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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01C
管理番号 1289406
審判番号 不服2012-25533  
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-25 
確定日 2014-07-03 
事件の表示 特願2008-256252「道路交通情報装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 3月12日出願公開、特開2009- 53203〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,1998年(平成10年)3月11日(パリ条約による優先権主張1997年3月14日,フランス国)を国際出願日とする特願平10-540188号の一部を平成20年10月1日に新たな特許出願としたものであって,平成23年8月31日付けで拒絶の理由が通知され,平成24年3月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ,平成24年8月9日付けで拒絶査定がなされ,それに対して,平成24年12月25日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
一方,当審において,平成25年4月17日付けで拒絶理由を通知し,応答期間内である平成25年10月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。
そして,この出願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成25年10月24日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を提供する道路交通情報装置において,前記各区間は,前記道路網の前記各区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成されており,該道路交通情報装置は無線メッセージの携帯可能な受信機を有し,該無線メッセージの携帯可能な受信機は,
無線メッセージを受信するための受信手段と,
受信した前記無線メッセージを記憶するための少なくとも1つの記憶装置と,
前記無線メッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置と,
利用者に前記中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェースと,
受信された前記無線メッセージのうちの少なくとも幾つかから生じる情報を,前記コマンドインターフェースを介して利用者から入力された指示にしたがって表示するためのスクリーンと,を有し,
前記記憶装置には,
前記道路網に固有な空間上の位置関係のデータであって,少なくとも前記道路網の各区間ごとの出発点及び到達点の識別を含むデータと,
いわゆる行程の基本所要時間である,前記道路網の各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータとが含まれ,
前記中央処理装置は,
更新された前記行程の基本所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知し,
受信された前記デジタルデータに応じて,前記行程の基本所要時間を表す,記憶された前記デジタルデータを更新し,
前記コマンドインターフェースを用いて利用者により前記中央処理装置に設定された前記道路網の所望の出発点および到達点に応じて,
前記道路網の所望の前記出発点と前記到達点との間において採用されるべき前記道路網の幾つかの区間を決定し,
前記道路網の所望の前記出発点と前記到達点との間において採用されるべき前記幾つかの区間における前記行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算し,
前記スクリーン上に少なくとも該全行程の所要時間を表示させる,道路交通情報装置。」

2.刊行物
(1)当審における拒絶理由に引用した特開平7-129893号公報(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

・「【要約】
【目的】 車両の外部から受信された情報に基づき,最適な経路を搭乗者に報知する車両用経路誘導装置において,旅行時間情報に関し補正を行うことにより,より高精度な旅行時間および誘導経路を提供することのできる装置を提供する。」

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,車両外部から送られてくる情報を車両内部に備えられた装置により搭乗者に報知し,また予め設定された目的地に至る経路に沿って自車両を誘導する車両用経路誘導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年,人工衛星からの電波を受信し自車両の位置を測定し,この位置を車両に搭載された地図情報と照合して,自車両周辺の地図と,この地図上の自車両位置を表示し運転者に報知する,いわゆるGPSナビゲーションシステムが一般の需要に供されている。
【0003】このシステムにおいては,予め自車両に搭載された装置に記憶された地図情報は,記憶された時点での情報であり,実際に表示が行われている時点での情報ではない。このシステムにおいて,現実の時刻における情報は,自車両の位置のみである。よって,事故による道路規制や渋滞情報などの刻一刻と変化する情報については,搭乗者は例えば首都高速道路の渋滞表示看板やラジオ放送の交通情報などの外部情報に頼らざるを得なかった。また,道路の改修工事などで車両に搭載された地図情報が実際とは合わなくなる場合があった。
【0004】また一方で,基地局や道路側方に設置されたビーコンから情報を送信し,車両の受信装置でその情報を受信し,搭乗者に報知するシステムが開発されている。たとえば,都心部の首都高速道路などにおいて,基地局より首都高速全体の渋滞情報,規制情報,事故情報などを送信し,これを車両に搭載された表示装置に表示するシステムが開発されており,現在首都高速道路の十数か所設置されている道路情報表示板のような表示を車両内の表示装置に表示することができる。これによれば,従来の道路上方や側方に設置された表示板を通り過ぎて,その内容を十分に確認できないといった場合はなくなり,搭乗者の所望の時に情報を確認することができる。
【0005】また,道路側方に設置されたビーコンからの電波または光により情報を送信する場合は,この電波等が届く範囲内で重要となる情報を特に送信することで,搭乗者はより詳細な情報を得ることができる。たとえば,接近中の交差点の情報を表示すれば,前述の渋滞情報と同様に,従来の道路表示板を通り過ぎてしまってもその内容を確認することができる。さらには,所定の地点までの所要時間を現時点での道路状況を基に情報作成し表示させるなどして,より有用な情報を搭乗者に提供することが可能となる。以上のように,現時点の情報が報知されることにより,搭乗者はこの状況に対応した経路選択などを行なうことできる。
【0006】さらに,目的地点を入力し,前述の外部から送られてきた情報に基づき前記目的地点まで最短時間で到達できる経路を探索し,この探索された経路に沿って自車両を誘導する経路誘導装置が開発されている。特開昭62-60100号公報には,外部から得た渋滞度と距離により所要時間の計算を行い,目的地までの所要時間が最短のものを最適経路として搭乗者に報知する経路誘導装置が記載されている。
【0007】また,近年,社会設備の整備が進み,道路の所定区間(リンク)を通過するのに要する時間(旅行時間)を外部情報として発信することが可能となっている。この旅行時間を利用すれば直接目的地までの旅行時間が算出でき,最短時間経路の探索が容易にできる。」

・「【0011】本発明は,以上のような問題点を解決するためになされたものであり,受信したリンク旅行時間を所定条件の下に補正して,より正確なリンク旅行時間を得ると共に,リンク旅行時間の付与されなかったリンクに関してはこれを推定することにより,より適切な最短旅行時間経路を探索することができる車両用経路誘導装置を提供することを目的とする。」

・「【0067】図1は本実施例の車両用外部情報報知装置の構成ブロック図である。GPSナビゲーションシステムを構成するGPS用アンテナ10,GPSレシーバ12と,車速センサ14,ステアリングセンサ16,地磁気センサ18および距離センサ20の各種センサと,制御部22が備えられている。GPSレシーバ12ではGPSアンテナ10で受けた衛星軌道上の測地衛星からの電波を受信する。この受信電波の方向に基づき,制御部22にて自車両の現在位置の緯度・経度が算出される。本装置においては,車速センサ14,ステアリングセンサ16,地磁気センサ18および距離センサ20などのセンサにより出発地点からの検出値を積算して現在位置を算出する,いわゆる自立航法システムが基本的には採用されている。しかし,より現在位置の検出精度を高めるために,前記測地衛星からの電波に基づき算出された自車両の現在位置により補正を行っている。」

・「【0069】さらに,本装置においては,予め目的地点を設定し,この目的地点に達する経路を記憶させておくことによって,曲がるべき交差点などの手前で選択すべき経路の案内を行い,前記記憶された経路に沿って誘導を行うことができる。入力部28より目的地点が入力されると,前述のGPSによって測定された現在地点から目的地点までの経路を制御部22が探索し,探索された経路が経路記憶部30に記憶される。そして,実際の走行中に記憶された経路と自車両の位置を比較して経路誘導が行われる。」

・「【0070】以上説明した機能は,地図情報記憶部24により記憶された情報に基づき作動しており,現在時点の情報は加味されていない。したがって,探索された経路が,実は道路工事などの交通規制によって通行できなくなっている場合もあり得る。また,探索された経路の一部に渋滞している区間があり,実際には他の経路を選択したほうが目的地点まで短時間で到達する場合なども有り得る。このような不都合は,現時点での情報が自車両の位置のみで,渋滞や規制などの現時点での道路の交通状況が加味されていないことによって生じる。
【0071】本装置においては,このような現時点での情報を後述する方法により外部より受信して,経路選択などの判断要因としている。外部から各車両に現時点の交通状況等を伝達する方法として,現在,FM多重放送によるもの,道路側方に設けられたビーコンより電波または光を送信するものなどが現在一部実用に供されている。
【0072】本装置は外部情報の受信手段として前述のFM多重放送を受信するFM多重レシーバ34およびビーコンからの電波などを受信するビーコンレシーバ36を備えている。
【0073】FM多重レシーバ34はFMアンテナ38により受けたFM波を受信する。このFM多重波の情報は,たとえば道路の渋滞状況や規制情報などである。また,ビーコンレシーバ36は道路側方に設けられたビーコン発信源からの電波などをビーコン用アンテナ40により受け受信する。ビーコンは比較的に狭い範囲,情報を送信するのに適している。これを利用して,特定の交差点の手前の所定の位置にビーコン発信源を設置して,この交差点に特有の情報を送信する。交差点特有の情報とは,たとえば従来から交差点手前に看板として表示されている交差点の分岐方向別の行先表示や,さらに該当する交差点から前記の表示された行先までの所要時間(旅行時間)などである。これに対し,前述のFM多重波は広域に情報を送信するのに適しており,基地局から情報送信を行なう。この情報内容は,たとえば首都高速道路全域の渋滞情報や事故・落下物などによる規制情報,その他道路管理者からのメッセージなどである。むろん,このFM多重波により送信される渋滞情報や規制情報などをビーコンにより送信することも可能である。
【0074】前述のようにFM多重レシーバ34やビーコンレシーバ36に受信された情報は,一旦記憶され,表示指示がなされたあと表示部26に表示される。この表示指示は,たとえば受信終了後またはビーコン発信源の直下を通過したことが検出された後になされる。また,受信から所定距離走行後または所定時間経過後などとしてもよい。さらには,搭乗者が入力部28より指示を行うことにより表示させるようにすることも好適である。このようにした場合は,搭乗者が要求する場合にのみ表示させることによって,搭乗者が他の画面を見ているときに外部情報が割り込むことを防止することができる。
【0075】本装置においては,以上のように外部から現在の道路状況,特に所定の交差点間の道路(リンク)ごとの通過所要時間(旅行時間)が送信されてくる場合には,目的地までのリンクの旅行時間の合計が最も短くなるような経路を探索し,この経路に沿って経路誘導を行う。このような経路探索および経路誘導の方法は,ダイナミックルートガイダンスと呼ばれ,前述の予め記憶された地図情報のみにより経路誘導を行う場合に比して,そのときの交通の状況に応じた経路誘導が行える。すなわち,目的地まで距離的には遠回りでも,より短い時間で到着することのできる経路で誘導が可能である。」

・「【0076】しかし,受信したリンク旅行時間と実際の所要時間とは種々の理由により食い違う可能性がある。たとえば,旅行時間を算出するために収集される各リンクにおける交通状況のデータに誤差が含まれたり,または検出ミスが生じたりする場合が考えられる。また,情報送信時にノイズの混入などにより正しい情報が受信されない場合もありうる。さらに,リンク旅行時間は,そのリンクの終端の交差点では直進することが基準となって算出されており,右折や左折などに要する時間は考慮されていない。さらに,リンク旅行時間が付与されているリンクが限られている場合,リンク旅行時間が付与されていないリンクは探索対象とはならない。したがって,実際にはさらに好ましい経路があったとしてもこれを探索することができなくなる。」

・「【0099】次に,旅行時間情報のないリンクに対して,周辺のリンク旅行時間から当該リンクの旅行時間を推定する場合を記す。装置の構成は図13に示される。旅行時間推定部80は旅行時間が付与されていないリンクの前後のリンクの旅行時間とリンク長より平均車速を求め,この車速で当該リンクも走行できるとして旅行時間を推定する。
【0100】または,並行する左右のリンクの旅行時間の平均を採ってもよい。並行する左右のリンクはそのリンク長が当該リンクとほぼ等しい場合が多いので,平均車速を求めずに直接旅行時間を推定しても精度をそれほど落とさずに推定ができる。
【0101】さらに,全国を10kmの区画に分けた,いわゆる2次メッシュ内での平均渋滞度の情報から,当該2次メッシュ内の旅行時間の付与されていないリンクの旅行時間を推定してもよい。すなわち,平均渋滞度から平均車速を求め,当該リンクのリンク長から旅行時間を推定する。また,2次メッシュの区画では大きい場合にこれをさらに細分化したメッシュを対象として,平均渋滞度を算出することも好ましい。」

・「【0102】次に,何らかの原因で今回に限りリンク旅行時間情報を受信できなかった場合の旅行時間の算出について説明する。この装置の構成が図14に示されている。前回の受信時に受信した旅行時間情報と,今回受信されるはずであった旅行時間情報とは,多くの場合大きな違いはないと推定される。したがって,本装置においては前回受信の情報を今回の旅行時間として扱って,経路探索を行う。特に,ビーコンレシーバ36とFM多重レシーバ34において,得られた情報のみ前回の情報を更新し,情報が得られない項目については前回の情報が残存するように構成されていることが好適である。
【0103】さらには,過去複数回の受信情報を記憶する記憶部をビーコンレシーバ36とFM多重レシーバ34に設け,過去の複数回の旅行時間の変化をもとに,今回の旅行時間を外挿することも好適である。この場合は,渋滞がひどくなりつつあるときには,この傾向より,前回の旅行時間より長めの旅行時間を推定する。」

・「【0105】図16には,この天候に関する補正の制御フローが示されている。交通情報が取得されて(S100),経路探索が行われ(S102),到着時刻を予想する(S104)。そして,降雨情報が外部情報またはワイパスイッチから検出されると(S106,S108),係数設定がなされる(S110)。この係数は旅行時間を長くする係数である。次に霧検知が行われる。この場合も外部情報またはフォグランプにより判断され(S112,S114),係数設定がなされる(S116)。
【0106】これらの係数により到着時刻の補正が行われ,搭乗者に通知される(S118)。そして,車両が走行を始める(S120)。そして,トラクションコントロールがスリップを検知したら(S122),この値が通常のものなのか,これよりも大きいものなのかが判定される(S124)。通常以上の場合は,スリップが定常的なものかが判断され(S126),定常的に大きい場合にはタイヤが磨耗したと判断し(S128),到着時刻を遅らせるような係数の設定がなされる(S130)。また,ステップS126でスリップが定常的に大きくないと判断された場合は,アクセルオンされた後のスリップが大きいかを判断する(S132)。この場合は路面状況によるものと判断し(S134),これに応じた係数設定がなされる(S136)。ステップS130,S136により設定された係数によって,到着時刻を再度修正し搭乗者に報知する(S138)。」

・段落【0074】の「FM多重レシーバ34やビーコンレシーバ36に受信された情報は,一旦記憶され,表示指示がなされたあと表示部26に表示される。」との記載によれば,車両用外部情報報知装置が,受信された情報を記憶する記憶装置を備えていることは明らかである。
段落【0075】に,「本装置においては,以上のように外部から現在の道路状況,特に所定の交差点間の道路(リンク)ごとの通過所要時間(旅行時間)が送信されてくる場合には,目的地までのリンクの旅行時間の合計が最も短くなるような経路を探索し,この経路に沿って経路誘導を行う。」と記載されているから,所定の交差点間の道路(リンク)は,通過所要時間(リンク旅行時間)を取得するように構成されているはずであり,上記記憶装置には,リンクごとの位置情報,すなわち各リンクの始点及び終点の位置情報と,所定のリンクの通過所要時間(リンク旅行時間)とが対応づけて記憶されていることは明らかである。
段落【0099】?【0101】の記載から,旅行時間のないリンクに対して,周辺のリンク旅行時間から当該リンクの旅行時間を推定する場合は,このリンク旅行時間を使用して,探索した経路の所要時間を求めているから,推定した旅行時間を記憶装置に記憶していることは明らかである。

・制御部22は,渋滞度検出部46や所要時間算出部48(図2),旅行時間推定部80(図13),旅行時間算出部82(図14)等を含み,それぞれFM多重レシーバ34やビーコンレシーバ36から受信した情報を用いて所要時間等を算出したり推定する機能をもつものであるから,受信した情報を処理するものといえる。
制御部22は,外部からリンク旅行時間等を受信して,この受信した情報に応じて,記憶された当該リンクのリンク旅行時間を更新していることは,明らかといえる。

上記記載事項及び図示内容を総合すると,刊行物1には,以下の事項からなる発明(以下,「刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
「車両の外部から受信された情報に基づき,最適な経路を搭乗者に報知する車両用経路誘導装置において,所定の交差点間の道路(リンク)は通過所要時間(リンク旅行時間)を取得するように構成されており,該車両用経路誘導装置は外部情報を受信して報知する車両用外部情報報知装置を有し,該車両用外部情報報知装置は,外部情報を受信するFM多重レシーバ34とビーコンレシーバ36と,ここで受信した情報を記憶する記憶装置と,受信した情報を処理するための制御部22と,搭乗者が該制御部22に指示を行う入力部28と,受信した情報をもとに処理して得られた情報を搭乗者の指示で表示する表示部26とを有し,前記車両用外部情報報知装置の前記記憶装置には,道路のリンクごとの始点及び終点の位置情報と,所定のリンクの通過所要時間(リンク旅行時間)を表すデータとが含まれ,そして,前記車両用外部情報報知装置の前記制御部22は,外部から現在の道路状況,所定の交差点間の道路(リンク)ごとの通過所要時間(リンク旅行時間)を受信して,外部から受信したリンク旅行時間の情報に応じて,記憶された当該リンクのリンク旅行時間を更新するとともに,リンク旅行時間情報のないリンクに対し,周辺のリンク旅行時間から当該リンクの旅行時間を推定して記憶し,そして,入力部28から搭乗者が目的地点を入力すると,現在地点から目的地点までの経路を探索し,該経路の各リンクのリンク旅行時間を合計して経路の所要時間を計算し,所要時間が最短のものを最適経路として経路記憶部30に記憶するとともに表示部26に表示して経路誘導を行う,車両用経路誘導装置。」

(2)同じく当審の拒絶理由で引用した特開平8-292057号公報(以下「刊行物2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0025】またCPU9は,交通情報受信装置8が受信する広域交通情報から図6に示すような各道路毎の所要時間データテーブルを作成してRAM11に格納する。この所要時間データテーブルでは,例えば,T(A,B)があっても,T(B,A)が登録されていない場合にはこのA,B間の道路はA→Bの一方通行路と判断する(図3参照)。また交通情報から得られないリンクに対しては,図5に示した距離データテーブルを参照し,該当するリンクの距離値を平均旅行速度,例えば,市街地であれば20km/h,郊外であれば40km/hで除算して所要時間データとして使用する。」
・「【0052】なお,この表示態様は図15及び図16に示すようなものであってもよい。すなわち,フラグ=0である場合には,図15に示すように出発交差点Sから特定の属性を持つ地点P1?Pnそれぞれに到達するまでの所要時間t1?tnを小さい順に各地点名と共にグラフ表示させ,またフラグ=1である場合には,図16に示すように出発交差点Sから特定の属性を持つ地点P1?Pnそれぞれに到達するまでの所要時間t1?tnと各地点P1?PnそれぞれのロスタイムLT1?LTnを小さい順に各地点名と共にグラフ表示させる。さらには図13と図15との切替表示,また図14と図16との切替表示ができるようにすることも可能である。」

(3)同じく当審の拒絶理由で引用した特開平8-82527号公報(以下「刊行物3」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【0003】従来の車両用経路誘導装置としては特開平1ー130299号公報が開示されている。上記特開平1ー130299号公報は,乗務員が起終点を指定するのみで,それぞれの条件による最適経路が表示され,また,これらが識別可能に同時にナビゲーション画面に表示される。これにより,極めて容易に所望の経路を選択することができる。
【0004】上記ナビゲーション画面に表示される最適経路の表示例を図9に示す。まず,ナビゲーション画面には乗務員が指定した起点(ノードN1)から終点(ノードN5)までの走行経路に対し,起点(ノードN1)からノードN2により図中下側の経路に下りノードN2→ノードN4→ノードN5へと図中下側の経路を通り終点(ノードN5)に着く第1の走行経路が選定されて表示される。また,ナビゲーション画面には,起点(ノードN1)から経路の途中(ノードN3)で図中下側の経路のノードN4→ノードN5を通り終点(ノードN5)に着く第2の走行経路と,図中上側の経路(ノードN1→ノードN3→ノードN5)を通り,かつ,最短の経路長により終点(ノードN5)に着く第3の走行経路等が選定されて表示される。更に,上記ナビゲーション画面に表示された第1から第3の走行経路の各経路の図中右側には各経路の起終点間の距離,起終点間までに要する時間および費用が表示される。ナビゲーション画面に表示された第1の走行経路等から乗務員は距離等の条件を考慮しながら目的地(ノードN5)までの経路を選択するものであった。」

・「【0026】図6に表示部17のナビゲーション画面に表示される表示例の一例を示す。現在,車両が走行している現在地は図中下側の略中央であり,現在地から図中上側の略中央の二重丸印しの目的地までの経路が表示される。図中右側に実線で示す経路Aにより走行すると予想所要時間は30分であり,経路Bにより走行すると予想所要時間は22分であり,経路Cにより走行すると予想所要時間は27分である。以上の経路A?経路Cまでは,従来の車両用経路誘導装置により表示されるが,本実施例では更に,表示部17の図中左側に破線で示す走行記録が平成6年3月29日に予想所要時間が25分に対して実際の走行に要した実所要時間が32分であったことを示す。」

(4)同じく当審の拒絶理由で引用した特開平8-77491号公報(以下「刊行物4」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 地図情報並びに前記地図で示された道路の季節や曜日等の条件に対応する蓄積データに基づく混雑度を含む補正情報を格納したデータベースと,
出発地と目的地,さらにドライブ期日や時刻データを入力する情報検索手段と,
期日や時刻に対応する条件情報を発生する条件データ発生手段と,
道路上の現実の混雑度を入力する通信手段と,
前記情報検索手段で入力された出発地並びに目的地に基づいて,前記データベースからその出発地と目的地を結ぶ経路情報と,この経路に対応する前記条件発生手段からの条件に対応した補正データが供給され,さらに前記通信手段を介して得られた混雑度に基づいて前記出発地から目的地までの所用時間を算出する制御手段と,
この制御手段で得られた出発地から目的地までの地図と共に,前記所用時間を出力する出力手段と,
を具備したことを特徴とする道路案内装置。
【請求項2】 前記情報検索手段では要求ドライブ時間が入力され,前記制御手段では出発地から目的地までの複数の経路を求めて,その経路それぞれの所用時間を算出するもので,前記要求ドライブ時間の範囲内の所用時間の出発地から目的地まで経路情報並びに所用時間が合わせて出力されるようにした請求項1記載の道路案内装置。」

・「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,所定の出発地から目的地までの道路情報を,到達所用時間情報と共に表示出力して,例えば高速道路のサービスエリア等に設置され,要求される時間範囲での経路が表示される情報ターミナル,車載されるナビゲーションシステム等に適用される道路案内装置に関する。」

・「【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のような点に鑑みなされたもので,ドライバが出発地および目的地を入力した場合に,その目的地に到達できるドライブ時間を状況に対応して求められるようにして,例えば同時に希望するドライブ時間を入力した場合に,この希望ドライブ時範囲内で目的地に到達するための複数の経路が出力されるようにすることができて,観光案内や寄り道ガイド等が効果的に行われるようにした道路案内装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係る道路案内装置は,地図情報並びに前記地図で示された道路の季節や曜日等の条件に対応する蓄積データに基づく混雑度を含む補正情報を格納したデータベースを備え,情報検索手段で入力された出発地と目的地,さらにドライブ期日や時刻データに基づいて,条件データ発生手段でその期日や時刻に対応する条件データを発生し,さらに通信手段で伝えられた道路上の現実の混雑度を制御手段に入力して,データベースから出発地と目的地を結ぶ経路情報と,この経路に対応する条件情報に対応した補正データさらに混雑度に基づいて前記出発地から目的地までの所用時間を算出する。そして,出発地から目的地までの地図と共に,そのドライブ所用時間を出力させるようにする。
【0006】
【作用】この様に構成された道路案内装置にあっては,例えば高速道路のサービスエリアに設置された端末装置において目的地を入力することにより,このサービスエリアを出発地とすると共に,その入力した時刻に基づく期日並びに時刻等の情報が入力されるもので,データベースの格納データに基づいて目的地までの経路情報並びに期日および時刻に対応した補正データが得られる。また,その入力したときに季節,天候,曜日等さらに連休条件等に関連した条件データが得られると共に,道路上に設置した情報収集システムからの混雑度等の情報も通信回線を介して得られ,これらの情報に基づいて出発地から目的地までの経路情報と共に,ドライブ所用時間が算出されて出力される。この場合,出発地から目的地までの経路が複数存在する場合には,当然その複数の経路が求められるものであり,またその各経路に対応するドライブ必要時間も求められるものであり,したがって入力者(ユーザ)が到着希望時間(希望するドライブ時間)を入力した場合,その希望ドライブ時間範囲に入る複数の経路が求められて出力できる。すなわち,最短ドライブ時間の経路と共に適宜寄り道可能な経路等が表示出力されるようになる。
【0007】
【実施例】以下,図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。図1はそのシステム構成を示すもので,検索したい情報のメニューや検索したい情報の内容等を表示するディスプレイ11を備え,このディスプレイ11は各種演算や制御等を実行するコンピュータ12からの出力によって表示制御される。情報検索装置13にあっては,ディスプレイ11に表示されたメニュー等を選択すると共に,このメニューに対応して出発地,目的地,ドライブ希望時間等の検索条件を入力するもので,これらの入力情報はコンピュータ12に入力され,コンピュータ12において各種入力データに基づいて,その目的に合った経路の算出とその日の時間毎の補正係数が計算される。
【0008】コンピュータ12に対しては,さらにデータベース14が設定されるもので,このデータベース14には地図データと共に毎日の区間毎のドライブ必要時間と,時刻単位毎のドライブ時間補正値が格納されている。また,条件データ発生装置15にあっては,検索された日時の年月日や曜日,さらに時刻等の経路並びにドライブ時間を算出するための条件データを発生し,通信装置16においては,通信回線を介して伝送された路上ビーコン,旅行時間測定用画像認識装置,超音波式渋滞センサ等の路上インフラから送られてくる渋滞情報や旅行時間を受信するもので,条件データ発生装置15および通信装置16からの情報もコンピュータ12に入力される。
【0009】そして,このコンピュータ12で求められた検索情報は,ディスプレイ11において表示されると共に,プリンタ等によって構成された情報出力手段17から記録情報として出力される。
【0010】図2はこの様に構成される道路案内装置における作動の流れを示しているもので,まずステップ100 においてユーザがCRT等で構成されるディスプレイ11で表示されている情報メニューの中から,例えば経路案内サービスを選択し,情報検索装置13に入力する。具体的には,ディスプレイ11に関連して設定されるタッチパネルスイッチを用いて入力する。次いで,ステップ101 において出発地と目的地,さらに希望するドライブ時間,出発月日や出発時刻を情報検索装置13から入力する。
【0011】ここで,端末装置の設置している場所が出発地であり,またその入力時が出発時刻である場合には,この端末装置に設定できる独自の情報とすることができるので,その旨を指示できるようにしておけば,この出発地や時刻月日等の入力を省略することが可能とされる。
【0012】この様にしてステップ101 の入力処理が行われたならばステップ102 に進むもので,このステップ102 ではコンピュータ11においては出発地から目的地までの経路計算を行う。この経路計算に際しては,通信装置16を介して得られる路上インフラからの渋滞情報や旅行時間,さらにデータベース14に格納されている過去の同時刻の蓄積データを使用して,経路と同時に目的地に到達するまでの予想ドライブ時間を算出する。
【0013】ステップ103 では,この様にして得られた予想ドライブ時間とステップ101 で入力された希望ドライブ時間とを対比し,この希望ドライブ時間の範囲内に入る経路を検索する。そして,この希望ドライブ時間範囲内に入る経路が存在したときにはステップ104 に進み,経路と予想ドライブ時間をディスプレイ11に表示させる。また,ステップ103 で希望ドライブ時間の範囲内に入る経路が存在しないと判定されたときは,ステップ105 に進んで経路なしのメッセージを表示すると共に,参考情報として最短ドライブ時間の経路とその予想ドライブ時間を表示させる。そして,このステップ104 および105 の内容は,ステップ106 において出力装置17から適宜ハードな出力として得られるようにする。
【0014】図3はデータベース14に格納されているデータの例を示しているもので,その内容は年月日,区間,時刻毎のドライブ時間Tとドライブ時間補正値Kが記憶され,さらに条件としてその日が連休であるかまた連休であれば何連休でその何日目か,休日あるいは平日であるか,付近で祭り等のイベントがあるか等の条件情報が格納されているもので,これらのデータは適宜過去の蓄積によって得られるもので,その蓄積内容によって更新される。
【0015】このデータベース14の格納されたデータの中でドライブ時間Tは,各区間毎に設置されている路上インフラからのデータを,通信装置16を介してコンピュータ12に取り込み,決定される。例えば,旅行時間測定用画像認識装置からの旅行時間データは,そのままドライブ時間Tとして格納される。また,路上ビーコンや超音波式渋滞センサ等からの渋滞情報は,その渋滞の状況から推測できる平均走行速度とその区間の距離に基づいて推定される。そして,ドライブ時間補正値Kは,時刻0時のドライブ時間を基準にして次のようにして求められるもので,この時刻J時の補正係数KJは次のような式で表現される。
【0016】KJ=(時刻J時のドライブ時間)/(時刻0時のドライブ時間)
ここで,データを格納する時刻の間隔は例えば1時間毎とするもので,この様にデータを更新することにより,毎日のデータがデータベース14上に蓄積され,最新のデータに基づいてドライブ予想時間が求められるようになる。
【0017】コンピュータ12における経路計算並びに予想ドライブ時間の計算手段について説明する。まず,従来のナビゲーションシステムにおいて用いられている経路計算方法は,例えばダイクストラ法によって出発地から目的地までの経路をm種類出力する。例えば図4で示した例においては,ルートA?Cの3種類が出力される。この図で番号(1,2,……n,……n′,……n″)は,経路の区間毎の区切りを示し,この区間毎にドライブ時間が設定され,これらに対する補正値データが決められる。
【0018】図4を用いて予想ドライブ時間の計算方法について説明すると,まず出発地が現在位置で出発時刻が現在の時刻Jとする。この出発地から番号1まで到達する時刻J,つまり現在状況におけるドライブ時間T(01)Jを,路上インフラから送られてくるデータに基づいて,図3で示したデータベースにおいてドライブ時間を決定した方法と同じ方法で決定する。次に現在の月日とその条件から,これに近い過去のデータをデータベース14から検索する。このデータベース14には,図3で説明したように区間毎の毎時のドライブ時間と補正値が格納されている。
【0019】出発時刻が現在である場合には,現在のドライブ時間T(01)Jを使うものであるため,データベース14に格納されたドライブ時間を使用することなく,その補正値のみを使用する。そして,これらのデータに基づいてドライブ時間を予測する計算のための補正係数Kを求める。この補正係数は,区間の時刻J時の補正値を“k(01)J”,1時間後の時刻(J+1)時の補正値を“k(01)(J+1) ”とすると,“K=k(01)(J+1) /k(01)J”で決定される。つまり,ドライブ時間は現在のドライブ時間のk(01)(J+1) /k(01)J となる。図3で示したデータベース14に格納されたデータにおいて,時刻12時から13時にかけては2/1.3倍のドライブ時間が予測される。」

・「【0021】・・・次に図5を用いて,出発地が入力地で出発時刻が入力された時刻J′時の場合について説明する。まず,検索する月日と条件からそれに近い過去のデータを,データベース14に格納されているデータから検索する。このデータベース14には図3で示したように区間毎の毎時のドライブ時間と補正値が格納されているもので,この格納されているデータに基づいて,入力された時刻J′に対応するドライブ時間T(01)J ′を選択する。この場合,データベース14に格納されている補正値は使用せずに,ドライブ時間のみを使用する。」

・「【0029】
【発明の効果】以上のようにこの発明に係る道路案内装置によれば,ドライバが出発地および目的地を入力することにより,その目的地に到達できるドライブ時間を状況に対応して求めることができ,例えば希望するドライブ時間範囲内で目的地に到達するための複数の経路が出力され,観光案内や寄り道ガイド等が効果的に行われるようになり,また状況に合わせて最短時間の経路が知ることができて,効果的な経路案内がされる。」

・段落【0005】,【0006】,【0017】の記載によれば,道路案内装置は,地図情報並びに地図で示された道路における出発地と目的地の間の経路の予想ドライブ時間を提供するものであり,道路は区間毎に区切られていることが把握できる。
・段落【0008】,【0015】の記載によれば,各区間は,路上インフラから区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取得するように構成されているといえる。
・段落【0007】,【0008】,【0015】,【0016】の記載によれば,コンピュータ12は,(路上インフラから取得された)データを処理するためのものであり,区間毎の渋滞情報は旅行時間を取り込み,区間毎のドライブ時間Tを決定してデータベース14に格納して1時間毎に更新することが把握できる。
・段落【0007】,【0012】,【0013】の記載によれば,ディスプレイ11は受信したデータを使用して情報検索装置に入力された検索条件にしたがって表示するものといえる。
・段落【0012】,【0013】の記載によれば,入力された出発地,目的地,希望ドライブ時間等に応じて,出発地と目的地の間の経路を決定し,ディスプレイ11に出発地から目的地までの経路の予測ドライブ時間を表示させていることが把握でき,段落【0017】?【0022】の記載より,出発地と目的地の間の経路の幾つかの区間を決定し,出発地と目的地との間の幾つかの区間におけるドライブ時間Tやドライブ時間補正値Kから,出発地から目的地までの幾つかの区間を合わせた経路の予測ドライブ時間を計算していることが把握できる。
・段落【0008】には,「データベース14には地図データと共に毎日の区間毎のドライブ必要時間と,時刻単位毎のドライブ時間補正値が格納されている。」と記載されており,段落【0012】には,「コンピュータ11においては,出発地から目的地までの経路計算を行う。この経路計算に際しては,通信装置16を介して得られる路上インフラからの渋滞情報や旅行時間,さらにデータベース14に格納されている過去の同時刻の蓄積データを使用して,経路と同時に目的地に到達するまでの予想ドライブ時間を算出する。」と記載されている。この経路計算のためには,区間毎の位置情報,すなわち,区間毎の出発点及び到達点の位置情報を地図データとしてデータベース14に有することは自明な事項である。
上記記載事項及び図示内容を総合すると,刊行物4には,以下の事項からなる発明(以下,「刊行物4記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

「地図情報並びに地図で示された道路における出発地と目的地の間の経路の予想ドライブ時間を提供する道路案内装置において,道路を区切る各区間は,路上インフラから区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取得するように構成されており,該道路案内装置は渋滞情報や旅行時間を受信する端末装置を有し,
端末装置は,路上インフラからのデータを受信する通信装置16と,受信したデータを格納するためのデータベース14と,データを処理するためのコンピュータ12と,出発地や目的地等の検索条件を入力する情報検索装置13と,受信したデータを使用して情報検索装置に入力された検索条件にしたがって表示するディスプレイ11と,を有し,
データベース14には,区間毎の出発点及び到達点の位置情報と,区間毎のドライブ時間Tと,時刻単位毎のドライブ時間補正値Kとが格納され,
コンピュータ12は,区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取り込み,区間毎のドライブ時間Tを決定してデータベース14に格納して1時間毎に更新し,
情報検索装置13を用いて入力された出発地,目的地,希望ドライブ時間等に応じて,出発地と目的地の間の経路の幾つかの区間を決定し,出発地と目的地との間の幾つかの区間におけるドライブ時間Tやドライブ時間補正値Kから,出発地から目的地までの幾つかの区間を合わせた経路の予測ドライブ時間を計算し,ディスプレイ11に出発地から目的地までの経路の予測ドライブ時間を表示させる道路案内装置」

3.対比・検討
3-1 刊行物4を主引例とした場合(理由1)
(1)対比
本願発明と刊行物4記載の発明とを対比する。
後者の「道路案内装置」は前者の「道路交通情報装置」に相当し,以下同様に,「端末装置」は「受信機」に,「通信装置16」は「受信手段」に,「格納」は「記憶」に,「データベース14」は「記憶装置」に,「コンピュータ12」は「中央処理装置」に,「情報検索装置13」は「コマンドインターフェース」に,「ディスプレイ11」は「スクリーン」に,「取り込み」は「検知」に,「出発地」は「出発点」に,「目的地」は「到達点」に,それぞれ,相当する。
後者の「地図情報並びに地図で示された道路」において,「互いに連結しあっている幾つかの区間に分割される所定の道路網」が形成されることは技術常識であり,後者の「出発地と目的地の間の経路」は前者の「道路網における行程」に相当するから,後者の「区間毎に区切られている地図情報並びに地図で示された道路における出発地と目的地の間の経路の予想ドライブ時間を提供する道路案内装置」は前者の「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を提供する道路交通情報装置」に相当する。
後者の「区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータ」から「区間毎のドライブ時間T」が決定され,旅行時間データはそのままドライブ時間Tとして格納されるが,渋滞情報はそのまま格納されるとは明記されていないため(段落【0015】参照),後者の「道路を区切る各区間は,路上インフラから区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取得するように構成され」る態様と,前者の「各区間は,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成され」る態様とは,「各区間は,道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデータを取得するように構成され」という概念で共通する。
後者の「渋滞情報や旅行時間」は,通信回線を介して伝送された路上ビーコン,旅行時間測定用画像認識装置,超音波式渋滞センサ等の路上インフラから送られてくるものであり(段落【0008】参照),通常これらの情報は無線で送られるものであるから,後者の「道路案内装置は渋滞情報や旅行時間を受信する端末装置」と,前者の「無線メッセージの携帯可能な受信機」とは,「無線メッセージを受信する受信機」の概念で共通する。
後者の「路上インフラからのデータ」及び「データ」は,路上インフラから取得する渋滞情報や旅行時間のデータであるから,同様に「無線メッセージ」と解され,後者の「受信したデータを格納するためのデータベース14」は前者の「受信した無線メッセージを記憶するための少なくとも1つの記憶装置」に相当する。
後者の「コンピュータ12」はエレクトロニクスの中央処理装置であることは自明であるから,後者の「データを処理するためのコンピュータ12」は前者の「無線メッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置」に相当する。
後者の「出発地や目的地等の検索条件を入力する」ことは,コンピュータ12に対する指令を行うことであるから,後者の「出発地や目的地等の検索条件を入力する情報検索装置13」は前者の「利用者に前記中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェース」に相当する。
後者の「受信したデータを使用」する場合に,出発地と目的地の間の経路に含まれる「少なくとも幾つか」のデータを使用しているから,後者の「受信したデータを使用して情報検索装置に入力された検索条件にしたがって表示するディスプレイ11」は前者の「受信された前記無線メッセージのうちの少なくとも幾つかから生じる情報を,前記コマンドインターフェースを介して利用者から入力された指示にしたがって表示するためのスクリーン」に相当する。
後者において,区間に分割される所定の道路網が形成されることは,前述のとおり技術常識であるから,後者の「区間毎の出発点及び到達点」は前者の「道路網の各区間ごとの出発点及び到達点」に相当し,後者の「位置情報」は前者の「道路網に固有な空間上の位置関係のデータ」に相当する。よって,後者の「区間毎の出発点及び到達点の位置情報」は前者の「道路網に固有な空間上の位置関係のデータであって,少なくとも前記道路網の各区間ごとの出発点及び到達点の識別を含むデータ」に相当する。
後者の「区間毎のドライブ時間T」と前者の「各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータ」とは,「各区間における行程の所要時間を得るためのデジタルデータ」という概念で共通し,後者のデータベース14には「区間毎のドライブ時間T」が含まれると解されるから,後者の「区間毎のドライブ時間Tと,時刻単位毎のドライブ時間補正値Kとが格納され」る態様と前者の「いわゆる行程の基本所要時間である,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータとが含まれ」る態様とは,「道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタルデータとが含まれ」という概念で共通する。
後者の「区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取り込」む態様と,前者の「更新された行程の基本所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知」する態様とは,「更新された道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知」する概念で共通する。
後者は「区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータ」に応じて「区間毎のドライブ時間T」を更新するものであるから,後者の「区間毎のドライブ時間Tを決定してデータベース14に格納して1時間毎に更新」する態様と,前者の「受信されたデジタルデータに応じて,前記行程の基本所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新」する態様とは,「受信されたデジタルデータに応じて,前記道路網の各区間における行程の所要時間を得るための,記憶されたデータを更新」の概念で共通する。
後者の「情報検索装置13を用いて入力された出発地,目的地,希望ドライブ時間等に応じて,出発地と目的地の間の経路の幾つかの区間を決定」する態様と,前者の「コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の所望の出発点および到達点に応じて,道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定」する態様とは,「コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の少なくとも所望の出発点および到達点に応じて,道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定」する概念で共通する。
後者の「出発地から目的地までの幾つかの区間を合わせた経路」とは,出発地と目的地の間の全行程を意味するものであるから,後者の「出発地と目的地との間の幾つかの区間におけるドライブ時間Tやドライブ時間補正値Kから,出発地から目的地までの幾つかの区間を合わせた経路の予測ドライブ時間を計算」する態様と,前者の「道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算」する態様とは,「道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算」する概念で共通する。
後者の「ディスプレイ11に出発地から目的地までの経路の予測ドライブ時間を表示」する態様は前者の「スクリーン上に少なくとも全行程の所要時間を表示」する態様に相当する。

したがって,両者は,
「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を提供する道路交通情報装置において,前記各区間は,前記道路網の前記各区間における行程の所要時間を得るためのデータを取得するように構成されており,該道路交通情報装置は無線メッセージを受信する受信機を有し,該無線メッセージを受信する受信機は,
無線メッセージを受信するための受信手段と,
受信した前記無線メッセージを記憶するための少なくとも1つの記憶装置と,
前記無線メッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置と,
利用者に前記中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェースと,
受信された前記無線メッセージのうちの少なくとも幾つかから生じる情報を,前記コマンドインターフェースを介して利用者から入力された指示にしたがって表示するためのスクリーンと,を有し,
前記記憶装置には,
前記道路網に固有な空間上の位置関係のデータであって,少なくとも前記道路網の各区間ごとの出発点及び到達点の識別を含むデータと,
前記道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタルデータとが含まれ,
前記中央処理装置は,
更新された道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知し,
受信されたデジタルデータに応じて,前記道路網の各区間における行程の所要時間を得るための,記憶されたデータを更新し,
前記コマンドインターフェースを用いて利用者により前記中央処理装置に設定された前記道路網の所望の出発点および到達点に応じて,
前記道路網の所望の少なくとも前記出発点と前記到達点との間において採用されるべき前記道路網の幾つかの区間を決定し,
前記道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算し,
前記スクリーン上に少なくとも該全行程の所要時間を表示させる,道路交通情報装置。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]
無線メッセージを受信する受信機に関し,本願発明は,無線メッセージの「携帯可能な」受信機であるのに対し,刊行物4記載の発明は,携帯可能であることは特定されていない点。

[相違点2]
各区間が,前記道路網の前記各区間における行程の所要時間を得るためのデータを取得するように構成される態様に関し,本願発明では,各区間は,前記道路網の前記各区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成されるのに対し,刊行物4記載の発明では,道路を区切る各区間は,路上インフラから区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取得するように構成される点。

[相違点3]
中央処理装置が,更新された道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知する態様に関し,本願発明は,更新された行程の基本所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知するのに対し,刊行物4記載の発明は,区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータを取り込む点。

[相違点4]
記憶装置に,道路網の各区間における行程の所要時間を得るためのデジタルデータとが含まれる態様に関し,本願発明は,いわゆる行程の基本所要時間である,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータとが含まれるのに対し,刊行物4記載の発明は,区間毎のドライブ時間Tと,時刻単位毎のドライブ時間補正値Kとが格納される点。

[相違点5]
受信されたデジタルデータに応じて,道路網の各区間における行程の所要時間を得るための,記憶されたデータを更新する態様に関し,本願発明は,受信されたデジタルデータに応じて,行程の基本所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新するのに対し,刊行物4記載の発明は,(区間毎の渋滞情報や旅行時間のデータに応じて)区間毎のドライブ時間Tを決定してデータベース14に格納して1時間毎に更新する点。

[相違点6]
コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の少なくとも所望の出発点および到達点に応じて,道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定する態様に関し,本願発明は,道路網の所望の出発点および到達点に応じて決定するのに対し,刊行物4記載の発明は,出発地,目的地,希望ドライブ時間等に応じて決定する点。

[相違点7]
道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算する態様に関し,本願発明は,道路網の所望の出発点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算するのに対し,刊行物4記載の発明は,出発地と目的地との間の幾つかの区間におけるドライブ時間Tやドライブ時間補正値Kから,出発地から目的地までの幾つかの区間を合わせた経路の予測ドライブ時間を計算する点。

(2)判断
・相違点1について
刊行物4には,道路案内装置を車載されるナビゲーションシステム等に適用することが記載されており(【0001】参照),また,道路案内装置は固定タイプか可搬タイプのいずれかであるから,刊行物4記載の発明において道路案内装置を可搬すなわち携帯可能とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
そして,車両用経路誘導装置のような道路案内装置を携帯可能に構成することは,例えば原査定で引用された特開平7-120270号公報,特開平7-159193号公報等に記載されるように周知の事項である。
したがって,刊行物4記載の発明において,相違点1に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

・相違点2ないし5について
本願明細書には,「【0037】記憶装置23のこの部分には,・・・そして道路網1の様々な区間4における行程の基本所要時間に関するデジタルデータであって,これらのデジタル情報は,例えば各区間4における車の流れの平均速度から成るか,または直接的に上記各区間4における行程の平均所要時間から成るデジタルデータとが含まれる。」,「【0052】これらの行程の基本所要時間は,記憶装置23に直接,格納されそして受信された無線メッセージによって直接,再生されるか,または中央処理装置20によって,・各区間4に関する記憶装置23内に格納されておりかつ受信された無線メッセージによって再生された車の流れの平均速度から,・そして,上記記憶装置23に格納されている区間の長さから,計算されるかする。」,「【0061】そのために,記憶装置23は,道路網の各区間4に関して,当該区間における行程の基本所要時間および/または車の流れの平均速度が最後に更新された日時を保存しておくことができる。」と記載されている。
すなわち,本願発明の中央処理装置が検知し,記憶装置に格納する「行程の基本所要時間を表すデジタル情報」とは,車の平均速度,または行程の平均所要時間から成るデジタルデータ(デジタル情報)と解される。
刊行物4には,コンピュータ12に取り込まれる渋滞情報や旅行時間のデータに関して,「このデータベース14の格納されたデータの中でドライブ時間Tは,各区間毎に設置されている路上インフラからのデータを,通信装置16を介してコンピュータ12に取り込み,決定される。例えば,旅行時間測定用画像認識装置からの旅行時間データは,そのままドライブ時間Tとして格納される。また,路上ビーコンや超音波式渋滞センサ等からの渋滞情報は,その渋滞の状況から推測できる平均走行速度とその区間の距離に基づいて推定される。」(段落【0015】)と記載されており,ドライブ時間Tは,区間毎の平均走行速度(平均速度)や旅行時間(平均所要時間)から算出されることが示唆されている。
上記刊行物4には,路上ビーコンから渋滞情報を受信するものであるが,路上ビーコン等から所定の区間毎の旅行時間を受信することは,刊行物1(【0073】,【0075】参照),特開平7-98796号公報(【0017】参照)等に記載されるように慣用技術である。
ここで,路上インフラとしては,刊行物4にも記載されているように,旅行時間測定用画像認識装置や路上ビーコン等の様々な種類のものが設置されていることが一般的に知られているから,区間毎の所要時間を得るための,平均走行速度や旅行時間をどのような路上インフラから取り込まれたデータに基づいて算出するかは,当業者が適宜設定し得たことである。そして,道路案内装置に記憶・更新するデータを,路上インフラから取り込まれたデータに応じて設定することは,当業者が適宜なし得たことである。
以上を踏まえれば,刊行物4記載の発明において,各区間が「各区間における行程の所要時間を表すデータ」を取得するように構成し,コンピュータ12(中央演算装置)が「行程の基本所要時間を表すデジタル情報」を検知し,データベース14(記憶装置)に「各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータ」を含まれるように構成し,「受信された(各区間における行程の所要時間を表す)デジタルデータ」に応じて,記憶されたドライブ時間T(記憶されたデジタルデータ)を更新することは,当業者が格別な創作能力を要さずになし得たことである。
したがって,刊行物4記載の発明において,相違点2ないし5に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

・相違点6について
刊行物4の【請求項1】には,希望ドライブ時間(【請求項2】で特定される要求ドライブ時間)の入力を含まない道路案内装置が記載されているから,刊行物4は,出発地から目的地までの所要時間の算出の際に希望ドライブ時間を入力しないことを示唆している。
また,出発地から目的地までの所要時間を希望ドライブ時間等を入力することなく算出することは,刊行物2(請求項1,【0028】,図15,16等を参照),刊行物3(請求項1,【0004】,【0026】,図6,9等を参照)に記載されるように周知技術である。
したがって,刊行物4記載の発明において,上記周知技術を採用し,相違点6に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

・相違点7について
出発点から到達点までの所要時間を,その間の幾つかの区間の所要時間の総計から計算することは,刊行物1(【0075】参照),刊行物2(【0028】?【0036】,【0043】,【0044】参照)に記載されるように周知の技術である。そして,上記周知の技術を勘案すれば,ドライブ時間補正値Kを用いずに,区間における行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算することは,当業者が適宜なし得た程度のことである。
したがって,刊行物4記載の発明において,上記周知の技術を採用して,相違点7に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

そして,本願発明の奏する効果は,刊行物4記載の発明,上記周知の事項,上記周知技術及び上記周知の技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。
よって,本願発明は,刊行物4記載の発明,上記周知の事項,上記周知技術及び上記周知の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)小活
上記のとおり,本願発明は,刊行物4記載の発明,上記周知の事項,上記周知技術及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるが,更に,刊行物1に基づく進歩性についても,以下に検討する。

3-2 刊行物1を主引例とした場合(理由2)
(1)対比
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,まず,刊行物1記載の発明のような車両用経路誘導装置の分野において,道路の所定区間(リンク)は,「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網」を形成していることは技術常識であるとともに,刊行物1記載の発明も,道路網のある区間における通過所要時間に関する情報を処理して得た情報(最適な経路情報)を提供するものであって,道路交通情報装置の一種といえるから,後者の「車両用経路誘導装置」は前者の「道路交通情報装置」に相当し,後者の「車両の外部から受信された情報に基づき,最適な経路を搭乗者に報知する車両用経路誘導装置」と前者の「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における行程の所要時間に関する情報を提供する道路交通情報装置」とは,「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における道路に関する情報を提供する道路交通情報装置」との概念で共通している。
また,後者の「所定の交差点間の道路(リンク)は通過所要時間(リンク旅行時間)を取得するように構成され」る態様と,前者の「各区間は,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成され」る態様とは,「所定の区間は,道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成され」るという概念で共通する。
次に,本願発明の「無線メッセージ」とは,行程の基本所要時間を表すデジタル情報等を含むものであり,刊行物1記載の発明の「外部から受信された情報」も,道路のリンクごとの通過所要時間(リンク旅行時間)を含みビーコン等から電波で送られるものであるから,後者の「情報」及び「外部情報」は前者の「無線メッセージ」に相当し,後者の「車両用外部情報報知装置」は前者の「受信機」に相当し,後者の「外部情報を受信して報知する車両用外部情報報知装置」と前者の「無線メッセージの携帯可能な受信機」とは,「無線メッセージを受信する受信機」との概念で共通する。
また,後者の「FM多重レシーバ34とビーコンレシーバ36」は前者の「受信手段」に相当し,以下同様に,「記憶装置」は「少なくとも1つの記憶装置」に,「ここで受信した情報を記憶する記憶装置」は「受信した無線メッセージを記憶するための少なくとも1つの記憶装置」に,それぞれ相当する。
加えて,車両用経路誘導装置を制御する制御部22が,デジタルで情報を処理するエレクトロニクスの中央処理装置で構成されることは,技術常識であるから,後者の「制御部22」は前者の「エレクトロニクスの中央処理装置」及び「中央処理装置」に相当し,後者の「受信した情報を処理するための制御部22」は前者の「無線メッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置」に相当する。
さらに,後者の「搭乗者」が前者の「利用者」に相当し,後者の「搭乗者が制御部22に指示を行う入力部28」は前者の「利用者に中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェース」に相当する。
また,後者の「表示部26」は前者の「スクリーン」に相当し,後者の「受信した情報をもとに処理して得られた情報を搭乗者の指示で表示する表示部26」は前者の「受信された無線メッセージのうちの少なくとも幾つかから生じる情報を,コマンドインターフェースを介して利用者から入力された指示にしたがって表示するためのスクリーン」に相当する。
そして,後者において,区間に分割される所定の道路網が形成されることは,前述のとおり技術常識であるから,後者の「道路のリンクごとの始点及び終点」は前者の「道路網の各区間ごとの出発点及び到達点」に相当し,後者の「位置情報」は前者の「道路網に固有な空間上の位置関係のデータ」に相当することになり,後者の「道路のリンクごとの始点及び終点の位置情報」は前者の「道路網に固有な空間上の位置関係のデータであって,少なくとも前記道路網の各区間ごとの出発点及び到達点の識別を含むデータ」に相当する。
また,上記のとおり,車両用経路誘導装置がデジタルで情報を処理することは技術常識であり,刊行物1記載の発明における外部からの情報に含まれるリンク旅行時間もデジタルデータであることは明らかであるから,後者の「所定のリンクの通過所要時間(リンク旅行時間)を表すデータ」と前者の「いわゆる行程の基本所要時間である,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデジタルデータ」とは,「道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタルデータ」との概念で共通する。
さらに,後者の「外部から現在の道路状況,所定の交差点間の道路(リンク)ごとの通過所要時間(リンク旅行時間)を受信」する態様と,前者の「更新された行程の基本所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知」する態様とは,「更新された道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知」するとの概念で共通する。
また,後者の「外部から受信したリンク旅行時間の情報に応じて,記憶された当該リンクのリンク旅行時間を更新するとともに,リンク旅行時間情報のないリンクに対し,周辺のリンク旅行時間から当該リンクの旅行時間を推定して記憶」する態様と,前者の「受信されたデジタルデータに応じて,行程の基本所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新」する態様とは,「受信されたデジタルデータに応じて,道路網の所定の区間における行程の所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新」するとの概念で共通する。
さらに,後者の「入力部28」は前者の「コマンドインターフェース」に相当するから,後者の「入力部28から搭乗者が目的地点を入力すると,現在地点から目的地点までの経路を探索」する態様と,前者の「コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の所望の出発点および到達点に応じて,道路網の所望の前記出発点と前記到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定」する態様とは,「コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の所望の到達点に応じて,道路網の所定の地点と前記到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定」するとの概念で共通する。
また,後者の「経路の各リンクのリンク旅行時間を合計して経路の所要時間を計算」する態様と,前者の「道路網の所望の前記出発点と前記到達点との間において採用されるべき前記幾つかの区間における前記行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算」する態様とは,「道路網の所定の地点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算」するとの概念で共通する。
そして,後者の「所要時間が最短のものを最適経路として経路記憶部30に記憶するとともに表示部26に表示して経路誘導を行う」態様と,前者の「スクリーン上に少なくとも全行程の所要時間を表示させ」る態様とは,「スクリーン上に所定の情報を表示させる」との概念で共通する。

したがって,両者は,
「互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における道路に関する情報を提供する道路交通情報装置において,所定の区間は,前記道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成されており,該道路交通情報装置は無線メッセージを受信する受信機を有し,該無線メッセージを受信する受信機は,
無線メッセージを受信するための受信手段と,
受信した前記無線メッセージを記憶するための少なくとも1つの記憶装置と,
前記無線メッセージを処理するためのエレクトロニクスの中央処理装置と,
利用者に前記中央処理装置に対する指令を可能にするコマンドインターフェースと,
受信された前記無線メッセージのうちの少なくとも幾つかから生じる情報を,前記コマンドインターフェースを介して利用者から入力された指示にしたがって表示するためのスクリーンと,を有し,
前記記憶装置には,
前記道路網に固有な空間上の位置関係のデータであって,少なくとも前記道路網の各区間ごとの出発点及び到達点の識別を含むデータと,
前記道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタルデータとが含まれ,
前記中央処理装置は,
更新された前記道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知し,
受信された前記デジタルデータに応じて,前記道路網の所定の区間における行程の所要時間を表す,記憶された前記デジタルデータを更新し,
前記コマンドインターフェースを用いて利用者により前記中央処理装置に設定された前記道路網の所望の到達点に応じて,
前記道路網の所定の地点と前記到達点との間において採用されるべき前記道路網の幾つかの区間を決定し,
前記道路網の所定の地点と前記到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における前記行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算し,
前記スクリーン上に所定の情報を表示させる,道路交通情報装置。」の点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点8]
道路に関する情報を提供する道路交通情報装置に関し,本願発明は,互いに連結し合っている幾つかの区間に分割される所定の道路網における「行程の所要時間に関する情報」を提供する道路交通情報装置であるのに対し,刊行物1記載の発明は,車両の外部から受信された情報に基づき,「最適な経路」を搭乗者に報知する道路交通情報装置(車両用経路誘導装置)である点。

[相違点9]
無線メッセージを受信する受信機に関し,本願発明は,無線メッセージの「携帯可能な」受信機であるのに対し,刊行物1記載の発明は,携帯可能であることは特定されていない点。

[相違点10]
道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタルデータに関し,本願発明は,いわゆる行程の基本所要時間である,道路網の「各区間」における行程の所要時間を表すデジタルデータであるのに対し,刊行物1記載の発明は,道路網の「所定の区間」における行程の所要時間を表すデジタルデータであって,道路網の全ての区間を含むことは特定されていない点。

[相違点11]
受信されたデジタルデータに応じて,道路網の所定の区間における行程の所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新する態様に関し,本願発明は,受信されたデジタルデータに応じて,行程の基本所要時間を表す,記憶されたデジタルデータを更新するのに対し,刊行物1記載の発明は,外部から受信したリンク旅行時間の情報に応じて,記憶された当該リンクのリンク旅行時間を更新するとともに,リンク旅行時間情報のないリンクに対し,周辺のリンク旅行時間から当該リンクの旅行時間を推定して記憶する点。

[相違点12]
コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の所望の到達点に応じて,道路網の所定の地点と前記到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定する態様に関し,本願発明は,コマンドインターフェースを用いて利用者により中央処理装置に設定された道路網の「所望の出発点」および到達点に応じて,道路網の「所望の出発点と」到達点との間において採用されるべき道路網の幾つかの区間を決定するのに対し,刊行物1記載の発明は,利用者により所望の到達点(目的地点)は設定されるが,出発点が設定されることは特定されておらず,「現在地点」から到達点までの経路を探索している点。

[相違点13]
道路網の所定の地点と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算する態様に関し,本願発明は,道路網の「所望の出発点」と到達点との間において採用されるべき幾つかの区間における行程の基本所要時間の総計に等しい全行程の所要時間を計算するのに対し,刊行物1記載の発明は,「現在地点」から到達点(目的地点)までの経路の行程の通過所要時間(リンク旅行時間)の総計に等しい全行程の所要時間を計算するが,「所望の出発点」と到達点までの経路の全行程の所要時間を計算することは特定されていない点。

[相違点14]
スクリーン上に所定の情報を表示する態様に関し,本願発明は,スクリーン上に「少なくとも全行程の所要時間」を表示させるのに対し,刊行物1記載の発明は,「全行程の所要時間が最短の最適経路」を表示する点。

[相違点15]
更新された道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知する態様に関し,本願発明は,更新された行程の基本所要時間を表すデジタル情報を少なくとも含む,所定の幾つかの無線メッセージを検知するものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,外部からの道路状況,所定の交差点間の道路(リンク)ごとの通過所要時間(リンク旅行時間)を受信するものであって,道路網の全ての区間を含むことは特定されていない点。

[相違点16]
所定の区間は,道路網の所定の区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成される態様に関し,本願発明は,各区間は,道路網の各区間における行程の所要時間を表すデータを取得するように構成されるのに対し,刊行物1記載の発明は,所定の交差点間の道路(リンク)は通過所要時間(リンク旅行時間)を取得するように構成される点。

(2)判断
・相違点8,14について
車両用経路誘導装置のような道路交通情報装置において,道路の各リンク(本願発明の「区間」)の所要時間に基づいて,探索した所定の経路の全所要時間を計算してこれを表示することは,刊行物2(【0052】,図15,16等を参照),刊行物3(【0004】,【0026】,図6,9等を参照),刊行物4(【0012】?【0015】等を参照)に記載されるように,周知技術である。
また,刊行物1には,経路探索の結果得られた所定の経路について,目的地への到着時刻を表示することが記載され(【0106】,図16等を参照),出発地から目的地までに要する所要時間を表示することが示唆されているといえる。
そうすると,刊行物1記載の発明において,上記周知技術を採用して,相違点8及び14に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

・相違点9について
車両用経路誘導装置のような道路交通情報装置を携帯可能に構成することは,理由1の相違点1についてにおいて,既に述べたとおり,周知の事項である。
そして,車両用経路誘導装置のような道路交通情報装置において,限られた空間内に設置されることを考慮して,あるいは取付け・取り外しの容易性等を考慮して,車両用外部情報報知装置の小型軽量化を図ったり,携帯可能なものとすることは,必要に応じて適宜採用し得る設計事項に過ぎない。
したがって,刊行物1記載の発明において,相違点9に係る本願発明の構成とすることは,当業者が適宜容易になし得た程度の事項である。

・相違点10,11,15,16について
本願発明における「各区間」とは,所定の道路網を構成する区間の全てを含むものと解されることから,上記相違点10,11,15,16を要約していえば,本願発明は,道路網の全ての各区間について行程の所要時間を取得して記憶し,外部からの無線メッセージの情報により更新するものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,道路網の区間のうち所定のものについて行程の所要時間を外部からの情報により更新するとともに,外部から行程の所要時間を取得できない区間については,その周辺の区間の行程の所要時間から推定して記憶するものである点で相違するものであるといえる。
これに対して,刊行物1記載の発明においては,外部の情報が取得できないリンクについて,補完的に周辺のリンクの情報から推定して求めているものであり,外部から全ての区間の情報の取得可能な環境にあれば,当然に,全ての区間の行程の所要時間の情報を取得して更新することができるものであることは明らかである。
すなわち,刊行物1記載の発明は,道路網の行程の所要時間の情報を提供する外部環境の制約により,全ての区間の情報が得られない場合をも想定した発明であり,外部から全ての区間の行程の所要時間の情報を得られる環境にあれば,全ての区間の行程の所要時間の情報を受信して更新することが可能なのであるから,この点に関しては,装置本体の備える機能から見れば,本願発明と刊行物1記載の発明との間に,実質的な相違はないものである。
換言すれば,刊行物1記載の発明も,道路網の区間のうち,できる限り多くの区間の行程の所要時間を外部から取得することを前提とした発明ということができ,したがって,本願発明のように道路網の全ての区間の行程の所要時間を外部から取得するよう構成することについて,示唆がなされているといえる。加えて,刊行物1には,なんらかの理由でリンク旅行時間の得られないリンクに対して,いくつかの方法によりリンク旅行時間を推定して用いることが記載されており,道路網の全てのリンクについてのリンク旅行時間を取得して更新することが強く示唆されている。
そして,所定の道路網の全ての区間(リンク)について,所要時間データを記憶しておくことは,例えば,刊行物2(【0025】の「交通情報受信装置8が受信する広域交通情報から図6に示すような各道路毎の所要時間データテーブルを作成しておいてRAM11に格納する。」等を参照。)に記載されるように,車両用経路誘導装置等の道路交通情報装置の分野において,周知の技術である。
そうすると,刊行物1記載の発明において,上記周知の技術を採用して,相違点10,11,15,16に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

・相違点12,13について
車両用経路誘導装置のような道路交通情報装置において,探索すべき経路を設定する際に,目的地(到達点)だけでなく出発地(出発点)をも利用者が設定可能とすることは,例えば,刊行物3(【0003】?【0004】等を参照),刊行物4(【0004】等を参照)にも記載されるように常套手段である。
また,上記相違点10,11,15,16についてにおける検討を踏まえれば,全行程の所要時間を幾つかの区間における行程の基本所要時間の総計に等しくすることは,当業者が適宜なし得たことである。
よって,刊行物1記載の発明において,上記常套手段を採用して,相違点12,13に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の奏する効果は,刊行物1記載の発明,上記周知技術,上記周知の事項,上記周知の技術及び上記常套手段から当業者が予測し得る範囲内のものである。
よって,本願発明は,刊行物1記載の発明,上記周知技術,上記周知の事項,上記周知の技術及び上記常套手段に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)小活
上記のとおり,本願発明は,刊行物1記載の発明,上記周知技術,上記周知の事項,上記周知の技術及び上記常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである

4.むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,刊行物4記載の発明,上記周知の事項,上記周知技術及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,又,刊行物1記載の発明,上記周知技術,上記周知の事項,上記周知の技術及び上記常套手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-01-30 
結審通知日 2014-02-05 
審決日 2014-02-18 
出願番号 特願2008-256252(P2008-256252)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹下 晋司  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 平城 俊雅
藤井 昇
発明の名称 道路交通情報装置  
代理人 木越 力  
代理人 倉持 誠  
代理人 吹田 礼子  
代理人 石井 たかし  

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