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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1292269
審判番号 不服2013-14015  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-22 
確定日 2014-09-26 
事件の表示 特願2008- 14761「無線ネットワーク提供システム、無線端末、サーバ、プログラム及びログ通知方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 8月 6日出願公開、特開2009-177576〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成20年1月25日の出願であって、平成24年12月20日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対して平成25年2月20日に手続補正がなされ、平成25年4月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年7月22日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。
なお、平成25年2月20日付けの手続補正をする際に、同日付の意見書において、「なお、最後の拒絶理由通知として拒絶理由通知書を頂きましたが、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみ以外の内容も通知されていますので、最初の拒絶理由通知として補正しております。」と説明している。このように、平成25年2月20日付けの手続補正は、最後の拒絶理由通知に対する手続補正としての制限を受けることなくなされているから、該平成25年2月20日付けの手続補正を却下することなく、拒絶査定をした点に、手続違背はない。


第2.平成25年7月22日付けの手続補正について

1.補正内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲(平成24年7月25日付けで補正)の請求項28
「【請求項28】
無線通信を用いてネットワークに接続し、前記ネットワークに存在するサーバと通信可能な無線端末の処理に用いられるプログラムであって、
無線端末の制御部を、
前記サーバから通知される収集依頼通知情報で示された所定タイミング、前記サーバからの要求、使用者の送信許可、特定位置からの移動、充電動作の開始の何れか又は組み合わせの動作時に、前記通信環境ログ情報を送信する送信手段
として機能させることを特徴とするプログラム。」を、

「【請求項28】
無線通信を用いてネットワークに接続し、前記ネットワークに存在するサーバと通信可能な無線端末の処理に用いられるプログラムであって、
無線端末の制御部を、
前記サーバから通知される収集依頼通知情報で示された所定タイミング、前記サーバからの要求、使用者の送信許可、特定位置からの移動、充電動作の開始の何れか又は組み合わせの動作時に、通信環境ログ情報を送信する送信手段
として機能させることを特徴とするプログラム。」

と補正するものである。ただし、下線は当審が付加した。

すなわち、本件補正は、請求項28において、「前記通信環境ログ情報」を「通信環境ログ情報」と補正するものである。

2.補正の目的
補正前の請求項28においては、「前記通信環境ログ情報」という記載箇所より前に「通信環境ログ情報」という記載がない。したがって、「前記通信環境ログ情報」という記載箇所に初めて「通信環境ログ情報」が出現したわけであるから、「前記」は不自然であり、「前記」を削除することが適切であることは明らかである。よって、「前記通信環境ログ情報」を「通信環境ログ情報」と補正することは、誤記の訂正を目的としたものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号に該当し、適法な補正である。


第3.本願発明について

1.本願発明
本願の請求項28に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年7月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項28に記載された事項により特定されるものである。


2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2004-166140号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(a)段落番号【0022】-【0024】
「【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成例である。同図に示す移動通信システムは、移動局(MS)110、データ収集装置140、基地局(BTS)150、無線ネットワーク制御装置(RNC)152、加入者交換機154、関門交換機156、ネットワークデータ取得部160、インターネットサービスプロバイダ装置(ISP)170及びインターネット180により構成される。
【0023】
この移動通信システムでは、移動局110が自身の通信に関する情報(以下、「通信ログ」と称する)を取得してデータ収集装置140へ送信する。データ収集装置140は、通信ログを受信して格納するとともに、ネットワークの品質改善のために、通信ログの解析を行う。
【0024】移動局110は、アンテナ101、送受信部102、情報取得部103、一時メモリ104、個別メモリ105及び操作部106を備える。」

(b)段落番号【0033】-【0036】
「【0033】
次に、情報取得部103は、取得した通信ログを一時メモリ104へ格納する。更に、情報取得部103は、一時メモリ104に格納された通信ログを送信する必要があるか否かを判定する。情報取得部103は、例えば、移動局110が通信を開始した時から不具合に関する情報の取得を開始したが、通信が正常に終了したような場合には、通信ログの送信の必要がないと判断する。
【0034】
情報取得部103は、通信ログの送信が必要と判断した場合、一時メモリ104内の通信ログを個別メモリ105に格納する。
【0035】
更に、情報取得部103は、一時メモリ104に格納された通信ログを削除するとともに、通信ログの送信契機であるか否かを判定する。通信ログの送信契機は、予め移動局110に設定しておくことが可能である。この通信ログの送信契機は、例えば、通信ログが取得された直後、所定時間毎、移動局110がサービスエリア外からサービスエリア内に移動した時等である。
【0036】通信ログの送信契機である場合、情報取得部103は、個別メモリ105に格納された通信ログを送受信部102に出力する。送受信部102は、この通信ログを送信する。具体的には、送受信部102は、移動局110による通信時における制御用データであるC-PLANEに通信ログを含ませて送信する。」

なお、図1には、「従来の移動通信システムの構成例を示す図」と記載され、移動局(MS)110及びデータ収集装置140が記載されていないこと、及び図2には、「本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図」と記載され、移動局(MS)110及びデータ収集装置140が記載されていることから、摘記事項(a)の段落番号【0022】の「図1は、本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成例である。」が「図2は、本発明の実施形態に係る移動通信システムの構成例である。」の誤記であることは明らかである。

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「移動局(MS)110、データ収集装置140、基地局(BTS)150、無線ネットワーク制御装置(RNC)152、加入者交換機154、関門交換機156、ネットワークデータ取得部160、インターネットサービスプロバイダ装置(ISP)170及びインターネット180により構成される移動通信システムにおいて、
移動局110が自身の通信に関する情報(以下、「通信ログ」と称する)を取得してデータ収集装置140へ送信し、データ収集装置140は、通信ログを受信して格納するとともに、ネットワークの品質改善のために、通信ログの解析を行い、
移動局110は、アンテナ101、送受信部102、情報取得部103、一時メモリ104、個別メモリ105及び操作部106を備え、
情報取得部103は、取得した通信ログを一時メモリ104へ格納し、更に、情報取得部103は、一時メモリ104に格納された通信ログを送信する必要があるか否かを判定し、情報取得部103は、例えば、移動局110が通信を開始した時から不具合に関する情報の取得を開始したが、通信が正常に終了したような場合には、通信ログの送信の必要がないと判断し、
情報取得部103は、通信ログの送信が必要と判断した場合、一時メモリ104内の通信ログを個別メモリ105に格納し、
更に、情報取得部103は、一時メモリ104に格納された通信ログを削除するとともに、通信ログの送信契機であるか否かを判定し、ここで、通信ログの送信契機は、予め移動局110に設定しておくことが可能であり、この通信ログの送信契機は、例えば、通信ログが取得された直後、所定時間毎、移動局110がサービスエリア外からサービスエリア内に移動した時等であり、
通信ログの送信契機である場合、情報取得部103は、個別メモリ105に格納された通信ログを送受信部102に出力し、送受信部102は、この通信ログを送信する、
移動局110。」


3.本願発明と引用発明の一致点・相違点
引用発明において、データ収集装置140、基地局(BTS)150、無線ネットワーク制御装置(RNC)152、加入者交換機154、関門交換機156、ネットワークデータ取得部160、インターネットサービスプロバイダ装置(ISP)170及びインターネット180によりネットワークが構成されていることは、明らかである。
引用発明において、移動局(MS)110が、基地局(BTS)150と無線で通信することは、技術常識である。
引用発明では、移動局110が自身の通信に関する情報(以下、「通信ログ」と称する)を取得してデータ収集装置140へ送信し、データ収集装置140は、通信ログを受信するから、移動局110は、データ収集装置140と通信可能である。したがって、引用発明のデータ収集装置140が、本願発明の「サーバ」に相当し、引用発明の移動局110が、本願発明の「無線通信を用いてネットワークに接続し、前記ネットワークに存在するサーバと通信可能な無線端末」に相当する。

引用発明の「通信ログ」が、本願発明の「通信環境ログ情報」に相当する。

引用発明では、移動局110の制御部を機能させるプログラムによって、移動局110が処理を行っていることは、技術常識である。
引用発明において、通信ログの送信契機である場合、情報取得部103は、個別メモリ105に格納された通信ログを送受信部102に出力し、送受信部102は、この通信ログを送信するから、本願発明と引用発明とは、「無線端末の制御部を、通信環境ログ情報の送信契機に、通信環境ログ情報を送信する送信手段として機能させる」点で一致している。

したがって、本願発明のプログラムと引用発明の移動局110の処理に用いられるプログラムとの一致点・相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「無線通信を用いてネットワークに接続し、前記ネットワークに存在するサーバと通信可能な無線端末の処理に用いられるプログラムであって、
無線端末の制御部を、
通信環境ログ情報の送信契機に、通信環境ログ情報を送信する送信手段
として機能させることを特徴とするプログラム。」である点。

[相違点]
通信環境ログ情報の送信契機が、
本願発明では、「前記サーバから通知される収集依頼通知情報で示された所定タイミング、前記サーバからの要求、使用者の送信許可、特定位置からの移動、充電動作の開始の何れか又は組み合わせの動作時」であるのに対して、
引用発明では、「例えば、通信ログが取得された直後、所定時間毎、移動局110がサービスエリア外からサービスエリア内に移動した時等」である点。


4.相違点についての検討
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2(特開2004-187091号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(c)段落番号【0043】-【0045】
「そして、通信品質評価装置40の端末情報取得部44は、この照合によって、登録受付部42によって登録された端末情報と位置情報管理装置60によって送信される端末情報とが一致する移動通信端末10の端末情報を開始要求送信部46と、終了要求送信部48に出力する。そして、通信品質評価装置40の開始要求送信部46が、上述したように管理者によって指定された開始時刻に、端末情報取得部44によって出力された端末情報を有する移動通信端末10へ、上述した開始要求情報を送信することによって、通信品質データの収集が開始される(ステップS37)。
【0044】
次に、図6に示すように、通信品質評価装置40によって開始要求情報が送信されると(ステップS41)、移動通信端末10の開始要求受信部18がこの開始要求情報を受信する。移動通信端末10の開始要求受信部18は、移動通信端末10が通信品質データを生成できる状態にあるか否かを判断する。この判断には、例えば、移動通信端末10が通話中であるか否かといった判断や、ユーザによって通信品質データの送信を中止された状態にあるか否かといった判断が含まれる。そして、移動通信端末10の開始要求受信部18は、移動通信端末10が通信品質データを送信できる状態にある場合に、通信品質データの送信要求に応じる旨の応答を、通信品質評価装置40に送信する(ステップS42)。なお、移動通信端末10の開始要求受信部18は、移動通信端末10が通信品質データを送信できる状態にない場合には、通信品質データの送信要求に応じない旨の応答を、通信品質評価装置40に送信する。
【0045】
そして、移動通信端末10は、通信品質データを送信できる状態にある場合に、品質情報生成部22とデータ生成部24とによって通信品質データを生成し、この通信品質データをデータ送信部26によって通信品質評価装置40に送信する(ステップS43)。」

このように、刊行物2では、通信品質データを収集する通信品質評価装置40から移動通信端末10へ開始要求情報が送信されることを契機として、移動通信端末10から通信品質評価装置40へ通信品質データを送信している。
したがって、引用発明において、データ収集装置140から移動局110へ開始要求情報が送信されることを、通信環境ログ情報の送信契機とすることは、容易に想到されたことであり、これは、本願発明の「無線端末の制御部を、」「前記サーバからの要求」「の動作時に、通信環境ログ情報を送信する送信手段として機能させること」に相当する。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び刊行物2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
以上のとおり、本願の請求項28に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-22 
結審通知日 2014-07-23 
審決日 2014-08-11 
出願番号 特願2008-14761(P2008-14761)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 聖子角田 慎治  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 江口 能弘
寺谷 大亮
発明の名称 無線ネットワーク提供システム、無線端末、サーバ、プログラム及びログ通知方法  
代理人 佐々木 敬  
代理人 福田 修一  
代理人 池田 憲保  
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