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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1290451
審判番号 不服2012-15684  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-10 
確定日 2014-08-07 
事件の表示 特願2011-84027「美容方法及び美容装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月12日出願公開、特開2012-219035〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年4月5日の出願であって、平成24年2月2日付けで拒絶理由が通知され、同年4月12日付けで意見書と手続補正書が提出されたが、同年5月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、平成25年11月29日付けで前置報告書を用いた審尋が通知され、平成26年2月3日付けで回答書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成24年8月10日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
洗顔を行う洗顔ステップと、化粧水を被施術者の顔に塗布する化粧水塗布ステップとを有し、
前記洗顔ステップの実施後で、前記化粧水塗布ステップの実施前に、前記被施術者の顔に対して温度変化を与える温度変化ステップを実施する美容方法であって、
前記温度変化ステップは、
前記被施術者の顔の温度を通常の皮膚表面温度である28℃以上32℃以下の温度範囲よりも高くする温めステップと、
前記被施術者の顔の温度を通常の皮膚表面温度である28℃以上32℃以下の温度範囲よりも低くする冷やしステップを含み、
前記温めステップでは、前記被施術者の顔の温度が36℃以上42℃以下となるよう温め、
前記冷やしステップでは、前記被施術者の顔の温度が16℃以上24℃以下となるよう冷やすことを特徴とする美容方法。」

第3 引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「イオンスチーマーナノケア nanocare 品番 EH2473 取扱説明書」(原査定の引用文献1。以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(1a)「



(1b)「




(1c)「



(1d)「



(1e)「


(1f)「



(1g)「



第4 引用例に記載された発明
1 引用例の上記(1g)の左下に、「(C)(審決注:○の中にC)2007 Matsushita Electric Works,Ltd.All Rights Reserved.」と記載されている。
この著作権表示の記載から、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「イオンスチーマーナノケア nanocare 品番 EH2473 取扱説明書」(上記(1a)参照)、すなわち引用例は、本出願前である2007年に発行されたものと認められる。

2 引用例の上記(1d)には、はじめにイオンスチーマーナノケアの使いかたについて、「おすすめする基本パターン」、「イオンスチーマーは、普段お使いの化粧品と上手に組み合わせて色々な使い方が楽しめます。おすすめする基本パターンをご参考にイオンスチーマーの効果的な使い方をお楽しみください。」と説明されている。
そして、「おすすめする基本パターン」の具体的な説明には、「肌悩みに合わせて美しく健やかな肌へ」、「温冷美容プログラム『温冷3コース』(記載している時間は目安です)」とあり、クリア肌コース、ハリ/弾力コース、皮脂ケアコースの順に温冷美容プログラムの温冷3コースが記載されている。
これらの3コースは、いずれも、「メイク落し」と「洗顔」に続き、「温」又は「冷」を適宜繰り返した後、「沈静・整肌(化粧水で整え、乳液などで脂分を補う)」と説明されている。
また、上記(1d)の右上には、「基本4カ条」が記載されており、そこには、特に、「2 過度なお手入れは、かえって肌に良くありません。温スチーム&冷ミストは気持ちの良い範囲でご使用ください。」と記載されている。

3 引用例の上記(1b)には、「各部のなまえ」が装置の図とともに説明されており、「本体」の説明には、本体に「温スチーム吹出口」と「冷ミスト吹出口」が備えられていること、「操作表示部」の説明には、「温スチーム」と「冷ミスト」のランプと、「クリア肌」、「ハリ/弾力」、「皮脂ケア」、及び「温スチーム」のコース表示ランプ、及び「コース選択」のボタンが設けられていることが示されている。

4 以上の引用例の記載からみて、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「メイク落とし、洗顔のあとに、温スチームと冷ミストをあて、最後に化粧水で整え、乳液などで脂分を補う美容方法。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。

1 引用発明では、洗顔の前にメイクを落としているが、本願明細書の段落【0002】に、「例えば美容方法の一つとして、朝の起床後又は夜の就寝前において、洗顔を行なった後に化粧水を塗布することが行なわれている。」と記載されているように、メイクを施していた場合、夜の就寝前などの洗顔前にメイクを落とすことは普通に行われることである。
また、引用発明では、化粧水のあとに乳液を用いているが、本願明細書の段落【0012】にも、「被施術者の顔に乳液を塗布するステップ(乳液塗布ステップという)は、化粧水塗布ステップの後に実施する。」と記載されているように、化粧水のあとに乳液を塗布することも普通に行われることである。
よって、本願発明も洗顔前のメイク落としや化粧水塗布後の乳液塗布を行うことを排除しないものといえる。

2 引用例に記載の美容方法は、例えば、上記(1c)の使いかたで、「1 顔・デコルテ(胸元)はノズルキャップ先端から20cm以上(吹出口から25cm以上)離す」、「●初めて使用する時や距離感がわかりにくい時は、付属の『距離の目安ガイド』であてたい部位とノズルキャップ先端との距離を確認する。」と説明されているとおり、個人が自宅で行うことを前提としたものである。
一方、本願発明は、「被施術者」に対して行う美容方法であり、この表現からすると、例えば美容サロンのように施術者が客(被施術者)に行う美容方法を対象としているとも解釈できる。
しかしながら、本願明細書の段落【0012】には、「本実施形態に係る美容方法は、被施術者が洗顔を行なう洗顔ステップの実施後で、被施術者が化粧水を顔に塗布するステップ(化粧水塗布ステップという)の実施前に、被施術者の顔に対して温度変化を与えるステップ(温度変化ステップという)を実施することを特徴とするものである。」(下線は当審で付した。)と記載されており、自分自身で洗顔や化粧水塗布を行う場合についても「被施術者」と表現している。
また、本願明細書には、「例えば美容方法の一つとして、朝の起床後又は夜の就寝前において、洗顔を行なった後に化粧水を塗布することが行なわれている。」(段落【0002】)と記載され、「しかしながら従来では、洗顔後の肌に対しては何ら処理を行なうことはせず、洗顔後直ちに化粧水等の塗布が行なわれていた。このため従来の美容方法では、必ずしも洗顔後の美容液等が十分に肌に浸透しているとはいえなかった。」(段落【0005】)、「本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、化粧水のなじみ及び浸透感を良好としうる美容方法及び美容装置を提供することを目的とする。」(段落【0006】)と記載されている。このことから、本願発明の美容方法は、起床後や就寝前に自分自身で美容装置を用いて実施する方法を包含していると理解される。
そうすると、本願発明では「被施術者」という用語が用いられているものの、本願発明の美容方法は、他人から洗顔や、化粧水を塗布される場合に限られるのではなく、引用例のような自分自身で洗顔、化粧水塗布を行う場合も含まれていると解するのが相当である。

3 以上のことから、両発明は、次の一致点及び相違点を有する。

一致点:
「洗顔を行う洗顔ステップと、化粧水を被施術者の顔に塗布する化粧水塗布ステップとを有し、
前記洗顔ステップの実施後で、前記化粧水塗布ステップの実施前に、前記被施術者の顔に対して温度変化を与える温度変化ステップを実施する美容方法。」

相違点:
前記「温度変化ステップ」について、本願発明では、
「前記被施術者の顔の温度を通常の皮膚表面温度である28℃以上32℃以下の温度範囲よりも高くする温めステップと、
前記被施術者の顔の温度を通常の皮膚表面温度である28℃以上32℃以下の温度範囲よりも低くする冷やしステップを含み、
前記温めステップでは、前記被施術者の顔の温度が36℃以上42℃以下となるよう温め、
前記冷やしステップでは、前記被施術者の顔の温度が16℃以上24℃以下となるよう冷やす」
と特定しているのに対し、引用発明では、これらを特定していない点

第6 判断
そこで、上記相違点について検討する。

1 通常の皮膚表面温度である28℃以上32℃以下の温度範囲、及びその温度範囲よりも高くする、又は低くすることについて
引用例には、通常の皮膚表面温度について記載されていないが、顔の通常の皮膚表面温度が、28?32℃程度であることは、下記文献A?Cにもあるとおり本出願前から知られていることであるし、“通常の温度”だから、その温度範囲を特定したことに技術的意義があるともいえない。
また、通常の皮膚表面温度とほとんど差のない温度に温度変化を与えることを、温めるとか冷やすとはいわないのは当たり前のことであり、通常の皮膚表面温度の温度範囲よりも高くする、又は低くすることを、温めるとか冷やすということも自明なことであって、このような特定にも技術的意義があるとはいえない。
よって、引用例に通常の皮膚表面温度が記載されていないこと、及びその温度範囲よりも高くする、又は低くすると記載されていないことは、実質的な相違点ではない。

文献A:特開2008-113876号公報(前置報告書で示された引用文献7)
「【0024】・・・例えば、温度30?35℃の通常の皮膚温の範囲、特に、30?32℃に設定することが好ましい。・・・」
文献B:特開平8-86883号公報
「【0015】すなわち、人の顔の表面温度は通常32℃付近であるが、周囲温度が低くなるとそれに応じてだんだん低くなり、20℃程度になる。・・・」
文献C:実願平4-94119号(実開平7-27411号)のCD-ROM
「【0007】・・・顔面の温度は、通常、31?32℃、具体着用後10分程度経過すれば、顔面パツクの内側面と顔面皮膚面間の温度は、35?36℃に上昇する。・・・」

2 温めステップと冷やしステップの温度について
(1)引用例には、温スチーム及び冷ミストを用いるときに、被施術者の顔の温度を何度にするか記載されていない。
しかしながら、引用例の上記(1d)の右上には、「基本4カ条」として、特に、「2 過度なお手入れは、かえって肌に良くありません。温スチーム&冷ミストは気持ちの良い範囲でご使用ください。」と記載されているとおり、温める場合も冷やす場合も「気持ちのよい範囲」で使用することが記載されている。
そして、引用例の上記(1e)の右下に「本体定格・仕様」が記載されており、そこには、「スチーム温度」「約40℃(ノズルキャップ先端から約20cmの距離)」と記載されている。
このことからすると、温スチームは、約40℃程度の温度のスチームであることがわかり、これを上記(1c)の左上の1?2にあるように、顔から20cm以上離し、スチームを顔全体にあて、上記(1d)の「基本パターン」にあるとおり所定の時間あてるのであるから、顔の温度は40℃程度になると予測できる。
一方、冷ミストについては、上記(1f)の、「イオンスチーマーナノケアの特長・保証とアフターサービス」の中で、「マイクロミストとは」「直径約50μmの微細なミストで顔全体をしっかり冷却することができます。環境温度によって冷却感に差があります。」と説明されているとおり、環境温度によって冷却感に差はあるものの、しっかり冷却することを特長とするものである。
そうすると、少なくとも通常の顔の皮膚表面温度よりは冷却したことを感じる温度まで冷やされるものであることも予測できる。

(2)ところで、引用例に記載されているような温冷効果を利用する美容方法は本出願前から広く知られている。
そして、このような温冷効果を利用する場合の温め温度や冷やす温度は、それぞれ40℃程度や20℃程度であることも、下記文献D?Hに記載されているように普通のことである。

文献D:実願昭55-10539号(実開昭56-113534号)のマイクロフィルム
「ここで、本考案における温冷の温度差は約20℃が最も効果的であり、顔面に対する温水は40乃至45℃にして冷風は室内温度とほぼ同じになる約20℃が快適であることが実験的に確認されている。冷水と温風とを用いる場合はそれぞれの温度を前記の場合と逆にすればよい。」(7頁2?7行)
文献E:特開昭61-170467号公報
「本発明は健康的な肌をつくる美顔器として使用される治療器に関するものである。」(1頁右欄4?5行)
「そして、マッサージ効果が有効に得られる温度差は、10deg以上とされていることから、約15degに設定している。施療部材12を肌に接触させることによって、施療部材12を介して伝達される熱により、ペルチェ素子1が30℃となる場合、高温側は45℃、低温側は15℃となるようにしているわけである。」(2頁左下欄2?8行)
文献F:特開2000-37412号公報
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔の皮膚等肌に軽く押し当てて同肌を温めたり冷したりして美肌(美顔)効果を得るために用いる美肌器に関する。」
「【0006】すなわち、加熱側選択用スイッチ13の操作によって熱電冷却モジュール5が昇温し、温度センサ9が上限46℃とする定温度で作動し、また冷却側選択用スイッチ12の操作により熱電冷却モジュール5が冷却して20℃前後で安定するようにしたものである。」
文献G:特開2005-168782号公報
「【0043】
このような過程を経て、ウレタンパック20内に存在するようになるシリコンオイルの温度は、使用者が望む冷温罨法に該当する温度に制御され、例えば冷温の順序に設定されているとすれば、20度に冷却されて数分または数十分程度持続した後で45度に加熱され、再び数分または数十分程度持続される作動を反復するようになる。」
文献H:FRAGRANCE JOURNAL 1993-12、137頁
「新機器紹介
エステサロン向けの美顔器 『ニューエスティーシリーズ』 タカラベルモンド株式会社」(137頁左欄1?4行)
「(5)(審決注:○の中に5)ペルチェ(温冷トリートメント機能)
・温熱側40℃,冷却側14℃(室温25℃のとき)のハンドピースで,温熱,冷却を交互に刺激することで血行をよくし,トリートメント効果を高める。」(137頁左欄下から2行?同頁右欄2行)

(3)そうすると、引用例の「温スチーム&冷ミストは気持ちの良い範囲でご使用ください。」(上記(1d))との記載、及び「スチーム温度」「約40℃(ノズルキャップ先端から約20cmの距離)」(上記(1e))、「顔全体をしっかり冷却することができます。」(上記(1f))との記載に基づき、気持ちの良い範囲として、本願発明で特定されている「36℃以上42℃以下」となるような温め温度と「16℃以上24℃以下」となるような冷やす温度を特定することは、当業者が容易になし得たことである。そして、これらの温度は通常の温冷美容方法で用いられている温度と比べても格別なものでもない。

3 本願発明の効果について
本願明細書には、本願発明の効果として、「開示の美容方法によれば、化粧水のなじみを良好とすることができると共に浸透感を向上させることができるという効果を奏する。」(段落【0008】)と記載されている。
そして、本願発明の美容方法を適用した際の官能評価の結果として、【図2】には、温冷処理を行わなかった場合、或いは化粧水、更には乳液を塗布した後に温冷処理を行った場合と比較した化粧水の使用感が良好であったこと、【図5】には、温冷処理を行った場合を、温処理、冷処理、或いは冷温処理を行った場合と比較して、化粧水の使用感が良好であったことが示されている。
そこで検討するに、引用例の上記(1d)に「肌悩みに合わせて美しく健やかな肌へ」と記載されていることや、下記文献E、G?Hにも記載されているように、そもそも温冷処理は、肌の血行や代謝を促進して健康的な肌とすることを目的としたものである。そうすると、このような処理を行うことにより、処理前の肌に比べれば血行や代謝がよい健康的な肌となり、化粧水のなじみの良さや浸透感の向上が得られることは、当業者が予測し得ることである。

文献E:特開昭61-170467号公報
「以上のように本発明においては、施療部材を往復動させて肌に圧刺激を与えるとともに、施療部材を温めたり冷やしたりすることで肌に温冷刺激を与えるもので、これら両刺激によって血行を促進し、栄養分を行きわたらせて肌の新陳代謝を活発にして、はりとうるおいのある健康的な肌とする美顔作用を発揮するものであり、しかも施療部材の往復動は機械的駆動手段で、施療部材を温めたり冷やしたりするのは電気的加熱冷却手段で行なうために、小型で手軽に使用することができるものとなっている。」(3頁左上欄6?16行)
文献G:特開2005-168782号公報
「【0007】本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、本発明の目的は美容に使われる顔面マスクを反復的に冷却および加熱を遂行できる構成を提供することにあり、又このような構成による顔面マスクを使用することにより人の顔面の部位に冷温罨法効果を提供できるようにし、顔の皮膚の代謝を促進させ皮膚の弾力を向上させることができることにある。」
文献H:FRAGRANCE JOURNAL 1993-12、137頁
「(5)(審決注:○の中に5)ペルチェ(温冷トリートメント機能)
・温熱側40℃,冷却側14℃(室温25℃のとき)のハンドピースで,温熱,冷却を交互に刺激することで血行をよくし,トリートメント効果を高める。」(137頁左酸下から2行?同頁右欄2行)

4 審判請求人の主張について
審判請求人は、特に、平成24年4月12日付け意見書において、「しかしながら、被施術者の顔に温度変化を与える場合、どの順序で、又どの温度で加温或いは冷却するかは、適宜決められるものではなく、この温度等を決定することにこそ発明の困難性があると思料します。」と主張し、平成26年2月3日付けの回答書において、本願明細書の図6に示される特有の効果は容易に想到し得るものではない旨主張している。
しかし、本願発明は、温めステップと冷やしステップの温度は特定されているものの、その順序や回数は特定されていないから、順序を問題とする意見書の主張や図6に示される効果は、本願発明の効果に関するものではなく、採用することはできない。
仮に、温めてから冷やすと特定されているとしても、引用例の上記(1d)に記載された基本パターンでも温めてから冷やすものであるから、この点を考慮しても、本願発明が格別なものということもできない。

また、審判請求人は、前記回答書において、本願発明の温めステップと冷やしステップについてさらに、「人が温度上昇を実感できる温度に温める」ことと「人が温度低下を実感できる温度に冷やす」ことを特定する補正を行う用意がある旨主張しているので、念のため、この点が特定された場合についても検討する。
引用例の上記(1d)に「温スチーム&冷ミストは気持ちの良い範囲でご使用ください。」と記載され、上記(1f)に「環境温度によって冷却感に差があります。」と記載されているとおり、引用例においても、温かさや冷たさを感じる程度に温めたり冷やしたりするものであることは当然のことである。
よって、審判請求人の提示した補正案を検討しても、これまでの判断はかわらない。

5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基づき、当業者が容易になし得たことである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-06-04 
結審通知日 2014-06-10 
審決日 2014-06-25 
出願番号 特願2011-84027(P2011-84027)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川島 明子  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 関 美祝
小川 慶子
発明の名称 美容方法及び美容装置  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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