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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H03G
管理番号 1291472
審判番号 不服2013-8468  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-08 
確定日 2014-09-04 
事件の表示 特願2010-532230「プログラマブルゲイン回路」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 5月 7日国際公開、WO2009/058948、平成23年 1月20日国内公表、特表2011-502442〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成20年10月30日に出願したものであって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :平成23年 7月20日(起案日)
意見書 :平成23年10月25日
手続補正 :平成23年10月25日
拒絶理由通知 :平成24年 5月14日(起案日)
意見書 :平成24年 8月22日
手続補正 :平成24年 8月22日
補正却下の決定 :平成24年12月27日(起案日)
拒絶査定 :平成24年12月27日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成25年 5月 8日
手続補正 :平成25年 5月 8日
審尋 :平成25年 8月14日(起案日)
回答書 :平成26年 1月14日

第2 平成25年5月8日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年5月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正

平成25年5月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、このうち補正前の請求項2についてする補正は、本件補正前に、
「 【請求項2】
直列に連結された複数の減衰回路を具備し、
各減衰回路は、第1のモードまたは第2のモードにおいて動作可能であり、前記第1のモードにおいて入力信号を減衰させ、かつ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させないように構成され、
前記複数の減衰回路は、
異なる減衰量を提供するバイナリ復号減衰回路のセットと、
等しい減衰量を提供する温度計復号減衰回路のセットと
を具備し、
前記等しい減衰量は、前記異なる減衰量よりも大きく、
前記温度計復号減衰回路の各々は、
入力信号を受けて、分配回路についての出力信号を供給するように構成された分配回路と、
前記分配回路に連結され、前記分配回路のために前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチと
を具備し、
前記分配回路は、前記第1のモードにおいて前記入力信号を減衰させ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させず、
前記少なくとも1つのスイッチは、前記第1のモードにおいてグラウンドに前記分配回路からの中間電流を導き、前記第2のモードにおいて回路出力に前記分配回路からの中間電流を導くように構成された単極双投(SPDT)スイッチを備える、
装置。」
とあったところを、

本件補正後、
「 【請求項1】
直列に連結された複数の減衰回路を具備し、
各減衰回路は、第1のモードまたは第2のモードにおいて動作可能であり、前記第1のモードにおいて入力信号を減衰させ、かつ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させないように構成され、
前記複数の減衰回路は、
相互に異なる減衰量を提供するバイナリ復号減衰回路のセットと、
等しい減衰量を提供する温度計復号減衰回路のセットと
を具備し、
前記等しい減衰量は、前記相互に異なる減衰量よりも大きく、
前記温度計復号減衰回路の各々は、
入力信号を受けて、分配回路についての出力信号を供給するように構成された分配回路と、
前記分配回路に連結され、前記分配回路のために前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチと
を具備し、
前記分配回路は、前記第1のモードにおいて前記入力信号を減衰させ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させず、
前記少なくとも1つのスイッチは、前記第1のモードにおいてグラウンドに前記分配回路からの中間電流を導き、前記第2のモードにおいて回路出力に前記分配回路からの中間電流を導くように構成された単極双投(SPDT)スイッチを備え、
前記複数の減衰回路は、前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない、
装置。」
とするものである。

上記補正の内容は、補正前の請求項2について、発明特定事項である「異なる減衰量」について「相互に異なる減衰量」と限定し、「複数の減衰回路」について「前記複数の減衰回路は、前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない」と限定して補正後の請求項1とするものである。
したがって、補正前の請求項2についてする本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-249626号公報(平成17年9月15日公開、以下「引用例3」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【請求項1】
高周波信号が入力される入力部(4)と、各々所定の減衰量が設定されている複数の減衰セクションからなるディジタルアッテネータユニット(1)と、処理された電気信号が出力される出力部(9)とを含み、前記入力部から入力された高周波信号を前記テーブルから呼び出した所定の組合せで構成された前記複数の減衰セクションを通過させ、所望の減衰量にして前記出力部より出力する高周波減衰装置において、
前記ディジタルアッテネータユニットは、少なくとも4つ以上の減衰セクションを有し、これらの減衰セクションは前記複数の減衰セクションのうちで最大の減衰量を与える第1の最大減衰セクション(1d)と、前記第1の最大減衰セクションの一方側に配置されて、前記第1の最大減衰セクションと同じ減衰量を与える第2の最大減衰セクション(1e)と、前記第1の最大減衰セクションの他方に接続されていて隣接するそれぞれ異なる減衰量を与える2以上の減衰セクション(1a、1b、1c)とを含み、これら2つ以上の減衰セクションの減衰量の和は前記最大の減衰量に対して最小分解能だけ小さい構成とし、
前記複数の減衰セクションの組合せにより、前記ディジタルアッテネータユニットが最大減衰量の組合せから減少する組合せにおいて、前記第2の最大減衰セクション、および第1減衰セクションの組合せを連続的に使用することにより所望の減衰量となるように前記複数の減衰セクションの組合せが記憶されている組合記憶部(7)とを備えたことを特徴とする高周波減衰装置。」

(2)「【0001】
本発明は、高周波減衰装置及びそれを用いた信号発生装置に関し、例えば高周波信号のレベルを可変するためにステップアッテネータ装置として用いる高周波減衰装置及びそれを用いた信号発生装置に関する。」

(3)「【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ディジタルアッテネータユニットの各セクションはそれぞれバイパス(スルー)時/減衰時で入出力の反射特性が変化するが、各セクションの単一セクションの組合わせ、補正値決定手順を考慮することで、測定時間の短縮を可能とした高周波減衰装置及びそれを用いた信号発生装置を提供することを課題とする。」

(4)「【0017】
以下、本発明の実施形態の高周波減衰装置、及び信号発生装置について図面を参照して説明する。図1は、高周波減衰装置を用いた信号発生装置のブロック図である。図2は、ディジタルアッテネータユニット1の各セクションの組合わせ、及びレベル補正値を算出するための手順を説明するためのセクション組合せテーブルである。図3は、レベル補正値を算出するための計算式を記載したテーブルである。図4は、設定減衰量に対するレベル補正値を示すテーブルである。図5は、設定減衰量に対するセクション組合せ示すテーブルである。
【0018】
図1に基づいて、高周波減衰装置を用いた信号発生装置の動作を説明する。ディジタルアッテネータユニット1の設定減衰量は、95dBに設定されており、各セクションの組合せは、第1のセクション1aが減衰時、第2のセクション1bがバイパス時、第3のセクション1cが減衰時、第4のセクション1dが減衰時、第5のセクション1eがバイパス時、第6のセクション1fが減衰時、第7のセクション1gが減衰時となっている。
【0019】
この設定減衰量95dBの組合せは、組合記憶部7に記憶された図5に示すテーブルに基づいて、演算制御部5が、ディジタルアッテネータユニット1の各セクションの切り替え制御をする。その設定減衰量95dBの実減衰量は、計算式記憶部8に記憶された図3に示すテーブルに基づいて求められる。その実減衰量と設定減衰量との差がレベル補正値として計算され、各設定値毎にレベル補正値記憶部6に図4に示すテーブルとして記憶される。ここで、設定減衰量95dBのレベル補正値は、C19となる。演算制御部5は、レベル補正部3の減衰量(又は増幅量)をC19と設定する。信号源2から出力された信号は、レベル補正部3で、C19のレベル補正がされ、ディジタルアッテネータユニット1を介して、出力コネクタ10に出力される。」

上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。

(a)引用例3には、「ディジタルアッテネータユニット(1)」が記載されている(摘示事項(1))。

(b)「ディジタルアッテネータユニット(1)」は、少なくとも4つ以上の減衰セクションを有し、これらの減衰セクションは前記複数の減衰セクションのうちで最大の減衰量を与える第1の最大減衰セクション(1d)と、前記第1の最大減衰セクションの一方側に配置されて、前記第1の最大減衰セクションと同じ減衰量を与える第2の最大減衰セクション(1e)と、前記第1の最大減衰セクションの他方に接続されていて隣接するそれぞれ異なる減衰量を与える2以上の減衰セクション(1a、1b、1c)とを含み、これら2つ以上の減衰セクションの減衰量の和は前記最大の減衰量に対して最小分解能だけ小さい構成とされる(摘示事項(1))。

(c)複数の減衰セクション(1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g)は、直列に結合される(【図1】)。

(d)各減衰セクションは、切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定される(【図1】)。

(e)減衰セクション(1a、1b、1c)は、設定減衰量に対してバイナリ符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定され、減衰セクション(1d、1e)は、設定減衰量に対して温度計符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定される(【図5】)。

以上を総合勘案すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「ディジタルアッテネータユニット(1)であって、
少なくとも4つ以上の減衰セクションを有し、これらの減衰セクションは前記複数の減衰セクションのうちで最大の減衰量を与える第1の最大減衰セクション(1d)と、前記第1の最大減衰セクションの一方側に配置されて、前記第1の最大減衰セクションと同じ減衰量を与える第2の最大減衰セクション(1e)と、前記第1の最大減衰セクションの他方に接続されていて隣接するそれぞれ異なる減衰量を与える2以上の減衰セクション(1a、1b、1c)とを含み、これら2つ以上の減衰セクションの減衰量の和は前記最大の減衰量に対して最小分解能だけ小さい構成とされ、
複数の減衰セクション(1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g)は、直列に結合され、
各減衰セクションは、切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定され、
減衰セクション(1a、1b、1c)は、設定減衰量に対してバイナリ符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定され、減衰セクション(1d、1e)は、設定減衰量に対して温度計符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定されるディジタルアッテネータユニット(1)。」

同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-249951号公報(平成7年9月26日公開、以下「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(5)「【請求項1】 第1端子と第2端子との間に直列に接続されそれぞれの抵抗値が“R”の(n-1)個の第1抵抗と、
上記第1端子、上記直列に接続された(n-1)個の第1抵抗間の(n-2)個の各接続点および上記第2端子にその一端が接続されそれぞれの抵抗値が“aR”のn個の第2抵抗と、
上記第2端子にその一端が接続され第3端子または第4端子にその他端が接続されその抵抗値が“(1+b)R”の第3抵抗と、
上記n個の第2抵抗のそれぞれの他端の接続を上記第3端子または上記第4端子に切換えるn個のスイッチと、
上記n個の第2抵抗のなかの任意の第2抵抗よりも上記第1端子側のすべての第2抵抗を上記第4端子に接続するとともに該任意の第2抵抗よりも上記第2端子側のすべての第2抵抗を上記第3端子に接続するように上記n個のスイッチを制御する制御回路とを有し、
上記“a”および上記“b”の値が「b={-1+(1+4a)1/2 }/2」かつ「1/2<a/(1+a+b)」に基いて定められている抵抗網回路装置。」

(6)「【0012】
【実施例】まず、第1実施例を、図1に示した電気回路図を参照して説明する。
【0013】端子T1と端子T2との間には(n-1)個の抵抗R11 ?R1n-1 (抵抗値はいずれも“R”)が接続されている。端子T1、抵抗R11 ?R1n-1 間の各接続点および端子T2にはn個の抵抗R21 ?R2n (抵抗値はいずれも“aR”)の一端が接続されている。端子T2と端子T3との間には抵抗R3(抵抗値は“(1+b)R”)が接続されている。抵抗R21 ?R2n の他端にはスイッチSW1 ?SWn (トランジスタ等で構成されている。)が接続されている。このスイッチSW1 ?SWn により抵抗R21 ?R2n の他端の接続が端子T3または端子T4(通常は接地)に切り換えられる。
【0014】スイッチSW1 ?SWn の切り換えは制御回路CNTからの制御信号によって制御される。この制御信号にはいわゆるサ?モメ?タコ?ドが用いられる。このサ?モメ?タコ?ドとは、“00……00z11……11”(“z”は“0”または“1”)というように、任意の1ビット“z”を境にして、それよりもMSB側のビットはすべて“0”、それよりもLSB側のビットはすべて“1”となり、“z”の位置をパラメータとして構成されたコ?ドである。制御回路CNTからは“000………000”から“111………111”までのすべてのサ?モメ?タコ?ドが出力可能である。このようなサ?モメ?タコ?ドを用いることにより、スイッチSW1 ?SWn のなかの任意のスイッチSWm およびスイッチSWm よりもMSB側(端子T1側)のすべてのスイッチSW1 ?SWm-1 は端子T4に接続され、スイッチSWm よりもLSB側(端子T2側)のすべてのスイッチSWm-1 ?SWn は端子T3に接続される。サ?モメ?タコ?ドでは、切り換えが行なわれるすべてのビットが同一方向に切り換えられる(切り換えが行なわれるすべてのビットが“0”から“1”または“1”から“0”のいずれか一方向に切り換えられる。)ので、切り換えが行なわれている過渡的状態においても全体のコ?ド値自体は同一方向に変化するのみである。したがって、スイッチSW1 ?SWn が切り換えられる過渡的状態において、各スイッチ間にスイッチング速度の違いがたとえ存在したとしても、グリッジノイズが発生することが原理的にない。
【0015】以上の抵抗R11 ?R1n-1 、抵抗R21 ?R2n 、抵抗R3、スイッチSW1 ?SWn および制御回路CNTにより抵抗網回路装置が構成される。
【0016】上記抵抗網回路装置の端子T3および端子T4はそれぞれ演算増幅器OPの非反転入力端子および反転入力端子にそれぞれ接続されており、演算増幅器OPの非反転入力端子と出力端子との間には抵抗R4(抵抗値“r4”)が接続されている。
【0017】以上の抵抗網回路装置、演算増幅器OPおよび抵抗R4により可変利得装置が構成される。」

3.対比

そこで、本件補正発明と引用発明とを対比する。

(1)装置
引用発明の「ディジタルアッテネータユニット(1)」は、「装置」といえる。

(2)複数の減衰回路
引用発明の「減衰セクション」は、「減衰回路」といえ、複数の減衰セクション(1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g)は、直列に結合される。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「直列に連結された複数の減衰回路を具備」する点で一致する。

(3)各減衰回路
引用発明の各減衰セクションは、切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定される。減衰素子側に設定される時、入力信号を減衰させるから、本件補正発明でいう「第1のモード」において動作するといえ、通過側に設定される時、入力信号を減衰させないから、本件補正発明でいう「第2のモード」において動作するといえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「各減衰回路は、第1のモードまたは第2のモードにおいて動作可能であり、前記第1のモードにおいて入力信号を減衰させ、かつ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させないように構成され」る点で一致する。

(4)バイナリ復号減衰回路のセットと温度計復号減衰回路のセット
引用発明の「減衰セクション(1a、1b、1c)」は、それぞれ異なる減衰量を与え、設定減衰量に対してバイナリ符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定されるから、本件補正発明でいう「バイナリ復号減衰回路のセット」といえ、「減衰セクション(1d、1e)」は、いずれも最大の減衰量を与え、設定減衰量に対して温度計符号的に減衰素子側若しくは通過側に設定されるから、本件補正発明でいう「温度計復号減衰回路のセット」といえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記複数の減衰回路は、相互に異なる減衰量を提供するバイナリ復号減衰回路のセットと、等しい減衰量を提供する温度計復号減衰回路のセットとを具備」する点で一致する。
もっとも、本件補正発明と引用発明とは、「複数の減衰回路」について、本件補正発明が、「前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない」のに対し、引用発明は、「減衰セクション(1a、1b、1c)」及び「減衰セクション(1d、1e)」の他に「減衰セクション(1f、1g)」を備える点で相違する。

(5)等しい減衰量と相互に異なる減衰量
引用発明の「減衰セクション(1a、1b、1c)」は、それぞれ異なる減衰量を与え、「減衰セクション(1d、1e)」は、いずれも最大の減衰量を与え、それぞれ異なる減衰量の和は前記最大の減衰量に対して最小分解能だけ小さい構成とされる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記等しい減衰量は、前記相互に異なる減衰量よりも大き」い点で一致する。

(6)分配回路とスイッチ
引用発明の「減衰セクション(1d、1e)」は、切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定される。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記温度計復号減衰回路の各々は、前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチを具備」する点で一致する。
もっとも、本件補正発明と引用発明とは、「前記温度計復号減衰回路の各々」について、「入力信号を受けて、分配回路についての出力信号を供給するように構成された分配回路と、前記分配回路に連結され、前記分配回路のために前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチとを具備し、前記分配回路は、前記第1のモードにおいて前記入力信号を減衰させ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させず、前記少なくとも1つのスイッチは、前記第1のモードにおいてグラウンドに前記分配回路からの中間電流を導き、前記第2のモードにおいて回路出力に前記分配回路からの中間電流を導くように構成された単極双投(SPDT)スイッチを備え」るのに対し、引用発明は、「切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定される」点で相違する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>

「直列に連結された複数の減衰回路を具備し、
各減衰回路は、第1のモードまたは第2のモードにおいて動作可能であり、前記第1のモードにおいて入力信号を減衰させ、かつ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させないように構成され、
前記複数の減衰回路は、
相互に異なる減衰量を提供するバイナリ復号減衰回路のセットと、
等しい減衰量を提供する温度計復号減衰回路のセットと
を具備し、
前記等しい減衰量は、前記相互に異なる減衰量よりも大きく、
前記温度計復号減衰回路の各々は、
前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチを具備する装置。」の点。

そして、次の点で相違する。

<相違点>

(1)「複数の減衰回路」について、本件補正発明が、「前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない」のに対し、引用発明は、「減衰セクション(1a、1b、1c)」及び「減衰セクション(1d、1e)」の他に「減衰セクション(1f、1g)」を備える点。

(2)「前記温度計復号減衰回路の各々」について、「入力信号を受けて、分配回路についての出力信号を供給するように構成された分配回路と、前記分配回路に連結され、前記分配回路のために前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチとを具備し、前記分配回路は、前記第1のモードにおいて前記入力信号を減衰させ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させず、前記少なくとも1つのスイッチは、前記第1のモードにおいてグラウンドに前記分配回路からの中間電流を導き、前記第2のモードにおいて回路出力に前記分配回路からの中間電流を導くように構成された単極双投(SPDT)スイッチを備え」るのに対し、引用発明は、「切替素子(スイッチ)を使用して減衰素子側若しくは通過側に設定される」点。

4.判断

そこで、上記相違点について検討する。

相違点(1)について
引用発明の構成は、【図2】のG10?13、18?21において、いずれも減衰セクション(1c)が減衰素子側に設定されるため、G10?13とG18?21とで減衰セクション(1d)の設定が異なることによる影響が非常に小さいことを利用してG19?21をG10?13、18から計算により求めて測定を省き、G14?29において、いずれも減衰セクション(1d)が減衰素子側に設定されるため、G14?21とG22?29とで減衰セクション(1e)の設定が異なることによる影響が非常に小さいことを利用してG23?29をG14?22から計算により求めて測定を省くためのものである。
一方、「減衰セクション(1f、1g)」は、出力部(9)に接続される回路からの反射を減衰するために優先的に減衰素子側に設定されるものとも考えられるものの、上記の実減衰量を計算により求めて測定を省く手法においては、必須の構成ではなく、付加的な構成であり(特許請求の範囲には同減衰セクション(1f、1g)に対応する構成は特定されていないし、発明の詳細な説明にもこれについての特段の説明もない。)、任意に加除し得る構成である。
したがって、引用発明から「減衰セクション(1f、1g)」を削除して、「複数の減衰回路」について、「前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない」ものとすることは、当業者が容易に想到し得る。

相違点(2)について
引用例1に記載された「抵抗回路網装置」は、「第1抵抗」と「第2抵抗」とからなる「分配回路」と「スイッチ」とを具備する「温度計復号減衰回路」のセットといえる。該「スイッチ」の切り換えは制御回路からの制御信号によって制御され、「第2抵抗」からの電流が「第3端子」(「抵抗回路網装置」の出力)または「第4端子」(接地)に導かれる。
一方、引用例3には、「減衰セクション(1d、1e)」の具体回路について記載がないから、引用発明の「減衰セクション(1d、1e)」として、公知の「温度計復号減衰回路」を適宜採用し得るものと考えられる。
したがって、引用発明の「減衰セクション(1d、1e)」として、引用例1に記載された「抵抗回路網装置」を採用して、「前記温度計復号減衰回路の各々」について、「入力信号を受けて、分配回路についての出力信号を供給するように構成された分配回路と、前記分配回路に連結され、前記分配回路のために前記第1のモードまたは前記第2のモードを選択するように構成された少なくとも1つのスイッチとを具備し、前記分配回路は、前記第1のモードにおいて前記入力信号を減衰させ、前記第2のモードにおいて前記入力信号を減衰させず、前記少なくとも1つのスイッチは、前記第1のモードにおいてグラウンドに前記分配回路からの中間電流を導き、前記第2のモードにおいて回路出力に前記分配回路からの中間電流を導くように構成された単極双投(SPDT)スイッチを備え」るものとすることは、当業者が容易に想到し得る。

効果についてみても、上記構成の変更に伴って当然に予測される程度のことであって、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、引用例3に記載された発明及び引用例1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

平成25年5月8日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成23年10月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項2として記載したとおりのものである。

2.引用例

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]3.及び4.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である「異なる減衰量」について「相互に異なる減衰量」との構成を削除し、「複数の減衰回路」について「前記複数の減衰回路は、前記バイナリ復号減衰回路のセット及び前記温度計復号減衰回路のセットの他に減衰回路を備えない」との構成を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例3に記載された発明及び引用例1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-03 
結審通知日 2014-04-08 
審決日 2014-04-22 
出願番号 特願2010-532230(P2010-532230)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03G)
P 1 8・ 575- Z (H03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 儀同 孝信  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 乾 雅浩
関谷 隆一
発明の名称 プログラマブルゲイン回路  
代理人 岡田 貴志  
代理人 堀内 美保子  
代理人 河野 直樹  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井上 正  
代理人 野河 信久  
代理人 白根 俊郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 砂川 克  
代理人 中村 誠  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 竹内 将訓  
代理人 峰 隆司  
代理人 佐藤 立志  
代理人 井関 守三  
代理人 赤穂 隆雄  
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