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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04L
管理番号 1291852
審判番号 不服2011-26651  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-09 
確定日 2014-09-10 
事件の表示 特願2007-536619「異なるデジタル著作権管理ドメイン間のコンテンツ交換のための方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月27日国際公開,WO2006/043784,平成20年 5月22日国内公表,特表2008-517519〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2005年10月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2004年10月20日,2005年4月22日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって,
平成19年4月17日付けで特許法第184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出されると共に審査請求がなされ,平成22年5月26日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成22年8月26日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,平成23年1月24日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成23年6月16日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成23年8月4日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して平成23年12月9日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成24年2月17日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされ,平成24年7月23日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋がなされ,平成24年11月16日付けで回答書が提出され,平成25年9月13日付けで当審により,平成23年12月9日付けの手続補正に対する補正却下の決定がなされる(発送;平成25年9月27日)と共に拒絶理由が通知され(発送;平成25年9月17日),これに対して平成25年12月17日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたものである。

第2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成25年12月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものである。

「 【請求項1】
特定のDRMフォーマットのコンテンツを,前記特定のDRMフォーマットと異なるフォーマットを有する目標DRM装置に搬出するための搬出装置において,
前記搬出装置は,前記特定のDRMフォーマットのコンテンツを実行するDRM装置と結合して動作し,
前記特定のDRMフォーマットのコンテンツを,クリアリソース,メタデータ及び権利表現にアンパッケージングするためのアンパッケージング手段と,
前記アンパッケージングされたクリアリソース,メタデータ及び権利表現の各々を特定のDRMに依存しない中立フォーマットに変換するための変換手段と,
前記変換された前記クリアリソース,権利表現及びメタデータを組み合わせ,所定のヘッダ情報を追加して前記中立フォーマットのコンテンツを生成するための生成手段と,
前記生成された中立フォーマットのコンテンツを公開キー基盤構造(Public Key Infrastructure:PKI)を用いて暗号化するための暗号化手段と,
前記目標DRM装置に接続されて前記中立フォーマットのコンテンツを実行するデバイスを認証するためのデバイス認証手段と,
前記中立フォーマットのコンテンツを前記目標DRM装置に転送するための転送手段と,を備え,
前記暗号化手段は,前記中立フォーマットのコンテンツに対してハッシュコード値を計算し,前記ヘッダ情報内のハッシュコードフィールドに記録し,秘密キーを用いて前記ハッシュコード値を電子署名し,前記電子署名されたハッシュコード値を前記ヘッダ情報内の電子署名フィールドに記録することを特徴とする搬出装置。」

第3.引用刊行物に記載の発明
一方,当審が,平成25年9月13日付けの拒絶理由(以下,これを「当審拒絶理由」という)において引用した,本願の第1国出願前に既に公知である,国際公開第2003/079270号(2003年9月25日公開,以下,これを「引用刊行物1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「[0037] The DRM system 100 addresses security aspects of protecting the protected content 134. In particular, the DRM system 100 can authenticate the license 142 that has been issued by the license server 140. One way to accomplish such authentication is for the client software component 122 to determine if the licenses 142 can be trusted. In other words, the client software component 122 can include the capability to verify and/or validate the cryptographic signature, or other identifying characteristic of the license 142. During the activation step described above, the client environment 120 and the license server 140 can receive the set of keys 112 in a tamper-resistant software package that can include other components, such as the client software component 122 for the activated client environment 120 to verify the signature of the license 142.
[0038] The DRM system 100 is of an exemplary nature and can be implemented in numerous other equivalent arrangements. the license 142 and the protected content 134 can be distributed from different entities. As another example, the rights offer 132 can be associated with the protected content 134 by a party other than the party preparing the protected content 134. As a further example, a clearinghouse 160 can be used to process payment transactions and verify payment prior to issuing the license 142. Moreover, the various processes and transactions can be performed via online and/or offline environments and/or combinations thereof. an end user could download content to a computer and then transfer the content from the computer to a personal digital assistant (PDA). The end user could then buy a license for the content via a supermarket kiosk, a cash register, a prep-paid license card, and then transfer the license to the PDA. The end user could then activate the content for use on the PDA and/or the computer. In such an offline scenario, the various devices can, but need not, communicate directly with one another and information can be exchanged in any suitable manner, such as by physically moving media between the devices.
[0039] FIG. 2 is a schematic illustration of exemplary multi-pass interpretation processes 200 that can be implemented on one or more of the devices and sub-systems of the Digital Rights Management systems of FIGs. 1, 4 and 5. In FIG. 2, the exemplary multi-pass interpretation processes 200 can include exemplary localizer processes 201, exemplary simplifier processes 203, and exemplary translator processes 205. The exemplary localizer processes 201 can receive a rights expression 207 in a grammar-based language, such as XrML, and rights expression language information 209 including syntax information, semantics information. The exemplary localizer processes 201 can convert the rights expression 207 into an intermediate format that can be referred to as in an exemplary self-contained format 211 based on and the grammar-based rights expression language information 209.
[0040] The exemplary simplifier processes 203 can receive the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, state of rights information 213, device information 217 for the targeted computing environment. The exemplary simplifier processes 203 can convert the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, to an exemplary intermediate format that can be referred to as an exemplary simplified format 215 based on the state of rights information 213, the device information 217.
[0041] The exemplary translator processes 205 can receive the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 or the rights expression 207 in the exemplary simplified format 215, along with the device information 217. The exemplary translator processes 205 can convert the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, the rights expression 207 in the exemplary simplified format 215, into an intermediate format that can be referred to as an exemplary device-specific format 219 based on the device information 217. In an exemplary embodiment, the exemplary localizer processes 201, the exemplary simplifier processes 203, the exemplary translator processes 205, can be implemented on one or more of the devices and sub-systems of the Digital Rights Management systems of FIGs. 1, 4 and 5.
[0042] FIG. 3 is a flowchart for illustrating the exemplary multi-pass interpretation processes 200 of FIG. 2. In FIG. 3, at step 301 the rights expression 207 file in a grammar-based language, such as XrML, can be retrieved for multi-pass interpretation processing. At step 303 the retrieved rights expression 207 can be converted from a native format, such as XrML, into the exemplary self-contained format 211, including an exemplary binary format, such as an XML-based binary format, an XrML-based binary format and the like. In an exemplary embodiment, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, can be machine- readable, platform-independent. Thus, the rights expression 207 in the self-contained format 211, does not have to be dependent on any specific processing capability, such as an XML processing capability, an XrML processing capability.」
(下線は,当審にて,説明の都合上,附加したものである。以下,同じ。)
(【0024】
DRMシステム100は,被保護コンテンツ134を保護するセキュリティ形態を実現するものである。とりわけ,DRMシステム100は,ライセンス・サーバ140によって発行されたライセンス142を認証してもよい。そのような認証を実現する1つの方法は,ライセンス142を信用することができるかどうかをクライアント・ソフトウェア・コンポーネント122が判断することである。換言すると,クライアント・ソフトウェア・コンポーネント122は,ライセンス142の暗号署名またはその他の識別特徴を確認及び/または検証する能力を含んでもよい。上述した起動ステップ中,クライアント環境120及びライセンス・サーバ140は,改ざん防止性ソフトウェア・パッケージ内に一組の鍵112を受信してもよく,その改ざん防止性ソフトウェア・パッケージは,ライセンス142の署名を確認するために,起動されたクライアント環境120のクライアント・ソフトウェア・コンポーネント122のようなその他のコンポーネントを含んでもよい。
【0025】
DRMシステム100は,例としての特徴を有するものであり,多くのその他の同等の装置において実施されてもよい。ライセンス142及び被保護コンテンツ134は,異なるエンティティから配信されてもよい。別の例として,権利オファー132は,被保護コンテンツ134を作成する団体以外の団体によって,被保護コンテンツ134に対応付けられてもよい。さらなる例として,ライセンス142を発行する前に,支払いトランザクションを処理しかつ支払いを確認するために,決済機関160が,使用されてもよい。さらに,様々なプロセス及びトランザクションが,オンライン環境及び/またはオフライン環境及び/またはそれらの組み合わせによって,実行されてもよい。エンド・ユーザは,コンテンツをコンピュータにダウンロードし,そして,コンテンツをそのコンピュータから個人用携帯情報端末(PDA)へ転送してもよい。そして,エンド・ユーザは,スーパーマーケット,キオスク,キャッシュ・レジスター,プリペイド式ライセンス・カードを介して,コンテンツのライセンスを購入し,そして,そのライセンスをPDAへ転送してもよい。そして,エンド・ユーザは,PDA及び/またはコンピュータ上で使用するために,コンテンツを起動してもよい。そのようなオフライン・シナリオにおいては,様々な装置は,互いに直接に通信してもよく,あるいは,互いに直接に通信しなくてもよく,そして,情報は,何らかの適切な方法によって,例えば,装置間を物理的に移動する媒体によって,交換されてもよい。
【0026】
図2は,図1,図4,及び,図5に示されるデジタル権利管理システムの1つかまたはそれ以上の装置及びサブシステム上で実施されてもよい一般的なマルチパス解釈プロセス200の概略図である。図2において,一般的なマルチパス解釈プロセス200は,一般的なローカライザ・プロセス201,一般的な単純化プロセス203,及び,一般的なトランスレータ・プロセス205を含んでもよい。一般的なローカライザ・プロセス201は,XrMLのような文法ベース言語で記述された権利表現207,及び,シンタックス情報及びセマンティクス情報を含む権利表現言語情報209を受信してもよい。一般的なローカライザ・プロセス201は,権利表現207を中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,文法ベース権利表現言語情報209に基づいた一般的な自己完結型フォーマット211と呼ばれてもよい。
【0027】
一般的な単純化プロセス203は,権利表現207,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207,権利情報の状態213,ターゲット・コンピューティング環境の装置情報217を受信してもよい。一般的な単純化プロセス203は,権利表現207及び一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,一般的な中間言語フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,権利情報の状態213及び装置情報217に基づいた一般的な単純化フォーマット215と呼ばれてもよい。
【0028】
一般的なトランスレータ・プロセス205は,権利表現207,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207,または,一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,装置情報217とともに受信してもよい。一般的なトランスレータ・プロセス205は,権利表現207,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207,一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,装置情報217に基づいた一般的な装置特定フォーマット219と呼ばれてもよい。例としての実施形態において,一般的なローカライザ・プロセス201,一般的な単純化プロセス203,一般的なトランスレータ・プロセス205は,図1,図4,及び,図5に示されるデジタル権利管理システムの1つかまたはそれ以上の装置及びサブシステム上で実施されてもよい。
【0028】
一般的なトランスレータ・プロセス205は,権利表現207,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207,または,一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,装置情報217とともに受信してもよい。一般的なトランスレータ・プロセス205は,権利表現207,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207,一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,装置情報217に基づいた一般的な装置特定フォーマット219と呼ばれてもよい。例としての実施形態において,一般的なローカライザ・プロセス201,一般的な単純化プロセス203,一般的なトランスレータ・プロセス205は,図1,図4,及び,図5に示されるデジタル権利管理システムの1つかまたはそれ以上の装置及びサブシステム上で実施されてもよい。
【0029】
図3は,図2に示される一般的なマルチパス解釈プロセス200を説明するフローチャートである。図3によれば,ステップ301において,マルチパス解釈プロセスのために,XrMLのような文法ベース言語で記述された権利表現207のファイルが,リトリーブされてもよい。ステップ303において,リトリーブされた権利表現207は,XrMLのようなネイティブなフォーマットから,XMLに基づいたバイナリ・フォーマット,XrMLに基づいたバイナリ・フォーマット,及び,それらに類似するもののような一般的なバイナリ・フォーマットを含む一般的な自己完結型フォーマット211に変換されてもよい。例としての実施形態においては,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207は,機械可読なものであり,かつ,プラットフォームに依存しないものであってもよい。したがって,自己完結型フォーマット211による権利表現207は,XML処理能力,XrML処理能力のような何らかの特定の処理能力に依存するものでなくてもよい。<対応する特表2005-520254号公報より引用。以下,同じ。>)

B.「[0054] In an exemplary embodiment, the exemplary translator processes 203 can include devices, components, applications, functions, systems, platforms, responsible for translating the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary simplified format 215, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, into the rights expression 207 in the exemplary device-specific format 219 for the targeted computing environment. ・・・(中略)・・
[0055] In an exemplary embodiment, the localizer 201 processes, the simplifier 203 processes, the translator 205 processes, can be independent from one another, h a further exemplary embodiment, however, the localizer 201 processes, the simplifier 203 processes, and the translator 205 processes, can be dependent on one another. In addition, the localizer 201 processes, the simplifier 203 processes, and the translator 205 processes can communicate with each other via any suitable data format, such as the exemplary intermediate formats.」
(【0041】
例としての実施形態においては,一般的なトランスレータ・プロセス203は,権利表現207,一般的な単純化フォーマット215による権利表現207,及び,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,ターゲット・コンピューティング環境のための一般的な装置特定フォーマット219に変換する責任を有する,装置,コンポーネント,アプリケーション,機能,システム,プラットフォームを含んでもよい。・・・(中略)・・・
【0042】
例としての実施形態において,ローカライザ・プロセス201,単純化プロセス203,及び,トランスレータ・プロセス205は,互いに独立したものであってもよい。しかしながら,さらなる実施形態においては,ローカライザ・プロセス201,単純化プロセス203,及び,トランスレータ・プロセス205は,互いに依存するものであってもよい。さらに,ローカライザ・プロセス201,単純化プロセス203,及び,トランスレータ・プロセス205は,一般的な中間フォーマットのような何らかの適切なデータ・フォーマットを介して,互いに通信してもよい。)

C.「[0058] In FIG. 4, the DRM system 400 can be employed to allow digital music to be played on both a personal computer 405 and one or more other devices 409, such MP2 players, MP3 players, set-top boxes, handheld devices. In this embodiment, small devices 409 are devices with specific functions. For example, on MP3 player might only be able to play music and is not able to print or accept payments. In the DRM system 400, the rights expression 207 can be converted into the exemplary self- contained format 211 using the exemplary localizer processes 201, the exemplary simplified format 215 using the exemplary simplifier processes 203.
[0059] The converted rights expression 207 then can be sent to the personal computer 405 where the converted rights expression 207 can be processed to authorize the use of the protected digital music. Exemplary distributor processes 401 can be employed to transmit the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 to the personal computer 405 via the gateway.
[0060] From the personal computer 405, a user also can translate the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 or the exemplary simplified format 215, into the exemplary device-specific format 219 suitable for the small devices 205 using the exemplary translator processes 205. The user then can send both the protected digital music and the associated rights expression 207 in the exemplary device-specific format 219 to the small devices 409, so that the protected digital music can be played on the small devices 409 in accordance with rights expression 207. Accordingly, the rights expression 207 can be converted into the exemplary self-contained format 211 or the exemplary simplified format 215 and then to the exemplary device-specific format 219 as illustrated in Fig. 2 and discussed above.
・・・・・(中略)・・・・・
[0062] The exemplary localizer processes 201, the exemplary distributor processes can be implemented in the computer system 130 of Fig. 1, while the personal computer 405, the exemplary interpreter processes 403, the exemplary simplifier processes 203 and the exemplary translator processes 205, can be implemented on the exemplary client environment 120 of FIG. 1. However, the exemplary localizer processes 201, the exemplary distributor processes 401, the exemplary interpreter processes 403, the exemplary simplifier processes 203, and the exemplary translator processes 205, can be implemented on one or more of the devices and sub-systems of the Digital Rights Management systems of FIGs. 1, 4 and 5.」
(【0045】
図4において,DRMシステム400は,パーソナル・コンピュータ405,及び,MP2プレーヤー,MP3プレーヤー,セット・トップ・ボックス,ハンドヘルド・デバイスのような1つかまたはそれ以上のその他の装置409の両方においてデジタル音楽が再生されるのを可能にするために,使用されてもよい。この実施形態においては,小型装置409は,特定の機能を備えた装置である。例えば,MP3プレーヤーにおいては,音楽を再生することしかできず,支払いを印刷し承諾することはできないかもしれない。DRMシステム400においては,権利表現207は,一般的なローカライザ・プロセス201を用いて,一般的な自己完結型フォーマット211に変換されてもよく,一般的な単純化プロセス203を用いて,一般的な単純化フォーマット215に変換されてもよい。
【0046】
そして,変換された権利表現207は,パーソナル・コンピュータ405へ送信されてもよく,そのパーソナル・コンピュータ405において,変換された権利表現207は,保護されたデジタル音楽の使用を許可するために,処理されてもよい。一般的なディストリビュータ・プロセス401が,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,ゲートウェイを介して,パーソナル・コンピュータ405へ送信するのに使用されてもよい。
【0047】
パーソナル・コンピュータ405から,ユーザは,さらに,一般的なトランスレータ・プロセス205を用いて,一般的な自己完結型フォーマット211または一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,小型装置205に適した一般的な装置特定フォーマット219に変換してもよい。そして,ユーザは,保護されたデジタル音楽及びそれに対応する一般的な装置特定フォーマット219による権利表現207の両方を小型装置409へ送信してもよく,その結果として,権利表現207に基づいて,保護されたデジタル音楽を小型装置409上で再生することができる。したがって,権利表現207は,図2に示されるように,また,上述したように,一般的な自己完結型フォーマット211または一般的な単純化フォーマット215に変換され,そして,一般的な装置特定フォーマット219に変換されてもよい。
・・・・・(中略)・・・・・
【0049】
一般的なローカライザ・プロセス201及び一般的なディストリビュータ・プロセスは,図1に示されるコンピュータシステム130において実施されてもよく,パーソナル・コンピュータ405,一般的なインタープリタ・プロセス403,一般的な単純化プロセス203,及び,一般的なトランスレータ・プロセス205は,図1に示される一般的なクライアント環境120において実施されてもよい。しかしながら,一般的なローカライザ・プロセス201,一般的なディストリビュータ・プロセス401,一般的なインタープリタ・プロセス403,一般的な単純化プロセス203,及び,一般的なトランスレータ・プロセス205は,図1,図4,及び,図5に示されるデジタル権利管理システムの1つかまたはそれ以上の装置またはサブシステム上において実施されてもよい。)

D.「

(FIG.2には,少なくとも,権利表現207が,単純化プロセス203に入力され,単純化されたフォーマットに変換され,トランスレータプロセス205に入力され,装置特定フォーマットに変換される場合と,権利表現が,ローカライザプロセス201に入力され,自己完結型フォーマットに変換されて,トランスレータプロセス205に入力されて,装置特定フォーマットに変換される場合と,権利表現が,ローカライザプロセス201に入力され,自己完結型フォーマットに変換されて,単純化プロセス203に入力され,単純化されたフォーマットに変換され,トランスレータプロセス205に入力され,装置特定フォーマットに変換される場合とが示されている。)」

E.「



1.上記Aの「 FIG. 2 is a schematic illustration of exemplary multi-pass interpretation processes 200 that can be implemented on one or more of the devices and sub-systems of the Digital Rights Management systems of FIGs. 1, 4 and 5.( 図2は,図1,図4,及び,図5に示されるデジタル権利管理システムの1つかまたはそれ以上の装置及びサブシステム上で実施されてもよい一般的なマルチパス解釈プロセス200の概略図である)」という記載,同じく上記Aの「The exemplary localizer processes 201 can receive a rights expression 207 in a grammar-based language, such as XrML, and rights expression language information 209 including syntax information, semantics information. The exemplary localizer processes 201 can convert the rights expression 207 into an intermediate format that can be referred to as in an exemplary self-contained format 211 based on and the grammar-based rights expression language information 209.(一般的なローカライザ・プロセス201は,XrMLのような文法ベース言語で記述された権利表現207,及び,シンタックス情報及びセマンティクス情報を含む権利表現言語情報209を受信してもよい。一般的なローカライザ・プロセス201は,権利表現207を中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,文法ベース権利表現言語情報209に基づいた一般的な自己完結型フォーマット211と呼ばれてもよい)」という記載,同じく上記Aの「The exemplary simplifier processes 203 can convert the rights expression 207, the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, to an exemplary intermediate format that can be referred to as an exemplary simplified format 215 based on the state of rights information 213, the device information 217(一般的な単純化プロセス203は,権利表現207及び一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,一般的な中間言語フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,権利情報の状態213及び装置情報217に基づいた一般的な単純化フォーマット215と呼ばれてもよい)」という記載,及び,上記Cの「From the personal computer 405, a user also can translate the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 or the exemplary simplified format 215, into the exemplary device-specific format 219 suitable for the small devices 205 using the exemplary translator processes 205. The user then can send both the protected digital music and the associated rights expression 207 in the exemplary device-specific format 219 to the small devices 409(パーソナル・コンピュータ405から,ユーザは,さらに,一般的なトランスレータ・プロセス205を用いて,一般的な自己完結型フォーマット211または一般的な単純化フォーマット215による権利表現207を,小型装置205に適した一般的な装置特定フォーマット219に変換してもよい。そして,ユーザは,保護されたデジタル音楽及びそれに対応する一般的な装置特定フォーマット219による権利表現207の両方を小型装置409へ送信してもよく)」という記載,並びに,同じく上記Cの「the rights expression 207 can be converted into the exemplary self-contained format 211 ・・・・・・ and then to the exemplary device-specific format 219 as illustrated in Fig. 2 and discussed above.(権利表現207は,図2に示されるように,また,上述したように,一般的な自己完結型フォーマット211・・・・に変換され,そして,一般的な装置特定フォーマット219に変換されてもよい)」という記載と,上記Dに引用したFIG.2に示された事項から,引用刊行物1からは,
“デジタル権利管理システムにおいて,文法ベース言語で記述された権利表現を,ローカライザ・プロセスにおいて,中間フォーマットである自己完結型フォーマットに変換し,前記中間フォーマットである自己完結型フォーマットを,トランスレータ・プロセスにおいて小型装置に適した装置特定フォーマットに変換する”ことが読み取れ,
ここで,「ローカライザ・プロセス」,及び,「トランスレータ・プロセス」は,上記Aの「The exemplary localizer processes 201 can convert the rights expression 207 into an intermediate format that can be referred to as in an exemplary self-contained format 211 based on and the grammar-based rights expression language information 209(一般的なローカライザ・プロセス201は,権利表現207を中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,文法ベース権利表現言語情報209に基づいた一般的な自己完結型フォーマット211と呼ばれてもよい)」という記載,及び,上記Bの「the exemplary translator processes 203 can include devices(一般的なトランスレータ・プロセス203は,装置を含んでもよい)」という記載から,引用刊行物1においては,「ローカライザ・プロセス」,及び,「トランスレータ・プロセス」は,「装置」である態様を含むことは明らかであるから,上記において検討した事項と併せると,引用刊行物1には,
“文法ベース言語で記述された権利表現を,ローカライザ装置において,中間フォーマットに変換し,前記中間フォーマットを,トランスレータ装置において小型装置に適した特定フォーマットに変換するデジタル権利管理システム”が記載されていることが読み取れる。

2.上記Aの「The exemplary localizer processes 201 can convert the rights expression 207 into an intermediate format that can be referred to as in an exemplary self-contained format 211 based on and the grammar-based rights expression language information 209.(一般的なローカライザ・プロセス201は,権利表現207を中間フォーマットに変換してもよく,その中間フォーマットは,文法ベース権利表現言語情報209に基づいた一般的な自己完結型フォーマット211と呼ばれてもよい)」という記載,及び,同じく上記Aの「the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211, can be machine- readable, platform-independent.(一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207は,機械可読なものであり,かつ,プラットフォームに依存しないものであってもよい)」という記載から,引用刊行物1においては,
“中間フォーマットは,プラットフォームに依存しないもの”であることが読み取れる。

3.上記Cの「the DRM system 400 can be employed to allow digital music to be played on both a personal computer 405 and one or more other devices 409, such MP2 players, MP3 players, set-top boxes, handheld devices(DRMシステム400は,パーソナル・コンピュータ405,及び,MP2プレーヤー,MP3プレーヤー,セット・トップ・ボックス,ハンドヘルド・デバイスのような1つかまたはそれ以上のその他の装置409の両方においてデジタル音楽が再生されるのを可能にするために,使用されてもよい。この実施形態においては,小型装置409は,特定の機能を備えた装置である)」という記載,同じく上記Cの「The converted rights expression 207 then can be sent to the personal computer 405(変換された権利表現207は,パーソナル・コンピュータ405へ送信されてもよく)」という記載,及び,同じく上記Cの「Exemplary distributor processes 401 can be employed to transmit the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 to the personal computer 405 via the gateway(一般的なディストリビュータ・プロセス401が,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,ゲートウェイを介して,パーソナル・コンピュータ405へ送信するのに使用されてもよい)」という記載,並びに,同じく上記Cの「 The user then can send both the protected digital music and the associated rights expression 207 in the exemplary device-specific format 219 to the small devices 409(ユーザは,保護されたデジタル音楽及びそれに対応する一般的な装置特定フォーマット219による権利表現207の両方を小型装置409へ送信してもよく)」という記載から,引用刊行物1からは,
“中間フォーマットの権利表現をパーソナル・コンピュータに送信し,パーソナル・コンピュータから,小型装置にデジタル音楽及び小型装置に適した特定フォーマット権利表現を送信する”ことが読み取れる。
そして,上記Bの「the localizer 201 processes, the simplifier 203 processes, and the translator 205 processes can communicate with each other via any suitable data format, such as the exemplary intermediate formats(ローカライザ・プロセス201,単純化プロセス203,及び,トランスレータ・プロセス205は,一般的な中間フォーマットのような何らかの適切なデータ・フォーマットを介して,互いに通信してもよい)」という記載と,上記1.において検討した事項から,引用刊行物1からは,
“ローカライザ装置と,トランスレータ装置とが通信を行う”点が読み取れる。
更に,上記において検討した事項と,上記Eにおいて引用したFIG.4に示された内容から,引用刊行物1からは,
“ローカライザ装置とトランスレータ装置とが通信を行う”点が読み取れる。
更に,上記において検討した事項と,上記Eにおいて引用したFIG.4に示された内容から,引用刊行物1からは,
“ローカライザ装置とパーソナル・コンピュータとが通信を行い,パーソナル・コンピュータとトランスレータ装置とが通信を行い,トランスレータ装置と小型装置が通信を行う”点が読み取れ,各装置間で通信を行っていることから,引用刊行物1が,
“ローカライザ装置とパーソナル・コンピュータとが接続され,パーソナル・コンピュータとトランスレータ装置とが接続され,トランスレータ装置と小型装置とが接続される”態様を含み得ることは明らかである。

4.上記Aの「an end user could download content to a computer and then transfer the content from the computer to a personal digital assistant (PDA)(エンド・ユーザは,コンテンツをコンピュータにダウンロードし,そして,コンテンツをそのコンピュータから個人用携帯情報端末(PDA)へ転送してもよい)」という記載,及び,上記3.においても引用した,上記Cの「Exemplary distributor processes 401 can be employed to transmit the rights expression 207 in the exemplary self-contained format 211 to the personal computer 405 via the gateway(一般的なディストリビュータ・プロセス401が,一般的な自己完結型フォーマット211による権利表現207を,ゲートウェイを介して,パーソナル・コンピュータ405へ送信するのに使用されてもよい)」という記載,並びに,同じく上記3.において引用した,上記Cの「 The user then can send both the protected digital music and the associated rights expression 207 in the exemplary device-specific format 219 to the small devices 409(ユーザは,保護されたデジタル音楽及びそれに対応する一般的な装置特定フォーマット219による権利表現207の両方を小型装置409へ送信してもよく)」という記載から,引用刊行物1における「デジタル音楽」が,「コンテンツ」の一種であることは明らかであるから,上記で指摘の上記A,及び,上記Cに引用した記載内容,並びに,上記1.?3.において検討した事項から,引用刊行物1からは,
“コンテンツと中間フォーマットの権利表現がパーソナル・コンピュータに送信され,前記パーソナル・コンピュータから,小型装置に,コンテンツと小型装置に適した特定フォーマット権利表現の両方が送信される”点が読み取れる。

5.上記Aの「The DRM system 100 addresses security aspects of protecting the protected content 134.(DRMシステム100は,被保護コンテンツ134を保護するセキュリティ形態を実現するものである。)」という記載,及び,同じく上記Aの「the client software component 122 can include the capability to verify and/or validate the cryptographic signature, or other identifying characteristic of the license 142.(クライアント・ソフトウェア・コンポーネント122は,ライセンス142の暗号署名またはその他の識別特徴を確認及び/または検証する能力を含んでもよい。)」という記載からも明らかなように,引用刊行物1に記載された「デジタル権利管理システム」は,
“暗号署名の確認等を行うことでコンテンツの保護を実現するデジタル権利管理システム”であることは明らかである。

6.上記Aの「The end user could then activate the content for use on the PDA and/or the computer(エンド・ユーザは,PDA及び/またはコンピュータ上で使用するために,コンテンツを起動してもよい)」という記載,及び,上記Cの「the converted rights expression 207 can be processed to authorize the use of the protected digital music(そのパーソナル・コンピュータ405において,変換された権利表現207は,保護されたデジタル音楽の使用を許可するために,処理されてもよい)」という記載から,引用刊行物1に記載された「パーソナル・コンピュータ」では,「コンテンツ」が実行される,或いは,「コンテンツ」の処理が行われていることも明らかである。

以上,1.?6.において検討した事項から,引用刊行物1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されていると認める。

文法ベース言語で記述された権利表現を,ローカライザ装置において,中間フォーマットに変換し,前記中間フォーマットを,トランスレータ装置において小型装置に適した特定フォーマットに変換する,暗号署名の確認等を行うことでコンテンツの保護を実現するデジタル権利管理システムにおいて,
前記ローカライザ装置とコンテンツが実行されるパーソナル・コンピュータとが接続され,前記パーソナル・コンピュータと前記トランスレータ装置とが接続され,前記トランスレータ装置と前記小型装置とが接続され,
前記ローカライザ装置は,文法ベース言語で記述された権利表現を,プラットフォームに依存しない中間フォーマットの権利表現に変換し,
前記中間フォーマットの権利表現と,コンテンツが,前記パーソナル・コンピュータに送信される,デジタル権利管理システム。

第4.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「ローカライザ装置」は,「パーソナル・コンピュータ」に「権利表現」を送信する前に,「文法ベース言語で記述された権利表現」を,「プラットフォームに依存しない中間フォーマットの権利表現」に変換しているので,
本願発明における「搬出装置」と,
“特定のDRMフォーマットの権利表現を,前記特定のDRMフォーマットとは異なるフォーマットを有する目標DRM装置に搬出するための装置”である点で共通する。

2.引用発明における「パーソナル・コンピュータ」は,「コンテンツを実行する」ものであるから,本願発明における「目標DRM装置」に相当する。

3.引用発明においては,「ローカライザ装置」は,「権利表現」を,「プラットフォームに依存しない中間の権利表現に変換」しているので,
本願発明の「搬出装置」における「変換手段」と,
“権利表現を特定のDRMに依存しない中立のフォーマットに変換する変換部”を有している点で共通する。

4.引用発明における「ローカライザ装置」は,“中間フォーマットの権利表現と,コンテンツが,パーソナル・コンピュータに送信する”ものであるから,
本願発明における「転送手段」と,
“コンテンツと中立フォーマットの権利表現とを目標DRM装置に転送するための転送部”である点で共通する。

以上,1.?4.において検討した事項から,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
特定のDRMフォーマットの権利表現を,前記特定のDRMフォーマットとは異なるフォーマットを有する目標DRM装置に搬出するための装置において,
権利表現を特定のDRMに依存しない中立のフォーマットに変換する変換部と,
コンテンツと中立フォーマットの権利表現とを目標DRM装置に転送するための転送部とを備える,搬出するための装置。

[相違点1]
本願発明においては,“搬出装置は,特定のDRMフォーマットのコンテンツを実行するDRM装置と結合して動作”するものであるのに対して,
引用発明における「ローカライザ装置」が,“コンテンツを実行する装置”と結合されているかについて,明確に示されていない点。

[相違点2]
“特定のDRMフォーマットの権利表現を,前記特定のDRMフォーマットとは異なるフォーマットを有する目標DRM装置に搬出するための装置”に関して,
本願発明においては,“特定のDRMフォーマットのコンテンツを,搬出するための搬出装置”であるのに対して,
引用発明における「ローカライザ装置」は,「権利表現」が送信されていることは読み取れるが,「コンテンツ」を送信しているか不明な点。

[相違点3]
本願発明においては,「特定のDRMフォーマットのコンテンツを,クリアリソース,メタデータ及び権利表現にアンパッケージングするためのアンパッケージング手段」,及び,「変換された前記クリアリソース,権利表現及びメタデータを組み合わせ,所定のヘッダ情報を追加して前記中立フォーマットのコンテンツを生成するための生成手段」を有しているに対して,
引用発明においては,“コンテンツのパック,アンパック”については言及されていない点。

[相違点4]
“変換部”に関して,
本願発明においては,「アンパッケージングされたクリアリソース,メタデータ及び権利表現の各々を特定のDRMに依存しない中立フォーマットに変換する」ものであるのに対して,
引用発明においては,「クリアリソース」,「メタデータ」の変換については言及されていない点。

[相違点5]
本願発明においては,「生成された中立フォーマットのコンテンツを公開キー基盤構造(Public Key Infrastructure:PKI)を用いて暗号化するための暗号化手段」と,「目標DRM装置に接続されて前記中立フォーマットのコンテンツを実行するデバイスを認証するためのデバイス認証手段」とを備え,“暗号化手段は,中立フォーマットのコンテンツに対してハッシュコード値を計算し,ヘッダ情報内のハッシュコードフィールドに記録し,秘密キーを用いて前記ハッシュコード値を電子署名し,電子署名されたハッシュコード値をヘッダ情報内の電子署名フィールドに記録する”ものであるのに対して,
引用発明においては,“コンテンツの暗号化”,“デバイス認証”,“電子署名フィールドへの記録に関する一連の処理”に関しては,特に言及されていない点。

第5.相違点についての当審の判断
1.[相違点1]について
引用発明においては,上記Eにおいて引用したFIG.4に示されているように,「文法ベース言語で記述された権利表現」を用いて「コンテンツ」を起動する機器についての言及はないが,「パーソナル・コンピュータ」に接続された「トランスレータ装置」によって「権利表現」を変換する点は示されており,これらの処理も「パーソナル・コンピュータ」が「DRM装置」であることから,異なる「権利表現」の「DRM装置」に向けて,「権利表現」を変換していることは明らかである。従って,引用発明においても,「ローカライザ装置」が接続された「DRM装置」からの「権利表現」を,「パーソナル・コンピュータ」へ送信するための「中間フォーマットの権利表現」に変換するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
なお,本願発明における「結合」が,「DRM装置」に「搬出装置」を“直接接続”することを意味するとしても,“直接接続”された“機器”側で,「DRM」に関連した処理を行う点については,例えば,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2003-296484号公報(2003年10月17日公開,以下,これを「周知文献1」という)に,

F.「【0063】メモリカード400は,コンテンツデータを格納するためのメモリ410と,ライセンスデータの格納および処理を行うためのTRM420から構成されている。さらに,TRM420は,コントローラ421と,メモリ部422と,暗号回路423と,認証部424とを備える。
【0064】コントローラ306は,内蔵メモリに格納された制御プログラムに従って各部を制御する。メモリ部422は,コンテンツIDに対応付けてライセンスデータを格納すると共に,当該メモリカード400の機器証明書を保持する。
【0065】暗号回路423は,配信サーバ100,仲介サーバ200および携帯端末装置300との間で暗号化通信路を確立確立すると共に,当該暗号化通信路を介して送信を行うデータを暗号化し,また,受信した暗号化データを復号する。また,暗号回路423は,自身の機器証明書に含まれる公開鍵と対となる秘密鍵を保持し,自身の機器証明書に含まれる公開鍵によって暗号化されたデータを復号する。なお,かかる処理において発生・保持する暗号鍵,および暗号化通信路の確立過程については,追って詳述する。
【0066】認証部424は,仲介サーバ200および携帯端末装置300から送信された機器証明書を認証鍵Kpaで認証処理し,送信されてきた機器証明書の正当性を判定する。」

などと記載されてもいるように,本願の第1国出願前に当業者には周知の技術事項に過ぎない。
よって,相違点1は,格別のものではない。

2.[相違点2]について
引用発明においても,上記Cにおいて引用した段落【0047】に記載されているように,「パーソナル・コンピュータ」から,「小型装置」に「保護されたデジタル音楽」,即ち,「コンテンツ」,及び,「それに対応する一般的な装置特定フォーマット219による権利表現207の両方」を送信する態様を含んでいることから,パーソナル・コンピュータへ「コンテンツ」を送信する際に,「ローカライザ装置」を経由する,或いは,「ローカライザ装置」から送信するよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点2は,格別のものではない。

3.[相違点3],及び,[相違点4]について
「コンテンツ」を管理する場合に,その管理情報と共に,該「コンテンツ」を「パック」すること,また,該「パック」された「コンテンツ」を処理するために「アンパック」するようなことは,本願発明の属する技術分野においては周知の技術事項であり(必要であれば,例えば,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2001-274788号公報(2001年10月5日公開,以下,これを「周知文献2」という)の段落【0138】以降,及び,【図6】,【図7】等を参照されたい。),コンテンツのフォーマットを変換する点についても,例えば,当審拒絶理由において引用した,特開2003-044388号(2003年02月14日公開,以下これを「引用刊行物2」という)に,

G.「【0078】中間生成パッケージ生成手段104におけるフォーマット変換処理は,例えば,図5に例示したライブラリ情報格納手段100からフォーマット変換処理情報100aを抽出し,このフォーマット変換処理情報100aを用い,コンテンツ素材情報抽出手段103から送られたコンテンツ素材情報のフォーマット変換を実行することによって行われる。」

と記載されているように,本願の第1国出願前に,当業者には,既に知られた技術であるから,引用発明においても,コンテンツを配信する際に,「権利表現」に加えて,必要に応じて,“コンテンツのソース”,及び,“メタデータ”も中間フォーマットに変換することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,相違点3,及び,相違点4は,格別のものではない。

4.[相違点5]について
「コンテンツ」を「公開キー」で暗号化する点については,当審拒絶理由において引用した,特開2004-023456号公報(2004年1月22日公開,以下,これを「引用刊行物3」という)に,

H.「【0055】
(4)まず,上記送信可能化要求のあった平文コンテンツPC1を,送信側DRM41内で秘密裏に生成した共通鍵Kc(コンテンツ暗号鍵)によって暗号化する(暗号化コンテンツ“E(Kc, PC1)”を生成)。
【0056】
また,上記共通鍵Kcとアクセス条件情報とを,セッション鍵Ksにより暗号化して,ライセンス(License(Kc,アクセス条件情報))を生成する。アクセス条件情報については,その一例を図7(c)に示し,後に説明する。尚,共通鍵KcにコンテンツIDを連結してから,セッション鍵Ksにより暗号化してもよい。尚,セッション鍵Ksとは,上記DRM認証により,受信側のファイル交換装置との間で共有する秘密鍵のことである。また,セッション鍵Ksに限らず,例えば受信側の公開鍵を用いて暗号化してもよい。
【0057】
(5)次に,上記(1)で生成してある秘密鍵Kxを用いて,上記暗号化コンテンツのデジタル署名“Sign(Kx, E(Kc, PC1)”を生成する。
(6)次に,暗号化コンテンツにデジタル署名を追加して成る署名付暗号化コンテンツ(E(Kc, PC1)+Sign(Kx, E(Kc, PC1)))を,ファイル交換装置40(送信側)内の送信可能化領域42に格納する。送信可能化領域42については,後に詳述するが,簡単に述べるならば,この送信可能化領域に格納されていないコンテンツが要求された場合には,この要求は拒否することになる。」

I.「【0065】
また,尚,特に図示しないが,上記証明書C(KPx),公開鍵(KPx),秘密鍵(Kx),共通鍵Kc等は,DRM内の所定の記憶領域に格納される。
尚,上記CAによるCRL(CertificateRevocation List;失効した証明書のリスト)の発行などにより,送信者のDRM証明書の期限がきれた場合は,期限後の最初の送信者登録時またはコンテンツ登録時に,新しい証明書の発行がなされる。」

と記載されているように,本願の第1国出願前に,当業者には既に知られた技術事項であり,引用発明においても,「保護されたコンテンツ」を生成する際に,「被保護コンテンツ」を「公開キー」を用いて暗号化する方式を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
また,送信先の装置を認証する点についても,当審拒絶理由において引用した,特開平10-032573号公報(1998年2月3日公開,以下,これを「引用刊行物4」という)に,

J.「【0077】各送信装置が受信装置識別子テーブル2を待たず,図13に示すように受信装置識別子テーブル2を持つ認証サーバ20に問い合わせを行うことで認証を行っても良い。同報送信装置は認証の実行にあたっては認証サーバと受信装置のメッセージのやりとりを中継し,最終的な認証の結果をサーバから得る。この方式をとれば各送信装置が受信装置識別子テーブルを持つ必要がない。」

と記載され,或いは,同じく,当審拒絶理由において引用した,特開2004-287784号公報(2004年10月14日公開,以下,これを「引用刊行物5」という)に,

K.「【0024】
この実施例のアクセス制御システムは、PKI(公開鍵インフラストラクチャ)を前提とし、当該アクセス制御システムがカバーするドメイン対応に認証局(CA)が設置され、各ユーザは証明書を持つ。また属性証明書発行局(AA)が設置され、この属性証明書発行局が発行する属性証明書をアクセス許可情報として用いる。この例では、認証局が属性証明書発行局をかねる。もちろん、以上は一例であり、このような構成に限定されず、種々の変更が可能である。」

と記載されてもいるように,本願の第1国出願前に,当業者には,既に知られた技術事項である。
さらに,コンテンツのヘッダに,データのハッシュ値への署名データを格納することも,例えば,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2004-282677号公報(2004年10月7日公開,以下,これを「周知文献3」という)に,

L.「【0005】
改ざん検出の技術は一般に大きく分けて二つのアプローチが考えられる。一つはディジタルデータのデータ部分からハッシュ関数を用いて算出したダイジェスト(ハッシュ値)を秘密鍵で暗号化(署名生成)して生成されるディジタル署名をファイルの所定位置(ヘッダ等)に添付するディジタル署名技術である。」

と記載され,或いは,同じく,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2003-298579号公報(2003年10月17日公開,以下,これを「周知文献4」という)に,

M.「【0018】
【発明の実施の形態】<第1の実施形態>まず,本発明の第1の実施形態によるディジタル署名データの生成を行うディジタル署名生成手段について図1を用いて説明する。ディジタルカメラやディジタルビデオカメラ等から入力されるディジタルデータは,まずハッシュ関数生成手段101に入力される。ハッシュ関数生成手段101では,ハッシュ関数を用いてディジタルデータからハッシュ値を計算し,後段の署名生成演算手段102に入力される。署名生成演算手段102では,公開鍵暗号方式を用いて演算処理する場合には,秘密鍵を用いて,ハッシュ値に対して演算処理を行い,ディジタル署名データを生成する。共通暗号鍵方式を用いる場合には,暗号化・復号化で必要な共通データ(秘密鍵)を用いて,ハッシュ値に対して演算処理を行い,ディジタル署名データを生成する。生成されたディジタル署名データ111はディジタルデータ112を格納するファイル110内のヘッダ等の所定位置に付加される」

と記載されてもいるように,本願の第1国出願前に,当業者には周知の技術事項であり,
引用発明においても,「コンテンツ」に対する「署名」が必要な場合に,上記引用の手法を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
以上のとおりであるから,相違点5は,格別のものではない。

上記で検討したごとく,相違点1?5はいずれも格別のものではなく,そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。

また,本願の請求項8に係る発明(以下,これを「本願発明2」という)は,「搬出装置」である本願発明と対になる,
「特定のDRMに依存しない中立のフォーマットのコンテンツを特定のDRMドメインに搬出するための搬入装置」,
であるが,
暗号化されたコンテンツを復号する点は,上記「第5.当審の判断」の「4.[相違点5]について」において検討したとおり,当業者には周知の技術事項であり,コンテンツをパッケージングする点についても,上記「第5.当審の判断」の「3.[相違点3],及び,[相違点4]について」において検討したとおり周知の技術事項であって,上記「第3.引用刊行物に記載の発明」において検討したとおり,引用発明が,“権利表現を,中間フォーマットに変換し,前記中間フォーマットを,トランスレータ装置において小型装置に適した特定フォーマットに変換する”構成を有する以上,本願発明2は,引用発明,及び,上記引用の周知技術から当業者が容易になし得たものである。

第6.むすび
したがって,本願発明,及び,本願発明2は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-01 
結審通知日 2014-04-04 
審決日 2014-04-30 
出願番号 特願2007-536619(P2007-536619)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新田 亮青木 重徳  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 田中 秀人
石井 茂和
発明の名称 異なるデジタル著作権管理ドメイン間のコンテンツ交換のための方法及びシステム  
代理人 関根 毅  
代理人 赤岡 明  
代理人 川崎 康  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 川崎 康  
代理人 勝沼 宏仁  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 赤岡 明  
代理人 関根 毅  

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