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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1288933 |
審判番号 | 不服2013-2046 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-02-04 |
確定日 | 2014-06-19 |
事件の表示 | 特願2007-336136「内視鏡用挿入補助具」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月16日出願公開、特開2009-153764〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年12月27日の出願であって、平成24年8月7日付けで拒絶理由が通知され、同年10月11日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされ、同年11月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成25年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成25年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成25年2月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成24年10月11日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、 「 内部に内腔が形成されたチューブ状部と、前記チューブ状部の基端に連結され内部に前記チューブ状部の内腔に通じる挿入孔が形成された外部固定部とを備え、患者の皮膚表面と胃壁の内面との間に形成された瘻孔に前記チューブ状部を位置させた状態で前記瘻孔に留置される胃瘻カテーテルに内視鏡を挿入する際に用いられる内視鏡用挿入補助具であって、 前記外部固定部に気密または液密に係合可能で内部に前記内視鏡を通すことのできる筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられ前記筒状本体と前記内視鏡との間をシールするシール部材とを備え、さらに、 前記外部固定部の挿入孔に、前記挿入孔を開閉するスリットを備えた弁体を設けて、前記筒状本体に前記挿入孔に係合できる係合部を設け、前記係合部を前記挿入孔に係合させたときに、前記係合部の端部が前記弁体に密着した状態で前記弁体を押し開くようにしたことを特徴とする内視鏡用挿入補助具。」が 「 内部に内腔が形成されたチューブ状部と、前記チューブ状部の基端に連結され内部に前記チューブ状部の内腔に通じる挿入孔が形成された外部固定部とを備え、前記外部固定部には先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されており、患者の皮膚表面と胃壁の内面との間に形成された瘻孔に前記チューブ状部を位置させた状態で前記瘻孔に留置される胃瘻カテーテルに内視鏡を挿入する際に用いられる内視鏡用挿入補助具であって、 前記外部固定部に気密または液密に係合可能で内部に前記内視鏡を通すことのできる筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられ前記筒状本体と前記内視鏡との間をシールするシール部材とを備え、さらに、 前記外部固定部の挿入孔に、前記挿入孔を開閉するスリットを備えた弁体を設けて、前記筒状本体に前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合できる係合部を設け、前記係合部を前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合させたときに、前記係合部の端部が前記弁体に密着した状態で前記弁体を押し開くようにしたことを特徴とする内視鏡用挿入補助具。」と補正された。(下線は補正箇所を示す。) そして、この補正は、「外部固定部」について、「先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されて」いることを特定すると共に、「筒状本体」の「係合部」が係合する「外部固定部」の「挿入孔」の部分について、「前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分」であることを特定する補正事項からなり、当該補正事項は、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正事項であるといえる。 よって、本件補正における請求項1に係る発明の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的とするものである。 2 独立特許要件違反についての検討 (1)そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。 (2)引用例 ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-204920号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。(下記の「イ 引用例1に記載された発明の認定」において直接引用した記載に下線を付した。) 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、臓器内に経腹腔的または経皮的に挿入可能な挿入具の挿入を補助する挿入補助具に関する。」 「【0008】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発明の好ましい実施の形態について説明する。 【0009】(第1の実施の形態)まず、第1の実施の形態について図1ないし図3を用いて説明する。図1に示すように、この実施の形態にかかる治療装置は、2つの軟性内視鏡11,22を備えている。これら内視鏡11,22は、それぞれ体腔内に挿入可能な軟性の挿入部11a,22aを備えている。また、これら挿入部11a,22aの先端にはそれぞれ湾曲可能な湾曲部11b,22bを備えている。さらに、これら湾曲部11b,22bは、内視鏡11,22の本体にそれぞれ設けられた操作部11c,22cで操作される。これら内視鏡11,22の挿入部11a,22aには図示しないが、例えば鉗子チャンネルや送気・送水・吸引チャンネル、観察光学系などのうち、選択された内蔵物が配設されている。この実施の形態では、少なくとも1つの鉗子チャンネルと、観察光学系とが各軟性内視鏡11,22の挿入部11a,22aに設けられている。 【0010】これら軟性内視鏡11,22の挿入部11a,22aは例えば胃2などの臓器内に挿入される。一方の第1の軟性内視鏡11は経口的に胃2の内部に挿入され、他方の第2の軟性内視鏡22は胃2の内部と体外とを連通する胃ろう形成チューブ4を介して胃2の内部に挿入される。この胃ろう形成チューブ4はドーム部6とチューブ8とからなり、このチューブ8の一端がドーム部6に接続されている。また、この胃ろう形成チューブ4には皮膚表面でストッパー10が噛まされて、胃2の内部に落下しないように係止される。なお、これらドーム部6および湾曲チューブ8は例えば医療用の塩化ビニルやPTFEやシリコーンゴム材などで形成されていることが好適である。 【0011】この胃ろう形成チューブ4は以下のようにして留置され、胃2の内部と体外とを接続する。まず、図2の(A)に示すように、第1の軟性内視鏡11の挿入部11aを胃2の内部に経口的に挿入しておく。そして、胃ろう形成チューブ4の配置部位を選定するため、腹壁を指で押して、胃壁2aが粘膜下腫瘍のように内腔に隆起することを確認する。次に、第1の内視鏡11を用いてその内視鏡11の挿入部11a先端からの透過光を腹壁越しに確認し、この透過光が弱い場合には第1の内視鏡11の光量設定を行なう。そして、穿刺位置(胃ろう孔形成位置)を選定し、この場所をマジックペンなどでマークしておく。その後、選定部位に外筒付き穿刺針(図示せず)を胃2の内部まで穿刺し、内筒である穿刺針を抜去する。そして、図2の(B)に示すように、外筒12内にループワイヤ13を挿入し、予め経口的に胃2の内部に挿入された第1の内視鏡11の鉗子チャンネルの1つに挿入されたポリペクトミー用スネア14で把持する。図2の(C)に示すように、このスネア14でループワイヤ13を把持したまま第1の内視鏡11を口腔外に引き出す。このとき、外筒12から体腔外には、上述のループワイヤ13がさらに延びている。そして、胃ろう形成チューブ4と口腔から引き出されたループワイヤ13とを結び、図2の(D)に示すように体表部側のループワイヤ13を引っ張って胃ろう形成チューブ4を経口的に胃2内にドーム部6を密着させ、チューブ8を体腔外に引き出した状態にする。その後、図2の(E)に示すように、第1の内視鏡11を再び経口的に挿入し、胃ろう形成チューブ4のドーム部6が胃壁に食い込んでいないことを内視鏡11で観察して確認する。そして、チューブ8を所望の位置で切断し、図1に示すように、ストッパー10を噛ませて、皮膚表面がストッパー10に対して水平になるように調整しておく。このストッパー10を噛ませたことによって、チューブ8の内径が変化するものではない。なお、胃ろう形成チューブ4を用いて胃2の内部に第2の内視鏡22や流体物などを導入しない場合、フィーディングアダプター(図示せず)などを体腔外側のチューブ8の他端部に嵌合させ、胃2の内部と外部とを遮断することが好適である。」 「【0076】(第13の実施の形態)第13の実施の形態について図18および図19を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であり、同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。 【0077】図18に示すように、この実施の形態にかかる治療装置は、胃2の内部に第1および第2の軟性内視鏡11,22が挿入されている。胃ろう形成チューブ4にのチューブ8の上端部には、体外側から内視鏡22の挿入部22aの挿入補助具120が設けられている。この挿入補助具120は挿入部120aの挿通を滑らかにするために使用される。 【0078】図19の(A)に示すように、この挿入補助具120は内視鏡22の挿入部22aが挿通可能な貫通孔122を備えている。この貫通孔122の直径は内視鏡22の挿入部22aの直径よりもやや大きく形成され、挿入部22aを貫通孔122内で摺動可能に形成されている。この貫通孔122の上端部近傍には、例えばOリングなどからなるシール部材124が配設されている。このシール部材124は挿入補助具120の上端部から固定具126を介して固定されている。この固定具126は挿入補助具120の本体に螺着されている。さらに、この固定具126にはカニメ穴127を備えている。また、この挿入補助具120の下端部には胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部に嵌合される接続部128を備えている。さらに、このシール部材124と接続部128との間の側方には、貫通孔122に接続された送気口金(エアー導入管路)130が設けられている。この送気口金130には、送気ホース132aの一端が接続され、この送気ホース132aの他端に過昇圧防止弁(圧力制御弁)134が設けられている。さらに、この過昇圧防止弁134の前方には、送気ホース132bを介してエアー送気可能な送気ポンプ(送流手段)136が配設されている。 【0079】また、図19の(B)に示すように、過昇圧防止弁134には、弁134aと圧力検知機構134bと作動制御機構134cとを備えている。圧力検知機構134bは弁134aを通して胃2の内部の圧力と、送気ポンプ136から送気されるエアーの圧力とを例えば0.5秒/回などの所定のインターバルで検知する。また、作動制御機構134cは、圧力検知機構134bによって検知した圧力によって、弁134aの開閉および送気ポンプ136の作動を制御する。このため、胃2の内部が所定の圧力に達すると送気ポンプ136の作動が停止するとともに、弁134aが閉じる。一方、胃2の内部にエアーを送気する場合は胃2側の圧力を検知して、胃2の内部が所定の圧力に達していない場合は送気ポンプ136が作動するとともに弁134aが開いて胃2の内部にエアーが送気される。 【0080】このような挿入補助具120を胃ろう形成チューブ4のチューブ8上端部に配設して、この挿入補助具120を介して内視鏡22の挿入部22aを胃2の内部に挿入して、これを摺動させる場合、以下のように作用される。まず、送気ポンプ136からエアー138を送気し、送気ホース132b、過昇圧防止弁134、送気ホース132aおよび送気口金130を介して挿入補助具120の本体内に送気しながら挿入補助具120の貫通孔122に内視鏡22の挿入部22aを挿入する。この内視鏡22の挿入部22aの挿入によって、送気ポンプ136から送気されるエアーが胃2の内部に送気される。さらに挿入部22aを挿入すると、挿入補助具120の貫通孔122と内視鏡22の挿入部22aとの間に送気されたエアー138の流れ作用によって、貫通孔122と挿入部22aとの間の摩擦係数が減少して、内視鏡22の挿入部22aを貫通孔122内で滑らかに摺動させることができる。 【0081】なお、胃2の内部が過昇圧防止弁134に設けられた圧力検知機構134bにより、所定の圧力に達したことを検知した場合、作動制御装置134cにこのデータが送られて送気ポンプ136の作動が停止し、弁134aが閉じる。 【0082】したがって、この挿入補助具120を使用すると、送気ポンプ136によってエアー138を貫通孔122を通して胃2の内部を所望の圧力にするまで送気するとともに、このエアー138の流れによって貫通孔122と内視鏡22の挿入部22aとの間に潤滑作用を備えている。 【0083】なお、この実施の形態にかかる挿入補助具120は、内視鏡22の挿入部22aの摺動を検知するセンサー(図示せず)が装着されていることが好適である。この挿入部22aの摺動がセンサーに検知されて送気ポンプ136が作動してエアーの送気開始および送気停止が自動的に制御され、かつ、胃2の内部が好適な圧力に保持されるように形成されていることが好適である。 【0084】胃2の内部の背中側の胃粘膜に病変部28が存在する場合、この病変部28はこれら2つの軟性内視鏡11,22によって以下のように処置される。図18に示すように、胃ろう形成チューブ4の上端に挿入補助具120を嵌合させる。次に、第1の軟性内視鏡11を経口的に胃2の内部に挿入する。また、送気ポンプ136を作動させて、挿入補助具120にエアー138を送気しながら第2の内視鏡22の挿入部22aを挿入補助具120の貫通孔122に挿入し、胃ろう形成チューブ4を介して挿入部22aを胃2の内部に挿入する。この状態で、胃2の内部にエアー138が送られ、膨らませられた状態にされる。その後、第1および第2の内視鏡11,22で病変部28を再確認する。そして、第2の内視鏡22に挿入された把持鉗子24を用いてこの病変部28を把持した後、把持鉗子24を引っ張って病変部28を持ち上げる。続いて、この病変部28を針状メス30を用いて切除する。そして、このような処置が終了した後、切除部分を把持したまま第2の軟性内視鏡22を生体内から抜去し、病変部28を回収して検査を行なう。 【0085】したがって、この実施の形態について以下のことがいえる。 【0086】この実施の形態で説明したように、挿入補助具120を胃ろう形成チューブ4に設けたことによって、手術時に胃2の内部を膨らませて所望の圧力に制御することができるとともに、術時の内視鏡22の挿入部22aの挿通(摺動)を滑らかにすることができる。」 「【図18】 ![]() 」 「【図19】(A) ![]() 」 イ 引用例1に記載された発明の認定 上記【0078】?【0086】及び【図19】(A)の記載から、シール部材124は挿入補助具120と内視鏡22との間をシールするものであることが読み取れる。 また、【図19】(A)には、挿入補助具120が貫通孔122の方向に長い筒状の形状であること、接続部128が内視鏡22の挿入部22aに沿って長い筒状の構造を有することが示されている。 よって、上記記載(図面の記載も含む)から、引用例1には、 「臓器内に経腹腔的または経皮的に挿入可能な挿入具の挿入を補助する挿入補助具に関し、 軟性内視鏡22は胃2の内部と体外とを連通する胃ろう形成チューブ4を介して胃2の内部に挿入され、この胃ろう形成チューブ4はドーム部6とチューブ8とからなり、このチューブ8の一端がドーム部6に接続されており、また、この胃ろう形成チューブ4には皮膚表面でストッパー10が噛まされて、胃2の内部に落下しないように係止され、 この胃ろう形成チューブ4は留置され、胃2の内部と体外とを接続し、 胃ろう形成チューブ4を用いて胃2の内部に第2の内視鏡22や流体物を導入しない場合、フィーディングアダプターを体腔外側のチューブ8の他端部に嵌合させ、胃2の内部と外部とを遮断し、 胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部には、体外側から内視鏡22の挿入部22aの挿入補助具120が設けられ、この挿入補助具120は挿入部120aの挿通を滑らかにするために使用され、 この挿入補助具120は内視鏡22の挿入部22aが挿通可能な貫通孔122を備えており、 この挿入補助具120は貫通孔122の方向に長い筒状の形状であり、この貫通孔122の上端部近傍には、Oリングからなるシール部材124が配設され、このシール部材124は挿入補助具120の上端部から固定具126を介して固定されており、この固定具126は挿入補助具120の本体に螺着され、シール部材124は挿入補助具120と内視鏡22との間をシールし、 この挿入補助具120の下端部には胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部に嵌合される接続部128を備え、この接続部128は内視鏡22の挿入部22aに沿って長い筒状の構造を有しており、 この挿入補助具120を胃ろう形成チューブ4のチューブ8上端部に配設して、この挿入補助具120を介して内視鏡22の挿入部22aを胃2の内部に挿入して、これを摺動させる場合、まず、送気ポンプ136からエアー138を送気し、送気ホース132b、過昇圧防止弁134、送気ホース132aおよび送気口金130を介して挿入補助具120の本体内に送気しながら挿入補助具120の貫通孔122に内視鏡22の挿入部22aを挿入し、この内視鏡22の挿入部22aの挿入によって、送気ポンプ136から送気されるエアーが胃2の内部に送気され、さらに挿入部22aを挿入すると、挿入補助具120の貫通孔122と内視鏡22の挿入部22aとの間に送気されたエアー138の流れ作用によって、貫通孔122と挿入部22aとの間の摩擦係数が減少して、内視鏡22の挿入部22aを貫通孔122内で滑らかに摺動させることができ、 胃ろう形成チューブ4の上端に挿入補助具120を嵌合させ、送気ポンプ136を作動させて、挿入補助具120にエアー138を送気しながら第2の内視鏡22の挿入部22aを挿入補助具120の貫通孔122に挿入し、胃ろう形成チューブ4を介して挿入部22aを胃2の内部に挿入し、この状態で、胃2の内部にエアー138が送られ、膨らませられた状態にされ、 挿入補助具120を胃ろう形成チューブ4に設けたことによって、手術時に胃2の内部を膨らませて所望の圧力に制御することができるとともに、術時の内視鏡22の挿入部22aの挿通(摺動)を滑らかにすることができるようにした挿入補助具120。」 の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 ウ 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-296794号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、患者の胃等の所定の部位内に流動食等の流体物を供給したり、腎盂等の所定の部位から尿等の流体物を排出したりするために用いられる体内留置具に関する。」 「【0017】 (第1実施形態) 以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態による体内留置具Aを示している。この体内留置具Aは、患者の腹部と胃壁との間に形成された瘻孔に設置されて流動食等の流体物を胃内に供給するために用いられるものであり、それぞれポリウレタンからなる外部保持部材10と、外部保持部材10の下端に連結された筒状部材11と、筒状部材11の下端に取り付けられた内部保持部材20とで構成されている。以下、外部保持部材10側を上側、内部保持部材20側を下側として説明する。 【0018】 外部保持部材10は、やや肉厚のリング状に形成された本体12と、本体12の左右両側の下端部からそれぞれ外側に突出した一対の外部保持片13a,13bと、一方の外部保持片13aに一体的に接続された蓋部材14と、本体12の下面中央に形成された筒状の接続部15とで構成されている。そして、本体12の中央に形成された上下に貫通する係合穴部16の周面には、係合用の溝部16aが円周に沿って形成されている。 【0019】 また、係合穴部16は、上端開口側が広く、溝部16aの下方側部分が下方に行くほど徐々に狭くなっている。そして、係合穴部16の下端部に、上端開口が円形で下端流入口が直線状に形成された逆流防止弁16bが形成されており、その逆流防止弁16bの外周側には空間部が形成されている。また、外部保持片13a,13bは、それぞれ本体12の側部から水平方向に向かって延びており、本体12とともに、胃内に体内留置具Aが引き込まれることを防止する機能を有する。 【0020】 蓋部材14は、外部保持片13aに連結された帯状連結部17と帯状連結部17の先端側部分に設けられた栓部18とで構成されている。帯状連結部17は可撓性を有しており、外部保持片13aとの接続部を中心として、上下方向に回転するように曲がったり、急な角度で屈曲したりすることができる。また、栓部18は、帯状連結部17を折り曲げてその先端側部分を本体12の上面に位置させたときに、係合穴部16と対向する位置に設けられている。栓部18は、係合穴部16に係合できる長さの短い円柱状に形成されその外周面には、係合穴部16の溝部16aと着脱可能に係合できる突部18aが円周に沿って設けられている。 【0021】 したがって、帯状連結部17を折り曲げて栓部18を係合穴部16に押し付けることにより溝部16aと突部18aとを係合させることができ、これによって本体12の係合穴部16を閉塞することができる。また、帯状連結部17の先端部を引っ張って栓部18と係合穴部16との係合を解除することにより本体12の係合穴部16を開くことができる。接続部15は、逆流防止弁16bの外周の空間部の周縁部から下方に向かって延びており、内部に筒状部材11の上端部が挿入された状態で固定されている。この筒状部材11の中心部は、流動食等の流体物(図示せず)を通過させるための供給流路11aに形成されており、供給流路11aの上端は逆流防止弁16bを介して外部保持部材10の係合穴部16に連通している。」 「【0042】 そして、患者が流動食や栄養剤等の流体物を摂取する際には、外部保持部材10の係合穴部16を開き、係合穴部16に流体供給用チューブ(図示せず)を接続する。その状態で、流体供給用チューブの端部開口から流体供給用チューブ内に流体物を入れる。この結果、流体物は流体供給用チューブから係合穴部16および供給流路11aを介して患者の胃内に供給される。この際、筒状部材11の下端開口から出た流体物は、内部保持部材20内から各帯状部材22a,22bの間を通過して胃内に入る。また、使用後は、外部保持部材10から流体供給用チューブを外し、係合穴部16を閉じておく。」 「【図1】 ![]() 」 (3)本願補正発明と引用発明との対比 ア 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「チューブ8」は、内視鏡22や流体物が導入されるものであるから、内部に内腔が形成されていることは明らかであり、本願補正発明の「内部に内腔が形成されたチューブ状部」に相当する。 (イ)引用発明の「この胃ろう形成チューブ4には皮膚表面でストッパー10が噛まされて、胃2の内部に落下しないように係止され、この胃ろう形成チューブ4は留置され、胃2の内部と体外とを接続」することが、本願補正発明の「患者の皮膚表面と胃壁の内面との間に形成された瘻孔に前記チューブ状部を位置させた状態で前記瘻孔に留置される」ことに相当し、引用発明の「胃ろう形成チューブ4」が、本願補正発明の「胃瘻カテーテル」に相当するから、引用発明の「この胃ろう形成チューブ4には皮膚表面でストッパー10が噛まされて、胃2の内部に落下しないように係止され、この胃ろう形成チューブ4は留置され、胃2の内部と体外とを接続し」た際に、「胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部に」「体外側から」設けられる「内視鏡22の挿入部22aの挿入補助具120」が、本願補正発明の「患者の皮膚表面と胃壁の内面との間に形成された瘻孔に前記チューブ状部を位置させた状態で前記瘻孔に留置される胃瘻カテーテルに内視鏡を挿入する際に用いられる内視鏡用挿入補助具」に相当する。 (ウ)引用発明の「ストッパー10」と、本願補正発明の「外部固定部」とは、体外においてチューブ状部を固定する機能を有するものである点で共通する。 (エ)引用発明の「この挿入補助具120は内視鏡22の挿入部22aが挿通可能な貫通孔122を備えて」いることが、本願補正発明の「内部に前記内視鏡を通すことのできる」ことに相当し、引用発明の「貫通孔122の方向に長い筒状の形状」る「挿入補助具120」が、本願補正発明の「筒状本体」に相当する。また、引用発明の「胃ろう形成チューブ4の上端に挿入補助具120を嵌合させ、送気ポンプ136を作動させて、挿入補助具120にエアー138を送気しながら第2の内視鏡22の挿入部22aを挿入補助具120の貫通孔122に挿入し、胃ろう形成チューブ4を介して挿入部22aを胃2の内部に挿入し、この状態で、胃2の内部にエアー138が送られ、膨らませられた状態にされ、挿入補助具120を胃ろう形成チューブ4に設けたことによって、手術時に胃2の内部を膨らませて所望の圧力に制御することができる」ことは、「挿入補助具120」が、「胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部に」気密に係合可能であることを意味しており、引用発明の「挿入補助具120」は、本願補正発明の「気密または液密に係合可能」な構成を備えているといえる。よって、引用発明の「内視鏡22の挿入部22aが挿通可能な貫通孔122を備えて」おり、「貫通孔122の方向に長い筒状の形状であ」り、「胃ろう形成チューブ4の上端」に「嵌合させ」、「送気ポンプ136を作動させて、挿入補助具120にエアー138を送気しながら第2の内視鏡22の挿入部22a」を「貫通孔122に挿入し、胃ろう形成チューブ4を介して挿入部22aを胃2の内部に挿入し、この状態で、胃2の内部にエアー138が送られ、膨らませられた状態にされ」、「胃ろう形成チューブ4に設けたことによって、手術時に胃2の内部を膨らませて所望の圧力に制御することができる」「挿入補助具120」が、本願補正発明の「気密または液密に係合可能で内部に前記内視鏡を通すことのできる筒状本体」に相当する。 (オ)引用発明の「この貫通孔122の上端部近傍に」配設され、「挿入補助具120の上端部から固定具126を介して固定されており」、「挿入補助具120と内視鏡22との間をシール」する「Oリングからなるシール部材124」が、本願補正発明の「前記筒状本体に取り付けられ前記筒状本体と前記内視鏡との間をシールするシール部材」に相当する。 (カ)引用発明の「接続部128」は、「胃ろう形成チューブ4のチューブ8の上端部に嵌合される」ものであるから、本願補正発明の「係合部」と、胃瘻カテーテルの挿入孔に係合できる部分である点で共通する。 イ 一致点 よって、本願補正発明と引用発明とは、 「内部に内腔が形成されたチューブ状部と、前記チューブ状部の基端に設けられた外部固定部とを備え、患者の皮膚表面と胃壁の内面との間に形成された瘻孔に前記チューブ状部を位置させた状態で前記瘻孔に留置される胃瘻カテーテルに内視鏡を挿入する際に用いられる内視鏡用挿入補助具であって、 前記胃瘻カテーテルに気密または液密に係合可能で内部に前記内視鏡を通すことのできる筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられ前記筒状本体と前記内視鏡との間をシールするシール部材とを備え、さらに、 前記筒状本体に前記胃瘻カテーテルの挿入孔に係合できる係合部を設けた内視鏡用挿入補助具。」 の発明である点で一致し、次の点で相違する。 ウ 相違点 本願補正発明においては、(ア)外部固定部が、「前記チューブ状部の基端に連結され」、「内部に前記チューブ状部の内腔に通じる挿入孔が形成され」、「先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されており」、前記「挿入孔に、前記挿入孔を開閉するスリットを備えた弁体を設け」たものであり、(イ)「前記筒状本体に前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合できる係合部を設け」、(ウ)「前記係合部を前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合させたときに、前記係合部の端部が前記弁体に密着した状態で前記弁体を押し開くようにした」のに対して、引用発明においては、外部固定部及び係合部に関してそのような特定がない点。 (4)当審の判断 ア 上記相違点について検討する。 (ア) 引用例2には、「患者の腹部と胃壁との間に形成された瘻孔に設置されて流動食等の流体物を胃内に供給するために用いられる体内留置具Aの外部保持部材10に関し、筒状部材11の上端に連結されやや肉厚のリング状に形成された本体12と、本体12の下端部から外側に突出した外部保持片13aに一体的に接続された蓋部材14と、前記本体12の中央に形成された上下に貫通する係合穴部16の周面に円周に沿って形成された係合用の溝部16aと、前記係合穴部16の下端部に、上端開口が円形で下端流入口が直線状に形成された逆流防止弁16bとを備え、前記蓋部材14は、外部保持片13aに連結された帯状連結部17と前記帯状連結部17の先端側部分に設けられた栓部18とで構成され、前記栓部18は、前記係合穴部16に係合できる長さの短い円柱状に形成され、その外周面には前記係合穴部16の前記溝部16aと着脱可能に係合できる突部18aが円周に沿って設けられており、前記帯状連結部17を折り曲げて前記栓部18を前記係合穴部16に押し付けることにより前記溝部16aと前記突部18aとを係合させることができ、これによって前記本体12の前記係合穴部16を閉塞する」ことが記載されている。 ここで、引用例2の「筒状部材11」は、筒状であることから内腔を有することは明らかであり、上記相違点における「チューブ状部」に相当し、引用例2の「外部保持部材10」が「筒状部材11の上端に連結されやや肉厚のリング状に形成された本体12」を備え、「前記本体12の中央に形成された上下に貫通する係合穴部16」を備えることとが、上記相違点における外部固定部が「前記チューブ状部の基端に連結され」、「内部に前記チューブ状部の内腔に通じる挿入孔が形成され」ていることに相当する。 そして、引用例2の「本体12の下端部から外側に突出した外部保持片13aに一体的に接続された蓋部材14」は、「外部保持片13aに連結された帯状連結部17と前記帯状連結部17の先端側部分に設けられた栓部18とで構成され」ており、全体として細長い形状であるといえるから、引用例2の「蓋部材14」が上記相違点における「細長い蓋部」に相当し、引用例2の「栓部18」が上記相違点における「栓部」に相当し、引用例2の「前記本体12の中央に形成された上下に貫通する係合穴部16の周面に円周に沿って形成された係合用の溝部16a」を備え、「前記栓部18は、前記係合穴部16に係合できる長さの短い円柱状に形成され、その外周面には前記係合穴部16の前記溝部16aと着脱可能に係合できる突部18aが円周に沿って設けられて」いることが、上記相違点における「前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されて」いることに相当するから、引用例2の「本体12の下端部から外側に突出した外部保持片13aに一体的に接続された蓋部材14」が「外部保持片13aに連結された帯状連結部17と前記帯状連結部17の先端側部分に設けられた栓部18とで構成され」、「前記本体12の中央に形成された上下に貫通する係合穴部16の周面に円周に沿って形成された係合用の溝部16a」を備え、「前記栓部18は、前記係合穴部16に係合できる長さの短い円柱状に形成され、その外周面には前記係合穴部16の前記溝部16aと着脱可能に係合できる突部18aが円周に沿って設けられて」いることが、上記相違点における「先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されて」いることに相当する。 さらに、引用例2の「前記係合穴部16の下端部に、上端開口が円形で下端流入口が直線状に形成された逆流防止弁16bとを備え」たことが、上記相違点における「挿入孔に、前記挿入孔を開閉するスリットを備えた弁体を設け」たことに相当する。 よって、上記相違点における、外部固定部が、「前記チューブ状部の基端に連結され」、「内部に前記チューブ状部の内腔に通じる挿入孔が形成され」、「先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されており」、前記「挿入孔に、前記挿入孔を開閉するスリットを備えた弁体を設け」たものであることが、引用例2にも記載されているといえる。 すなわち、上記相違点の(ア)の部分は、引用例2に記載された事項である。 (イ) 次に、上記相違点の(イ)の部分について考察すると、係合部の構造を被係合部の構造に合わせて係合できるようにすることは、当業者であれば当然考慮すべき事項であるから、上記相違点の(イ)の部分は、当業者が当然考慮すべき設計的事項にすぎない。 (ウ) また、上記相違点の(ウ)の部分については、患者の体内と体外とを接続する留置具が有する弁体を前記留置具に接続される部材で押し開き、前記弁体が前記部材に密着した状態とすることは、例えば、特開平6-38923号公報(【0019】?【0022】、【図1】参照。フラップ24が弁体に相当する。)、特表平11-505731号公報(第20ページ第14?26行、【図9】?【図11】参照。)に例を見るように、本願出願前において周知である。 ここで、本願補正発明において、前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合させたときに、前記弁体に密着した状態で前記弁体を押し開くようにされた「係合部の端部」は、本願明細書【0024】の「そして、係合部26bの第2段は、胃瘻カテーテル10の挿入孔14に形成された係合溝部に着脱可能に係合できるリング状突部26cを構成しており、リング状突部26cが係合溝部に係合したときに、係合部26bと挿入孔14の周面との間は気密および液密状態になる。また、その際、係合部26bの下端部は、挿入孔14に形成された弁体14aのスリットを押し広げて、係合部26bの外周面とスリットの周縁部とは密着状態になる。」という記載を参酌するに、係合部の端面のみならず、外周面をも含むものである。 以上から、上記相違点の(ウ)の部分は、本願の出願時における周知技術であるといえる。 (エ) 引用例1の【0011】の「胃ろう形成チューブ4を用いて胃2の内部に第2の内視鏡22や流体物などを導入しない場合、フィーディングアダプター(図示せず)などを体腔外側のチューブ8の他端部に嵌合させ、胃2の内部と外部とを遮断することが好適である。」の記載から、引用発明の胃ろう形成チューブ4は、胃2の内部に流体物を導入するためにも用いられ、流体物などを導入しない場合にはフィーディングアダプターなどを嵌合させて前記胃2の内部と外部とを遮断するものであるから、係脱可能な栓部や挿入孔を開閉する弁体を備えることが好ましいことは明らかである。よって、引用発明においても、胃ろう形成チューブ4に代えて上記の引用例2に記載された係脱可能な栓部や挿入孔を開閉する弁体を備える体内留置具Aを採用することに困難性はない。そして、その際に、上記(イ)及び(ウ)の考察で述べた事項に鑑み、接続部128を外部固定部の挿入孔の内周面に形成され栓部が係合できる部分に係合できる構造とすると共に、引用発明の接続部128が内視鏡22の挿入部22aに沿って長い筒状の構造を有するものであることを勘案すれば、前記接続部128を前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分に係合させたときに、その端部が弁体に密着した状態で前記弁体を押し開くように構成し、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。 イ 本願補正発明の奏する作用効果 そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに上記周知の事項から当業者が予測し得る程度のものである。 ウ まとめ 以上のとおりであり、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (5)むすび したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成25年2月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年10月11日付けの手続補正による補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成25年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。) 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成25年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。 3 対比・判断 上記「第2 平成25年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「1 本件補正について」に記載したように、本願発明の「外部固定部」について、「先端に栓部が形成された細長い蓋部が備わって、前記挿入孔の内周面には前記栓部が係合できる部分が形成されて」いることを特定すると共に、「筒状本体」の「係合部」が係合する「外部固定部」の「挿入孔」の部分について、「前記挿入孔の内周面に形成され前記栓部が係合できる部分」であることを特定して限定したものが本願補正発明である。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、本願発明をさらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成25年2月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明との対比」及び「(4)当審の判断」において記載したとおり、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び引用例2に記載された発明並びに上記周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-04-16 |
結審通知日 | 2014-04-22 |
審決日 | 2014-05-08 |
出願番号 | 特願2007-336136(P2007-336136) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 裕一 |
特許庁審判長 |
森林 克郎 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 渡戸 正義 |
発明の名称 | 内視鏡用挿入補助具 |
代理人 | 特許業務法人プロスペック特許事務所 |