• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
管理番号 1292180
審判番号 不服2013-11482  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-18 
確定日 2014-09-17 
事件の表示 特願2009-527677「MIMO無線ネットワークにおける信号のためのサブキャリアマッピングの方法および機器」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 3月27日国際公開、WO2008/034324、平成22年 2月 4日国内公表、特表2010-504006〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は,2007年7月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年9月15日 中国)を国際出願日とする出願であって,平成25年2月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされ,同年11月29日付けで当審から拒絶理由が通知され,平成26年2月28日付けで手続補正がなされたものである。
その請求項1に係る発明は,明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,平成26年2月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下,「本願発明」という。)。
「MIMOベースの無線電気通信ネットワークにおける送信手段内で,信号をサブキャリアにマッピングするための方法であって,それぞれ異なるアンテナよって同時に送信される信号が入力信号シーケンス内の隣接しない信号に対応するように,入力信号シーケンス内の信号のサブキャリアへのマッピングを制御し,
前記制御することは,
a.異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされる信号が信号シーケンス内の隣接しない信号であるように,信号シーケンス内の連続した信号をM個のサブキャリアにマッピングするステップと,
b.複数の変調信号グループを生成するように,信号がそこにマッピングされている対応するサブキャリア上に信号を変調するステップとを備え,全ての変調信号グループがそれぞれ異なるサブキャリア上に変調されたM個の信号を備え,さらに,
c.それぞれ異なるアンテナを介して前記複数の変調信号グループを送信することを制御するステップを
備え,
再送信の都度,それぞれ異なるアンテナによって同時に送信される信号が,最初の送信の入力信号シーケンス内の隣接しない信号に対応するように,最初の送信の前記入力信号シーケンス内の信号のサブキャリアへのマッピングを制御することを特徴とする,方法。」
([当審注]:第1段落の「それぞれ異なるアンテナよって」は「それぞれ異なるアンテナによって」の誤記と認める。)

2.引用発明
当審の拒絶理由に引用された国際公開第2006/035637号(以下,「引用例」という。)には,「無線送信装置」として,図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「[0001] 本発明は,複数の送受信アンテナを用いて行なう空間多重技術(MIMO:Multi-Input Multi-Output)を適用した無線通信装置に関する。」(1頁)

(2)「[0004] 図14は,従来の無線送信装置の概略構成を示す図である。この無線送信装置は,例えば,OFDM方式で無線信号の送信を行なう。OFDM方式は,マルチキャリア化とガードインターバルの挿入によって,高速ディジタル信号伝送におけるマルチパス遅延スプレッドの影響を軽減することができるため,次世代の移動広帯域無線アクセス方式として注目されている。ここで,OFDM信号は,複数の直交する搬送波(サブキャリア)の信号を多重化したものであり,以下,アンテナの数が2本の場合を例にとって説明する。
[0005] 図14に示すように,無線送信装置100は,送信信号Aを送信する系統1と,送信信号Bを送信する系統2とを有する。系統1は,符号化部101,サブキャリア変調部102,逆高速フーリエ変換(IFFT)部103,スロット組立部104,周波数変換部105,およびアンテナ106から構成されている。また,系統2は,符号化部111,サブキャリア変調部112,逆高速フーリエ変換(IFFT)部113,スロット組立部114,周波数変換部115,およびアンテナ116から構成されている。さらに,送信機100は,搬送周波数制御部121,送信信号切替部122,および全体の制御部123を有している。」(1?2頁)

(3)「[0011] このような無線送信装置から送信されるデータは,例えば,図18または図19に示すように並べられている。ここでは,サブキャリアが30本ある場合を示しているが,アンテナ1とアンテナ2とで同一の信号を送る場合は,図18に示すように,アンテナ1とアンテナ2とのそれぞれにおいて,周波数の低い方から順番に,データサブキャリアに割り当てられている。一方,空間多重で,アンテナ毎に異なるデータを送る場合には,図19に示すように,アンテナ1には1から30番目のデータを割当てて,アンテナ2には31から60番目のデータを割当てていた。」(3頁)

上記記載及び図面並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると,
ア.上記(1)の記載によれば,引用例には,MIMOを適用した無線通信装置に関する発明が記載されていると認められる。
そして,上記(2)の記載及び図14によれば,MIMOを適用した無線通信装置はOFDM方式で無線信号の送信を行なうのであるから,技術常識からみて,無線送信装置内で,送信信号内のデータをサブキャリアにマッピングしていることは明らかであり,マッピングの制御は全体の制御部123によりなされるものと認められる。

イ.上記(3)の記載によれば,無線送信装置から送信されるデータは,例えばサブキャリアが30本ある場合に,アンテナ1には1から30番目のデータが割当てられ,アンテナ2には31から60番目のデータが割当てられるものである。
そして,OFDM方式で無線信号の送信が行なわれることに鑑みれば,送信信号内の1から30番目のデータがアンテナ1の30本のサブキャリアにマッピングされ,31から60番目のデータがアンテナ2の30本のサブキャリアにマッピングされ,これらのデータは同時に送信されるものであることは技術常識からみて明らかである。また,図19によれば,例えば,アンテナ1にて1番目のデータが送信されるサブキャリアと,アンテナ2にて31番目のデータが送信されるサブキャリアとは,同一周波数であることも明らかである。
したがって,無線送信装置において,それぞれ異なるアンテナによって同時に送信されるデータが送信信号内の隣接しないデータに対応するように,送信信号内のデータのサブキャリアへのマッピングが制御されていると認められる。
そして,当該マッピングの制御は,異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされるデータが送信信号内の隣接しないデータであるように,送信信号内の連続したデータを例えば30本のサブキャリアにマッピングするものといえる。

ウ.上記(2)の記載及び図14並びに技術常識によれば,サブキャリア変調部は,サブキャリアにマッピングされたデータにより当該サブキャリアを変調していると認められる。

エ.上記(2)の記載及び図14によれば,送信信号内のデータは,サブキャリアにマッピングされ,IFFT処理され,各アンテナから送信されるものであり,全体の制御部123は,全体の制御を為すと解されるから,それぞれ異なるアンテナを介して各アンテナに対応する変調された信号を送信することを制御しているといえる。

したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「MIMOを適用した無線通信装置内で,送信信号内のデータをサブキャリアにマッピングするための方法であって,それぞれ異なるアンテナによって同時に送信されるデータが送信信号内の隣接しないデータに対応するように,送信信号内のデータのサブキャリアへのマッピングを制御し,
前記マッピングの制御は,
異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされるデータが送信信号内の隣接しないデータであるように,送信信号内の連続したデータを例えば30本のサブキャリアにマッピングし,
サブキャリアにマッピングされたデータにより当該サブキャリアを変調し,
それぞれ異なるアンテナを介して各アンテナに対応する変調された信号を送信することを制御する,方法。」


3.対比・判断
(1)引用発明は無線電気通信ネットワークを明らかにしていないが,本願発明の「MIMOベースの無線電気通信ネットワークにおける送信手段」と引用発明の「MIMOを適用した無線通信装置」とは,「MIMOを適用した送信手段」の点で一致している。

(2)引用発明の「送信信号」は,1から60番目のデータが連続的に存在するものと理解されるから,送信信号のシーケンスといえる。したがって,引用発明の「送信信号」,「データ」は,それぞれ本願発明の「入力信号シーケンス」,「信号」に相当する。
また,引用発明の「例えば30本のサブキャリア」を「M個のサブキャリア」と称することは任意である。
したがって,本願発明と引用発明とは,「a.異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされる信号が信号シーケンス内の隣接しない信号であるように,信号シーケンス内の連続した信号をM個のサブキャリアにマッピングするステップ」を備えている点で差異は無い。

(3)引用例の図14のサブキャリア変調部は,サブキャリアにマッピングされたデータにより当該サブキャリアを変調しているから,データがそこにマッピングされている対応するサブキャリア上にデータを変調するものといえ,アンテナ1にて送信される送信信号内の1から30番目のデータに対応する変調信号のグループと,アンテナ2にて送信される送信信号内の31から60番目のデータに対応する変調信号のグループとが生成され,それぞれのグループはそれぞれ異なるサブキャリア上に変調された30個のデータを備えているといえる。
したがって,本願発明と引用発明とは,「b.複数の変調信号グループを生成するように,信号がそこにマッピングされている対応するサブキャリア上に信号を変調するステップとを備え,全ての変調信号グループがそれぞれ異なるサブキャリア上に変調されたM個の信号を備え」ている点で差異は無い。

(4)上記(3)のとおりであり,引用発明の「それぞれ異なるアンテナを介して各アンテナに対応する変調された信号を送信することを制御する」ことは,本願発明の「c.それぞれ異なるアンテナを介して前記複数の変調信号グループを送信することを制御するステップ」に含まれる。

したがって,本願発明と引用発明とを対比すると,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「MIMOを適用した送信手段内で,信号をサブキャリアにマッピングするための方法であって,それぞれ異なるアンテナよって同時に送信される信号が入力信号シーケンス内の隣接しない信号に対応するように,入力信号シーケンス内の信号のサブキャリアへのマッピングを制御し,
前記制御することは,
a.異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされる信号が信号シーケンス内の隣接しない信号であるように,信号シーケンス内の連続した信号をM個のサブキャリアにマッピングするステップと,
b.複数の変調信号グループを生成するように,信号がそこにマッピングされている対応するサブキャリア上に信号を変調するステップとを備え,全ての変調信号グループがそれぞれ異なるサブキャリア上に変調されたM個の信号を備え,さらに,
c.それぞれ異なるアンテナを介して前記複数の変調信号グループを送信することを制御するステップを
備える,方法。」

(相違点1)
「MIMOを適用した送信手段」に関し,本願発明は「MIMOベースの無線電気通信ネットワークにおける送信手段」であるのに対し,引用発明は「MIMOを適用した無線通信装置」であって,無線電気通信ネットワークにおけるものであることを明らかにしていない点。

(相違点2)
「c.それぞれ異なるアンテナを介して前記複数の変調信号グループを送信することを制御するステップ」に関し,本願発明は各変調信号グループのための送信アンテナを決定することを含むのに対し,引用発明の具体例(引用例の図14)は送信アンテナが決定された後にサブキャリア変調が為される点。

(相違点3)
本願発明は,「再送信の都度,それぞれ異なるアンテナによって同時に送信される信号が,最初の送信の入力信号シーケンス内の隣接しない信号に対応するように,最初の送信の前記入力信号シーケンス内の信号のサブキャリアへのマッピングを制御する」ものであるのに対し,引用発明は再送信について明らかにしていない点。

以下,上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
「MIMOベースの無線電気通信ネットワーク」は周知のものにすぎず,引用例は「次世代の移動広帯域無線アクセス方式」に触れている(上記2.(2)の[0004]参照。)ことにも鑑みれば,引用発明の「MIMOを適用した無線通信装置」は「MIMOベースの無線電気通信ネットワークにおける送信手段」を予定したものと理解でき,又はそうすることは容易である。

(相違点2について)
本願明細書の【0039】にマッピングコントローラ1の説明として「送信コントローラ12は,各変調信号グループのための送信アンテナを決定する。」と記載され,図4には変調器11の出力が送信コントローラ12に入力することが図示されているが,当該実施例は【0015】に述べられているように非限定的な例示にすぎず,本願発明の課題を解決する上では各変調信号グループが送信される送信アンテナを決定するものであれば足り,必ずしも変調後に送信アンテナを決定する必要性は見いだせないから,本願発明を当該実施例に限定して解釈する理由はない。したがって,相違点2は実質的な相違点ではない。
更にいえば,無線送信装置におけるマッピング手段,変調器及び制御手段等の具体的構成は様々なものが周知である(例えば,引用例の図1,図14,特開2006-140882号公報の図12?図15参照。)ところ,送信するデータを送信アンテナに割当てた後に変調するか,変調した後に送信アンテナを決定するかは,必要に応じて適宜選択し得ることにすぎない。

(相違点3について)
再送信において,最初の送信と同様のものを送信することは普通に行われていることであるから,再送信においても最初の送信と同様に,異なるアンテナによって同時に送信される同一周波数のサブキャリアにマッピングされる信号が信号シーケンス内の隣接しない信号であるように,信号シーケンス内の連続した信号をM個のサブキャリアにマッピングすることは容易になし得ることに過ぎない。

( なお,特許請求の範囲には発明の構成として特定されていないが,再送信時にSTBCを用いることも周知(例えば,国際公開2005/050885号公報の請求項34,国際公開第2006/030478号の要約参照。)である。)

そして,引用発明にはバースト誤りについて触れられていないが,フェージングによるバースト誤りによる影響を回避することは通信技術における一般的な課題(例えば,当審拒絶理由に引用した特開2005-143116号公報の【0047】参照。)であり,周知のインターリーブ技術等にも鑑みれば,引用例の図19の態様によりフェージングによるバースト誤りによる影響を回避し得ることは当業者に自明である。すなわち,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。


4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-04-17 
結審通知日 2014-04-22 
審決日 2014-05-08 
出願番号 特願2009-527677(P2009-527677)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 龍一高野 洋  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 藤井 浩
山澤 宏
発明の名称 MIMO無線ネットワークにおける信号のためのサブキャリアマッピングの方法および機器  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ