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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B
管理番号 1292032
審判番号 不服2013-20020  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-15 
確定日 2014-09-18 
事件の表示 特願2010-518852「エレベータの行先階表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 1月 7日国際公開、WO2010/001466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、2008年7月2日を国際出願日とする出願であって、平成25年1月15日付けで拒絶理由が通知され、平成25年3月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成25年8月23日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成25年10月15日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年3月5日付け手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した図面からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられた表示装置と、
前記表示装置の一画面に同時に表示させる行先階の1よりも大きい最大表示数を格納した表示情報格納装置と、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも少ない場合は、行先階を、前記表示装置上に同時に表示させ、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも多い場合は、行先階を、前記最大表示数よりも少ない数に分割して、前記表示装置上に切り替え表示させる表示制御装置と、
を備え、
前記表示制御装置は、通常時に、前記表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、前記表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、一定時間、表示させることを特徴とするエレベータの行先階表示装置。」

3 引用文献
(1)原査定に引用され本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-59108号公報(以下、「引用文献」という。)には、「エレベータの呼び登録装置」について、次の事項が図面とともに記載されている。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば停止階床数の多いエレベータに適用するのに有効なエレベータの呼び登録装置に係り、特にエレベータの呼びの誤登録を防止すると共に、エレベータの呼びの2重登録を防止して、乗客への呼び登録操作のサービスを向上させるようにしたエレベータの呼び登録装置に関するものである。」(段落【0001】)

イ 「【0014】本発明の目的は、エレベータの呼びの誤登録を防止すると共に、エレベータの呼びの2重登録を防止して、乗客への呼び登録操作のサービスを向上させるようにしたエレベータの呼び登録装置を提供することにある。」(段落【0014】)

ウ 「【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明によるエレベータの呼び登録装置である呼び登録操作盤の全体構成例を示す概要図である。
【0022】すなわち、図1に示すように、本実施例の呼び登録操作盤1は、呼び登録の際の操作用のボタンとして、“0”?“9”までの数字で示される10個の呼びボタンと、“登録”・“取消”ボタンと、“開”・“閉”ボタンとを備えている。さらに、呼び登録表示装置2と、停止階表示装置3とを備えている。
【0023】ここで、呼び登録表示装置2は、呼びボタンによる呼び登録操作内容を表示・報知するためのものである。また、停止階表示装置3は、停止階床を含めた既登録呼びを表示・報知するためのものである。
【0024】なお、本呼び登録操作盤1は、図2に示すように、エレベータかご4の内部に取り付けられ、乗客が目的階床への呼び登録を行なうために用いられるものである。
【0025】次に、以上のように構成した本実施例の呼び登録操作盤1の操作の方法について、図3に示す処理フロー図を用いて説明する。なお、ここで、呼びボタンの登録や呼びボタンのランプの点灯、各表示装置2,3への出力等は、全て図示しないマイクロコンピューターを用いて処理を行なっているものと仮定する。また、マイクロコンピューターの処理の詳細については、公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0026】いま、乗客がエレベータに乗り込むと、まず、目的階床への呼びを登録する。すなわち、例えば33階床を登録したい時には、呼び登録操作盤1の“3”の呼びボタン、続いて“3”の呼びボタンを押操作することになる(処理ステップS31)。
【0027】そして、この時、乗客が何階床の呼びボタンを押操作しているかが呼び登録表示装置2に表示され(例えば、以下のような表示)、正しく入力されているかの判断を乗客に促す。
【0028】「33階の呼びを登録します。」
次に、正しく入力されていることを確認した乗客は、“登録”ボタンを押操作することにより(処理ステップS32)、マイクロコンピューターに33階床の呼びが入力されることになり、33階床が停止階床として登録される(処理ステップS33)。
【0029】なお、上記でもし呼び登録表示装置2に所望の階床の表示がなされなかった場合には、誤入力であるため、“取消”ボタンを押操作し(処理ステップS34)、再び目的階床の入力を行なえばよい。」(段落【0021】ないし【0029】)

エ 「【0031】次に、この場合の既登録呼びの報知方法について、図4に示す処理フロー図を中心として説明する。まず、現在登録されている呼びの中で、最も早く応答する停止階床が、停止階表示装置3に表示されると共に、他の既登録呼びも停止階表示装置3に表示される(処理ステップS41)。
【0032】すなわち、例えばエレベータが10階床から上方へ運転される時、19、21、35、40の各階床の呼びが既に登録されている場合の停止階表示装置3の表示内容を図5(a)に示す。
【0033】ここで、新たに呼び登録が操作された場合を説明する。例えば、33階床の呼びが新たに発生した場合には、次の停止階床(本例では19階床)と33階床とが比較され(処理ステップS43)、次の停止階床に変更がないので、33階床の呼びが、既登録呼びとして停止階表示装置3に表示される(処理ステップS46)。この時の表示内容の一例を図5(b)に示す。
【0034】また、新たに15階床の呼びが登録された場合には、次の停止階床(本例では19階床)と15階とが比較され、次の停止階床が15階床に変更となるため、停止階表示装置3の表示は図5(c)に示すようになる(処理ステップS44、処理ステップS45)。
【0035】このようにして、既登録の呼びが停止階表示装置3にて表示されることにより、どの階床の呼びが既に登録されているかを乗客に報知することができ、呼び登録の2重登録を防止することができる。
【0036】さらに、呼びが次々に登録された場合には、既登録呼びが停止階表示装置3に全てを一度に表示することが困難となるが、このような場合には、スクロール表示や、表示の切り換えにより、対応することができる。
【0037】そして、このような場合には、既登録呼びが瞬時に判断できず、乗客が混乱することが考えられる。このため、本実施例のように次の停止階床を表示することにより、乗客が目的階床の呼び登録を即時に行なわなければならないかどうかの判断ができるため、サービスの向上を図ることができる。
【0038】上述したように、本実施例のエレベータの呼び登録装置(呼び登録操作盤1)は、“0”?“9”までの数字で示される10個の呼びボタンと、“登録”・“取消”ボタンと、“開”・“閉”ボタンと、呼びボタンによる呼び登録操作内容を表示・報知するための呼び登録表示装置2と、停止階床を含めた既登録呼びを表示・報知するための停止階表示装置3とを備えるようにしたものである。
【0039】従って、呼び登録操作盤1の呼びボタンによる呼び登録の操作内容を表示して、乗客へ報知するようにしているため、呼びの誤登録を防止することが可能となる。
【0040】また、次の停止階床を含めた既登録呼びを表示して、乗客へ報知するようにしているため、呼びの2重登録を防止することが可能となる。これにより、乗客への呼び登録操作のサービスを向上させることができる。」(段落【0031】ないし【0040】)

オ 「【0041】尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、次のようにしても同様に実施できるものである。
(a)上記実施例では、停止階表示装置3を、呼び登録操作盤1内に設置する場合について説明したが、これに限らず、例えば図6(a),(b)に示すように、エレベータ幕板5の中に表示するようにしても、前述の場合と同様の効果が得られることは言うまでもない。
・・・
【0043】(c)上記実施例では、呼び登録操作盤1をエレベータかご内4に設置する場合について説明したが、これに限らず、例えばエレベータ乗場の行先階登録操作盤に設置するようにしても、前述の場合と同様の効果が得られるものである。」(段落【0041】ないし【0043】)

(2)引用文献の記載から分かること

a 上記(1)オ段落【0043】における「上記実施例では、呼び登録操作盤1をエレベータかご内4に設置する場合について説明したが、これに限らず、例えばエレベータ乗場の行先階登録操作盤に設置するようにしても、前述の場合と同様の効果が得られるものである。」という記載、上記(1)ウ段落【0024】における「なお、本呼び登録操作盤1は、図2に示すように、エレベータかご4の内部に取り付けられ、乗客が目的階床への呼び登録を行なうために用いられるものである。」という記載、及び上記(1)オ段落【0041】における「上記実施例では、停止階表示装置3を、呼び登録操作盤1内に設置する場合について説明したが、これに限らず、例えば図6(a),(b)に示すように、エレベータ幕板5の中に表示するようにしても、前述の場合と同様の効果が得られることは言うまでもない。」という記載、並びに図1、2、5及び6の記載から、停止階表示装置3が、エレベータ乗場やエレベータかご内に設けられるものであることが分かる。

b 上記(1)ウの段落【0021】ないし【0025】における既登録呼びである停止階の表示に係る記載、及び上記(1)エ段落【0036】における「さらに、呼びが次々に登録された場合には、既登録呼びが停止階表示装置3に全てを一度に表示することが困難となるが、このような場合には、スクロール表示や、表示の切り換えにより、対応することができる。」という記載、並びに図1ないし5の停止階に係る記載から、エレベータの呼び登録装置は、停止階表示装置3に既登録呼びである停止階の全てを一度に表示することが困難な場合には、表示の切り換えにより表示するものであることが分かる。

c 上記bに加え、図1及び5の記載から、停止階表示装置3に既登録呼びである停止階の全てを一度に表示することが困難でない場合に、一画面分の停止階を停止階表示装置3上に同時に表示させるものであることが分かる。

d 上記b及びcに加え、上記(1)エの段落【0031】ないし【0035】の記載、並びに図1ないし5における次の停止階及び以後の停止階に係る記載から、エレベータの呼び登録装置は、停止階表示装置3に、エレベータの進行方向の次の停止階から一画面分の停止階を表示させ、新たに呼び登録された停止階が、次の停止階から一画面分の停止階に一度に表示することが困難な場合は、停止階表示装置3に、新たに呼び登録された停止階を含む一画面を、切り換え表示するものであることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「エレベータ乗場やエレベータかご内に設けられた停止階表示装置と、
停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難でない場合は、停止階を、停止階表示装置上に同時に表示させ、
停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難な場合は、停止階を、停止階表示装置上に切り換え表示する呼び登録装置と、
を備え、
エレベータの呼び登録装置は、停止階表示装置に、エレベータの進行方向の次の停止階から一画面分の停止階を表示させ、新たに呼び登録された停止階が、次の停止階から一画面分の停止階に一度に表示することが困難な場合は、停止階表示装置に、新たに呼び登録された停止階を含む一画面を、切り換え表示するエレベータの呼び登録装置。」

4 対比
ア 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「停止階表示装置」は、その機能又は技術的意義からみて、本願発明における「表示装置」に相当し、以下同様に、「エレベータ乗場やエレベータかご内に」は「エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に」に、「呼び登録装置」は「表示制御装置」に、「エレベータの呼び登録装置」は「エレベータの行先階表示装置」にそれぞれ相当する。

イ 引用発明における「停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難でない場合は、停止階を、停止階表示装置上に同時に表示させ、
停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難な場合は、停止階を、停止階表示装置上に切り換え表示する呼び登録装置」は、
「表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に同時に表示させ、
表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に切り替え表示させる表示手段」という限りにおいて、
本願発明における「前記表示装置の一画面に同時に表示させる行先階の1よりも大きい最大表示数を格納した表示情報格納装置と、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも少ない場合は、行先階を、前記表示装置上に同時に表示させ、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも多い場合は、行先階を、前記最大表示数よりも少ない数に分割して、前記表示装置上に切り替え表示させる表示制御装置」に相当する。

ウ 引用発明における「エレベータの呼び登録装置は、停止階表示装置に、エレベータの進行方向の次の停止階から一画面分の停止階を表示させ、新たに呼び登録された停止階が、次の停止階から一画面分の停止階に一度に表示することが困難な場合は、停止階表示装置に、新たに呼び登録された停止階を含む一画面を、切り換え表示する」は、
「表示制御手段は、表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、表示させる」という限りにおいて、
本願発明における「前記表示制御装置は、通常時に、前記表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、前記表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、一定時間、表示させる」に相当する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられた表示装置と、
表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に同時に表示させ、
表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に切り替え表示させる表示手段と、
表示制御手段は、表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、表示させるエレベータの行先階表示装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
「表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に同時に表示させ、
表示装置に表示させる行先階を、表示装置上に切り替え表示させる表示手段」と、
「表示制御手段は、表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、表示させる」ことについて、
本願発明においては、「前記表示装置の一画面に同時に表示させる行先階の1よりも大きい最大表示数を格納した表示情報格納装置と、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも少ない場合は、行先階を、前記表示装置上に同時に表示させ、
前記表示装置に表示させる行先階の数が前記最大表示数よりも多い場合は、行先階を、前記最大表示数よりも少ない数に分割して、前記表示装置上に切り替え表示させる表示制御装置と、
を備え、
前記表示制御装置は、通常時に、前記表示装置に、エレベータの進行方向の最寄行先階から一画面分の行先階を表示させ、追加された行先階が最寄行先階から一画面分の行先階に含まれない場合は、前記表示装置に、追加された行先階を含む一画面を、一定時間、表示させる」のに対し、
引用発明においては、「停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難でない場合は、停止階を、停止階表示装置上に同時に表示させ、
停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難な場合は、停止階を、停止階表示装置上に切り換え表示する呼び登録装置と、
を備え、
エレベータの呼び登録装置は、停止階表示装置に、エレベータの進行方向の次の停止階から一画面分の停止階を表示させ、新たに呼び登録された停止階が、次の停止階から一画面分の停止階に一度に表示することが困難な場合は、停止階表示装置に、新たに呼び登録された停止階を含む一画面を、切り換え表示する」点(以下、「相違点」という。)。

5 判断
引用文献には、「なお、ここで、呼びボタンの登録や呼びボタンのランプの点灯、各表示装置2,3への出力等は、全て図示しないマイクロコンピューターを用いて処理を行なっているものと仮定する。また、マイクロコンピューターの処理の詳細については、公知であるので、ここではその説明を省略する。」(上記3(1)ウ段落【0025】)と記載されており、マイクロコンピューターが、プログラムや情報を格納するメモリを用いて制御を行うものであることは技術常識である。
一方、引用発明において、「停止階表示装置に表示させる停止階が全てを一度に表示することが困難でない場合」に一画面にて同時表示し、「一度に表示することが困難な場合」に切り換え表示する際に、一画面に表示可能な「停止階」の最大表示数を決定し、その最大表示数に加えて、例えば、一画面における停止階の表示数及び表示位置、並びに切り換え表示に係る分割された二つの画面における停止階の表示数及び表示位置を適宜考慮することは、技術の具体化に際し、当業者が通常採用し得る程度の技術的事項であるといえる。
そして、最大表示数をメモリに格納すべき情報とすることについては、当業者の格別の創意を要するものではないから、引用発明において、停止階表示装置の一画面に同時に表示させる停止階の1よりも大きい最大表示数を格納したメモリと、停止階表示装置に表示させる停止階の数が最大表示数よりも少ない場合は、停止階を、停止階表示装置上に同時に表示させ、停止階表示装置に表示させる停止階の数が最大表示数よりも多い場合は、停止階を、最大表示数よりも少ない数に分割して、停止階表示装置上に切り換え表示させる装置とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項であるといえる。
さらに、引用文献の「停止階表示装置3は、停止階床を含めた既登録呼びを表示・報知するためのものである。」(上記3(1)ウ段落【0023】)という記載によれば、エレベータの運行中に切り換え表示する際には、分割された二つの画面の表示を逐次切り換えることで、常時、使用者へ全ての停止階を表示・報知することが必要であるし、切り換え後の画面表示において、表示された停止階を使用者が認識できる程度の一定時間の表示とすることは、技術の具体化に際し、当業者が通常採用し得る程度の技術的事項であるといえる。また、引用発明の「一画面」に係る表示を「通常時」における表示として設定することは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、引用発明に基づき、相違点に係る本願発明の発明特定事項に想到することは当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明から当業者が予測できる範囲内のものである。

6 むすび
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-18 
結審通知日 2014-07-22 
審決日 2014-08-05 
出願番号 特願2010-518852(P2010-518852)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B66B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤村 聖子  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 藤原 直欣
金澤 俊郎
発明の名称 エレベータの行先階表示装置  
代理人 高橋 英樹  
代理人 小澤 次郎  
代理人 高田 守  

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