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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01N
管理番号 1289047
審判番号 不服2011-22696  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-21 
確定日 2014-06-18 
事件の表示 特願2006-504680「除草剤混合物」拒絶査定不服審判事件〔2004年9月23日国際公開、WO2004/080182、平成18年 9月7日国内公表、特表2006-520356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、2004年3月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2003年3月13日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年3月26日付けの拒絶理由に対して、同年9月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年6月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月21日に審判請求がなされ、平成25年4月8日付けの拒絶理由に対して、同年10月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月11日付けの審尋に対して、指定期間内に回答書が提出されなかったものである。

第2 平成25年4月8日付け拒絶理由通知について
当審は、平成25年4月8日付けで拒絶理由を通知したが、その拒絶理由通知の内容は概略以下のとおりのものである。

「…
第2 拒絶の理由1
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1…号に適合するものでないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。

2 第36条第6項第1号(サポート要件)について

したがって、特許請求の範囲の請求項1及び請求項1を直接間接に引用する請求項2?19の特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、本願特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでない。
…」

第3 本願発明の認定
この出願の発明は、平成25年10月9日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1の特許を受けようとする発明は、次のとおりのものであると認める。

「A)ピコリナフェン(I)
【化1】

または1種のその環境適合性の塩と;
B)相乗的有効量の、クロルスルフロン、トリアスルフロン、トリトスルフロン、スルホスルフロンおよびフルピルスルフロンから選択されるスルホニルウレア;
または1種のその環境適合性の塩と;
所望により、
C)ジクロルミド、ベノキサコール、LAB 145 138、MG-191、フリラゾール、シオメトリニル、オキサベトリニル、フルキソフェニム、フルラゾール、ナフタル酸無水物、フェンクロリム、フェンクロラゾール-エチル、メフェンピル、イソキサジフェン、クロキントセット、1-エチル-4-ヒドロキシ-3(1H-テトラゾール-5-イル)-1H-キノリン-2-オン、4-カルボキシルメチル-クロマン-4-カルボン酸、N-(2-メトキシベンジル)-4-(3-メチルウレイド)-ベンゼンスルホンアミド、および(3-オキソ-イソチオクロマン-4-イリデンメトキシ)酢酸メチルエステルよりなる群から選択される少なくとも1種の薬害軽減剤;
または1種のその環境適合性の塩、エステル、もしくはアミドと;
を含む相乗的除草剤混合物。」

第4 当審の判断
当審の上記拒絶理由通知に対して、指定期間内に意見書及び手続補正書が提出されたので、その補正された後のこの出願の発明につき、上記「第2 拒絶の理由1」と同様の理由が成立するか否か再度検討を行う。

1 はじめに
特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定されている。 同号に規定する要件(いわゆる、「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは、「特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できるものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきもの」(知財高裁特別部判決平成17年(行ケ)第10042号判決)である。
以下、この観点に立って検討する。

2 発明の課題について
この出願の特許を受けようとする発明の課題は、この出願の明細書(以下「本願明細書」という。)の[0008]段落の記載からみて「望ましくない有害植物に対するピコリナフェンの活性および/または選択性を増大させること」であると認められる。

3 検討
本願明細書の[0010]段落には、「本発明に係る化合物は、相乗効果を示し;特定の作物に対するグループA)、B)、および所望によりC)の除草活性化合物の適合性は、一般的には保持される」と記載され、[0291]?[0300]段落において「ピコリナフェンとクロルスルフロン又はピコリナフェンとトリアスルフロンのような本発明に係る除草剤混合物は、出芽後条件下において、単独使用時に観測された各成分の作用に基づいてColbyの式から予想されるよりも大きい除草作用を呈する」と記載されている。
しかしながら、ピコリナフェンとクロルスルフロン又はピコリナフェンとトリアスルフロンを含む除草剤混合物が、Colby式から予想されるよりも大きい除草作用を有することの裏付けとなるような具体的データは示されておらず、当業者であっても、上記[0010]及び[0291]?[0300]段落の記載のみからそのような相乗的除草作用を認めることはできない。
また、仮にピコリナフェンとクロルスルフロン又はピコリナフェンとトリアスルフロンを含む除草剤混合物について、Colby式から予想されるよりも大きい除草作用が推認できるとしても、そのような相乗的除草作用を生じる作用機構について明らかではなく、当業者であっても、この出願の特許請求の範囲の請求項1の特許を受けようとする発明の全てにおいて、そのような相乗的除草作用を推認できるものでない。
そうすると、本願明細書の記載から上記2で示した発明の課題を解決できると認識できるものでないし、また、記載や示唆がなくともそのように認識できる当業者の出願時の技術常識も見当たらない。
してみると、この出願の特許請求の範囲の請求項1の特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が上記2で示した発明の課題を解決できると認識できるものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし上記2で示した発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。

4 審判請求人の主張について
審判請求人は、平成25年10月9日付け意見書の【意見の内容】3.(1)(ii)において、「ピコリナフェン、クロルスルフロン、トリアスルフロンのいずれの化合物も除草作用を有する化合物として公知であったこと、およびColbyの式について明細書に明記していることを考慮すれば、上記段落の「Colbyの式から予想されるよりも大きい除草作用」というのがいかなる値であるかは当業者にとっては十分理解でき、当該記載は具体的データに等しいといえる」こと(以下「主張1」という。)及び「上記の記載に「のような本発明に係る除草剤混合物」とあることから、ピコリナフェンと組み合わせてColbyの式から予想されるよりも大きい除草作用を呈するのは、クロルスルフロンやトリアスルフロンに限らず、それらと並列に記載されている化合物、すなわち本願明細書[0254]?[0282]段落に記載されているような化合物も同様であると当業者は理解する…実際、平成22年9月30日付けで提出した意見書に添付した試験データにより実証されているように、そのような化合物であるトリトスルフロン、スルホスルフロンおよびフルピルスルフロンは、ピコリナフェンとの組み合わせによりColbyの式から予想されるよりも大きい除草作用を有」すること(以下「主張2」という。)を主張している。
しかしながら、次のとおり上記主張1及び2は採用できない。

(1)主張1について
Colbyの式から予想されるよりも大きい除草作用というのがいかなる値であるか当業者が十分に理解できるとしても、その裏付けとなるような具体的データが示されていない以上、当業者であっても、そのような相乗的除草作用を推認できるものではない。

(2)主張2について
「ピコリナフェンとクロルスルフロンまたはピコリナフェンとトリアスルフロンのような本発明に係る除草剤混合物」という記載からでは、そこに包含される除草剤混合物として、本願明細書の[0254]?[0282]段落に記載されているような除草剤混合物の全てが包含されるのか、それとも、クロルスルフロン及びトリアスルフロンに共通の部分構造を有するスルホニルウレアとピコリナフェンとの除草剤混合物のみが包含されるのか明確でない。
そうすると、仮にピコリナフェンとクロルスルフロン又はピコリナフェンとトリアスルフロンを含む除草剤混合物について、Colby式から予想されるよりも大きい除草作用が推認できるとしても、本願明細書[0274]段落に記載されたトリトスルフロン、[0275]段落に記載されたフルピルスルフロン又は[0281]段落に記載されたスルホスルフロンとピコリナフェンとの除草剤混合物についても同様の相乗的除草作用が推認できるものではない。

5 当審の判断のまとめ
したがって、特許請求の範囲の請求項1の特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、この出願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでない。

第5 むすび
以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に適合するものでなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていないから、この出願は、その余につき検討するまでもなく、特許法第49条第4号の規定に該当し、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-20 
結審通知日 2014-01-21 
審決日 2014-02-03 
出願番号 特願2006-504680(P2006-504680)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (A01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柿崎 美陶  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 齋藤 恵
村守 宏文
発明の名称 除草剤混合物  
代理人 田中 夏夫  
代理人 平木 祐輔  
代理人 新井 栄一  
代理人 藤田 節  

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