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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1292296 |
審判番号 | 不服2013-14026 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-07-22 |
確定日 | 2014-09-24 |
事件の表示 | 特願2010-511684「デジタル画像センサ、画像獲得方法及び画像再構成方法並びにその実行システム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月15日国際公開、WO2009/007543、平成22年 9月24日国内公表、特表2010-531560〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2008年(平成20年)6月12日(パリ条約による優先権主張2007年(平成19年)6月12日 フランス)を国際出願日とする出願であって、平成23年6月13日付けで手続補正がなされ、平成24年7月11日付けの拒絶理由の通知に対し、平成25年1月17日付けで手続補正がなされたが、平成25年3月27日付けで拒絶査定がなされたものである。これを不服として平成25年7月22日に本件審判請求がなされた。 2.本願発明 本願の請求項1-15に係る発明は、平成23年6月13日付けの手続補正、平成25年1月17日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲又は図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1-15に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりである。 「カラーフィルタのアレイ(16)を有し、 前記アレイは、垂直方向及び水平方向に沿ってオーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターン(70)からなり、基本パターン(70)はそれぞれ、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同一種類の2つのカラーフィルタの間の可変のピッチを含むように、擬似ランダムに配置されるカラーフィルタ(72、82、84)によって形成される、 ことを特徴とするデジタル画像獲得センサ(18)。」 3.刊行物 (1)刊行物1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-168157号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0013】 【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本発明の第1実施形態を説明する。図1に本発明の第1実施形態の全体構成図を示す。図1の構成において、撮像面にモザイク色フィルタが装着されたCCDイメージセンサで構成される撮像素子100は入力された物体像を対応する電気的画像信号に変換して出力する。撮像素子100の駆動制御は撮像素子ドライバ200により行なわれる。撮像素子100から出力された電気的画像信号はA/D変換器300によりディジタル信号に変換され、メモリ400に記録される。このメモリ400に対する記録制御はメモリコントローラ500により行なわれる。プロセッサ600はメモリ400に記録された観測画像信号を用いて以下に述べる所定の補間処理を行なうことによって、R,G,Bの各原色信号が欠落の無い完全なディジタル画像を生成し、このディジタル画像を再びメモリ400に記録する。この補間処理の際にはROM700に記録されている撮像素子100におけるモザイク色フィルタの画素配置情報と補間係数列情報が利用される。なお、メモリ400、プロセッサ600、ROM700はバス800を介して接続されている。このようにして生成され、メモリ400に記録されたRGBカラー画像は、通信・表示デバイスや画像処理装置等に送られ所定の用途に利用される。 【0014】図2はモザイク色フィルタの構成例を示す。本実施形態におけるモザイク色フィルタはR,G,Bの3原色フィルタで構成され、同色フィルタの画素は、例えば以下に述べるポアソン分布にしたがって図2に示すように空間的にランダムに配置される。ここで、モザイク色フィルタにおける色配置はブロック画像単位でランダムになるように配置しても良いし、ブロックとは無関係に画像全体でランダムになるように色配置を適当に決めても良い。ブロック内で色配置をランダム構成にし、このような構成のブロックが繰り返されるように画像全体を構成することにより、ROM700に記録されるべき色配置情報と補間係数列情報の容量を少なくすることができる。」 (2)刊行物1発明 刊行物1には、「撮像面にモザイク色フィルタが装着されたCCDイメージセンサ」(【0013】)が記載されており、このモザイク色フィルタは、「R,G,Bの3原色フィルタで構成され、同色フィルタの画素は、例えば以下に述べるポアソン分布にしたがって図2に示すように空間的にランダムに配置され」、また、「モザイク色フィルタにおける色配置はブロック画像単位でランダムになるように配置しても良い」ものであり、「ブロック内で色配置をランダム構成にし、このような構成のブロックが繰り返されるように画像全体を構成することにより、ROM700に記録されるべき色配置情報と補間係数列情報の容量を少なくすることができる」(【0014】)ものである。 したがって、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると認められる。 [刊行物1発明] 撮像面にモザイク色フィルタが装着されたCCDイメージセンサであって、 モザイク色フィルタはR,G,Bの3原色フィルタで構成され、同色フィルタの画素は、例えばポアソン分布にしたがって空間的にランダムに配置され、モザイク色フィルタにおける色配置はブロック画像単位でランダムになるように配置し、ブロック内で色配置をランダム構成にし、このような構成のブロックが繰り返されるように画像全体を構成することにより、ROMに記録されるべき色配置情報と補間係数列情報の容量を少なくすることができるCCDイメージセンサ。 4.対比 (1)本願発明の「デジタル画像獲得センサ」について 刊行物1発明の「CCDイメージセンサ」は、画像を獲得するためのセンサであり、この画像は、「ROMに記録されるべき色配置情報と補間係数列情報」により補間演算を行うものであるから、デジタル画像といえる。 したがって、本願発明と刊行物1発明は、何れも、「デジタル画像獲得センサ」である点で一致する。 (2)本願発明の「カラーフィルタのアレイを有し」について 刊行物1発明における「モザイク色フィルタ」は、「R,G,Bの3原色フィルタで構成され」るカラーフィルタであり、【図2】のようにモザイク状に各色のフィルタが配置されるものであるから、アレイといえるものである。よって、刊行物1発明のCCDイメージセンサは、カラーフィルタのアレイを有するといえる。 したがって、本願発明と刊行物1発明は、「カラーフィルタのアレイ」を有する点で一致する。 (3)本願発明の「前記アレイは、垂直方向及び水平方向に沿ってオーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターンからなり」について 刊行物1発明における「モザイク色フィルタ」は、その色配置が「ブロック画像単位でランダムになるように配置」され、「ブロック内で色配置をランダム構成にし、このような構成のブロックが繰り返されるように画像全体を構成することにより、ROMに記録されるべき色配置情報と補間係数列情報の容量を少なくすることができる」ものであるから、モザイク色フィルタは、同じブロックが複数つなげられて並べられたものであると認められる。よって、刊行物1発明におけるブロックは、「オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターン」といえる。 したがって、本願発明と刊行物1発明は、「前記アレイは、オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターン」からなるといえる点では共通するものである。 しかしながら、オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターンが、本願発明では、垂直方向及び水平方向に沿って、反復するのに対し、刊行物1発明では、反復する方向の特定はない点で両者は相違する。 (4)本願発明の「基本パターンはそれぞれ、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同一種類の2つのカラーフィルタの間の可変のピッチを含むように、擬似ランダムに配置されるカラーフィルタによって形成される」について 刊行物1発明におけるモザイク色フィルタは、R,G,Bの3原色フィルタで構成され、同色フィルタの画素は、例えばポアソン分布にしたがって空間的にランダムに配置されたものであり、このモザイク色フィルタにおける色配置はブロック画像単位でランダムになるように配置したもの(【図2】)であるから、刊行物1発明におけるモザイク色フィルタの一部分であるブロックも、R,G,Bの3原色フィルタで構成され、同色フィルタの画素は、例えばポアソン分布にしたがって空間的にランダムに配置されたものである。同色フィルタの画素が、空間的にランダムに配置されると、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同色フィルタの画素の間のピッチはランダムに変わる(すなわち、可変となる)から、刊行物1発明におけるブロックは、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同色フィルタの画素の間の可変ピッチを含むようになっているといえる。 よって、刊行物1発明におけるブロックはそれぞれ、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同色フィルタの画素の間の可変ピッチを含むように、ランダムに配置される3原色フィルタで構成されるものである。 刊行物1発明の「ブロック」、「同色フィルタ」、「3原色フィルタ」は、それぞれ、本願発明の「基本パターン」、「同一種類の(2つの)カラーフィルタ」、「カラーフィルタ」に相当する。また、刊行物1発明の「例えばポアソン分布にしたがって空間的にランダムに配置」の「ランダム」は、コンピュータなどによる演算によって発生させたランダムであるから、「疑似ランダム」といえる。 したがって、本願発明と刊行物1発明は、「基本パターンはそれぞれ、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同一種類の2つのカラーフィルタの間の可変のピッチを含むように、擬似ランダムに配置されるカラーフィルタによって形成される」点で一致する。 (5)一致点及び相違点 したがって、本願発明と刊行物1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] カラーフィルタのアレイを有し、 前記アレイは、オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターンからなり、基本パターンはそれぞれ、水平方向及び/又は垂直方向に連続する同一種類の2つのカラーフィルタの間の可変のピッチを含むように、擬似ランダムに配置されるカラーフィルタによって形成される、 ことを特徴とするデジタル画像獲得センサ。 [相違点] オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターンが、本願発明では、「垂直方向及び水平方向に沿って」反復するのに対し、刊行物1発明では、反復する方向の特定はない点。 5.当審の判断 刊行物1発明における「ブロック」に関して、色配置をランダムにする単位である該ブロックの大きさは、「ROMに記録されるべき色配置情報と補間係数列情報の容量を少なくすることができる」という目的を達成するように定められるものである(【0014】)。該ブロックは色配置をランダムにする単位であるから、その大きさを大きくすると、画像全体のランダム性は増加するが色配置情報などを記憶するのに必要な容量は多く必要になり、該ブロックの大きさを小さくすると画像全体のランダム性は減少するが容量は少なくてすむという関係にあるものである。つまり、刊行物1発明におけるブロックは、このような画像全体のランダム性と容量とのトレードオフの中で最適な大きさが決定されるものであり、その結果として、ブロックの大きさを、画像全体が、垂直方向及び水平方向の複数のブロックにより構成されるような大きさに定めることは、当業者が容易に想到し得ることである。すなわち、刊行物1発明において、オーバラップせずに反復する複数の同一の基本パターンが、「垂直方向及び水平方向に沿って」反復するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、本願発明は、刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-03-26 |
結審通知日 | 2014-04-01 |
審決日 | 2014-04-14 |
出願番号 | 特願2010-511684(P2010-511684) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 勝久 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 小池 正彦 |
発明の名称 | デジタル画像センサ、画像獲得方法及び画像再構成方法並びにその実行システム |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 水谷 好男 |
代理人 | 森 啓 |
代理人 | 遠藤 力 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 水谷 好男 |
代理人 | 遠藤 力 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 森 啓 |