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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q |
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管理番号 | 1290548 |
審判番号 | 不服2012-20287 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-15 |
確定日 | 2014-08-05 |
事件の表示 | 特願2009-150289「インターネットを利用した電子商取引における顧客アドレス情報管理システム及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月12日出願公開、特開2010- 33558〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成21年6月24日(パリ条約による優先権主張、2008年7月29日、大韓民国)の出願であって、平成23年6月27日付けの拒絶理由通知に応答して、平成23年11月4日付けで意見書、手続補正書が提出されたが、平成24年6月8日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成24年10月15日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 そして、当審から平成25年6月11日付けで拒絶理由が通知され、平成25年9月11日付けで意見書、手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本願請求項1に係る発明は、平成25年9月11日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。なお、下線は、補正箇所を示す。) 「【請求項1】 顧客別固有アドレス番号のみを保存する顧客アドレスDBと、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみを統合的に保存する統合アドレスDBと、 管理サーバと、 を備えるシステムであって、 前記管理サーバは、インターネットを介して顧客端末と接続された第1サーバと、前記第1サーバを介してインターネットと接続された第2サーバとから構成され、 前記第1サーバは、 前記顧客端末から入力される顧客の詳細アドレス情報を受信する手段と、 前記受信した顧客の詳細アドレス情報に対応する顧客別固有アドレス番号を生成する手段と、 前記生成された顧客別固有アドレス番号を前記顧客アドレスDBに保存する手段と、を有し、 前記第2サーバは、 前記第1サーバから、この顧客別固有アドレス番号に該当する前記詳細アドレス情報のみを受信する手段と、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみを、前記統合アドレスDBに保存する手段と、を有することを特徴とするインターネットを利用した電子商取引における顧客アドレス情報管理システム。」 3.引用例 1)引用例1 これに対して、当審の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前である平成18年9月7日に頒布された「特開2006-236066号公報」(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、会員認証システム、会員認証サーバ、携帯端末、情報確認端末、会員認証方法、会員認証プログラム、およびプログラム記録媒体に関し、例えば、百貨店や小売店、ドラッグストア、レンタルビデオ店等の会員制店舗において、利用者(顧客)がその店舗の会員本人であることの確認、認証を確実に行うことを可能とする会員認証システム、会員認証サーバ、携帯端末、情報確認端末、会員認証方法、会員認証プログラム、およびプログラム記録媒体に関する。」 (2)「【0007】 本発明の他の目的は、会員情報として登録された利用者(顧客)の個人情報の漏洩を防止するための、より確実なセキュリティ確保方法を実現する会員認証システム、会員認証サーバ、携帯端末、情報確認端末、会員認証方法、会員認証プログラム、およびプログラム記録媒体を提供することにある。」 (3)「【0013】 第3の効果は、利用者の会員情報の漏洩をより確実に防止することができることである。 その理由は、会員認証サーバを、携帯端末や情報確認端末と接続している第1のネットワークに接続する認証サーバと、第1のネットワークとは接続できない第2のネットワークに接続し、認証サーバからアクセス可能な情報サーバとに分割して構成し、第1のネットワークからはアクセスできない情報サーバに、利用者の会員情報を格納することにより、第1のネットワークを例えば不特定多数のユーザが利用できる公衆網によって構成するような場合であっても、情報サーバに格納されている重要な利用者の会員情報の漏洩を、より確実に防止することができるからである。」 (4)「【0015】 図1は、本発明による会員認証システムの全体構成の一実施例を示す概念図である。 なお、図1に示す本実施の形態では、会員制度を有する店舗120を利用する利用者(顧客)が保持携帯している携帯端末が、外部情報を読み取り可能な撮影機能を備えたカメラ付き携帯端末101であり、店舗120内のレジなどに掲示された二次元バーコード104をカメラ付き携帯端末101で読み取る場合を例にして説明を行う。また、任意の情報の記憶手段を提供する二次元バーコード104には、少なくとも、当該店舗120の会員認証用の情報があらかじめ登録されている認証サーバ105の接続先情報例えばURL情報が含まれている。」 (5)「【0018】 図1において、会員制度を有する店舗120を利用する利用者は、当該店舗120の会員となるために、あらかじめ、当該利用者が保持携帯するカメラ付き携帯端末101から、または当該利用者が利用可能なパソコンなどの情報入力端末102から、ネットワークを介して、認証サーバ105に接続し、会員登録を行う。会員登録を行うと、ユニークな会員IDが割り振られ、会員認証用の端末動作を実行する会員証アプリケーションプログラムと、割り振られた会員IDに一対一に対応する会員証アプリケーションプログラムIDとが第1ネットワーク110を介して、当該利用者が保持携帯するカメラ付き携帯端末101にダウンロードされる。」 (6)「【0030】 また、図1に示す本実施の形態においては、利用者の会員認証に関する情報をあらかじめ登録する会員認証サーバは、会員ID、会員証アプリケーションプログラム、会員証アプリケーションプログラムIDを少なくとも登録する認証サーバ105と、会員IDに対応する会員情報を会員IDとともに登録する情報サーバ106と、で構成され、携帯端末101および情報確認端末103と認証サーバ105とは第1ネットワーク110例えば公衆網で接続され、認証サーバ105と情報サーバ106とは第1ネットワーク110からは接続できない第2ネットワーク111例えば専用ローカル網で接続されている例を示している。」 (7)「【0040】 次に、図2を用いて各ブロックの動作の一例について説明する。 まず、利用者の個人情報を入力し、会員ID、会員証アプリケーションプログラムIDを生成して会員登録するまでの会員登録動作について説明する。 利用者は、当該利用者が保持携帯するカメラ付き携帯端末210の入力部211から当該利用者の個人情報(顔写真以外の個人情報)を逐次入力し、カメラ付き携帯端末210の表示部212で入力内容を確認しながら、カメラ付き携帯端末210の制御部214に引き渡す。入力された利用者の個人情報を受け付けたカメラ付き携帯端末210の制御部214は、会員登録命令をカメラ付き携帯端末210の通信部213に行う。 【0041】 会員登録命令により、カメラ付き携帯端末210の制御部214に入力部211から引き渡された利用者の個人情報(顔写真以外の個人情報)と、あらかじめカメラ付き携帯端末210のメモリ215に保存されている当該利用者の顔写真の画像ファイルとは、カメラ付き携帯端末210の通信部213に引き渡され、第1ネットワーク260を経由して認証サーバ240の通信部243へただちに伝達される。 【0042】 もしくは、カメラ付き携帯端末210とは異なる情報入力端末220を用いて利用者の個人情報を入力する場合には、利用者は、当該利用者が利用可能な情報入力端末220の入力部221から当該利用者の個人情報(顔写真以外の個人情報)を逐次入力し、情報入力端末220の表示部222で入力内容を確認しながら、情報入力端末220の制御部224に引き渡す。入力された利用者の個人情報を受け付けた情報入力端末220の制御部224は、会員登録命令を情報入力端末220の通信部223に行う。 【0043】 会員登録命令により、情報入力端末220の制御部224に入力部221から引き渡された利用者の個人情報(顔写真以外の個人情報)と、あらかじめ情報入力端末220のメモリ225に保存されている当該利用者の顔写真の画像ファイルとは、情報入力端末220の通信部223に引き渡され、第1ネットワーク260を経由して認証サーバ240の通信部243へただちに伝達される。 【0044】 なお、利用者の顔写真の画像ファイルが、カメラ付き携帯端末210のメモリ215、もしくは情報入力端末220のメモリ225にまだ保存されていない場合には、利用者の個人情報(顔写真以外の個人情報)の入力に合わせて、当該利用者の顔写真も撮影して入力するようにすればよい。 【0045】 認証サーバ240の通信部243は、受信した利用者の個人情報と当該利用者の顔写真の画像ファイルとを、認証サーバ240の制御部244に引き渡し、認証サーバ240の制御部244は、取得した利用者の個人情報(顔写真を含む個人情報)に対応したユニークな会員IDと、該会員IDに一対一に対応する会員証アプリケーションプログラム用の識別子すなわち会員証アプリケーションプログラムIDとを生成する。生成された会員IDと会員証アプリケーションプログラムID、および会員証アプリケーションプログラム名は、認証サーバ240のアプリケーション情報DB245に蓄積される。 【0046】 図3は、本発明による会員認証システムに適用するアプリケーション情報DBの登録内容の一例を示すテーブルであり、図2に示す認証サーバ240のアプリケーション情報DB245の登録内容の一例を示している。図3に示すように、アプリケーション情報DB245は、少なくとも、会員アプリケーションプログラムIDと、会員IDと、会員証アプリケーションプログラム名とを含んで構成されている。会員証アプリケーションプログラムIDと会員IDとは、利用者からの会員登録要求がなされた場合に、毎回、生成されて割り振られる。また、会員証アプリケーションプログラムIDと会員IDとは一対一で対応しており、ユニークなものである。 【0047】 図3に示すアプリケーション情報DB245の登録例の第1行目は、会員証アプリケーションプログラムID「IDa1」が、会員ID「IDu1」に一対一で対応しており、これらに対応する会員証アプリケーションプログラム名は「AAA」であることを示している。第2行目は、会員証アプリケーションプログラムID「IDa2」が、会員ID「IDu2」に一対一で対応しており、これらに対応する会員証アプリケーションプログラム名は「BBB」であることを示している。第3行目は、会員証アプリケーションプログラムID「IDa3」が、会員ID「IDu3」に一対一で対応しており、これらに対応する会員証アプリケーションプログラム名は「CCC」であることを示している。 【0048】 図2に戻って、認証サーバ240のアプリケーション情報DB245に、会員IDと会員証アプリケーションプログラムIDと会員証アプリケーションプログラム名とを登録した後、認証サーバ240の制御部244は、生成した会員IDと取得していた利用者の個人情報(顔写真を含む個人情報)とを、認証サーバ240の通信部243に引き渡し、認証サーバ240の通信部243により、第2ネットワーク270を経由して情報サーバ250の通信部253へただちに伝達する。 【0049】 情報サーバ250の通信部253は、受信した会員IDと利用者の個人情報とを、情報サーバ250の制御部254に引き渡し、情報サーバ250の制御部254は、取得した会員IDと利用者の個人情報とを、当該利用者の重要情報としてセキュリティを確保した形式で情報サーバ250の会員情報DB255に蓄積する。 【0050】 図4は、本発明による会員認証システムに適用する会員情報DBの登録内容の一例を示すテーブルであり、図2に示す情報サーバ250の会員情報DB255の登録内容の一例を示している。図4に示すように、会員情報DB255は、認証サーバ240から受信した会員IDと利用者の個人情報とを対応付けて登録しているものであり、少なくとも、会員IDと、会員名と、携帯メールアドレスと、携帯電話番号と、性別と、年齢と、画像ファイルとを含んで構成されている。すなわち、認証サーバ240で生成された会員IDに対して、利用者が入力した会員名、携帯メールアドレス、携帯電話番号、性別、年齢、および画像ファイルが従属して対応している。このうち、携帯メールアドレスおよび携帯電話番号は、当該利用者が保持携帯しているカメラ付き携帯端末210のアドレス情報すなわち連絡先情報として用いられ、また、画像ファイルは、当該利用者自身の顔写真である。」 (下線は、当審による。) これらの記載事項によると、引用例1には、 「会員ID、会員証アプリケーションプログラム、会員証アプリケーションプログラムIDを少なくとも登録する認証サーバ105と、会員IDに対応する会員情報を会員IDとともに登録する情報サーバ106と、 携帯端末101および情報確認端末103と認証サーバ105とは第1ネットワーク110例えば公衆網で接続され、認証サーバ105と情報サーバ106とは第1ネットワーク110からは接続できない第2ネットワーク111例えば専用ローカル網で接続され、 認証サーバ240の通信部243は、利用者の個人情報を受信し、個人情報を認証サーバ240の制御部244へ引き渡し、 認証サーバ240の制御部244は、個人情報に対応したユニークな会員IDと、会員証アプリケーションIDを生成し、認証サーバ240のアプリケーションDB245に蓄積し、 認証サーバ240は、会員ID、会員証アプリケーションIDを登録した後に、会員IDと利用者の個人情報を情報サーバ250の通信部253へ伝達し、情報サーバ250の通信部253は、受信した会員IDと利用者の個人情報を情報サーバ250の制御部254に引き渡し、情報サーバ250の制御部254は、取得した会員IDと利用者の個人情報を会員情報DB255に蓄積し、 個人情報は、会員名と、携帯メールアドレスと、携帯電話番号と、性別と、年齢と、画像ファイルとを含んで構成されている会員認証システム。」 の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。 4.対比 (1) 引用例1発明の「会員ID」は、会員が個人情報を登録する際に生成されるIDであるから、本願発明の「顧客別固有アドレス番号」に相当する。 引用例1発明の「アプリケーションDB245」は、会員IDを保存しているから、本願発明の「顧客アドレスDB」に相当する。 引用例1発明の「個人情報」は、会員IDに対応した携帯メールアドレスや携帯電話番号といった詳細なアドレス情報を含んでいるから、本願発明の「顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報」に相当する。 引用例1発明の「会員情報DB255」は、会員IDに対応した詳細アドレス情報を含む個人情報を登録しているから、本願発明の「顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を統合的に保存する統合アドレスDB」に相当する。 引用例1発明の「携帯端末101および情報確認端末103と認証サーバ105とは第1ネットワーク110例えば公衆網で接続され」で、この「認証サーバ105」は顧客端末である「携帯端末101および情報確認端末103」及び公衆網である「インターネット」の接続関係からみて、本願発明の「インターネットを介して顧客端末と接続された第1サーバ」に相当する。 引用例1発明の「認証サーバ105と情報サーバ106とは第1ネットワーク110からは接続できない第2ネットワーク111例えば専用ローカル網で接続され、」で、この「情報サーバ106」は、「第1のサーバ」である認証サーバ105を介して公衆網であるインターネットに接続されているから、本願発明の「第1サーバを介してインターネットと接続された第2サーバ」に相当する。 引用例1発明の「認証サーバ105」と「情報サーバ106」で会員認証システムの管理を行っているから、両サーバは、本願発明の「管理サーバ」を構成している。 本願発明と引用例1発明は、「顧客別固有アドレス番号を保存する顧客アドレスDBと、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を統合的に保存する統合アドレスDBと、 管理サーバと、 を備えるシステムであって、 管理サーバは、インターネットを介して顧客端末と接続された第1サーバと、第1サーバを介してインターネットと接続された第2サーバとから構成され」る点で共通する。 (2) 引用例1発明の「認証サーバ240の通信部243」は、利用者の個人情報を受しているから、本願発明の「顧客端末から入力される顧客の詳細アドレス情報を受信する手段」に相当する。 引用例1発明の「認証サーバ240の制御部244は、個人情報に対応したユニークな会員IDと、会員証アプリケーションIDを生成し、認証サーバ240のアプリケーションDB245に蓄積し」で、「制御部244」は、顧客別固有アドレス番号である「会員ID」を生成し、顧客アドレスDBである「アプリケーションDB245」に「会員ID」を登録しているから、この「制御部244」は、本願発明の「受信した顧客の詳細アドレス情報に対応する顧客別固有アドレス番号を生成する手段」および「生成された顧客別固有アドレス番号を前記顧客アドレスDBに保存する手段」の機能を有している。 本願発明と引用例1発明は、「第1サーバは、 顧客端末から入力される顧客の詳細アドレス情報を受信する手段と、 受信した顧客の詳細アドレス情報に対応する顧客別固有アドレス番号を生成する手段と、 前記生成された顧客別固有アドレス番号を前記顧客アドレスDBに保存する手段と、を有」する点で一致する。 (3) 引用例1発明の「認証サーバ240は、会員ID、会員証アプリケーションIDを登録した後に、会員IDと利用者の個人情報を情報サーバ250の通信部253へ伝達し、情報サーバ250の通信部253は、受信した会員IDと利用者の個人情報を情報サーバ250の制御部254に引き渡し」で、第2のサーバである「情報サーバ250」の「通信部253」は、第1のサーバである「認証サーバ240」から顧客別固有アドレス番号に該当する前記詳細アドレス情報に相当する「個人情報」を受信しているから、この「通信部253」は、本願発明の「第1サーバから、この顧客別固有アドレス番号に該当する前記詳細アドレス情報を受信する手段」の機能を有している。 引用例1発明の「情報サーバ250の制御部254は、取得した会員IDと利用者の個人情報を会員情報DB255に蓄積し、」で、「制御部254」は、顧客別固有アドレス番号に該当する前記詳細アドレス情報に相当する「個人情報」を顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を統合的に保存する統合アドレスDBに相当する「会員情報DB255」に蓄積しているから、この「制御部254」は、本願発明の「この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を、前記統合アドレスDBに保存する手段」の機能を有している。 本願発明と引用例1発明は、「第2サーバは、 第1サーバから、この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を受信する手段と、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を、統合アドレスDBに保存する手段と、を有する」点で共通する。 (4) 引用例1発明の「会員認証システム」は、顧客のアドレス情報を管理しているから、本願発明と同様に「顧客アドレス情報管理システム」ということができる。 してみると、両発明の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「顧客別固有アドレス番号を保存する顧客アドレスDBと、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を統合的に保存する統合アドレスDBと、 管理サーバと、 を備えるシステムであって、 前記管理サーバは、インターネットを介して顧客端末と接続された第1サーバと、前記第1サーバを介してインターネットと接続された第2サーバとから構成され、 前記第1サーバは、 前記顧客端末から入力される顧客の詳細アドレス情報を受信する手段と、 前記受信した顧客の詳細アドレス情報に対応する顧客別固有アドレス番号を生成する手段と、 前記生成された顧客別固有アドレス番号を前記顧客アドレスDBに保存する手段と、を有し、 前記第2サーバは、 前記第1サーバから、この顧客別固有アドレス番号に該当する前記詳細アドレス情報を受信する手段と、 この顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報を、前記統合アドレスDBに保存する手段と、を有する顧客アドレス情報管理システム。」 [相違点] (相違点a)本願発明の顧客アドレスDBが、「顧客個別アドレス番号のみ」を保存しているのに対して、引用例1発明の顧客アドレスDB(アプリケーション情報DB245)は、顧客別固有アドレス番号(会員ID)以外の情報(顧客別の固有アドレス番号である「会員証アプリケーションプログラムID」)を有している点。 (相違点b)本願発明の第2サーバは、「顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ」を受信し、「顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ」を総合アドレスDBに保存しているのに対して、引用例1発明の第2のサーバ(情報サーバ250)は、詳細アドレス情報(個人情報)に加え、詳細アドレス情報以外の個人情報や「顧客個別アドレス番号」(会員ID)を受信し、これらを総合アドレスDB(会員情報DB255)に保存している点。 (相違点c)本願発明の「顧客アドレス情報管理システム」は、「インターネットを利用した電子商取引」のためのものであるのに対して、引用例1発明は「店舗」における認証のためのものである点。 5. 当審の判断 (1)相違点aについて アプリケーション情報DB245に、会員ID(顧客別固有アドレス番号)と共に記憶されている「会員証アプリケーションプログラムID」は、会員IDと一対一に対応したIDであり、「会員証アプリケーションプログラムID」と会員IDとは、同じ会員を示す情報であることから、会員の認証において、これらのIDうちの会員IDを採用すること、すなわち、顧客個別アドレス番号のみとすることは、当業者が容易になし得ることである。 (2)相違点bについて 本願発明において、第2サーバが、「顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ」を受信し、「顧客固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ」を統合アドレスDBに保存している点について、明細書および図面を参照すれば、明細書段落番号0063には、「図2に示されたように、統合アドレスDB(400)に保存される顧客の詳細アドレス情報は、例えば、アドレス番号、アドレス名(約20字以内、例えば、[自宅アドレス]、[会社アドレス]など)、国家コード、第1アドレスフィールド(都/州/県)、第2アドレスフィールド(市/郡/区)、第3アドレスフィールド(洞/邑/面)、第4アドレスフィールド(詳細アドレス)及び郵便番号などがテーブル形式で構成されることができる。」と記載されており、図2を参照すれば、アドレス番号「1234567890」に付随して、「顧客氏名」、「顧客電話番号」、顧客住所等、すなわち「個人情報」が保存されていることが図示されていること、また、個々の顧客と個人情報とを対応付けるための共通のIDを必要とすることは、当該技術分野における技術常識であることから、上記「第2のサーバが『顧客別固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ』を受信し、『顧客固有アドレス番号に該当する詳細アドレス情報のみ』を統合アドレスDBに保存」する構成が詳細アドレス情報ともに「顧客固有アドレス番号」受信し、詳細アドレス情報共通のID情報である「顧客固有アドレス番号」を保存する構成を当然の前提としていることは明らかである。 他方、引用例1発明における第2のサーバ(情報サーバ250)は、個人情報(詳細アドレス情報)に加え、本願発明における「顧客固有アドレス番号」に相当する「会員ID」を受信して、個人情報および「会員ID」を総合アドレスDBに保存するものであるところ、上記のとおり、本願発明が、詳細アドレス情報と共に「顧客固有アドレス番号」を保存する構成を前提としていることが明らかである。 また、引用例1発明の「個人情報」を、「詳細アドレス情報のみ」とすることは、個人情報の取捨選択にすぎない。すなわち、個人情報から性別、年齢、画像ファイルを除外し、メールアドレスと電話番号のような「詳細アドレス情報のみ」を選択することは、必要に応じて適宜なし得ることであるから、相違点bは、当業者が容易になし得ることである。 (3)相違点cについて 「インターネットを利用した電子商取引」において、顧客の個人情報のセキュリティを確保する必要があることは、技術常識であり、「会員情報として登録された利用者(顧客)の個人情報の漏洩を防止する」ことを課題として、「会員認証サーバを、携帯端末や情報確認端末と接続している第1のネットワークに接続する認証サーバと、第1のネットワークとは接続できない第2のネットワークに接続し、認証サーバからアクセス可能な情報サーバとに分割して構成し、第1のネットワークからはアクセスできない情報サーバに、利用者の会員情報を格納すること」ができる引用例1発明に係る構成を「インターネットを利用した電子商取引」適用することは、当業者が容易になし得ることである。 以上のとおりであるから、相違点a?cにかかる発明の構成は、引用例1発明から当業者が容易に想到することができたものである。 そして本願発明の効果も引用例1発明から当業者が推測できる範囲のものである。 6.むすび したがって、本願発明は引用例1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-03-06 |
結審通知日 | 2014-03-10 |
審決日 | 2014-03-26 |
出願番号 | 特願2009-150289(P2009-150289) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小原 正信 |
特許庁審判長 |
手島 聖治 |
特許庁審判官 |
石川 正二 西山 昇 |
発明の名称 | インターネットを利用した電子商取引における顧客アドレス情報管理システム及びその方法 |
代理人 | 清原 義博 |