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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1290281
審判番号 不服2012-24292  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-07 
確定日 2014-07-30 
事件の表示 特願2010-509414「界面接着加熱層を有する可変抵抗メモリデバイス、それを使用するシステム、及び、それを形成する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月 4日国際公開、WO2008/147595、平成22年 8月26日国内公表、特表2010-529644〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2008年4月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年5月25日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成22年1月12日に手続補正書が提出され、平成24年4月25日付けで拒絶理由通知が通知され、同年7月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月7日に拒絶査定を不服とする審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。
そして、平成25年3月19日付けでなされた審尋に対して、同年6月24日に回答書が提出され、同年8月20日付けで当審より通知した最後の拒絶理由通知に対して、同年11月26日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。


第2.本願に対する判断
1.本願発明
本願の請求項1ないし請求項19に係る発明は、平成25年11月26日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項19に記載されるとおりであって、そのうちの、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「第1の電極と、
前記第1の電極に接続された第1の表面を有する界面接着加熱層と、
前記界面接着加熱層の第2の表面に接続された第1の表面を有する抵抗変化材料と、
前記抵抗変化材料の第2の表面に接続された第2の電極と、を含み、
前記界面接着加熱層は、前記抵抗変化材料が結晶状態であるときの前記抵抗変化材料の抵抗率よりも高い抵抗率を有する
ことを特徴とする抵抗メモリデバイス。」

2.当審よりの拒絶理由通知の概要
平成25年8月20日付けで当審より通知した最後の拒絶理由通知の概要は、次のとおりである。

「4.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2006-352082号公報
2.特開2000-067465号公報
3.国際公開第2005/112118号

・請求項 :1
・引用文献等:1
・備考
……(以下、省略)」

3.引用例
3-1.引用例の記載事項
本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され、当審の最後の拒絶理由通知において引用された刊行物である、特開2006-352082号公報(以下「引用例」という。)には、「半導体記憶装置及びその製造方法」(発明の名称)に関して、図1?図20とともに、以下の事項が記載されている(下線は、参考のため、当審において付したものである。)。

ア.技術分野
a.「【0001】
本発明は、半導体記憶装置及びその製造方法に係り、特に、カルコゲナイドなどの相変化材料を用いて形成される相変化メモリセルを有する半導体集積回路装置に適用して有効な技術に関するものである。」

イ.背景技術
b.「【0004】
ユニバーサルメモリと呼ばれる次世代の不揮発性メモリの中で、現在最も注目されているのは相変化メモリである。相変化メモリは、CD-RWやDVDなどの光ディスクに使用されているカルコゲナイド材料を使用し、同じように結晶状態と非晶質状態の違いでデータを記憶する。違いは書き込み/読み出し方法にあり、光ディスクではレーザーに代表される光の透過や反射を利用するのに対し、相変化メモリでは電流によって発生するジュール熱で書き込み、相変化による抵抗値の違いで信号を読み出す。
【0005】
相変化メモリ(半導体記憶装置の略称、以下同様)の動作原理を図2で説明する。カルコゲナイド材料を非晶質化させる場合、カルコゲナイド材料の温度を融点以上に熱してから急冷するようなリセットパルスを印加する。融点は、例えば600℃である。急冷する時間(t1)は、例えば2nsecである。カルコゲナイド材料を結晶化させる場合、カルコゲナイド材料の温度を結晶化温度以上融点以下に保持するようなセットパルスを印加する。結晶化温度は、例えば400℃である。結晶化に要する時間(t2)は、例えば50nsecである。
【0006】
相変化メモリの特長は、カルコゲナイド材料の抵抗値が結晶状態に応じて2?3桁も変化し、この抵抗値を信号として用いるため、読み出し信号が大きく、センス動作が容易になるため、読み出しが高速であることである。それに加えて、10^(12)回の書き換えが可能であるなど、FLASHメモリの欠点を補う性能を持っている。また、低電圧・低電力での動作が可能であり、ロジック回路との混載が容易であるなどの特長が、モバイル機器用として適している。
【0007】
相変化メモリセルの製造工程の一例を図3から図5の要部断面工程図を用いて簡単に説明する。
まず、図3により説明すると、周知の製造方法により不図示の半導体基板上に選択トランジスタを形成する。選択トランジスタは、例えばMOSトランジスタやバイポーラトランジスタからなる。次いで、周知の製造方法を用いて、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜1を堆積し、例えばタングステンからなるプラグ2を層間絶縁膜1内に形成する。このプラグは、下部の選択トランジスタと上部の相変化材料層を電気的に接続する役割を果たす。次いで、例えばGeSbTeからなるカルコゲナイド材料層3、例えばタングステンからなる上部電極4、例えばシリコン酸化膜からなるハードマスク5を順に堆積すると、図3のようになる。
【0008】
次いで、図4に示すように、周知のリソグラフィ法及びドライエッチング法により、ハードマスク5、上部電極4、カルコゲナイド材料層3を順次加工する。
次いで、層間絶縁膜6を堆積すると、図5のようになる。次いで、層間絶縁膜6の上部に上部電極4と電気的に接続する配線層と、さらにその上部に複数の配線層を形成する(図示せず)。以上の工程により、相変化メモリセルが略完成する。なお、この種の相変化メモリセルに関連するものとして非特許文献1が、また、カルコゲナイド材料の相変化に関しては非特許文献2が挙げられる。」

ウ.発明が解決しようとする課題
c.「【0011】
1つめの課題は、カルコゲナイド材料は接着性が低いため、相変化メモリの製造工程中に膜が基板から剥離しやすいことである。特に、カルコゲナイド材料はシリコン酸化膜との接着性が低いことから、カルコゲナイド材料層と層間絶縁膜との間に接着層を設ける必要がある。
【0012】
相変化メモリにおいて、カルコゲナイド材料層の剥離防止には接着層の挿入が有効であることは既に知られている。公知例としては、例えば、特開2003-174144号公報(特許文献1)、米国特許US2004/0026731号明細書(特許文献2)、米国特許US2003/0047727号明細書(特許文献3)などが挙げられる。いずれの公知例においても、具体的な接着層材料として、例えばTiのような導電体が用いられている。プラグ上と層間絶縁膜上に導電体からなる接着層を形成した場合のメモリセルの断面構造を図6に示す。カルコゲナイド材料層3と層間絶縁膜1との界面全面に導電体接着層8が設けられているため、カルコゲナイド材料層の剥離を防止することができる。しかし、この構造では、相変化メモリの書き換え動作時にプラグ2から電圧を印加すると、導電体接着層8はカルコゲナイド材料層3よりも抵抗率が低いため、電流は主に接着層8の横方向(基板面と平行方向)に流れる。この場合、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域は、接着層8と接している部分全面に広がるため、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するためには非常に大きな電流が必要になってしまう。
【0013】
上記の問題は、図7に示すように、導電体接着層8をプラグ2と接しない領域に限って形成すれば解決できる。この場合、カルコゲナイド材料層3がジュール熱によって加熱される領域は、プラグ2と接している部分に絞られるため、カルコゲナイド材料層3を結晶化または非晶質化するために必要な電流は図6の場合に比べると小さくなる。しかし、カルコゲナイド材料層3と層間絶縁膜1との界面に接着層が設けられていない領域が存在することになるので、カルコゲナイド材料層の剥離を完全に防止することはできない。また、層間絶縁膜1上とプラグ2上を含めた基板全面に導電体接着層8を形成した後、プラグ2上の導電体接着層を除去する工程が追加で必要となる。この場合、マスク枚数が増えて製造コストが高くなるとともに、メモリセルを微細化するとあわせ余裕が少なくなって歩留まりや信頼性が低下するという問題が生じる。
このため、相変化メモリの書き換え特性に悪影響を及ぼすことなく、カルコゲナイド材料層の剥離を防止できる手段が求められていた。」

d.「【0014】
2つめの課題は、例えばタングステンなどの低抵抗材料をプラグに用いると、カルコゲナイド材料層からプラグを介して熱が逃げやすくなるため、ジュール熱でカルコゲナイド材料層を加熱するのに非常に大きい電流が必要となることである。これは、抵抗率が低い材料は、一般的に熱伝導率が高いことに起因する。特にリセット時(非晶質化)はカルコゲナイド材料層を融点以上に加熱しなければならないため、プラグからの熱拡散は大きな問題となる。
【0015】
例えば、ロジック回路と混載するためには、少なくともMOSトランジスタで動作可能な程度まで書き換えに必要な電流を低減しなければならない。低電流での書き換えを可能にするためには、プラグからの熱拡散を抑制し、カルコゲナイド材料層を効率的に加熱できる構造を用いる必要がある。なお、光ディスクの場合は、レーザーで書き込み/読み出しを行うので、カルコゲナイド材料層と電気的に接続する部分は必要ない。このため、熱伝導率の高い材料と接触することはない。つまり、熱伝導率の高い材料を介しての熱拡散は、電気的パルスで書き込み/読み出しを行う相変化メモリに特有な課題である。」

エ.発明を実施するための最良の形態
e.「【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上記2つの課題を同時に解決するための代表的な手段を以下に説明し、その後より具体的な例について説明する。
本発明の第1の手段は、カルコゲナイド材料層の下面と層間絶縁膜及びプラグの上面との間に、絶縁体からなる連続した界面層を形成することである。
従来は、接着層としてTiやAlなどの導電体材料が用いられていた。これは、一般的には、導電体材料はカルコゲナイド材料と反応しやすいため、界面の結合力が強くなって剥離耐性が向上するためである。しかし、我々は、導電体材料だけではなく、絶縁体材料を接着層に用いてもカルコゲナイド材料層の剥離を抑制できることを見出した。これは、絶縁体材料でもカルコゲナイド材料と若干反応するので結合力が強くなることに加えて、絶縁体材料はドライエッチング工程に対する耐性が高いためである。以下、実験結果を詳細に説明する。
【0023】
界面剥離強度の分子動力学計算を行った結果を図8から11に示す。カルコゲナイド材料としてGeSbTe(以下、GSTと表記)を仮定し、接着する下地材料との界面でGST膜を引き剥がすのに必要なエネルギーを計算した。これを剥離エネルギーと定義する。下地材料が結晶の場合は、一般的に配向しやすい結晶面を仮定した。例えば、Tiは(001)面が基板面と平行方向に成長しやすいため、GSTとTi(001)界面の剥離エネルギーを求めた。
……(中略)……
【0028】
次に、図11の結果について説明する。GSTとTa_(2)O_(5)との界面及びGSTとCr_(2)O_(3)との界面の剥離エネルギーは、図10に示したAl_(2)O_(3)やTiO_(2)と比べて大きい。また、ClやFが界面に介在した時の剥離エネルギーは、図9に示したTiやTaなどの導電体と比べても大きい。この結果は、Ta_(2)O_(5)やCr_(2)O_(3)は接着層として非常に望ましいことを示す。
今回検討した材料の中では、絶縁体の接着層として最も望ましいのはCr_(2)O_(3)、次がTa_(2)O_(5)であり、以下、TiO_(2)、Al_(2)O_(3)の順であった。」

f.「【0029】
本発明を用いた製造工程の一例を図1で説明する。従来の技術と同様の方法で層間絶縁膜1とプラグ2を形成する。次いで、例えばタンタル酸化膜からなる絶縁体界面層7、例えばGeSbTeからなるカルコゲナイド材料層3、例えばタングステンからなる上部電極4、例えばシリコン酸化膜からなるハードマスク5を順に堆積する。次いで、周知のリソグラフィ法及びドライエッチング法により、ハードマスク5、上部電極4、カルコゲナイド材料層3、絶縁体界面層7を加工する。次いで、層間絶縁膜6を堆積すると、図1のようになる。
この手段によれば、カルコゲナイド材料層の下部全面に絶縁体からなる接着層が形成されるため、剥離強度が高くなり、製造工程中の剥離を抑制することができる。
【0030】
また、本発明によれば、プラグ上に絶縁体からなる界面層が形成されることにより、低抵抗プラグから熱が拡散するのを抑制することができる。これは、絶縁体材料は導電体材料に比べて熱伝導率が小さいためである。例えば、導電体であるタングステンの熱伝導率は1.74W/cm・K(@27℃)であるのに対し、絶縁体であるチタン酸化物の熱伝導率は6.5×10^(-2)W/cm・K(@100℃)と2桁程度小さい。このため、カルコゲナイド材料層とプラグとの間に絶縁体からなる界面層を挿入すれば、カルコゲナイド材料層からプラグを介して熱が逃げるのを抑制できる。この結果、カルコゲナイド材料を効率的に加熱することができるため、相変化メモリの書き換えの低電流化が可能となる。
【0031】
以上の説明から明らかなように、本発明を用いれば、カルコゲナイド材料層は接着性が低いため、相変化メモリの製造工程中に膜が基板から剥離しやすいという課題と、カルコゲナイド材料層からプラグを介して熱が逃げやすいため、ジュール熱でカルコゲナイド材料層を加熱するのに非常に大きい電流が必要となるという課題を同時に解決することができる。
【0032】
絶縁体からなる界面層の膜厚は、少なくとも膜が連続になる膜厚より厚くする必要がある。連続膜ではなく島状膜になってしまうと、層間絶縁膜上において接着層として機能せず、プラグ上においても熱抵抗層として機能しないためである。界面層の材料にもよるが、連続膜にするためには、膜厚は0.5nm以上とするのが望ましい。
絶縁体からなる界面層は、非晶質でも多結晶でもよい。例えば多結晶は膜中に結晶粒界が存在するが、本発明の趣旨に照らせば、この場合も連続膜とみなすことができる。
【0033】
また、絶縁体からなる界面層の膜厚は、絶縁膜中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄くする必要がある。ジュール熱によってカルコゲナイド材料層を融点以上に加熱するためには、プラグからカルコゲナイド材料層に必要な電流が流れなければならない。絶縁体からなる界面層の膜厚が厚くなれば電気抵抗が大きくなって電流量が減少してしまうので、絶縁体界面層はできるだけ薄くする必要がある。一般的に、絶縁体膜の直列抵抗は膜厚に対して指数関数的に増大する。カルコゲナイド材料層を融点以上に加熱するためには、100μA?1mA程度の電流が必要であることが知られている。例えば、電圧3Vで電流100μAを発生させるためには、界面層の抵抗は少なくとも30kΩ以下にする必要がある。絶縁体膜を用いて30kΩ以下の直列抵抗を実現するためには、トンネル電流が支配的となる領域まで膜厚を薄くしなければならない。このためには、膜厚は少なくとも5nm以下とする必要があり、十分に大きな電流を得るためには、膜厚は3nm以下とするのが望ましい。
【0034】
絶縁体からなる界面層の材料は、層間絶縁膜材料(例えばシリコン酸化膜)よりもカルコゲナイド材料層との接着性が高く、プラグ材料(例えばタングステン)よりも熱伝導率が小さい材料であればよい。例えば、Ti酸化膜、Zr酸化膜、Hf酸化膜、Ta酸化膜、Nb酸化膜、Cr酸化膜、Mo酸化膜、W酸化膜、Al酸化膜が挙げられる。
本発明の第2の手段は、カルコゲナイド材料層の下面と層間絶縁膜及びプラグの上面との間に、連続した半導体からなる界面層を形成することである。」

g.「【0035】
我々は、半導体材料を接着層に用いてもカルコゲナイド材料層の剥離を抑制できることを見出した。これは、接着層として例えばSiを用い、カルコゲナイド材料層として例えばGeSbTeを用いれば、SiとGeは置換反応しやすいので結合力が非常に強くなるためである。
……(中略)……
【0039】
半導体からなる界面層の膜厚は、少なくとも膜が連続になる膜厚より厚くする必要がある。連続膜ではなく島状膜になってしまうと、層間絶縁膜上において接着層として機能せず、プラグ上においても熱抵抗層として機能しないためである。界面層の材料にもよるが、連続膜にするためには、膜厚は0.5nm以上とするのが望ましい。
半導体からなる界面層は、非晶質でも多結晶でもよい。例えば多結晶は膜中に結晶粒界が存在するが、本発明の趣旨に照らせば、この場合も連続膜とみなすことができる。
【0040】
ただし、多結晶は非晶質よりも抵抗が低いため、相変化メモリの書き換え動作時にプラグから電圧を印加すると、電流が接着層の横方向(基板面と平行方向)に流れやすくなる。すると、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域が広がるため、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するためにより大きな電流が必要になってしまう。このため、半導体からなる界面層は、多結晶よりも非晶質の方が望ましい。
……(中略)……
【0042】
また、半導体からなる界面層の膜厚は、縦方向(基板面と垂直方向)の抵抗が横方向(基板面と平行方向)の抵抗よりも十分低くなるような膜厚にする必要がある。もし、横方向(基板面と平行方向)の抵抗が低いと、相変化メモリの書き換え動作時にプラグから電圧を印加した時に、電流は主に界面層を通じて横方向に流れる。この場合、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域は、界面層と接している部分全面に広がるため、カルコゲナイド材料層を書き換えるためには非常に大きな電流が必要になってしまう。半導体界面層の膜厚をできるだけ薄くして縦方向(基板面と垂直方向)の抵抗を低くすれば、電流はプラグから半導体界面層を介して縦方向に流れやすくなるため、電流が横方向に広がることはない。そうすれば、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域は、プラグの近傍に絞られるため、カルコゲナイド材料層を書き換えるために必要な電流を小さくすることができる。半導体界面層の膜厚は少なくとも5nm以下とする必要があり、十分に大きな電流を得るためには、膜厚は3nm以下とするのが望ましい。
【0043】
半導体からなる界面層の材料は、層間絶縁膜材料(例えばシリコン酸化膜)よりもカルコゲナイド材料層との接着性が高く、プラグ材料(例えばタングステン)よりも熱伝導率が小さい材料であればよい。例えば、Si、Ge、SiCなどが挙げられる。この中では、GeSbTeとの反応性が高く、従来技術との親和性が高いことから、Siが最も望ましい材料である。」

オ.図面
h.「本発明による相変化メモリセルの断面図」(【図面の簡単な説明】の記載)である図1には、層間絶縁膜1の中央部にプラグ2が設けられ、前記層間絶縁膜1の中央部の表面に絶縁体界面層7が堆積され、前記絶縁体界面層7上にカルコゲナイド材料層3が堆積され、前記カルコゲナイド材料層3上に上部電極4が堆積され、前記上部電極4上にハードマスク5が堆積されるとともに、前記絶縁体界面層7、カルコゲナイド材料層3、上部電極4及びハードマスク5からなるスタック構造を覆うように、前記層間絶縁膜1上に層間絶縁膜6が堆積されていること、が図示されている。

3-2.引用発明
前記3-1のa?hから、引用例には、その段落【0022】?【0034】に記載された「本発明の第1の手段」(段落【0022】)として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「層間絶縁膜1内に形成され、電気的な接続の役割を果たすプラグ2と、
前記層間絶縁膜1及びプラグ2の上面に連続して形成され、接着層として用いられる絶縁体界面層7と、
前記絶縁体界面層7の上面に形成され、その抵抗値が結晶状態に応じて2?3桁変化するカルコゲナイド材料層3と、
前記カルコゲナイド材料層3の上面に形成される上部電極4と、を含み、
前記絶縁体界面層7は、熱伝導率が導電体材料に比べて小さい連続膜であり、その膜厚は当該絶縁体界面層7の中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄くされる、
ことを特徴とする相変化メモリ。」


4.対比
4-1.本願発明と引用発明との対比
本願発明と、引用発明とを対比する。
ア.引用発明の「層間絶縁膜1内に形成され、電気的な接続の役割を果たすプラグ2」は、本願発明の「第1の電極」に相当する。

イ.引用発明の「前記層間絶縁膜1及びプラグ2の上面に連続して形成され、接着層として用いられる絶縁体界面層7」と、本願発明の「前記第1の電極に接続された第1の表面を有する界面接着加熱層」とは、「前記第1の電極に接続された第1の表面を有する界面接着」「層」である点で共通する。

ウ.引用発明の「前記絶縁体界面層7の上面に形成され、その抵抗値が結晶状態に応じて2?3桁変化するカルコゲナイド材料層3」と、本願発明の「前記界面接着加熱層の第2の表面に接続された第1の表面を有する抵抗変化材料」とは、「前記界面接着」「層の第2の表面に接続された第1の表面を有する抵抗変化材料」である点で共通する。

エ.引用発明の「前記カルコゲナイド材料層3の上面に形成される上部電極4」は、本願発明の「前記抵抗変化材料の第2の表面に接続された第2の電極」に相当する。

オ.引用発明の「相変化メモリ」は、本願発明の「抵抗メモリデバイス」に相当する。

4-2.一致点及び相違点
前項のア?オから、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致するとともに、以下の点で相違する。

(一致点)
「第1の電極と、
前記第1の電極に接続された第1の表面を有する界面接着層と、
前記界面接着層の第2の表面に接続された第1の表面を有する抵抗変化材料と、
前記抵抗変化材料の第2の表面に接続された第2の電極と、を含む、
ことを特徴とする抵抗メモリデバイス。」

(相違点1)
本願発明は「界面接着加熱層」を有するのに対して、引用発明が有する「接着層として用いられる絶縁体界面層7」は「加熱層」でもあるという明示の記載が引用例には存在しない点。

(相違点2)
本願発明の「前記界面接着加熱層」は「前記抵抗変化材料が結晶状態であるときの前記抵抗変化材料の抵抗率よりも高い抵抗率を有する」のに対して、引用発明の「接着層として用いられる絶縁体界面層7」は、そのような性質を有しているかどうか不明である点。

5.当審の判断
5-1.相違点1について
ア.引用例の段落【0004】には、「相変化メモリでは電流によって発生するジュール熱で書き込み」を行うものであることが記載されている。

イ.そして、引用例には、段落【0030】に「導電体であるタングステンの熱伝導率は1.74W/cm・K(@27℃)であるのに対し、絶縁体であるチタン酸化物の熱伝導率は6.5×10^(-2)W/cm・K(@100℃)と2桁程度小さい。このため、カルコゲナイド材料層とプラグとの間に絶縁体からなる界面層を挿入すれば、カルコゲナイド材料層からプラグを介して熱が逃げるのを抑制できる。この結果、カルコゲナイド材料を効率的に加熱することができるため、相変化メモリの書き換えの低電流化が可能となる。」と、段落【0032】には「連続膜ではなく島状膜になってしまうと、層間絶縁膜上において接着層として機能せず、プラグ上においても熱抵抗層として機能しないためである。」と記載されている。
したがって、引用発明の「相変化メモリ」が有する、「前記層間絶縁膜1及びプラグ2の上面に連続して形成され」、「熱伝導率が導電体材料に比べて小さい連続膜であ」る「絶縁体界面層7」は、「電流によって発生するジュール熱」を「カルコゲナイド材料層からプラグを介して熱が逃げるのを抑制」する「熱抵抗層として機能」しているものと解される。
すなわち、引用発明において、前記「熱抵抗層として機能」している「絶縁体界面層7」は、書き込み時の「電流によって発生するジュール熱」が外部に逃げるのを抑制し、前記「ジュール熱」を発熱部分に蓄熱することで、「カルコゲナイド材料層3」を加熱しているものと認められる。

ウ.また、引用発明の「絶縁体界面層7」は「その膜厚は当該界面層7の中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄くされ」ている。
したがって、前記「トンネル電流が流れる膜厚よりも薄くされ」た「絶縁体界面層7」内には、当該「絶縁体界面層7」の「トンネル電流」よりも大きい電流が流れている部分が存在すると認められる。

エ.さて、引用例の段落【0040】には、「多結晶は非晶質よりも抵抗が低いため、相変化メモリの書き換え動作時にプラグから電圧を印加すると、電流が接着層の横方向(基板面と平行方向)に流れやすくなる。すると、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域が広がるため、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するためにより大きな電流が必要になってしまう。このため、半導体からなる界面層は、多結晶よりも非晶質の方が望ましい。」と、界面層が低抵抗であると、相変化メモリの書き換え動作時に流れる電流が前記界面層の横方向(基板面と平行方向)に流れやすくなってしまうことが記載されている。
また、引用例の段落【0042】には、「半導体からなる界面層の膜厚は、縦方向(基板面と垂直方向)の抵抗が横方向(基板面と平行方向)の抵抗よりも十分低くなるような膜厚にする必要がある。もし、横方向(基板面と平行方向)の抵抗が低いと、相変化メモリの書き換え動作時にプラグから電圧を印加した時に、電流は主に界面層を通じて横方向に流れる。……半導体界面層の膜厚をできるだけ薄くして縦方向(基板面と垂直方向)の抵抗を低くすれば、電流はプラグから半導体界面層を介して縦方向に流れやすくなるため、電流が横方向に広がることはない。」と記載されている。
上記各記載は、「カルコゲナイド材料層の下面と層間絶縁膜及びプラグの上面との間に、連続した半導体からなる界面層を形成」した「本発明の第2の手段」(引用例の段落【0034】)を説明した記載である。しかし、いずれの記載も、界面層を抵抗膜として見たときの当該界面層に流れる電流について説明したものであると認められる。

オ.そうすると、引用発明は、半導体界面層と同様に抵抗膜であると認められる「絶縁体界面層7」を有するとともに、当該「絶縁体界面層7」は、その「中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄くされ」た「膜厚」を有しているから、前記「絶縁体界面層7」内を流れる「トンネル電流」よりも大きい電流は、前記「絶縁体界面層7」の横方向(基板面と平行方向)には拡がらず、主に、当該「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れているものと解される。
したがって、前記「絶縁体界面層7」を有する引用発明においては、「カルコゲナイド材料層3」を「加熱」する「ジュール熱」には、当該「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れる電流により当該「絶縁体界面層7」で生じる「ジュール熱」が、少なくとも、含まれることは明らかである。

カ.以上から、引用発明の「絶縁体界面層7」は、書き込み時の「電流によって発生するジュール熱」が外部に逃げるのを抑制して前記「ジュール熱」を発熱部分に蓄熱することで「カルコゲナイド材料層3」を加熱する層であるとともに、前記「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れる電流により当該「絶縁体界面層7」で生じる「ジュール熱」で前記「カルコゲナイド材料層3」を加熱する層でもある。

キ.したがって、相違点1は、実質的な相異点ではない。

5-2.相違点2について
ア.相違点1のオの検討において指摘したように、引用発明の「絶縁体界面層7」の「膜厚」が、その「中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄くされ」たことにより、前記「絶縁体界面層7」内を流れる「トンネル電流」よりも大きい電流は、前記「絶縁体界面層7」の横方向(基板面と平行方向)には拡がらず、主に、当該「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れているものと解される。

イ.ところで、引用例には、「発明が解決しようとする課題」として、段落【0012】に、「具体的な接着層材料として、例えばTiのような導電体が用いられている。プラグ上と層間絶縁膜上に導電体からなる接着層を形成した場合のメモリセルの断面構造を図6に示す。カルコゲナイド材料層3と層間絶縁膜1との界面全面に導電体接着層8が設けられているため、カルコゲナイド材料層の剥離を防止することができる。しかし、この構造では、相変化メモリの書き換え動作時にプラグ2から電圧を印加すると、導電体接着層8はカルコゲナイド材料層3よりも抵抗率が低いため、電流は主に接着層8の横方向(基板面と平行方向)に流れる。この場合、カルコゲナイド材料層がジュール熱によって加熱される領域は、接着層8と接している部分全面に広がるため、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するためには非常に大きな電流が必要になってしまう。」と記載されている。
すなわち、「導電体接着層8はカルコゲナイド材料層3よりも抵抗率が低い」と、「導電体接着層8」と「カルコゲナイド材料層3」との境界部分では、電流は、「カルコゲナイド材料層3」より抵抗率が低い「導電体接着層8」方向に流れようとするため、「主に接着層8の横方向(基板面と平行方向)に流れる」ことから、「カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するためには非常に大きな電流が必要になってしまう」ことが記載されている。
逆にいえば、引用例には、カルコゲナイド材料層の抵抗率を接着層の抵抗率より低くすれば、接着層とカルコゲナイド材料層との境界部分では、電流は、接着層より抵抗率が低いカルコゲナイド材料層の方向に流れようとするため、主に接着層の縦方向(基板面と垂直方向)に流れて、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するための電流を低減できることが、示唆されていると認められる。

ウ.ここで、引用例の段落【0005】には「カルコゲナイド材料を非晶質化させる場合、カルコゲナイド材料の温度を融点以上に熱してから急冷するようなリセットパルスを印加する。融点は、例えば600℃である。急冷する時間(t1)は、例えば2nsecである。カルコゲナイド材料を結晶化させる場合、カルコゲナイド材料の温度を結晶化温度以上融点以下に保持するようなセットパルスを印加する。結晶化温度は、例えば400℃である。結晶化に要する時間(t2)は、例えば50nsecである。」と記載されているが、「カルコゲナイド材料を非晶質化させ」たときの抵抗値のほうが、「カルコゲナイド材料を結晶化させ」たときの抵抗値より大きいことは、当業者の技術常識である。
そして、引用例には段落【0006】に「相変化メモリの特長は、カルコゲナイド材料の抵抗値が結晶状態に応じて2?3桁も変化し、この抵抗値を信号として用いる」と記載され、「カルコゲナイド材料を非晶質化させ」たときの抵抗値は、「カルコゲナイド材料を結晶化させ」たときの抵抗値より、「2?3桁」も大きいことが記載されている。
すなわち、引用例には、「結晶化」しているため抵抗値が小さい「カルコゲナイド材料」を「非晶質化する」ときの方が、「非晶質化」しているため抵抗値が「2?3桁」も大きい「カルコゲナイド材料」を「結晶化」させるときより、当該「カルコゲナイド材料層」を、より急速かつより高温に加熱しなければならないことが記載されている。したがって、「結晶化」している「カルコゲナイド材料」を「非晶質化する」ときの方が、書き込みにより大きな電流が必要であると認められる。

エ.一方、引用例には段落【0015】に、「少なくともMOSトランジスタで動作可能な程度まで書き換えに必要な電流を低減しなければならない。」と記載されるように、書き込みに必要な電流をより低減することは、引用発明が有する課題である。

オ.以上から、引用発明において、「絶縁体界面層7」の「膜厚」を、その「中をトンネル電流が流れる膜厚よりも薄く」したことにより、前記「絶縁体界面層7」内で主に当該「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れる電流が、少なくとも、結晶化している「カルコゲナイド材料層3」を非晶質化する際に、前記「絶縁体界面層7」と「カルコゲナイド材料層3」の境界部分で、前記「絶縁体界面層7」の横方向(基板面と平行方向)には流れず、前記「絶縁体界面層7」の縦方向(基板面と垂直方向)に流れるようにするために、前記「カルコゲナイド材料層3」が結晶化している時の抵抗率を、「絶縁体」からなる前記「絶縁体界面層7」の抵抗率より低くなるように、当該「絶縁体界面層7」ないし「カルコゲナイド材料層3」の材料を選択することで、前記「カルコゲナイド材料層3」の非晶質化のための電流を低減させることは、当業者であれば当然に想起したと認められる。

カ.よって、引用発明の「絶縁体界面層7」を、「カルコゲナイド材料層3」が結晶化している時の抵抗率より高い抵抗率を有するものとすることは、引用発明から当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものである。

5-3.審判請求人の主張について
ア.審判請求人は、平成25年11月26日に提出した意見書において、
a.「引用文献1は……材料の“抵抗率”に着目するという発想は全くありませんので、装置の構成要素を上記(e)の発明特定事項で特定される抵抗率の関係を有する構成要素に置き換えるといったことを示唆する記載は全くありません。」
b.「非晶質化する際に(つまり、カルコゲナイド材料が結晶化していて低抵抗率の状態にあるときに)特に大きな電流を流す必要があることを述べられた上で、そのことをもって、界面層の材料の抵抗率を結晶化しているカルコゲナイド材料層の材料の抵抗率よりも大きくすることは当業者であれば当然に想起したと認定されました。しかしながら、このような御認定は、カルコゲナイド材料と界面層との抵抗率の関係を調整することを前提とした御認定であると思料致します。」
c.「そもそもカルコゲナイド材料と界面層との抵抗率の関係を調整することが示唆されていない引用文献1を参照した当業者が、大きな電流を回避するために取りうる様々な解決策の中から抵抗率の関係に着目して、さらに、カルコゲナイド材料と界面層との抵抗率の関係を上記(e)の発明特定事項のように変更することは、決して容易なことではありません。」
と主張している。

イ.しかしながら、平成25年8月20日付けの拒絶理由通知は、「(相違点2)について」において、前記の「非晶質化する際に(つまり、カルコゲナイド材料が結晶化していて低抵抗率の状態にあるときに)特に大きな電流を流す必要がある」ことを指摘する前に、引用例の段落【0012】の記載を挙げている。
そして、前記引用例の段落【0012】には、カルコゲナイド材料層の抵抗率を接着層の抵抗率より低くすれば、接着層とカルコゲナイド材料層との境界部分では、電流は、接着層より抵抗率が低いカルコゲナイド材料層方向に流れようとするため、主に接着層の縦方向(基板面と垂直方向)に流れて、カルコゲナイド材料層を結晶化または非晶質化するための電流を低減できることが、示唆されているのは、前記拒絶理由通知及び前記5-2のイにおいて、指摘したとおりである。
したがって、前記a及びcの主張は当を得ていない。

ウ.また、前記bの「非晶質化する際に(つまり、カルコゲナイド材料が結晶化していて低抵抗率の状態にあるときに)特に大きな電流を流す必要があることを述べられた上で、そのことをもって、界面層の材料の抵抗率を結晶化しているカルコゲナイド材料層の材料の抵抗率よりも大きくすることは当業者であれば当然に想起した」との「認定」は、当審より通知した最後の拒絶理由通知において理由4の「(相違点2)について」の判断で最初に指摘した、前記引用例記載の示唆に基づく「認定」であるから、「カルコゲナイド材料と界面層との抵抗率の関係を調整することを前提とした御認定である」という主張も、やはり、当を得ていない。

エ.以上から、前記意見書の主張は、いずれも、採用することはできない。

5-4.小括
以上のとおりであるから、相違点1は実質的な相異点ではなく、また、相違点2は引用発明から当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものである。
そして、本願発明の効果も、引用発明から、当業者が予期し得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。


第3.結言
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-02-28 
結審通知日 2014-03-04 
審決日 2014-03-19 
出願番号 特願2010-509414(P2010-509414)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 恩田 春香
西脇 博志
発明の名称 界面接着加熱層を有する可変抵抗メモリデバイス、それを使用するシステム、及び、それを形成する方法  
代理人 野村 泰久  
代理人 大菅 義之  

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