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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1290083
審判番号 不服2013-12444  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-01 
確定日 2014-07-24 
事件の表示 特願2007- 92878「半導体発光装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月16日出願公開、特開2008-251936〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年3月30日の出願であって、平成24年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月1日に手続補正がなされ、さらに、平成25年1月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月11日に手続補正がなされたが、同年3月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、当審において、同年12月6日付けで拒絶の理由が通知され、平成26年2月10日に手続補正がなされ、さらに、同年2月25日付けで拒絶の理由(以下「当審最後の拒絶理由」という。)が通知され、同年5月7日に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年5月7日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年5月7日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理 由]
1 補正内容
本件補正は、特許請求の範囲、明細書及び図面についてするものであり、その特許請求の範囲の請求項1については、
本件補正前(平成26年2月10日付けの手続補正書)に、
「基板と、
上記基板に形成された電極と、
上記基板に形成され、かつ上記電極と絶縁された追加の電極と、
上記電極に形成されたダイボンディングパッドに導電性ペーストを用いてダイボンディングされた半導体発光素子と、
上記基板に形成され、かつ上記半導体素子を覆うとともに上記半導体素子からの光に対して透光性を有する樹脂パッケージと、
を備える、半導体発光装置であって、
上記ダイボンディングパッドは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記半導体発光素子の外方に延出する延出部をさらに備えているとともに、
上記半導体発光素子は、矩形状であり、かつ上記基板の厚さ方向において互いに反対側に位置する面に形成されたアノード電極およびカソード電極を有しており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記基板とは反対側に位置する面に形成されたものは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、かつボンディングワイヤを介して上記追加の電極と導通しており、
上記延出部は、上記半導体発光素子の対角線方向に延びており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記ダイボンディングパッドに対面するものが、上記導電性ペーストを介して上記ダイボンディングパッドに導通しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記追加の電極とは反対側の上記基板の端縁側において上記基板の両側方端に到達する全幅部と、この全幅部に延びて繋がる上記延出部と、をさらに備えており、
上記樹脂パッケージの平面視における端縁が、上記全幅部に繋がる上記延出部を横切っていることを特徴とする、半導体発光装置。」とあったものを、

「基板と、
上記基板に形成された電極と、
上記基板に形成され、かつ上記電極と絶縁された追加の電極と、
上記電極に形成されたダイボンディングパッドに導電性ペーストを用いてダイボンディングされた半導体発光素子と、
上記基板に形成され、かつ上記半導体素子を覆うとともに上記半導体素子からの光に対して透光性を有する樹脂パッケージと、
を備える、半導体発光装置であって、
上記ダイボンディングパッドは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記半導体発光素子の外方に延出する延出部をさらに備えているとともに、
上記半導体発光素子は、矩形状であり、かつ上記基板の厚さ方向において互いに反対側に位置する面に形成されたアノード電極およびカソード電極を有しており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記基板とは反対側に位置する面に形成されたものは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、かつボンディングワイヤを介して上記追加の電極と導通しており、
上記延出部は、上記半導体発光素子の対角線方向に延びており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記ダイボンディングパッドに対面するものが、上記導電性ペーストを介して上記ダイボンディングパッドに導通しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記追加の電極とは反対側の上記基板の端縁側において上記基板の両側方端に到達する全幅部と、この全幅部に延びて繋がる上記延出部と、をさらに備えており、
上記樹脂パッケージの平面視における端縁が、上記全幅部に繋がる上記延出部を横切っているとともに、上記全幅部から離間し、かつその両端が上記基板に接していることを特徴とする、半導体発光装置。」と補正する内容を含むものである(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)。

2 補正目的
(1)請求項1についての上記補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な「樹脂パッケージの平面視における端縁」が、(電極の)全幅部から離間し、かつその両端が上記基板に接してることを特定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。

(2)よって、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)について、これが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かを、以下に検討する。

3 独立特許要件
(1)刊行物に記載された事項
当審最後の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-264267号公報(以下「引用文献」という。)には、図とともに以下の記載がある。

ア 「【請求項1】絶縁基板の表面に金属膜による矩形のダイパッド部を形成し、このダイパッド部の表面に、矩形の半導体チップを、ダイボンディング剤にてダイボンディングし、この半導体チップを、合成樹脂製のモールド部にてパッケージして成る半導体装置において、前記ダイパッド部の矩形における長さ寸法及び幅寸法を、前記半導体チップの矩形における長さ寸法及び幅寸法の0.50?1.50倍にすることを特徴とする半導体チップを使用した半導体装置。
【請求項2】前記請求項1の記載において、前記ダイパッド部の周囲に、当該ダイパッド部から一体的に外向きに延びる細幅の延長部を部分的に設けることを特徴とする半導体チップを使用した半導体装置。」

イ 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、前記ダイパッド部の表面に塗着したダイボンディング剤は、当該ダイボンディング剤を加熱にて溶融したとき、前記ダイパッド部の表面を四方に大きく広がり、この溶融ダイボンディング剤に載っている半導体チップも、前記溶融ダイボンディング剤の四方への広がりに伴って、前記ダイパッド部の表面に沿って中心からずれるように移動し、この中心からずれ移動した位置において、前記溶融ダイボンディング剤の凝固にてダイパッド部に対して固定されることになる。」

ウ 「【0012】
【発明の作用・効果】このように、絶縁基板の表面に形成したダイパッド部において、その矩形における長さ寸法及び幅寸法を、半導体チップの矩形における長さ寸法及び幅寸法の0.50?1.50倍にしたことにより、前記半導体チップを、前記ダイパッド部に対して、当該半導体チップにおける各側面がダイパッド部における各側面に対して非平行の向き姿勢で載せられているか、或いは、半導体チップが前記ダイパッド部の中心からずれた位置に載せられている場合に、溶融したダイボンディング剤の表面張力が半導体チップ及びダイパッド部の各側面に同時に作用するから、以下において詳しく述べるように、この表面張力によるセルフアライメントにて、前記矩形の半導体チップは、その各側面が矩形のダイパッド部における各側面と平行又は略平行になる姿勢の向きに自動的に修正されるとともに、当該半導体チップをダイパッド部における中心に正確に位置するように自動的に修正されることになる。
【0013】ないし【0016】は、省略。
【0017】すなわち、請求項2は、前記ダイパッド部の周囲に、当該ダイパッド部から一体的に外向きに延びる細幅の延長部を部分的に設けるという構成にしたのであり、これにより、前記ダイパッド部の表面に塗着したダイボンディング剤の一部は、前記細幅の延長部の表面に広がり、この広がりによって、前記ダイパッド部の表面におけるダイボンディング剤の盛り上がり高さを、当該ダイボンディング剤によるセルフアライメントを確保した状態のもとで、低くできるから、半導体チップにおけるダイパッド部からの浮き上がり高さを低くできるとともに、高さの不揃いを低減でき、しかも、ダイボンディング剤に対する半導体チップのめり込み深さが浅くなって、半導体チップに電気的ショートが発生することを低減でき、且つ、半導体チップが発光ダイオードチップである場合には、当該発光ダイオードチップからの発光量が低下することを回避できるのである。」

エ 「【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、チップ型LEDに適用した場合の図面について説明する。
【0021】図1?図6は、第1の実施の形態を示す。
【0022】この図において、符号1は、チップ型LEDを示し、このチップ型LED1は、チップ型の絶縁基板2を備え、この絶縁基板2の上面には、金属膜による矩形のダイパッド部3と、同じく金属膜による左右一対の端子電極4,5とが形成されているとともに、一方の端子電極4と前記ダイパッド部3とを電気的に接続する金属膜による細幅の配線パターン6が形成されている。
【0023】更に、前記チップ型LED1は、前記ダイパッド部3の上面にダイボンディングした発光ダイオードチップ7と、この発光ダイオードチップ7と前記他方の端子電極5との間をワイヤボンディングした細い金属線8と、前記発光ダイオードチップ6及び配線パターン6の部分をパッケージする透明合成樹脂製のモールド部9とを備えている。
【0024】なお、前記両端子電極4,5は、絶縁基板2の上面から端面及び下面にわたるように延びている。
【0025】ないし【0030】は、省略。
【0031】なお、本実施の形態においては、前記ダイパッド部3と一方の端子電極4とを電気的に接続する配線パターン6を、図2に二点鎖線Aで示すように、真っ直ぐな直線な直線にすることなく、実線で示すように、斜めに傾斜することにより、この配線パターン6の長さを長くし、これをパッケージするモールド部9との密着面積を増大するようにして、この配線パターン6を伝って大気中の湿度等が侵入することを確実に低減できるように構成している。この場合、前記配線パターンは、一本にすることに限らず、図7に実線で示す配線パターン6と、二点鎖線で示す配線パターン6′との二本にしても良い。」

オ 図1は、以下のものである。


カ 図2は、以下のものである。


キ 図4は、以下のものである。


(2)引用文献に記載された発明
ア 上記(1)アの記載によれば、
引用文献には、
「絶縁基板の表面に金属膜による矩形のダイパッド部を形成し、このダイパッド部の表面に、矩形の半導体チップを、ダイボンディング剤にてダイボンディングし、この半導体チップを、合成樹脂製のモールド部にてパッケージして成る半導体装置において、
前記ダイパッド部の矩形における長さ寸法及び幅寸法を、前記半導体チップの矩形における長さ寸法及び幅寸法の0.50?1.50倍とし、
前記ダイパッド部の周囲に、当該ダイパッド部から一体的に外向きに延びる細幅の延長部を部分的に設けた、
半導体チップを使用した半導体装置。」
が記載されているものと認められる。

イ 上記(1)エの記載を踏まえて、図1、2、4を見ると、
(ア)上記アの「絶縁基板」には、基板の両端に短辺方向に沿って端子電極(4、5)が形成されていてもよいものと認められ、

(イ)上記アの「半導体チップ」は、発光ダイオードチップであって、下面をダイボンディング剤にてダイボンディングされ、その上面と一方の端子電極5との間を細い金属線によりワイヤボンディングされたものであってもよいものと認められ、

(ウ)上記アの「延長部」は、ダイバッド部の角部から延びて他方の端子電極4に接続する細幅の配線パターンであってもよいものと認められ、

(エ)上記アの「合成樹脂製のモールド部」の平面視における端縁の両端は、端子電極(4、5)に接しているものであってもよいものと認められ、

(オ)上記アの「半導体装置」は、チップ型LEDであってもよいものと認められる。

ウ 上記ア及びイより、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「絶縁基板の表面に金属膜による矩形のダイパッド部を形成し、このダイパッド部の表面に、矩形の発光ダイオードチップを、ダイボンディング剤にてダイボンディングし、この発光ダイオードチップを、合成樹脂製のモールド部にてパッケージして成るチップ型LEDであって、
ダイパッド部の矩形における長さ寸法及び幅寸法を、発光ダイオードチップの矩形における長さ寸法及び幅寸法の0.50?1.50倍とし、
ダイパッド部の周囲に、ダイパッド部から一体的に外向きに延びる細幅の延長部を部分的に設けた、発光ダイオードチップを使用したチップ型LEDにおいて、
絶縁基板には、基板の両端に短辺方向に沿って端子電極(4、5)が形成され、
発光ダイオードチップは、下面をダイボンディング剤にてダイボンディングされ、その上面と一方の端子電極5との間を細い金属線によりワイヤボンディングされ、
延長部は、ダイバッド部の角部から延びて他方の端子電極4に接続する細幅の配線パターンであり、
合成樹脂製のモールド部の平面視における端縁の両端は、端子電極(4、5)に接している、チップ型LED。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「絶縁基板」は本願補正発明の「基板」に相当し、以下同様に、
「他方の端子電極4」は「電極」に、
「一方の端子電極5」は「追加の電極」に、
「ダイパッド部」は「ダイボンディングパッド」に、
「延長部」は「延出部」に、
「ダイボンディング剤」は「導電性ペースト」に、
「発光ダイオードチップ」は「半導体発光素子」に、
「合成樹脂製のモールド部」は「樹脂パッケージ」に、
「チップ型LED」は「半導体発光装置」に、それぞれ、相当する。

イ 引用発明の「他方の端子電極4」と「一方の端子電極5」は、「絶縁基板」上に形成されたものであることに照らせば、両者が絶縁状態であることは、当業者にとって明らかである。
してみると、引用発明と本願補正発明とは「基板と、
上記基板に形成された電極と、
上記基板に形成され、かつ上記電極と絶縁された追加の電極と、
上記電極に形成されたダイボンディングパッドに導電性ペーストを用いてダイボンディングされた半導体発光素子と、
上記基板に形成され、かつ上記半導体素子を覆うとともに上記半導体素子からの光に対して透光性を有する樹脂パッケージと、
を備える、半導体発光装置」である点で一致する。

ウ 引用発明は、「ダイパッド部の矩形における長さ寸法及び幅寸法を、発光ダイオードチップの矩形における長さ寸法及び幅寸法の0.50?1.50倍とし」たものであるところ、「0.50倍」とした際に、ダイパッド部は、絶縁基板の厚さ方向視において、その外縁が発光ダイオードチップの外縁よりも内方に位置することは、当業者にとって明らかである。
してみると、引用発明と本願補正発明とは「上記ダイボンディングパッドは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記半導体発光素子の外方に延出する延出部をさらに備えている」点で一致する。

エ また、引用発明の「発光ダイオードチップ」が、アノード電極とカソード電極を備え、その上面に位置する電極の外縁が絶縁基板の厚さ方向視において、発光ダイオードチップの外縁よりも内方に位置することは、当業者にとって明らかである。
してみると、引用発明と本願補正発明とは「上記半導体発光素子は、矩形状であり、かつ上記基板の厚さ方向において互いに反対側に位置する面に形成されたアノード電極およびカソード電極を有しており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記基板とは反対側に位置する面に形成されたものは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、かつボンディングワイヤを介して上記追加の電極と導通しており、
上記延出部は、上記半導体発光素子の対角線方向に延びており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記ダイボンディングパッドに対面するものが、上記導電性ペーストを介して上記ダイボンディングパッドに導通して」いる点で一致する。

オ 引用発明の「絶縁基板」には、基板の両端に短辺方向に沿って端子電極(4、5)が形成され、配線パターンがダイバッド部の角部から延びて端子電極4に接続することに照らせば、
引用発明と本願補正発明とは「上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記追加の電極とは反対側の上記基板の端縁側において上記基板の両側方端に到達する全幅部と、この全幅部に延びて繋がる上記延出部と、をさらに備えて」いる点で一致する。

カ 以上のことから、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致する。
<一致点>
「基板と、
上記基板に形成された電極と、
上記基板に形成され、かつ上記電極と絶縁された追加の電極と、
上記電極に形成されたダイボンディングパッドに導電性ペーストを用いてダイボンディングされた半導体発光素子と、
上記基板に形成され、かつ上記半導体素子を覆うとともに上記半導体素子からの光に対して透光性を有する樹脂パッケージと、
を備える、半導体発光装置であって、
上記ダイボンディングパッドは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記半導体発光素子の外方に延出する延出部をさらに備えているとともに、
上記半導体発光素子は、矩形状であり、かつ上記基板の厚さ方向において互いに反対側に位置する面に形成されたアノード電極およびカソード電極を有しており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記基板とは反対側に位置する面に形成されたものは、上記基板の厚さ方向視においてその外縁が上記半導体発光素子の外縁よりも内方に位置しており、かつボンディングワイヤを介して上記追加の電極と導通しており、
上記延出部は、上記半導体発光素子の対角線方向に延びており、
上記アノード電極およびカソード電極のうち上記ダイボンディングパッドに対面するものが、上記導電性ペーストを介して上記ダイボンディングパッドに導通しており、
上記電極は、上記ダイボンディングパッドから上記追加の電極とは反対側の上記基板の端縁側において上記基板の両側方端に到達する全幅部と、この全幅部に延びて繋がる上記延出部と、をさらに備えている、半導体発光装置。」

キ 一方で、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点>
樹脂パッケージに関し、
本願発明は、「樹脂パッケージの平面視における端縁が、上記全幅部に繋がる上記延出部を横切っているとともに、上記全幅部から離間し、かつその両端が上記基板に接している」のに対して、
引用発明は、そのようなものではない点。

(4)判断
ア 上記<相違点>について検討する。
(ア)チップ型LEDにおいて、発光ダイオードチップを封止する封止樹脂の平面視における端縁が、基板の両端に設けた端子に繋がる配線パターンを横切るとともに、端子から離間し、かつ端縁の両端が基板に接しているチップ型LEDは、特開2006-190888号公報(【0014】ないし【0016】、図1及び図2を参照。)、特開2002-270903号公報(図3、4を参照。)、特開2001-326390号公報(図8)、特開平11-168235号公報(図4を参照。)、特開平9-36432号公報(図3を参照。)、特開平8-321634号公報(【0024】ないし【0027】、図4及び図6を参照。
図4は、以下のものである。


図6(従来例)は、以下のものである。

)及び特開平7-202271号公報(図1、2を参照。)に記載されているように、本願の出願時点で周知であることに照らせば(以下「周知技術」という。)、
引用発明の「合成樹脂製のモールド部」の平面視における端縁が、「他方の端子4」に接続する配線パターンを横切るとともに、二つの端子電極(4、5)から離間し、かつ端縁の両端が絶縁基板に接するようになすことは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。

(イ)以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点>に係る本願補正発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。

イ 効果
本願補正発明の奏する効果は、当業者が引用発明及び周知技術から予測し得る範囲内のものである。

(5)請求人は、平成26年5月7日提出の意見書(第3頁中段)において、以下のとおり主張する。

「樹脂パッケージの端縁が延出部を横切るものの、全幅部から離間し、かつその両端が基板に接することにより、樹脂パッケージの端縁の両端を、基板により強固に接合することが可能です。」

しかしながら、上記周知技術において例示した特開平8-321634号公報の【0024】ないし【0027】及び特開2006-190888号公報の【0014】ないし【0016】に記載されているとおり、上記効果は本願出願時点で周知のことであって、請求人の主張は、上記(4)の判断を左右するものではない。

(6)独立特許要件についてのまとめ
本願補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正却下の決定のむすび
上記「3」のとおり、本願補正発明は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2 1」にて本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用文献
当審最後の拒絶理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記「第2 2(1)」によれば、本願補正発明から「樹脂パッケージの平面視における端縁」に関する発明特定事項を省いたものと認められる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 3(4)」で検討したとおり、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-21 
結審通知日 2014-05-27 
審決日 2014-06-09 
出願番号 特願2007-92878(P2007-92878)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (H01L)
P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 吉美角地 雅信  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 松川 直樹
星野 浩一
発明の名称 半導体発光装置  
代理人 土居 史明  
代理人 仙波 司  
代理人 田中 達也  
代理人 臼井 尚  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 吉田 稔  
代理人 鈴木 泰光  
代理人 小淵 景太  

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