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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1290284 |
審判番号 | 不服2013-6059 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-04 |
確定日 | 2014-07-30 |
事件の表示 | 特願2007- 4288「表示システムを遮光するための遮光装置、画像を表示するための表示システム、および表示システムを製造するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月26日出願公開、特開2007-188085〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年1月12日(パリ条約による優先権主張2006年1月13日、米国)の出願であって、平成24年2月20日付けで手続補正がなされたものの、同年11月29日付けで拒絶査定がなされた。 本件は、これを不服として、平成25年4月4日に請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされ、その後、当審において同年7月18日付けで審尋を行ったところ、同年10月22日付けで回答書が提出された。 第2 平成25年4月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成25年4月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1の補正は、特許請求の範囲を限定して減縮することを目的として本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである。 「【請求項1】 表示システム(200)を遮光するための遮光装置(100)であって、前記遮光装置(100)は第1の構成要素(112)および第2の構成要素(114)を含み、前記第1の構成要素(112)はコア構成要素であり、前記第2の構成要素(114)は前記コア構成要素(112)を少なくとも部分的に覆い、前記第2の構成要素(114)は前記コア構成要素(112)より低い反射率を有する固体連続層であり、前記遮光装置(100)はさらに、予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される複数の遮光部分を含み、 前記第2の構成要素は前記コア構成要素より弾性があるか、または柔軟であり、 前記第2の構成要素(114)は、隣り合う前記遮光部分の間であって一方の前記遮光部分に近い位置に配置された光源ユニット(14)を受入れるように適合される穴(116)を含み、前記光源ユニット(14)と密封接触するように適合される、遮光装置(100)。」 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2(以下単に「特許法第17条の2」という。)第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。 2 本件補正発明 本件補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された上記のとおりのものである。 3 引用刊行物 これに対して、原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前である昭和60年11月11日に頒布された「実願昭59-55919号(実開昭60-169854号)のマイクロフィルム」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) ア)記載事項ア 「〔考案の技術分野〕 この考案は、表示板等のように情報を文字または図形で表示する装置に用いられる可視発光ダイオードランプに関するものである。」(第1頁第11?14行) イ)記載事項イ 「第2図はこの考案の一実施例を示す可視発光ダイオードランプ6の断面図である。同図において6aは発光部、6bは透光性を有する絶縁材、6cはリード線、6dは被透光性で黒色のカバーである。第3図はこの可視発光ダイオードランプ6を複数並べて構成した表示板7の側面図であり、この表示板7は第3図に示すように、表示光5は絶縁材6bを透過するので第2図に示す範囲A部分の表示は支障なく行なえる。しかし、カバー6dが外来光4で照らされた時、その外来光4はカバー6bで吸収されてしまい、反射されない。このため、表示光5はコントラストが大きくなり、反射光がある場合よりもはるかに見易く表示される。」(第5頁第2?14行) ウ)記載事項ウ 「第5図は単体の可視発光ダイオードランプ1をホルダ9に複数収納したものであり、この例は可視発光ダイオードランプ1は発光に寄与する部分以外は黒色の絶縁材10でモールドされ、ホルダ9は黒色のカバー11で覆い、コントラストを大きくしている。」(第5頁最終行?第6頁第5行) エ)記載事項エ 「4.図面の簡単な説明 ・・・(略)・・・第5図は表示板の他の実施例を示す断面図・・・(略)・・・である。」(第7頁第5?14行) オ)記載事項オ 「第2図 」 カ)記載事項カ 「第5図 」 キ)第5図の記載事項 引用例の第5図の表示板の断面図の記載によると、第5図からは、以下の事項が認定される。 「ホルダ9の断面形状は略H形状であって、断面において、黒色のカバー11が、略H形状の縦長部分の外側面、上端部及び内側面、並びに、略H形状の横長部分の上面を全て覆っており、2つの可視発光ダイオードランプ1が、黒色のカバー11で覆われた2つの上記縦長部分のほぼ中心を対称に列んでおり、かつ、黒色のカバー11で覆われた上記縦長部分の上下端の間に収まって配置されており、2つの可視発光ダイオードランプ1の黒色の絶縁材10部分を、黒色のカバー11で覆われた上記横長部分に挟まれており、上記横長部分の表示側を覆う黒色のカバー11に外来光4が当たること。」 ク)引用例記載の発明 上記記載事項によると、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「情報を文字または図形で表示する表示板のホルダ9であって、 単体の可視発光ダイオードランプ1をホルダ9に複数収納し、 可視発光ダイオードランプ1は発光に寄与する部分以外は黒色の絶縁材10でモールドされ、ホルダ9は黒色のカバー11で覆い、コントラストを大きくしており、 ホルダ9の断面形状は略H形状であって、 断面において、黒色のカバー11が、略H形状の縦長部分の外側面、上端部及び内側面、並びに、略H形状の横長部分の上面を全て覆っており、 2つの可視発光ダイオードランプ1が、黒色のカバー11で覆われた2つの上記縦長部分のほぼ中心を対称に列んでおり、かつ、黒色のカバー11で覆われた上記縦長部分の上下端の間に収まって配置されており、 2つの可視発光ダイオードランプ1の黒色の絶縁材10部分を、黒色のカバー11で覆われた上記横長部分に挟まれており、 上記横長部分の表示側を覆う黒色のカバー11に外来光4が当たる、 ホルダ9。」 5 対比 ここで、本件補正発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「情報を文字または図形で表示する表示板」は、本件補正発明の「表示システム(200)」に相当する。 また、引用発明は、「2つの可視発光ダイオードランプ1が、黒色のカバー11で覆われた2つの」「略H形状の」「縦長部分のほぼ中心を対称に列んでおり、かつ、黒色のカバー11で覆われた上記縦長部分の上下端の間に収まって配置されて」いることから、当業者の技術常識を参酌すると、引用発明の「ホルダ9」は、表示板に入射する光を遮光するものであるといえる。 よって、引用発明の「情報を文字または図形で表示する表示板のホルダ9」は、本件補正発明の「表示システム(200)を遮光するための遮光装置(100)」に相当する。 (2)引用発明の「ホルダ9」及び「黒色のカバー11」は、本件補正発明の「コア構成要素」である「第1の構成要素(112)」及び「コア構成要素(112)を少なくとも部分的に覆」う「第2の構成要素(114)」にそれぞれ相当する。 また、引用発明が、「ホルダ9は黒色のカバー11で覆い、コントラストを大きくして」いるのは、引用例に「可視発光ダイオードランプ6」が「黒色の」「カバー6dが外来光4で照らされた時、その外来光4はカバーで吸収されてしまい、反射されない。このため、表示光5はコントラストが大きくなり、反射光がある場合よりもはるかに見易く表示される。」(上記記載事項イ)と記載されている作用であって、黒色のカバーで覆うことにより外来光が吸収されて反射されないようにするためであるから、引用発明の「黒色のカバー11」が「ホルダ9」よりも低い反射率を有するものであることは明らかである。 さらに、引用発明の「断面において、黒色のカバー11が、略H形状の縦長部分の外側面、上端部及び内側面、並びに、略H形状の横長部分の上面を全て覆って」いる構成は、本件補正発明の「第2の構成要素(114)は」「固体連続層である」構成に相当する。 そうすると、引用発明の「ホルダ9は黒色のカバー11で覆い、コントラストを大きくしており」、「断面において、黒色のカバー11が、略H形状の縦長部分の外側面、上端部及び内側面、並びに、略H形状の横長部分の上面を全て覆って」いる構成は、本件補正発明の「遮光装置(100)は第1の構成要素(112)および第2の構成要素(114)を含み、前記第1の構成要素(112)はコア構成要素であり、前記第2の構成要素(114)は前記コア構成要素(112)を少なくとも部分的に覆い、前記第2の構成要素(114)は前記コア構成要素(112)より低い反射率を有する固体連続層である」構成に相当する。 (3)引用発明は、「2つの可視発光ダイオードランプ1が、黒色のカバー11で覆われた2つの」「略H形状の」「縦長部分のほぼ中心を対称に列んでおり、かつ、黒色のカバー11で覆われた上記縦長部分の上下端の間に収まって配置されて」おり、上記(1)のとおり引用発明の「ホルダ9」は、表示板に入射する光を遮光するものであるから、引用発明の「黒色のカバー11で覆われた上記縦長部分」は、本件補正発明の「予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される」「遮光部分」に相当する。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の「遮光装置(100)はさらに、予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される複数の遮光部分を含」む構成を有するものである。 (4)引用発明の「可視発光ダイオードランプ1」は、本件補正発明の「光源ユニット(14)」に相当する。 ここで、引用発明は、「2つの可視発光ダイオードランプ1が、黒色のカバー11で覆われた2つの」「略H形状の」「縦長部分のほぼ中心を対称に列んで」いるものであるから、本件補正発明の「光源ユニット(14)」が「隣り合う前記遮光部分の間であって一方の前記遮光部分に近い位置に配置された」構成を有するものである。 また、引用発明は、「2つの可視発光ダイオードランプ1の黒色の絶縁材10部分を、黒色のカバー11で覆われた」「略H形状の」「横長部分に挟まれて」いるものであるから、引用発明の「黒色のカバー11で覆われた」「略H形状の」「横長部分」は、本件補正発明の「光源ユニット(14)を受入れるように適合される穴(116)を含」む構成を有するものである。 そうすると、引用発明は、本件補正発明の「第2の構成要素(114)は、隣り合う前記遮光部分の間であって一方の前記遮光部分に近い位置に配置された光源ユニット(14)を受入れるように適合される穴(116)を含」む構成を有するものである。 上記(1)?(4)の点から、本件補正発明と引用発明は、 「表示システムを遮光するための遮光装置であって、前記遮光装置は第1の構成要素および第2の構成要素を含み、前記第1の構成要素はコア構成要素であり、前記第2の構成要素は前記コア構成要素を少なくとも部分的に覆い、前記第2の構成要素は前記コア構成要素より低い反射率を有する固体連続層であり、前記遮光装置はさらに、予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される複数の遮光部分を含み、前記第2の構成要素は、隣り合う前記遮光部分の間であって一方の前記遮光部分に近い位置に配置された光源ユニットを受入れるように適合される穴を含む遮光装置。」 で一致し、以下(a)及び(b)の点で相違する。 (相違点) (a)本件補正発明は、「第2の構成要素は前記コア構成要素より弾性があるか、または柔軟であ」るのに対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。 (b)本件補正発明は、第2の構成要素が「光源ユニット(14)と密封接触するように適合される」のに対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。 6 当審の判断 以下、上記(a)及び(b)の相違点について検討する。 (a)の相違点について 一般に、部材をカバーで覆う場合、衝撃を吸収するために、カバーされるものよりも柔軟なものでカバーすることは、広く採用されている周知慣用技術である。 引用発明の黒色カバーに対し、上記周知慣用技術を採用して、引用発明において、上記(a)の相違点に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になしえたことである。 (b)の相違点について 発光ダイオードを用いる表示装置等において、装置を周囲の環境から密封するために、周囲の環境にさらされる発光ダイオードとその取付部の穴の隙間をなくすように発光ダイオードを密封接触させることは周知技術である。 そして、上記「第2」[理由]「5」「(4)」で述べたように、引用発明は、「光源ユニット(14)を受入れるように適合される穴(116)」に相当する構成を有するものであるから、引用発明の「黒色のカバー11で覆われた」「略H形状の」「横長部分」でダイオードランプを挟む構成において、「横長部分」を「可視発光ダイオードランプ1」と密封接触させて、相違点(b)に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になしえたことである。 (a)及び(b)の相違点については上記のとおりであり、本件補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものと認められる。 よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 7 本件補正についての補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成25年4月4日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年2月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 表示システム(200)を遮光するための遮光装置(100)であって、前記遮光装置(100)は第1の構成要素(112)および第2の構成要素(114)を含み、前記第1の構成要素(112)はコア構成要素であり、前記第2の構成要素(114)はコア構成要素(112)を少なくとも部分的に覆い、前記第2の構成要素(114)は前記コア構成要素(112)より低い反射率を有する固体連続層であり、前記遮光装置(100)はさらに、予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される遮光部分を含む、遮光装置(100)。」 2 引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された引用刊行物及びその記載事項、並びに引用発明は、上記「第2」[理由]「4」に記載したとおりである。 3 対比及び当審の判断 本願発明は、本件補正発明の発明特定事項である「遮光装置(100)」が含む、「予め定められた角度の下で光の入射を遮るように形作られ、配置される」「遮光部分」が「複数」ある構成を省き、本件補正発明の発明特定事項である「第2の構成要素」に関し、「コア構成要素より弾性があるか、または柔軟であ」る構成、及び、「隣り合う前記遮光部分の間であって一方の前記遮光部分に近い位置に配置された光源ユニット(14)を受入れるように適合される穴(116)を含み、前記光源ユニット(14)と密封接触するように適合される」構成を省いたものである。 そして、上記省いた構成は相違点(a)及び(b)を含むから、本願発明と引用発明とを比較すると、相違点はない。 したがって、本願発明は、引用発明と同一である。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-02-26 |
結審通知日 | 2014-03-04 |
審決日 | 2014-03-17 |
出願番号 | 特願2007-4288(P2007-4288) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(G09F)
P 1 8・ 121- Z (G09F) P 1 8・ 575- Z (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井口 猶二、榎本 吉孝 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
土屋 知久 田部 元史 |
発明の名称 | 表示システムを遮光するための遮光装置、画像を表示するための表示システム、および表示システムを製造するための方法 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 堀井 豊 |
代理人 | 仲村 義平 |
代理人 | 森田 俊雄 |