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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E06B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E06B
管理番号 1290454
審判番号 不服2013-1478  
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-25 
確定日 2014-08-07 
事件の表示 特願2008-163614「建具用表面材の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月 7日出願公開、特開2010- 1708〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成20年6月23日の出願であって、平成24年11月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年1月25日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成25年1月25日付け手続補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成25年1月25日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成25年1月25日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項1に、
「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、防湿層が蒸着法により薄膜形成された化粧シートを、該防湿層を該木質基材との間に挟むようにして、該木質基材の表面に貼着させることを特徴とする建具用表面材の製造方法。」とあったものを、
「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、防湿層が蒸着法により薄膜形成されて2層となった化粧シートを、該防湿層を該木質基材との間に挟むようにして、該木質基材の表面に貼着させることを特徴とする建具用表面材の製造方法。」と補正するものである。(下線は審決で付した。)

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「化粧シート」に関し、「2層となった」との限定を加えるものである。

2 補正の目的
本件補正後の請求項1に係る本件補正は、上記1(2)のとおり、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用例
(1)本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平10-109380号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同様。)
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化粧板とそれを用いたフラッシュパネルに関する。」

イ 「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、木質板の片面に、裏面に非透湿性樹脂層が形成された化粧紙が非透湿性樹脂層と接するように接着され、他面に裏打ち紙が直接又は非透湿性樹脂層を介して接着された構成を要件とするものである。以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0006】本発明でいう木質板2としては、中比重繊維板やパーティクルボード、合板やLVL、LVB、ハードボードが使用できる。ストランドボードやウェハーボード等を使用する際は表面に著しい凹凸を有するので目処めや研摩等を施して平滑にしておく必要がある。化粧板用としては厚さ2?5mm程度の中比重繊維板が比重や加工性、表面平滑性等の点から好ましく用いられる。なお、これらの木質板は個々に使用してもよく複合してもよい。
【0007】化粧紙4や裏打ち紙5は重さ23?30g/m2程度の薄葉紙やチタン紙、クラフト紙等が用いられる。表面用である化粧紙4には基材紙の表面に所望の模様にグラビア印刷等を施し、さらにこの表面に耐汚染、耐薬品性等を向上させるためにウレタン樹脂やアミノアルキッド樹脂等の合成樹脂塗料で上塗り塗装を施しておくとよい。
【0008】化粧紙4の裏面には木質板2に接着する前に予め非透湿性樹脂層3をT型ダイス等を用いて加熱溶融して塗布したり、予め形成したフィルムを熱圧ラミネートしておく。非透湿性樹脂層3とはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデン等の熱可塑性合成樹脂が好ましく用いられ、塗膜の厚は約20?40μm程度に形成する。20μm以下だと水分を遮断するのには不足し、40μm以上では高価格となるばかりでなく塗膜の形成が難しくなる。
【0009】非透湿性樹脂層3としてポリプロピレンを用いる場合は木質板2との接着に不安がある。そこで、前記のポリプロピレン樹脂面をコロナ放電処理を施しておくと非透湿性樹脂面3が粗雑となり接着剤のヌレが改良され木質板2と強固に接着できる。また、ポリプロピレン樹脂に限らず他の樹脂にもコロナ放電処理を施して接着性を向上させてもよい。
【0010】なお、より一層の反りや狂いを防止するために裏打ち紙5の裏面にも予め非透湿性樹脂層3を形成しておくとよい。また、木質板の木口にも非透湿性樹脂塗膜を形成しておくと化粧板の吸放湿を一層遮断できて好ましい。これらの化粧紙4や裏打ち紙5を木質板2に接着する接着剤としては水性ビニルウレタン等の接着剤が採用できる。
【0011】以上のようにして非透湿性樹脂層3により水分移動が遮断され反りや狂いを極力防止できる化粧板1が得られる。この化粧板1は建築用化粧面材として使用できるが、図2に示すように無垢材や集成材、LVL等からなる芯材6の両面に水性ビニルウレタンや酢酸ビニル樹脂エマルジョン等の接着剤を介して対向するように貼り合わせて軽量なフラッシュパネルとして扉や間仕切り体等に使用することもできる。以下、本発明の実施例を示す。」

ウ 「【0020】
【発明の効果】本発明によれば、化粧板は基板と非透湿性樹脂層が直接接着して構成されるため、従来のように基板と非透湿性樹脂層の間に紙を介する構成と比較して安価にできる。また、フラッシュパネルを製造する際、化粧板と枠材は化粧板の紙の層と枠材が直接接着されるため、接着剤として従来から常用されている酢酸ビニル樹脂のような安価なものが使用できる。さらに、試験結果からも明らかなように反りや狂いに対する効果も十分に発揮する。」

エ 上記アないしウからみて、引用例1には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。
「木質板の片面に、裏面に非透湿性樹脂層が形成された化粧紙が非透湿性樹脂層と接するように接着され、他面に裏打ち紙が直接又は非透湿性樹脂層を介して接着された化粧板であって、
化粧紙4の裏面には木質板2に接着する前に予め非透湿性樹脂層3をT型ダイス等を用いて加熱溶融して塗布したり、予め形成したフィルムを熱圧ラミネートしておくもので、
裏打ち紙5の裏面にも予め非透湿性樹脂層3を形成しておくことにより、
反りや狂いに対する効果も十分に発揮する、
芯材6の両面に接着剤を介して対向するように貼り合わせて軽量なフラッシュパネルとして扉や間仕切り体に使用する化粧板」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平9-248882号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などに用いられる化粧シート及び化粧板に関し、詳しくは湿度、温度変化などによつて発生する反りを防止する機能を有する防湿シート、絵柄層及び保護層を有する防湿シート及び防湿化粧板に関するものである。」

イ 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、室内扉、キッチン扉、収納扉などにおいて、厳しい温度、湿度の環境条件でも反りを防止できる、防湿シート、絵柄層及び保護層を有する防湿シート及び防湿化粧板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の防湿シートは、紙基材上に、接着樹脂層と無機物質を含む防湿層と合成樹脂フイルムと接着樹脂層と紙層を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】また、本発明の防湿シートは、前記防湿シートの片面に、絵柄層及び保護層を形成したことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の防湿化粧板は、木質基材の片面に、前記絵柄層及び保護層を有する防湿シートを、もう一方の面に、前記絵柄層及び保護層のない防湿シートを貼付けてなることを特徴とするものである。」

ウ 「【0009】
【発明の実施の形態】本発明を実施の形態に基づき詳細に説明すれば、本発明の防湿シート(図1)は、紙基材10の片面に絵柄層11及び保護層12を形成し、該基材10のもう1方の面上に、接着樹脂層13と無機物質を含む防湿層14と合成樹脂フイルム15と接着樹脂層16と紙層17を設けて成るものである。
【0010】また、本発明の防湿化粧板(図2)は、上記絵柄層11及び保護層12を有する防湿シート(図1)と、絵柄層11及び保護層12のない防湿シート(図3)を、木質基材20の両面に貼付けてなるものである。
【0011】前記紙基材10または紙層17としては、20?50g/m^(2)の薄葉紙、紙間強化紙、片艶クラフト、純白ロールを用いることができる。」

エ 「【0015】また、無機物質を含む防湿層14としては、ケイ素酸化物(SiO_(x)x=1?2)、酸窒化ケイ素(SiO_(x)N_(y)、x=0.6?0.8、y=0.7?0.9)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミニウム酸化物(Al_(2)O_(3)) 等の無機酸化物や金属酸化物の無機材料を、真空蒸着法やスパツタリング、イオンプレーティングまたは、プラズマ活性化化学反応蒸着法等で合成樹脂フイルム15上へ薄膜形成を行うことができる。」

オ 「【0024】
【発明の効果】本発明の防湿化粧板は、無機物質から成る防湿層があるため、防湿性能が高く、従来のポリエチレンやポリエステルなどを防湿層としたものと比較すると10数倍である、そのため、厳しい環境下でも化粧板にそりを生じさせることが少ない。また、本発明の防湿化粧板の防湿層は、無機酸化物や金属酸化物の無機材料であり、従来のアルミニウム等の金属てはないため、フラッシュ加工などで高周波加工の際も、放電などのトラブルをおこすことはない。」

カ 上記アないしオからみて、引用例2には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。
「絵柄層11及び保護層12を有する防湿シートと、絵柄層11及び保護層12のない防湿シートを、木質基材20の両面に貼付けてなる、室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などに用いられる防湿化粧板であって、
防湿シートは、紙基材10の片面に絵柄層11及び保護層12を形成し、該基材10のもう1方の面上に、接着樹脂層13と無機物質を含む防湿層14と合成樹脂フイルム15と接着樹脂層16と紙層17を設けてなるもので、
防湿層14は、無機酸化物や金属酸化物の無機材料を、真空蒸着法または、プラズマ活性化化学反応蒸着法等で合成樹脂フイルム15上へ薄膜形成を行うものである、
そりを生じさせることが少ない防湿化粧板。」

(3)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平11-10604号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】繊維板を平板基材(10)とし、その表面に化粧シート(11)を貼着した化粧板において、紙層(13a)とこれに積層された熱可塑性合成樹脂層(13b)との2層から成る防湿シート(13)の合成樹脂層(13b)を、その熱圧により上記平板基材(10)の裏面へ溶着一体化したことを特徴とする防湿性化粧板。
【請求項2】(省略)
【請求項3】(省略)
【請求項4】平板基材(10)としての繊維板と、紙層(13a)に熱可塑性合成樹脂層(13b)がコーティングされた防湿シート(13)とを用意し、
上記防湿シート(13)をその合成樹脂層(13b)が平板基材(10)の裏面と接触するように積み重ねた上、ロールプレス(14)又は平盤プレス(15)により上方から熱圧して、上記合成樹脂層(13b)を平板基材(10)の裏面へ溶着一体化することを特徴とする防湿性化粧板の製造法。」

イ 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主にフラッシュ構造を備えた建具や家具の面材として有用な防湿性化粧板と、その製造法に関する。」

ウ 「【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の詳細を説明すると、図1はその防湿性化粧板(M)の第1実施形態を示しており、(10)は平板基材であって、一定厚みの繊維板から成るが、特に比重-約0.4?0.8の中比重繊維板(MDF)や比重-0.8以上の高比重繊維板(ハードボード)を採用することが好ましい。
【0011】(11)はその平板基材(10)の表面ヘエチレン酢酸ビニール樹脂エマルジョン系接着剤などの各種化粧貼り用接着剤(12)を介してラミネートされた化粧シートであり、木目柄や抽象柄などの各種化粧模様がプリントされた塩化ビニールやその他の合成樹脂シートから成るが、プレコート紙やアフターコート紙などの化粧紙が採用されることもある。
【0012】(13)は防湿シートを総称しており、これはクラフト紙や薄葉紙、再生紙、不織布などの紙層(13a)と、その紙層(13a)にコーティング又はラミネートされた熱可塑性合成樹脂層(13b)との合計2層から成る。上記紙層(13a)としては薄葉紙、就中紙力の強化された強化紙を採用することが好ましく、又上記熱可塑性合成樹脂層(13b)としては塩化ビニールやポリプロピレンなどの汎用樹脂を初め、特に溶融点が低く、しかもガスバリヤー性に優れたポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビニールアルコール共重合体(EVOH)(クラレの商品名「エバール」)を採用することが望ましい。
【0013】そして、上記2層の防湿シート(13)を図2、3から明白なように、その熱可塑性合成樹脂層(13b)が平板基材(10)の裏面と接触する関係状態に積み重ね、上方からロールプレス(14)又は平盤プレス(15)により熱圧して、上記合成樹脂層(13b)を平板基材(10)の裏面へ直かに溶着一体化するのである。
【0014】このようにして製造された本発明の防湿性化粧板(M)は、その防湿シート(13)と平板基材(10)との界面に別個な接着剤が介在せず、上記熱可塑性合成樹脂層(13b)自身の加熱軟化により、平板基材(10)の裏面へ一体に溶着しているため、その別個な接着剤が不要であることは勿論、これに含まれる水分が経時的に平板基材(10)の木材繊維へ浸透して、その製品-化粧板(M)の寸法変化や反り、腐蝕などを起すおそれがなく、優れた防湿効果を耐久的に維持することができる。
【0015】その結果、上記寸法変化や反りなどが許されないフラッシュ構造を備えた内装用ドアーや棚板などの面材として、著しく有用な防湿性化粧板(M)を得られることになる。
【0016】図4はその防湿性化粧板(M)を面材として適用したフラッシュ構造のドアー(A)を例示しているが、上記防湿シート(13)の紙層(13a)は外部に露出するため、これをフラッシュ構造の桟木やその他の補強芯材(16)へ簡易に、且つ確固に接着一体化することができ、その建具や家具に対する化粧板(M)の加工性にも役立つ。殊更、上記紙層(13a)として紙力の強化された薄葉紙(強化紙)を用いるならば、そのフラッシュ構造の補強芯材(16)から層間剥離することも効果的に防止できる利点がある。
【0017】?【0020】(省略)
【0021】上記第1、2実施形態の何れにあっても、平板基材(10)の表面に対する化粧シート(11)のラミネートは、上記防湿シート(13)の熱圧による溶着一体化の爾後に行なうことが望ましいが、その爾前又は同時に行なってもさしつかえない。」

エ 「【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明では繊維板を平板基材(10)とし、その表面に化粧シート(11)を貼着した化粧板において、紙層(13a)とこれに積層された熱可塑性合成樹脂層(13b)との2層から成る防湿シート(13)の合成樹脂層(13b)を、その熱圧により上記平板基材(10)の裏面へ溶着一体化してあるため、冒頭に述べた従来技術の課題を確実に改良できる効果がある。
【0033】?【0036】(省略)
【0037】そして、上記のような本発明の防湿性化粧板は請求項4と請求項5の製造法によって、自動連続的に能率良く量産することができ、その製品の大幅なコストダウンを図れるのである。」

オ 上記アないしエからみて、引用例3には以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認める。
「繊維板を平板基材(10)とし、その表面に化粧シート(11)を貼着した化粧板において、紙層(13a)とこれに積層された熱可塑性合成樹脂層(13b)との2層から成る防湿シート(13)の合成樹脂層(13b)を、その熱圧により上記平板基材(10)の裏面へ溶着一体化した、フラッシュ構造を備えた建具や家具の面材として有用な防湿性化粧板の製造法において、
上記防湿シート(13)をその合成樹脂層(13b)が平板基材(10)の裏面と接触するように積み重ねた上、ロールプレス(14)又は平盤プレス(15)により上方から熱圧して、上記合成樹脂層(13b)を平板基材(10)の裏面へ溶着一体化するものであって、
平板基材(10)の表面に対する化粧シート(11)のラミネートは、上記防湿シート(13)の熱圧による溶着一体化の爾後に行なうことが望ましいものである、
自動連続的に能率良く量産することができ、その製品の大幅なコストダウンを図れる、防湿性化粧板の製造法。」

4.対比
そこで、本件補正発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「木質板」は本願補正発明の「木質基材」に相当し、以下同様に「木質板の」「他面」は「木質基材の裏面」に、「裏打ち紙5の裏面にも予め非透湿性樹脂層3を形成してお」いたものは「防湿シート」に、「接着」は「貼着」に、「非透湿性樹脂層3」は「防湿層」に、「木質板の片面」は「木質基材の表面」に、それぞれ相当する。

イ 「裏面に非透湿性樹脂層が形成された化粧紙」と、防湿層が蒸着法により薄膜形成されて2層となった化粧シート」とは、「防湿層が形成されて2層となった化粧シート」である点で共通している。

ウ 引用発明1の「木質板の片面に、裏面に非透湿性樹脂層が形成された化粧紙が非透湿性樹脂層と接するように接着され」ることは、本願補正発明の「防湿層を木質基材との間に挟むようにして、木質基材の表面に貼着させること」に相当する。

エ 引用発明1は、「フラッシュパネルとして扉や間仕切り体に使用する化粧板」という物の発明であるが、「木質板の片面に、裏面に非透湿性樹脂層が形成された化粧紙が非透湿性樹脂層と接するように接着され、他面に裏打ち紙が直接又は非透湿性樹脂層を介して接着された化粧板であって、
化粧紙4の裏面には木質板2に接着する前に予め非透湿性樹脂層3をT型ダイス等を用いて加熱溶融して塗布したり、予め形成したフィルムを熱圧ラミネートしておくもので、
裏打ち紙5の裏面にも予め非透湿性樹脂層3を形成しておくこと」という化粧板の製造手順も含んでいることから、引用発明1は、「建具用表面材の製造方法」の発明とも言える。

オ 上記アないしエからみて、本件補正発明と引用発明1とは、
「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させ、防湿層を形成されて2層となった化粧シートを、防湿層を木質基材との間に挟むようにして、木質基材の表面に貼着させる建具用表面材の製造方法。」で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本件補正発明は、木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、木質基材の表面に化粧シートを貼着させるのに対し、引用発明1は、防湿シートと化粧シートを木質基材に貼着させる順番が不明な点。
相違点2:化粧シートの防湿層が、本件補正発明は、蒸着法により薄膜形成されたものであるのに対し、引用発明1は、そのようなものか不明な点。

5 判断
そこで、上記相違点1及び2について検討する。
(1)相違点1
ア 引用例3には、上記「3(3)オ」に記載した引用発明3が記載されている。
引用発明3の「平板基材(10)」が、本件補正発明の「木質基材」に相当し、さらに引用発明3は「平板基材(10)の表面に対する化粧シート(11)のラミネートは、上記防湿シート(13)の熱圧による溶着一体化の爾後に行うことが望ましいものである」ことからすると、引用発明3を本件補正発明の文言で言い換えれば、「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、化粧シートを、木質基材の表面に貼着させる」発明とも言える。

イ 引用発明1及び引用発明3は、共に建具の化粧板に関する技術分野に属することから、引用発明1の防湿シートと化粧シートを、引用発明3の順番に木質基材に貼着すること、つまり上記相違点1に係る本件補正発明の構成と成すことは、当業者ならば容易に成し得たことである。

(2)相違点2
ア 引用例2には、上記「3(2)カ」に記載した引用発明2が記載されている。
引用発明2の「防湿シート」は、「絵柄層11及び保護層12を有する」ので、本件補正発明の「化粧シート」に相当する。
また引用発明2の「真空蒸着法」と「プラズマ活性化化学反応蒸着法」が、本件補正発明の「蒸着法」に相当するので、引用発明2の「防湿層14は、無機酸化物や金属酸化物の無機材料を、真空蒸着法または、プラズマ活性化化学反応蒸着法等で合成樹脂フイルム15上へ薄膜形成を行うものである」ことは、引用発明2を本件補正発明の文言で言い換えれば、「防湿層が蒸着法により薄膜形成された」発明とも言える。

イ 引用発明1及び引用発明2は、共に建具の表面材に関する技術分野に属することから、引用発明1の化粧シートの防湿層を、引用発明2の蒸着法により薄膜形成されるものに替えること、つまり上記相違点2に係る本件補正発明の構成と成すことは、当業者ならば容易に成し得たことである。

(3)まとめ
上記(1)ないし(2)のとおり、本件補正発明は、当業者が引用発明1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記「第2〔理由〕3」の(2)及び(3)に記載したとおりである。

3 対比
そこで、本願発明と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「木質基材20」は本願発明の「木質基材」に相当し、同じく「絵柄層11及び保護層12のない防湿シート」は「防湿シート」に、「絵柄層11及び保護層12を有する防湿シート」は「化粧シート」に、「室内扉、キッチン扉、収納扉、襖などに用いられる防湿化粧板」は「建具用表面材」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明2の「防湿シート」は、「絵柄層11及び保護層12」の有る無しで2種類存在し、その絵柄層11の機能を考慮すれば、「絵柄層11及び保護層12を有する防湿シート」が、「木質基材20」の表面に貼着され、「絵柄層11及び保護層12のない防湿シート」が、「木質基材20」の裏面に貼着されることは、当業者にとって自明である。

ウ 引用発明2の「防湿層14は、」「真空蒸着法または、プラズマ活性化化学反応蒸着法」で「薄膜形成を行うものである」ことは、本願発明の「防湿層が蒸着法により薄膜形成され」ることに相当する。
そうすると、引用発明2の「紙基材10の片面に絵柄層11及び保護層12を形成し、該基材10のもう一方の面上に、接着樹脂層13と無機物質を含む防湿層14と合成樹脂フィルム15と接着樹脂層16と紙層17を設けてなる」「防湿シート」は、本願発明の「防湿層が蒸着法により薄膜形成された化粧シート」に相当する。

エ 引用発明2の「紙基材10の片面に絵柄層11及び保護層12を形成し、該基材10のもう一方の面上に、接着樹脂層13と無機物質を含む防湿層14と合成樹脂フィルム15と接着樹脂層16と紙層17を設けてなる」「防湿シート」は、絵柄層11の機能を考慮すれば、「絵柄層11」側が表側であって、「防湿層14」側が貼着される側にあることは、当業者にとって自明である。
とすれば、当該「防湿シート」において、「防湿層14」は、「絵柄層11」側からみて「木質基材20」側に挟まれていることになるので、引用発明2の「防湿層14」が「木質基材20」側に挟まれた配置は、本願発明の「防湿層を木質基材との間に挟む」ことに相当する。

オ 引用発明2は「防湿化粧板」という物の発明であるが、その構成は防湿化粧板の製造手順も含まれることから、「製造方法」の発明と言うこともできる。

カ 上記アないしオからみて、本願発明と引用発明2とは、
「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させ、防湿層が蒸着法により薄膜形成された化粧シートを、該防湿層を該木質基材との間に挟むようにして、該木質基材の表面に貼着させる建具用表面材の製造方法。」で一致し、以下の点で相違している。

相違点3:本願発明は、木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、化粧シートを木質基材の表面に貼着させるのに対し、引用発明2は、防湿シートと化粧シートを木質基材に貼着させる順番が不明な点。

4 判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点3
ア 引用例3には、上記「3(3)オ」に記載した引用発明3が記載されている。
引用発明3の「平板基材(10)」は、本願発明の「木質基材」に相当し、さらに引用発明3は「平板基材(10)の表面に対する化粧シート(11)のラミネートは、上記防湿シート(13)の熱圧による溶着一体化の爾後に行うことが望ましいものである」ことからすると、引用発明3を本願発明の文言で言い換えれば、「木質基材の裏面に防湿シートを貼着させた後、化粧シートを、木質基材の表面に貼着させる」発明とも言える。

イ 引用発明2及び引用発明3は、共に建具の化粧板に関する技術分野に属することから、引用発明2の防湿シートと化粧シートを、引用発明3の順番に木質基材に貼着すること、つまり上記相違点3に係る本願発明の構成と成すことは、当業者ならば容易に成し得たことである。

以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明2及び3に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


5 むすび
以上のとおり、本願発明は特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-06-05 
結審通知日 2014-06-10 
審決日 2014-06-24 
出願番号 特願2008-163614(P2008-163614)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E06B)
P 1 8・ 575- Z (E06B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森次 顕  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 前川 慎喜
住田 秀弘
発明の名称 建具用表面材の製造方法  
代理人 中井 宏行  
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