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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B65H 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65H |
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管理番号 | 1289289 |
審判番号 | 不服2013-17102 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-04 |
確定日 | 2014-07-15 |
事件の表示 | 特願2012- 10322「テープの巻き出し防止用治具」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月24日出願公開、特開2012- 96929、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成19年6月1日に出願した特願2007-147185号(以下「親出願」という。)の一部を平成24年1月20日に新たに特許出願したものであって、平成24年1月20日付け、及び平成25年4月8日付けで手続補正書が提出され、同年5月28日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年9月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、これに対し、同年11月20日付けで審尋がなされ、平成26年1月27日付けで回答書が提出され、その後、当審において、同年5月12日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年6月11日付けで手続補正書が提出されたものである。 第2.本願発明 本願の請求項1、及び2に係る発明は、上記の平成26年6月11日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、及び2に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下、本願の請求項1、及び2に係る発明をそれぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)。 「【請求項1】 中央部に開口部が設けられたコアに巻きつけられて使用されるテープの巻き出し防止用治具において、 前記コアの半径方向に前記コアの周縁部から中央部の開口部までに達するスリットが形成され、 前記スリットを通して前記コアの開口部の部分に挿入され、前記コアの周縁部の一部を前記コアの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられ、弾性体からなる環状のバンド本体を具備することを特徴とするテープの巻き出し防止用治具。 【請求項2】 前記テープが四フッ化エチレン樹脂製であることを特徴とする請求項1記載のテープの巻き出し防止用治具。」 第3.原査定の理由の概要 1.本願発明1は、その親出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された実公昭41-5402号公報(以下「引用例」という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.本願発明1は、その親出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用例1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4.当審の判断 1.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の親出願の出願前に頒布された引用例には、次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。) ・「・・・4は、リールのフランジ、3は中心軸孔1はテープ末端をバブに設けられた孔5に挿入しリールに巻きつけ易くするためのスリットで、フランジの部分にリール円周より軸孔に向って切込まれたスリットである。2はスリット1の反対側のフランジ外周に図のように切込んだ切欠である。 本リールに磁気テープを巻回して、その開放端を固定するには、第3図に示すように、リールに設けられたスリット1および切かき2にかかるようにゴム環6をはめ込むと、テープ末端は容易に固定することが可能で、巻回されたテープの容量には関係なく固定しうるのであり、簡単で確実であるという点使用上極めて有効である。」(1頁右欄8?21行) ・「図1,2に示すように、フランジ4の部分にスリット1、切かき2を有し、それらにより弾性環が移動しないように固定され、その弾性環によってテープ末端が固定されるようにした磁気録音テープ用リールの構造。」(1頁右欄23?27行) また、図1には、以下の事項が看取できる。 ・「リールは、フランジ、孔、スリット、切かきを有している。」 ・「中心軸孔は、リールの中心部に設けられている。」 ・「スリットは、リール円周から孔まで達している。」 また、上記の記載から、以下の事項が示されているといえる。 ・「リール、及び弾性環は、磁気録音テープ用リールの巻き出し防止用治具を構成している。」 これらの記載事項、及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「リールは、フランジ、孔、スリット、切かきを有しており、中心軸孔は、リールの中心部に設けられており、フランジの部分にリール円周より軸孔に向って切込まれ、リール円周から孔まで達しているスリット、フランジ外周に切込んだ切かき(切欠)を有し、本リールに磁気テープを巻回して、スリットおよび切かきにより弾性環が移動しないようにはめ込んで固定され、その弾性環によってテープ末端が固定されるようにした磁気録音テープ用リールの巻き出し防止用治具。」 2.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、 後者における「中心軸孔」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「開口部」に相当し、以下同様に、「リール」は「コア」に、「磁気録音テープ」は「テープ」に、「フランジ」は「周縁部」に、「弾性環」は「弾性体からなる環状のバンド本体」に、それぞれ相当する。 また、後者における「磁気録音テープ」は、リールに巻回されているから、リールに巻きつけられて使用されるといえる。 また、後者における「スリット」は、リール円周より軸孔に向って切込まれ、リール円周から孔まで達しているから、リールの半径方向に前記リールのフランジから孔までに達っているといえる。 また、後者における「弾性環」は、スリットおよび切かきにより移動しないようにはめ込んで固定されるから、リールのフランジの一部を前記リールの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられているといえる。 したがって、両者は、 「中央部に開口部が設けられたコアに巻きつけられて使用されるテープの巻き出し防止用治具において、 前記コアの半径方向にスリットが形成され、 前記コアの周縁部の一部を前記コアの半径方向に沿って巻回するように環状に取り付けられ、弾性体からなる環状のバンド本体を具備するテープの巻き出し防止用治具。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] スリットが、本願発明1は、「コアの周縁部から中央部の開口部までに達する」のに対し、引用発明は、「リール円周から孔まで達している」点。 [相違点2] バンド本体が、本願発明1は、「スリットを通してコアの開口部の部分に挿入され」るのに対し、引用発明は、スリットおよび切かきにより移動しないようにはめ込んで固定されるものである点。 (2)判断 そうすると、引用発明1は、上記相違点1、及び2に係る本願発明1の発明特定事項を具備していない。 したがって、本願発明1が、引用発明であるとすることはできない。 また、引用発明1のスリットは、弾性環をはめ込んで移動しないように固定するものであって、本願発明1のスリットようにバンド本体をコアの開口部の部分に挿入されるためのものではないから、上記相違点1、及び2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たということはできない。 また、引用発明1において、他に上記相違点1、及び2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。 そして、本願発明1は、上記相違点1、及び2に係る本願発明の発明特定事項を具備することにより、本願明細書に記載の「コア1のスリット11からエンドレス状のバンド本体13をコア1に掛止できるので、実施例1?4のように結束手段を設ける必要がない。」(段落【0022】)という作用効果を奏するものである。 したがって、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 3.本願発明2について 本願発明2は、本願発明1をさらに限定したものであるから、上記2.(2)と同様の理由により、引用発明であるとすることはできないし、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 第5.当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 本件出願は、請求項1の記載において、特に、スリットの構成、及びバンド本体がコアの開口部に挿入されることが不明瞭であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.当審拒絶理由の判断 平成26年6月11日付けの手続補正書において、上記第2のとおり、請求項1の記載は補正されたことにより、請求項1に係る発明は明確となった。 したがって、当審拒絶理由は解消した。 第6.むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-06-27 |
出願番号 | 特願2012-10322(P2012-10322) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(B65H)
P 1 8・ 121- WY (B65H) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 秋山 誠、當間 庸裕 |
特許庁審判長 |
江成 克己 |
特許庁審判官 |
藤本 義仁 黒瀬 雅一 |
発明の名称 | テープの巻き出し防止用治具 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 福原 淑弘 |
代理人 | 河野 直樹 |
代理人 | 赤穂 隆雄 |
代理人 | 佐藤 立志 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 峰 隆司 |
代理人 | 野河 信久 |
代理人 | 堀内 美保子 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 砂川 克 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |