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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06K
管理番号 1291318
審判番号 不服2013-19059  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-02 
確定日 2014-08-26 
事件の表示 特願2011-511995「タグ情報に基づいてサービスを提供する方法,ならびに対応するタグおよびタグ読み取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月10日国際公開,WO2009/146781,平成23年 8月18日国内公表,特表2011-523749〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯

本願は,2009年5月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年6月4日,欧州)を国際出願日とする出願であって,平成24年12月28日付けで拒絶理由が通知され,これに対して,平成25年5月9日に手続補正されたが,同年5月27日付けで拒絶査定がされたところ,これに対して,同年10月2日付けで拒絶査定不服審判が請求され,その後同年11月28日付けで当審より拒絶の理由が通知され,それに対して平成26年2月27日に意見書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?12に係る発明は,平成25年5月9日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?12に記載されている事項により特定されるとおりのものであり,そのうちの請求項12に係る発明(以下「本願発明」という。)は,請求項12に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「一意のタグIDおよびサービス情報を前記タグから取得し,前記サービス情報に対応するサーバに前記一意のタグIDを通信するように適合されたタグ読み取り装置。」

3 引用例の記載及び引用例に記載された発明
(1)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布され,当審よりの拒絶の理由において引用された特開2002-324021号公報(以下「引用例」という。)には,「情報提供システム」(発明の名称)に関して,図1とともに以下の記載がある(なお,下線は当合議体にて付加したものである。)。

ア 「【0016】本発明にかかる情報端末は,物体に付加されたRF-ID(Radio Frequency-Identification)タグから発信された無線電波を受信するRF-IDリーダと,ネットワークにアクセスして上記ネットワーク上のサーバから提供されている情報を取得する情報取得手段とを備え,上記RF-IDリーダは,当該物体に関連する関連情報及び/又は上記物体に関連する関連情報が提供されているサーバのネットワーク上のアドレスを,上記RF-IDタグから受信し,情報取得手段は,上記RF-IDタグから受信した上記関連情報を出力するか,或いは,上記RF-IDリーダで受信したアドレスを記憶して上記ネットワークにアクセスして上記アドレスのサーバから上記関連情報を取得することを特徴とする。」

イ 「【0024】広告11に付与されているタグ16には,格納情報として,URL,広告詳細情報,広告識別番号が記憶されている。タグ16が記憶しているURLは,その広告11で宣伝している商品等に関連する関連情報がアップロードされているインターネット上のホームページのURLである。広告詳細情報は,例えば,その広告11で宣伝している商品の詳細仕様や価格表等のその広告11に関連する詳細な情報である。例えば,広告11の紙面上に記載しきれない情報や省略した情報等をこの広告詳細情報に含めておく。広告識別番号は,当該広告11を識別するための番号で,例えば,広告11毎にユニークな番号が付けられている。
【0025】なお,タグ16の取り付け方法はどのような方法でもよく,また,その取り付け位置もどこでも良い。例えば,タグ16をシール上に構成し,広告11に直接張り付けても良い。また,広告11には,タグ16が記憶しているURLが,宣伝内容とともに記載されていても良いし,また,記載されていなくてもよい。
【0026】情報携帯端末12は,持ち運び可能な小型の情報端末である。この情報携帯端末12は,インターネット網14へのアクセス機能を有しているとともに,インターネット上のサーバにアップロードされているホームページを閲覧するブラウザソフトが内蔵されている。また,この情報携帯端末12には,RF-IDシステムを構成するリーダ17が取り付けられている。このリーダ17は,マイクロ波による無線通信方式で,広告11に取り付けられているタグ21に記憶されている格納情報(URL,広告詳細情報,広告識別番号)を読みとる。」

ウ 「【0060】続いて,動作を開始した通信制御部36は,記憶部37に記憶されている当該広告11に関連するURL,広告詳細情報及び広告識別番号を読み出し,これらの情報を送信部35に供給して,信号の発信を指示する。
【0061】信号の発信の指示を受けた送信部35は,アンテナ共用器32及びアンテナ31を介して,2.4GHz帯と異なる高周波信号で,URL,広告詳細情報及び広告識別番号を発信する。
【0062】このようにしてURL,広告詳細情報及び広告識別番号は,タグ16からリーダ17へ送信される。
【0063】続いて,リーダ17の受信部43は,アンテナ41及びアンテナ共用器42を介して,タグ16から送信された高周波信号を受信し,その受信信号を通信制御部45に供給する。
【0064】続いて,通信制御部45は,受信信号からURL,広告詳細情報及び広告識別番号を抽出し,本体18内の信号処理部51に転送する。
【0065】続いて,信号処理部51は,URL等が転送されると,これらをURL記憶部57に格納する。
【0066】続いて,信号処理部51は,ホームページ閲覧用のブラウザソフトを起動するとともに,移動体通信部52を用いて移動体通信網13に接続してから,インターネット網14に接続する。
【0067】続いて,信号処理部51は,タグ16から送信されたURLに示されているサーバ15をインターネット網14から検索してアクセスを行う。なお,信号処理部51は,サーバ15にアクセスする際に,ユーザ情報記憶部56に記憶されているユーザ情報,及び,URL記憶部57に記憶されている広告識別番号をアップロードする。
【0068】続いて,信号処理部51は,アクセスしたサーバ15からホームページをダウンロードする。
【0069】そして,ユーザは,情報携帯端末12のホームページ閲覧ソフトを用いて,ダウンロードされたホームページを表示部54で参照することが可能となる。
【0070】また,信号処理部51は,広告詳細情報をブラウザソフトを用いてユーザに表示してもよい。広告詳細情報には,上述したように広告11の紙面上に記載しきれないその商品の価格等の詳細な情報が含まれている。
【0071】以上のように情報提供システム1では,紙ベースの広告11にRF-IDシステムを構成するタグ16を取り付け,このタグ16にURLを格納しておくことによって,その商品等に関するより多くの情報をインターネットを介してユーザに提供することができる。
【0072】また,この情報提供システム1では,広告11の関連情報が提供されているURLが簡単な操作で情報携帯端末12に入力されるため,ユーザ自身がURLの書き込み作業を行うことなく,容易にその関連情報を取得することができる。
【0073】また,そのURLがホームページ内の下位階層にあった場合,URLが非常に長い記述となってしまったり,ホームページのトップから検索していくと目的の情報を得るまで手間がかかってしまうが,本情報提供システム1の場合,URLの書き込み作業が必要ないため,非常に容易に情報を得ることができる。
【0074】また,この情報提供システム1では,情報携帯端末12からサーバ15へアクセスがあった場合,広告11の識別番号やユーザ情報をサーバ15へアップロードするので,広告主側は,例えば,どんなユーザがどのような広告11をみたかといった情報を得ることが可能となり,その後の商品のマーケティングやダイレクトメールの配信サービスに役立てることが可能となる。」

引用発明の認定
以上を総合すると,引用例には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「広告11毎にユニークな番号である広告識別番号および格納情報としてのURLをRF-IDタグ16から取得し,前記URLに示され,その広告11で宣伝している商品等に関連する関連情報がアップロードされているホームページを有するインターネット上のサーバ15にアクセスして,前記広告識別番号をアップロードするRF-IDリーダ17。」

4 対比
以下に,本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 本願発明の「一意のタグID」がタグを識別できることは明らかであるから、引用発明の「広告識別番号」と,本願発明の「一意のタグID」とは,「識別機能を有するID」である点で共通する。

(2) 引用発明の「格納情報としてのURL」,「RF-IDタグ16」,「広告11で宣伝している商品等に関連する関連情報がアップロードされているインターネット上のサーバ15」,「RF-IDリーダ17」は,それぞれ本願発明の「サービス情報」,「RF-IDタグ」,「サービス情報に対応するサーバ」,「タグ読み取り装置」に相当する。

(3) 引用発明のサーバに「広告識別番号をアップロードする」ことと,本願発明のサーバーに「一意のタグIDを通信する」こととは,サーバーと「識別機能を有するIDを通信する」点で共通する。

(一致点)
したがって,本願発明と引用発明とは,
「識別機能を有するIDおよびサービス情報を前記タグから取得し,前記サービス情報に対応するサーバに前記識別機能を有するIDを通信するように適合されたタグ読み取り装置。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点)
「識別機能を有するID」が本願発明は,タグ毎の「一意のタグID」であるのに対し,引用発明は,「広告識別番号」は,「広告11毎にユニークな番号」であって,タグ毎に異なる「一意のタグID」であるかどうか明確でない点

5 判断
(1) 相違点について
ア RF-IDタグが,タグ固有のID,すなわち一意のタグIDを有していることは,RF-IDタグにおいて周知の事項である。

イ また,3(1)イの段落【0025】の「タグ16をシール上に構成し,広告11に直接張り付けても良い。また,広告11には,タグ16が記憶しているURLが,宣伝内容とともに記載されていても良い」なる記載,及び3(1)ウの段落【0071】の「紙ベースの広告11」なる記載から,「広告11」は,「広告」という概念ではなく,宣伝内容,URLが記載されている「広告媒体」そのものを指していること,前記「宣伝内容」が「広告」の内容であることは,明らかである。

ウ そうすると,引用発明の「広告11毎にユニークな番号である広告識別番号」は,「広告媒体」そのもの毎に「ユニークな番号である広告識別番号」と解するのが適当である。

エ そして,広告11毎にタグ固有のIDを有するRF-IDタグが付加されていることを勘案すると,引用発明の「広告11毎にユニークな番号である広告識別番号」として,RF-IDタグの固有のID,すなわち一意のタグIDを用いることは,当業者が容易になし得たことといえる。

(2) 判断についてのまとめ
以上検討したとおり,本願発明は,当業者における周知の事項を勘案することにより,引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6 むすび
以上のとおり,本願の請求項12に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-03-28 
結審通知日 2014-04-01 
審決日 2014-04-14 
出願番号 特願2011-511995(P2011-511995)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 近藤 幸浩
西脇 博志
発明の名称 タグ情報に基づいてサービスを提供する方法、ならびに対応するタグおよびタグ読み取り装置  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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