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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1292104
審判番号 不服2012-21102  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-25 
確定日 2014-09-16 
事件の表示 特願2009-532328「マッチング機密情報を有するユーザを識別及びリンクするためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 4月17日国際公開、WO2008/045000、平成22年 2月25日国内公表、特表2010-506330〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2006年10月9日を国際出願日とする出願であって,平成23年11月25日付けで拒絶理由通知がなされ,平成24年6月4日に手続補正がなされたが,同年6月21日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年10月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ,当審において,平成25年7月22日付けで拒絶理由通知がなされ,同年10月28日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成25年10月28日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

<本願発明>

「マッチング機密情報を有するユーザを識別及びリンクするためのコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、次の命令を実行するよう構成されたプロセッサであって、
ユーザ情報及びユーザに対する参照情報を表すデータを格納するものであり、ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法でユーザ情報を格納するデータベースを前記プロセッサによってアクセス可能なメモリ内で維持する命令と、
前記各々の機密レベルに関連する前記ユーザ情報の一部を含むデータフィールドにおけるマッチング情報を認定するためのマッチングエンジンを提供する命令と、
前記マッチングエンジンによって認定されたマッチング情報に関連する2以上のユーザをリンクするためのリンクユニットを提供する命令と、
他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されることを妨げる機密レベルを有するデータフィールドの機密レベルを、少なくとも単数の他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されるようにして、変更する通信手段を提供する命令と、
前記マッチング情報に関連する1ユーザの参照情報を前記マッチング情報に関連する他のユーザに表示するための参照プラットフォームを提供する命令であって、前記参照情報は、選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザにリリースされた情報、及び選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザには開示のためにまだ完全にはリリースされていない情報の概略を表示し、前記参照プラットフォームは、各ユーザのユーザ情報の少なくとも一部の各々の機密レベルを保ったまま、各々のユーザの信頼性を証明するための参照チェインを確立するために示された前記参照情報に関連する他の参照情報へのリンクを提供することを特徴とする参照プラットフォームを提供する命令と
を実行するよう構成されたプロセッサ、及び
前記プロセッサによって読取可能に構成された前記命令を格納するための格納デバイス、
を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。」

第3 引用文献

1.特開2002-133169号公報

当審の拒絶理由通知において引用された特開2002-133169号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

A.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インターネット等の通信回線を介して求人情報や求職情報の提供を行う求人求職支援システムに関する。」

B.「【0021】すなわち本発明の求人求職支援システムは、・・・(中略)・・・または、図1に示されるように、通信回線を介して求人者2に自身情報と該情報の開示可否と採用条件とを入力させる求人情報入力手段12と、前記入力された自身情報と該情報の開示可否と採用条件の情報に識別情報を付して求人情報データベース14に登録する求人情報登録手段16と、通信回線を介して求職者4に自身情報と該情報の開示可否と就労条件を入力させると共に適性検査に関する質問を与えて回答を入力させる求職情報入力手段18と、前記入力された適性検査の回答を分析する分析手段20と、前記入力された求職者の自身情報と該情報の開示可否と就労条件と前記分析手段20で得られた分析結果の情報に識別情報を付して求職情報データベース22に登録する求職情報登録手段24と、求職情報データベース22に登録された求職者の就労条件および分析結果を参照して前記入力された求人者2の採用条件に合致する求職者の検索を行う求職者検索手段26と、前記求職者検索手段26で検索された求職者が前記求職情報入力手段18で自身情報の開示可を入力しているときは該求職者の自身情報と就労条件と分析結果とを通信回線を介して前記求人者2に通知し、前記求職者検索手段26で検索された求職者が前記求職情報入力手段18で自身情報の開示不可を入力しているときは該求職者の識別情報と就労条件と分析結果とを通信回線を介して前記求人者2に通知する求職情報通知手段28と、求人情報データベース14に登録された求人者2採用条件を参照して前記入力された求職者4の就労条件および該求職者の分析結果に合致する求人者2の検索を行う求人者検索手段30と、前記求人者検索手段30で検索された求人者が前記求人情報入力手段12で自身情報の開示可を入力しているときは該求人者の自身情報と採用条件と前記求職者4の分析結果とを通信回線を介して前記求職者4に通知し、前記求人者検索手段30で検索された求人者が前記求人情報入力手段12で自身情報の開示不可を入力しているときは該求人者の識別情報と採用条件と前記求職者4の分析結果とを通信回線を介して前記求職者4に通知する求人情報通知手段32と、を有し、・・・(中略)・・・または、図3に示されるように、前記各登録手段16、24で求人者と求職者の自身情報の開示可否が入力される場合において、前記求人情報入力手段12及び求職情報入力手段18により入力される自身の情報は通信回線上の配信先情報を含み、前記識別情報により求人者又は求職者が宛先を指定して送信した伝言を通信回線を介して受信し、求人情報データベース14又は求職情報データベース22を検索して前記指定された宛先の配信先を検出し、該検出された配信先に前記伝言を通信回線を介して配信する伝言配信手段36を有し、・・・(中略)・・・または、図5に示されるように、前記伝言配信手段36を有する場合において、・・・(中略)・・・前記求職者検索手段26で検索された求職者が前記求職情報入力手段18で自身情報の開示不可を入力しているときは前記伝言配信手段36が前記通知を受けた求人者2から自身情報の開示不可を入力している求職者へ自身情報の開示要求の伝言を配信した後に前記伝言配信手段36が前記伝言を配信された求職者から前記求人者2へ前記求職者の自身情報を開示する伝言を配信する場合に該求人者2に情報提供料を課金する課金手段39を有し、・・・(中略)・・・ことを特徴とする。」

C.「【0031】・・・(中略)・・・さらに、課金手段38により、伝言配信手段36を用いて求職者の自身情報の開示を当事者間の自治により行わせ、求職者から求人者に送られる自身情報の開示伝言に対して求人者側に課金を行うシステムが実現される。これにより、前記の課金手段38を用いるときとは異なり、情報提供者が関与せずに当事者同士が直接に求職者の自身情報の開示を調整することが可能となる。」

D.「【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の求人求職支援システムの好適な実施例について説明する。
【0033】図7には本実施例の画面構成が示されている。なお、図7に記載された各画面は、図1乃至図6に記載された求人求職情報提供者のサイト6内の図示しないホームページサーバ(WWWサーバ)上にHTML形式で記述されており、インターネットを介してWebブラウザ等で閲覧可能な状態となっている。」

E.「【0037】この場合、オンライン電子決済等により、登録の同意と登録料の支払いとを同時に行わせることも可能である。また、本システムにおいては求人登録や求職者検索の手続は全てコンピュータにより自動化が可能であるため、求人求職情報提供者は登録料を低く抑えることが可能となる。」

F.「【0039】そして、各入力用画面54?58、68?70で求職者等により入力された情報は送信登録確認用画面60、72で前記求職者等による送信登録の確認が行われた後に送信されて、求人求職情報提供者側で受信される。そして、図示しないデータベースに対する登録処理、該データベースの検索処理および検索結果の表示対象となり、検索結果が検索結果表示画面62、74により表示される。以上の処理は、図1の求人求職情報提供者のサイト6における、入力手段12、18に対する処理、登録手段16、24によるデータベース14、22への登録処理、検索手段26、30によるデータベース14、22の検索処理、通知手段28、32による検索結果等の表示処理に相当する。」

G.「【0041】そして、求職者は本人情報入力画面54で自分自身の情報を入力する。また、求人者も本人情報入力画面66で本人の自己情報を入力する。
【0042】ここで、求職者の本人情報入力画面54については図8にその画面例が示されており、求人者の本人情報入力画面68については図10にその画面例が示されている。
【0043】すなわち、求職者等は、各々本人情報入力画面54、68で入力した自己の情報について、検索情報を閲覧する相手方の求人者等やその他の情報を閲覧する者(以下、単に「相手側」とする。)に開示するか否かを同画面54、68内のラジオボタン92、98により選択して入力することができる。この場合においては項目別に開示可否を設定することも可能である。」

H.「【0046】また、ラジオボタン92、98において「全て開示しない」等を選択し、自身の情報を非開示とした場合であっても、当該求職者等のデータがデータベースに登録されている以上、該データはデータベース検索処理の対象となる。」

I.「【0052】次に、求職者は求職情報入力画面56で就労条件、すなわち相手側の企業等に対する希望条件を項目別に入力する。また求人者も求人情報入力画面70で採用条件、すなわち相手側の応募者に対する希望条件を項目別に入力する。
【0053】ここで、求職者の求職情報入力画面56については図9にその画面例が示されており、求人者の求人情報入力画面70については図11にその画面例が示されている。
【0054】すなわち、求職者は求職情報入力画面56において、求人者は求人情報入力画面70において、希望する職種、職能、勤務形態、待遇面等について詳細な希望条件の情報を入力することが可能であり、これらの情報に基づいて後述のデータベース検索、すなわち入力された求人者等の情報とデータベースに登録されている求職者等の情報のマッチングが行われる。」

J.「【0073】また、図8や図10の本人情報入力画面54、68で求職者等がラジオボタン92、98で開示を指定した項目以外の項目については、検索結果の通知を受ける相手方には開示されない。
【0074】すなわち、検索された各登録者のデータに対して、開示可否を示すフラグデータ等により非開示とされた項目の情報が取り除く処理が行われ、この処理後のデータが相手側の求人者や求職者にインターネットで送信されることとなる。」

K.「【0094】さらに、本発明のシステム側では、求人求職情報を提供する提供者側の手続を全て自動化できるので全体のコストを極めて安く抑えることが可能となる。」

L.図5には,求人求職情報提供者のサイト6と,求人者2のPC端末と,求職者4のPC端末とが,インターネット等の通信回線に接続され,求人求職情報提供者のサイトに,求職情報入力手段18,求人情報入力手段12,求職情報登録手段24,求人情報登録手段16,求職情報データベース22,求人情報データベース14,求人者検索手段30,求職者検索手段26,求人情報通知手段32,求職情報通知手段28,伝言配信手段36,課金手段39を設けることが記載されている。

前記A.?L.および関連する図面の記載によれば,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。

<引用発明>

「インターネット等の通信回線を介して求人情報や求職情報の提供を行う求人求職情報提供者サイト6であって,
通信回線を介して,求人者2のPC端末,求職者4のPC端末と接続され,
各画面が,ホームページサーバ(WWWサーバ)上にHTML形式で記述されており,Webブラウザ等で閲覧可能であり,
本人情報入力画面66を用いて求人者2の自身情報と該自身情報の項目別の開示可否とを入力させ,求人情報入力画面70を用いて採用条件を項目別に入力させる求人情報入力手段12と,
前記入力された求人情報に求人者ごとの識別情報を付して求人情報データベース14に登録する求人情報登録手段16と,
本人情報入力画面54を用いて求職者4の自身情報と該自身情報の項目別の開示可否とを入力させ,求職情報入力画面56を用いて就労条件を項目別に入力させる求職情報入力手段18と,
前記入力された求職情報に求職者ごとの識別情報を付して求職情報データベース22に登録する求職情報登録手段24と,
求職情報データベース22に登録された求職情報が,求人者の採用条件に合致する求職者の検索を行う求職者検索手段26と,
前記求職者検索手段で検索された求職者の情報から非開示とされた項目の情報を取り除いた情報を,検索結果表示画面74に表示して求人者に通知する求職情報通知手段28と,
求人情報データベース14に登録された求人情報が,求職者の就労条件に合致する求人者の検索を行う求人者検索手段30と,
前記求人者検索手段で検索された求人者の情報から非開示とされた項目の情報を取り除いた情報を,検索結果表示画面62に表示して求職者に通知する求人情報通知手段32と,
伝言入力画面に入力された伝言を,通信回線を介して,検索結果の相手に配信する伝言配信手段36とを有し,
求人求職情報提供者サイトにおける手続は,コンピュータにより全て自動化され,
自身情報は,非開示とした場合であってもデータベース検索処理の対象となり,
伝言配信手段は,求人者から自身情報の開示不可を入力している求職者へ自身情報の開示要求の伝言を配信し,その後,伝言を配信された求職者から求人者へ求職者の自身情報を開示する伝言を配信し,これにより,当事者同士が求職者の自身情報の開示を調整することを可能にする,
求人求職情報提供者サイト。」

2.国際公開第2005/060154号

当審の拒絶理由通知において引用された国際公開第2005/060154号(以下,「引用文献2」という。)には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

A.「In recent years, communication has been increasingly carried out online over the internet. However, it is difficult to determine if the business or person with whom one is corresponding with online is bona fide. In an effort to establish their credentials online, individuals and businesses often scan diplomas, certificates, permits and the like into electronic image data and display these on web pages at websites. But such electronic images have not proven trustworthy since electronic images can easily be manipulated, and the viewer of such images cannot be certain if such images are trustworthy.
There exists therefore a pressing need for persons and businesses to establish their credentials in an online environment.」(第1ページ第6行?第15行)
(当審訳:「最近,通信がインターネットを介してオンラインで行われることが増加してきている。しかし,オンラインで通信しているビジネス又は人が真正であるかどうかを決定することは難しい。彼らの信用をオンラインで確立するための努力において,個人又はビジネスは,卒業証書,証明書,許可書などをスキャナ読み込みして電子画像データにして,これらをウエブサイトのウエブページに表示することが多い。しかし,このような電子画像は,信頼性が証明されていない。なぜなら,電子画像は,容易に改竄可能であり,このような画像の閲覧者は,このような画像が信頼できるかどうかが確信できない。
従って,人及びビジネスがオンライン環境において彼らの信用を確立するという切迫した必要性が存在している。」)

B.「The present invention relates generally to the hosting of electronic documents together with verification information supporting their authenticity on a server which is accessible by client computers on an international computer network environment. 」(第5ページ第6行?第9行)
(当審訳:「 本発明は,概略的には,国際的なコンピュータネットワーク環境にあるクライアントコンピュータがアクセス可能なサーバ上に,電子文書の真正性を裏付ける検証情報と共に電子文書をホスティングすることに関する。」

C.「The present invention may be implemented in the form of an internet based service and an example will now be described with reference to Figure 1.」(第5ページ第22行?第23行)
(当審訳:「本発明は,インターネットベースのサービス形態で実施することができる。ここで,図1を参照して,その一例について説明する。」)

D.「Documents on the repository's server 101 may also be referred to from electronic pages. For example electronic pages stored on web-sites or on removable media such as compact discs may refer to documents stored at the website of the repository 100. This is useful for internet based businesses who wish to establish their credentials in an online environment, such as, websites that sell products and services. This would include online auction sellers who can refer to trust building documentation stored at the repository's website from their auction listings. The present invention will also be useful for persons who wish to establish their identity and credentials in an online environment such as, for example, those looking for a partner using an online dating service. The electronic pages which refer to documents stored at the repository web-site may be in formats including HTML, PDF, MSWORD and as well as others. An effective method to access documents on the repository's server from electronic pages is to use hyperlinks. For example, a hyperlink may be created between an electronic page to the homepage of the repository 100 on the website hosted by the server 101 or, if the document is stored in a separate file on the server, the hyperlink may be linked to the URL of the file containing the document. The creation of hyperlinks within HTML pages, PDF documents, and MSWord documents is well known in the art. 」(第19ページ第29行?第20ページ第16行)
(当審訳:「リポジトリのサーバ101にある文書は,電子ページからも参照可能である。例えば,ウエブサイト又はリムーバブルメディア(例えば,コンパクトディスク)に格納された電子ページは,リポジトリ100のウエブサイトに格納された文書を参照可能である。これは,オンライン環境(例えば,製品及びサービスを販売するウエブサイト)での信用を確立したいインターネットベースのビジネスにとって便利である。これは,オークションリストからリポジトリに格納された信頼構築文書を参照することが可能なオンラインオークション販売業者を含む。
本発明は,身元及び信用を確立したい人,例えばオンライン環境でオンラインデートサービスを用いてパートナーを探している人にとって便利である。リポジトリのウエブサイトに格納された文書を参照する電子ページは,HTML,PDF,MSWORD等を含むフォーマットにすることが可能である。電子ページからリポジトリのサーバにある文書にアクセスする効果的な方法は,ハイパーリンクを利用することである。例えば,ハイパーリンクは,サーバ101によってホスティングされるウエブサイト上にあるリポジトリ100のホームページと,電子ページとの間で生成可能であり,又は文書がサーバ上の別個のファイルに格納されている場合は,ハイパーリンクは,その文書を含むファイルのURLにリンク可能である。HTMLページ,PDF文書及びMSWORD文書内のハイパーリンクの生成は,当該分野で周知である。」)

E.「Example 1
Further information about how the present invention can be used by consumers can be seen from the following example. A person graduates from a university, receives a diploma and wants to find employment. The graduate visits the website of the repository 100 and purchases a document file which is in PDF format and is accessible on the repository's server 101 at: www.swisscertified.com/20001.pdf with client computers on the internet.
The number 20001 is the document file's ID. The repository 100 also provides the graduate with a customer password, which is required by the repository when, for example, adding or removing documents from the document file.

The graduate pays US$ 50.00 for the installation of document file 20001.pdf which includes a one year hosting subscription for being accessible on the internet server 101 of the repository 100. The hosting subscription can be extended. File 20001.pdf consists of only a cover page with the contact information of the graduate.

After the installation of document file 20001.pdf, the graduate sends a notarized paper copy of the diploma to repository along with an order form which includes the document file ID 20001.pdf and customer password. The repository scans the diploma e.g. with scanner 103 and saves it as a PDF file. The repository 100 checks the authenticity of the notary's signature and seal applied to the copy. This may be carried out by making checks over the telephone with the notary and by checking the notary's credentials against a professional register of notaries. Alternatively, the signature and seal of the notary may already be known to the repository with a specimen original being held securely by the repository 100. In this way , the provenance of the copy document is assured, since the provenance asserted by the notary's seal and signature can be used to provide verification information for the original document itself, even though it is a copy. The repository then flags the notary's signature and seal with indicia 12 using the Adobe Acrobat stamp tool to provide verification information. The resulting PDF image is then appended to document file 20001.pdf which is on the web server 101. The repository 100 bills the graduate US$ 10.00 for the one page upload as well as US$9.00 for returning the paper document via registered first class mail to the graduate.

As illustrated in Figure 9, the graduate adds a paper photocopy of the diploma to the resume or CV which is sent by mail to prospective employers. On the photocopy the graduate writes: To view a verified copy of this document please visit: www.swisscertified.com (Document 20001).

As illustrated in Figure 8, on a website intended to be viewed by prospective employers and the like, the graduate may create a web page with a description of their qualifications, together with an image of the diploma as well as a logo for the repository 100. The graduate also creates a hyperlink to the URL of the file containing the document on the repository's web server 101 "www.swisscertified.com/20001.pdf" so that when a user such as a potential employer wishing to authenticate the diploma clicks on the logo, document file 20001.pdf is opened.」(第21ページ第14行?第22ページ第29行)
(当審訳:「例1
本発明が消費者によってどのように使用可能であるかについてのさらに多くの情報は,次の例から分かる。ある人が大学を卒業し,卒業証書を受け取り,雇用を見つけたい。この卒業生は,リポジトリ100のウエブサイトを訪問し,PDFフォーマットである文書ファイルを購入し,インターネット上のクライアントコンピュータを用いてリポジトリのサーバ101にhttp://www.swisscertified.com/20001.pdfでアクセス可能になる。番号「20001」は,文書ファイルのIDである。リポジトリ100は,例えば,文書ファイルからの文書の追加又は削除を行うときにリポジトリによって要求される顧客パスワードを卒業生に提供する。
卒業生は,文書ファイル20001.pdfの導入のためにUS$50.00を支払う。これは,リポジトリ100のインターネットサーバ101にアクセス可能にする一年のホスティング定期契約を含む。ホスティング定期契約は,延長可能である。ファイル20001.pdfは,卒業生のコンタクト情報を有する表紙のみで構成される。
文書ファイル20001.pdfの導入の後,卒業生は,文書ファイルID 20001.pdf及び顧客パスワードを含む注文フォームと共に卒業証書の公証された紙のコピーをリポジトリに送る。
リポジトリは,例えばスキャナ103で卒業証書をスキャナ読み込みし,それをPDFファイルとして保存する。リポジトリ100は,そのコピーに付された公証人の署名及び印章の真正性を確認する。これは,電話を介してその公証人への確認を行い,この公証人の信用を公証人達の専門家登録簿に照らして確認することによって,実行可能である。
別の実施形態では,公証人の署名及び印章は,リポジトリ100によって安全に保持されている見本オリジナルで既にリポジトリに知られていてもよい。このように,コピー文書の起源は,保証される。なぜなら,公証人の印章及び署名によって主張される起源は,それがコピーであったとしてもオリジナル文書そのものに対する検証情報を提供するために使用可能であるからである。
次に,リポジトリは,検証情報を提供するために,公証人の署名と印章に,Adobe Acrobatスタンプツールを使用して印12で目印付けをする。次に,得られたPDF画像が,ウエブサーバ101上にある文書ファイル20001.pdfに付加される。リポジトリ100は,書留の第1種郵便により紙文書を卒業生に返却することに対するUS$9.00と共に1ページのアップロードにつき,卒業生にUS$10.00を請求する。
図9に示すように,卒業生は,見込みの雇用主に郵送する履歴書又はCVに,卒業証書の紙の写真コピーを追加する。その写真コピーには,卒業生は,「この文書の検証されたコピーを閲覧するために,www.swisscertified.com (文書:20001)を訪問して下さい。」と書く。
図8に示すように,見込みの雇用主等によって閲覧されることが意図されたウエブサイトに,卒業生は,その資格の記述を有するウエブページを作成可能である。このページには,リポジトリ100用のロゴと共に卒業証書の画像が含められる。卒業生は,リポジトリのウエブサーバ101上の,文書を含むファイルのURL「www.swisscertified.com/20001.pdf」へのハイパーリンクも作成する。これによって,卒業証書の真正性を確認することを望むユーザー,例えば潜在的な雇用主がロゴをクリックすると,文書ファイル20001.pdfが開かれる。」)

前記A.?E.によれば,引用文献2には次の事項が記載されているといえる。

<引用文献2の記載事項>
「ネットワーク環境において人の身元および信用を確立するためのシステムであって,
クライアントコンピュータは,リポジトリのウエブサーバにインターネットを介してアクセス可能であり,
大学を卒業し,卒業証書を受け取り,雇用を見つけたい卒業生は,卒業証書の公証された紙のコピーをリポジトリに送り,
リポジトリは,卒業証書のコピーをスキャナ読み込みし,それを文書ファイルとしてリポジトリのウエブサーバに保存し,
リポジトリは,卒業証書のコピーに付された公証人へ確認を行い,その署名及び印章の真正性を確認し,その検証情報を提供するために公証人の署名と印章に目印付けをし,得られた画像を文書ファイルに付加し,
卒業生は,見込みの雇用主等によって閲覧されることが意図されたウエブサイトに,卒業生の資格の記述を有するウエブページを作成し,このページにリポジトリ用のロゴと共に卒業証書の画像を含め,文書ファイルのURLへのハイパーリンクを作成し,
雇用主は,ウエブページのハイパーリンクをクリックして文書ファイルを開き,卒業証書の真正性を確認する,システム。」

第4 対比

次に,本願発明と引用発明とを対比する。

(1)・引用発明の「求人情報」「求職情報」は非開示の情報を含み,求人者と求職者のマッチングに用いられるといえるから,本願発明の「マッチング機密情報」に相当する。
また,引用発明の「求人者」と「求職者」は,本願発明の「マッチング機密情報を有するユーザ」に相当する。

・引用発明における求職者及び求人者の検索は,本願発明の「マッチング機密情報を有するユーザを識別」することに相当する。

・本願明細書には,マッチング機密情報を有するユーザを「リンク」することについて,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

「【0018】
また、リンクユニットを使用することによってマッチング情報に関連するユーザに警告し、これらユーザに電子メッセージを送信することを更に含む。」
「【0052】
自動マッチング機能及び手動検索機能の双方において、一致が発生すると、IMS108のリンクユニット114は、オンラインメッセージングアプリケーション(例:チャットプログラム)、ポップアップメッセージ/広告、電子メール、ショートメッセージング(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)等を通じてユーザに警告する。」

これらの記載によれば,マッチング機密情報を有するユーザを「リンク」することは,マッチング機能により一致が発生すると,マッチングしたユーザに警告することを含むと解される。
したがって,引用発明において,求職情報通知手段が,検索された求職者の情報を求人者に通知し,また,求人情報通知手段が,検索された求人者の情報を求職者に通知することは,本願発明における,マッチング機密情報を有するユーザを「リンク」することに相当する。

・したがって,引用発明の「インターネット等の通信回線を介して求人情報や求職情報の提供を行う求人求職情報提供者サイト6」は,本願発明の「マッチング機密情報を有するユーザを識別及びリンクするためのコンピュータシステム」に相当する。

(2)引用発明の「求人求職情報提供者サイト6」は,ホームページサーバのようなコンピュータであり,「求人求職情報提供者サイトにおける手続は,コンピュータにより全て自動化され」るから,各手段が「命令を実行するよう構成されたプロセッサ」により実現されることは自明である。

(3)・引用発明の「該自身情報の項目別の開示可否」は,ユーザ情報の少なくとも一部が,「開示」「非開示」という2段階の機密レベルに関連することといえる。
また,引用発明の「項目」は本願発明の「データフィールド」に相当し,開示可否を項目別に設定することは,本願発明の「ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法」に相当する。
したがって,引用発明の「求人情報データベース14」および「求職情報データベース22」は,本願発明の「ユーザ情報及びユーザに対する参照情報を表すデータを格納するものであり、ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法でユーザ情報を格納するデータベース」に相当する。

・引用発明の「求人情報データベース14」および「求職情報データベース22」が,プロセッサによってアクセス可能なメモリ内に維持されることは自明である。
また,引用発明の求人情報登録手段16,求職情報登録手段24が,これらのデータベースに求人情報や求職情報を登録することは,データベースを維持することといえる。
また,引用発明の各手段が,命令を実行するよう構成されたプロセッサにより実現されることは明らかである。
なお,引用発明の各データベースは,「ユーザに対する参照情報を表すデータ」を格納していない。
したがって,引用発明の「前記入力された求職情報に求職者ごとの識別情報を付して求職情報データベース22に登録する求職情報登録手段24」及び「前記入力された求職情報に求職者ごとの識別情報を付して求職情報データベース22に登録する求職情報登録手段24」と,本願発明の「ユーザ情報及びユーザに対する参照情報を表すデータを格納するものであり、ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法でユーザ情報を格納するデータベースを前記プロセッサによってアクセス可能なメモリ内で維持する命令」は,「ユーザ情報を表すデータを格納するものであり,ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法でユーザ情報を格納するデータベースを前記プロセッサによってアクセス可能なメモリ内で維持する命令」の点で共通する。

(4)引用発明の「求職情報データベース22に登録された求職情報が,求人者の採用条件に合致する求職者の検索を行う求職者検索手段26」および「求人情報データベース14に登録された求人情報が,求職者の就労条件に合致する求人者の検索を行う求人者検索手段30」は,本願発明の「前記各々の機密レベルに関連する前記ユーザ情報の一部を含むデータフィールドにおけるマッチング情報を認定するためのマッチングエンジンを提供する命令」に相当する。

(5)前記(1)において検討したとおり,引用発明において,求職情報通知手段が,検索された求職者の情報を求人者に通知し,また,求人情報通知手段が,検索された求人者の情報を求職者に通知することは,検索された求職者を求人者にリンクし,検索された求人者を求職者にリンクすることである。
したがって,引用発明の「求職情報通知手段」,「求人情報通知手段」は,本願発明の「前記マッチングエンジンによって認定されたマッチング情報に関連する2以上のユーザをリンクするためのリンクユニットを提供する命令」に相当する。

(6)本願明細書には,本願発明の「他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されることを妨げる機密レベルを有するデータフィールドの機密レベルを、少なくとも単数の他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されるようにして、変更する通信手段を提供する命令」について次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した。)。

「【0058】
機密情報を明かすための折衝は、IMS108のウェブプラットフォームを通して実行される。例示的実施形態においては、これは、IMS108のウェブプラットフォーム上の組み込みメッセージング及び/又は電子メールアプリケーションといった通信手段を通して達成され、ここでは他のユーザの注意についてのメッセージ及び/又は電子メールのみが送信可能である。」
「【0060】
また、電子メール及びメッセージに加え、IMS108は、インターネット電話、あるいはビデオカンファレンスを通してパーティ間のオンラインミーティングのための他の通信手段を折衝において提供することができる。」
「【0062】
IMS108は、ユーザがより高い機密レベルで彼らの機密情報を明らかにしたかどうか、及び発生すべき取引又は相互作用をユーザが開始したかどうか、に基づいて折衝が成功かどうかを決定する。成功はログにとることができ、例えば、信頼性の等級を割り当てる、ビジネスのやり易さを表示する等の使用において、折衝におけるユーザの成功率を計算することができる。」

これらの記載によれば,本願発明の上記命令は,電子メールなどの通信アプリケーションのことであり,「他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されることを妨げる機密レベルを有するデータフィールドの機密レベルを、少なくとも単数の他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されるようにして、変更する」は,通信アプリケーションの機能を特定するものではなく,ユーザ間で交わされる通信内容を特定するもの,すなわち,通信内容が,機密情報を明かすための折衝であり,その折衝の結果,機密情報が相手ユーザに提供されることにより機密が機密でなくなり,機密レベルが変更されることを特定するものと解される。
一方,引用発明の「伝言入力画面に入力された伝言を,通信回線を介して,検索結果の相手に配信する伝言配信手段36」は,求人者等のPC端末に伝言入力画面を提供して,入力された伝言を通信回線を介して相手に配信する通信アプリケーションである。
また,その通信内容は,「求人者から自身情報の開示不可を入力している求職者へ自身情報の開示要求の伝言」や,「伝言を配信された求職者から求人者へ求職者の自身情報を開示する伝言」であり,この伝言は,当事者同士によって開示を調整するものである。このような伝言による開示の調整は,機密情報を明かすための折衝にほかならず,非開示の自身情報を相手ユーザに伝言することは,その機密レベルを変更することにほかならない。
したがって,引用発明における「求人者から自身情報の開示不可を入力している求職者へ自身情報の開示要求の伝言を配信し,その後,伝言を配信された求職者から求人者へ求職者の自身情報を開示する伝言を配信し,これにより,当事者同士が求職者の自身情報の開示を調整することを可能にする」,「伝言入力画面に入力された伝言を,通信回線を介して,検索結果の相手に配信する伝言配信手段36」は,本願発明の「他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されることを妨げる機密レベルを有するデータフィールドの機密レベルを、少なくとも単数の他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されるようにして、変更する通信手段を提供する命令」に相当する。

(7)引用発明の求人求職情報提供者サイトにおける手続は,コンピュータにより全て自動化されるから,本願発明における,命令を実行するよう構成された「プロセッサ」と,「前記プロセッサによって読取可能に構成された前記命令を格納するための格納デバイス」とを備えることは自明である。

前記(1)?(7)を総合すると,本願発明と引用発明は,次の点で一致する。

<一致点>
「マッチング機密情報を有するユーザを識別及びリンクするためのコンピュータシステムであって、
前記コンピュータシステムは、次の命令を実行するよう構成されたプロセッサであって、
ユーザ情報を表すデータを格納するものであり、ユーザ情報の少なくとも一部が各々の機密レベルに関連することを1又は複数のデータフィールドが表すような方法でユーザ情報を格納するデータベースを前記プロセッサによってアクセス可能なメモリ内で維持する命令と、
前記各々の機密レベルに関連する前記ユーザ情報の一部を含むデータフィールドにおけるマッチング情報を認定するためのマッチングエンジンを提供する命令と、
前記マッチングエンジンによって認定されたマッチング情報に関連する2以上のユーザをリンクするためのリンクユニットを提供する命令と、
他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されることを妨げる機密レベルを有するデータフィールドの機密レベルを、少なくとも単数の他のユーザに関連するフィールドのデータが提供されるようにして、変更する通信手段を提供する命令と、
を実行するよう構成されたプロセッサ、及び
前記プロセッサによって読取可能に構成された前記命令を格納するための格納デバイス、
を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。」

そして,本願発明と引用発明は,次の点で相違する。

<相違点1>
データベースが,本願発明では「ユーザに対する参照情報を表すデータ」を格納するのに対し,引用発明では,このデータを格納しない点。

<相違点2>
本願発明は,「前記マッチング情報に関連する1ユーザの参照情報を前記マッチング情報に関連する他のユーザに表示するための参照プラットフォームを提供する命令であって、前記参照情報は、選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザにリリースされた情報、及び選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザには開示のためにまだ完全にはリリースされていない情報の概略を表示し、前記参照プラットフォームは、各ユーザのユーザ情報の少なくとも一部の各々の機密レベルを保ったまま、各々のユーザの信頼性を証明するための参照チェインを確立するために示された前記参照情報に関連する他の参照情報へのリンクを提供することを特徴とする参照プラットフォームを提供する命令」を有するのに対し,引用発明は上記命令を有しない点。

第5 判断

上記相違点1,2は,ともに参照情報に関する相違点であるので,まとめて検討する。

(1)引用文献2には,オンライン環境でユーザの身元及び信用を確立するためのシステムが記載されており,その一例として,雇用を見つけたい卒業生が,潜在的な雇用主に対して身元及び信用を確立するために,ウェブページに卒業証書へのハイパーリンクを設けることが記載されている。
卒業生すなわち求職者は,潜在的な雇用主すなわち求人者によって閲覧されることが意図されたウエブサイトに,卒業生の資格の記述を有するウエブページを作成し,このウエブページに,卒業証書の画像と,リポジトリの検証情報が付された卒業証書の文書ファイルへのハイパーリンクを含める。このウエブページを閲覧した求人者は,ハイパーリンクをクリックして検証情報が付された卒業証書(文書ファイル)を表示させ,求職者の身元及び信用を確認する。
引用文献2の上記ウエブサイトは求人者によって閲覧されるサイトであり,引用発明の求人求職情報提供サイト6に相当するものである。また,引用文献2の上記ウエブページは,求職者の資格の記述を有するウエブページであり,求職者の検索結果表示画面74に相当するものである。
したがって,引用発明において,求職者の信頼性を証明するために引用文献2の記載事項を適用し,検索結果表示画面74のウエブページ上で,卒業証書へのハイパーリンクを提供することは格別困難ではない。なお,文書ファイルは,卒業証書に限らず,卒業生(求職者)の身元及び信用を確立することが可能な文書であれば,どのような文書でも良いことは明らかである。また,雇用主(求人者)の身元及び信用を確立するためにも,ハイパーリンクを利用できることも明らかである。その場合は,求職者に表示される検索結果表示画面62に,求人者の身元及び信用を証明する文書ファイルへのハイパーリンクを含めることになる。
そして,引用発明の求人求職情報提供サイト6が,検索結果表示画面62,74のウエブページにおいてハイパーリンクを提供する場合,プロセッサによって実行される命令は,マッチング情報(検索結果)に関連する1ユーザの参照情報(ハイパーリンク元の情報とハイパーリンク先の文書ファイル)をマッチング情報に関連する他のユーザに表示するための参照プラットフォームを提供する命令ということができる。また,その参照プラットフォームは,各ユーザのユーザ情報の少なくとも一部の各々の機密レベルを保ったまま,各々のユーザの信頼性を証明するための参照チェインを確立するために示された参照情報(ハイパーリンク元の情報)に関連する他の参照情報(ハイパーリンク先の文書ファイル)へのリンクを提供するといえる。

(2)また,このハイパーリンクの情報や卒業証書等の文書ファイルは,求職者等の自身情報であるから,引用発明の検索結果表示画面62,74に,ハイパーリンクの情報を表示する場合に,引用発明の自身情報と同様に,求職者等によって選択された開示可否(機密レベル)に基づいて,他のユーザに公開(リリース)あるいは非公開にするべきことは明らかである。
また,個人情報を非公開とする場合であっても,その概略を公開することも周知である。例えば,特開2002-32486号公報には,次の事項が記載されている(下線は,当審において付与した)。

「【0027】また、メニュー画面において、ユーザが「プロフィールを入力、修正する」を押すと、図6に示すプロフィール入力画面が表示される(ステップS4)。この画面において、ユーザはプロフィールを入力する(ステップS5)。すなわち、まず、ユーザは非公開情報として、名前、現住所、電話番号、年齢を入力し、次いで、公開情報として、ニックネーム、性別、身長、体重、体脂肪率、ウエスト、腕周り、もも周りを入力する。ここで、公開情報は、他のクラブメンバーへ公開することを原則とする。但し、どうしても公開を希望しない場合はその項目の右の非公開欄にチェックを入れる。また、概略年齢は、非公開情報の年齢(実年齢)から自動的に算出され、表示される。」

上記記載によれば,ユーザが年齢を非公開情報とする場合であっても,概略年齢は公開情報となる。個人情報を非公開とする場合に,完全に非公開とするか概略のみを公開するかは,個人情報の保護と個人情報公開の利点の,いずれを重視するかに応じて適宜取り決める事項である。したがって,個人情報を非公開とする場合であっても,完全に非公開とはせずに,概略を公開(リリース)することは,適宜なし得ることにすぎない。

(3)また,上記ハイパーリンクの情報や卒業証書等の文書ファイル(参照情報)は,求職者等の自身情報であるから,これらを引用発明の求人情報データベース14や求職情報データベース22などのデータベースに格納することも格別困難ではない。

(4)上記(1)?(3)を総合すると,引用発明において,求職者や求人者が信頼性を証明できるようにするために引用文献2の記載事項を適用し,求人求職情報提供サイト6が,検索結果表示画面のウエブページに,ハイパーリンク情報(参照情報)を表示し,その際,選択された公開可否(機密レベル)に基づいて,ハイパーリンク情報(参照情報)をリリースするか,あるいは,ハイパーリンク情報(参照情報)の概略を表示し,このハイパーリンク情報(参照情報)がクリックされたときに,信頼性を証明するための卒業証書等(他の参照情報)へのリンクを提供し,これらの参照情報をデータベースに格納して,
求人求職情報提供サイト6が,データベースに「ユーザに対する参照情報を表すデータ」を格納して,「前記マッチング情報に関連する1ユーザの参照情報を前記マッチング情報に関連する他のユーザに表示するための参照プラットフォームを提供する命令であって、前記参照情報は、選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザにリリースされた情報、及び選択された機密レベルに基づいて、前記1ユーザによって前記他のユーザには開示のためにまだ完全にはリリースされていない情報の概略を表示し、前記参照プラットフォームは、各ユーザのユーザ情報の少なくとも一部の各々の機密レベルを保ったまま、各々のユーザの信頼性を証明するための参照チェインを確立するために示された前記参照情報に関連する他の参照情報へのリンクを提供することを特徴とする参照プラットフォームを提供する命令」を実行することは容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2の記載事項,周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

第6 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明及び引用文献2の記載事項,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-14 
結審通知日 2014-04-21 
審決日 2014-05-07 
出願番号 特願2009-532328(P2009-532328)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 西山 昇
須田 勝巳
発明の名称 マッチング機密情報を有するユーザを識別及びリンクするためのシステム及び方法  
代理人 須田 洋之  
代理人 上杉 浩  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 佳正  
代理人 大塚 文昭  
代理人 西島 孝喜  

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