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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01Q
管理番号 1289070
審判番号 不服2013-9881  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-29 
確定日 2014-06-18 
事件の表示 特願2010-550801「三次元ビームのカバレッジを達成するワイヤレス・アンテナアレイシステムのアーキテクチュア及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月17日国際公開、WO2009/114486、平成23年 6月 2日国内公表、特表2011-517394〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本件出願は,2009年3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年3月11日,米国,2008年6月27日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成24年4月20日付け拒絶理由通知に対して同年8月8日付けで意見書と手続補正書が提出されたが,平成25年1月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年5月29日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものであって,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成24年8月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。

「ミリ波通信方式デバイスであって:
第1の基板上の縦型アンテナアレイと;
第2の基板上の平面アンテナアレイと;
前記縦型アンテナアレイ、及び前記平面アンテナアレイが接続され、ミリ波信号を使用して通信するICと;
を有し、
前記ICは、シールドされたバイアを使用して、前記縦型アンテナアレイ、及び前記平面アンテナアレイへ接続され、前記縦型アンテナ、及び前記平面アンテナは、バイアを介してICに接続される、ミリ波通信方式デバイス。」

2.引用発明
(1)引用発明1
原査定の拒絶理由に引用された特開2004-266367号公報(以下,「引用例1」という。)には,「アンテナ装置」に関し,図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波帯及びミリ波帯に対応するアンテナ装置に関し、例えば、無線LANシステムの固定局装置に適用して好適なものである。」(2頁)

イ.「【0032】
送受信モジュール207は、A/D変換やダウンコンバートなどの所定の受信処理と、D/A変換やアップコンバートなどの所定の送信処理を行う。
【0033】
次に、上述した構成を有するアンテナ装置の動作について説明する。電力比較部206は、モノポールアレーで受信した信号の合成電力と、MSA素子103で受信した信号の電力とを比較し、電力の大きい方のアンテナと送受信モジュールを接続するように高周波スイッチ205を制御する。ここで、モノポールアレーが動作アンテナとして選択されたものとする。」(5頁)

ウ.「【0091】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。ただし、図11が図1と共通する部分については図1と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0092】
MSA素子103a?103dは、誘電体基板101の+Z方向の面上に、一辺が長さWpの正方形状の銅箔でそれぞれ形成されている。また、MSA素子103a?103dは、X方向及びY方向において等間隔に配置される。このとき、MSA素子103a?103dの素子間隔はd3に設定される。なお、MSA素子103a?103dは図示せぬアダプティブプロセッサ及びウェイト調整器によって、信号の位相及び振幅が調整され、指向性が制御される。以下、MSA素子103a?103dをマイクロストリップアレーと称することがある。
【0093】
モノポールアンテナ104a?104dは、直径D、長さLの銅線であり、MSA素子間に等間隔(素子間隔d1)で、かつ、誘電体基板101に対して垂直に配置される。
【0094】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様、マイクロストリップアレーで受信した信号の電力とモノポールアレーで受信した信号の電力との比較に基づいて、動作アンテナを選択する。
【0095】
次に、上記アンテナ装置の動作周波数を5.2GHzとして設定した場合の放射特性について具体的に説明する。
【0096】
ここで、図11に示すアンテナ装置を構成するパラメータを以下のように設定する。
【0097】
εr=2.6
t=1.5[mm]
Wd=80[mm](約1.4波長)
Wp=15.5[mm]
D=1[mm]
L=29[mm](約0.5波長)
d1=29[mm](約0.5波長)
d3=29[mm](約0.5波長)
【0098】
図12は、本発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の放射パターンを示す図である。図12(A)?(C)において、実線はMSA素子103a?103dを同位相としたときのマイクロストリップアレーの放射パターンを、点線はMSA素子103a?103dの位相を変化させたときのマイクロストリップアレーの放射パターンを、一点鎖線はモノポールアレーの放射パターンを示す。
【0099】
図12(A)は、図11の座標軸において方位角φ=0°(X-Y面)における垂直面放射パターンである。このとき、点線が示す放射パターンは、MSA素子103a及び103cの位相を同位相とし、MSA素子103b及び103dの位相より120°遅らせた場合を示している。また、一点鎖線が示すモノポールアレーの放射パターンは、モノポールアンテナ104a及び104dの位相が0°、モノポールアンテナ104bの位相が-127.3°、モノポールアンテナ104cの位相が127.3°に設定された場合を示している。
【0100】
図12(B)は,方位角φ=45°における垂直面放射パターンである。このとき、点線が示す放射パターンは、MSA素子103aの位相が0°、MSA素子103b及び103cの位相が-120°、MSA素子103dの位相が-240°に設定されている。また、一点鎖線が示すモノポールアレーの放射パターンは、モノポールアンテナ104a及び104cの位相が0°、モノポールアンテナ104b及び104dの位相が180°に設定された場合を示している。
【0101】
図12(C)は、方位角φ=90°(Y-Z面)における垂直面放射パターンである。このとき、点線が示す放射パターンは、MSA素子103a及び103bの位相を同位相とし、MSA素子103c及び103dの位相より120°遅らせた場合を示している。また、一点鎖線が示すモノポールアレーの放射パターンは、モノポールアンテナ104aの位相が127°、モノポールアンテナ104b及び104cの位相が0°、モノポールアンテナ104dの位相が-127.3°に設定された場合を示している。
【0102】
図12から分かるように、マイクロストリップアレーの最大放射方向の仰角θは、MSA素子103a?103d間に位相差を持たせることにより、0°?25°の範囲で変化させることができ、最大利得は10[dBi]以上である。また、モノポールアレーの最大放射方向の仰角θは約70°であり、最大利得は7[dBi]以上である。
【0103】
さらに、仰角θが約55°の方向では、マイクロストリップアレーの利得とモノポールアレーの利得とが共に落ち込み、等しくなっているが、約7[dBi]以上の利得が得られる。
【0104】
図13は、仰角θが25°の円錐面で切断したときのマイクロストリップアレーの円錐面放射パターンを示す図である。この図において、実線1301は図12(A)の点線が示すマイクロストリップアレーの円錐面放射パターンを、点線1302は図12(B)の点線が示すマイクロストリップアレーの円錐面放射パターンを、一点鎖線1303は図12(C)が示すマイクロストリップアレーの円錐面放射パターンをそれぞれ示す。
【0105】
この図から分かるように、MSA素子103a?103dの位相を変えることにより、仰角θが25°の高仰角において、マイクロストリップアレーの最大放射方向を水平面内の全方向に向けることができる。
【0106】
また、図14は、図12において、仰角θが70°の円錐面で切断したときのモノポールアレーの円錐面放射パターンを示す図である。この図において、実線1401は図12(A)におけるモノポールアレーの円錐面放射パターンを、点線1402は図12(B)におけるモノポールアレーの円錐面放射パターンを、一点鎖線1403は図12(C)におけるモノポールアレーの円錐面放射パターンをそれぞれ示す。
【0107】
この図から分かるように、モノポールアンテナ104a?104dの位相を変えることにより、モノポールアレーの最大放射方向を水平面内の全方向に向けることができる。
【0108】
このような放射特性を有することから、仰角θが45°以下の高仰角方向で指向性を制御する場合には、MSA素子103a?103dを動作アンテナとして選択し、仰角θが45°以上の低仰角方向で指向性を制御する場合には、モノポールアンテナ104a?104dを動作アンテナとして選択する。このように、マイクロストリップアレーとモノポールアレーのいずれかを選択して動作させることで、+Z方向の半球面にわたる全方向で7[dBi]以上の十分な利得を得ることができる。
【0109】
このように本実施の形態によれば、誘電体基板面に4素子からなるマイクロストリップアレーと4素子からなるモノポールアレーを配置し、それぞれのアレーアンテナを選択的に給電すると共に、給電するアレーの各素子の位相を制御することにより、+Z方向の半球面にわたる全方向でより高い利得が得られ、かつ、低仰角のみならず高仰角においても指向性を制御することができる。
【0110】
なお、上述した各実施の形態では、線状アンテナ素子の数を4本(実施の形態3においては一段の数)として説明したが、本発明はこれに限らず、3本以上の複数本であればよい。
【0111】
また、上述した各実施の形態では、誘電体基板及びMSA素子の形状を正方形状として説明したが、本発明はこれに限らない。従って、線状アンテナ素子もMSA素子の対角線上に等間隔に配置することに限らず、放射状に配置すればよい。
【0112】
また、上述した各実施の形態で示したアンテナ装置を構成するパラメータは、動作周波数帯に応じて所定の放射特性が得られるパラメータであれば何でもよい。
【0113】
また、上述した各実施の形態は、アンテナ装置を構成するパラメータを適宜変更したうえで、組み合わせて実施することができる。
【0114】
また、上述した各実施の形態では、線状アンテナアレーとMSA素子(マイクロストリップアレー)とを、それぞれのアンテナで受信した信号の電力に基づいて選択的に給電しているが、各アンテナのS/N比や電界強度等の受信状態を示すパラメータに基づいて選択的に給電するようにしてもよい。」(11?14頁)

上記引用例1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
a.上記引用例1の「アンテナ装置」は「マイクロ波帯及びミリ波帯に対応するアンテナ装置」(摘記事項アの【0001】)であるが,実施の形態4(【図11】?【図14】)に係るアンテナ装置は動作周波数を5.2GHzとして設定しており(摘記事項ウの【0095】),この場合,上記「アンテナ装置」は「マイクロ波帯に対応するアンテナ装置」と言える。
b.実施の形態4(【図11】?【図14】)に係るアンテナ装置は,誘電体基板101上に4つのマイクロストリップアンテナ(MSA)素子103a?103dと4つのモノポールアンテナ104a?104dとを有しているが(摘記事項ウの【0092】-【0093】),これらはそれぞれ「マイクロストリップアンテナアレー」,「モノポールアンテナアレー」と言える。
c.各アンテナ素子が受信モジュール207に接続することが示されている(【図2】及び摘記事項イの【0033】)が,実施の形態4においても,各アンテナアレーの各アンテナ素子が送受信モジュール207に接続することは明らかである。
d.上記送受信モジュール207は,「A/D変換やダウンコンバートなどの所定の受信処理と、D/A変換やアップコンバートなどの所定の送信処理を行う」(摘記事項イの【0032】)から,「マイクロ波信号を使用して通信する」ものと言える。

以上を総合すると,上記引用例1には,以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が開示されていると認める。

「マイクロ波帯に対応するアンテナ装置であって:
誘電体基板上のモノポールアンテナアレーと;
前記誘電体基板上のマイクロストリップアンテナアレーと;
前記モノポールアンテナアレー、及び前記マイクロストリップアンテナアレーが接続され、マイクロ波信号を使用して通信する送受信モジュールと;
を有し、
前記送受信モジュールは、前記モノポールアンテナアレー、及び前記マイクロストリップアンテナアレーへ接続され、前記モノポールアンテナ、及び前記マイクロストリップアンテナは、送受信モジュールに接続される、マイクロ波帯に対応するアンテナ装置。」

(2)引用発明2
同じく原査定の拒絶理由に引用された特開2001-339239号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0013】また、アンテナユニット10は、2つのパッチ状アンテナ素子11、12と、GND層13と、絶縁体ベース基板14と、アンテナ受信用RF回路の構成素子16とを有する。
【0014】パッチ状アンテナ素子11、12は、円形のリング状の形状を有し、パッチ状アンテナ素子11には、円偏波化する切欠11a、11bが設けられ、パッチ状アンテナ素子12には、円偏波化する切欠12a、12bが設けられている。
【0015】GND層13は、2つのパッチ状アンテナ素子の一方11と他方12との間に設けられているGND層である。
【0016】絶縁体ベース基板14は、絶縁体ベース基板141と142とによって構成され、絶縁体ベース基板141は、パッチ状アンテナ素子11とGND層13との距離を所定の値に維持するベース基板であり、絶縁体ベース基板142は、パッチ状アンテナ素子12とGND層13との距離を所定の値に維持するベース基板である。また、絶縁体ベース基板14は、セラミック、樹脂、または、セラミックと樹脂のコンポジット材料によって構成されている誘電体または磁性体のベース基板である。」(3頁3欄)

上記引用例2の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されていると認める。

「絶縁体ベース基板141上のパッチ状アンテナ素子11と絶縁体ベース基板142上のパッチ状アンテナ素子12とを有したアンテナユニット。」

(3)引用発明3
同じく原査定の拒絶理由に引用された特開2002-198852号公報(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0004】また、従来の第2のアンテナ一体化ミリ波回路としては、図14に示すアンテナ一体化MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit:モノリシック・マイクロ波集積回路)パッケージがある(特開平8-250913号公報)。
【0005】図14に示すように、上記アンテナ一体化ミリ波回路は、基体534と蓋体535とがハーメチックシールされている。上記基体534は、ベース部541とフレーム部542からなる。上記ベース部541は、2層の誘電体基板541aと541bとの間にグランド導体層541cが形成され、誘電体基板541aの上面にはMMIC592が搭載されている。上記誘電体基板541aの上面に給電用のマイクロストリップ線路591を設けている。一方、上記誘電体基板541bの下面に、平面アンテナ素子541eを形成している。また、グランド導体層541c層の一部に、金属を設けない矩形状のスロット541dを設けている。上記MMIC592が、ボンディングワイヤ594によりマイクロストリップ線路591に接続され、マイクロストリップ線路591は、グランド導体層541c中に形成されたスロット541dを介して、平面アンテナ素子541eに電磁的に結合される。
【0006】また、図15は上記第2のアンテナ一体化ミリ波回路のモジュールのブロック図を示しており、このアンテナ一体化ミリ波回路は、MMICパッケージを車載用レーダのモジュールに搭載したものである。
【0007】図15に示すように、上記パッケージ560の上面560aに平面アンテナ素子563を形成し、上記MMICパッケージの内面側にマイクロストリップ線路564を形成し、マイクロストリップ線路564と送受切換手段571との間をボンディングワイヤ564aで接続している。上記平面アンテナ素子563からの信号は、スロット結合560bを介してマイクロストリップ線路564に導かれ、さらにボンディングワイヤ564aを介して送受切換手段571に導かれて、上記受信信号は送受切換手段571により受信回路側の方向に信号が導かれる。上記受信信号571aは、低雑音増幅器572で増幅され、帯域通過フィルタ(BPF)573を介して、所望の周波数帯域の信号成分を抽出し、周波数ミキサ574において局部発振周波数端子560fを介して外部から供給される局部発振周波数信号574aと混合して周波数変換する。そうして、上記周波数ミキサ574により得た中間周波信号574bをアナログ/デジタル信号処理IC580内の中間周波増幅回路(IF増幅回路)581に供給する。上記中間周波信号574bをIF増幅回路581で増幅した後、A/D変換器582でデジタル中間周波信号に変換し、マイクロプロセッサによる処理手段583で、デジタル信号処理を施すことで受信信号を外部にシリアルデータ583aとして出力する。」(3頁4欄?4頁5欄)

上記引用例3の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が開示されていると認める。

「処理モジュールをMMICで構成したアンテナ一体化ミリ波回路。」

3.対比
本願発明と引用発明1とを対比するに,
a.引用発明1の「マイクロ波」と本願発明の「ミリ波」は「高周波」である点で共通する。
b.引用発明1の「モノポールアンテナアレー」は,【図12】の放射パターンを参照するに,モノポールアンテナ104a?104dの配列方向(例えば図12(A)ではモノポールアンテナ104cと104bを結ぶ方向,図12(B)ではモノポールアンテナ104aと104b及び104cと104dを結ぶ方向)に強い放射パターンを有したアンテナアレーであって,本願発明の「縦型アンテナアレイ」に相当する。
c.引用発明1の「マイクロストリップアンテナアレー」は本願発明の「平面アンテナアレイ」に含まれる。
d.引用発明1の「誘電体基板」と本願発明の「第1の基板」及び「第2の基板」とは「基板」である点で共通する。
e.本願発明の「IC」はIntegrated Circuit(集積回路)であって「処理モジュール」と言い得るものであるが,引用発明1の「送受信モジュール」も「送受信」という「処理」を行うモジュールであるから,両者は「処理モジュール」である点で共通する。
f.引用発明1の「マイクロ波帯に対応するアンテナ装置」は「マイクロ波通信方式デバイス」と言えるから,本願発明の「ミリ波通信方式デバイス」とは,呼称が相違するものの,扱う周波数帯域の相違以外には実質的な相違は無い。

従って,両者は以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「高周波通信方式デバイスであって:
基板上の縦型アンテナアレイと;
前記基板上の平面アンテナアレイと;
前記縦型アンテナアレイ、及び前記平面アンテナアレイが接続され、高周波信号を使用して通信する処理モジュールと;
を有し、
前記処理モジュールは、前記縦型アンテナアレイ、及び前記平面アンテナアレイへ接続され、前記縦型アンテナ、及び前記平面アンテナは、処理モジュールに接続される、高周波通信方式デバイス。」

(相違点1)
「高周波」が,本願発明では「ミリ波」であるのに対し,引用発明1では「マイクロ波」である点。

(相違点2)
「基板」に関し,本願発明では縦型アンテナアレイが「第1の基板上」に,また,平面アンテナアレイが「第2の基板上」にあるのに対し,引用発明1では両方のアンテナアレイが同じ「誘電体基板上」にある点。

(相違点3)
「処理モジュール」が,本願発明では「IC」であるのに対し,引用発明1では「送受信モジュール」である点。

(相違点4)
「処理モジュール」と各アンテナアレイや各アンテナとの接続に関し,本願発明では「シールドされたバイアを使用して」もしくは「バイアを介して」接続されるのに対し,引用発明1では具体的な接続手段は明示しない点。

4.検討
上記各相違点につき検討する。

(相違点1)について
引用例1に「マイクロ波帯及びミリ波帯に対応するアンテナ装置」(摘記事項の【0001】)とあるように,引用例1記載のアンテナ装置はもともとマイクロ波のみならずミリ波をも対象としたものであるから,引用発明1の「マイクロ波」を「ミリ波」とすることは当業者が適宜なし得たものである。

(相違点2)について
上記引用発明2は「絶縁体ベース基板141上のパッチ状アンテナ素子11と絶縁体ベース基板142上のパッチ状アンテナ素子12とを有したアンテナユニット。」であって,異なるアンテナ素子をそれぞれ別々の基板上に形成することを開示するものであるが,もともと高周波アンテナユニットにおいてその回路基板を積層基板とする等して複数の基板を用いることが普通に行われていることに鑑みれば,引用発明1においても,「誘電体基板」を「第1の基板」と「第2の基板」から構成して,「第1の基板上」に「モノポールアンテナアレー」を,また,「第2の基板上」に「マイクロストリップアンテナアレー」を設けるように構成することは,上記引用発明2に基づいて当業者が容易になし得たものである。

(相違点3)について
上記引用発明3は「処理モジュールをMMICで構成したアンテナ一体化ミリ波回路。」であって,ミリ波アンテナに接続される処理モジュールをICとすることを開示するものであるが,小型化を目的とした回路の集積化は一般的な要請であって,引用発明1においても送受信モジュールを集積回路(IC)とすることは,上記引用発明3に基づいて当業者が容易になし得たものである。

(相違点4)について
例えば,特開2003-309483号公報(特に,段落【0015】),特開2006-229073号公報(特に,段落【0035】-【0039】,【0076】)等に記載されているように,高周波アンテナ装置において,同軸線路のようなシールドされたバイアを伝送線路として用いることは周知慣用技術に過ぎず,上記相違点4は格別なものではない。

そして,本願発明が奏する効果も引用発明1?3及び周知慣用技術から容易に予測できる範囲内のものである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,上記引用発明1?3及び周知慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-06 
結審通知日 2014-01-14 
審決日 2014-01-28 
出願番号 特願2010-550801(P2010-550801)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高野 洋  
特許庁審判長 田中 庸介
特許庁審判官 新川 圭二
山澤 宏
発明の名称 三次元ビームのカバレッジを達成するワイヤレス・アンテナアレイシステムのアーキテクチュア及び方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
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