• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1290077
審判番号 不服2013-6935  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-15 
確定日 2014-07-24 
事件の表示 特願2010-138964号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年1月5日出願公開、特開2012-302号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成22年6月18日の出願であって、平成25年1月8日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年1月15日)、これに対し、同年4月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年4月15日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年4月15日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前に
「遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球する入賞を検出する検出手段と当該検出手段により検出された当該入賞に対応して抽選を行う抽選手段とを備える遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する大入賞口の入口を開き又は拡大する特別電動役物と、
前記特別電動役物を連続して作動させることができる役物連続作動装置と、
所定の場合に作動し、当該作動が前記役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている条件装置と、
前記条件装置が作動した後に前記役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い前記遊技領域に位置すると共に前記大入賞口よりも上方に位置する、当該大入賞口以外の特定の入賞口または当該大入賞口の外に設けられる特定のゲートと、
を備え、
前記特定の入賞口または前記特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎは、当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で左方向上方に向けて当該第1の遊技くぎ群から遠ざかるように列状に延びる第2の遊技くぎ群とを含み、
前記第1の遊技くぎ群と前記第2の遊技くぎ群との間に、前記特定の入賞口または前記特定のゲートの略直上から遊技球が落下することを妨げる遊技くぎが配設されていないことを特徴とする遊技機。」とあったものを
「遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球する入賞を検出する検出手段と当該検出手段により検出された当該入賞に対応して抽選を行う抽選手段とを備える遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する大入賞口の入口を開き又は拡大する特別電動役物と、
前記特別電動役物を連続して作動させることができる役物連続作動装置と、
所定の場合に作動し、当該作動が前記役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている条件装置と、
前記条件装置が作動した後に前記役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い前記遊技領域に位置すると共に前記大入賞口よりも上方に位置する、当該大入賞口以外の特定の入賞口または当該大入賞口の外に設けられる特定のゲートと、
を備え、
前記特定の入賞口または前記特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎは、当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で上下方向に延びる仮想線に対して第1の角度で交差するように右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と、当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で当該仮想線に対して当該第1の角度とは異なる第2の角度で交差するように左方向上方に向けて当該第1の遊技くぎ群から遠ざかって列状に延びる第2の遊技くぎ群と、を含み、当該第1の遊技くぎ群と当該第2の遊技くぎ群とは当該仮想線に対して互いに非対称に配設され、 前記第1の遊技くぎ群と前記第2の遊技くぎ群との間に、前記特定の入賞口または前記特定のゲートの略直上から遊技球が落下することを妨げる遊技くぎが配設されていないことを特徴とする遊技機。」(下線は補正箇所を示す。)と補正するものである。

上記補正について検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、特定の入賞口または前記特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎについて、「当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で左方向上方に向けて当該第1の遊技くぎ群から遠ざかるように列状に延びる第2の遊技くぎ群とを含み、」とあったものを「当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で上下方向に延びる仮想線に対して第1の角度で交差するように右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と、当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で当該仮想線に対して当該第1の角度とは異なる第2の角度で交差するように左方向上方に向けて当該第1の遊技くぎ群から遠ざかって列状に延びる第2の遊技くぎ群と、を含み、当該第1の遊技くぎ群と当該第2の遊技くぎ群とは当該仮想線に対して互いに非対称に配設され、 」と限定するものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物に記載された発明
(1)原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である登録実用新案第3111092号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口及び大入賞口と、前記始動口ヘの遊技球の入球に起因して抽出された乱数が所定値であることを条件に作動する条件装置と、該条件装置が作動中であることを必須条件として作動し該作動中は前記大入賞口を連続して開放作動させることが可能になる役物連続作動装置とを備えた弾球遊技機において、
狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な位置に役物連続作動装置作動口を設け、
前記役物連続作動装置は、前記条件装置の作動中における前記役物連続作動装置作動口ヘの入球を必須の前提条件にして作動し、所定回数の前記大入賞口の開放により作動を終了する構成であり、
前記条件装置は少なくとも前記役物連続作動装置の作動の終了するときに、その作動を終了する構成であり、
前記条件装置が作動中で、且つ前記役物連続作動装置が非作動状態であることを報知する報知手段を備える
ことを特徴とする弾球遊技機。」(【特許請求の範囲】。下線は審決で付した。以下同様。)
イ 「本考案は、遊技球が入球可能な始動口及び大入賞口と、前記始動口ヘの遊技球の入球に起因して抽出された乱数が所定値であること又は前記大入賞口内に設けられた特定領域に遊技球が進入したことを条件に作動する条件装置と、該条件装置が作動中であることを必須条件として作動することにより前記大入賞口を連続して開放させることが可能になる役物連続作動装置とを備えた弾球遊技機において、条件装置が作動したが役物連続作動装置は未作動の期間を利用することを目的としている。」(段落【0009】)
ウ 「請求項1記載の弾球遊技機は、
遊技球が入球可能な始動口及び大入賞口と、前記始動口ヘの遊技球の入球に起因して抽出された乱数が所定値であることを条件に作動する条件装置と、該条件装置が作動中であることを必須条件として作動し該作動中は前記大入賞口を連続して開放作動させることが可能になる役物連続作動装置とを備えた弾球遊技機において、
狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な位置に役物連続作動装置作動口を設け、
前記役物連続作動装置は、前記条件装置の作動中における前記役物連続作動装置作動口ヘの入球を必須の前提条件にして作動し、所定回数の前記大入賞口の開放により作動を終了する構成であり、
前記条件装置は少なくとも前記役物連続作動装置の作動の終了するときに、その作動を終了する構成であり、
前記条件装置が作動中で、且つ前記役物連続作動装置が非作動状態であることを報知する報知手段を備えたので、
大入賞口の連続開放作動には条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球が必須となる。
条件装置は始動口ヘの遊技球の入球に起因して抽出された乱数が所定値であることを条件に作動するので、その作動は抽選による大当たりの発生に相当する。そして、役物連続作動装置が作動することにより大入賞口の連続開放作動が行われるので、これは大当たり遊技の実行に相当する。
つまり、大当たりの発生条件が従来の第1種パチンコ機と同じでありながら、役物連続作動装置作動口に入球しなければ大当たり遊技が実行されないので、大当たりの発生から実行開始までに時間的な余裕を作り出せる。
従来の第1種パチンコ機では、条件装置が作動すると、いわゆるオープニング演出等に若干の時間は費やすものの、直ちに大入賞口が所定時間開放され、この制限された時間内に大入賞口に入賞させ、しかも大入賞口内の特定領域に入球させなければ連続開放が継続しないので、遊技者が時間に制約されて不利益を被ったり、急がされたりした。
しかしながら、請求項1の弾球遊技機では、大当たりが発生しても役物連続作動装置作動口に入球させなければ大入賞口が開放されないので、遊技者の意思により大入賞口の開放時期を自由に選択できる。このため、手持ちの遊技球数が残り少ないときに補充する時間を十分に確保できる。また、大当たりの発生後に休憩してから大入賞口を開放させることもできる。即ち、遊技者が時間に制約されて不利益を被ったり、急がされたりするという課題を好適に解決できる。」(段落【0010】?【0014】)
エ 「請求項1、2に記載の弾球遊技機においては、役物連続作動装置作動口を狙うことはできるものの、役物連続作動装置を条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球を必須の前提条件にして作動させるように構成しているため、条件装置の非作動中に役物連続作動装置作動口に遊技球が入球しても、役物連続作動装置の作動とは無関係とすることができる。
役物連続作動装置作動口が設けられる、狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な位置とは、単に盤面上に設けられるゲートや入球口のような構成としてもよいし、拡開状態と縮小状態(入球は可能)に可変な可変入賞装置内に設けてもよく、狙って入球させることができる位置ならどのような位置に設けても問題ない。
役物連続作動装置が条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球を必須の前提条件にして作動するとは、条件装置の作動中に役物連続作動装置作動口ヘ遊技球が1球でもあれば役物連続作動装置を作動させるように構成してもよいし、条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球に起因して抽出された乱数が所定値である場合に限り役物連続作動装置を作動させるように構成してもよく、条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球数を計数して所定数に到達することを条件に役物連続作動装置を作動させるように構成してもよい。また条件装置の作動中における役物連続作動装置作動口ヘの入球と何らかの関係性を持っていれば他の如何なる手段を用いて役物連続作動装置を作動させるように構成しても問題ない。」(段落【0021】?【0023】)
オ 「このように、条件装置と役物連続作動装置の作動を関連性は持たせたまま作動起因を別々にしたことにより、従来の弾球遊技機には無かった役物連続作動装置を作動させることを目的とした遊技期間を創出することができ、新たな遊技性を与えることができる。」(段落【0025】)
カ 「一方、始動口と役物連続作動装置作動口については、始動口と役物連続作動装置作動口とが、遊技球の同一流下経路上にない構成、例えば遊技盤面の左側と右側とにそれぞれ配置することにより、始動口を狙う期間(条件装置の非作動時)と役物連続作動装置作動口を狙う期間(条件装置の作動中)の遊技を明確に分けることができ、遊技性を解りやすくすることができる。この際に報知手段による報知が遊技者の理解と対応を援助する。」(段落【0039】)
キ 「【考案を実施するための最良の形態】
次に、本考案のいくつかの実施例により考案の実施の形態を説明する。なお、本考案は実施例に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
[実施例1]
弾球遊技機の一種であるパチンコ機1は、図1に示すように、長方形の外枠2に軸支された前面枠3を備えている。
・・・図2に示すように、遊技盤10には外レール11aと内レール11bとによって囲まれた略円形の遊技領域13が形成されている。
その遊技領域13の中央部にはセンターケース14が設置されており、窓部分に液晶表示装置32(図3参照)の表示画面26を臨ませている。
センターケース14の下方には、役物連続作動装置作動口となるゲート17とチューリップ式の可変入賞装置で始動口となる普通電動役物36とを備える複合装置19が設置されている。また、その下方には大入賞口40を有するアタッカー式の大入賞装置12が設置されている。遊技釘、風車などの図示は省略したが、狙って遊技球を発射することによりゲート17に入球させることが可能である。
一方、センターケース14の左右には普通図柄始動口となるゲート38が配置されている。遊技球がゲート38を通過すると普通図柄抽選が行われ、それが当たりであると普通電動役物36が開放される。普通電動役物36の開放は規定時間になるか規定個数の入賞が発生すれば終了する。
また、遊技盤10には、普通入賞口、遊技釘、風車等が配置されているが、これらは公知技術に従っているので図示と説明を省略する。
パチンコ機1の制御系は図3に示す通り、遊技制御基板30を中心にして構成されている。詳細は後述するが、遊技制御基板30は条件装置及び役物連続作動装置として機能する。
・・・遊技制御基板30には、下皿8が満杯状態になったことを検出する満タンスイッチ43、球タンクが空状態になったことを検出する補給スイッチ44、各普通入賞口への入賞球をそれぞれ検出するその他入賞口スイッチ48、普通電動役物36への入賞球を検出する始動口スイッチ36a、遊技球がゲート38を通過したことを検出する普通図柄始動スイッチ38a、遊技球が大入賞口40の内部に設けられている特定領域を通過したことを検出する役物連続作動スイッチ40a、大入賞口40への入賞球を計数するためのカウントスイッチ40b、遊技球がゲート17を通過したことを検出する作動口スイッチ17a等の検出信号が入力される。
遊技制御基板30は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して賞球制御基板31、発射制御基板49、画像制御基板33に出力し、また大入賞口40を開閉するための大入賞口ソレノイド40cや普通電動役物36を開閉する普通役物ソレノイド36d等の動作を制御する。なお、遊技制御基板30と画像制御基板33とは中継基板37を介して接続されている。」(段落【0044】?【0053】)
ク 「次に、パチンコ機1の動作を説明する。
図4に示すように、保留記憶処理においては遊技制御基板30は、普通電動役物36に入球(始動入賞が発生)して特別図柄始動スイッチの始動検出信号が入力されると(S1:YES)、保留記憶の個数が上限個数に達していない限り(S2:YES)、当否抽選用乱数と大当たり図柄決定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数を該当のカウンタから読み込んで(S3)、それらを保留記憶する(S4)。
保留記憶された保留データに対する当否抽選は図5?7に示す図柄変動処理において行われる。
図5に示すように、遊技制御基板30は、条件装置用図柄が停止中か(変動していないか)否かを判断し(S11)、肯定判断なら条件装置作動フラグが0か否かを判断する(S12)。
条件装置作動フラグが0でない場合の処理については後述するとして、条件装置作動フラグが0であり(S12:YES)、保留記憶(図4、S3?S4参照)が有れば(S13:YES)、保留シフトにより、保留記憶されたデータの中で最も古いものを当否抽選用の一時記憶に移して、2番目以下の記憶位置をそれぞれ1段ずつシフトする(S14)。
続いて、当否抽選用の一時記憶に移されたデータの当否抽選用乱数が所定値か否かつまり当たりか外れかを判断する(S15)。
当否抽選用乱数が所定値なら(S15:YES)、大当たり図柄決定用乱数に基づいて条件装置作動用当たり確定図柄(例えば777のように3桁同一の図柄の組合せ)を選択し(S16)、変動パターン決定用乱数に基づいて条件装置作動用当たり変動パターンを選択する(S17)。」(段落【0074】?【0077】)
ケ 「つまり、当否抽選用乱数が所定値なら(S15:YES)、液晶表示装置32において条件装置作動用当たり確定図柄が確定表示されて、条件装置作動フラグが1にセットされる(S64)。この条件装置作動フラグが1にセットされていると遊技制御基板30は条件装置として作動する。
また、条件装置作動フラグが1にセットされているが役物連続作動装置作動フラグは1にセットされていない状態、即ち当否抽選で大当たりが発生したが(S15:YES)、大入賞口40の開放(大当たり遊技)は未開始であることの報知が行われる。
具体的には、遊技制御基板30は、条件装置作動フラグ=1だが役物連続作動装置作動フラグ≠1の状態になると報知指令信号を送信する。この信号は中継基板37経由で画像制御基板33に送信され、画像制御基板33は、受信した報知指令信号に基づいて報知画像データを生成し、該生成した報知画像を液晶表示装置32に表示させる。
この報知画像は、条件装置作動フラグ=1だが役物連続作動装置作動フラグ≠1の状態であることを報知できればよいので、その限りでは特段の制限はない。
しかし、該状態にあること、特に大入賞口40の開放(大当たり遊技の実行)には役物連続作動装置作動口となるゲート17に遊技球を入球させる必要があることを遊技者に明瞭に報知するのが望ましい。従って、大当たりが発生した旨及びゲート17に入球させる必要がある旨を文字表示するのが望ましい。」(段落【0089】?【0092】)
コ 「以上のように、当否抽選用乱数が所定値であったため液晶表示装置32において条件装置作動用当たり確定図柄が確定表示されたことにより条件装置作動フラグが1にセットされている条件下でのゲート17ヘの入球に基づく乱数抽選が当たりなら役物連続作動装置作動フラグが1にセットされ、大当たり遊技において所定回数の大入賞口40が開放されると、条件装置作動フラグ及び役物連続作動装置作動フラグがリセットされる。
役物連続作動装置作動フラグが1にセットされて大当たり遊技が行われるためには、条件装置作動フラグが1にセットされている条件下でのゲート17ヘの入球が必須となるが、そのゲート17は、狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な位置に設けられているので、例えば可変入賞装置内に設ける場合と異なり、可変入賞装置の閉鎖条件である開放時間や入球個数に縛られることがなくなる。
その際に、液晶表示装置32によって、条件装置作動フラグが1にセットされているが役物連続作動装置作動フラグは1ではないことを報知するので、遊技者がゲート17を狙うのを失念するおそれはなく、条件装置作動フラグ=1且つ役物連続作動装置作動フラグ≠1の期間を利用した遊技が可能になる。
また、ゲート17を狙うことはできるものの、条件装置作動フラグ=1の条件下でなければゲート17に入球しても役物連続作動装置作動フラグ=1とはならないので、ゲート17へ遊技球が入球しても、大当たりの発生とは無関係とすることができる。」(段落【0118】?【0121】)
サ 上記記載事項カ、キ及び【図2】の図示内容によると、遊技領域13の中央下部に配置されている大入賞装置12とは別に配置された、始動口となる普通電動役物36と役物連続作動装置作動口となるゲート17とを一体に備える複合装置19に加えて、始動口と役物連続作動装置作動口とを遊技盤面の左側と右側とにそれぞれ分離して配置した構成が開示されている。

上記ア?コの記載事項、上記サの認定事項、図面の図示内容、実施例1の記載、及び、実施例1に対応する請求項1の記載を総合勘案すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる。
「遊技領域13に配置されている始動口となる普通電動役物36への入賞球を検出する特別図柄始動スイッチ36aと、
入球に起因して抽出された当否抽選用乱数が所定値か否かを判断する遊技制御基板30とを備えたパチンコ機1であって、
遊技領域13に設置されている、大入賞口40を有するアタッカー式の大入賞装置12と、
大入賞口40を連続して開放作動させることが可能になる役物連続作動装置と、
入球に起因して抽出された当否抽選用乱数が所定値であることを条件に作動し、当該作動中であることが役物連続作動装置を作動させるための必須条件とされている条件装置と、
条件装置の作動中に役物連続作動装置を作動させるために、1球の遊技球の通過を検出するための作動口スイッチ17aを具備し、狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な、遊技盤面右側の位置に、遊技領域13の中央下部に配置されている大入賞装置12とは別に配置された、役物連続作動装置作動口となるゲート17と
を備えたパチンコ機1。」

3 対比
刊行物に記載された発明(以下「前者」という。)と本件補正発明(以下「後者」という。)とを対比する。
前者における「遊技領域13に配置されている始動口となる普通電動役物36への入賞球を検出する特別図柄始動スイッチ36a」は、その構成及び機能からみて、後者における「遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球する入賞を検出する検出手段」に相当し、以下同様に、
前者における「入球に起因して抽出された当否抽選用乱数が所定値か否かを判断する遊技制御基板30」は、遊技制御基板30が他にも上記2(1)キに記載された各種制御を実行するものであることから、後者における「検出手段により検出された入賞に対応して抽選を行う抽選手段」を含むものであり、
前者における「パチンコ機1」は、後者における「遊技機」に相当する。
前者における「遊技領域13に設置されている、大入賞口40を有するアタッカー式の大入賞装置12」は、大入賞装置12が刊行物の【図2】に図示される、大入賞口40を開閉する横長の板状部材としての役物を具備するものであり、また、上記2(1)キには、大入賞口40が遊技制御基板30により大入賞口ソレノイド40cの動作を制御することにより開閉されることが示され、パチンコ機1は、大入賞口40の入口を開く大当たり用の「電動役物」を具備するものと認められることから、後者における「遊技領域に設けられ、遊技球が入球する大入賞口の入口を開き又は拡大する特別電動役物」に相当し、
前者における「大入賞口40を連続して開放作動させることが可能になる役物連続作動装置」は、後者における「特別電動役物を連続して作動させることができる役物連続作動装置」に相当し、
前者における「入球に起因して抽出された当否抽選用乱数が所定値であることを条件に作動し、当該作動中であることが役物連続作動装置を作動させるための必須条件とされている条件装置」は、後者における「所定の場合に作動し、当該作動が前記役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている条件装置」に相当する。

そして、前者における「条件装置の作動中に役物連続作動装置を作動させるために、1球の遊技球の通過を検出するための作動口スイッチ17aを具備し、狙って遊技球を発射することにより入球させることが可能な、遊技盤面右側の位置に、遊技領域13の中央下部に配置されている大入賞装置12とは別に配置された、役物連続作動装置作動口となるゲート17」と後者における「条件装置が作動した後に役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い遊技領域に位置すると共に大入賞口よりも上方に位置する、当該大入賞口以外の特定の入賞口または当該大入賞口の外に設けられる特定のゲート」とを対比する。
前者において、ゲート17は遊技盤面右側に配置されていることから、遊技球を左打ちしたときに較べて、右打ちしたときの方が遊技球がゲート17を通りやすいことは、当業者にとって明らかである。
したがって、前者における「ゲート17」と後者における「特定のゲート」とは、「条件装置が作動した後に役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い遊技領域に位置し、当該大入賞口の外に設けられる特定のゲート」である点で共通する。

したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球する入賞を検出する検出手段と当該検出手段により検出された当該入賞に対応して抽選を行う抽選手段とを備える遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する大入賞口の入口を開き又は拡大する特別電動役物と、
前記特別電動役物を連続して作動させることができる役物連続作動装置と、
所定の場合に作動し、当該作動が前記役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている条件装置と、
前記条件装置が作動した後に前記役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い前記遊技領域に位置し、当該大入賞口の外に設けられる特定のゲートと、
を備える遊技機。」

[相違点1]
特定のゲートが、本件補正発明では、大入賞口よりも上方に位置するのに対して、刊行物に記載された発明では、大入賞口よりも上方に位置するか否か不明である点。

[相違点2]
特定の入賞口または特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎが、本件補正発明では、特定の入賞口または特定のゲートの正面視で上下方向に延びる仮想線に対して第1の角度で交差するように右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と、特定の入賞口または特定のゲートの正面視で仮想線に対して第1の角度とは異なる第2の角度で交差するように左方向上方に向けて第1の遊技くぎ群から遠ざかって列状に延びる第2の遊技くぎ群と、を含み、第1の遊技くぎ群と第2の遊技くぎ群とは仮想線に対して互いに非対称に配設され、第1の遊技くぎ群と第2の遊技くぎ群との間に、特定の入賞口または特定のゲートの略直上から遊技球が落下することを妨げる遊技くぎが配設されていないのに対して、刊行物に記載に記載された発明では、そのような構成を具備するか否か不明である点。

4 当審の判断
(1)相違点1について
刊行物に記載された発明において、大入賞装置12は、遊技領域13の中央下部に配置されている。
ところで、遊技機の技術分野において、ゲートないし入賞口を大入賞口よりも上方に位置させて遊技領域に配置する構成は、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、上記2(1)キには、始動口と役物連続作動装置作動口とを備える複合装置19の下方に、大入賞装置12を遊技領域13に設置した実施の態様が示され、特開2003-159384号公報の【図1】には、ゲート17と一般入賞口19とを大入賞口20の上方に位置せて遊技領域6aに配置した構成が図示されている。以下「周知の技術事項1」という。)。
してみると、刊行物に記載された発明における、役物連続作動装置作動口と大入賞口40とを遊技領域に配置するに際して、上記周知の技術事項1に倣って、役物連続作動装置作動口を大入賞口40を有する大入賞装置12よりも上方の位置に配置することは、当業者が容易になし得たものである。

(2)相違点2について
遊技機の技術分野において、ゲートないし入賞口から遊技球がこぼれ難く、確実に導かれるように、もしくは、遊技球が遊技領域における特定範囲の領域に確実に導かれるように遊技釘を配置するに際し、これら特定範囲の領域の正面視で上下方向に延びる仮想線に対して第1の角度で交差するように右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と、特定範囲の領域の正面視で仮想線に対して第1の角度とは異なる第2の角度で交差するように左方向上方に向けて第1の遊技くぎ群から遠ざかって列状に延びる第2の遊技くぎ群と、を含み、第1の遊技くぎ群と第2の遊技くぎ群とは仮想線に対して互いに非対称に配設され、第1の遊技くぎ群と第2の遊技くぎ群との間に、特定範囲の領域の略直上から遊技球が落下することを妨げる遊技くぎが配設されていないようにすることは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2000-107367号公報の段落【0039】?【0046】、【図7】に示された、遊技球Bを可変入賞装置4に確実に案内するための左右一対の案内釘AG1、AG2、特開2009-22630号公報の段落【0038】、【図2】に示された、遊技球を遊技盤Bbの右側に設けられたゲート40bに案内するための障害釘群50、上記特開2003-159384号公報の段落【0025】、【図14】に示された、遊技球を遊技領域6a右上に配置された風車22の特定範囲の領域に導くための、障害釘23、特開平6-154392号公報の【図2】に示された、遊技球を風車の特定範囲の領域に導くための、天入賞装置17の右側近接領域に設けられた遊技釘群等を参照。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、刊行物に記載された発明は、1球の遊技球が作動口スイッチ17aを通過することを検出することで役物連続作動装置を作動させるものであるから、多数の遊技球が作動口スイッチ17aを通過することを検出することで役物連続作動装置を作動させるものに較べて、役物連続作動装置を短時間で作動できることは当業者にとって明らかである。
また、刊行物に記載された発明は、大当たりの発生後に休憩してから大入賞口を開放させることができるものであるから、休息後の遊技者が、速やかな大当たり遊技の開始を望むことも容易に予測できるものである。
さらに、遊技機の技術分野において、遊技球が入賞口やゲートを確実に通過できる構成を採用すると、遊技球が入賞口やゲートを通過するまでに要する時間を短くできることは、当業者にとって自明である。
してみると、刊行物に記載された発明において、中断した大当たり遊技を短時間に、かつ、速やかに開始させるために、役物連続作動装置作動口を1球の遊技球が確実に通過できる構成として、上記周知の技術事項2を採用することは、当業者が容易になし得たものである。

(3)小括
本件補正発明により奏される効果は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項により奏される効果から当業者が予測できた効果の範囲内のものである。
したがって、本件補正発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成25年4月15日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年8月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「遊技領域に設けられた始動口に遊技球が入球する入賞を検出する検出手段と当該検出手段により検出された当該入賞に対応して抽選を行う抽選手段とを備える遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球する大入賞口の入口を開き又は拡大する特別電動役物と、
前記特別電動役物を連続して作動させることができる役物連続作動装置と、
所定の場合に作動し、当該作動が前記役物連続作動装置の作動に必要な条件とされている条件装置と、
前記条件装置が作動した後に前記役物連続作動装置の作動を開始するためのスイッチが配設され、遊技球が右打ちされたときに通り易い前記遊技領域に位置すると共に前記大入賞口よりも上方に位置する、当該大入賞口以外の特定の入賞口または当該大入賞口の外に設けられる特定のゲートと、
を備え、
前記特定の入賞口または前記特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎは、当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で右方向上方に向けて列状に延びる第1の遊技くぎ群と当該特定の入賞口または当該特定のゲートの正面視で左方向上方に向けて当該第1の遊技くぎ群から遠ざかるように列状に延びる第2の遊技くぎ群とを含み、
前記第1の遊技くぎ群と前記第2の遊技くぎ群との間に、前記特定の入賞口または前記特定のゲートの略直上から遊技球が落下することを妨げる遊技くぎが配設されていないことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由において提示された刊行物、刊行物の記載事項及び刊行物に記載された発明は、前記「第2[理由]2」に記載したとおりである。

3 対比
刊行物に記載された発明と本願発明とを対比する。
本願発明は、前記「第2[理由]」において検討した本件補正発明における、特定の入賞口または前記特定のゲートに遊技球を導くように配設された複数の遊技くぎについての限定を省くものである。
そうすると、実質的に本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 [理由]3 対比及び4 当審の判断」に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-20 
結審通知日 2014-05-27 
審決日 2014-06-10 
出願番号 特願2010-138964(P2010-138964)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 長崎 洋一
吉村 尚
発明の名称 遊技機  
代理人 伊與田 幸穂  
代理人 尾形 文雄  
代理人 古部 次郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ