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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1290469 |
審判番号 | 不服2013-16337 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-08-23 |
確定日 | 2014-08-07 |
事件の表示 | 特願2009- 33809「太陽電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 9月 2日出願公開、特開2010-192572〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成21年2月17日の出願であって、平成24年2月27日付けで拒絶理由が通知され、同年4月26日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、同年11月20日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成25年1月23日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたが、その後、同年5月31日付けで平成25年1月23日付けの手続補正の補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。本件は、これに対して、平成25年8月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 その後、平成25年11月11日付けで、審判請求人に前置報告の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年12月4日付けで回答書が提出された。 第2 平成25年8月23日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成25年8月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の請求項に記載された発明 平成25年8月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された。 よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載された、次のとおりのものである。 「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セルであって、上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する太陽電池モジュールであって、上記複数枚の太陽電池セルが外周フレーム内に少なくとも4列配列されると共に、上記太陽電池セルBがそれらの列のモジュール端部となる位置に配置され、これらの太陽電池セルが直列にタブ線で接続され、この接続の終端それぞれがモジュール端部に配置された上記太陽電池セルBの電極から隣の列の太陽電池セルBとの間に引き出されてなり、上記外周フレームとモジュール端部の太陽電池セルとの間隔が0.1?1.0mmであり、太陽電池セル同士の間隔が3.0?5.0mmである太陽電池モジュール。」 そこで、上記本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するか否か)について、以下に検討する。 2.引用刊行物 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2004-221211号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) (a)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は複数の太陽電池素子を直並列に接続するための受光面側バスバー電極と非受光面側バスバー電極とを備えた太陽電池素子とそれを用いた太陽電池モジュールに関する。 【0002】 【従来の技術】 太陽電池素子は、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため太陽電池素子は物理的衝撃に弱く、また、野外に太陽電池を取り付けた場合、雨などからこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため複数の太陽電池素子を接続して透光性基板とエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)などを主成分とする充填材で封入して太陽電池モジュールを作成することが通常行われている。 【0003】 この複数の太陽電池素子を接続する方法は、銅箔などにハンダコートを施した接続タブをハンダコートした太陽電池素子の受光面側電極上に重畳した状態でハンダの溶融温度以上の温度に加熱し、接続タブのハンダと電極のハンダとを溶着することで行っている。 【0004】 図5は接続タブで直列接続した2枚の太陽電池素子の受光面側をみた図である。図5において、1、2は太陽電池素子、3、4は表面側バスバー電極、5、6は接続タブ、7は表面側フィンガー電極を示す。 【0005】 太陽電池素子1、2は次のような構造になっている。厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することよって高濃度P型不純物拡散層を形成する。また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成する。 【0006】 電極は受光面側、非受光面側ともにバスバー電極とフィンガー電極がある。例えば受光面では、光生成キャリヤを収集するために、フィンガー電極7は幅0.2mm程度で、太陽電池素子の辺に平行に多数本形成される。また、バスバー電極3、4は収集されたキャリヤを集電して接続タブを取り付けるために、幅2mm程度で、フィンガー電極7と垂直に交わるように2?3本形成される。 【0007】 また、受光面側バスバー電極3、4と非受光面側バスバー電極(不図示)は同じ方向(平行)に設けられる。最後に電極部の保護と接続タブを取り付けやすくするために、全ての電極3、4、7の表面にハンダコートする。このようにして作られた太陽電池素子は受光面側がマイナス側となり、裏面がプラス側となる。 【0008】 接続タブ5、6は、厚さ0.1ミリ程度、幅2mm程度の銅箔の全面をハンダコートしたものを所定の長さに切断して用いる。 【0009】 図6は従来の太陽電池モジュールを示す図であり、8枚の太陽電池素子8を2列にして、直列接続した状態を非受光面側からみた図である。図6において、8は太陽電池素子、9は太陽電池素子に接続された接続タブ、10は直列接続された4枚の太陽電池素子の2列をさらに直列に接続するするための横配線である。 【0010】 図7は横配線10の部分を拡大して示す図である。図7において、8は太陽電池素子、10は横配線、11は太陽電池素子の表面に接続されている接続タブ、12は太陽電池素子の裏面に接続されている接続タブを示す。 【0011】 横配線10は接続タブ11、12と同じようにハンダコートされた銅箔を使用する。この横配線10に太陽電池素子の表面に接続されている接続タブ11と太陽電池素子の裏面に接続されている接続タブ12を重ね合わせ、それぞれの表面にあるハンダを溶融してハンダ付けすることで接続する(例えば特許文献1参照)。 【0012】 この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のようなものがある。 【0013】 【特許文献1】 特開2002-319691号公報 【0014】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、従来の太陽電池素子の接続方法では、図6に示すように太陽電池モジュールの端部に横配線10があるために、太陽電池素子8を必要枚数配置した他に横配線10を行うべき部分が必要となり、太陽電池モジュールのサイズが必要以上に大きくなるという問題があった。 【0015】 このため、太陽電池モジュールの発電効率が低下し、ガラスなどの部材も大きなものが必要となるためにコストアップにつながり、さらにその重量も増加するという問題があった。 【0016】 また、横配線10があると横配線10の金属で光が反射し、太陽電池モジュールの外観を損ねるという問題もあった。 【0017】 本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、横配線をなくすことによって太陽電池モジュールの小型化を図って発電効率を向上させると共に、コストダウンや重量の低減を図り、さらに見栄えもよくした太陽電池モジュールを提供することを目的とする。 【0018】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、請求項1に太陽電池素子では、受光面と非受光面に接続タブを電気的に接続するためのバスバー電極を設けた太陽電池素子において、前記受光面側バスバー電極と前記非受光面側バスバー電極とが互いに垂直方向に設けられていることを特徴とする。 【0019】 また、請求項2に係る太陽電池素子では、受光面と非受光面に接続タブを電気的に接続するためのバスバー電極を設けた太陽電池素子において、前記非受光面側バスバー電極が前記受光面側バスバー電極と平行方向と垂直方向とに設けられていることを特徴とする。 【0020】 さらに、請求項3に係る太陽電池モジュールでは、透光性基板と裏面材との間に、接続タブで接続された複数の太陽電池素子を充填材で封入した太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池モジュールの端部に配置された太陽電池素子の受光面側バスバー電極と非受光面側バスバー電極とが互いに垂直方向に設けられ、この太陽電池素子の垂直方向に設けられた受光面側バスバー電極もしくは非受光面側バスバー電極を隣接する太陽電池素子の非受光面側バスバー電極もしくは受光面側バスバー電極に接続タブで接続したことを特徴とする。 【0021】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を添付図面を用いて説明する。 本発明の太陽電池素子も構成自体は従来の太陽電池素子と略同じである。すなわち、厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することよって高濃度P型不純物拡散層を形成する。また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成する。 【0022】 電極は受光面側、非受光面側ともバスバー電極とフィンガー電極がある。例えば受光面では、フィンガー電極7は幅0.2mm程度で、太陽電池素子の辺に平行に多数本形成する。また、バスバー電極3、4は収集されたキャリヤを集電し、接続タブを取り付けるために幅2mm程度で、フィンガー電極7と垂直に交わるように2?3本形成する。 【0023】 また、複数の太陽電池素子は、銅箔などにハンダコートした接続タブを太陽電池素子の表面にあるハンダコートした電極上に重畳した状態でハンダの溶融温度以上の温度に加熱して接続タブのハンダと電極のハンダとを溶着することで接続される。このようにして複数の太陽電池素子を接続し、透光性基板とエチレンビニルアセテート共重合体(EVA)などを主成分とする充填材で封入して太陽電池モジュールを作成する。 【0024】 図1は本発明に係る太陽電池素子を2列にして直列接続した状態を非受光面側からみた図である。図2は図1の上部の隣接する2枚の太陽電池素子の表面側の接続状態を示す図である。図3は図2に示した2枚の太陽電池素子の裏面の状態を示す図である。図1、図2、図3において、13は太陽電池素子、14は接続タブ、15は非受光面側バスバー電極、16は受光面側バスバー電極を示す。 【0025】 図1に示すように、一番上にある2枚の太陽電池素子13a、13bを除いた6枚の太陽電池素子13は横方向の太陽電池素子13との接続はなく上下方向のみの太陽電池素子13との接続になる。このため、この6枚の太陽電池素子13の接続では受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15の方向は同じ(平行な)ものが必要である。 【0026】 しかし、図1の一番上にある2枚の太陽電池素子13a、13bは横方向にある太陽電池素子13a、13bとの接続が必要である。横方向にある太陽電池素子13a、13bとの接続において、図2、図3に示すように太陽電池素子13a、13bの受光面側バスバー電極16と垂直方向の非受光面側バスバー電極15aに接続タブ14を接続することにより行う。 【0027】 接続の方法は、太陽電池素子13の受光面側バスバー電極16に接続タブ14を重ねて置いて所定温度に昇温したハンダゴテ等で接続タブ14を押さえながら両者の表面にあるハンダを溶融して接続する。さらに、この接続タブ14の他の端部を接続しようとするもう一方の太陽電池素子13aの非受光面側バスバー電極15aに重ねて置いて同じようにハンダを溶融してハンダ付けすることで接続する。 【0028】 図4は本発明の他の実施形態を示す図であり、太陽電池素子の裏面側からみた図である。図4において、17(17a、17b)は太陽電池素子、18は非受光面側バスバー電極、19は接続タブを示す。 【0029】 図4に示すように、太陽電池素子17aの非受光面側バスバー電極18は、図3のような井の字状ではなく、受光面側バスバー電極(不図示)と垂直なもののみになっている。これを太陽電池モジュールの横配線の必要な部分の太陽電池素子17だけに使用する。他の部分には通常の受光面側バスバー電極と非受光面側バスバー電極18の方向が平行なものを用いる。 【0030】 この横方向にある太陽電池素子17bとの接続において、図4に示すように、太陽電池素子17aの受光面側バスバー電極と隣接する太陽電池素子17bの垂直方向の非受光面側バスバー電極18に接続タブ19を接続することで行う。 【0031】 これにより非受光面側バスバー電極18の電極材料が少なくて済むという利点があるが、この裏面電極18では横方向の接続のみしか使用できないという欠点もある。 【0032】 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加えることができる。例えば太陽電池素子は単結晶や多結晶シリコンなどの結晶系太陽電池に限定されるものではなく、薄膜系太陽電池素子などでも複数の太陽電池素子を接続タブより接続する太陽電池モジュールであれば適用される。 【0033】 【発明の効果】 以上のように、本発明に係る太陽電池素子によれば、非受光面側バスバー電極が受光面側バスバー電極と垂直方向に設けられていることから、太陽電池素子の配列の外側で横配線することなく、太陽電池素子を接続することができ、太陽電池モジュールを小型化できる。これによって発電効率を向上させると共に、太陽電池モジュールに必要なガラスや充填材、裏面材、枠等の部材を小さく、または少なくすることができ、安価な太陽電池モジュールとなり、さらにその重量も低減できる。また、太陽電池モジュールの見栄えも改善できる。 【0034】 また、本発明に係る太陽電池モジュールによれば、隣接する太陽電池素子同士を垂直方向に設けられた受光面側バスバー電極と非受光面側バスバー電極を接続タブで接続することから、従来の横配線をなくすことができ、太陽電池モジュールを小型化できる。これによって発電効率を向上させると共に太陽電池モジュールに必要なガラスや充填材、裏面材、枠等の部材を小さく、または少なくすることができ、安価な太陽電池モジュールとなり、さらにその重量も低減できる。また、横配線がなくなったことにより、太陽電池モジュールの見栄えも改善できる。」 (b)「 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7】 」 上記記載事項(a)の【0024】及び上記記載事項(b)の図1の記載から、太陽電池モジュールは、8枚の「太陽電池素子13」を2列にして直列接続したものであることは明らかである。 すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することによって高濃度P型不純物拡散層を形成し、また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成した太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールにおいて、 太陽電池素子13は、非受光面側バスバー電極15と受光面側バスバー電極16を備え、非受光面側バスバー電極15は井の字状であり、 太陽電池モジュールは、8枚の太陽電池素子13を2列にして直列接続したものであって、 太陽電池素子13の接続は、受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15に接続タブ14を接続することにより行う 太陽電池モジュール。」 (2)本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2008-252051号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) (a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、赤外線、可視光、短波長の電磁波に感応する半導体装置に関し、特に、これらの輻射線エネルギーを電気的エネルギーに変換する太陽電池モジュールに関する。 【背景技術】 【0002】 太陽電池は、クリーンで無尽蔵なエネルギー源である太陽からの光を直接電気に変換できることから、環境に優しい新しいエネルギー源として注目されている。 【0003】 このような太陽電池を電力源(エネルギー源)として用いる場合、太陽電池セル1個あたりの出力は高々数W程度であることから、太陽電池セルごとに用いるのではなく、次に示すようにして、複数の太陽電池セルを行列状に配列し、これらを電気的に直列に接続することで出力を100W以上に高めた太陽電池モジュールとして用いられるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。 【0004】 先ず、所定数の太陽電池セルを直線状に並べ、これらを配線などで直列に接続してストリングを複数形成する。なお、複数の太陽電池セルの異なる極性を交互に配線で接続することで、複数の太陽電池セルが直列に接続される。そして、複数のストリングを短手方向に並べ、隣接するストリングの端部に位置する太陽電池セルどうしを直列に接続する。このように、ストリングの端部を交互に接続することにより、行列状に配列した複数の太陽電池セルを直列に接続することができる。 【0005】 しかし、太陽電池セルの表面及び裏面にそれぞれ正極及び負極が形成されているタイプの太陽電池セルを、表面側にすべて同じ極性がくるように複数配置した場合、隣接するストリングの端部において夫々のストリングの太陽電池セルの表面及び裏面を接続する必要が生じる。この表裏面の接続には、ストリングの端部の外側のセル領域外に配置された平板状の接続部材を用いる。この平板状の接続部材は、ストリングの端部の外側に、発電に寄与しない無効領域を形成してしまい、発電効率が低下する。」 (b)「【0031】 以上説明した本発明の第1の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。 【0032】 第1の太陽電池群G_(1)の一端に位置する太陽電池セルC_(11)(第1の太陽電池セル)と第2の太陽電池群G_(2)の一端に位置する太陽電池セルC_(21)(第2の太陽電池セル)は、互いに異なる極性の電極が同一方向を向くように配置される。接続部材12は、太陽電池セルC_(11)(第1の太陽電池セル)と太陽電池セルC_(21)(第2の太陽電池セル)とを電気的に直列に接続する。よって、接続部材12は、太陽電池セルC_(11)(第1の太陽電池セル)及び太陽電池セルC_(21)(第2の太陽電池セル)の同一方向に向いた電極どうしをセル領域内で接続することができる。これにより、太陽電池セルC_(11)(第1の太陽電池セル)の表面/裏面と太陽電池セルC_(21)(第2の太陽電池セル)の裏面/表面とを接続する必要がなくなり、接続部材12を第1の太陽電池群G_(1)及び第2の太陽電池群G_(2)の外側のセル領域外に配置する必要もなくなる。したがって、接続部材12による無効領域が削減され、太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合が増大し、発電効率が良くなる。また同時に、太陽電池モジュールを構成する複数の太陽電池セルは、第1及び第2の主面にそれぞれ異なる極性の電極が設けられているので、バックコンタクト型の太陽電池セルに比べて電極構造が複雑ではなく、太陽電池セルの生産性及び歩留まりは高い。よって、本発明の第1の実施の形態によれば、発電効率が良く且つ生産歩留まりが高い太陽電池モジュールを提供することができる。」 (c)「【0064】 以上説明した本発明の第2の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。 【0065】 図4に示したように、接続部材12が接続する太陽電池セルC_(0501)、C_(0601)は、互いに異なる極性の電極が同一方向を向くように配置される。よって、接続部材12は、太陽電池モジュールの裏面側に表出した太陽電池セルC_(0501)、C_(0601)の電極どうしを接続することになる。よって、接続部材12は、太陽電池セルC_(0501)、C_(0601)の同一方向に向いた電極どうしをセル領域内で接続することができる。これにより、太陽電池セルC_(0501)の裏面/表面とC_(0601)の表面/裏面とを接続する必要がなくなり、接続部材12をセル領域外に配置する必要もなくなる。したがって、接続部材12による無効領域が削減され、太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合が増大し、発電効率が良くなる。また同時に、太陽電池モジュールを構成する複数の太陽電池セルは、第1及び第2の主面にそれぞれ異なる極性の電極が設けられているので、バックコンタクト型の太陽電池セルに比べて電極構造が複雑ではなく、太陽電池セルの生産性及び歩留まりは高い。よって、本発明の第2の実施の形態によれば、発電効率が良く且つ生産歩留まりが高い太陽電池モジュールを提供することができる。」 (d)「【0071】 (第3の実施の形態) 上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、主に、複数の太陽電池群どうし及び複数の太陽電池どうしを接続するための配線構成について説明した。 【0072】 本実施形態では、太陽電池モジュールが発電した電力を外部へ取出すための取出し電極の配置について説明する。なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、本実施形態で説明する取出し電極を、出力端子T1及び出力端子T2として記載している。 【0073】 (太陽電池モジュールの概略構成) 以下において、本実施形態に係る太陽電池モジュールの構成について、図10乃至図12を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の構成を示す図である。図11は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の表面側の構成を示す平面図である。図12は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の裏面側の構成を示す背面図である。 【0074】 図10に示すように、太陽電池モジュール100は、電気的に直列接続された第1乃至第4の太陽電池群G_(1)?G_(4)と、タブ配線11と、接続部材12と、表面側保護部材101と、裏面側保護部材102と、封止材103と、フレーム104と、取出し電極105と、端子ボックス106とを備える。 【0075】 タブ配線11は、m個の太陽電池セルC_(41)?C_(4m)を電気的に直列に接続する。タブ配線11は、隣接する2つの太陽電池セルの同じ側の面に表出した電極どうしを接続することにより、隣接する2つの太陽電池セルを電気的に直列に接続する。m-1個のタブ配線11は、それぞれ、太陽電池セルC_(41)の表面側に表出した正極と太陽電池セルC_(42)の表面側に表出した負極の間を接続し、太陽電池セルC_(42)の裏面側に表出した正極と太陽電池セルC_(43)の裏面側に表出した負極の間を接続し、・・・、太陽電池セルC_(4m-1)の裏面側に表出した正極と太陽電池セルC_(4m)の裏面側に表出した負極の間を接続する。タブ配線11は、薄板状或いは縒り線状に成型された銅等の導電性材料によって形成することができる。 【0076】 接続部材12は、Y方向に隣接する2つの太陽電池群G_(1)?G_(4)の間を電気的に直列に接続する。接続部材12の数はn-1個である。n-1個の接続部材12は、それぞれ、Y方向に隣接する2つの太陽電池群G_(1)?G_(4)の一端に位置する太陽電池セルどうしを電気的に直列に接続する。Y方向に隣接する2つの太陽電池群G_(1)?G_(n)の一端に位置する太陽電池セルは、互いに異なる極性の電極が同一方向を向くように配置されるので、接続部材12は、太陽電池モジュールの裏面側或いは表面側に表出した電極どうしを接続することになる。図12の例では、太陽電池モジュール100の裏面側に表出した電極どうしを接続した場合について示している。接続部材12は、それぞれ、太陽電池セルC_(11)と太陽電池セルC_(21)の間、太陽電池セルC_(2m)と太陽電池セルC_(3m)の間、太陽電池セルC_(31)と太陽電池セルC_(41)の間を直列に接続している。このようにして、接続部材12は、第1乃至第4の太陽電池群G_(1)?G_(4)を電気的に直列に接続する。 【0077】 表面側保護部材101は、光が入射する太陽電池モジュール100の表面側に配置されている。表面側保護部材101は、ガラスなどによって構成され、太陽電池モジュール100を表面側から保護する。 【0078】 裏面側保護部材102は、太陽電池モジュール100の表面に対向する裏面側に配置されている。裏面側保護部材102は、耐候性を有するフィルムであり、太陽電池モジュール100を裏面側から保護する。 【0079】 封止材103は、EVA(エチレンビニールアセテイト)などによって構成され、複数の太陽電池群G_(1)?G_(4)をタブ配線11と、接続部材12と、表面側保護部材101と裏面側保護部材102との間で封止する。複数の太陽電池群G_(1)?G_(4)を構成する複数の太陽電池セルにおいて発電された電力を取出すための電極である。封止材103は、複数の太陽電池群G_(1)?G_(4)の表面に接する表面側封止材103aと、裏面に接する裏面側封止材103bとを有する。 【0080】 フレーム104は、アルミニウムなどによって構成された外枠である。なお、フレーム104は、必要に応じて設ければよい。 【0081】 取出し電極105は、太陽電池モジュールが発電した電力を外部へ取出すための電極である。取出し電極105は、第1取出し電極105aと第2取出し電極105bとを含む。 【0082】 第1取出し電極105aは、第1の太陽電池群G_(1)の一端に位置する太陽電池セルC_(1m)の裏面に表出した電極に接続されている。即ち、第1取出し電極105aは、電気的に直列又は並列接続された第1乃至第4の太陽電池群G_(1)?G_(4)の一端に位置する太陽電池セルC_(1m)に接続される。第1取出し電極105aは、図12に示すように、第2の太陽電池群G_(2)の一端に位置する太陽電池セルC_(2m)の裏面側に延びている。また、第1取出し電極105aは、第3の太陽電池群G_(3)の一端に位置する太陽電池セルC_(3m)と太陽電池セルC_(2m)との間から、太陽電池モジュール100の背面に配置された端子ボックス106に連結されている。 【0083】 同様に、第2取出し電極105bは、第4の太陽電池群G_(4)の一端に位置する太陽電池セルC_(4m)の裏面に表出した電極に接続されている。即ち、第2取出し電極105bは、電気的に直列又は並列接続された第1乃至第4の太陽電池群G_(1)?G_(4)の他端に位置する太陽電池セルに接続される。第2取出し電極105bは、図12に示すように、第3の太陽電池群G_(3)の一端に位置する太陽電池セルC_(3m)の裏面側に延びている。また、第2取出し電極105bは、太陽電池セルC_(2m)と太陽電池セルC_(3m)との間から、太陽電池モジュール100の背面に配置された端子ボックス106に連結されている。 【0084】 第1取出し電極105a及び第2取出し電極105bは、薄板状或いは縒り線状に成型された銅等の導電性材料によって形成することができる。また、図12において、第1取出し電極105a及び第2取出し電極105bの薄墨を施した部分には、太陽電池セルC_(2m)及び太陽電池セルC_(3m)との絶縁性を確実にするために絶縁加工を施すことが望ましい。 【0085】 図13は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの背面図である。図13に示すように、太陽電池モジュール100の背面には、1つの端子ボックス106が配設されている。端子ボックス106は、太陽電池モジュール100の内部から引き出された第1取出し電極105aの一端及び第2取出し電極の一端を格納する。端子ボックス106は、太陽電池モジュールの背面の中央部分に設けることにより、省スペース化が図られる。 【0086】 (取出し電極の配置) 次に、取出し電極105と封止材103との配置関係について説明する。図14は、太陽電池セルC_(1m)乃至C_(4m)の側方視において、太陽電池モジュール100をモジュール化する前の状態を示す分解図である。 【0087】 図14に示すように、太陽電池セルC_(1m)の裏面側において、第1取出し電極105aと裏面側封止材103bとは記載の順番に従って配置されている。第1取出し電極105aは、太陽電池セルC_(1m)と太陽電池セルC_(2m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されている。従って、太陽電池セルC_(2m)の裏面側において、裏面側封止材103bと第1取出し電極105aとは記載の順番に従って配置されている。即ち、太陽電池セルC_(2m)の裏面と第1取出し電極105aとの間には、裏面側封止材103bが配設されている。 【0088】 同様に、太陽電池セルC_(4m)の裏面側において、第2取出し電極105bと裏面側封止材103bとは記載の順番に従って配置されている。第2取出し電極105bは、太陽電池セルC_(4m)と太陽電池セルC_(3m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されている。従って、太陽電池セルC_(3m)の裏面側において、裏面側封止材103bと第2取出し電極105bとは記載の順番に従って配置されている。即ち、太陽電池セルC_(3m)の裏面と第2取出し電極105bとの間には、裏面側封止材103bが配設されている。 【0089】 なお、図14に示すように、本実施形態に係る太陽電池モジュール100は、第1取出し電極105a及び第2取出し電極105bと裏面側保護部材102との間に配置された追加封止材103cをさらに備えている。 【0090】 図15は、第1取出し電極105a及び第2取出し電極105bが、裏面側封止材103bの裏面側に挿通された状態を示す平面図である。図15において、第1取出し電極105a及び第2取出し電極105bのうち実線で表された部分は、裏面側封止材103bの表面側に配設されていることを示し、破線で表された部分は、裏面側封止材103bの裏面側に配設されていることを示している。」 (e)「 【図10】 【図11】 【図12】 【図13】 【図14】 【図15】 」 上記記載事項(e)の図10、11、12の記載から、「太陽電池モジュール100」は、「フレーム104」内に、複数枚の「太陽電池セルC_(11)?C_(4m)」を4列配列して形成したものであることが読み取れる。 上記記載事項(d)の段落【0074】?【0076】、図11、12の記載から、複数枚の「太陽電池セルC_(11)?C_(4m)」は、「太陽電池セルC_(11)」から「太陽電池セルC_(4m)」まで直列接続されていることは明らかである。 すると、引用文献2には、 複数の太陽電池群どうしを接続するための配線構成を工夫することにより、接続部材を太陽電池群の外側のセル領域外に配置する必要がなくなり、接続部材による無効領域が削減され、太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合が増大し、発電効率が良くなるという技術事項に加えて、太陽電池モジュールが発電した電力を外部へ取出すための取出し電極の配置についても、 フレーム104内に、複数枚の太陽電池セルC_(11)?C_(4m)を4列配列して形成した太陽電池モジュール100において、 複数枚の太陽電池セルC_(11)?C_(4m)を直列接続し、その直列接続の一端の太陽電池セルC_(1m)、他端の太陽電池セルC_(4m)に、それぞれ、第1取出し電極105a、第2取出し電極105bを接続し、 第1取出し電極105aは、太陽電池セルC_(1m)と太陽電池セルC_(2m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されており、同様に、第2取出し電極105bは、太陽電池セルC_(4m)と太陽電池セルC_(3m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されている構成により、第1取出し電極105a、第2取出し電極105bのそれぞれの一端を格納する端子ボックス106を太陽電池モジュールの背面の中央部分に設けられ、省スペース化を図ることができるという技術事項が開示されていると認められる。 3.対比 (1)引用発明と本願補正発明との対比 (a)引用発明の「厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することによって高濃度P型不純物拡散層を形成し、また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成した太陽電池素子」において、「受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで」「形成した」「電極」が、互いに異なる極性を有する電極であることは当業者には明らかであるから、 引用発明の「厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することによって高濃度P型不純物拡散層を形成し、また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成した太陽電池素子」は、 本願補正発明の「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セル」に相当する。 (b)引用発明の「太陽電池素子13は、非受光面側バスバー電極15と受光面側バスバー電極16を備え、非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成について、引用文献1の図2、3を参照すれば、「非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成は、「非受光面側バスバー電極15」は「受光面側バスバー電極16」と長手方向に互いに直交かつ平行になるように形成されてなるものであることは明らかであるから、 引用発明の「太陽電池素子13は、非受光面側バスバー電極15と受光面側バスバー電極16を備え、非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成は、 本願補正発明の「上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セルB」に相当する。 (c)引用発明の「太陽電池モジュールは、8枚の太陽電池素子13を2列にして直列接続したものであって、太陽電池素子13の接続は、受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15に接続タブ14を接続することにより行う」構成では、引用発明の「太陽電池モジュール」を構成する「太陽電池素子」は「太陽電池素子13」のみであるから、それぞれの列のモジュール端部となる位置にも「太陽電池素子13」が配置されることは明らかであり、 また、引用発明の「8枚の太陽電池素子13を2列にし」た構成と、本願補正発明の「太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セル」「が少なくとも4列配列された」構成とは、「太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セル」「が複数列配列された」構成で一致するから、 引用発明の「太陽電池モジュールは、8枚の太陽電池素子13を2列にして直列接続したものであって、太陽電池素子13の接続は、受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15に接続タブ14を接続することにより行う」構成と、 本願補正発明の「太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する太陽電池モジュールであって、上記複数枚の太陽電池セルが外周フレーム内に少なくとも4列配列されると共に、上記太陽電池セルBがそれらの列のモジュール端部となる位置に配置され、これらの太陽電池セルが直列にタブ線で接続され」る構成は、 「太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セルを具備する太陽電池モジュールであって、上記複数枚の太陽電池セルが複数列配列されると共に、上記太陽電池セルBがそれらの列のモジュール端部となる位置に配置され、これらの太陽電池セルが直列にタブ線で接続され」る構成で一致する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セルであって、上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セルBを少なくとも8枚と、上記太陽電池セルBを含む複数枚の太陽電池セルを具備する太陽電池モジュールであって、上記複数枚の太陽電池セルが複数列配列されると共に、上記太陽電池セルBがそれらの列のモジュール端部となる位置に配置され、これらの太陽電池セルが直列にタブ線で接続された太陽電池モジュール。」 で一致し、次の各点で相違する。 (3)相違点 (イ)本願補正発明では、「複数枚の太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備」し、「上記複数枚の太陽電池セルが外周フレーム内に少なくとも4列配列されると共に、」「この接続の終端それぞれがモジュール端部に配置された上記太陽電池セルBの電極から隣の列の太陽電池セルBとの間に引き出されてな」るのに対して、引用発明では、「太陽電池素子13」を支持する外周フレームを具備するか否かが明らかでなく、また、「太陽電池素子13」は「2列」配列されているのみであり、また、「太陽電池素子13」の「直列接続」の終端がどのような構成となっているのかが明らかでない点。 (ロ)本願補正発明では、「上記外周フレームとモジュール端部の太陽電池セルとの間隔が0.1?1.0mmであり、太陽電池セル同士の間隔が3.0?5.0mmである」のに対して、引用発明では、これらの寸法が明らかでない点。 4.判断 (1)相違点(イ)について 上記「2.」「(2)」に記載した、 「フレーム104内に、複数枚の太陽電池セルC_(11)?C_(4m)を4列配列して形成した太陽電池モジュール100において、 複数枚の太陽電池セルC_(11)?C_(4m)を直列接続し、その直列接続の一端の太陽電池セルC_(1m)、他端の太陽電池セルC_(4m)に、それぞれ、第1取出し電極105a、第2取出し電極105bを接続し、 第1取出し電極105aは、太陽電池セルC_(1m)と太陽電池セルC_(2m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されており、同様に、第2取出し電極105bは、太陽電池セルC_(4m)と太陽電池セルC_(3m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されている構成」(以下「引用文献2の構成」という。)において、 「フレーム104内に、複数枚の太陽電池セルC_(11)?C_(4m)を4列配列して形成した太陽電池モジュール100」は、本願補正発明の「複数枚の太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する太陽電池モジュールであって、上記複数枚の太陽電池セルが外周フレーム内に少なくとも4列配列される」構成に相当する。 また、引用文献2の構成の「太陽電池セルC_(1m)と太陽電池セルC_(2m)」、「太陽電池セルC_(4m)と太陽電池セルC_(3m)」は、互いに隣の列にある太陽電池セルである(引用文献2の図11、12参照)から、 引用文献2の構成の「その直列接続の一端の太陽電池セルC_(1m)、他端の太陽電池セルC_(4m)に、それぞれ、第1取出し電極105a、第2取出し電極105bを接続し、第1取出し電極105aは、太陽電池セルC_(1m)と太陽電池セルC_(2m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されており、同様に、第2取出し電極105bは、太陽電池セルC_(4m)と太陽電池セルC_(3m)との間で裏面側封止材103bに挿通され、裏面側に引き出されている構成」は、本願補正発明の「この接続の終端それぞれがモジュール端部に配置された上記太陽電池セルBの電極から隣の列の太陽電池セルBとの間に引き出されてな」る構成に相当する。 そして、引用文献1には、引用発明により、「従来の横配線をなくすことができ、太陽電池モジュールを小型化でき、これによって発電効率を向上させる」(段落【0034】)という効果を得るという技術事項が開示されており、また、引用文献2には、上記「2.」「(2)」に記載したとおり、複数の太陽電池群どうしを接続するための配線構成を工夫することにより、接続部材を太陽電池群の外側のセル領域外に配置する必要がなくなり、接続部材による無効領域が削減され、太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合が増大し、発電効率が良くなるという効果を得るとともに、太陽電池モジュールが発電した電力を外部へ取出すための取出し電極の配置についても、引用文献2の構成のように工夫することにより、省スペース化を図ることができるという効果を得るという技術事項が開示されていることから、引用発明においても、「従来の横配線」の問題に加えて、太陽電池モジュールからの取出し電極の配置についても考慮して、省スペース化により発電効率をさらに向上させるために、引用発明に引用文献2の構成を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、引用発明に、引用文献2の構成を適用して、上記相違点(イ)に係る発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。 (2)相違点(ロ)について 一般に、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池モジュール端部と外周フレームとの間隔、太陽電池セル間の間隔は、タブ線の配置や太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合等を考慮して、間隔が無駄に大きくならないよう、適宜設計し得る事項であり、また、本願補正発明の「0.1?1.0mm」、「3.0?5.0mm」という数値に、上記設計時に考慮すべき事項以外の格別な技術的意味も見当たらないことを勘案すると、引用発明において、太陽電池モジュール端部と外周フレームとの間隔、太陽電池セル間の間隔を、それぞれ、「0.1?1.0mm」、「3.0?5.0mm」として、上記相違点(ロ)に係る発明特定事項を得ることは当業者が適宜なし得ることである。 (3)効果について 本願補正発明が奏し得る効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 (4)結論 本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5.小括 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成25年8月23日付けの手続補正は上記のとおり却下され、平成25年1月23日付けの手続補正は平成25年5月31日付けで補正の却下の決定がなされているので、本願の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年4月26日付けの手続補正により補正された、本願の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セルであって、上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セルを少なくとも1枚と、太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する太陽電池モジュールであって、上記太陽電池セルが少なくともモジュール端部に配置されてなり、上記外周フレームとモジュール端部の太陽電池セルとの間隔が0.1?3.0mmであり、太陽電池セル同士の間隔が3.0?5.0mmである太陽電池モジュール。」 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物、その記載内容、引用発明は、上記「第2」「[理由]」「2.」「(1)」に記載したとおりである。 3.対比 (1)引用発明と本願発明との対比 (a)引用発明の「厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することによって高濃度P型不純物拡散層を形成し、また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成した太陽電池素子」において、「受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで」「形成した」「電極」が、互いに異なる極性を有する電極であることは当業者には明らかであるから、 引用発明の「厚み0.3mm程度、大きさ150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコンのP型基板の一主面にリンなどのN型不純物を熱拡散させることでN型不純物拡散層を形成し、さらに他の主面にアルミニウムなどのP型不純物を焼成することによって高濃度P型不純物拡散層を形成し、また、受光面となるN型不純物拡散層の上に光の反射を抑えるため、窒化シリコンなどで反射防止膜を形成し、その後受光面側と非受光面側に銀ペーストをスクリーン印刷することで電極を形成した太陽電池素子」は、 本願発明の「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セル」に相当する。 (b)引用発明の「太陽電池素子13は、非受光面側バスバー電極15と受光面側バスバー電極16を備え、非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成について、引用文献1の図2、3を参照すれば、「非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成は、「非受光面側バスバー電極15」は「受光面側バスバー電極16」と長手方向に互いに直交かつ平行になるように形成されてなるものであることは明らかであるから、 引用発明の「太陽電池素子13は、非受光面側バスバー電極15と受光面側バスバー電極16を備え、非受光面側バスバー電極15は井の字状であ」る構成は、 本願発明の「上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セル」に相当する。 (c)引用発明の「太陽電池モジュールは、8枚の太陽電池素子13を2列にして直列接続したものであって、太陽電池素子13の接続は、受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15に接続タブ14を接続することにより行う」構成では、引用発明の「太陽電池モジュール」を構成する「太陽電池素子」は「太陽電池素子13」のみであるから、それぞれの列のモジュール端部となる位置にも「太陽電池素子13」が配置されることは明らかであり、 また、引用発明の「8枚の太陽電池素子13を2列にし」た構成と、本願発明の「太陽電池セルを少なくとも1枚」「具備する」構成に相当するから、 引用発明の「太陽電池モジュールは、8枚の太陽電池素子13を2列にして直列接続したものであって、太陽電池素子13の接続は、受光面側バスバー電極16と非受光面側バスバー電極15に接続タブ14を接続することにより行う」構成と、 本願発明の「太陽電池セルを少なくとも1枚と、太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する太陽電池モジュールであって、上記太陽電池セルが少なくともモジュール端部に配置されてな」る構成は、 「太陽電池セルを少なくとも1枚具備する太陽電池モジュールであって、上記太陽電池セルが少なくともモジュール端部に配置されてなる」構成で一致する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「受光面及び非受光面を有する半導体基板と、これら受光面及び非受光面上にそれぞれ形成され、互いに異なる極性を有する電極を具備する太陽電池セルであって、上記非受光面上の電極が、上記受光面上の電極と長手方向に互いに直交かつ平行になるよう形成されてなる太陽電池セルを少なくとも1枚具備する太陽電池モジュールであって、上記太陽電池セルが少なくともモジュール端部に配置されてなる太陽電池モジュール。」 で一致し、次の各点で相違する。 (3)相違点 (ハ)本願発明では、「太陽電池セルを支持する外周フレームとを具備する」のに対して、引用発明では、「太陽電池素子13」を支持する外周フレームを具備するか否かが明らかでない点。 (ニ)本願発明では、「上記外周フレームとモジュール端部の太陽電池セルとの間隔が0.1?3.0mmであり、太陽電池セル同士の間隔が3.0?5.0mmである」のに対して、引用発明では、これらの寸法が明らかでない点。 4.判断 (1)相違点(ハ)について 太陽電池セルを支持する外周フレームを具備する太陽電池モジュールは、引用文献2に記載されるように周知であるから、引用発明において、「太陽電池素子13」を支持する外周フレームを具備するよう構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 (2)相違点(ニ)について 一般に、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池モジュール端部と外周フレームとの間隔、太陽電池セル間の間隔は、タブ線の配置や太陽電池モジュール全体の面積に占めるセル面積の割合等を考慮して、間隔が無駄に大きくならないよう、適宜設計し得る事項であり、また、本願発明の「0.1?3.0mm」、「3.0?5.0mm」という数値に、上記設計時に考慮すべき事項以外の格別な技術的意味も見当たらないことを勘案すると、引用発明において、太陽電池モジュール端部と外周フレームとの間隔、太陽電池セル間の間隔を、それぞれ、「0.1?3.0mm」、「3.0?5.0mm」として、上記相違点(ニ)に係る発明特定事項を得ることは当業者が適宜なし得ることである。 (3)効果について 本願発明が奏し得る効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。 (4)結論 本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-06-12 |
結審通知日 | 2014-06-17 |
審決日 | 2014-06-24 |
出願番号 | 特願2009-33809(P2009-33809) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和田 将彦 |
特許庁審判長 |
横林 秀治郎 |
特許庁審判官 |
土屋 知久 伊藤 昌哉 |
発明の名称 | 太陽電池モジュール |
代理人 | 小林 克成 |
代理人 | 石川 武史 |
代理人 | 正木 克彦 |
代理人 | 重松 沙織 |
代理人 | 小島 隆司 |