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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1291478
審判番号 不服2013-12569  
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-02 
確定日 2014-09-04 
事件の表示 特願2009-111993「生体情報取得方法及び生体情報取得装置、並びに生理活性物質測定方法及び生理活性物質測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月25日出願公開、特開2010-266203〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成21年5月1日(優先日:平成20年5月20日、出願番号:特願2008-131752号、優先日:平成20年10月30日、出願番号:特願2008-279360号、優先日:平成21年4月17日、出願番号:特願2009-100582号)の出願であって、平成25年4月5日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、同年7月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされた。

第2 平成25年7月2日付けの手続補正の補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成25年7月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の発明
平成25年7月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、特許請求の範囲の減縮を目的として、以下のとおりのものに補正された。
「生体に由来する生理活性物質の定量値に基づいて、該生体に関する情報を取得する生体情報取得方法において、
超音波を用いず、前記生理活性物質を前記生体の体表表面から取得する手順と、
生体の体表表面から該生体に由来する生理活性物質を取得し、該生理活性物質を、表面プラズモンセンサー(SPR)又は水晶発振子マイクロバランスセンサー(QCM)にて、定量する手順とを含む生体情報取得方法。」

そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。

2.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2000-287942号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被験者が発汗する汗を採取する方法で、特に採取した汗に含まれる生体成分を測定する非侵襲測定に用いるのに好適な汗採取方法に関する。」
(b)「【0007】本発明は、被験者に負担を与えないような簡単かつ短時間で被験者の汗を効率的に採取することができる方法を提供するものである。さらに、対応する別の部位の発汗量を測定することで、発汗採取のモニタリングをすることができる汗採取方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の汗採取方法は、溶媒としてアルコールを含む水をいれた小型容器を片方の手の所定部位へ押し当てて皮膚に溶媒を浸たし、皮膚から発汗される汗を溶媒に溶かすことで汗を採取する汗採取方法である。さらに第二の発明として、汗を採取する際に、もう片方の手の採取する部位と対応する部位の発汗量を測定し、測定された発汗量を採取された汗の量とみなして、採取される汗の量をモニタリングすることを特徴とする汗採取方法である。
【0009】本発明で採取される汗には、皮膚表面より分泌される生体成分も含まれる。本発明の汗の採取に用いる採取容器は、容器中の溶媒が皮膚を浸すようにすることで汗を溶媒に溶かし込むためのものである。この採取容器の開口面積が一定にすれば皮膚単位面積あたりの発汗を反映する。採取容器としてサンプルチューブ(500μl容)を用いると採取した後、蓋をして保管することができ、遠心機にそのままかけることもできる。平べったい容器を用いれば皮膚表面に貼付けやすい。」
(c)「【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例では被験者の汗中のカフェイン濃度の測定を以下のように行なった。
(1)被験者にはカフェイン錠剤(Kafe soft 無水カフェイン93mg含有)を飲用させる。
(2)被験者の両手を常温の蒸留水にて10秒間流し、清浄にする。
(3)それから5分間待った後、1%アルコール水溶液70μlを入れた500μl容サンプルチューブを拇指掌側中心部に図1のようにひっくり返して押し当て、押し当てたままひっくり返す転倒を3分間行ない、皮膚表面を溶媒に浸す。
(4)それと同時にもう片方の手の拇指の同じ部位に局所発汗計測装置(スズケン製Kenz Perspiro OSS-100)を取り付け、汗の発汗量をモニタリングする。
(5)このようにして汗採取したサンプルチューブ中の溶媒をガスクロマトグラフィー/質量分析計にて、カフェイン濃度を測定した。
【0014】以上の操作により、溶媒中のカフェイン濃度(図3の■)と汗発汗量(図3の▲)と汗中のカフェイン濃度(図4)が得られた。汗中のカフェイン量は、採取後25分ですでに分泌され、1時間あたりに最大値を持ち、5時間でかなり低下してしまうというカフェイン摂取後のモニタリング結果が得られた。
【0015】
【発明の効果】この方法によって、血液を採血することもなく容易にモニタリングするための汗採取することができる。汗の発汗量も測定しているので汗採取の実質的な監視をすることもできる。本発明が提供する汗採取方法は簡便な方法でモニタリングも容易であるので、汗の非侵襲検査に役立てることができるものである。又、汗に分泌される生体成分についてはまだまだ調べられていないものが多い。熱や刺激をくわえることで汗の量が増えることが知られているが、その際単に水分のみが増えるのか生体成分の分泌量も増えるのかなど本発明で様々な汗に関する研究も可能となる。」
(d)「【図1】



これらの記載事項を含む引用文献1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すれば、引用文献1には、以下の発明が記載されている。
「溶媒としてアルコールを含む水をいれた小型容器を片方の手の所定部位へ押し当てて皮膚に溶媒を浸たし、皮膚から発汗される汗を溶媒に溶かすことで、皮膚表面より分泌される生体成分も含む汗を採取し、
小型容器を遠心機にそのままかけ、又は、採取した溶媒をガスクロマトグラフィー/質量分析計にかける、
分析方法。」(以下「引用発明」という。)

3.対比
補正発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「皮膚表面より分泌される生体成分」と補正発明の「生体に由来する生理活性物質」は、ともに「生体に由来する物質」である点で共通する。
(2)引用発明の「小型容器を遠心機にそのままかけ、又は、採取した溶媒をガスクロマトグラフィー/質量分析計にかける、分析方法」は、補正発明の「生体に関する情報を取得する生体情報取得方法」に相当する。引用発明が生体成分の定量値に基づいて分析を行っていることは明らかである。
(3)引用発明の「溶媒としてアルコールを含む水をいれた小型容器を片方の手の所定部位へ押し当てて皮膚に溶媒を浸たし、皮膚から発汗される汗を溶媒に溶かすことで、皮膚表面より分泌される生体成分も含む汗を採取」する手順と、補正発明の「超音波を用いず、前記生理活性物質を前記生体の体表表面から取得する手順」は、ともに「超音波を用いず、前記物質を前記生体の体表表面から取得する手順」で共通する。
(4)引用発明の「小型容器を遠心機にそのままかけ、又は、採取した溶媒をガスクロマトグラフィー/質量分析計にかける」手順と、補正発明の「該生理活性物質を、表面プラズモンセンサー(SPR)又は水晶発振子マイクロバランスセンサー(QCM)にて、定量する手順」は、ともに「該物質を定量する手順」で共通する。

してみると両者は、
「生体に由来する物質の定量値に基づいて、該生体に関する情報を取得する生体情報取得方法において、
超音波を用いず、前記物質を前記生体の体表表面から取得する手順と、
生体の体表表面から該生体に由来する物質を取得し、該物質を定量する手順とを含む生体情報取得方法。」
の点で一致し、次の各点で相違している。

(相違点1)
生体に由来する物質が、補正発明では「生理活性物質」であるのに対して、引用発明では生体成分ではあるが、生理活性物質であるかどうか明らかではない点。
(相違点2)
物質を定量する手順が、補正発明では「表面プラズモンセンサー(SPR)又は水晶発振子マイクロバランスセンサー(QCM)」であるのに対して、引用発明では「小型容器を遠心機にそのままかけ、又は、採取した溶媒をガスクロマトグラフィー/質量分析計にかける」点。

4.判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1について
皮膚表面より分泌される生体成分に生理活性物質が含まれていることは、当業者の技術常識であって、引用発明が未知の物質を含むさまざまな生体成分を対象にしている(上記摘記事項(c)段落【0015】参照)ことに鑑みれば、引用発明の生体成分として生理活性物質を対象とすることにより、上記相違点1に係る構成を採用することは当業者が容易になしうる事項である。
(2)相違点2について
生体に由来する物質の定量に表面プラズモンセンサー(SPR)又は水晶発振子マイクロバランスセンサー(QCM)を用いることは周知技術である。
そして、引用発明に当該周知技術を用いることに格別の技術的困難性も阻害要因もない。
してみると、引用発明に当該周知技術を適用することによって、上記相違点2に係る構成を採用することは当業者が容易になしうる事項である。
(3)効果について
補正発明全体の効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものではない。

(4)小括
したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年7月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「生体に由来する生理活性物質の定量値に基づいて、該生体に関する情報を取得する生体情報取得方法において、
前記生理活性物質を前記生体の体表表面から取得する手順を含む生体情報取得方法。」

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特表2004-529734号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(a)「【0001】
本発明は、生体の皮膚障壁越しの非侵襲的漏出液抽出に関する。
【背景技術】
【0002】
生物の体液中の関心のある物質を分析しまたは処理するために、皮膚障壁越しに流体を抽出する必要があることがよくある。体液試料の抽出は従来から、中空の針で皮膚に穴をあけて、あるいはメスまたは他の器具を用いて切開して体液を放出させるなどの侵襲性の技法によって達成されてきた。しかし、このような侵襲性の技法には、それによって組織が傷つくという欠点がある。また針にも、管が詰まる、または非常に局限された部位から体液を抽出する針の性質から、体液を代表する試料が得られない可能性があるといった欠点がある。針はさらに、しばしば患者に物理的な痛みを感じさせ、場合によっては精神的な恐怖を引き起こす。
【0003】
いくつかの分析物では、試料を短期間に集中的に繰り返し採取する必要がある。このような条件での侵襲的手段による血液の採取には問題がある。」
(b)「【0013】
したがって本発明の目的は、以上に述べた欠点のうちの少なくともいくつかを解決し、または少なくとも有用な選択肢を社会に提供する漏出液の非侵襲抽出装置を提供することにある。」
(c)「【0018】
本発明は、生体の皮膚障壁越しに漏出液を非侵襲的に抽出する漏出液抽出装置を提供する。この装置は、その最も広い意味において、超音波発生装置と、漏出液採集装置と、流体循環手段とを含む。」
(d)「【0026】
漏出液採集装置は、皮膚障壁を通り抜けて生体外へ出てきた漏出液を受け取る。一実施形態では漏出液採集装置は単に、吸収ゲルなどの特定の媒質に漏出液が蓄積される採集場所を含む。あるいは採集装置は室または容器である。さらに、この採集場所、室または容器を、流体ストリームと漏出液との連結部(nexus)とすることもできる。」
(e)「【0042】
漏出液抽出装置はさらに、漏出液試料中の関心ある1種または数種の物質の存在を検出し、かつ/またはそのレベルを測定する検出器または分析器を備えることができる。極性部分および荷電部分であることが好ましい。本発明の抽出装置を使用して検出し分析することができる物質の例には、タンパク質、ポリペプチド、ステロイドホルモン、炭化水素部分および代謝産物が含まれる。ただしこれらに限定されるわけではない。より具体的な例は、カフェイン、エタノール、プロゲステロン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、プロラクチン、プロカルシトニン、TNFα、IL6、プロポフォール、プソイドエフェドリン、インスリン、インターフェロン、エストロゲン、テストステロン、17βエストラジオール、コルチゾール、齧歯類のコルチコステロン、エリトロポエチン、グルコース、エタノール、カフェインおよび乳酸を含むグループから選択される。ただしこれらに限定されるわけではない。」

上記各記載事項を含む引用文献2全体の記載及び当業者の技術常識を総合すれば、引用文献2には、以下の発明が記載されている。
「超音波発生装置と、漏出液採集装置と、流体循環手段と漏出液試料中のコルチゾールの存在を検出し、かつそのレベルを測定する分析器を備える漏出液抽出装置を用い、
生体の皮膚障壁越しに漏出液を非侵襲的に抽出・分析する方法。」(以下「引用2発明」という。)

3.対比
本願発明と引用2発明を対比する。
(1)引用2発明の「漏出液試料中のコルチゾール」は本願発明の「生体に由来する生理活性物質」に相当する。
同「コルチゾールの存在を検出し、かつそのレベルを測定する」ことは本願発明の「定量値に基づいて、該生体に関する情報を取得する生体情報取得方法」に相当する。
(2)引用2発明の「生体の皮膚障壁越しに漏出液を非侵襲的に抽出」することは、本願発明の「生理活性物質を前記生体の体表表面から取得する手順」に相当する。

そうすると、両者は、
「生体に由来する生理活性物質の定量値に基づいて、該生体に関する情報を取得する生体情報取得方法において、
前記生理活性物質を前記生体の体表表面から取得する手順を含む生体情報取得方法。」
の点で一致し、相違点はない。

4.判断
上記のとおり、本願発明は引用2発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用2発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-02 
結審通知日 2014-07-08 
審決日 2014-07-24 
出願番号 特願2009-111993(P2009-111993)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
P 1 8・ 113- Z (G01N)
P 1 8・ 575- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土岐 和雅  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 藤田 年彦
神 悦彦
発明の名称 生体情報取得方法及び生体情報取得装置、並びに生理活性物質測定方法及び生理活性物質測定装置  
代理人 渡邊 薫  
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