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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1292351
審判番号 不服2013-7730  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-26 
確定日 2014-10-03 
事件の表示 特願2011-179115「コンテンツコピー制御装置およびコンテンツコピー制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月26日出願公開、特開2012- 19529〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2005年(平成17年)4月27日(パリ条約による優先権主張2004年(平成16年)4月28日、日本)を国際出願日とする特願2006-512869号の一部を平成23年8月18日に新たな特許出願としたものであって、平成25年1月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年4月26日に拒絶査定不服審判が請求された。
その後当審において、平成26年2月12日付けで最初の拒絶理由が通知されたが、それに応答して平成26年4月21日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成26年4月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は下記のとおりである。

記(本願発明)
コピー制御信号を含むコンテンツを出力するコンテンツコピー制御装置であって、
コピー制御信号を含むコンテンツを受け付けて該コンテンツを蓄積するコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツをフォーマット変換するフォーマット変換手段と、
フォーマット変換された前記コンテンツの出力状態を記憶する出力状態記憶手段と、
前記出力状態にもとづいて、出力している前記コンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するコンテンツ操作制御手段と、
前記フォーマット変換された前記コンテンツの出力先が、再生端末であり、
前記コンテンツ操作制御手段は、前記再生端末に対して前記フォーマット変換された前記コンテンツの削除を指示する機能を備えることを特徴とするコンテンツコピー制御装置。

第3 当審の判断
1.刊行物2の記載
当審における、平成26年2月12日付けの拒絶理由に引用された刊行物2である特開2001-51906号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

(ア)「【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るコンテンツデータ管理システムの一実施の形態を示す図である。パーソナルコンピュータ1は、ローカルエリアネットワークまたはインターネットなどから構成されるネットワーク2に接続されている。パーソナルコンピュータ1は、EMD(Electrical Music Distribution)サーバ4-1乃至4-3から受信した、または後述するCD(Compact Disc)から読み取った楽音のデータ(以下、コンテンツと称する)を、所定の圧縮の方式(例えば、ATRAC3(商標))に変換するとともにDES(Data Encryption Standard)などの暗号化方式で暗号化して記録する。
【0020】パーソナルコンピュータ1は、暗号化して記録しているコンテンツに対応して、コンテンツの利用条件を示す利用条件のデータを記録する。
【0021】利用条件のデータは、例えば、その利用条件のデータに対応するコンテンツを同時に利用することができるポータブルデバイス(Portable Device(PDとも称する))の台数(後述する、いわゆるチェックアウトできるPDの台数)を示す。利用条件のデータに示される数だけコンテンツをチェックアウトしたときでも、パーソナルコンピュータ1は、そのコンテンツを再生できる。
【0022】または、利用条件のデータは、コピーすることができることを示す。コンテンツをポータブルデバイス6-1乃至6-3にコピーしたとき、パーソナルコンピュータ1は記録しているコンテンツを再生できる。コンテンツの、ポータブルデバイス6-1乃至6-3に記憶させることができる回数は、制限される場合がある。この場合、コピーできる回数は、増えることがない。
【0023】または、利用条件のデータは、他のパーソナルコンピュータに移動することができるなどを示す。ポータブルデバイス6-1乃至6-3にコンテンツを移動させた後、パーソナルコンピュータ1が記録しているコンテンツは使用できなくなる(コンテンツが削除されるか、または利用条件が変更されて使用できなくなる)。」

(イ)「【0036】使用者は、コンテンツを記憶したポータブルデバイス6-1をパーソナルコンピュータ1から取り外して、持ち歩き、記憶しているコンテンツを再生させて、コンテンツに対応する音楽などをヘッドフォンなどで聴くことができる。」

(ウ)「【0082】図4は、CPU11の所定のプログラムの実行等により実現される、パーソナルコンピュータ1の機能の構成を説明するブロック図である。コンテンツ管理プログラム111は、EMD選択プログラム131、チェックイン/チェックアウト管理プログラム132、暗号方式変換プログラム135、圧縮方式変換プログラム136、暗号化プログラム137、利用条件変換プログラム139、利用条件管理プログラム140、認証プログラム141、復号プログラム142、PD用ドライバ143、購入用プログラム144、および購入用プログラム145などの複数のプログラムで構成されている。」

(エ)「【0088】移動管理プログラム134は、コンテンツデータベース114に記録されている利用条件ファイル162-1乃至162-Nに基づいて、コンテンツファイル161-1乃至161-Nに格納されているコンテンツをポータブルデバイス6-1乃至6-3のいずれかに移動するか、またはポータブルデバイス6-1乃至6-3からコンテンツをコンテンツデータベース114に移動する。
【0089】暗号方式変換プログラム135は、ネットワーク2を介して、購入用アプリケーションプログラム115がEMDサーバ4-1から受信したコンテンツの暗号化の方式、購入用プログラム144がEMDサーバ4-2から受信したコンテンツの暗号化の方式、または購入用プログラム145がEMDサーバ4-3から受信したコンテンツの暗号化の方式を、コンテンツデータベース114が記録しているコンテンツファイル161-1乃至161-Nに格納されているコンテンツと同一の暗号化の方式に変換する。
【0090】また、暗号方式変換プログラム135は、ポータブルデバイス6-1または6-3にコンテンツをチェックアウトするとき、チェックアウトするコンテンツを、ポータブルデバイス6-1または6-3が利用可能な暗号化方式に変換する。
【0091】圧縮方式変換プログラム136は、ネットワーク2を介して、購入用アプリケーションプログラム115がEMDサーバ4-1から受信したコンテンツの圧縮の方式、購入用プログラム144がEMDサーバ4-2から受信したコンテンツの圧縮の方式、または購入用プログラム145がEMDサーバ4-3から受信したコンテンツの圧縮の方式を、コンテンツデータベース114が記録しているコンテンツファイル161-1乃至161-Nに格納されているコンテンツと同一の圧縮の方式に変換する。
【0092】また、圧縮方式変換プログラム136は、ポータブルデバイス6-1または6-3にコンテンツをチェックアウトするとき、チェックアウトするコンテンツを、ポータブルデバイス6-1または6-3が利用可能な圧縮の方式に変換する。」

(オ)「【0095】利用条件変換プログラム139は、ネットワーク2を介して、購入用アプリケーションプログラム115がEMDサーバ4-1から受信したコンテンツの利用条件を示すデータ(いわゆる、Usage Rule)、購入用プログラム144がEMDサーバ4-2から受信したコンテンツの利用条件を示すデータ、または購入用プログラム145がEMDサーバ4-3から受信したコンテンツの利用条件を示すデータを、コンテンツデータベース114が記録している利用条件ファイル162-1乃至162-Nに格納されている利用条件データと同一のフォーマットに変換する。
【0096】また、利用条件変換プログラム139は、ポータブルデバイス6-1または6-3にコンテンツをチェックアウトするとき、チェックアウトするコンテンツに対応する利用条件のデータを、ポータブルデバイス6-1または6-3が利用可能な利用条件のデータに変換する。
【0097】利用条件管理プログラム140は、コンテンツのコピー、移動、チェックイン、またはチェックアウトの処理を実行する前に、コンテンツデータベース114に記録されている利用条件ファイル162-1乃至162-Nに格納されている利用条件のデータに対応するハッシュ値(後述する)を基に、利用条件のデータの改竄を検出する。利用条件管理プログラム140は、コンテンツのコピー、移動、チェックイン、またはチェックアウトの処理に伴う、コンテンツデータベース114に記録されている利用条件ファイル162-1乃至162-Nに格納されている利用条件のデータを更新に対応して、利用条件のデータに対応するハッシュ値を更新する。」

(カ)「【0148】図9は、このようなフラッシュメモリ61に記録されているコンテンツファイルをHDD21に移動する場合の処理を表わしている。
【0149】ステップS21において、CPU53は、フラッシュメモリ61と認証し、暗号鍵Kcを取得する。ステップS22において、パーソナルコンピュータ1の認証プログラム141は、ポータブルデバイス6のCPU53と相互認証処理を行い、通信用鍵Ksを共有する。この処理は、上述した図6のステップS1の処理と同様の処理である(但し、ステップS1では、このとき共有する通信用鍵をKs1としている)。
【0150】ステップS23において、利用条件管理プログラム140は、CPU53に、予め用意されている特別なコマンドを出力し、フラッシュメモリ61のmedia defect list(図8(A))の0番目のdefect block(図8(B))に記憶されている変数seq#の更新を要求し、CPU53は、この要求に対応して、変数seq#を、所定の値に更新させる。
【0151】ステップS24において、CPU53は、ステップS21でフラッシュメモリ61から取得した暗号鍵Kcを、ステップS22との間で取得した通信用鍵Ksで暗号化し、利用条件移動管理プログラム140へ転送する。ステップS25において、CPU53は、フラッシュメモリ61に記憶されているコンテンツファイルのデータ部の、暗号化されているコンテンツの転送を受け、通信用鍵Ksで暗号化して、移動管理プログラム134へ転送する。移動管理プログラム134は、ポータブルデバイス6から転送されてきたコンテンツを、HDD21(コンテンツデータベース114)に保存する。ステップS26において、移動管理プログラム134は、復号プログラム142に、ポータブルデバイス6から転送されてきた暗号鍵Kcを通信用鍵Ksで復号させ、それを、暗号化プログラム137に、自分自身の保存用鍵で暗号化させ、HDD21に記憶させる。
【0152】ステップS27において、移動管理プログラム134は、CPU53に対して、コンテンツファイルがコピーされたことを通知する。このときCPU53は、ステップS28において、フラッシュメモリ61に記憶されているコンテンツファイル(ステップS25で、利用条件管理プログラム140に転送したコンテンツファイル)を削除する。」

2.引用発明
ここで、上記刊行物2の記載について検討する。

(1)刊行物2の前掲(ア)によると、刊行物2には、コンテンツデータ管理システムとして機能するパーソナルコンピュータに関する発明が記載されており、前掲(ウ)によると、パーソナルコンピュータの機能はCPUの所定のプログラムの実行により実現される。

(2)刊行物2の前掲(ア)によると、パーソナルコンピュータは、EMDサーバから受信した楽音データのコンテンツを所定の圧縮の方式に変換し、所定の暗号化方式で暗号化して記録する。また、記録しているコンテンツに対応したコンテンツの利用条件を示す利用条件のデータを記録する。
この利用条件のデータとは、チェックアウトできるポータブルデバイスの台数、コピーすることができること、移動することができることを示すデータである。
前掲(エ)によると、暗号方式変換プログラム及び圧縮方式変換プログラムは、EMDサーバから受信したコンテンツの暗号化の方式、圧縮の方式を、コンテンツデータベースが記録しているコンテンツファイルに格納されているコンテンツと同一の暗号化の方式及び圧縮の方式に変換する。
前掲(オ)によると、利用条件変換プログラムは、EMDサーバから受信したコンテンツの利用条件を示すデータを、コンテンツデータベースが記録している利用条件ファイルに格納されている利用条件データと同一のフォーマットに変換する。
すなわち、パーソナルコンピュータは、EMDサーバから所定の圧縮方式で圧縮され、所定の暗号化方式で暗号化されたコンテンツと、そのコンテンツの利用条件を示すデータを受信し、それらをコンテンツデータベースに記録されるコンテンツファイル及び利用条件ファイルの形式に変換して記録するものである。

(3)刊行物2の前掲(エ)によると、暗号方式変換プログラム及び圧縮方式変換プログラムは、ポータブルデバイスにコンテンツをチェックアウトするとき、チェックアウトするコンテンツを、ポータブルデバイスが利用可能な暗号化方式及び圧縮の方式に変換する。
すなわち、パーソナルコンピュータは、コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするとき、コンテンツをポータブルデバイスが利用可能な暗号化方式及び圧縮の方式に変換するものである

(4)刊行物2の前掲(エ)によると、移動管理プログラムは、コンテンツデータベースに記録される利用条件ファイルに基づいて、コンテンツファイルに格納されるコンテンツをポータブルデバイスに移動するか、またはポータブルデバイスからコンテンツをコンテンツデータベースに移動する。
また、前掲(オ)によると、利用条件管理プログラムは、コンテンツのコピー、移動、チェックイン、またはチェックアウトの処理に伴うコンテンツデータベースに記録されている利用条件ファイルに格納されている利用条件のデータの更新に対応して、利用条件のデータに対応するハッシュ値を更新する。
前掲(ア)によると、ポータブルデバイスにコンテンツを移動させた後、パーソナルコンピュータが記録しているコンテンツは利用条件が変更されて使用できなくなる。
なお、前掲(イ)によると、ポータブルデバイスはポータブルデバイスに記憶したコンテンツを再生するものである。
すなわち、パーソナルコンピュータは、コンテンツファイルに格納されるコンテンツを、コンテンツを再生するポータブルデバイスに移動させ、ポータブルデバイスからコンテンツをコンテンツデータベースに移動させる機能を有し、ポータブルデバイスにコンテンツを移動させた後はパーソナルコンピュータが記録しているコンテンツの利用条件のデータを更新してコンテンツを使用できなくするものである。

(5)刊行物2の前掲(カ)によると、ポータブルデバイスのフラッシュメモリに記録されているコンテンツファイルをパーソナルコンピュータのHDDに移動する場合の処理として、移動管理プログラムは、ポータブルデバイスから転送されるコンテンツをHDDのコンテンツデータベースに保存し、ポータブルデバイスのCPUにコンテンツファイルがコピーされたことを通知する。このときポータブルデバイスのCPUはフラッシュメモリに記憶されているコンテンツファイルを削除する。
すなわち、パーソナルコンピュータは、ポータブルデバイスに記録されているコンテンツファイルをコンテンツデータベースに移動させるときに、ポータブルデバイスのCPUがポータブルデバイスに記憶されているコンテンツファイルを削除する契機となる情報を通知するものといえる。

(6)まとめ
上記(1)ないし(5)によれば、刊行物2には下記の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。

記(引用発明)
コンテンツデータ管理システムとして機能するパーソナルコンピュータであって、
パーソナルコンピュータの機能はCPUの所定のプログラムの実行により実現されるものであり、
パーソナルコンピュータは、所定の圧縮方式で圧縮され、所定の暗号化方式で暗号化されたコンテンツと、そのコンテンツの利用条件を示すデータを受信し、それらをコンテンツファイル及び利用条件ファイルの形式に変換して記録するコンテンツデータベースを備え、
この利用条件のデータとは、チェックアウトできるポータブルデバイスの台数、コピーすることができること、移動することができることを示すデータであり、
パーソナルコンピュータは、コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするとき、コンテンツをポータブルデバイスが利用可能な暗号化方式及び圧縮の方式に変換し、
パーソナルコンピュータは、コンテンツファイルに格納されるコンテンツを、コンテンツを再生するポータブルデバイスに移動させ、ポータブルデバイスからコンテンツをコンテンツデータベースに移動させる機能を有し、
ポータブルデバイスにコンテンツを移動させた後はパーソナルコンピュータが記録しているコンテンツの利用条件のデータを更新してコンテンツを使用できなくし、
ポータブルデバイスに記録されているコンテンツファイルをコンテンツデータベースに移動させるときに、ポータブルデバイスのCPUがポータブルデバイスに記憶されているコンテンツファイルを削除する契機となる情報を通知する、
パーソナルコンピュータ。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると次のことが認められる。

(a)本願発明の「コピー制御信号を含むコンテンツを受け付けて該コンテンツを蓄積するコンテンツ記憶手段」について

引用発明のパーソナルコンピュータは、「所定の圧縮方式で圧縮され、所定の暗号化方式で暗号化されたコンテンツと、そのコンテンツの利用条件を示すデータを受信し、それらをコンテンツファイル及び利用条件ファイルの形式に変換して記録するコンテンツデータベース」を備えているものであり、「この利用条件のデータとは、チェックアウトできるポータブルデバイスの台数、コピーすることができること、移動することができることを示すデータ」であって、コンテンツのコピーが制限なく可能であること、チェックアウトつまりコピーが可能な数の制限が設けられていること、移動が可能であることを規定する情報である。
また、引用発明は「ポータブルデバイスにコンテンツを移動させた後はパーソナルコンピュータが記録しているコンテンツの利用条件のデータを更新してコンテンツを使用できなく」していることから、引用発明のコンテンツの移動とは、コンテンツの移動は可能であるが次の世代のコピーが禁止されていることであり、1世代のみコピーが可能であることを規定するものである。
一方、本願発明のコピー制御信号とは、本願明細書の段落【0028】によれば、「コピー制御情報23は、録画データに付加されているコピー制御情報(信号)である。本実施の形態では、録画情報テーブル101bは、コピー制御情報23として、「1世代のみコピー可」または「制限条件なしにコピー可」を含む。」というものである。
そうすると、引用発明の「利用条件のデータ」は、本願発明の「コピー制御信号」と同等のものといえ、両者のコンテンツは「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツ」という点で一致するものといえるところ、本願発明では、コピー制御信号がコンテンツに含まれるものであるのに対し、引用発明は、コピー制御信号をコンテンツとは別に有している点で相違する。
また、引用発明のコンテンツを記録するコンテンツデータベースは、本願発明の「コンテンツを蓄積するコンテンツ記憶手段」に相当するものといえる。
以上のことから、本願発明と引用発明は共に「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツを受け付けて該コンテンツを蓄積するコンテンツ記憶手段」を備えている点で一致するものの、「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツ」について、本願発明では、コピー制御信号がコンテンツに含まれるものであるのに対し、引用発明は、コピー制御信号をコンテンツとは別に有している点で相違する。

(b)本願発明の「前記コンテンツをフォーマット変換するフォーマット変換手段」について

引用発明のパーソナルコンピュータは、「コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするとき、コンテンツをポータブルデバイスが利用可能な暗号化方式及び圧縮の方式に変換」するものである。
これらの暗号化方式及び圧縮の方式の変換は、コンテンツデータベースのコンテンツファイルの形式で記録されたコンテンツをポータブルデバイスが利用可能な形式に変換するものであり、フォーマットを変換することに相当する。
そして、引用発明は、パーソナルコンピュータが所定のプログラムの実行によりこれらの機能を発揮するものであるから、上記機能を実行する手段を備えているものといえ、引用発明は、本願発明と同様の「前記コンテンツをフォーマット変換するフォーマット変換手段」を備えているといえる。
ただし、引用発明の「フォーマット変換手段」は、コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするときにフォーマットの変換を行うものであるものの、コンテンツをポータブルデバイスへ移動させるときに、コンテンツのフォーマットを変換するものであるかは不明である。

(c)本願発明の「フォーマット変換された前記コンテンツの出力状態を記憶する出力状態記憶手段」、「前記出力状態にもとづいて、出力している前記コンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するコンテンツ操作制御手段」について

引用発明のパーソナルコンピュータは、「コンテンツファイルに格納されるコンテンツを、コンテンツを再生するポータブルデバイスに移動させる機能」を有しており、「ポータブルデバイスにコンテンツを移動させた後はパーソナルコンピュータが記録しているコンテンツの利用条件のデータを更新してコンテンツを使用できなく」するものである。
引用発明は、コンテンツをポータブルデバイスへ移動させた後、移動させたコンテンツに対応するパーソナルコンピュータが記録しているコンテンツを、そのコンテンツの利用条件のデータを更新して使用できなくするのであるから、引用発明のコンテンツの移動は、本願発明のコンテンツの出力に相当し、引用発明の移動させたコンテンツを使用できなくすることは、本願発明の出力しているコンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するものといえる。
また、コンテンツの利用条件を示すデータは、コンテンツデータベースの利用条件ファイルとして記録されているものであり、コンテンツの移動の際に利用条件を示すデータを更新してコンテンツを使用できなくしていることから、そのコンテンツの利用条件ファイルにコンテンツの出力状態を記憶しているものといえる。
そして、引用発明は、パーソナルコンピュータが所定のプログラムの実行によりこれらの機能を発揮するものであるから、上記機能を実現する「コンテンツの出力状態を記憶する出力状態記憶手段」及び「出力している前記コンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するコンテンツ操作制御手段」を備えているものといえる。
ただし、上記(b)において認定したように、引用発明の「フォーマット変換手段」は、コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするときにフォーマットの変換を行うものであるものの、コンテンツをポータブルデバイスへ移動させるときに、コンテンツのフォーマットを変換するものであるかは不明であるから、引用発明の出力状態を記憶する対象となるコンテンツは、「フォーマット変換手段」によりフォーマット変換されたコンテンツであるとは特定がされていない。
以上のことから、引用発明は、本願発明と「前記コンテンツの出力状態を記憶する出力状態記憶手段」、「前記出力状態にもとづいて、出力している前記コンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するコンテンツ操作制御手段」を備えているという点で一致するものといえる。
ただし、「出力状態記憶手段」が出力状態の記憶の対象とするコンテンツは、本願発明では、「フォーマット変換された」コンテンツであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点で相違する。

(d)本願発明の「前記フォーマット変換された前記コンテンツの出力先が、再生端末であり」について

引用発明のパーソナルコンピュータは、「コンテンツファイルに格納されるコンテンツを、コンテンツを再生するポータブルデバイスに移動させる機能」を有しており、引用発明の「コンテンツを再生するポータブルデバイス」は、本願発明の「再生端末」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明と「前記コンテンツの出力先が、再生端末であり」という点で一致するものといえる。
ただし、上記(b),(c)において認定したのと同様に、再生端末へ出力するコンテンツは、本願発明では、「フォーマット変換された」コンテンツであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点で相違する。

(e)本願発明の「前記コンテンツ操作制御手段は、前記再生端末に対して前記フォーマット変換された前記コンテンツの削除を指示する機能を備える」について

引用発明のパーソナルコンピュータは、「ポータブルデバイスからコンテンツをコンテンツデータベースに移動させる機能」を有しており、「ポータブルデバイスに記録されているコンテンツファイルをコンテンツデータベースに移動させるときに、ポータブルデバイスのCPUがポータブルデバイスに記憶されているコンテンツファイルを削除する契機となる情報を通知する」ものである。
パーソナルコンピュータが「ポータブルデバイスのCPUがポータブルデバイスに記憶されているコンテンツファイルを削除する契機となる情報を通知する」ということは、ポータブルデバイスに対して、記憶されているコンテンツファイルの削除を指示しているものといえる。
そして、上記(c)において認定したのと同様に、引用発明は、パーソナルコンピュータが所定のプログラムの実行により各種の機能を発揮するものであって、「コンテンツ操作制御手段」を備え、かつ上記機能を実行するものといえる。
ただし、上記(b)ないし(d)において認定したように、引用発明における再生端末へ出力するコンテンツは、「フォーマット変換された」コンテンツであるとは特定されていないため、引用発明が削除の指示の対象とするコンテンツが「フォーマット変換された」コンテンツであるとは特定されていない。
以上のことから、引用発明は、本願発明と「前記コンテンツ操作制御手段は、前記再生端末に対して前記コンテンツの削除を指示する機能を備える」という点で一致するものといえる。
ただし、「コンテンツ操作制御手段」が削除の指示の対象とするコンテンツは、本願発明では、「フォーマット変換された」コンテンツであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点で相違する。

(f)本願発明の「コピー制御信号を含むコンテンツを出力するコンテンツコピー制御装置」について

引用発明は、上記(a)ないし(e)で認定した機能を備えた「コンテンツデータ管理システムとしてのパーソナルコンピュータ」であり、利用条件を示すデータによりコンテンツのコピーや移動を制御するものであるから、本願発明と同様の「コピー制御装置」であるといえる。
そして、上記(a)で認定したように、両者のコンテンツは「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツ」という点で一致するものといえるが、本願発明では、コピー制御信号がコンテンツに含まれるものであるのに対し、引用発明は、コピー制御信号をコンテンツとは別に有している点で相違する。
ただし、引用発明は、コンテンツをポータブルデバイスへ出力するものであるから、上記の点を総合すると、本願発明と「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツを出力するコンテンツコピー制御装置」という点で一致するものといえる。

4.一致点・相違点
以上の対比(a)ないし(f)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次の通りである。

[一致点]
コピー制御信号が関連付けられたコンテンツを出力するコンテンツコピー制御装置であって、
コピー制御信号が関連付けられたコンテンツを受け付けて該コンテンツを蓄積するコンテンツ記憶手段と、
前記コンテンツをフォーマット変換するフォーマット変換手段と、
前記コンテンツの出力状態を記憶する出力状態記憶手段と、
前記出力状態にもとづいて、出力している前記コンテンツのオリジナルコンテンツへの操作を禁止するコンテンツ操作制御手段と、
前記コンテンツの出力先が、再生端末であり、
前記コンテンツ操作制御手段は、前記再生端末に対して前記コンテンツの削除を指示する機能を備えることを特徴とするコンテンツコピー制御装置。

[相違点1]
「コピー制御信号が関連付けられたコンテンツ」について、本願発明では、コピー制御信号がコンテンツに含まれるものであるのに対し、引用発明は、コピー制御信号をコンテンツとは別に有している点。

[相違点2]
「出力状態記憶手段」が出力状態の記憶の対象とするコンテンツ、再生端末へ出力するコンテンツ、及び、「コンテンツ操作制御手段」が削除の指示の対象とするコンテンツが、本願発明では、「フォーマット変換された」コンテンツであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点。

5.相違点の判断
(1)相違点1について
コピー制御の属性をコンテンツ自身に記録することは当該技術分野において周知の技術であり、引用発明において、コピー制御信号をコンテンツに含まれるものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
引用発明は、パーソナルコンピュータからポータブルデバイスへのコンテンツの移動の際に、コンテンツをフォーマット変換するか否か不明であるが、ポータブルデバイスはコンテンツを再生することを目的とした機器であるから、移動させるコンテンツがポータブルデバイスが再生できない形式であれば、それをポータブルデバイスが再生可能な形式に変換しようとすることは当業者が当然考慮すべき事項である。
そして、引用発明においても、コンテンツをポータブルデバイスにチェックアウトするとき、コンテンツをポータブルデバイスが利用可能な暗号化方式及び圧縮の方式に変換している。
よって、引用発明において、パーソナルコンピュータからポータブルデバイスへのコンテンツの移動の際においても、コンテンツのフォーマット変換を行うものとし、「出力状態記憶手段」が出力状態の記憶の対象とするコンテンツ、再生端末へ出力するコンテンツ、及び、「コンテンツ操作制御手段」が削除の指示の対象とするコンテンツを、「フォーマット変換された」コンテンツとすることは、当業者が容易になし得ることである。

6.効果等について
本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。

7.まとめ
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のように、本願の請求項1に係る発明は、刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-23 
結審通知日 2014-07-30 
審決日 2014-08-21 
出願番号 特願2011-179115(P2011-179115)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡邊 聡
小池 正彦
発明の名称 コンテンツコピー制御装置およびコンテンツコピー制御方法  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐々木 敬  
代理人 福田 修一  
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