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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1291866
審判番号 不服2013-4918  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-13 
確定日 2014-09-10 
事件の表示 特願2010-544439「ワイヤレス通信システムのチャネル識別のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月30日国際公開、WO2009/094538、平成23年 4月 7日国内公表、特表2011-511539〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成21年1月23日(パリ条約に基づく優先権主張 2008年1月25日 米国、2009年1月20日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年7月13日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成24年10月22日に意見書が提出され、平成24年11月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年3月13日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。


第2.平成25年3月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年3月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正内容
本件補正は、出願時の請求項1:
「【請求項1】
ワイヤレス通信システム内の送信に関連するチャネルを示すための方法であって:
データ・パケットが送信されることになっているチャネルが第1のチャネルなのかまたは第2のチャネルなのかを識別することと;
前記識別されたチャネルに関連するフォーマットに従って第1の層に関連するプロトコルを使用して前記データ・パケットをフォーマットすることと;
前記第1のチャネルが識別されている場合に第1の論理値に、或いは前記第2のチャネルが識別されている場合に第2の論理値に、前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置における、前記データ・パケット内のビットをセットすることと;
を備える方法。」を、

「【請求項1】
ワイヤレス通信システム内の送信に関連するチャネルを示すための方法であって:
データ・パケットが送信されることになっているチャネルが第1のチャネルなのかまたは第2のチャネルなのかを識別することと;
前記識別されたチャネルに関連するフォーマットに従って第1の層に関連するプロトコルを使用して前記データ・パケットをフォーマットすることと;
前記第1のチャネルが識別されている場合に第1の論理値に、或いは前記第2のチャネルが識別されている場合に第2の論理値に、前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置における、前記データ・パケット内のビットをセットすることと;
を備え、前記第1のチャネルは、前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる、方法。」

と補正することを含むものである。ただし、下線は当審が付加した。

すなわち、本件補正は、請求項1において、

a.「第1のチャネル」に対して、「前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる」という限定を加えたものである。


2.補正の目的

上記補正事項a.は、「第1のチャネル」に対して、「前記データ・パケット請求内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる」という限定を加えることにより、特許請求の範囲を限定的に減縮したものである。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。


3.特許法第36条第6項第2号に規定される要件について検討

本件補正により、本願補正発明に「前記第1のチャネルは、前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる」という事項が加わっている。

本願補正発明に「前記第1のチャネルが識別されている場合に第1の論理値に、或いは前記第2のチャネルが識別されている場合に第2の論理値に、前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置における、前記データ・パケット内のビットをセットする」と記載されていることから、第1のチャネルが識別されている場合の前記データ・パケット内のビットの値(すなわち、第1の論理値)と、第2のチャネルが識別されている場合の前記データ・パケット内のビットの値(すなわち、第2の論理値)とが、異なっていることが理解できる。しかし、このことは本件補正前から明らかな事項である。

本件補正により加わった「前記データ・パケット内のビットの位置」とは、本願補正発明の「前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置」を指すものであることは、容易に推量される。
しかし、「前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネル」は、通常の平叙文に戻せば、「前記第2のチャネルは、前記データ・パケット内のビットの位置に基づく。」となるが、第2のチャネルに関して、どういう事項を説明しているのか不明確である。また、「前記第1のチャネルは、前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる」という記載から、「第1のチャネルは、前記第2のチャネルと異なる」ということは理解できるが、そのようなことは、「第1のチャネル」、「第2のチャネル」と本件補正前から区別していることからして、本件補正前から明らかな事項である。
してみると、「前記第1のチャネルは、前記データ・パケット内のビットの位置に基づく前記第2のチャネルと異なる」という記載が加わったことにより、どのような限定が、第1のチャネルに対してなされたのかは、不明確である。
したがって、本願補正発明は、特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たしていない。


4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
平成25年3月13日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものである。

1.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特表2005-536168号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(a)段落番号【0001】
「【0001】
本発明は、無線通信システムのデータ伝送に関し、特に、無線通信システムに同一チャネルを通して伝達するためのデータユニットの処理に関する。」

(b)段落番号【0019】-【0022】
「【0019】
図2のプロトコル階層は、Open System Interconnection(OSI)基準モデルの下位の三つの階層に基づいたもので、第1階層(L1)、第2階層(L2)及び第3階層(L3)に分けられる。以下、前記図2の各階層(L1、L2及びL3)を説明する。
【0020】
L1階層、即ち、物理階層は、多様な無線伝送技術を利用して、上位階層に情報伝送サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理階層は、伝送チャネル(Transport Channel)により、上位階層のMedium Access Control(MAC)階層と連結されている。これらのMAC階層及び物理階層は、前記伝送チャネルを通して互いに情報を交換する。
【0021】
L2階層は、MAC階層、Radio Link Control(RLC)階層、Broadcast/Multicast Control(BMC)階層、及びPacket Data Convergence Protocol(PDCP)階層から構成される。
【0022】
MAC階層は、無線資源の割当及び再割当のために、MACパラメータの割当サービスを提供し、論理チャネルを通して、上位階層のRLC階層と連結されている。」

(c)段落番号【0032】
「【0032】
L3階層の最下部には、Radio Resource Control(RRC)階層がある。前記RRC階層は、制御平面だけで定義され、無線運搬者(Radio Bearer)の設定、再設定及び解除と関連して、論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。前記無線運搬者サービスは、端末とUTRAN間のデータ伝送のために第2階層が提供するサービスを意味し、一般に、無線運搬者が設定されるということは、特定サービスを提供するために必要なプロトコル階層及びチャネルの特性を規定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定することを意味する。」

(d)段落番号【0038】
「【0038】
MAC階層は、識別のために、TCTF(Target Channel Type Field)、UE-ID、UE-ID type及びC/T(Control/Traffic)フィールドのうち一部または全体を追加してMAC PDUのヘッダーを構成する。従来技術においては、前記MACヘッダーは、それぞれのMAC SDU毎に付加される。即ち、同一伝送時間間隔(TTI;Transmission Time Interval)の間に伝送されるMAC SDU同士も互いに異なるMACヘッダーを有する。図8は、MAC PDUのフォーマットを示している。

(e)段落番号【0040】-【0041】
【0040】
論理チャネルに対する識別は、TCTFフィールドを通しての識別とC/Tフィールドを通しての識別の二種類がある。前記TCTFは、DCCH及びDTCHのような専用論理チャネルが他の論理チャネルと共にマッピングされることができる伝送チャネルで必要とする。即ち、FDD(Frequency Domain Duplex)の場合、TCTFはRACH及びFACHでだけ必要とし、TDD(Time Domain Duplex)の場合、前記TCTFはUSCH及びDSCHでも必要とする。
【0041】
FDDの場合についてだけ説明すると、FACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかを識別し、RACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがCCCHであるか、専用論理チャネルであるかを識別する。このとき、TCTFは、専用チャネルそれぞれに対する識別は行わない。」

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「無線通信システムのデータ伝送方法であって、
プロトコル階層は、OSI基準モデルの下位の三つの階層に基づいたもので、第1階層(L1)、第2階層(L2)及び第3階層(L3)に分けられ、
L1階層、即ち、物理階層は、多様な無線伝送技術を利用して、上位階層に情報伝送サービスを提供し、物理階層は、伝送チャネルにより、上位階層のMAC階層と連結されており、
L2階層は、MAC階層、RLC階層、BMC階層、及びPDCP階層から構成されており、
MAC階層は、無線資源の割当及び再割当のために、MACパラメータの割当サービスを提供し、論理チャネルを通して、上位階層のRLC階層と連結されており、
L3階層の最下部には、RRC階層があり、前記RRC階層は、制御平面だけで定義され、無線ベアラの設定、再設定及び解除と関連して、論理チャネル、伝送チャネル及び物理チャネルの制御を担当し、前記無線ベアラサービスは、端末とUTRAN間のデータ伝送のために第2階層が提供するサービスを意味し、一般に、無線ベアラが設定されるということは、特定サービスを提供するために必要なプロトコル階層及びチャネルの特性を規定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定することを意味し、
MAC階層は、識別のために、TCTF、UE-ID、UE-ID type及びC/Tフィールドのうち一部または全体を追加してMAC PDUのヘッダーを構成し、
論理チャネルに対する識別は、TCTFフィールドを通しての識別とC/Tフィールドを通しての識別の二種類があり、前記TCTFは、DCCH及びDTCHのような専用論理チャネルが他の論理チャネルと共にマッピングされることができる伝送チャネルで必要とされ、即ち、FDDの場合、TCTFはRACH及びFACHでだけ必要とし、TDDの場合、前記TCTFはUSCH及びDSCHでも必要とされ、
FDDの場合についてだけ説明すると、FACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかを識別する、
方法。」


2.本願発明と引用発明の一致点・相違点
引用発明の無線通信システムが、本願発明の「ワイヤレス通信システム」に相当する。
引用発明では、FDDの場合、FACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかを識別しているから、FDDの場合、FACHのTCTFが、送信に関連するチャネルを示している。
したがって、本願発明と引用発明とは、「ワイヤレス通信システム内の送信に関連するチャネルを示すための方法」である点で一致している。

引用発明では、FDDの場合、FACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかを識別しているから、送信側において、MAC PDUが送信されることになっているチャネルが複数のチャネルの内のどのチャネルになっているか識別していることは明らかである。
したがって、引用発明のMAC PDUが、本願発明の「データ・パケット」に相当し、本願発明と引用発明とは、「データ・パケットが送信されることになっているチャネルが第1のチャネルなのかまたは第2のチャネルなのかを識別する」点で一致している。

引用発明において、MAC PDUが送信されることになっているチャネルが識別されれば、そのチャネルに関連するフォーマットに従って、RRC層に関連するプロトコルを使用して前記MAC PDUをフォーマットすることは明らかである。
したがって、引用発明のRRC層が、本願発明の「第1の層」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記識別されたチャネルに関連するフォーマットに従って第1の層に関連するプロトコルを使用して前記データ・パケットをフォーマットする」点で一致している。

引用発明において、FDDの場合、FACHのTCTFは、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかを識別しているから、MAC PDU内のTCTFの位置を、受信側も知っていることは、当然である。
したがって、引用発明のMAC層が、本願発明の「第2の層」に相当し、引用発明のMAC PDU内のTCTFの位置が、本願発明の「前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置」に相当する。
また、引用発明において、マッピングされた論理チャネルがBCCHであるか、CCCHであるか、CTCHであるか、または専用論理チャネル(DCCH或いはDTCH)であるかに応じて、TCTFの論理値が異なることは当然である。
よって、本願発明と引用発明とは、「前記第1のチャネルが識別されている場合に第1の論理値に、或いは前記第2のチャネルが識別されている場合に第2の論理値に、前記データ・パケットの意図した受信側における第2の層で既知の位置における、前記データ・パケット内のビットをセットする」点で一致している。

したがって、本願発明と引用発明の間に相違点は存在せず、本願発明は、刊行物1に記載された発明である。


なお、仮に、本件補正が却下されない場合について検討しておく。
平成25年3月13日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項6に、
「【請求項6】
前記データ・パケット内の前記ビットがセットされる前記位置は、前記データ・パケット内の4番目の最上位ビットに対応する、
請求項1に記載の方法。」
と記載されている。

本願補正発明の従属項である請求項6において、「前記位置は、前記データ・パケット内の4番目の最上位ビットに対応する」と規定されていることから判断して、本願補正発明は、「前記位置は、前記データ・パケット内の任意の位置のビットに対応する」ものであると推測される。
他方、刊行物1の図8を参照すれば、TCTFは、MAC PDUの1番目の最上位ビットに対応している。本願補正発明の「前記位置は、前記データ・パケット内の任意の位置のビットに対応する」が、刊行物1の図8のような、「TCTFの位置は、MAC PDUの1番目の最上位ビットに対応する」を含むことは明らかである。
したがって、本願補正発明と引用発明の間にも相違点は存在せず、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明である。


3.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-10 
結審通知日 2014-04-15 
審決日 2014-05-01 
出願番号 特願2010-544439(P2010-544439)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04W)
P 1 8・ 537- Z (H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 高政  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 江口 能弘
佐藤 聡史
発明の名称 ワイヤレス通信システムのチャネル識別のための方法および装置  
代理人 白根 俊郎  
代理人 堀内 美保子  
代理人 峰 隆司  
代理人 中村 誠  
代理人 井関 守三  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 福原 淑弘  
代理人 赤穂 隆雄  
代理人 竹内 将訓  
代理人 井上 正  
代理人 河野 直樹  
代理人 岡田 貴志  
代理人 佐藤 立志  
代理人 砂川 克  
代理人 野河 信久  
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