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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01D
管理番号 1289402
審判番号 不服2012-17306  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-05 
確定日 2014-07-03 
事件の表示 特願2007-245586「コードレス園芸工具」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月 9日出願公開、特開2009- 72150〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成19年9月21日の出願であって、平成24年5月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年9月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正が提出され、その後当審において、平成25年11月19日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成26年1月27日に手続補正及び意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成26年1月27日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。

「モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングに着脱可能に装着されるバッテリと、前記ハウジングに一端部が接続された第一のシャフトパイプと、該第一のシャフトパイプに取り付けられたハンドルと、前記第一のシャフトパイプの外周に設けられて前記モータを起動/停止するためのスイッチと、前記第一のシャフトパイプの内部に設けられて前記モータの回転を伝達する駆動シャフトを備えた主操作部と、
該主操作部の前記駆動シャフトと同軸上に延在し、前記駆動シャフトからの回転を受けて回転する従動シャフトと、前記従動シャフトを内部に保持する第二のシャフトパイプと、前記従動シャフトによって駆動される作業部を備えた作業ユニットと、を備え、
前記主操作部には、前記第一のシャフトパイプの反モータ側端部に前記作業ユニットを着脱可能なジョイントが設けられ、
前記ジョイントは、螺子により前記作業ユニットの前記第二のシャフトパイプを締め付ける第一の固定部と、弾性体を有して前記弾性体による付勢力に抗して操作を行うことで係合が解除される第二の固定部を有し、
前記ジョイントの前記第一の固定部を緩め、前記第二の固定部の操作を維持した状態において、前記作業ユニットを前記主操作部の反モータ側端部から離脱可能とされることを特徴とするコードレス園芸工具。」

3.刊行物の記載
(1)当審拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭62-63070号(実開昭63-169819号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、図とともに次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。)
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
携帯自在のフレームfを分離自在に接続連結する原動部側フレーム1と作業部側フレーム2とに分け、原動部側フレーム1にエンジンeを組付けて原動部aとし、作業部側フレーム2に作業機器wと前記原動部aから入力される回転動力を適正回転数に変速して前記作業機器に伝導せしめるミッション部mとを装備せしめて作業部bとし、その作業部bを形態の異なる作業機器wごとに各別に形成して、前記原動部aに対し互換装着自在としたことを特徴とする万能可搬式動力作業機。」(明細書1頁4?14行)

イ 「3.考案の詳細な説明
本考案は可搬式の原動部に対し、草刈用の回転刃、杭孔用の穿孔ドリル、除雪用の掻上翼車等の作業機器がそれぞれ装着してある携帯自在のフレームを、互換自在に組付けるようにした万能可搬式動力作業機に関する。
携帯自在とした伝導ケースを兼ねるフレームの一端側に、草刈用の回転刃、草削用の回転刃、杭孔穿孔用の穿孔ドリル、除雪用の掻上翼車等の作業機器を装設し、そのフレームの他端側に、2サイクルの遠心クラッチ付きエンジンを組付け、それの出力軸を作業機器の回転軸に伝導せしめて、フレームを作業員が持って操作することで作業を行なうようにした可搬式の動力作業機は従来からある。
しかし、従前の可搬式の作業機は、それぞれが専用機に作られていて、作業機器を互換することで各種の作業が行なえるようにしたものはない。
これは、例えば、可搬式の動力草刈機と可搬式の動力草削機(カルチベーター)の如く、作業機器の形態が似ていることで、作業機器の互換装着が可能なものであっても、それぞれの作業機器の回転速度の特性が大きく相違することで、それらの作業機器を互換しても、実際の作業が行なえないようになることによる。
本考案は、従前手段の、各作業機器が特有の回転速度を要求することによる制約を解消せしめることで、各種作業機器を互換自在として、原動部を共通せしめて使用し得るようにしながら互換装着した各作業機器が所定の作業を行なうようにする新たな万能可搬式動力作業機を提供することを目的とする。
そして本考案は、この目的を達成するための手段として、携帯自在のフレームを分離自在に接続連結する原動部側フレームと作業部側フレームとに分け、原動部側フレームにエンジンを組付けて原動部とし、作業部側フレームに作業機器と前記原動部から入力される回転動力を適正回転数に変速して前記作業機器に伝導せしめるミッション部とを装備せしめて作業部とし、その作業部を形態の異なる作業機器ごとに各別に形成して、前記原動部に対し互換装着自在としたことを特徴とする万能可搬式動力作業機を提起するものである。」(明細書1頁15行?4頁12行)

ウ 「次に実施例を図面に従い詳述する。
第1図は本考案を実施せる可搬式動力作業機Aの原動部aと作業部bとを分離した状態の側面図で、同図において、fは携帯式のフレーム、eはエンジン、mはミッション部、wは作業機器を示している。
フレームfは、通常の可搬式動力作業機のフレームと同様に、伝導ケースを兼ねた軸筒状に形成してあるが、原動部側フレーム1と作業部側フレーム2とに2分され、それらの分割部位にそれぞれ設けた接手部10・20により離接自在に連結して携帯式のフレームfを構成するようにしてある。
そして、原動部側フレーム1には、上端側に2サイクルの遠心クラッチ付きのエンジンeが、それの出力軸を該原動部側フレーム1内に突入する状態として組付けられ、内部には、前記出力軸を作業機器Wの回転軸に伝導さすための伝導軸を分割した上部伝導軸11が、それの下端部に設けた連結部11aを外部に突出させた状態として収蔵軸支してあって、これにより、可搬式の原動部aを構成している。
また、作業部側フレーム2には、それの内部に、前記上部伝導軸11と伝導する下部伝導軸21を収蔵軸支し、その下部伝導軸21の上端部には、該作業部側フレーム2の上端部に形設してある前記接手部20を前記原動部側フレーム1の下端部に形設せる接手部10に連結した状態のときに、原動部側フレ?ム1に軸支してある上部伝導軸11の連結部11aと連結する連結部21aが形設してある。そして、該作業部側フレ? ム2の下端部には、前記下部伝導軸21と伝導して回転する動力取出軸22を設けて、これに、作業機器wたる草刈用の回転刃30が、それの回転軸31を連結装着することで組付けてある。そしてまた、該原動部側フレーム1の上下の中間部位には、原動部aから前記下部伝導軸21に入力されてくる回転動力を、前記作業機器wたる草刈用の回転刃30の作業特性に適応する回転速度に変速して伝導するための伝導機構を収蔵したミッション部mが装設してあって、前記回転動力がこのミッション部mの伝導機構を介して動力取出軸22に伝導されるようにしてある。そして、これらによって作業部bを構成している。」(明細書4頁13行?7頁11行)

エ 「次に第5図は、もう一つの作業部b-5の原動部aに組付けた状態を示している。 。
この作業部b-5は、作業部側フレーム2の下端部に組付け装着した作業機器wが、その作業部側フレーム2の下端に装着したケーシング70内に、伝導機筺71から左右に突出する回転軸72・72により回転する掻上翼車73・73を装設して構成せる除雪機7となっていて、それの伝導機筺71に設けた入力軸を、作業部側フレーム2の下端部に設けられる動力取出軸22に伝導連結せしめることで、原動部aから伝導されてくる回転動力により除雪機7が作動するようになっている。
そして、この作業部b-5は、それの作業部側フレーム2の中間部位に、原動部a側から入力されてくる回転動力を、所定の回転速度に減速して除雪機7の入力軸に伝導さすための伝導機構を収蔵したミッション部mが設けてあること、また、作業部側フレ?ム2の上端側に接手部20を具備していること、かつ、図面では明示していないが、その作業部側フレーム2の内部に収蔵した下部伝導軸21の上端部に連結部21aを具備していることについては、前記第1図に示している作業部bと同様の構成となっているが、原動部aに組付け連結する際に、内部に中間伝導軸80を収蔵した中間フレームf’を用い、その中間フレームf’の下端部に原動部aの下端部に設けられている接手部10と同形に形設しておく接手部10’を、該作業部側フレーム2の上端に形設した接手部20に連結接続するとともに、その中間フレ?ムf’の上端側に前記接手部20と同形に形設した接手部20’を、原動部aの下端部に設けた接手部10’に連結接続することで、この中間フレームf’を介して原動部aに連結してあり、また、原動部a側からの作業機器wの回転軸に対する回転動力の伝導を、この中間フレームf’内に収蔵した中間伝導軸80を介して行なうようにしてある。そして、この中間フレームf’には、作業の際に携帯用フレ?ムfを操作するためのハンドル杆90を装設するようにしてある。
なお、91は原動部a側に設けた作業の際に用いる肩掛け紐である。」(明細書11頁8行?14頁4行)

オ 第1図及び第5図を参照すると、原動部aには、エンジンeを収容するハウジングが設けられていること、及び上部伝導軸11と下部伝導軸21と中間伝導軸80は、同軸状に延在していることがみてとれる。

カ 上記アないしオからみて、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「携帯自在の軸筒状に形成してあるフレームfを、それらの分割部位にそれぞれ設けた接手部10・20により離接自在に接続連結する原動部側フレーム1と作業部側フレーム2とに分け、
原動部側フレーム1には、ハウジングに収容されたエンジンeを組付けて、内部には、前記出力軸を作業機器wの回転軸に伝導さすための伝導軸を分割した上部伝導軸11が、それの下端部に設けた連結部11aを外部に突出させた状態として収蔵軸支して原動部aとし、
作業部側フレーム2には、作業機器wと前記原動部aから入力される回転動力を適正回転数に変速して前記作業機器に伝導せしめるミッション部mとを装備せしめ、それの内部に、前記上部伝導軸11と伝導する下部伝導軸21を収蔵軸支し、その下部伝導軸2の上端部には、該作業部側フレーム2の上端部に形設してある前記接手部20を前記原動部側フレーム1の下端部に形設せる接手部10に連結した状態のときに、原動部側フレ?ム1に軸支してある上部伝導軸11の連結部11aと連結する連結部21aが形設してあり、そして、該作業部側フレ? ム2の下端部には、前記下部伝導軸21と伝導して回転する動力取出軸22を設けて、これに、作業機器wを装着することで作業部bを構成し、
その作業部bを形態の異なる作業機器wごとに各別に形成して、前記原動部aに対し互換装着自在とした万能可搬式動力作業機であって、
作業機器wは、草刈用の回転刃、草削用の回転刃、杭孔穿孔用の穿孔ドリル、除雪用の掻上翼車等であり、
作業部側フレーム2の下端部に組付け装着した作業機wが除雪機7である作業部b-5を原動部aに組み付け連結する際に、内部に中間伝導軸80を収蔵した中間フレームf’を用い、その中間フレームf’の下端部に原動部aの下端部に設けられている接手部10と同形に形設しておく接手部10’を、該作業部側フレーム2の上端に形設した接手部20に連結接続するとともに、その中間フレ?ムf’の上端側に前記接手部20と同形に形設した接手部20’を、原動部aの下端部に設けた接手部10’に連結接続することで、この中間フレームf’を介して原動部aに連結してあり、また、原動部a側からの作業機器wの回転軸に対する回転動力の伝導を、この中間フレームf’内に収蔵した中間伝導軸80を介して行なうようにしてあるもので、
上部伝導軸11と下部伝導軸21と中間伝導軸80は、同軸状に延在し、 そして、この中間フレームf’には、作業の際に携帯用フレ?ムfを操作するためのハンドル杆90を装設し、原動部a側に作業の際に用いる肩掛け紐91を設けた、万能可搬式動力作業機。」

(2)当審拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-56845号公報(以下「引用例2」という。)には、図とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0012】本発明の電動草刈機1は、軽量で操作性に優れ、安全性が配慮された人力操作用の草刈機として構成され、図1に示すように、長尺状の操作桿としてのパイプ2と、このパイプ2の先端部に配置される刈刃3と、パイプ2の基端部に配設される駆動部4を備えている。そしてパイプ2の中間部の基端側寄りには、肩掛式ベルト装着用の懸吊部5が設けられ、この懸吊部5の前方寄りには、把手部6が設けられている。そして、この草刈機1の重心Wは、懸吊部5と把手部6の中間位置に設定されている。
【0013】また、懸吊部5と駆動部4の間には、スイッチ部7が設けられ、このスイッチ部7の後部側にはグリップ部8が設けられている。・・・(後略)・・・」

イ 「【0015】前記駆動部4は、図2に示すように、電動モータ14とバッテリー15を備えている。そして、電動モータ14は、駆動部4の前方上部に配置され、その駆動軸14aは、連結部材16を介して前記ドライブシャフト12の基端部に連結されている。また、バッテリー15は、電動モータ14の振動等の影響が少ない駆動部4の後方下部のバッテリーケース17内に収容され、このバッテリーケース17内の両側部には電極部材18、18(図3)が突設されている。そしてこの電極部材18、18はバッテリー15の両側面の凹部電極に係合可能とされている。
【0016】また、バッテリーケース17の後端部には、図2に示すようにピン軸21まわりに揺動自在な開閉蓋20が設けられ、締結ボルト22で係止出来るようにされている。そして、バッテリー15を充電、或いは交換する時は、締結ボルト22を外して開閉蓋20を開き、バッテリー15を取出し、又は挿入するようにしている。因みに、バッテリー15は、電動モータ14を駆動するため大電流を消費するとともに、15分?30分程度の短時間で充電し、また、年数回程度の使用による完全放電後の再充電等の点から、例えばニッケル-カドミウム電池を使用している。」

ウ 「【0020】以上のような構成による電動草刈機1の作用等について説明する。草刈機1を使用して草等を刈る時は、懸吊部5に装着した肩掛式ベルト23を肩に掛け、例えば右手でグリップ部8を把持してスイッチ部7を操作し、左手で把手部6を握って刈刃3の位置を操作する。この際、スイッチ部7の操作は、安全レバー27を反時計方向に揺動させた後、スイッチレバー26を上方に倒すと、電動モータ14が作動してドライブシャフト12を通じて刈刃3が回転する。
【0021】また、肩掛式ベルト23を肩に掛けると、重心の関係で先端側が下方に傾き、刈刃3の位置を自然に下方の草等の位置に合せることが出来、また、重心の位置を挟んで把手部6が重心に近接しているため、取り回しが極めて楽である。
【0022】草刈りを中断等して草刈機1を地上に降ろす時は、スイッチレバー26を下方に倒して電動モータ14の作動を停止すると、安全レバー27がスプリング等の付勢力でスイッチレバー26を揺動不能に掛止する。そして先端側の支持部材10と基端側の脚部11を地上に載せると、図1に示すように、刈刃3と駆動部4を地面から離して所定の高さ位置にセットすることが出来、これらが地面に接触して損傷を招く虞れがない。また、例えばバッテリーケース17の開閉蓋20も地面から離れた位置にあるため、この開閉蓋20を開閉してバッテリー15を交換、或いは充電する時も作業容易である。」

(3)当審拒絶理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-314228号公報(以下「引用例3」という。)には、図とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明はエンジンと電動モータのいずれをも動力源としてカッターを駆動し得るようにした刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
田畑の畦道の雑草、山林などの下草や牧草などを刈り取るために草刈機とも言われる刈払機が使用されている。刈払機には、操作アームの先端にカッターを取り付け、後端に動力源を取り付けるようにしたアーム連結タイプと、動力源の出力軸に直接カッターを取り付けるようにした直動タイプとがあり、動力源としてはエンジンを使用する場合と電動モータを使用する場合とがある。
・・・(中略)・・・
【0005】
電動モータを動力源とする刈払機には、電源コネクタを商用電源端子に接続して使用される電源接続式と、バッテリを搭載するバッテリ搭載式とがあり、電源接続式のものでは使用場所から比較的近い箇所に商用電源端子が存在する場合に使用することができるが、電源端子が存在しない場所ではそのまま使用することができず、使用するには発電機が必要となる。一方、バッテリ搭載式の刈払機ではバッテリ容量に限りがあるので、バッテリを交換あるいは充電する作業が必要である。これに対し、エンジンを動力源とする刈払機は、使用場所から比較的近い箇所に商用電源端子が存在しない場合にも使用することができ、また、燃料を補充することにより長時間作業することができるという利点があるが、作業時のエンジン騒音がモータ駆動の場合よりも大きくなる。」

イ 「【0022】
図5に示すように、電動モータ18は略六角柱形状のモータケース26を有し、このモータケース26には図3に示すアマチュアシャフトからなるモータ出力軸27が回転自在に支持され、モータケース26内にはモータ出力軸27に固定されるアーマチュアやアーマチュアに対向するマグネット等のモータ構成部材(図示省略)が組み込まれている。また、電動モータ18の外周部には電源としてのバッテリ28が装着されており、このバッテリ28は例えばリチウムイオン電池などの充電式となっており、電動モータ18はこのバッテリ28から供給される電力により駆動される。なお、バッテリ28は出力軸27の軸方向にスライド式に着脱自在に装着されており、充電する際にはバッテリ28は電動モータ18から取り外されて図示しない充電器により充電される。」

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明において、「原動部側フレーム1」と「作業部側フレーム2」は、「軸筒状に形成してあるフレームfを、それらの分割部位にそれぞれ設けた接手部10・20により離接自在に」「分け」たものであるので、「軸筒状」である。
そうすると、引用発明の「原動部側フレーム1」は本願発明の「第一のシャフトパイプ」に相当し、引用発明の「作業部側フレーム2」は本願発明の「第二のシャフトパイプ」に相当する。
また、引用発明の「ハンドル杆90」,「上部伝導軸11」,「原動部a」,「下部伝導軸21」,「作業機器w」,及び「作業部b」は、それぞれ本願発明の「ハンドル」,「駆動シャフト」,「主操作部」,「従動シャフト」,「作業部」,及び「作業ユニット」に相当する。

(2)引用発明の「エンジンe」と、本願発明の「モータ」とは、「動力源」であることで共通しているので、引用発明の「原動部側フレーム1には、ハウジングに収容されたエンジンeを組付けて、内部には、前記出力軸を作業機器wの回転軸に伝導さすための伝導軸を分割した上部伝導軸11が、それの下端部に設けた連結部11aを外部に突出させた状態として収蔵軸支して原動部aとし」たことと、本願発明の「モータと、該モータを収容するハウジングと、該ハウジングに着脱可能に装着されるバッテリと、前記ハウジングに一端部が接続された第一のシャフトパイプと、・・・(中略)・・・前記第一のシャフトパイプの内部に設けられて前記モータの回転を伝達する駆動シャフトを備えた主操作部」とは、「動力源と、該動力源を収容するハウジングと、前記ハウジングに一端部が接続された第一のシャフトパイプと、前記第一のシャフトパイプの内部に設けられて前記動力源の回転を伝達する駆動シャフトを備えた主操作部」で共通している。

また、引用発明において、「作業部側フレーム2の下端部に組付け装着した作業機wが除雪機7である作業部b-5を原動部aに組付け連結する際に、内部に中間伝導軸80を収蔵した中間フレームf’を用い、その中間フレームf’の下端部に原動部aの下端部に設けられている接手部10と同形に形設しておく接手部10’を、該作業部側フレーム2の上端に形設した接手部20に連結接続するとともに、その中間フレ?ムf’の上端側に前記接手部20と同形に形設した接手部20’を、原動部aの下端部に設けた接手部10’に連結接続することで、この中間フレームf’を介して原動部aに連結してあり、また、原動部a側からの作業機器wの回転軸に対する回転動力の伝導を、この中間フレームf’内に収蔵した中間伝導軸80を介して行なうようにしてあるもの」なので、「原動部a」と「作業部側フレーム2」の間にある「中間フレームf’」を、「原動部a」側の部材であって、「原動部側フレームa」の一部とみて、「中間フレームf’に」「装接し」た「作業の際に携帯用フレ?ムfを操作するためのハンドル杆90」は、本願発明の「第一のシャフトパイプに取り付けられたハンドル」に相当する。

(3)引用発明において、上部伝導軸11と下部伝導軸21は同軸上に延在しているので、引用発明の「作業部側フレーム2には、作業機器wと前記原動部aから入力される回転動力を適正回転数に変速して前記作業機器に伝導せしめるミッション部mとを装備せしめ、それの内部に、前記上部伝導軸11と伝導する下部伝導軸21を収蔵軸支し、その下部伝導軸2の上端部には、該作業部側フレーム2の上端部に形設してある前記接手部20を前記原動部側フレーム1の下端部に形設せる接手部10に連結した状態のときに、原動部側フレ?ム1に軸支してある上部伝導軸11の連結部11aと連結する連結部21aが形設してあり、そして、該作業部側フレ? ム2の下端部には、前記下部伝導軸21と伝導して回転する動力取出軸22を設けて、これに、作業機器wを装着することで作業部bを構成」することは、
本願発明の「該主操作部の前記駆動シャフトと同軸上に延在し、前記駆動シャフトからの回転を受けて回転する従動シャフトと、前記従動シャフトを内部に保持する第二のシャフトパイプと、前記従動シャフトによって駆動される作業部を備えた作業ユニット」に相当する。

(4)引用発明の「作業部bを形態の異なる作業機器wごとに各別に形成して、前記原動部aに対し互換装着自在とした万能可搬式動力作業機であって、作業機器wは、草刈用の回転刃、草削用の回転刃、杭孔穿孔用の穿孔ドリル、除雪用の掻上翼車等であ」るものと、本願発明の「コードレス園芸工具」とは、「園芸工具」で共通する。

(5)引用発明の「携帯自在の軸筒状に形成してあるフレームfを、それらの分割部位にそれぞれ設けた接手部10・20により離接自在に接続連結する原動部側フレーム1と作業部側フレーム2とに分け」ることと、本願発明の「前記作業ユニットを前記主操作部の反モータ側端部から離脱可能とされること」とは、「前記作業ユニットを前記主操作部の反動力源側端部から離脱可能とされること」で共通する。

(6)上記(1)ないし(5)からみて、本願発明と引用発明とは、
「動力源と、該動力源を収容するハウジングと、前記ハウジングに一端部が接続された第一のシャフトパイプと、該第一のシャフトパイプに取り付けられたハンドルと、前記第一のシャフトパイプの内部に設けられて前記動力源の回転を伝達する駆動シャフトを備えた主操作部と、
該主操作部の前記駆動シャフトと同軸上に延在し、前記駆動シャフトからの回転を受けて回転する従動シャフトと、前記従動シャフトを内部に保持する第二のシャフトパイプと、前記従動シャフトによって駆動される作業部を備えた作業ユニットと、を備え、
前記作業ユニットを前記主操作部の反動力源側端部から離脱可能とされる園芸工具。」で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕本願発明は、動力源が「モータ」であって、「ハウジングに着脱可能に装着されるバッテリ」を備えた「コードレス園芸工具」であるのに対し、引用発明は、動力源が「エンジンe」であって、バッテリを備えておらず、コードレスでもない点。
〔相違点2〕本願発明が、第一のシャフトパイプの外周にモータを起動/停止するためのスイッチが設けられているのに対し、引用発明は、スイッチを設けたかどうか不明な点。
〔相違点3〕本願発明は、「前記主操作部には、前記第一のシャフトパイプの反モータ側端部に前記作業ユニットを着脱可能なジョイントが設けられ、
前記ジョイントは、螺子により前記作業ユニットの前記第二のシャフトパイプを締め付ける第一の固定部と、弾性体を有して前記弾性体による付勢力に抗して操作を行うことで係合が解除される第二の固定部を有し、
前記ジョイントの前記第一の固定部を緩め、前記第二の固定部の操作を維持した状態において、前記作業ユニットを前記主操作部の反モータ側端部から離脱可能とされる」のに対し、引用発明には、その様なジョイントが設けられていない点。

5.判断
そこで、上記相違点について検討する。
(1)相違点1
草刈り機において、動力源としてモータを用い、ハウジングに着脱可能に装着されたバッテリを備えて、コードレスとすることは、引用例2または3に記載されているように、本願出願前に周知な技術であるので、引用発明の動力源にモータを用い、ハウジングに着脱可能に装着されたバッテリを備えて、コードレスとすることにより、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得たことと認める。

(2)相違点2
モータを動力源とする草刈機において、モータを起動/停止するためのスイッチを、シャフトパイプの外周であって、肩掛け紐の取付位置の反作業部側に設けることは、引用例2や特開昭60-16522号公報(1頁右下欄2?8行、2頁右上欄14行?左下欄3行、第1図参照。)に記載されているように、本願出願前に周知な技術である。
そして引用発明において、「肩掛け紐91」は「原動部a」側に設けられているので、当該周知技術を引用発明に適用すれば、モータを起動/停止するためのスイッチは、第一のシャフトパイプの外周に設けることとなるので、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に成し得たことと認める。

(3)相違点3
草刈機において、伝導軸を内装し、且つ分割したシャフトパイプを連結する構造として、「動力源側には、第一のシャフトパイプの反モータ側端部に作業ユニットを着脱可能なジョイントが設けられ、
前記ジョイントは、螺子により前記作業ユニットの第二のシャフトパイプを締め付ける第一の固定部と、弾性体を有して前記弾性体による付勢力に抗して操作を行うことで係合が解除される第二の固定部を有し、
前記ジョイントの前記第一の固定部を緩め、前記第二の固定部の操作を維持した状態において、前記作業ユニットを前記主操作部の反動力源側端部から離脱可能とされる」ものは、特開平11-75469号公報(段落【001】、【0013】、【0014】、【図2】,【図3】参照。)、特開平10-127133号公報(段落【0001】、【0021】?【0023】、【0025】、【図1】?【図3】参照。)又は特開平10-191748号公報(段落【0009】、【0010】、【0019】、【0022】?【0025】、【図3】参照。)に記載されているように、本願出願前に周知な技術であるので、引用発明の原動部側フレーム1の接手部10と作業部側フレーム2の接手部20を、該周知なジョイントの構造で具現化して、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者ならば容易に成し得たことと認める。

(4)効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が容易に予測できたものである。

6.むすび
本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をする
ことができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-25 
結審通知日 2014-05-07 
審決日 2014-05-20 
出願番号 特願2007-245586(P2007-245586)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小島 寛史  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 中川 真一
住田 秀弘
発明の名称 コードレス園芸工具  

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