。」ものである。この記載から、「テスト点」とは、目標物との位置関係を測定するために、先に発射された弾の着弾点の位置と解釈できる。
また、「Scartometry」アルゴリズムにおける目標物の位置特定にあたっては、着弾点と目標物との間の距離と方位を測定して位置特定するものであるから、高さ情報を用いるものではない。この点については、「目標物の現在位置は、RPVの現在位置と、RPV位置に対する目標物の位置(デルタ北、デルタ東)の和から得られる。」(甲第41号証刊行物、第6-4ページ左欄第13行から第16行まで)との記載からも明らかである。このことから、高さ情報を用いない目標物の位置特定にあたっては、「テスト点」は、単なる着弾点であって、視線上の点ではない。従って、上述したように、請求人がe41の構成において認定した視線ベクトルに沿った「テスト点」は甲第41号証刊行物に開示がない。
また、「テスト点」と地形高度を比較することは甲第41号証刊行物に開示があるものの(甲第41号証刊行物、第6-4ページ左欄第23行から第33行まで)、請求人がe41の構成において認定した「テスト点と地形高度との比較を繰り返す」ことまでは甲第41号証刊行物に開示がない。
それにも関わらず請求人は、甲第41号証刊行物の記載を前提として、「甲第41発明のe41においては、電気光学センサーの視線ベクトルに沿って、テスト点と地形高度…を繰り返して比較することで目標物の位置を所定の誤差内で特定している」などと主張するが(弁駁書、第42ページ第13行から第16行まで)、「テスト点」が視線ベクトル上にない点及び「テスト点」と地形高度を繰り返して比較する点は甲第41号証刊行物に記載がないことは上述の通りである。すなわち、請求人の認定したe41の構成は、甲第41号証刊行物に記載がないにも関わらず拡大解釈されたものであり、その認定には誤りがある。甲第41号証刊行物には、高さの情報を用いない「Scartometry」アルゴリズムを用いた目標物の位置特定が記載されているだけであり、その開示事項は本件特許発明3の備える相違点1の構成(「地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定する」構成)について開示されているものではない。
以上から、請求人は、甲第41発明の認定を誤っており、甲第41号証刊行物には本件特許発明3の備える相違点1の構成は開示がない(当然、甲第32号証刊行物にも相違点1の構成は開示がない)。また、無効理由3における甲第42号証から第49号証までの各刊行物に記載された周知技術は、画像を無線電波を介して外部に伝送することに関するものであり(弁駁書、第19ページ下から9行目から第33ページ下から1行目まで)、本件特許発明3の備える相違点1の構成は開示がない。
従って、無効理由3の甲号各証刊行物には、本件特許発明3の備える相違点1の構成は開示がなく、これらを組み合わせたとしても本件特許発明3を容易に発明することができたものであるとは言えないから、本件特許発明3に無効理由3があるとする請求人の主張は失当である。

2.本件特許発明7
本件特許発明7は、方法の発明である本件特許発明3を装置の発明としたものである。このため、請求人は、本件特許発明3と同じ無効理由1から3までを主張するが(弁駁書、第46ページ第8行)、無効理由1から3までの主張が失当であることについては、本件特許発明3について述べたとおりである(上記1.)。

3.本件特許発明8
本件特許発明8について請求人は、本件特許発明3と同じ無効理由1から3までを主張するが(弁駁書、第46ページ第16行)、無効理由1から3までの主張が失当であることについては、本件特許発明3について述べたとおりである(上記1.)。

4.本件特許発明4
(1)無効理由4について
甲第32発明と甲第1発明とを組み合わせることに阻害要因があることは本件特許発明3について説明したとおりであるから(上記1.(1))、ここでは目標物の位置の表示場所(本件特許発明4における「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」する構成)について検討する。
請求人は、「甲第32号証のCOMEDや甲第15号証の戦術状況ディスプレイ(TSD)のようなマップディスプレイにおいては、自機の位置や目標物等の位置をどのように表示するかは設計事項であり、決まった表示法があるというわけではない。」ことを示し(弁駁書、第52ページ第1行から第4行まで)、さらに甲第50号証から甲第56号証まで及び甲第20号証の各刊行物を例示して「マップディスプレイにおいて、自機中心、目標物中心、それらの中間型、あるいは、ユーザーが表示法を選択し、又は自由に表示場所を指定できるというのが、本件特許の出願当時、既に当業者の周知技術となっていた内容である。よって、甲第32発明においても、どこを中心に地図を表示するかは、適宜設計すればよい程度の事項に過ぎない。」(弁駁書、第65ページ下から5行目から1行目まで)、「甲第32発明において、目標物の位置を二次元地図の中央に位置するように表示することは極めて自然なことであり、当業者が容易に想到できることである。」(弁駁書、第66ページ第5行から第8行まで)、と主張する。
しかしながら、請求人による「目標物の位置」の認定には誤りがあるため、当該主張は失当である。
本件特許発明4は、「撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点」を算出することにより、上記交点を「目標物の位置」として特定するものであるから、本件特許発明4における「目標物の位置」とは、撮影手段によって撮影される対象であって、その位置を、交点算出処理により算出された点の位置として特定したものを意味する(平成24年(ワ)第18038号特許権侵害差止請求事件の判決書、第63ページ第7行から第13行まで)。すなわち、本件特許発明4における「目標物の位置」は、カメラの視線と地表面との交点を算出する処理により特定されるものである。
これに対し、甲第32号証刊行物に記載のCOMEDや甲第15号証刊行物に記載の戦術状況ディスプレイ(TSD)のようなマップディスプレイ、甲第50号証から甲第56号証まで及び甲第20号証の各刊行物に記載のディスプレイに表示されるものは、カメラの視線と地表面との交点を算出する処理により特定された目標物の位置ではない。
すなわち、請求人は「目標物の位置」の意義を誤って解釈しており、甲第32号証、甲第15号証、甲第50号証から甲第56号証まで及び甲第20号証のいずれの刊行物にも、「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」することは開示されていない。
従って、本件特許発明4の交点算出処理により特定した目標物の位置を二次元地図の中央となるように表示することは極めて自然なこととは言えず、当業者が容易に想到できるものではないので、上記無効理由4があるとする請求人の主張は失当である。
なお、請求人は、「特許発明の作用として(つまり、位置特定装置の機能として)中央に表示されているのか、それともオペレーターが手動で目標物が中央になるように表示したのか、あるいは、そもそも偶然に中央にあるだけなのか、全く判然としない。」と主張するが(弁駁書、第51ページ第13行から第16行まで)、訂正した明細書に「ユーザが地図を自由に操作できる」といった記載がない以上、当該構成は本件特許発明4の作用として中央に表示することは明らかである。

(2)無効理由5について
甲第32発明と甲第33発明とを組み合わせることに阻害要因があることは本件特許発明3について説明したとおりである(上記1.(2))。
また、本件特許発明4における「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」する構成が、当業者が容易に想到できるものではないことも上述したとおりである(上記(1))。
したがって、無効理由5があるとする請求人の主張は失当である。

(3)無効理由6について
まず、本件特許発明4と本件特許発明3の共通の構成(「地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定する」構成)が甲第32発明との相違点1であって、この相違点1が甲第41号証刊行物にも開示されていないことは、本件特許発明3について上述したとおりである(上記1.(3))。
また、本件特許発明4における「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」する構成が、当業者が容易に想到できるものではないことも上述したとおりである(上記(1))。
したがって、無効理由6があるとする請求人の主張は失当である。

5.本件特許発明1
無効理由4から6までと無効理由7から9までとは、甲第15号証刊行物が引用されているか否かの違いであり、引用する甲号各証刊行物は全て同じである。このため、上述した本件特許発明4について無効理由4から6までについて述べた点(組み合わせに阻害要因がある点、相違点1に係る構成が開示されていない点及び「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」する構成が当業者が容易に想到できるものではない点)が、本件特許発明1に対する無効理由7から9までについても同様に言えるので、請求人が主張する無効理由7から9までは失当である。

第7 当審の判断
まず、刊行物に記載された事項について検討し、次いで、請求人の主張及び被請求人の反論の順序に従い、本件特許発明3、7、8、4及び1の順に当審の判断を示す。

1.刊行物に記載された事項
甲第1号証、甲第15号証、甲第32号証、甲第33号証及び甲第41号証の各刊行物に記載された事項は、以下のとおりである。

(1)甲第1号証刊行物
ア.甲第1号証刊行物の記載
甲第1号証刊行物には、以下の記載がある。なお、原文の引用の後に、当審で作成した日本語訳を記載する。

(ア)第1ページ第1行から第7行まで
「IMAGE PROCESSING APPARATUS AND METHODS
This invention relates to image processing apparatus and methods.
The invention is more particularly concerned with image
processing apparatus and methods for use in determining the range
and or alternatively the size of an object.」
「画像処理装置及び方法
この発明は、画像処理装置及び方法に関する。
本発明は、より詳しくは、目標物の距離及び又は代わりにサイズを決定するのに用いる画像処理装置及び方法に関する。」

(イ)第1ページ第8行から第22行まで
「Conventional techniques of measuring the range of an object
involve the use of a laser or radar rangefinder. Whilst these can
be accurate, they have the disadvantage the they must be precisely
aimed and can make the presence of the observer apparent. It is
common practice for tanks and military aircraft or vessels to be
equipped with laser and radar detectors so that an alarm is given
when they are under observation by laser or radar radiation. The
detector can be used to direct countermeasures at the laser or radar
source which is used to provide a homing beacon for a missile or the
like.
It would, therefore, be a considerably advantage to be able to
measure the range and size of an object remotely in a passive way
without increasing the risk of detection.」
「目標物の距離を測定する従来技術は、レーザー又はレーダー測距器の使用を含む。これらは正確であり得るが、精密に照準されなければならず、また観測者の存在を明らかにすることがあるという欠点を有している。戦車及び軍用の航空機又は艦船は、レーザー又はレーダー放射によって観測されているときに警告を発するため、レーザー及びレーダー検出器を装備しているのが通常である。当該検出器は、ミサイルなどのためのホーミングビーコンを提供するのに用いられる当該レーザー又はレーダー源への対抗手段を指揮するのに用いられ得る。
従って、検出のリスクを増大させることなく、離れたところから受動的な方法で目標物の距離とサイズを測定できることはかなりの優位となる。」

(ウ)第2ページ第1行から第3行まで
「It is an object of the present invention to provide apparatus and
a method that can be used to overcome the above-mentioned
disadvantages.」
「上述の欠点を克服するために用いられ得る装置及び方法を提供することが本発明の一つの目的である。」

(エ)第2ページ第4行から第16行まで
「According to one aspect of the present invention there is provided
image processing apparatus, including store means arranged to store
topographical mapping information about an area to be viewed, sensor
means arranged to view a part at least of the area in perspective
and to derive information as to the location of an object in the
field of view of the sensor means, means for determining where the
line of sight of the object from the sensor means intercepts the
stored topographical mapping, and the apparatus being arranged to
determine the range of the object from its location relative to a
corresponding part at least of the stored topographical mapping.」
「本発明の一態様によれば、見られる地域に関する地形マッピング情報を記憶するように構成された記憶手段と、当該地域の少なくとも一部を遠近法によって見て、視野内の目標物の位置に関する情報を導き出すように構成されたセンサー手段と、当該センサー手段からの当該目標物の視線が、当該記憶された地形マッピングとどこで交差するかを決定する手段とを含み、当該記憶された地形マッピングの少なくとも対応する部分に関する当該目標物の位置から当該目標物の距離を決定するように構成された画像処理装置が提供される。」

(オ)第2ページ第17行から第3ページ第8行まで
「The apparatus may include object data store means containing
information about the objects in the area to be viewed, means for
comparing an output from the sensor means with the object data
store means to identify an object viewed and to provide an output of
the information in the store means in accordance therewith. The
means for comparing may be arranged to provide an output in respect
of any new object viewed but not present in the data store means.
The information in the object data store means may include
information about the location of objects in the area, the
apparatus including means for providing information in respect of
the location of the sensor means, and the apparatus being arranged
to provide an indication of the range of the identified object by
trignometry calculation from the information about the location of
the object and the location of the sensor.」
「本装置は、見られる地域内の目標物に関する情報を含む目標物データ記憶手段、見られている目標物を特定し、それに一致する当該記憶手段内の情報の出力を提供するために、当該センサー手段からの出力を当該目標物データ記憶手段と比較する手段を含んでもよい。当該比較する手段は、当該データ記憶手段内に存在しないが見られている何らかの新しい目標に関する出力を提供するように構成されてもよい。当該目標物データ記憶手段内の情報は、当該地域内の目標物の位置に関する情報を含んでもよく、本装置は、当該センサー手段の位置に関する情報を提供する手段を含み、そして、本装置は、特定された目標物の位置及び当該センサー手段の位置に関する情報から三角法計算によって当該目標物の距離の指示を提供するように構成される。」

(カ)第5ページ第11行から第18行まで
「The apparatus may include means for receiving aircraft navigation
information, the apparatus being arranged to utilize said aircraft
navigation information in determining the location of the object
relative to the corresponding part at least of the stored mapping
information.
The sensor means may include a television camera and may be
infra-red sensor means.」
「本装置は、航空機航法情報を受け取る手段を含んでもよく、本装置は、記憶されたマッピング情報の少なくとも対応する部分に関する当該目標物の位置を決定するのに当該航空機航法情報を利用するように構成される。
当該センサー手段は、テレビカメラを含んでよく、また赤外線センサー手段であってもよい。」

(キ)第5ページ第19行から第6ページ第4行まで
「According to another aspect of the present invention there is
provided a method of image processing comprising the steps of:
storing topographical mapping information about an area to be
viewed; viewing with sensor means a part at least of the area in
perspective; determining the line of sight of an object in the field
of view; determining where the line of sight intercepts the stored
topographical mapping; and determining the range of the object from
its location relative to a corresponding part at least of the stored
topographical mapping.」
「本発明の他の態様によれば、見られる地域に関する地形マッピング情報を記憶するステップ、当該地域の少なくとも一部をセンサー手段で遠近法によって見るステップ、視野内の目標物の視線を決定するステップ、当該視線が当該記憶された地形マッピングとどこで交差するかを決定するステップ、及び当該記憶された地形マッピングの少なくとも対応する部分に関する当該目標物の位置から当該目標物の距離を決定するステップを含む画像処理方法が提供される。」

(ク)第6ページ第5行から第12行まで
「The method may include the steps of comparing an output from the
sensor means with data about objects in the area to be viewed so as
to identify objects viewed, and providing an output of information
about the identified objects in accordance with said data. The
method may include the steps of providing an output in respect of
any new object viewed but not present in the data.」
「本方法は、当該センサー手段の出力を当該見られる地域内の目標物に関するデータと比較して、見られている目標物を特定するステップ、及び当該データと一致して特定された目標物に関する情報の出力を提供するステップを含んでもよい。本方法は、当該データ中に存在しないが見られている何らかの新たな目標物に関する出力を提供するステップを含んでもよい。」

(ケ)第6ページ第13行から第19行まで
「The stored information preferably includes information about the
location of the objects in the area, information being provided in
respect of the location of the sensor means, and an indication
being provided of the range of the object identified by
trigometrical calculation from the information about the location of
the object and the location of the sensor means.」
「当該記憶された情報は、好ましくは当該地域内の目標物の位置に関する情報を含み、当該センサー手段の位置に関する情報が提供され、そして、当該目標物の位置及び当該センサー手段の位置に関する情報から三角法計算によって特定された当該目標物の距離の指示が提供される。」

(コ)第8ページ第16行から第20行まで
「The sensor means may be mounted on an aircraft and the method
include the step of utilizing aircraft navigation information in
determining the location of the object relative to the corresponding
part at least of the stored mapping information.」
「当該センサー手段は航空機に搭載されてもよく、そして、本方法は、当該記憶されたマッピング情報の少なくとも対応する部分に関する当該目標物の位置を決定するのに航空機航法情報を利用するステップを含む。」

(サ)第10ページ第1行から第8行まで
「With reference first to Figure 1, the aircraft P is represented as
flying at a height H above ground G and at an altitude A above mean
sea level. The ground G is represented as having an uneven surface
or topology. Image processing apparatus on the aircraft P is
directed towards an object 0 on the ground G in front of the
aircraft. The object is at a range R from the aircraft and subtends
an angle θ.」
「まず、図1を参照すると、航空機Pが、地表面Gからの高さH、平均海面からの高度Aで飛行しているように描かれている。地表面Gは、平坦でない表面又はトポロジーを持つように描かれている。航空機P上の画像処理装置は、航空機の前方の地表面の目標物Oに向けられている。目標物は航空機から距離Rにあり、角度θを張っている。」

(シ)第10ページ第9行から第21行まで
「With reference now also to Figure 2, the image processing
apparatus includes an infra-red or other television camera 1 mounted
on the aircraft structure 2 and the viewing angle of which is
controlled by an actuator 3. Control of the viewing angle and
scanning of the camera 1 is effected by a processing unit 4 which
also receives the image output signals from the camera via line 5.
The actuator 3 is driven by a camera drive unit 6 via a mechanical
scan controller 7 and amplifier 8. Feedback is provided from the
actuator 3 via line 9 to the drive unit 6. Electronic scanning is
also controlled by the drive unit 6 via an electronic scan
controller 10 with feedback via line 11.」
「さて、図2も参照すると、画像処理装置は、航空機の構造体2に搭載されてその観測角度がアクチュエーター3によって制御される赤外線その他のテレビカメラ1を含んでいる。カメラ1の観測角度及び走査の制御は、ライン5を通じてカメラからの画像出力信号も受信する処理装置4によって操作される。アクチュエーター3は、機械的走査制御装置7及び増幅器8を経由してカメラ駆動装置6によって駆動される。フィードバックがアクチュエーター3からライン9を経由して駆動装置6に提供される。電子的走査も、ライン11経由のフィードバックを用いて、電子走査制御装置10を経由して駆動装置6によって制御される。」

(ス)第11ページ第1行から第15行まで
「The signals on line 5 are supplied to an image velocity smear
compensator 40 which is controlled by the output of a platform
motion reference system 41. The platform motion reference system 41
also provides an output to a platform motion compensation unit 12
which itself provides an output to the camera drive unit 6 so that
the camera boresight is corrected for movement of the aircraft. The
camera movement controls are of a high resolution and high frequency
and may be mounted, with the camera 1, in a wing-mounted imaging
pod. After velocity smear compensation, the image signals are passed
to an optical error compensation unit 42 which compensates for lens
defects and the like in accordance with data regarding these optical
corrections contained in a store 43.」
「ライン5上の信号は、プラットフォーム運動参照システム41の出力によって制御される画像速度スミア補償器40に供給される。プラットフォーム運動参照システム41はまた、カメラ照準が航空機の動きに応じて補正されるようにそれ自身がカメラ駆動装置6に出力を提供するプラットフォーム運動補償ユニット12に出力を提供する。カメラ動作制御は、高い分解能かつ高い頻度のものであり、カメラ1とともに、翼に取り付けられた撮影ポッド内に搭載されてもよい。速度スミア補償の後、画像信号は、記憶装置43に格納された光学補正に関するデータに従ってレンズ欠陥などの補償を行う光学誤差補償ユニット42に伝達される。」

(セ)第11ページ第16行から第12ページ第11行まで
「Following those two compension steps, the signals are supplied to
unit 44 which acts as an expected objects pre-filter 44. This pre-
filter 44 receives inputs for comparison from object data stores 73,
74 and 75 via an object data store navigator 45. The stores 73, 74
and 75 contain data regarding the appearance of expected objects in
plan, their size and location. The object data store navigator 45
receives information from an aircraft attitude sensor 47, position
sensor 48 and height sensor 49 together with camera boresight
feedback information via line 50 from the camera drive unit 6. The
navigator 45 uses this information to identify the appropriate
locations within the stores 73 to 75 likely to contain data on
objects within the field of view of the camera 1. The attitude
sensor 47 and position sensor 48 could be parts of an inertial
navigation system. This data is supplied to the pre-filter 44 via an
image perspective generator 46 which transforms the data store
information into the same perspective as seen by the camera 1. The
image generator 46 also supplies information about the stored image
in perspective to another store 51.」
「これら二つの補償ステップに続いて、予想目標物プリフィルタ44として動作するユニット44に信号が供給される。このプリフィルタ44は、目標物データ記憶装置73、74及び75から目標物データ記憶装置ナビゲータ45を経由して比較のための入力を受け取る。記憶装置73、74及び75は、計画中に予想される目標物の外観、サイズ及び位置に関するデータを含んでいる。目標物データ記憶装置ナビゲータ45は、航空機姿勢センサー47、位置センサー48及び高度センサー49からの情報を、カメラ駆動装置6からのライン50経由のカメラ照準フィードバック情報とともに受け取る。ナビゲータ45は、この情報を、カメラ1の視野内の目標物についてのデータを含みそうな記憶装置73?75の中の適切な位置を特定するのに用いる。姿勢センサー47及び位置センサー48は、慣性航法装置の一部でもよい。このデータは、データ記憶情報をカメラ1によって見られるのと同じ眺望に変換する画像眺望生成器46を経由してプリフィルタ44に供給される。画像生成器46はまた、記憶された遠近法による画像についての情報を他の記憶装置51に供給する。」

(ソ)第12ページ第12行から第13ページ第3行まで
「After pre-filtering, an image comparator/object detector 52 makes
further comparison of the image information with the perspective
transformed image in the store 51. The detector 52 may employ
conventional pattern recognition and matching techniques well known
in image recognition. Image information about objects identified
with sufficient certainty by the pre-filter 44 can be supplied
directly to the output of the detector 52, via line 53. Information
about a new object, that is, one which is present in the field of
view of the camera 1 but absent from the object data stores 73 to
75, is supplied by the detector 52 to a new object characterizer 54.
The characterizer 54 provides an output via a formatter 55 to a
display 56, or other utilization device, by which information
regarding the characteristics of the new object are presented. This
may indicate the presence of a likely threat to the aircraft because
of its unknown nature.」
「プリフィルタリングの後、画像比較器/目標物検出器52は、画像情報と記憶装置51内の眺望変換画像との更なる比較を行う。検出器52は、画像認識においてよく知られている従来のパターン認識及びマッチング技術を用いてよい。プリフィルタ44により十分な確実性で特定された目標物についての画像情報は、ライン53を経由して検出器52の出力に直接供給されることができる。新しい目標物、即ち、カメラ1の視野内に存在するが目標物データ記憶装置73?75には存在しないものについての情報は、検出器52によって新目標物キャラクライザ54に供給される。キャラクライザ54は、フォーマッタ55を経由して、新しい目標物の特徴に関する情報が提示されるディスプレイ56又はその他の利用デバイスに対して出力を提供する。これは、その未知の性質のゆえに航空機に対する脅威となりそうな存在を指示するであろう。」

(タ)第13ページ第4行から第11行まで
「The detector 52 provides outputs in respect of identified objects
to a trignometric range and size processor 61, an iconometric range
and size processor 62 and a kinematic range processor 63. An output
is also provided to a subtended image extractor 64 which calculates
the angle subtended at the camera 1 by the object viewed and
supplies this information to the processors 61 and 62.」
「検出器52は、特定された目標物に関し、三角法距離サイズ処理装置61、イコノメーター距離サイズ処理装置62、及び運動学的距離処理装置63に出力を提供する。出力はまた、見られている目標物によってカメラ1のところで張られる角度を計算してこの情報を処理装置61及び62に供給する対角画像抽出器64に供給される。」

(チ)第13ページ第12行から第14ページ第8行まで
「The processors 61 and 62 also receive inputs from a topographical
map 70, a pre-loaded intelligence map 71 and a new object and update
map 72 which are associated with respective ones of the object data
stores 73 to 75. The topographical map 70 contains information about
the topography, that is, ground contours and permanent features on
the ground on which is superimposed the information about the
location of other objects which may be more transient. The
intelligence map 71 contains additional information about the
location of objects within the topographical map which may be
gathered and loaded just prior to the flight to bring up to date the
map information. The new object and update map 72 and its associated
data store 75 is supplied with information from external sources
(not shown) such as data links, crew inputs or the new object
characterizer 54. The crew input could, for example, include a
helmet-mounted sight and a speech recognizer so that the sight could
be aimed at a target which is then vocally named by the pilot.
Information about the appearance of the named object would then be
read out of the store 75 for use in subsequent target tracking.」
「処理装置61及び62はまた、目標物データ記憶装置73?75のそれぞれに付属している地形地図70、プリインストールされた諜報地図71及び新目標物アップデート地図72からの入力を受け取る。地形地図70は、地形、即ち、より一時的でもよい他の目標物の位置に関する情報がその上にスーパーインポーズされる、地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報を含んでいる。諜報地図71は、地図情報を最新の状態にするため、飛行直前に収集されロードされてよい地形地図内の目標物の位置に関する追加情報を含んでいる。新目標物アップデート地図72とそれに付属しているデータ記憶装置75は、データリンク、乗員の入力、又は新目標物キャラクライザ54のような(図示されない)外部情報源から情報を供給される。例えば、乗員の入力は、照準を目標物に向けてパイロットが音声で名前を付けることができるように、ヘルメット装着照準装置と音声認識装置とを含むことができる。名前を付けられた目標物の外観に関する情報は、次に、その後の目標物追尾に使用するために記憶装置75から読み出される。」

(ツ)第14ページ第9行から第17行まで
「Each of the maps 70 to 72 provides an output to a search director
unit 80 which directs the camera 1 towards a region most likely to
contain an object of interest. The search director 80 also receives
inputs from the attitude sensor 47, position sensor 48 and height
sensor 49, together with the output from a unit 81 by which new
object search patterns can be defined by the user. The search
director 80 provides an output via line 82 to the camera drive
unit 6.」
「地図70?72の各々は、関心のある目標物を含む可能性が最も高い領域へとカメラ1を向ける探索ディレクターユニット80に出力を提供する。探索ディレクター80はまた、それによってユーザーが新目標物探索パターンを定義できるユニット81からの出力とともに、姿勢センサー47、位置センサー48及び高度センサー49から入力を受け取る。探索ディレクター80は、ライン82を経由してカメラ駆動装置6に出力を提供する。」

(テ)第14ページ第18行から第15ページ第14行まで
「The trigonometric range/size processor 61 receives from the
detector 52 information about the viewing angle of the object, that
is, the camera bore sight alignment, and the present aircraft
position and height. The object is assumed to be at the point where
the boresight intercepts the topography as contained in the map 70.
From this information, the processor 61 calcuates, by trignometry,
the range of the aircraft to the object and supplies this
information to a display of range at 76. If the object subtends a
measurable angle, as determined by the subtended image extractor 64,
the processor 61 calculates trignometrically the size of the object,
from the range information and the subtended angle. The size
information is supplied to a display of size at 77. This information
about range and size can be provided even if the nature of the
object is unknown. It will be appreciated that there is a degree of
ambiguity because the assumption must be made that the object is
located on the ground, whereas this might not be the case. The
processor 61 also provides an output to a position display 78 to
indicate, to the user, the location of the observed object.」
「三角法距離/サイズ処理装置61は、検出器52から、目標物の観測角度、即ちカメラ照準アライメント、及び航空機の現在位置と高度に関する情報を受け取る。目標物は、照準が地図70に含まれる地形と交差する点にあるものと仮定される。この情報から、処理装置61は、三角法によって航空機から目標物までの距離を計算して、76の距離ディスプレイにこの情報を供給する。もし、目標物が、対角画像抽出器64によって決定される測定可能な角度を張っているなら、処理装置61は、距離情報及び張られている角度から三角法によって目標物のサイズを計算する。サイズ情報は、77のサイズディスプレイに供給される。距離とサイズに関するこの情報は、たとえ目標物の性質が不明であっても提供され得る。目標物が地面の上にあるという仮定がなされなければならないが、これは事実でないかも知れないため、ある程度の曖昧さがあることが理解されよう。処理装置61はまた、観測される目標物の位置をユーザーに指示するため、位置ディスプレイ78に出力を提供する。」

イ.甲第1号証刊行物に記載された発明(甲第1発明)
(ア)甲第1号証刊行物には、目標物の距離を決定するのに用いる画像処理方法が記載されている(上記ア.(ア))。上記方法は、地域の一部をセンサー手段で遠近法によって見ることを含む(上記ア.(キ))。このセンサー手段は、具体的には、航空機に搭載されたテレビカメラである(上記ア.(カ)、(コ)及び(シ))。
したがって、甲第1号証刊行物には、航空機に搭載したテレビカメラによって地域の一部を撮影し、目標物の距離を決定する方法が記載されている。

(イ)上記方法は、航空機航法情報を利用することを含む(上記ア.(コ))。この航空機航法情報は、具体的には航空機姿勢センサー、位置センサー及び高度センサーからの情報である(上記ア.(セ)及び(テ))。
また、上記方法は、テレビカメラの観測角度に関する情報を利用することを含む(上記ア.(シ)、(セ)及び(テ))。上記方法で目標物の距離を決定する際、テレビカメラは目標物に向けられる(上記ア.(サ)、(ス)及び(タ))から、この観測角度は、目標物の観測角度である(上記ア.(テ))。
したがって、上記方法は、位置センサー及び高度センサーから航空機の現在位置及び高度に関する情報を受け取ることを含み、また、姿勢センサーから航空機の姿勢に関する情報を、カメラ駆動装置から目標物の観測角度に関する情報を、それぞれ受け取ることを含む。

(ウ)上記方法は、あらかじめ記憶されている地形マッピング情報を利用することを含む(上記ア.(キ))。この地形マッピング情報は、具体的には、地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報の上に、より一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報がスーパーインポーズされた情報を含む地形地図である(上記ア.(チ))。また、目標物は、地面の上にあると仮定される(上記ア.(テ))。
したがって、上記方法は、あらかじめ記憶された地形地図であって、目標物がある地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報並びにより一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報を含む地形地図から情報を読み出すことを含む。

(エ)上記方法は、視野内の目標物の視線が、記憶されている地形マッピングとどこで交差するかを決定することを含む(上記ア.(キ))。すなわち、テレビカメラの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点に目標物があるものとして、目標物の距離を計算する(上記ア.(テ))。
ここで、目標物の距離は、記憶された地形マッピングの対応する部分に関する目標物の位置から決定される(上記ア.(キ))。ところで、この目標物は、テレビカメラの視野内に存在するが事前に知られていない新たな目標物であってもよい(上記ア.(ク)、(ソ)及び(チ))。そのような新たな目標物の位置は当然未知であるから、目標物の距離の決定に先立って、地形地図に関する目標物の位置が決定されることは明らかである。そして、この目標物の位置が位置ディスプレイに出力される(上記ア.(テ))。
したがって、上記方法は、テレビカメラの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点を決定して、地形地図に関する目標物の位置を決定する方法でもある。
また、上記方法は、目標物の位置を位置ディスプレイに表示することを含む。

(オ)以上のことを踏まえて、上記ア.(ア)から(テ)までの記載と図1から3までに示された事項とを総合すると、甲第1発明(甲第1号証刊行物に記載された発明)は、以下のとおりのものである。

「航空機に搭載したテレビカメラによって地域の一部を遠近法によって撮影し、目標物の位置を決定する方法であって、
位置センサー及び高度センサーから航空機の現在位置及び高度に関する情報を受け取り、
姿勢センサーから航空機の姿勢に関する情報を、カメラ駆動装置から目標物の観測角度に関する情報を、それぞれ受け取り、
あらかじめ記憶された地形地図であって、目標物がある地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報並びにより一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報を含む地形地図から情報を読み出し、
テレビカメラの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点を決定して、地形地図に関する目標物の位置を決定し、
目標物の位置を位置ディスプレイに表示する位置決定方法。」

(2)甲第15号証刊行物
ア.甲第15号証刊行物の記載
甲第15号証刊行物には、以下の記載がある。なお、原文の引用の後に、当審で作成した日本語訳を記載する。

(ア)第22ページ第1行から第16行まで
「3. TACTICAL SITUATION DISPLAYS
The basic consideration in formatting tactical situation displays
(TSD) is to reduce the presented information to a quantity that the
pilot can use. The data is organized by heads-down applications to
the aircraft master modes -- navigation, air-to-air, and air-to-
ground -- and head-up applications. The tactical situation displays
employ highly flexible formats. They have to meet the pilot's
functional requirements. They must also supplement the primary
flight displays with appropriate data in a perspective view such as
the graphic or pictorial terrain formats.」
「3.戦術状況ディスプレイ
戦術状況ディスプレイ(TSD)のフォーマットを作るときの基本的な考慮事項は、表示する情報をパイロットが利用できる量にまで減らすことである。航空機のマスターモード(ナビゲーション、空対空、及び空対地)に対するヘッドダウンアプリケーション、並びにヘッドアップアプリケーションによって、データは編成される。戦術状況ディスプレイは、高度に柔軟なフォーマットを採用している。それらは、パイロットの機能的な要求を充足しなければならない。また、それらは、図形的又は絵画的な地形フォーマットのような眺望図中の適切なデータによって、プライマリーフライトディスプレイを補足しなければならない。」

(イ)第22ページ下から5行目から2行目まで
「3.1 MONOCHROME DISPLAYS
3.1.1 Navigation Mode
In the navigation mode the TSD has been decluttered to provide the
pilot with only the pertinent data illustrated in Figure 18.」
「3.1 モノクロディスプレイ
3.1.1 ナビゲーションモード
ナビゲーションモードでは、TSDは、図18に示される、直接関係のあるデータだけをパイロットに提供するように整理されている。」

(ウ)第24ページ第3行から第10行まで
「The items in Figure 18 (a) can be supplemented if selected by
pilot, as shown in Figure 18 (b). In this case other navigation aids
(i.e., railroad tracks, roads and grid information) are furnished.
This declutter capability is particularly important when monochrome
displays are used. When flying at lower altitudes (i.e., 5,000-
20,000 feet) more detail information of the surface is shown and the
scale is increased. As shown in Figure 19, range radius is decreased
from 80 to 20 NM and details of city urban grids are included in
place of the symbol designations used in Figure 18.」
「図18(a)中の項目は、パイロットによって選択されれば、図18(b)に示されるように補足される。この場合、他のナビゲーション支援物(すなわち、鉄道線路、道路及びグリッド線の情報)が提供される。この整理機能は、モノクロディスプレイが使用されるときは特に重要である。もっと低い高度(すなわち、5,000?20,000フィート)で飛行するときは、地表のもっと詳細な情報が示され、縮尺は大きくされる。図19に示されるように、距離半径が80から20海里に減らされ、都市の市街地の碁盤目状街路の詳細が、図18で使用された記号表示の代わりに含まれる。」

(エ)第26ページ第11行から第17行まで
「3.1.3 Air-to-Surface Mode
The air-to-surface mode is very similar to the navigation mode. In
Figure 21 the conditions for an altitude between 5,000-20,000 feet
are illustrated. The basic display is similar to the navigation
display. The major addition is flight track, sensor line-of-sight,
sensor footprint, and surface threats. Also indicated are primary
and alternate targets. The data can be expanded as shown in Figure
21 (b). This is similar to the expanded data when in the navigation
mode.」
「3.1.3 空対地モード
空対地モードは、ナビゲーションモードによく似ている。図21では、5,000?20,000フィートの間の高度のときの状況が示されている。基本的な表示は、ナビゲーションディスプレイに似ている。主要な追加事項は、航跡、センサの視線、センサのフットプリント、及び地上の脅威である。第一目標と代替目標も示される。データは図21(b)に示されているように拡張できる。これはナビゲーションモードの時の拡張されたデータに似ている。」

(オ)第27ページ第1行から第7行まで
「Figure 22 illustrates some alternative formats that highlight
conditions in the target area. They can be used to "spotlight" the
target by expanding detail within the target area. They can also
show the general peripheral condition in the whole map region and
supplement that with an illustration of the target to assist the
pilot in identifying it. Sensor footprint and line-of-sight to the
aircraft symbol are retained so that the pilot can readily correlate
the TSD with sensor displays which would also be available to him.」
「図22は目標領域の状況を強調する他のフォーマットを示す。それらは、目標領域内の詳細を拡大することにより、目標に「スポットライトを当てる」ことに用いることができる。それらはまた、全体の地図領域の一般的な周辺状況を示すことができ、また、パイロットが目標を特定するのを援助するために目標のイラストを追加することができる。パイロットが使用可能であろうセンサディスプレイを戦術状況ディスプレイと容易に関係づけることができるように、センサのフットプリントと航空機記号への視線が保持される。」

(カ)第27ページ第8行から第14行まで
「The air-to-ground mode for very low altitudes (under 5000 feet) is
illustrated in Figure 23. The map scale is very large, typically on
the order of 1:25,000. More detailed pictorial symbology can be
readily inserted on such a map to assist the pilot in finding
features such as bridges, or obstacles such as transmission towers
and radio transmitting towers. Pictorial symbology is best suited to
features, e.g., gas stations and dams, and can also be used with
more conventional topographical map symbology such as schools or
cemeteries.」
「非常に低空(5000フィート以下)での空対地モードは図23に示されている。地図の縮尺は非常に大きく、典型的には25,000分の1の桁である。そのような地図上には、パイロットが橋のような特徴物、あるいは通信塔やラジオ送信塔のような障害物を発見するのを援助するため、より詳細な絵画的記号体系が容易に挿入され得る。絵画的記号体系は、ガソリンスタンドやダムのような特徴物に最も適しており、また、学校や墓地のような、より伝統的な図形的地図記号体系と共に用いることもできる。」

イ.甲第15号証刊行物に記載された発明(甲第15発明)
(ア)甲第15号証刊行物には、高度5千ないし2万フィートを空対地モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイに、センサの視線、センサのフットプリント、第一目標及び代替目標を表示することが記載されている(上記ア.(エ)及び図21)。戦術状況ディスプレイには二次元地図が表示され、センサの視線等がその二次元地図に重ねて表示されることは、図21から明らかである。

(イ)図19は、同じ高度(5千ないし2万フィート)をナビゲーションモードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例である(上記ア.(イ)及び(ウ))。同図から明らかなように、戦術状況ディスプレイには、やはり二次元地図が表示されている。
図18は、同じくナビゲーションモードではあるが、2万フィートを超える高度を飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例である(上記ア.(イ)及び(ウ))。戦術状況ディスプレイには、やはり二次元地図が表示されている。

(ウ)ここで、図18(b)を詳しく見ると(請求人が提出した口頭審理陳述要領書、第3ページの拡大図参照)、二次元地図の中央やや左上に、不鮮明ではあるが、枠で囲まれたST LOUISという地名の記載が認められる。このことから、この二次元地図は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス市周辺の地図であることがうかがえる。そこで、この二次元地図を、同市周辺の地図(請求人が提出した参考資料1-1及び1-2)と照合すると、ST LOUISに加えて、以下に列挙する地名等の記載が認められる。

LAMBERT ST LOUIS(ランバートセントルイス国際空港)
SPIRIT OF ST LOUIS(スピリットオブセントルイス空港)
CIVIC(シビックメモリアル空港(現セントルイスリージョナル空港))
GREENVILLE
SCOTT(スコット空軍基地)
CENTRALIA
BI STATE(バイステート空港(現セントルイスダウンタウン空港))
BELLEVILLE
SOUTHERN ILLIOIS(サザンイリノイ空港)
PERRYVILLE
FARMINGTON
CAPE GIRARDEAU
COLUMBIA REGIONAL(コロンビアリージョナル空港)
ROLLA
FORNEY
BUCKHORN

同様に、図18(a)の二次元地図(請求人が提出した口頭審理陳述要領書、第5ページの拡大図参照)には、LAMBERT ST LOUIS、SPIRIT OF ST
LOUIS、CIVIC、GREENVILLE、BI STATE、SOUTHERN ILLINOIS、CAPE
GIRARDEAUなどの地名等の記載が認められる。
また、図19の二次元地図(同、第6ページの拡大図参照)には、
EDMUNDSONという地名の記載が認められる。
さらに、図21(a)の二次元地図(同、第7ページの拡大図参照)には、SPIRIT OF ST LOUIS、CREVE COEUR、EDMUNDSON、WEISS、MODERS、JACOBといった地名等の記載が認められる。

(エ)上述のとおり、図21(a)に示された二次元地図には地名等が記載されているから、高度5千ないし2万フィートを空対地モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイには、二次元地図が表示され、その二次元地図に重ねてセンサの視線、センサのフットプリント、第一目標及び代替目標が表示される(上記(ア))だけでなく、その二次元地図には、地名等が明示されていると認められる。
また、空対地モードの基本的表示は、ナビゲーションモードに似ており、航跡、センサの視線、センサのフットプリント、地上の脅威、第一目標及び代替目標が追加されている点でナビゲーションモードと異なる(上記ア.(エ))のであるから、ナビゲーションモード(図18及び19)で表示される二次元地図に地名等が記載されていることも、空対地モード(図21)で表示される二次元地図に地名等が明示されていることを示唆している。

(オ)図23は、図21と同様、空対地モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例であり(上記ア.(カ))、やはり二次元地図が表示されている。そして、図23に付された説明によれば、その二次元地図に重ねて表示された台形の領域は、センサのフットプリントである。また、その台形の領域の中心と、二次元地図の中心(自機の位置)とを結ぶ直線が表示されており、これがセンサの視線を表すことは、明らかである。
同じ記号は、図22にも現れるが、同図に示されているのも、空対地モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例であり、センサのフットプリント及びセンサの視線の表示を含む(上記ア.(オ))。二次元地図が表示されていることは、他の例と同様である。
以上のことを踏まえると、図21に例示された戦術状況ディスプレイの表示においても、二次元地図の右上部分に重ねて表示された台形の領域(二重丸◎とも重なっている領域)がセンサのフットプリントを表し、その台形の領域の中心(二重丸◎の中心)と二次元地図の中心(自機の位置)とを結ぶ直線がセンサの視線を表していると認められる。

(カ)図21は、高度5千ないし2万フィートを空対地モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例である(上記ア.(エ))。一方、図19は、同じ高度をナビゲーションモードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例である(上記ア.(イ)及び(ウ))。
空対地モードの基本的表示は、ナビゲーションモードに似ており、航跡、センサの視線、センサのフットプリント、地上の脅威、第一目標及び代替目標が追加されている点でナビゲーションモードと異なる(上記ア.(エ))。
図21と図19とを比較すると、航跡がいずれの図にも表示されているように見える点で、上記ア.(エ)の記載と食い違いがあるものの、図21において、二次元地図の左上部分及び右上部分にそれぞれ表示された二重丸◎が、第一目標及び代替目標を表していることは、容易に認めることができる。このことは、空対空モードで飛行する航空機の戦術状況ディスプレイの表示の例(図20)において、目標が二重丸◎によって表されていることからも推測することができる。

(キ)センサの視線及びセンサのフットプリントは、パイロットが利用可能なセンサディスプレイと戦術状況ディスプレイとを関係付けることを可能にするために表示される(上記ア.(オ))。
センサディスプレイは、明らかに、センサが収集した情報を表示するためのものであり、また、パイロットが利用できる以上、航空機に搭載されていることも明らかである。したがって、センサも、航空機に搭載されていると認められる。
また、「フットプリント」は、「衛星の送信機又はセンサの視野の中にある地表面の領域」の意味である(甲第34号証刊行物)から、センサは、その視野の中にある地表面の領域から情報を収集するものであると認められる。

(ク)以上のことを踏まえて、上記ア.(ア)から(カ)までの記載と図18、19及び21から23までに示された事項とを総合すると、甲第15発明(甲第15号証刊行物に記載された発明)は、以下のとおりのものである。

「航空機に搭載されたセンサで、当該センサの視野の中にある地表面の領域から情報を収集し、
前記航空機に搭載された戦術状況ディスプレイに、地名等が明示されている二次元地図と、前記センサの視線、前記センサのフットプリント及び目標とを重ねて表示する方法。」

(3)甲第32号証刊行物
ア.甲第32号証刊行物の記載
甲第32号証刊行物には、以下の記載がある。なお、原文の引用の後に、当審で作成した日本語訳を記載する。

(ア)第1-1ページ本文第1行から第10行まで
「SUMMARY
A principal role for small military RPVs now and in the
foreseeable future is to enhance the effectiveness of other weapon
systems, in particular those capable of delivering munitions against
distant targets. The requirement is for a 'force multiplier' which
can be used to increase weapon effectiveness and weaken the
offensive and defensive capability of the enemy.
The intention of this paper is to give the non-specialist an
appreciation of how RPV System design and configuration are
influenced by a requirement to act as a force multiplier. The
approach adopted is to concentrate initially on the target
acquisition role and show how mission requirements impinge on every
level of RPV system design. The discussion is then generalised to
other weapon support roles and finally to the implications of a
multiple-role capability on RPV system equipments and operation.」
「要約
現在及び予見可能な未来における小型の軍事用RPV(訳注:Remotely Piloted Vehicle、遠隔操縦機)の基本的役割は、他の兵器システムの有効性、特に遠距離の目標物に弾薬を投射する能力を高めることである。要求事項は、兵器の有効性を増大させ、敵の攻撃及び防御能力を弱めるために用いられる「戦力を高めるもの」のためのものである。
本論文の意図は、非専門家に対して、戦力を高めるものとして機能するための要求事項によってRPVシステムのデザイン及び構成がどのように影響を受けるのかについての理解を提供することである。採用されたアプローチは、最初は目標物捕捉の役割に焦点を当て、ミッション要求がRPVシステムデザインのあらゆるレベルにどのように影響を及ぼすかを示す。その後、議論は他の兵器支援の任務に一般化され、最終的には、RPVシステムの装備及び運用における多用途能力の示唆に及ぶ。」

(イ)第1-1ページ下から8行目から3行目まで
「2.1 Requirements
The target acquisition role is performed to provide target
classification and position data for indirect fire weapon systems,
such as artillery or MLRS. Accurate data must be supplied in near
real time and, if moving targets are to be engaged, information
concerning their speed and direction of travel must be passed to the
weapon system. During an engagement the RPV may correct weapon fall
of shot and thereafter assess damage.」
「2.1 要求事項
目標物捕捉ミッションは、大砲やMLRS(訳注:Multiple Launch
Rocket System、多連装ロケットシステム)のような間接照準兵器システム(訳注:発射地点から直視できない目標を攻撃するシステム)のために、目標の類別と位置データを提供するために実行される。精密なデータがほぼリアルタイムで供給されなければならず、また、もし移動する目標物を攻撃するなら、それらの速度と進行方向に関する情報が兵器システムに伝えられなければならない。攻撃中、RPVは兵器の着弾点を修正し、その後は損害の評価を行うことができる。」

(ウ)第1-1ページ下から2行目から第1-2ページ第27行まで
「2.2 Outline Target Acquisition Mission
The following paragraphs provide a simple outline of a target
acquisition mission.
(a) Mission Definition
…(略)…
(b) Mission Planning
…(略)…
(c) RPV Launch
…(略)…
(d) Transit
…(略)…
(e) Target Acquisition
When a task area is reached, the electro-optic sensor is used for
target search, detection and recognition. The RPV may continue to
follow the planned route or it may be controlled manually.
(f) Target Location
When a target is recognised it is marked on the sensor display.
Its position is determined from current RPV location and height, RPV
attitude, sensor pointing angles and local terrain height.
Recognisable map features may also be used to locate targets.
(g) Target Reporting
Target reports are made in near real-time using ground
communications equipments specified by the user. Where delays must
be minirnised direct transmission of digital data is desirable.」
「2.2 目標物捕捉ミッションの概要
以下の段落は、目標物捕捉ミッションの簡単な概要を提供する。
(a)ミッション定義
…(略)…
(b)ミッション計画立案
…(略)…
(c)RPVの打ち上げ
…(略)…
(d)航行
…(略)…
(e)目標物の捕捉
タスク領域に到達すると、電気光学センサーが目標物の探索、検出及び認識に用いられる。RPVは計画されたルートを引き続き辿ってもよいし、手動で制御されてもよい。
(f)目標物の位置特定
目標物が認識されると、センサーディスプレイ上で印を付けられる。その位置は、現在のRPVの位置及び高度、RPVの姿勢、センサーの指向角度、及び局地的な地形高度から決定される。認識可能な地図の特徴物も、目標物の位置特定に用いられる。
(g)目標物の報告
目標物の報告は、ユーザーが指定した地上の通信設備を用いて、ほぼリアルタイムでなされる。遅延を最小化しなければならない場合には、デジタルデータの直接送信が望ましい。」

(エ)第1-2ページ第31行から第40行まで
「3.1 The System
An RPV system configured by Ferranti for roles that include target
acquisition is shown in Figure 3.1 and comprises the following
equipments:-
- Thermal Imaging Payload
- Air Vehicle
- Ground Control Station
- Launch Vehicle
- Secure Data Link System
- Maintenance Facility
- Troop Command Post」
「3.1 システム
目標物捕捉を含む任務のためにフェランティ社が設計したRPVシステムが図3.1に示されており、次の装備を含む:-
・熱映像撮影ペイロード
・航空機
・地上管制局
・打ち上げ車両
・秘匿データリンクシステム
・メンテナンス施設
・部隊指揮所」

(オ)第1-3ページ第1行から第9行まで
「3.3 The Ground Control Station
The Ground Control Station is configured in a container, as shown
in Figure 3.3. The Ground Control Station provides facilities for:-
- compiling tasks into detailed mission plans
- programming and controlling RPVs via a secure data link
- updating mission plans while the RPV is in flight
- reception, display, control and recording of sensor imagery
- location of targets
- reporting task results to the user organisation.」
「3.3 地上管制局
地上管制局は、図3.3に示すようにコンテナの中に配置される。地上管制局は、次のための設備を提供する:-
・タスクを詳細なミッション計画にまとめること
・秘匿データリンクを介してRPVをプログラミングし、制御すること
・PRVの飛行中にミッション計画をアップデートすること
・センサー映像の受信、表示、制御及び記録
・目標物の位置特定
・タスク結果をユーザー機関に報告すること」

(カ)第1-3ページ第13行から第22行まで
「3.5 The Data Link System
…(略)…
The Data Link System comprises three terminals. The Ground Data
Terminal serves the Ground Control Station, but is sited remotely
from it as a survivability measure, as shown in Figure 3.1. In
addition to transmitting and receiving data, it measures bearing
angle and line-of-sight range to the RPV, which are used in the
Ground Control Station to determine RPV position.」
「3.5 データリンクシステム
…(略)…
データリンクシステムは、三つの端末からなる。地上データ端末は、地上管制局を受け持つが、図3.1に示されているように、生き残り策としてそれから離れて設置される。地上データ端末は、データを送受信するだけでなく、RPVへの方位角と視線距離を測定し、それらが地上管制局においてRPVの位置を決定するのに用いられる。」

(キ)第1-4ページ下から7行目から最終行まで
「4.2.2 Mission Execution Requirements
(a) Sensor Field of View
Variation of ground coverage and image orientation presented to
the Ground Control Station operator can lead directly to loss of
sense of position and direction.
It must be possible to directly relate the position and track of
the RPV, and the area covered by the displayed imagery, to the local
terrain. This may be achieved by a moving map display with graphical
overlay facilities.」
「4.2.2 ミッション実行の要求事項
(a)センサー視野
地上管制局のオペレーターに提供される地面のカバー範囲及び映像の向きの変化は、位置と方向の感覚の喪失に直接つながる。
RPVの位置と航跡、及び、表示された映像によってカバーされた地域を局地的な地形に直接関連付けることが可能でなければならない。これは、図形のオーバレイ設備を有するムービングマップディスプレイによって達成されるであろう。」

(ク)第1-5ページ第32行から第46行まで
「4.2.4 Ground Control Station Design
The Ground Control Station is based around a three-man console,
with a layout as shown in Figure 3.3. The three operators are:-
- A Mission Controller, responsible for compiling tasks into
missions, keeping mission plans current, RPV flight control
and task reporting
- A Payload Controller, responsible for handling the mission
payload, for the detection of targets, and for their
classification and location
- An Analyst, specialising in detailed examination of imagery in
support of the Payload Controller.
Each operator is provided with a TV monitor and a lightpen for
interaction with a compact but powerful computer system, which
provides easy to use menu selection facilities for mission planning
and execution. The Payload Controller's and Analyst's monitors
display real time video imagery, and the light pens are used to mark
and describe targets. The Analyst has a frame freeze option for
extended observation of targets. The Mission Controller and the
Payload Controller have joysticks for RPV control and sensor
steering respectively.」
「4.2.4 地上管制局のデザイン
地上管制局の基礎は、図3.3に示されるレイアウトで三人用制御卓を取り巻くように形成される。三人のオペレーターは、以下のとおりである。
・ミッション制御担当者:タスクのミッションへのとりまとめ、ミッシ
ョン計画を最新に維持すること、RPV飛行制御、タスク報告を担当
・ペイロード制御担当者:ミッションペイロードの取り扱い、目標物の
検出、目標物の分類及び位置特定を担当
・分析担当者:ペイロード制御担当者を支援して、映像の詳細調査を専
門に担当
それぞれのオペレーターには、小型だが強力なコンピュータシステムとのやりとりのために、TVモニター及びライトペンが用意されており、コンピュータシステムは、ミッション計画及び実行のための使いやすいメニュー選択設備を提供する。ペイロード制御担当者及び分析担当者のモニターは、リアルタイムビデオ映像を表示し、ライトペンは、目標物に印を付けたり、目標物を描いたりするのに使われる。分析担当者は、目標物の長期観察のためのフレーム凍結オプションを有する。ミッション制御担当者及びペイロード制御担当者は、それぞれRPV制御及びセンサー操縦のためのジョイスティックを有する。」

(ケ)第1-5ページ第47行から第56行まで
「Between the Mission Controller and the Payload Controller
workstations shown in Figure 4.1, is a Ferranti Combined Map and
Electronics Display (COMED), which mixes high resolution map imagery
with computer alphanumerics and graphics, as shown in Figure 4.2.
This provides a focal point for mission planning and execution,
since it can display the entire mission route or the area around the
air vehicle at a considerably larger scale. At this scale the map
moves in response to RPV motion, the planned route is shown and in
task areas the sensor footprint on the ground is drawn to scale.
This facility, combined with the display of natural looking horizon-
up imagery, allows the ground features and targets to be related on
the map, aiding both navigation and target location.
Facilities also include a digital terrain data base, ground
communications equipment and environmental protection.」
「図4.1に示されているミッション制御及びペイロード制御のワークステーションの間には、フェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)があり、それは、図4.2に示すように、高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせる。これは、ミッションルート全体又は航空機の周辺地域を相当に大きなスケールで表示できるから、ミッション計画作成及び実行のための焦点を提供する。このスケールで地図はRPVの動きに反応して動いて、計画されたルートが示され、そしてタスク領域では、地面の上のセンサーのフットプリントが正しい縮尺で描かれる。この設備は、自然に見えるように地平線を上にする映像表示と組み合わされて、地上の特徴及び目標物を地図に関連付けることを可能にして、ナビゲーションと目標物の位置特定の双方の助けとなる。
設備には、デジタル地形データベース、地上通信機器、及び環境防護も含まれている。」

(コ)第1-6ページ第10行から第17行まで
「(c) Mission Execution
This function contains a number of sub-tasks which include:
- monitoring and display of RPV and mission status
- a simple interface for operator control of the sensor and RPV
- computation of RPV position for navigation updates, including
map transformations
- target location from sensor pointing angles, RPV attitudes and
RPV and Ground Data Terminal positions
- control of the Ground Data Terminal control.」
「(c)ミッション実行
この機能は、以下を含む数多くのサブタスクを含む:
・RPVとミッション状況のモニタリング及び表示
・センサーとRPVのオペレーター制御のための単純なインターフェー

・地図の変化を含む、ナビゲーションのアップデートのためのRPVの
位置計算
・センサーの指向角度、RPVの姿勢、及びRPVと地上データ端末の
位置からの目標物の位置特定
・地上データ端末制御の管制」

(サ)第1-6ページ第18行から第20行まで
「(d) Mission Reporting
This function displays on COMED objects marked by the operators
using their light pens. It compiles lists of these objects and
condensed reports, then formats them for onward transmission.」
「(d)ミッション報告
この機能は、オペレーターがライトペンを用いて印を付けた対象物をCOMED上に表示する。それは、対象物のリストをまとめ、レポートを要約し、以後の送信のためにそれらをフォーマットする。」

(シ)第1-6ページ下から10行目から8行目まで
「(d) Target Location
The sensor pointing angles must be measured accurately for the
computation of target location relative to the RPV.」
「(d)目標物の位置特定
センサーの指向角度は、RPVに対する目標物の位置計算のために、精密に測定されなければならない。」

イ.甲第32号証刊行物に記載された発明(甲第32発明)
(ア)甲第32号証刊行物には、遠隔操縦機を含むシステムが記載されている(上記ア.(ア))。

(イ)遠隔操縦機には、目標物を探索、検出及び認識するための電気光学センサーが搭載されている(上記ア.(ウ))。一方、ペイロード制御担当者及び分析担当者は、TVモニターに表示されたリアルタイムビデオ映像で目標物を観察する(上記ア.(ク))。したがって、電気光学センサーは、目標物を撮影する装置である。

(ウ)目標物は、遠距離にあって弾薬が投射される対象であり、また、大砲や多連装ロケットシステムのような間接照準兵器システムによる攻撃の対象である(上記ア.(ア)及び(イ))。したがって、目標物は、地表面にあると認められる。

(エ)地上データ端末は、遠隔操縦機への方位角と視線距離を測定し、地上管制局は、それらを用いて遠隔操縦機の位置を決定する(上記ア.(カ))。遠隔操縦機への方位角及び視線距離に基づいている以上、ここで決定されるのは、明らかに、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置である。そして、目標物の位置は、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、遠隔操縦機の姿勢、遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、地上データ端末の位置、及び局所的な地形高度から計算される(上記ア.(ウ)、(コ)及び(シ))。

(オ)図形のオーバレイ設備を有するムービングマップディスプレイによって、遠隔操縦機の位置及び航跡、並びに表示された映像によってカバーされた地域が、局地的な地形に直接関連付けられる(上記ア.(キ))。このことが、「センサー視野」という表題の下に記載されていることから、映像によってカバーされた地域とは、具体的には、目標物を撮影する装置である電気光学センサーの視野であると認められる。

(カ)ムービングマップディスプレイは、具体的には、高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせて表示するフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)であり、地上管制局に設置される。COMEDは、目標物を地図に関連付けることにより、目標物の位置特定を助ける(上記ア.(ケ))。
ところで、目標物は、認識されると、センサーディスプレイ上で印を付けられる(上記ア.(ウ))。ここで、ペイロード制御担当者及び分析担当者のそれぞれには、リアルタイムビデオ映像を表示するTVモニターと目標物に印を付けるためのライトペンとが用意されているから(上記ア.(ク))、認識された目標物は、センサーディスプレイとしてのTVモニター上で印を付けられると認められる。そして、印を付けられた目標物は、ミッション実行機能により位置が特定された後、ミッション報告機能によりCOMED上に表示される(上記ア.(コ)及び(サ))。
以上のことは、目標物の位置データを提供するために実行される目標物捕捉ミッション(上記ア.(イ))における目標物の捕捉、目標物の位置特定及び目標物の報告(上記ア.(ウ))に対応すると認められる。特に、印を付けられた目標物をCOMED上に表示することは、目標物の報告に対応し、それによって、目標物の位置データを提供するという目標物捕捉ミッションの目的が達成されるのであるから、COMED上に表示されるのは、目標物の位置であると認められる。
そうすると、COMEDが目標物を地図に関連付ける(上記ア.(ケ))とは、具体的には、目標物の位置を地図上に表示することである。

(キ)COMEDには、地面の上の電気光学センサーのフットプリントも表示される(上記ア.(ケ))。

(ク)地上管制局の施設には、デジタル地形データベースが含まれている(上記ア.(ケ))。

(ケ)地上管制局は、ユーザー機関に対して、ユーザーが指定した地上の通信設備を用いてデジタルデータを直接送信し、ほぼリアルタイムで目標物の報告を行う(上記ア.(ウ)及び(オ))。遠隔操縦機を含むシステムは、目標物を攻撃する間接照準兵器システムに位置データを提供することを目的としており、遠隔操縦機は、攻撃中は兵器の着弾点を修正し、攻撃後は損害の評価を行う(上記ア.(イ))。したがって、目標物の報告は、その内容として、目標物の位置データを含む。

(コ)以上のことを踏まえて、上記ア.(ア)から(シ)までの記載と図3.1から3.3までに示された事項とを総合すると、甲第32発明(甲第32号証刊行物に記載された発明)は、以下のとおりのものである。

「遠隔操縦機に搭載した電気光学センサーによって地表面にある目標物を撮影し、目標物の位置を決定する方法であって、
地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算し、
デジタル地形データベースを備えた地上管制局に設置された、高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせて表示するフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)により、目標物を地図上に表示するとともに、電気光学センサーのフットプリントを表示し、
目標物の位置データを含む目標物の報告を、地上の通信設備を用いてユーザー機関にほぼリアルタイムで行う方法。」

(4)甲第33号証刊行物
ア.甲第33号証刊行物の記載
甲第33号証刊行物には、以下の記載がある。なお、原文の引用の後に、当審で作成した日本語訳を記載する。冒頭に列挙したのは、引用した原文中で説明されていない略語の意味とその日本語訳であり、甲第33号証刊行物における記載箇所をかっこ内に示す。

・AFTI Advanced Fighter Technology Integration
先進戦闘機技術統合(第62-1ページ第2行)
・CAS Close Air Support
近接航空支援(同ページ第3行)
・AMAS Automated Maneuvering Attack System
自動操縦攻撃システム(同ページ下から11行目)
・DTMDS Digital Terrain Management and Display System
デジタル地形管理表示システム(同ページ下から4行目)
・SITAN Sandia Inertial Terrain-aided Navigation
サンディア社慣性地形支援航法(第62-2ページ第2行)

(ア)第62-3ページ第18行から第26行まで
「SYSTEM DESCRIPTION
The integrated digital avionics suite being developed on the
AFTI/F-16 is currently being configured to support the CAS mission
described in the last section. A key component in this design is the
terrain data base and its associated functions. The block diagram of
the terrain referenced navigation and passive ranging techniques, as
they are mechanized for target acquisition and weapons delivery, is
shown in Figure 2. The major components of this system are outlined
in dashed lines and are the DTMDS, fire control computer (FCC) and
the aircraft displays, as well as the Automatic Target Handoff
System (ATHS). The DTMDS provides the terrain elevation data
required for both the SITAN terrain referenced navigation and the
terrain-aided passive estimation (TAPE) which provides the passive
target ranging and position location functions.」
「システム記述
AFTI/F-16上で開発されている統合デジタルアビオニクス群は、現在、最後の章で記述されるCASミッションを支援するために構成されている。このデザインにおいて鍵となるコンポーネントは地形データベースとそれに付随する機能である。地形参照航法とパッシブ測距技術のブロックダイアグラムが、目標物捕捉と兵器発射のために機械化された態様で、図2に示されている。このシステムの主要なコンポーネントは点線で囲まれたDTMDS、火器管制コンピュータ(FCC)及び航空機ディスプレイであり、自動目標引渡システム(ATHS)もまたそうである。DTMDSは、SITAN地形参照航法と、パッシブ目標物測距及び位置特定機能を提供する地形支援パッシブ推定(TAPE)の双方に要求される地形高度データを提供する。」

(イ)第62-4ページ第10行から第17行まで
「The target cueing commands are presented to the pilot via the
aircraft display systems. Target cues are presented on both the
heads-up display (HUD) and the helmet mounted sight (HMS). Target
locations are also placed on the map-based tactical situation
display (TSD). The TSD background is provided by the DTMDS and
consists of a variety of display formats (Reference 2) generated
from Defense Mapping Agency (DMA) Digital Landmass (DLMS) data. This
data base consists of digital terrain elevation data (DTED) and
digital feature analysis data (DFAD). This data is augmented by
various DTMDS symbol generator overlays denoting the aircraft,
target and friendlies positions, flight path and waypoints, and both
the expected aircraft and weapon paths from the AMAS calculations.」
「目標物を指示するコマンドは、航空機ディスプレイシステムを介してパイロットに提供される。目標物の指示は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)及びヘルメット装着照準装置(HMS)の双方で提供される。目標物の位置はまた、地図に基づく戦術状況ディスプレイ(TSD)にも表示される。TSDの背景はDTMDSによって提供され、防衛マッピング局(DMA)のデジタルランドマス(DLMS)データから生成される様々なディスプレイ形式(参考文献2)からなる。このデータベースは、デジタル地形高度データ(DTED)とデジタル特徴分析データ(DFAD)からなる。このデータは、航空機、目標物、及び友軍の位置、航路及びウェイポイント、並びにAMASの計算による予想される航空機と兵器の針路の双方を示す様々なDTMDS記号生成オーバレイによって増大する。」

(ウ)第62-6ページ下から12行目から9行目まで
「TERRAIN-AIDED PASSIVE ESTIMATION FOR TARGET ACQUISITION
The terrain elevation data base provided by the DTMDS will be used
in the CAS target acquisition and weapon delivery applications with
line-of-sight (LOS) angles provided by passive sensors to calculate
range-to-target and target geodetic location.」
「目標捕捉のための地形支援パッシブ推定
CASの目標捕捉及び兵器発射アプリケーションにおいては、目標物までの距離と目標物の測地位置を計算するために、パッシブセンサによって提供される視線(LOS)角度とともにDTMDSによって提供される地形高度データベースが用いられる。」

(エ)第62-7ページ第1行から第3行まで
「The terrain-aided passive estimation (TAPE) function (Reference
11) projects the LOS vector into the terrain data base as shown in
Figure 6, with multiple measurements being combined in a three-state
extended Kalman filter.」
「地形支援パッシブ推定(TAPE)機能(参考文献11)は、図6に示すように視線ベクトルを地形データベースに投射し、複数の測定値を三状態拡張カルマンフィルタで組み合わせる。」

(オ)第62-7ページ第6行から第8行まで
「This solution is a unique application of Kalman filtering to
passive ranging in that it uses target range, found from the
intersection of the LOS vector with the digital terrain data, as a
new measurement quantity for the filter.」
「この解決法は、視線ベクトルとデジタル地形データとの交点から知られる目標物の距離をフィルタのための新しい測定量として用いる点で、カルマンフィルタのパッシブ測距へのユニークな応用である。」

イ.甲第33号証刊行物に記載された発明(甲第33発明)
(ア)甲第33号証刊行物には、F-16戦闘機において、パッシブ目標物測距及び位置特定機能を提供する、地形支援パッシブ推定が記載されている(上記ア.(ア))。

(イ)目標物までの距離及び目標物の測地位置は、パッシブセンサによって提供される視線角度と、デジタル地形管理表示システムによって提供される地形高度データベースとを用いて計算される(上記ア.(ウ))。具体的には、図6に示すように、パッシブセンサの視線ベクトルを地形データベースに投射し、視線ベクトルと地形データとの交点から目標物の距離を得る(上記ア.(エ)及び(オ))。

(ウ)目標物の位置は、地図に基づく戦術状況ディスプレイに表示される(上記ア.(イ))。

(エ)以上のことを踏まえて、上記ア.(ア)から(オ)までの記載と図6に示された事項とを総合すると、甲第33発明(甲第33号証に記載された発明)は、以下のとおりのものである。

「F-16戦闘機に搭載されたパッシブセンサの視線角度と、デジタル地形管理表示システムによって提供される地形高度データベースとを用いて、パッシブセンサの視線ベクトルを地形高度データベースに投射し、視線ベクトルと地形高度データとの交点から目標物の距離を得るとともに、目標物の位置を地図に基づく戦術状況ディスプレイに表示する方法。」

(5)甲第41号証刊行物
ア.甲第41号証刊行物の記載
甲第41号証刊行物には、以下の記載がある。なお、原文の引用の後に、当審で作成した日本語訳を記載する。
なお、「Scartometry」とは、着弾点と目標物との間の距離と方位を測定することをいう。先に発射した弾の着弾点の位置を観測して、それと目標物との位置関係を測定することで、次に発射する弾の照準を修正するという射撃法において用いられる。

(ア)第6-1ページ右欄第5行から第26行まで
「1. Introduction
The ALENIA Mini-RPV System has the capability to perform different
missions; one of the most useful missions is to provide real-time
target acquisition (detection, recognition, identification and
location) from the battlefield. When the target has been identified
the Mini-RPV System within the GCS processes data arriving from the
air vehicle and with the aid of digital terrain maps gives the
target location by determining geographical coordinates and
altitude. Target location is calculated using the vector from the
air vehicle to the target and the RPV present position. The RPV to
Target vector information relative to air vehicle body coordinate is
derived from sensor LOS data acquired using a stabilized platform.
This platform permits target tracking irrespective of air vehicle
motion. With present on-board electronics and digital terrain maps
the target location accuracy is approximately 50 meters CEP.」
「1.序論
ALENIAミニRPVシステムは、異なるミッションを遂行する能力を有する。最も有用なミッションの一つは、戦場からリアルタイムの目標物捕捉(検出、認識、同定、及び位置特定)を提供することである。目標物が同定されると、地上管制局内のミニRPVシステムが航空機から届くデータを処理して、デジタル地勢地図を用いて地理的座標及び高度を決定することにより目標物の位置を与える。目標物の位置は、航空機から目標物へのベクトルとRPVの現在位置を用いて計算される。航空機の機体座標に対するRPVから目標物へのベクトル情報は、安定化プラットフォームを用いて得られるセンサーの視線データから導かれる。このプラットフォームは、航空機の動きに関係なく、目標物のトラッキングを可能にする。現在の機上電子機器及びデジタル地勢地図による目標物の位置の精度は、概ね50メートルCEP(訳注:Circular Error Probability、平均誤差半径)である。」

(イ)第6-2ページ左欄第4行から第12行まで
「The Mini-RPV System (see fig. 1) comprises an air vehicle (MIRACH
26) with a choice of electro-optical payloads, a Ground Control
Station (GCS), Command Control Station (CCS) plus Antennas Group
(AG), an anti-jamming datalink, a Mission Programming and Evaluation
Station (MPES), a Launch and Recovery Subsystem (LRS) and related
Maintenance/Refurbishment Subsystem.」
「ミニRPVシステム(図1参照)は、電気光学ペイロードを選択した航空機(MIRACH26)、地上管制局(GCS)、指揮管制局(CCS)とアンテナグループ(AG)、対電子妨害データリンク、ミッション計画評価局(MPES)、打上回収サブシステム(LRS)、並びに関係する整備/改装サブシステムを含む。」

(ウ)第6-2ページ左欄下から8行目から右欄第10行まで
「The on-board air vehicle payload configuration includes a
stabilized platform with relevant electro-optical sensor and a video
recorder for image and data recording. As the mission requires, it
is possible to install on the stabilized platform, alternatively,
one of the following sensors: High Resolution TV Camera, FLIR or
ULTV. The stabilized Platform is used for stabilizing the installed
sensors both in azimuth and elevation which involves de-coupling the
optical axis with respect to the air vehicle attitude and isolation
from to air vehicle vibration. Moreover it performs all the planning
commands transmitted from the ground operator or from the video
tracking system and measures tie azimuth and elevation angles of the
optical axis with respect to a reference frame fixed to the air vehicle.」
「機上の航空機ペイロードの構成は、関係する電気光学センサーと画像及びデータ記録用のビデオレコーダーを備えた安定化プラットフォームを含んでいる。ミッションが必要とするなら、安定化プラットフォームには、代わりに次のセンサーの一つを取り付けることができる:高分解能テレビカメラ、FLIR(訳注:Forward Looking Infrared system、前方監視赤外線装置)又はLLLTV(訳注:Low Light Level Television、高感度テレビ)。安定化プラットフォームは、航空機の姿勢に対して光軸を切り離すとともに航空機の振動を遮断することを含め、方位角と上下角の双方について、取り付けられたセンサーを安定化するために使用される。さらに、安定化プラットフォームは、地上のオペレーター又はビデオトラッキングシステムから送られてきた全ての計画コマンドを実行し、航空機に固定された参照フレームに対する光軸の方位角と上下角を測定する。」

(エ)第6-2ページ右欄第13行から第19行まで
「The Command and Control Station is housed in a truck mounted
shelter and is equipped with the relevant trolley mounted power
generator. A crew of three operators is necessary to operate the
CCS: an air vehicle and antenna group operator, a payload operator
and a Station Commander.」
「指揮管制局は、トラックに搭載されたシェルター内に収容されており、関係するトロリーに搭載された発電機を備えている。CCSを運用するには、航空機及びアンテナグループオペレーター、ペイロードオペレーター、及び局指揮官の3人のオペレーターからなる搭乗者が必要である。」

(オ)第6-2ページ右欄下から15行目から第6-3ページ左欄第2行まで
「The Mission Programming and Evaluation Station is composed of an
equipped truck mounted shelter and a trolley mounted power
generator. The station includes all equipment necessary for
planning, developing and recording missions performed in automatic
navigation mode. Mission flight path is subdivided into way points
for each of which, geographical coordinates, air vehicle
performances and payload commands are defined.
Evaluation of mission results can be performed either in real
time, using the continuous flow of information received from the
Command and Control Station, or in play back. The Evaluation and
Programming Station is connected to the other stations by telephone
and radio links.」
「ミッション計画評価局は、トラック搭載の装備されたシェルターとトロリー搭載の発電機からなる。ミッション計画評価局は、自動航行モードで実行されるミッションの計画、展開及び記録のために必要な全ての装備を含んでいる。ミッション飛行経路は、それぞれの地理的座標、航空機の動作及びペイロードコマンドが定義されたウェイポイントに分割されている。
ミッション結果の評価は、指揮管制局から受信する情報の連続的な流れを用いてリアルタイムで、あるいはプレイバックによって実行できる。評価計画局は、電話と無線リンクによって他の局と接続されている。」

(カ)第6-3ページ左欄下から8行目から3行目まで
「Video signals transmitted by RPV via the radio link are displayed
on the Command and Control Station monitor. Target detection,
recognition and identification is achieved by the operator using the
video monitor and the images transmitted from the air vehicle.」
「無線リンクを介してRPVから送信されたビデオ信号は、指揮管制局のモニター上に表示される。目標物の検出、認識及び同定は、オペレーターがビデオモニター及び航空機から送信された画像を用いて達成される。」

(キ)第6-3ページ右欄下から5行目から第6-4ページ左欄第16行まで
「4. Target Location
Target location (the final phase of target acquisition, after
target detection, recognition and identification) allows the
coordinates (latitude, longitude, altitude) determination of a fixed
or moving target.
The target location function is computed (see fig. 5) within the
CCS using the following parameters:
- FOV provided by the electro-optical sensor
- Az, El provided by the stabilized platform
- Attitude and Heading (φ, θ, ψ) provided by on-board
electronics
- RPV's Present Position and Barometric altitude provided by on
board electronics
- Enemy mapped terrain provided by Cammai & Control Station data
base.
The target's present position is obtained from the sun of the
RPV's present position and the Target position relative to RPV
position (Delta North, Delta East).」
「4.目標物位置特定
目標物位置特定(目標物の探知、認識及び同定の後の、目標物捕捉の最終段階)は、固定された、又は移動する目標物の座標(経度、緯度、高度)の決定を可能にするものである。
目標物位置特定機能は、以下のパラメーターを用いてCCS内で計算される(図5参照)。
- 電気光学センサーによって提供される視野
- 安定化プラットフォームによって提供される方位角、上下角
- 機上電子機器によって提供される姿勢と機首方位(φ、θ、ψ)
- 機上電子機器によって提供されるRPVの現在位置及び気圧高度
- 指揮管制局のデータベースによって提供される敵地の地図化された
地勢
目標物の現在位置は、RPVの現在位置と、RPV位置に対する目標物の位置(デルタ北、デルタ東)の和から得られる。」

(ク)第6-4ページ左欄第23行から第33行まで
「In this way, by means of a "Scartometry" algorithm, it is possible
to calculate the target present position in the presence of rough
terrain. The "Scartometry" algorithm is based on a recursive search
of the target's present position along the LOS vector. Starting from
the PRV's present position and comparing the test points with the
terrain altitude it is possible to obtain the target present
position within a predefined error.」
「このようにして、「Scartometry」アルゴリズムを用いて、粗い地形での目標物の現在位置の計算が可能である。「Scartometry」アルゴリズムは、視線ベクトルに沿っての目標物の位置の反復的探索に基づいている。RPVの現在位置から始めて、テスト点を地形高度と比較することで、所定の誤差内で目標物の現在位置を得ることが可能である。」

(ケ)第6-10ページ、図5に記載された説明
・FOV Field of view (opt. sensor)
視野(光学センサー)
・PP RPV PRV present position
RPVの現在位置
・ATT, HEAD RPV Attitude & Heading (RPV)
姿勢及び機首方位(RPV)
・Az, El Azimuth, Elevation (Stab. platform)
方位角、上下角(安定化プラットフォーム)
・Barom. H RPV Barometric altitude (RPV)
気圧高度(RPV)
・PP target Target present position
目標物の現在位置
・Terrain altitude
地形高度
・SCARTOMETRY ALGRITHM
Scartometryアルゴリズム
・Terrain mapped data base
地勢地図データベース

イ.甲第41号証刊行物に記載された発明(甲第41発明)
上記ア.(ア)から(ケ)までの記載と図1及び5に示された事項とを総合すると、甲第41発明(甲第41号証刊行物に記載された発明)は、以下のとおりのものである。便宜のため、構成要件に分節して符号を付した。

a41 RPVに搭載された電気光学センサーによって地表面の映像を撮影
し、映像に含まれる目標物の位置を決定する方法であって、
b41 機上電子機器によりRPVの位置及び高度を測定し、
c41 機上電子機器によりRPVの姿勢及び機首方位を測定するとともに
、安定化プラットフォームにより電気光学センサーの視線の方位角及
び上下角を測定し、
d41 地勢地図データベースを備え、
e41 指揮管制局において、電気光学センサーの視線ベクトルに沿って、
RPVの現在位置から始めて、テスト点と地形高度との比較を繰り返
すことによって、所定の誤差内で目標物の位置を特定し、
h41 指揮管制局と電話及び無線リンクによって接続されたミッション計
画評価局において、指揮管制局から受信する情報の連続的な流れを用
いて、リアルタイムでミッション結果の評価を行う
i41 目標物の位置特定方法。

2.本件特許発明3について
請求人は、本件特許発明3に対して無効理由1から3までを主張する。

(1)無効理由1
無効理由1は、甲第32発明、甲第1発明及び周知技術1(甲第42号証から甲第49号証までの各刊行物に記載された周知技術)に基づく無効理由である。

ア.本件特許発明3と甲第32発明との対比
本件特許発明3と甲第32発明とを対比すると、以下のとおりである。

(ア)甲第32発明の「遠隔操縦機に搭載した電気光学センサーによって地表面にある目標物を撮影し、目標物の位置を決定する方法」は、本件特許発明3の「空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法」に相当する。

(イ)甲第32発明の「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算し」は、「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度」及び「遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度」を、それぞれ特定することを前提にしている。
したがって、甲第32発明は、「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度」を特定し、また、「遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度」を特定するものであり、それぞれに対応する構成を有している。そして、それらの構成は、それぞれ、本件特許発明3の「空中における撮影位置を三次元的に特定し」及び「撮影位置に対する目標物の方向を計測し」に相当する。

(ウ)甲第32発明の「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算し」と、本件特許発明3の「予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し」とは、目標物の位置を特定する点で共通する。

(エ)甲第20号証刊行物、第18ページの写真を詳しく見ると(請求人が提出した口頭審理陳述要領書、第10ページの拡大図参照)、「フェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)」は、地名等が明示されている二次元地図を表示することが読み取れる。したがって、甲第32発明の「高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせて表示するフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)」における「高分解能地図映像」は、地名等が明示されている二次元地図である。
また、甲第34号証刊行物に記載されているように、「フットプリント」は、「衛星の送信機又はセンサーの視野の中にある地表面の領域」の意味である。
そうすると、甲第32発明の「高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせて表示するフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)により、目標物を地図上に表示するとともに、電気光学センサーのフットプリントを表示し」は、本件特許発明3の「特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し」に相当する。

(オ)甲第32発明の「ユーザー機関」は、本件特許発明3の「予め定められた外部装置」に相当するものを有すると認められるから、甲第32発明の「目標物の位置データを含む目標物の報告を、地上の通信設備を用いてユーザー機関にほぼリアルタイムで行う」と、本件特許発明3の「前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」とは、目標物についての情報を予め定められた外部装置へ伝送する点で共通する。

(カ)以上のことをまとめると、本件特許発明3と甲第32発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
目標物の位置を特定し、
特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、
目標物についての情報を予め定められた外部装置へ伝送する
位置特定方法。」

(相違点1)
目標の位置の特定に関し、本件特許発明3は、「予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定」する(構成要件3D及び3Eを有する)のに対し、甲第32発明は、「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算」するだけで、具体的な計算方法が特定されていない点。

(相違点2)
目標物についての情報の伝送に関し、本件特許発明3は、目標物についての情報が「前記撮影された目標物の画像」であり、その伝送が「無線電波を介して」されるのに対し、甲第32発明は、目標物についての情報が「目標物の位置データを含む目標物の報告」であり、その伝送がどのような媒体を介してされるか特定されていない点。

イ.相違点についての判断
(ア)相違点1について
甲第32発明と甲第1発明とを対比すると、両者は、航空機に搭載した電気光学センサーによって目標物を撮影して、目標物の位置を決定する方法である点で共通する。また、両者は、航空機の位置、高度及び姿勢と、電気光学センサーの指向角度と、目標物が存在する地表の高度情報とから、目標物の位置を決定する点でも共通する。
さらに、甲第32発明は、軍事用の遠隔操縦機で用いられるものであり(上記1.(3)ア.(ア))、甲第1発明も、軍用機で用いられるものである(上記1.(1)ア.(イ))から、両者は、軍用機で実施される方法の発明であるという点でも共通する。
そして、甲第32発明は、「デジタル地形データベースを備えた地上管制局」を含むシステムで実施されるから、「デジタル地形データベース」が利用可能な状況で実施されるものである。
以上のことを考慮すると、甲第32発明の「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として、甲第1発明の「あらかじめ記憶された地形地図であって、目標物がある地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報並びにより一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報を含む地形地図から情報を読み出し、テレビカメラの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点を決定して、地形地図に関する目標物の位置を決定」するという方法を採用するとともに、甲第32発明の「デジタル地形データベース」を、甲第1発明の「あらかじめ記憶された地形地図」が記憶される場所とすることは、当業者が容易に思い付くことである。
甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として甲第1発明の方法を採用してなるものは、「あらかじめデジタル地形データベースに記憶された地形地図であって、目標物がある地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報並びにより一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報を含む地形地図から情報を読み出し、電気光学センサーの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点を決定して、地形地図に関する目標物の位置を決定」する構成を有する。これは、本件特許発明3の構成要件3D及び3Eに相当するから、甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として甲第1発明の方法を採用してなるものは、相違点1に係る構成を有することになる。

(イ)相違点2について
甲第42号証から甲第49号証までの各刊行物の記載を参照すると、目標物捕捉や損害評価等の任務において、無人機が撮影した画像が有用であることは、本件特許発明の特許出願前に認識されていたと認められる。また、遠隔操縦機を含む無人機から送られてきた画像を、地上管制局から外部装置に無線電波を介して伝送することは、本件特許発明の特許出願前に当業者に周知の技術であると認められる。
一方、甲第32発明が実施される遠隔操縦機システムは、地上管制局を含む(上記1.(3)ア.(エ))。このシステムは野外に展開されるから、甲第32号証刊行物の図3.3(第1-13ページ)に示されているように、地上管制局も移動体(具体的には、トラックの荷台)に搭載される(上記1.(3)ア.(オ))。そして、甲第32発明における「ユーザー機関」としては、少なくとも大砲や多連装ロケットシステムのような間接照準兵器システムを備えた砲兵隊が含まれるが(上記1.(3)ア.(イ))、このような砲兵隊は、通常、地上管制局の近くにはない。なぜなら、地上管制局は、敵からの攻撃を避ける必要があるので、砲兵隊のように敵の反撃を受けることが当然想定される場所に置くのは不合理だからである。すなわち、地上管制局と砲兵隊との間には、相応の距離があることが明らかである。
移動体に搭載された地上管制局とユーザー機関である砲兵隊との間に相応の距離があるという状況下で、甲第32発明のように「目標物の位置データを含む目標物の報告を、地上の通信設備を用いてユーザー機関にほぼリアルタイムで行う」とすれば、無線電波の使用は、当業者にとって自明のことである。
また、甲第32発明は、損害評価を含む目標物捕捉ミッションのためのものである(上記1.(3)ア.(イ))。
以上のことを考え合わせると、甲第32発明の「目標物の位置データを含む目標物の報告を、地上の通信設備を用いてユーザー機関にほぼリアルタイムで行う」の構成について上記周知の技術を適用し、目標物の報告の内容に目標物の画像を追加した上で無線電波を介して伝送するようにすることは、当業者が容易に思い付くことである。
甲第32発明に上記周知の技術を適用してなるものが相違点2に係る構成を有することは、明らかである。

ウ.被請求人の反論について
被請求人は、甲第32発明と甲第1発明とでは撮影した画像の利用に関する前提が相違するから、また、甲第1発明に甲第32発明を組み合わせることは甲第1発明の目的に反するから、甲第32発明と甲第1発明とを組み合わせることには阻害要因があると主張する。
しかし、甲第32発明は、「地上データ端末の位置、地上データ端末に対する遠隔操縦機の位置、遠隔操縦機の高度、遠隔操縦機の姿勢、目標物を撮影する電気光学センサーの指向角度、及び局所的な地形高度から、目標物の位置を計算」する際に撮影した画像を利用するものではない。したがって、撮影した画像の利用に関する前提が甲第32発明と甲第1発明とで相違するとしても、その相違が、甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として甲第1発明の方法を採用することを阻害する要因になるとは認められない。
また、被請求人は、甲第32発明と甲第1発明とを組み合わせると、甲第1発明が実施される航空機が何らかの信号波を発する結果になることを前提として、甲第32発明との組み合わせは、甲第1発明の目的に反すると主張するようである。
しかし、甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として甲第1発明の方法を採用してなるものは、甲第32発明と同様、遠隔操縦機を含むシステムで実施される。遠隔操縦機を含むシステムに甲第1発明の方法を採用することにより、甲第1発明が実施される航空機が何らかの信号波を発するようになるわけではないから、被請求人の主張は当たらない。
したがって、被請求人の主張は、採用することができない。

エ.無効理由1についてのまとめ
本件特許発明3は、甲第32発明と、甲第1発明と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)無効理由2
無効理由2は、無効理由1の甲第1発明の代わりに甲第33発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第33発明及び周知技術1に基づく無効理由である。
本件特許発明3と甲第32発明との一致点及び相違点は、上記(1)ア.(カ)に記載した一致点並びに相違点1及び2のとおりである。そして、相違点2は、無効理由1について上記(1)イ.(イ)で述べたとおり、周知技術1に基づいて当業者が容易に思い付くことであるから、以下では、相違点1について検討する。
甲第33発明は、甲第1発明の「あらかじめ記憶された地形地図であって、目標物がある地面の等高線及び地上の恒久的特徴に関する情報並びにより一時的であり得る他の目標物の位置に関する情報を含む地形地図から情報を読み出し、テレビカメラの照準が地形地図に含まれる地形と交差する点を決定して、地形地図に関する目標物の位置を決定」する構成と実質的に同一である。
したがって、相違点1については、甲第1発明の代わりに甲第33発明を用いて上記(1)イ.(ア)で述べたものと同じ議論をすることができる。すなわち、甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として、甲第33発明の方法を採用するとともに、甲第32発明の「デジタル地形データベース」を、甲第33発明の「デジタル地形管理表示システムによって提供される地形高度データベース」が記憶される場所とすることは、当業者が容易に思い付くことである。
被請求人の反論は、無効理由1に対するものと同じであるから、上記(1)ウ.で述べたとおり、採用することができない。
本件特許発明3は、甲第32発明と、甲第33発明と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)無効理由3
無効理由3は、無効理由1の甲第1発明の代わりに甲第41発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第41発明及び周知技術1に基づく無効理由である。
本件特許発明3と甲第32発明との一致点及び相違点は、上記(1)ア.(カ)に記載した一致点並びに相違点1及び2のとおりである。

ア.相違点についての判断
(ア)相違点1について
甲第41発明の構成要件e41においては、電気光学センサーの視線ベクトルに沿って、テスト点と地形高度とを繰り返して比較することで目標物の位置を所定の誤差内で特定している。ここで、地形高度が指揮管制局に備えられた地勢地図データベースから提供されるものであることは明らかである。そうすると、甲第41発明においては、電気光学センサーの視線と三次元地勢データである地勢地図データベースから得られる地表面との交点を求め、これを目標物の位置としていることになる。
したがって、甲第41発明の構成要件e41は、本件特許発明3の構成要件3D及び3Eにおける処理である「予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し」と一致する。すなわち、甲第41発明は、相違点1に係る構成を有する。
そして、甲第32発明と甲第41発明とは、いずれも、遠隔操縦機(RPV)を用いた目標物の位置特定に関する技術である。また、電気光学センサーの視線(指向角度)とデータベース内の地形高度を用いて目標物の位置を特定するものである。
以上のことを考慮すると、甲第32発明の「目標物の位置を計算」するための具体的な計算方法として、甲第41発明の方法を採用することは当業者が容易に思い付くことである。

(イ)相違点2について
相違点2は、無効理由1について上記(1)イ.(イ)で述べたとおり、周知技術1に基づいて当業者が容易に思い付くことである。
請求人は、相違点2について、甲第41発明に基づいて当業者が容易に思い付くことでもあると主張するが、この主張については判断するまでもない。

イ.被請求人の反論について
被請求人は、視線ベクトルに沿った「テスト点」も、「テスト点と地形高度との比較を繰り返す」ことも、甲第41号証刊行物には記載されていないから、請求人が甲第41発明の構成要件e41と称するものは、甲第41号証刊行物に記載されたものではなく、したがって、相違点1に係る構成は、甲第41号証刊行物に開示されていないと主張する。
しかし、甲第41号証刊行物には、目標物の現在位置の計算に用いる
「Scartometry」アルゴリズムについて、「視線ベクトルに沿っての目標物の位置の反復的探索に基づいている」旨の記載がある(上記1.(5)ア.(ク))。この記載から、同アルゴリズムによる目標物の現在位置の計算は、「探索」を「視線ベクトルに沿って」「反復」することによって行われることが明らかである。そして、それに続く「RPVの現在位置から始めて、テスト点を地形高度と比較する」旨の記載(上記1.(5)ア.(ク))は、「探索」の起点が「RPVの現在位置」であること、及び「探索」が「テスト点を地形高度と比較する」ことで行われることの説明であると認められる。
そうすると、「Scartometry」アルゴリズムにおける目標物の現在位置の計算は、「RPVの現在位置」を起点にして、「テスト点を地形高度と比較する」ことによる「探索」を「視線ベクトルに沿って」「反復」することで行われることになる。
これは、「電気光学センサーの視線ベクトルに沿って、RPVの現在位置から始めて、テスト点と地形高度との比較を繰り返すことによって、所定の誤差内で目標物の位置を特定」する構成(甲第41発明の構成要件e41)にほかならない。
被請求人の主張は、採用することができない。

ウ.無効理由3についてのまとめ
本件特許発明3は、甲第32発明と、甲第41発明と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.本件特許発明7について
請求人は、本件特許発明7に対しても無効理由1から3までを主張する。
本件特許発明7は、方法の発明である本件特許発明3を、装置の発明として表現したものにすぎない。
したがって、無効理由1から3までは、本件特許発明7にも当てはまる。
被請求人の反論は、本件特許発明3についてのものと同じであるから、既に述べたとおり、採用することができない。
本件特許発明7は、甲第32発明と、甲第1発明、甲第33発明又は甲第41発明と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.本件特許発明8について
請求人は、本件特許発明8に対しても無効理由1から3までを主張する。
本件特許発明8は、本件特許発明3の「前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」(構成要件3H)を「前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」(構成要件8H)とした点を除き、本件特許発明3と同一である。すなわち、本件特許発明8は、外部装置へ伝送する情報として「該目標物の位置」を付加した点のみが本件特許発明3と異なる。
しかし、甲第32発明の「目標物の位置データを含む目標物の報告を、地上の通信設備を用いてユーザー機関にほぼリアルタイムで行う」と、本件特許発明8の「前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」とは、目標物の位置についての情報を予め定められた外部装置へ伝送する点で共通する。そうすると、外部装置へ伝送する情報として「該目標物の位置」を付加した点は、甲第32発明との対比において新たな相違点をもたらさない。
したがって、無効理由1から3までは、本件特許発明8にも当てはまる。
被請求人の反論は、本件特許発明3についてのものと同じであるから、既に述べたとおり、採用することができない。
本件特許発明8は、甲第32発明と、甲第1発明、甲第33発明又は甲第41発明と、周知技術1とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.本件特許発明4について
請求人は、本件特許発明4に対して無効理由4から6までを主張する。
無効理由4は、甲第32発明、甲第1発明、周知技術1及び周知技術2(甲第15号証、甲第20号証及び甲第50号証から甲第56号証までの各刊行物に記載された周知技術)に基づく無効理由である。
無効理由5は、無効理由4の甲第1発明の代わりに甲第33発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第33発明、周知技術1及び周知技術2に基づく無効理由である。
無効理由6は、無効理由4の甲第1発明の代わりに甲第41発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第41発明、周知技術1及び周知技術2に基づく無効理由である。
したがって、無効理由4から6までは、その根拠に周知技術2が追加されている点を除けば、それぞれ無効理由1から3までと同じである。

(1)本件特許発明4と甲第32発明との対比
本件特許発明4は、本件特許発明3の「特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し」(構成要件3F)を「目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示する」(構成要件4F)とすることにより、表示対象から目標物の位置を除外した上で、改めて目標物の位置の表示について「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し」(構成要件4G)を追加した点を除き、本件特許発明3と同一である。
したがって、本件特許発明4と甲第32発明とは、上記2.(1)ア.(カ)に記載した相違点1及び2に加えて以下の点で相違し、その他の点で一致する。

(相違点3)
特定した目標物の位置の表示に関し、本件特許発明4では、「前記二次元地図上の中央となるように表示」するのに対し、甲第32発明では、「デジタル地形データベースを備えた地上管制局に設置された、高分解能地図映像をコンピュータ英数字及び図形と組み合わせて表示するフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)により、目標物を地図上に表示する」だけで、地図上のどの場所に表示するか特定されていない点。

(2)相違点3についての判断
相違点1及び2については、既に述べたとおりであるから、以下では、相違点3について検討する。
甲第15号証、甲第20号証及び甲第50号証から甲第56号証までの各刊行物を参照すると、甲第32発明のフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)や甲第15号証刊行物に記載された戦術状況ディスプレイ(TSD)のようなマップディスプレイでは、自機中心の表示、目標物中心の表示、自機及び目標物の双方を中心からずらした表示など各種の表示法が、本件特許発明の特許出願前に当業者に周知であると認められる。また、ユーザーが自機又は目標物の表示法を選択したり、自機又は目標物の表示場所を自由に指定したりすることも、本件特許発明の特許出願前に当業者に周知の技術であると認められる。
そうすると、甲第32発明において、目標物を地図上の中央となるように表示することは、当業者が適宜行い得る設計事項にすぎない。
特に、甲第32発明では、フェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)の高分解能地図映像上に目標物の位置とセンサーのフットプリントとを表示しているが、センサーの映像を見ているオペレーターにとっては、センサーの撮影範囲(つまり、センサーのフットプリント)、その中でも目標物の位置が最大の関心事であると認められる。したがって、甲第32発明において、最大の関心事である目標物の位置を二次元地図の中央に位置するように表示することは極めて自然なことである。

(3)被請求人の反論について
被請求人は、「前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示」することは、いずれの刊行物にも開示されていないから、本件特許発明4の交点算出処理により特定した目標物の位置を二次元地図の中央となるように表示することは、極めて自然なこととはいえないと主張する。
しかし、交点算出処理により特定したものであろうと、それ以外のものであろうと、目標物の位置であることに変わりはない。そして、目標物の位置の特定方法の違いによって、それを表示すべき二次元地図上の場所の選択に何らかの差異が生じるとは認められない。
したがって、甲第32発明において、目標物の位置を二次元地図上のどの場所に表示するかは、その目標物の位置が交点算出処理により特定したものであるか否かに関係なく、当業者が適宜決定し得る設計事項にすぎない。
被請求人の主張は、採用することができない。

(4)本件特許発明4についてのまとめ
本件特許発明4には、請求人が主張するとおり、無効理由4から6までがある。
すなわち、本件特許発明4は、甲第32発明と、甲第1発明、甲第33発明又は甲第41発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.本件特許発明1について
請求人は、本件特許発明1に対して無効理由7から9までを主張する。
無効理由7は、甲第32発明、甲第1発明、甲第15発明、周知技術1及び周知技術2に基づく無効理由である。
無効理由8は、無効理由7の甲第1発明の代わりに甲第33発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第33発明、甲第15発明、周知技術1及び周知技術2に基づく無効理由である。
無効理由9は、無効理由7の甲第1発明の代わりに甲第41発明を根拠にしたものであり、甲第32発明、甲第41発明、甲第15発明、周知技術1及び周知技術2に基づく無効理由である。
したがって、無効理由7から9までは、その根拠に甲第15発明が追加されている点を除けば、それぞれ無効理由4から6までと同じである。

(1)本件特許発明1と甲第32発明との対比
本件特許発明1は、本件特許発明4の「目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示する」(構成要件4F)を「目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示する」(構成要件1F)とすることにより、表示対象として目標物に対する撮影方向を追加したものである。
また、本件特許発明1は、本件特許発明4の「前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」(構成要件4H)を、本件特許発明8の構成要件8Hと同じ「前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する」(構成要件1H)とすることにより、外部装置へ伝送する情報として「該目標物の位置」を付加したものである。しかし、この「該目標物の位置」を付加した点が、甲第32発明との対比において新たな相違点をもたらさないことは、本件特許発明8について上記4.で述べたとおりである。
したがって、本件特許発明1と甲第32発明とは、上記2.(1)ア.(カ)に記載した相違点1及び2並びに上記5.(1)に記載した相違点3に加えて以下の点で相違し、その他の点で一致する。

(相違点4)
本件特許発明1では、「目標物に対する撮影方向」も「地名等が明示されている二次元地図上に表示する」のに対し、甲第32発明では、そのような特定がされていない点。

(2)相違点4についての判断
相違点1から3までについては、既に述べたとおりであるから、以下では、相違点4について検討する。
甲第32発明と甲第15発明とは、航空機に搭載したセンサーによって地表面を撮影し、目標物の位置及びセンサーのフットプリントを、地名等が明示された二次元地図とともにディスプレイに表示する点で共通する。
また、甲第20号証刊行物に記載されているように、甲第32発明のフェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)は、もともと戦闘機等の航空機のコックピット用ディスプレイとして開発されたものである。
したがって、航空機のコックピット用ディスプレイである戦術状況ディスプレイを用いる甲第15発明を、フェランティ統合地図電子ディスプレイ(COMED)を用いる甲第32発明に適用することは、当業者が容易に思い付くことである。
さらに、甲第15発明において、センサーのフットプリント及びセンサーの視線を表示しているのは、「センサディスプレイを戦術状況ディスプレイと容易に関係づけることができるように」するためである(上記1.(2)ア.(オ))。これは、甲第32発明において「RPVの位置と航跡、及び、表示された映像によってカバーされた地域を局地的な地形に直接関連付けることが可能でなければならない」とされている(上記1.(3)ア.(キ))のと同じ趣旨である。したがって、甲第32発明において、センサーのフットプリントに加えて、地図との関連付けのために、甲第15発明のようにセンサーの視線も表示するようにすることには、動機付けがあるといえる。

(3)被請求人の反論について
被請求人の反論は、無効理由4から6までに対するものと同じであるから、上記5.(3)で述べたとおり、採用することができない。

(4)本件特許発明1についてのまとめ
本件特許発明1には、請求人が主張するとおり、無効理由7から9までがある。
すなわち、本件特許発明1は、甲第32発明と、甲第1発明、甲第33発明又は甲第41発明と、甲第15発明と、周知技術1と、周知技術2とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第8 むすび
以上に検討したとおり、本件特許発明1、3、4、7及び8のそれぞれについての特許は、いずれも、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。したがって、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
位置特定方法および装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、
前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、
前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。
【請求項4】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、
前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】
空中を移動可能な機体と、
機体の位置を特定する機体位置特定手段と、
機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、
機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、
地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、
機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と、
目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段と、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する手段と、
を含むことを特徴とする位置特定装置。
【請求項8】
空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、
空中における撮影位置を三次元的に特定し、
撮影位置に対する目標物の方向を計測し、
予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、
地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、
特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、
前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、災害が発生している目標物などを空中から撮影し、その位置を正確に特定することができる位置特定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、たとえば水害や地震などの大規模な災害が発生すると、ヘリコプタなどによって空中から撮影し、災害の程度や緊急に対策が必要な部分の有無を確認している。たとえば、火災が発生し、直ちに消火活動を行わなければならないような場合は、映像から確認される場所に消防車両などを急行させなければならない。そのような場所の位置は、ヘリコプタなどの航空機の現在位置の周辺として概略的に特定される。
【0003】
航空機の現在位置を、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測定し、航行方向の途中にある障害物の存在を予測する先行技術は、たとえば特開昭64-36400号公報に開示されている。この先行技術では、航空機の現在位置を高度までを含めて三次元的に測定し、山岳や鉄塔などの障害物の位置と高さを記録した三次元的なデータと照合して、航行方向前方に危険物が存在するか否かを判断する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
GPSなどを利用して、航空機の現在位置を測定することは比較的容易であるけれども、航空機から撮影した地表面上の目標物の位置を精度よく特定することは必ずしも容易ではない。高速度で飛行している航空機が、目標物の直上に存在しうる時間は瞬間的であり、通常はずれた位置を航行する。ヘリコプタのような空中で停止可能な航空機であっても、火災発生現場の直上では、煙などのために充分な視界を確保することができず、離れた位置から撮影する方が好ましい場合が多い。
【0005】
撮影された映像から、特徴がある建物や地形などを識別し、それらの位置が予め判明していれば、目標物の位置の特定は容易となる。しかしながら、大規模な災害、たとえば洪水や地震などでは、特徴的な建物や地形も隠れてしまったり、変化してしまう可能性も大きい。さらに、海上や山岳地帯などでは、位置を判別するための手かがりになる情報もほとんど得られず、航空機の現在位置を中心として概略的な方向および距離が求められるだけである。
【0006】
本発明の目的は、空中から地表面の目標物の位置を正確に特定することができる位置特定方法および装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、目標物を撮影する際の視野と目標物に対する撮影方向とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする位置特定方法である。さらに本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。また本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に表示するとともに、前記特定した目標物の位置が前記二次元地図上の中央となるように表示し、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。さらに本発明は、空中を移動可能な機体と、機体の位置を特定する機体位置特定手段と、機体に搭載され、地表面上の目標物を撮影する撮影手段と、機体に対して、撮影手段の向いている方向を検出する方向検出手段と、地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データを記録しておく地表面記録手段と、機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段および地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する演算処理手段と、目標物の位置と目標物を撮影する視野とを、地名等のわかる二次元地図上に表示する手段と、前記撮影された目標物の画像を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送する手段と、を含むことを特徴とする位置特定装置である。さらに本発明は、空中から地表面の目標物を撮影し、目標物の位置を特定する方法であって、空中における撮影位置を三次元的に特定し、撮影位置に対する目標物の方向を計測し、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから目標物の存在する地表面を求め、地表面と、撮影位置から目標物の方向に延びる直線との交点位置として、目標物の位置を特定し、特定した目標物の位置と目標物を撮影する際の視野とを、地名等が明示されている二次元地図上に表示し、前記撮影された目標物の画像と、該目標物の位置と、を無線電波を介して予め定められた外部装置へ伝送することを特徴とする。また本発明の前記撮影手段は、2軸または3軸安定化ジャイロを内蔵するジンバル機構によって支持されることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明に従えば、空中から撮影する目標物の位置を、撮影位置から目標物の方向に延びる直線と、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから求められる目標物の存在する地表面との交点として特定する。地表面には、高度情報が反映されているので、目標物の位置を三次元的に精度よく特定することができる。
【0009】
本発明に従えば、空中から撮影する目標物の位置を、能動的なレーダ等の距離計測装置は使用せずに、撮影位置から目標物の方向に延びる直線と、予め作成されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元地勢データから求められる目標物の存在する地表面との交点として特定する。地表面には、高度情報が反映されているので、目標物の位置を三次元的に精度よく特定することができる。
【0010】
また本発明に従えば、特定した目標物の位置を、地表面の地理データとして地名等が明示される二次元地図上に表示するので、地理的な位置関係を判りやすく表示することができる。
【0011】
また本発明に従えば、目標物を撮影する際の視野を、地名等が明示されている二次元地図上に、地表面の地勢データおよび撮影した映像と対比したりしながら表示するので、撮影した映像と地勢データとの対応関係が把握しやすくなり、災害の発生規模などの把握も容易となる。
【0012】
また本発明に従えば、赤外線カメラを用いて夜間も空中からの撮影が可能であり、撮影した映像は地上でも受信可能であるので、地上と連携してより効果的な目標物を選択したり、災害などの救助により有効となる情報を収集したりすることができる。
【0013】
また本発明に従えば、目標物の撮影を行うカメラを搭載する飛行体の位置を飛行体側から三次元的に特定し、飛行体の運航管制を行うので、通常時における運航の安全を確保するために三次元的に位置特定を行う機能を有効に利用することができる。
【0014】
さらに本発明に従えば、空中を移動可能な機体に撮影手段を搭載し、目標物を撮影する。機体位置特定手段によって機体の位置を特定し、方向検出手段によって撮影手段の向いている方向を機体に対して検出する。目標物が存在する地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な地勢データは、地表面記録手段に記録されている。演算処理手段は、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と、地表面との交点を算出し、目標物の位置を特定する。この際、直接的な距離の測定は行う必要はない。地表面は三次元的に高度情報を含んで表されるので、交点として求められる目標物の位置は高度が精度よく反映され、さらに地名等のわかる二次元地図上に目標物の位置と目標物を撮影する視野が表示されるので、災害発生現場周辺などに機体を急行させるだけで、その現場の位置を比較的容易、かつ精度よく特定することができる。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例の原理的な構成を示す。空中を飛行するヘリコプタ1などの機体には、テレビカメラなどの撮影装置2が搭載され、目標物3を撮影する。目標物3は、三次元的な起伏がある地表面4上に存在し、地表面4を水平面に投影する二次元平面5上には存在しない。本実施例では、ヘリコプタ1の現在位置を測定し、目標物位置の方向に延ばす直線Lと、地表面4との交点として、目標物3の位置を特定する。地表面4が二次元平面5から高度Hだけ異なる高さに存在するので、目標物3までの直線を二次元平面5まで延長した交点の位置が、目標物3を二次元平面5に投影した位置よりもEだけ異なる位置と判断してしまう。本実施例によれば、地表面4上で目標物3の位置を正確に特定することができる。
【0016】
図2は、図1に示す実施例を用いて災害発生時に空中撮影を行い、火事が発生している現場の位置を特定するシステム構成を示す。ヘリコプタ1に搭載される撮影装置2は、目標物3を含む空撮映像6を撮影する。空撮映像6および空撮映像6に基づいて特定する目標物3の位置は、無線電波によって伝送され、現地本部指揮車7や、災害対策本部10で受信される。現地本部指揮車7は、災害発生とともに、現場付近まで出動する。災害対策本部10は、消防署など予め設置されている。災害対策本部10には、屋上などに、自動追尾空中線装置11が設けられ、ヘリコプタ1との無線電波による交信を確実に行うことができる。災害対策本部10の建屋内には、制御装置12、大型プロジェクタ13および操作卓14などが設けられる。現地本部指揮車7内にも、災害対策本部10内と同様の機能を有する各種装置が設けられている。
【0017】
図3は、図2に示す空撮映像6から災害発生地点を見いだす過程を示す。図3(1)に示す災害発生地点20に対応する画面を、図3(2)に示すように拡大して表示すれば、被害状況を詳細に知ることができる。空撮映像6を撮影している機体搭載カメラの方位角PAN、上下角TILTおよびヘリコプタ1の高度情報を含む三次元的な位置情報をもとに、災害発生地点20が特定される。
【0018】
図4は、特定された災害発生地点20を、二次元的な地図に合わせて画像表示している状態を示す。災害発生地点20の周囲には、画像表示を行っているカメラの視野21に対応する領域が表示され、カメラの方向22も矢印で表示される。災害発生地点20は、種々の要因である程度の誤差を伴うけれども、カメラの視野21およびカメラの方向22を考慮して空撮映像6を見れば、災害発生地点20をより正確に特定することができる。
【0019】
図5は、図1のヘリコプタ1に搭載される位置特定に関連する機器の概略的な構成を示す。撮影装置2としては、カメラ30およびジンバル・ユニット31を含む。カメラ30としては、TVカメラ30aおよび赤外線カメラ30bを有し、昼夜を問わず空撮映像を得ることができる。カメラ30は、2軸または3軸安定化ジャイロを内蔵するジンバル・ユニット31に取付けられ、図1のヘリコプタ1の外部を撮影する。このような撮影装置2は、図1に示すようにヘリコプタ1の機体の外部に突出させてもよく、ヘリコプタ1の機体に装着してもよい。図1に示すように、機体外に突出させれば、広い範囲を撮影することができるけれども、ヘリコプタ1の離着陸時には、ヘリコプタ1の機体内部に収納する機構を必要とする。ヘリコプタ1の機体に直接装着すれば、収納用の機構は不要であるけれども、撮影する範囲が限られる。
【0020】
撮影装置2によって撮影された映像信号と、ジンバル・ユニット31の向きとは、データ変換やシステム電源配分も行うビデオ処理およびジンバル制御ユニット32によって処理あるいは制御される。処理されたビデオ画像や音声情報は、VTR33によって磁気テープに収録され、モニタ34によって画像表示される。カメラ30の焦点調整や、ジンバル・ユニット31の方向制御は、撮影制御ユニット35から操作される。
【0021】
図1のヘリコプタ1の現在位置は、GPSアンテナ36を介してGPS受信機37に受信されるGPS衛星からの電波に基づいて測定される。4つのGPS衛星からの電波を受信すれば、ヘリコプタ1の現在位置を三次元的に求めることができる。地表面についての高度情報を含む地勢データは、三次元地理データ記憶装置38内に記憶されている。そのようなデータの一例としては、国土地理院発行の三次元地勢データがある。位置検出装置39は、三次元地理データ記憶装置38の記憶内容を読出して、地図画像の発生を行う。また、GPS受信機37からの出力に基づいて、自機位置の出力を行う。さらに、ヘリコプタ1の機首が向いている方向の出力や、撮影している日付や時間等の出力、さらに目標の表示や、その補正を行う。
【0022】
データ処理ユニット40は、位置検出装置39からの出力に応答して、目標物の位置計算を行い、図4に示すような二次元表示を行うための画像データ処理を行う。カメラ30の操作者と、ヘリコプタ1のパイロットとの連絡などは、機内交話系統41を介して行われる。データ処理ユニット40によって処理された画像データは、分配ユニット42を介して送信ユニット43に送られ、送信アンテナ44から電波として送信される。送信アンテナ44は、自動追尾ユニット45によって制御され、図2に示す現地本部指揮車7あるいは災害対策本部10の方向に向けられる。自動追尾ユニット45は、必ずしも必要とは限らないけれども、自動追尾ユニット45を装着すれば、送信アンテナ44から送信する電力が小さくても、遠方に効率よく伝送することができる。分配ユニット42では、送信項目を選択し、送信制御を行い、信号の分配などを行う。送信ユニット43では、分配ユニット42で選択された各項目の画像や音声やデータを送信する。送信する画像をモニタ34で見ることもできる。
【0023】
図6は、図5に示すヘリコプタ1の機器から送信される画像などの電波信号を災害対策本部10で受信する構成を示す。操作卓14としては、データ処理ユニット50および地図画像発生ユニット51などが含まれる。データ処理ユニット50では、受信された画像データの処理とデータ変換などを行う。地図画像発生ユニット51では、二次元地図画像の発生や、三次元地図画像の発生や、日付および時間等の出力を行う。
【0024】
自動追尾空中線装置11内には、自動追尾アンテナ55、アンテナ制御ユニット56および受信ユニット57などが含まれる。自動追尾アンテナ55としては、高利得の指向性の大きなアンテナが使用され、アンテナ制御ユニット56によって指向性の向きがヘリコプタ1の方向となるように制御される。自動追尾アンテナ55が受信した電波は、受信ユニット57によって受信され、画像データなどを含む各項目の受信データが、データ処理ユニット50に入力される。
【0025】
データ処理ユニット50は、ヘリコプタ1から受信される画像データなどの処理結果を、大型プロジェクタ13内に設けられる防災用のモニタ60に画像表示し、VTR61に記録する。モニタ60には、図4に示すような二次元地図画像が表示され、VTR61にはその二次元地図画像が収録される。図4に示すような二次元地図画像が表示されるのは、災害発生時の防災用であり、平時の運航管理用には、モニタ62によって三次元地図画像が表示される。三次元地図画像は、ヘリコプタ1の周囲に山岳などの障害物を三次元的に表示し、運航の注意を促す。三次元地図画像は、図5の位置検出装置39からの自機位置の出力に基づいて地図画像発生ユニット51で発生され、VTR63でも収録される。図5のカメラ30が撮影した画像データは、制御装置12に設けられるモニタ65に表示され、VTR66に収録される。図5に示すカメラ30は、可視光用のTVカメラ30aと、赤外線用の赤外線カメラ30bを備えるので、これを適宜切換えることによって、昼夜を問わずに映像を得ることができる。一般的に、昼間はTVカメラ30aを使用し、夜間は赤外線カメラ30bを使用する。火災が発生しているときには、夜間でもTVカメラ30aを使用することもできる。また、昼間でも、霧や煙のためにTVカメラ30aでは良好な映像が得られないときには、赤外線カメラ30bを使用する。
【0026】
以上の実施例では、火事などの災害発生地点20を特定する場合について説明しているけれども、海上や山岳地帯などの遭難者を発見し、救助するために位置特定を行うことも容易である。海上であれば、高度差を考慮しなくてもよいけれども、広い範囲を迅速に移動しながら撮影する必要があり、遭難者などが瞬間的に撮影された状態で、その位置を特定する必要がある。山岳地帯などでは、三次元的な位置の特定が重要である。
【0027】
なお以上の実施例では、GPS電波を利用して三次元的にヘリコプタ1の位置特定を行っているけれども、GPSでは緯度および経度のデータに比較して、高度データの誤差が若干大きくなるので、高度データに関しては、高度計などによって別に測定する方が好ましい。地表の凹凸が少なければ、電波高度計によって正確な高度が得られる。また、その時点での地表面の気圧が測定されていれば、気圧高度計によって正確な高度を測定することができる。さらに、ヘリコプタ1の現在位置は、基準点からの相対的な移動位置として、INSなどの推測航法によっても求めることができる。
【0028】
さらに、撮影装置2は、ヘリコプタ1の機体に搭載するようにしているけれども、他の種類の航空機に搭載してもよい。航空機の飛行速度が大きいと、特定した目標物の位置の精度が悪くなるので、航空機としてはヘリコプタ1と同様に比較的低速度で撮影することが可能な方が好ましい。そのような航空機としては、たとえば飛行船や気球などであってもよいけれども、撮影可能な位置まで迅速に接近するためには、ヘリコプタ1のように、ある程度の高速度の航行も可能であることが好ましい。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、空中から撮影した地表面の目標物の位置を、予め作成されている高度情報を有する地勢データを利用して三次元的に特定することができるので、迅速、かつ比較的精度よく災害対策などを実行することができる。
【0030】
以上のように本発明によれば、空中から撮影した地表面の目標物の位置を、距離測定装置は使用せずに、予め作成されている高度情報を有する地勢データを利用して三次元的に特定することができるので、迅速、かつ比較的精度よく災害対策などを実行することができる。
【0031】
また本発明によれば、特定された目標物の位置を地名等が明示される二次元地図上に表示するので、目標物の周囲の状況なども含めて容易に位置を把握することができる。
【0032】
また本発明によれば、目標物を撮影する際の視野を地名等が明示される二次元地図上に表示するので、発生している災害などの程度を容易に把握することができる。
【0033】
また本発明によれば、赤外線カメラを用いて夜間撮影可能となり、撮影した映像は地上でも受信可能であるので、夜間に発生する災害などを地上と密接に連携して、効果的な対策を講じることができる。
【0034】
また本発明によれば、目標物の撮影を行う飛行体は、空中における撮影位置を三次元的に特定する機能を利用して飛行体の運航管制を行うので、災害が発生していない平時などにも有効に装備を利用することができる。
【0035】
さらに本発明によれば、機体に搭載される撮影手段が目標物を撮影すると、機体の位置を機体位置特定手段が特定し、特定された位置に基づいて地表面記録手段に記録されている地表面の起伏についての高度情報を含む三次元的な位置と、方向検出手段が検出する撮影手段の向いている方向とに基づいて、距離を直接測定することなく、演算処理手段が目標物の位置を特定する。機体からは、撮影手段を目的物の方向に向けるだけで、地表面の目的物の位置を三次元的に特定することができるので、災害の発生時などに迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の基本的な構成を示す簡略化した側面図である。
【図2】図1の実施例を用いる災害撮影システムの構成を示す簡略化した斜視図である。
【図3】図2の空撮映像およびその部分拡大画面である。
【図4】災害発生地点後、二次元表示画面である。
【図5】図1の実施例でヘリコプタ1に搭載される機器の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図2の構成で災害対策本部10内の機器の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ヘリコプタ
2 撮影装置
3 目標物
4 地表面
5 二次元平面
6 空撮映像
7 現地本部指揮車
10 災害対策本部
11 自動追尾空中線装置
12 制御装置
13 大型プロジェクタ
14 操作卓
20 災害発生地点
21 カメラの視野
22 カメラの方向
30 カメラ
30a TVカメラ
30b 赤外線カメラ
31 ジンバル・ユニット
34,60,62,65 モニタ
35 撮影制御ユニット
37 GPS受信機
38 三次元地理データ記憶装置
39 位置検出装置
40,50 データ処理ユニット
51 地図画像発生ユニット
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-01-24 
結審通知日 2014-01-28 
審決日 2014-02-12 
出願番号 特願平7-84350
審決分類 P 1 113・ 121- ZAA (G01C)
最終処分 成立  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 小林 紀史
中塚 直樹
登録日 1997-09-12 
登録番号 特許第2695393号(P2695393)
発明の名称 位置特定方法および装置  
代理人 堀川 大介  
代理人 木村 満  
代理人 堀川 大介  
代理人 松葉 栄治  
代理人 木村 満  
代理人 笠原 基広  
代理人 中村 京子  
代理人 笠原 基広  
代理人 岡田 和男  
代理人 鈴木 洋雅  
代理人 桜田 圭  
代理人 中村 京子  
代理人 桜田 圭  
代理人 鈴木 洋雅  
代理人 岡田 和男  
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