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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02B |
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管理番号 | 1290900 |
審判番号 | 不服2012-24709 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-13 |
確定日 | 2014-08-15 |
事件の表示 | 特願2008-206526「遮水ライニング」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月25日出願公開、特開2010- 43416〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成20年8月11日の出願であって,平成24年10月31日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月13日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると共に,同時に手続補正がなされた。 その後,平成25年6月27日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったが,何らの応答もなかったものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成24年12月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容・目的 平成24年12月13日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲について,補正前(平成24年9月6日受付けの手続補正書参照。)の請求項1を,以下のように補正することを含むものである。 「天然粘土鉱物を採掘したときの自然含水比のまま25mm以下に砕石した遮水層形成材を遮水層形成部位に敷設して5cm?25cmの厚さとなるように転圧締め固めしたおおむね透水係数が1×10^(-8)cm/Sの遮水層と、この遮水層の上面に敷設された遮水機能向上シートと、この遮水機能向上シートの上部に設けられた、前記遮水層に自重によって所定の荷重を加えて遮水性能を発揮させるための30cm?1mの覆土層とからなることを特徴とする遮水ライニング。」 上記補正は,補正前の請求項1に記載された請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「遮水層」について,「おおむね透水係数が1×10^(-8)cm/Sの」という事項を,また,「遮水層に自重によって所定の荷重を加えることができる」「覆土層」について,「遮水層に自重によって所定の荷重を加えて遮水性能を発揮させるための30cm?1mの」という事項を,それぞれ,付加して限定したものであり,かつ補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,本件補正は,少なくとも,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。 そこで,本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか,すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしているか,について以下に検討する。 2.独立特許要件違反(特許法第29条第2項違反) 2-1.引用刊行物 (1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2000-73333号公報(以下,「刊行物1」という。)には,次の記載がある。 (1a)「【0011】作用:本発明に係るベントナイト粒状物はベントナイト原石鉱を砕いたものであるから原石鉱の含水比を殆どそのまま維持している。しかも粒径0.074?37.5mmの範囲に分布する各粒状物はベントナイト微粉よりも粒径が大きい。このように大粒で湿質のベントナイト粒状物であれば取り扱いに際して粉塵化することがない。また湿質かつ不揃いの粒であるベントナイト粒状物の場合は、ベントナイト原石鉱からの粒状加工に際し、微粉化しながら粒径を整えたり乾燥したりする必要がない。これは粒状加工が簡略化できるということであるからベントナイト粒状物が低コストで得られる。それに粉塵化しないベントナイト粒状物は輸送しやすく、輸送時の嵩密度もベントナイト微粉よりは大きくなる。したがって輸送時の取り扱いが楽で輸送コストも低減する。・・・」 (1b)「【0014】作用:本発明に係る遮水工法は、ベントナイト粒状物(粒径0.074?37.5mm)を含んだ遮水層を遮水領域に形成する。この粒径のベントナイト粒状物は、既述のとおり粉塵化しないから遮水層の形成に際して周辺の環境を悪化させない。また、厚さ50cm以上の遮水層において透水係数を1×10^(-6)cm/s以下にすることができるから、高度の遮水性も確保することができる。」 (1c)「【0035】つぎに本発明に係る遮水工法の実施形態を図4に基づいて説明する。図4の実施形態は廃棄物処分場の建設に際して遮水層を形成するというものである。 【0036】図4を参照して、廃棄物埋立用地には面積18.5ha・深さ25mの巨大穴すなわち擂鉢状の窪地61が形成されている。窪地61の底部は平坦面をなしており、その底部中央にボックスカルバート62が埋め込まれている。立入検査や止水材の注入作業を行うというボックスカルバート62は、幅2?3m・高さ3m・長さ1320mの鉄筋コンクリート造りである。窪地61の下位斜面部から底部に沿って埋め込まれた地下水用の集排水管63はボックスカルバート62内に通じるように配管されている。第1遮水層64は窪地61の底部から下位斜面部までの領域を第1遮水領域にしてこれの表面に形成される。第1遮水層64を形成するときの一例では、第1遮水領域において本発明ベントナイト粒状物を地盤土と混ぜながら敷き均し、これを転圧のような加圧手段で固める。第1遮水層64を形成するときの他の一例では、本発明ベントナイト混合土質材料を第1遮水領域に敷き均し、これを上記と同様に加圧手段で固める。こうして形成された第1遮水層64の厚さは60cm程度である。この場合のベントナイト混合土質材料は、段落番号[0028]?[0033]で述べたようなものである。したがって、ベントナイト混合土質材料としてベントナイト粒状物と現地発生土との混合物が用いられることもある。なお、第1遮水層64を形成するときには、その途中で漏水センサなどを備えた監視管65が埋め込まれる。この監視管65もボックスカルバート62内に導かれている。第2遮水層66は窪地61の上位斜面部を第2遮水領域にしてこれの表面に形成される。第2遮水層65を形成するときの工法も第1遮水層64と実質的に同じかそれに準ずる。第2遮水層66の厚さは20?30cm程度である。第2遮水層66を形成するためのベントナイト混合土質材料としては石灰をも含んでいるものが望ましい。第1遮水層64や第2遮水層66の上には内部に遮水シート67を介在した保護材68が積層される。遮水シート67は一例として厚さ1.5mmの熱可塑性ポリウレタンシートからなり、保護材68は一例として厚さ4mmのポリエステル系の長繊維不織布からなる。第3遮水層69は、保護材68上を第3遮水領域にしてこれの表面に形成される。より具体的には、本発明ベントナイト混合土質材料を第2遮水領域に敷き均し、これを加圧手段で固めて第3遮水層69を形成する。第3遮水層69の厚さは50?100cm程度である。第3遮水層69の上には覆土70が施される。覆土70は現地発生土を一部埋め戻すことで形成される。そして覆土の際に浸出水用の集排水管71は土中に埋め込まれる。 【0037】上記において各遮水領域に形成された第1遮水層64・第2遮水層66・第3遮水層69は、粒径0.074?37.5mmのベントナイト粒状物を含んだものである。そして該ベントナイト粒状物の混合率が5?30%で厚さが50cm以上のときに透水係数が1×10^(-6)cm/s以下になるというのであるから、各遮水層64・66・69は十分な遮水機能を発揮する。また遮水工事に際してベントナイト粉塵に起因した周辺環境の悪化も起こらない。 【0038】本発明の遮水工法は廃棄物処分場における遮水層のほか、修景池工事・調整池工事・河川の護岸改修工事・人工干潟工事・その他において遮水層を形成するときにも適用することができる。」 (1d)「【0039】 【発明の効果】本発明に係るベントナイト粒状物は、ベントナイト原石鉱を粒状に砕いた湿質で大粒の粒状物であるから、製造の簡易性・無粉塵性・低コスト・輸送の簡易化などを満足させることができる。したがって土木建築分野での有用かつ有益な材料となる。」 (1e)「【0041】本発明に係るベントナイト混合土質材料は、所定のベントナイト粒状物と土質材料とを混合したものである。これは原材料が低廉であり、透水係数がきわめて小さい。したがって土木建築分野での有用かつ有益な材料となる。」 (1f)上記(1c)及び図4の記載から、刊行物1には遮水工法を実施するための「遮水構造」が記載されている。 上記記載事項(1a)乃至(1f)及び図面の記載から,刊行物1には,次の発明が記載されているものと認められる。 「原石鉱の含水比を殆どそのまま維持しているベントナイト原石鉱を粒径0.074?37.5mmの範囲に砕いたベントナイト粒状物と土質材料とを混合したベントナイト混合土質材料を,遮水層を形成する廃棄物埋立用地の窪地61の底部から下位斜面部までの領域である第1遮水領域に敷き均し60cm程度の厚さに加圧手段で固めた第1遮水層64と,同様に,窪地61の上位斜面部である第2遮水領域に敷き均し20?30cm程度の厚さに加圧手段で固めた第2遮水層65と,第1遮水層64や第2遮水層66の上に積層される内部に遮水シート67を介在したポリエステル系の長繊維不織布からなる保護材68と,上記ベントナイト混合土質材料を,保護材68上の表面である第3遮水領域に敷き均し50?100cm程度の厚さに加圧手段で固めた第3遮水層69と,第3遮水層69の上の覆土70とからなり,遮水層は厚さが50cm以上のときに透水係数が1×10^(-6)cm/s以下になる遮水構造。」(以下,「刊行物1記載の発明」という。) (2)刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,特開2005-238175号公報(以下,「刊行物2」という。)には,次の記載がある。 (2a)「【請求項1】 塑性限界が10?35%で、粒径を20mm以下に調製したことを特徴とする難透水性構造用粒状ベントナイト遮水材。 【請求項2】 請求項1記載の粒状ベントナイト遮水材を含有する材料を締固めてなる透水係数10^(-8)cm/秒のオーダー以下の遮水構造体。 【請求項3】 前記遮水構造体が、産業廃棄物もしくは放射性廃棄物の地中処分の際の遮水構造体または造成地の遮水構造体であることを特徴とする請求項2記載の遮水構造体。 【請求項4】 請求項1に記載の難透水性構造用粒状ベントナイト遮水材を、締固めエネルギー20cm・kgf/cm^(3)以上で締固めることにより、最大乾燥密度1.5g/cm^(3)以上で且つ透水係数10^(-8)cm/秒のオーダー以下とすることを特徴とする遮水構造体の施工方法。 【請求項5】 締固め時の難透水性構造用粒状ベントナイト遮水材の含水比を15%以上25%未満とすることを特徴とする請求項4記載の遮水構造体の施工方法。」 (2b)「【0007】 従来の市販の粉末状ベントナイト等を用いて、遮水材の締固めを行う場合には、高い乾燥密度が得られないとか、粉立ちが生じ易いといった施工上の問題があり、粒状ベントナイトが有効であると考えられている。また、乾燥密度を高くするには、ベントナイトと砂等を混合して必要な密度を達成することは可能であるが、ベントナイトの配合率が減少するため、止水性の点で満足することができない。 そこで、本発明は、粉立ちを低くすることができ、締固めが容易で、動的に締固めを行うことで、ベントナイト配合率100%であっても好ましい乾燥密度と透水係数を得ることができる優れた難透水性構造用ベントナイト遮水材を提供するものである。 また、本発明は、締固めが容易であり、且つ締固め後に優れた止水性を有する遮水構造体およびその施工方法を提供するものである。」 (2c)「【0014】 この粒状ベントナイトは締固め性に優れているため、遮水材材料として適用する場合100%これを使用するのが好適であるが、他の材料、例えば粉末ベントナイト、フライアッシュ、礫、砂、掘削残土等と混合して使用することもできる。・・・」 2-2.補正発明と刊行物1記載の発明との対比 補正発明と刊行物1記載の発明とを対比すると, 刊行物1記載の発明の「遮水構造」が補正発明の「遮水ライニング」に相当しており,以下同様に, 「原石鉱の含水比を殆どそのまま維持しているベントナイト原石鉱を」「砕いたベントナイト粒状物」が「天然粘土鉱物を採掘したときの自然含水比のまま」「砕石した遮水層形成材」に, 「遮水層を形成する廃棄物埋立用地の窪地61」が「遮水層形成部位」に, 「第1遮水層64と第2遮水層65」が「遮水層」に, 「敷き均し」が「敷設して」に, 「加圧手段で固め」が「転圧締め固め」に, 「覆土70」が「覆土層」に,それぞれ相当する。 そして,補正発明の「25mm以下」という粒径は,刊行物1記載の発明の「0.074?37.5mmの範囲」の粒径に含まれており,また,補正発明の「遮水機能向上シート」は,請求項2及び明細書の段落【0017】等によれば「吸出し防止シート」であり,刊行物1記載の発明の「ポリエステル系の長繊維不織布からなる保護材68」も吸出し防止シートとして機能するものと解されるから,刊行物1記載の発明の「ポリエステル系の長繊維不織布からなる保護材68」が補正発明の「遮水機能向上シート」に相当する。 したがって,両者は,以下の点で一致している。 「天然粘土鉱物を採掘したときの自然含水比のまま0.074?25mmに砕石した遮水層形成材を遮水層形成部位に敷設して転圧締め固めした遮水層と,この遮水層の上面に敷設された遮水機能向上シートと,この遮水機能向上シートの上部に設けられた覆土層とからなる遮水ライニング。」 そして,以下の各点で相違している。 (相違点1) 補正発明は,遮水層と遮水機能向上シートと覆土層とからなるのに対し, 刊行物1記載の発明は,遮水層と遮水機能向上シートと覆土層と,さらに,遮水機能向上シートと覆土層との間の第3遮水層とからなる点。 (相違点2) 遮水層が,補正発明は,遮水層形成材を5cm?25cmの厚さとなるように転圧締め固めしたおおむね透水係数が1×10^(-8)cm/Sであるのに対し, 刊行物1記載の発明は,第1遮水層が60cm程度の厚さ,第2遮水層が20?30cm程度の厚さとなるように加圧手段で固め,厚さが50cm以上のときに透水係数が1×10^(-6)cm/S以下になる点。 (相違点3) 覆土層の厚みが, 補正発明は,遮水層に自重によって所定の荷重を加えて遮水性能を発揮させるための30cm?1mであるのに対し, 刊行物1記載の発明は,不明である点。 2-3.判断 (相違点1について) 補正発明において,遮水ライニングが,遮水層と遮水機能向上シートと覆土層との三層のみからなるとの明確な限定はないが,査定時に提示した周知文献である特開2001-96249号公報や特開2002-301442号公報等にも記載されているように,遮水層と遮水機能向上シートと覆土層との三層からなる遮水ライニングは周知技術にすぎないから,刊行物1記載の発明において該周知技術を参照し,施工性等を考慮して,補正発明の相違点1に係る発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 刊行物1記載の発明において,第1遮水層を60cm程度の厚さ,第2遮水層を20?30cm程度の厚さとなるように加圧手段で固めているように,遮水層の厚さは,遮水層形成部位や施工条件等に応じて,適宜決定される設計的事項にすぎない。また,透水係数に関しても,遮水層形成部位や施工条件等に応じて,適宜決定される設計的事項にすぎないが,刊行物2をみると,刊行物2には,粒径を20mm以下に調製した難透水性構造用粒状ベントナイト及びこれを含有する材料を締固めた透水係数10^(-8)cm/Sのオーダー以下の遮水構造体が記載されており,該透水係数を参照し,補正発明の相違点2に係る発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 なお,補正発明において,「天然粘土鉱物を採掘したときの自然含水比のまま25mm以下に砕石した遮水層形成材」のみを敷設するとの明確な限定はないが,上記に加え,刊行物2には,「粒状ベントナイトは締固め性に優れているため、遮水材材料として適用する場合100%これを使用するのが好適である」(記載事項(2c)参照。)と記載されており,刊行物1記載の発明の「ベントナイト粒状物と土質材料とを混合したベントナイト混合土質材料」に替えて,ベントナイト粒状物のみを敷設することも,当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点3について) 遮水層の上に覆土層を設ければ,その自重によって遮水層に荷重を加え,その結果,遮水性能が発揮されることは自明なことであり,所望する荷重や施工性を考慮して覆土層の厚みをどの程度にするかは,適宜決定されることである。なお,上記周知文献として査定時に提示された特開2002-301442号公報に,保護土(補正発明の「覆土層」に相当。)を厚さ300mmとした例が記載されており,30cm?1mという数値は普通に採用される事項にすぎない。 そして,補正発明の作用効果も,刊行物1,2記載の発明及び周知技術から当業者が予測しうる程度のことである。 したがって,補正発明は,刊行物1,2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.補正の却下の決定のむすび 以上より,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていないものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 1.本願発明 平成24年12月13日付けの手続補正は却下されたので,本願の請求項1乃至3に係る発明は,平成24年9月6日受付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された事項により特定されるところ,そのうち請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりである。 「天然粘土鉱物を採掘したときの自然含水比のまま25mm以下に砕石した遮水層形成材を遮水層形成部位に敷設して5cm?25cmの厚さとなるように転圧締め固めした遮水層と、この遮水層の上面に敷設された遮水機能向上シートと、この遮水機能向上シートの上部に設けられた、前記遮水層に自重によって所定の荷重を加えることができる覆土層とからなることを特徴とする遮水ライニング。」 2.引用刊行物 (1)刊行物1 本願出願前に頒布された,上記刊行物1には,「第2 2.2-1.(1)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。 (2)刊行物2 本願出願前に頒布された,上記刊行物2には,「第2 2.2-1.(2)」に記載したとおりの発明が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願発明は,前記「第2」で検討した補正発明から,「遮水層」についての,「おおむね透水係数が1×10^(-8)cm/Sの」,また,「遮水層に自重によって所定の荷重を加えることができる」「覆土層」についての,「遮水層に自重によって所定の荷重を加えて遮水性能を発揮させるための30cm?1mの」という特定事項を省いたものである。 そうすると,本願発明を特定するために必要な事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「第2 2.2-3.」に記載したとおり,刊行物1,2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1,2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって,本願発明は,刊行物1,2記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-05-30 |
結審通知日 | 2014-06-10 |
審決日 | 2014-06-25 |
出願番号 | 特願2008-206526(P2008-206526) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E02B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森次 顕、福島 浩司 |
特許庁審判長 |
杉浦 淳 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 高橋 三成 |
発明の名称 | 遮水ライニング |
代理人 | 三浦 光康 |