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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1292411
審判番号 不服2013-17061  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-04 
確定日 2014-10-02 
事件の表示 特願2010-278510「再生装置、再生方法、記録装置、記録方法および記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日出願公開、特開2011- 97614〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成16年1月29日(優先権主張平成15年1月30日、平成15年3月18日)に出願した特願2004-21886号の一部を平成22年12月14日に新たな特許出願としたものであって、平成24年7月20日付けの拒絶理由通知に対し、平成24年9月24日付けで手続補正がなされたが、平成25年5月28日付けで、拒絶査定がなされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成25年9月4日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成25年9月4日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年9月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.本願発明と補正後発明

上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成24年9月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「動画データを再生する手段と、
上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段と、
上記画像データに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データをユーザの上記操作に従い差し替えて表示し、
上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する再生装置。」

という発明を、平成25年9月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「動画データを再生する手段と、
上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段と、
上記画像データに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示し、
上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する再生装置。」

という発明に補正することを含むものである。

2.新規事項の有無、補正の目的要件について

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において補正をするものであり、平成24年9月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データをユーザの上記操作に従い差し替えて表示し、」を、
「ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示し、」とし、ボタン画像データを差し替えて表示することを、操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示することに限定するものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.独立特許要件について

本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正による補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)補正後発明

本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後発明」という。)は、

「動画データを再生する手段と、
上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段と、
上記画像データに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示し、
上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する再生装置。」

にあるものと認める。

(2)刊行物発明

原審の拒絶理由に引用された、特開2001-275089号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「ディジタルビデオディスク再生装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DVD-Video等のように、タイトル選択や、音声切り替え用のメニューデータを記録しうるディジタルビデオ記録媒体並びにそのディジタルビデオ記録媒体を再生する装置に関する。【0002】
【従来の技術】
映画などのビデオデータを光ディスク上にディジタル記録するための方式の一つとして、DVD-Video規格がある。このDVD-Videoでは、高密度記録技術や、両面・2層記録技術により大容量化を実現するとともに、画像や音声を圧縮符号化して記録することにより、高品位なビデオデータの長時間記録を実現している。」

イ.「【0017】以上に説明したデータフォーマットを利用することにより、DVD-Videoでは、タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択させることのできるメニューを構成することができる。
【0018】このメニューは、図12に示すようにメニュー画面の背景となる主映像ストリームと、背景音となる音声ストリームと、そしてメニュー選択用のボタンを描画するための副映像ストリームと、各ボタンの情報を収めるハイライト情報とから構成され、これらがVOBとして多重されている。
【0019】すなわち通常のタイトルとメニューとの違いは、そのビデオや音声の内容だけであり、データ構成上は何ら変わるところがない。
【0020】このメニューボタンは、ユーザ操作により非選択状態、選択状態、実行状態の3状態をとることが可能であり、それぞれの状態において副映像として作成された各ボタンの色を変化(ハイライト)させることができる。この各状態におけるハイライト色の設定や、各ボタンの領域を示す2次元座標が、先に述べたハイライト情報中に記述される。
【0021】図13はプログラムストリームのナビゲーションパックに記述される、ハイライト情報の内容を示したものである。ハイライト情報は、ハイライト全般情報と、ボタンカラーテーブルと、ボタン情報テーブルとにより構成されている。
【0022】ハイライト全般情報には、ボタンの数やハイライト情報の有効時間やイニシャル選択ボタン番号など、ハイライト情報全般の情報が記述される。
【0023】ボタンカラーテーブルの各カラーテーブルには、副映像画素データに対するカラーパレット番号が、ボタン選択時用と、ボタン実行時用とにそれぞれ割り当てられている。また副映像の画素データと主映像の混合比であるコントラストに関しても、ボタン選択時用と、ボタン実行時用とにそれぞれ設定されている。このカラーテーブルは3種類持つことができる。
【0024】ボタン情報テーブルには、最大36個のボタン情報が記述されており、各ボタン情報は、カラーテーブル番号、ボタン座標、自動実行モード、隣接ボタン番号、ボタンコマンドなどの情報により構成される。
【0025】ここでカラーテーブル番号は、先に説明済みの3種類のボタンカラーテーブルよりどのカラーテーブルを用いるか、すなわちこのボタンが選択・実行された際に、どんな色・コントラストで副映像により描画されるボタン画素を表示(ハイライト)させるかを決めるものである。」

ウ.「【0031】図14は、このDVD-Videoディスクを再生するための再生装置を示すブロック図である。
【0032】DVD-Videoディスク1より、読み出し手段2により読み出されたVOBストリームは、まずデマルチプレクサ3に供給されて、ここでVOBストリーム中にパケット多重されている各種ストリームが分離される。
【0033】デマルチプレクサ3でVOBより抽出された主映像ストリーム、副映像ストリーム、PCIストリーム、および音声ストリームは、それぞれビデオ入力バッファ4、副映像入力バッファ5、PCI入力バッファ6、及び音声入力バッファ7を介して、ビデオ復号手段8、副映像復号手段9、PCI復号手段10、音声復号手段11へ供給される。
【0034】ビデオ復号手段8で復号された主映像信号と、副映像復号手段9で復号された副映像信号とが、映像混合手段12において混合され、出力端子16に出力される。また音声復号手段11において復号された音声信号は、出力端子17に出力される。
【0035】一方、PCI復号手段で復号されたPCI(再生制御情報)データは、DVD再生装置のシステム制御を行うシステム制御手段15に供給されるとともに、HLI(ハイライト情報)復号手段13に供給される。このHLI復号手段13で、PCIデータ中のハイライト情報が復号されて、システム制御手段15に供給される。
【0036】さらにシステム制御手段15は、副映像復号手段9を制御し、ボタンの位置や、ボタン選択・実行時のカラー設定、コマンド等のハイライト情報と、ユーザ入力インターフェース14を介して入力される、ユーザによるボタンの選択・実行操作に基づいて、ボタン部分の副映像をハイライト表示させる。」

エ.「【0058】図1は、本発明による、効果音付きのメニューを実現する際のストリーム構造を示したもので、先に説明したDVD-VideoのVOBを拡張した場合を例として示すものである。
【0059】この拡張VOBには、図1(a)に示すように、メニューの背景となる主映像ストリームと、背景音となる音声ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームと、DVD-Video規格で定められたハイライト情報とが多重されている。更にメニューボタンが選択・実行された際に再生される1つ以上の効果音データと、効果音データとメニューボタンをリンクさせるための情報を含んだ拡張ハイライト情報とを、それぞれ効果音(ES:Effect Sound)パック、拡張ハイライト情報(EHli:Extended Highlight Information)パックとしてVOB上に多重することにより得る。
【0060】この際効果音パックは拡張VOBの先頭付近に多重するようにし、このメニュー用VOBストリームを再生する際には、メニューの表示に先行して効果音データを再生装置に取りこめるようにしておく。
【0061】いま例えば、約1.5秒程度の効果音データとして、ボタン選択時用と、ボタン実行時用の2種類を2セット、計4種類用いる場合を考える。DVD-Videoでは音声の圧縮符号化方式としてDOLBY-AC3やMPEG方式を採用しており、効果音に対してもこれらの方式を用いて圧縮符号化を行う場合、DVD-Video規格で許容されている最小の符号化レートである、64kbpsのレートで圧縮することができる。
【0062】またDVD-Videoにおけるディスクから再生装置へのストリーム最大転送レートは10.08Mbpsとされているので、1.5秒の長さの4種類の効果音を、ディスクから再生装置への転送に要する時間は、
64,000[bit/sec] × 1.5[sec] × 4/10,080,000[bit/sec] = 0.03809・・[sec]
となる。この効果音の取りこみに要する時間は、主映像が読み込み開始されてから再生されるまでに要するディレイが、少なくとも0.1秒程度、最大0.7秒要することを考えると、十分許容される範囲である。
【0063】また拡張ハイライト情報パックはナビゲーションパックの直後に配置するようにし、従来のDVD-Videoディスク再生装置では、ナビゲーションパックのPCIパケット中にあるハイライト情報を、そして拡張ハイライト情報に対応した再生装置は拡張ハイライト情報パック中の拡張ハイライト情報を用いる。
【0064】図1(b)は、これにより得られる拡張VOBストリームのパック多重構造を示すものである。
【0065】また図1(c)は、拡張VOBストリームに多重された拡張ハイライト情報(Ehli)パックの構造を示したものである。拡張ハイライト情報パックは、他のビデオパックや音声パックと同様、パックヘッダと拡張ハイライト情報パケット、およびセクタアライン用のパディングパケットからなっている。
【0066】また拡張ハイライト情報パケットは、PCIパケットやDSIパケットと同様、プライベートストリーム2タイプのパケットとして多重されており、パケットヘッダとsub stream idに続いて、プロバイダサブIDと、拡張ハイライト情報とからなっている。
【0067】ここで、sub stream idは、DVD-Video規格で定められたIDで、このプライベート2ストリームがPCIストリームであるか、DSIストリームであるか、またはプロバイダが自由に使用することのできるストリームであるプロバイダ定義ストリームであるかを示すもので、この拡張ハイライト情報パケットではプロバイダ定義ストリームを使用する。またプロバイダサブIDは、プロバイダ定義ストリームの内容を示すIDであり、ここには拡張ハイライト情報であることを示すIDを記述しておく。
【0068】一方図1(d)は、拡張VOBストリームに多重された効果音(ES:Effect Sound)パックの構造を示したものである。この効果音パックも拡張ハイライト情報パックと同様、パックヘッダと、効果音パケットと、セクタアライン用のパディングパケットとよりなっている。
【0069】また効果音パケットは、拡張ハイライト情報パケットと同様プライベートストリーム2タイプのパケットとして多重されており、パケットヘッダと、sub stream idと、プロバイダサブIDとに続いて、効果音データIDと、効果音データとを持つ。
【0070】ここでsub stream idは、拡張ハイライト情報パケットと同様プロバイダ定義ストリームが設定されており、またプロバイダサブIDには、このプロバイダ定義ストリームが効果音データであることを示すIDを記述しておく。また効果音データIDは、このパケットに含まれている効果音データのインデックス番号をあらわすもので、例えば選択時の効果音と実行時の効果音のように2種類以上の効果音を識別するためのものである。」

オ.「【0071】図2は、図1(c)に示した拡張ハイライト情報の構造を示すもので、図13と同じデータ部の説明は省略する。
【0072】この図2に示すように、拡張ハイライト情報は、DVD-Video規格のハイライト情報、すなわちナビゲーションパックのPCIパケット中に記録されているハイライト情報と同じハイライト全般情報と、ボタンカラーテーブルと、ボタン情報テーブルを持ち、さらにこれらの情報に加えてボタン効果音テーブルを持つ。
【0073】図2の例ではボタン効果音テーブルには、3つの効果音テーブルが含まれており、各テーブルにはボタンが選択された際に再生する選択時用効果音番号と、選択効果音と背景音音声の混合比、およびボタンが実行された際に再生する実行時用効果音番号と、実行効果音と背景音の混合比を持つ。
【0074】さらに拡張ハイライト情報は、各ボタン情報中に上記効果音テーブル番号を持つ。これにより、ボタンが選択・実行された際にはボタン情報からボタン効果音テーブル番号を取得し、その番号の効果音テーブルより効果音番号を得て、効果音データへリンクさせることができる。」

カ.「【0075】図4に、本発明のディジタルビデオディスク再生装置の構成を示し、図14と同じ機能のブロックには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0076】DVD-Videoディスク1には、メニューの主映像ストリームと、メニューの背景音音声ストリームと、メニューボタン用の副映像ストリームとともに、図1で示した効果音ストリームや、図2に示した拡張ハイライト情報が多重されたVOBストリームが記録されているものとする。
【0077】このディスク1より読み出し手段2により読み出されたVOBストリームは、デマルチプレクサ3に供給され、ストリームの種類、すなわち主映像、副映像、PCI、音声、効果音、拡張ハイライト情報の各ストリーム毎に分離される。このうち、主映像、副映像、PCI、および音声の各ストリームの復号に関しては、図14に示した従来の再生装置と同じであるので説明を省略する。
【0078】デマルチプレクサ3で分離された拡張ハイライト情報は、拡張ハイライト情報入力バッファ21を介して拡張ハイライト情報(拡張HLI)復号手段24へ供給される。ここで復号された拡張ハイライト情報は、PCI中のハイライト情報の代わりにシステム制御手段15に供給され、メニューボタンを制御するために用いられる。
【0079】一方、デマルチプレクサ3で分離された効果音ストリームは、効果音入力バッファ20を介して効果音データメモリ22へ供給され、例えば図6に示すデータ構造で、効果音データが保持される。
【0080】図6のデータ構造では、効果音全般情報と、効果音サーチテーブルと、そして実際の効果音データとよりなっている。効果音全般情報部には、効果音データ構造内に記録されている効果音データの数などが記録される。また効果音サーチテーブルには、各効果音データの先頭データが記録されているアドレスが、順番に記録される。これにより、効果音番号から、容易に各効果音データへアクセスすることができる。
【0081】システム制御手段15は、ユーザ入力インターフェース14からのユーザ操作情報により、メニューのボタン選択や、ボタン実行操作が行われた際には、拡張ハイライト情報復号手段24により復号された拡張ハイライト情報に基づいて、ボタン選択・実行時用の効果音データを効果音データメモリ22から効果音復号手段23へ供給するように制御する。
【0082】つまり、ボタン情報に含まれる効果音テーブル番号で効果音テーブルを指定し、この指定された効果音テーブルに含まれる効果音番号を指定する。そしてこの効果音番号に対応する効果音データメモリ22に記憶されている効果音データのアドレスを指定し、そのアドレスから効果音データメモリ22に記憶されている効果音データを取り出す。
【0083】そして効果音復号手段23により復号された効果音信号と、音声復号手段11より出力されるメニューの背景音信号は、音声混合手段25で混合されて出力端子17に出力される。またこの音声混合手段25は、システム制御手段15から供給される主音声と効果音の混合比制御信号により、混合比が制御される。この混合比は、図2に示したように、ボタン選択・実行時の効果音番号とともに拡張ハイライト情報に記述されているものである。」

キ.「【0085】図7は、この効果音付きメニューにおいて、ボタン1からボタン2へ選択状態を変更した際の動作を示すものである。
【0086】まず初期状態として、ボタン1が選択されている状態にある。今T1の時刻にユーザがボタン1→ボタン2へ選択を移動する操作をした場合、再生システムはボタン1の選択状態を解除するとともに、ボタン2を選択状態とする処理を行う。すなわち、ボタン2のボタン情報よりボタン2の座標を取得するとともに、ボタン選択色・コントラストを取得して、ボタン2を選択状態の色にハイライトさせる。
【0087】さらにボタン2が選択された際の効果音番号・効果音混合比を取得して、効果音を再生する。この際、効果音データはディスク1から読み出すのではなく、再生装置内の効果音データメモリ22から高速に読み出すことができるため、ユーザ操作に高速に反応して効果音を再生することができる。」

上記ア.?キ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、以下のことが認定できる。

(a)上記ア.の記載によれば、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」は、映画などのビデオデータを記録したディジタルビデオディスクを再生するための装置であるから、映画などのビデオデータを再生する手段を有するものである。

(b)上記ア.、上記イ.の段落【0017】、【0018】、【0025】、上記エ.の段落【0059】、【0060】の記載によれば、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」は、タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択させるために、メニューの背景となる主映像ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームから構成されるメニューボタンを表示する手段を有している。

(c)上記エ.の段落【0059】、【0061】、【0070】の記載によれば、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」のメニューボタンは、効果音データとリンクし、例えば、ボタン選択時とボタン実行時で異なる効果音データを再生するものである。すなわち、メニューボタンに対応する効果音データを再生する手段を有している。

(d)上記イ.の段落【0020】、【0023】?【0025】、上記オ.の段落【0071】、上記キ.の段落【0086】の記載によれば、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」のメニューボタンは、ユーザ操作により非選択状態、選択状態、実行状態の3状態をとることが可能であり、それぞれの状態において、主映像ストリームと、副映像ストリームとして作成された各ボタンの色で表示させることができる。すなわち、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」のメニューボタンは、ユーザ操作により3状態をとることが可能であり、ある状態から他の状態になると、ある状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色から他の状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色に変えて表示するものである。

(e)上記イ.の段落【0020】、【0025】、上記オ.の段落【0074】、上記キ.の段落【0085】?【0087】の記載によれば、刊行物1の「ディジタルビデオディスク再生装置」は、メニューボタンが対応する状態の色で表示される際に、メニューボタンに対応する効果音データを再生するものであり、図7では、ボタンを選択状態にした時点で、選択時効果音が再生されている。すなわち、メニューボタンが対応する状態の色で表示される際に、メニューボタンに対応する効果音データを、メニューボタンの表示と同時に再生するものである。

以上の記載から、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されているといえる。

「映画などのビデオデータを再生する手段と、
タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択させるために、メニューの背景となる主映像ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームから構成されるメニューボタンを表示する手段と、
メニューボタンに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記メニューボタンは、ユーザ操作により3状態をとることが可能であり、ある状態から他の状態になると、ある状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色から他の状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色に変えて表示し、
メニューボタンが対応する状態の色で表示される際に、メニューボタンに対応する効果音データを、メニューボタンの表示と同時に再生するディジタルビデオディスク再生装置。」

(3)対比、判断

(3-1)本願補正発明の「動画データを再生する手段」について

刊行物1発明の「映画などのビデオデータを再生する手段」に関して、映画などのビデオデータは、動画データに相当するので、本願補正発明の「動画データを再生する手段」に相当する。

(3-2)本願補正発明の「上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段」について

刊行物1発明は、「タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択させるために、メニューの背景となる主映像ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームから構成されるメニューボタンを表示する手段」を有している。
ここで、刊行物1発明の「タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択」することは、映画などのビデオデータ、すなわち、動画データを再生する際に、何らかの選択をすることであり、「メニューボタンを表示する」のは、選択をさせるために、ユーザに対して操作を促すためのものである。そして、「メニューボタン」は、メニューの背景となる主映像ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームという画像から構成されることから、操作画面を構成する画像データであり、その画像データを表示しているものである。
そうすると、刊行物1発明の「タイトルやチャプタへのジャンプや、音声・副映像の言語切り替えをグラフィカルに選択させ、メニューの背景となる主映像ストリームと、メニューボタン描画用の副映像ストリームから構成されるメニューボタンを表示する手段」は、本願補正発明の「上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段」に相当する。

(3-3)本願補正発明の「上記画像データに対応する効果音データを再生する手段」について

刊行物1発明は、「メニューボタンに対応する効果音データを再生する手段」を有している。
ここで、(3-2)で検討したように、メニューボタンは、操作画面を構成する画像データであり、例えば、選択状態か実行状態かというメニューボタンの状態に応じて、メニューボタン描画用の副映像ストリームという画像が異なることから、刊行物1発明の「メニューボタンに対応する効果音データを再生する手段」は、画像データに対応する効果音データを再生することである。
そうすると、刊行物1発明の「メニューボタンの状態に対応する効果音データを再生する手段」は、本願補正発明の「上記画像データに対応する効果音データを再生する手段」に相当する。

(3-4)本願補正発明の「上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示」について

刊行物1発明は、「上記メニューボタンは、ユーザ操作により3状態をとることが可能であり、ある状態から他の状態になると、ある状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色から他の状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色に変えて表示し」ているものである。
ここで、刊行物1発明の「メニューボタン」は、(3-2)にて検討したように、本願補正発明の「画像データ」に相当し、また、ボタンであることから、刊行物1発明の「メニューボタン」は、ボタンを表示するボタン画像データである。すなわち、刊行物1発明の「上記メニューボタン」は、本願補正発明の「上記画像データ」のように、「ボタンを表示するボタン画像データ」である。
そして、刊行物1発明は「ユーザ操作により3状態をとることが可能であり、ある状態から他の状態になると、ある状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色から他の状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色に変えて表示し」ていることから、各状態に対応するボタン画像データを有しているものであり、ユーザ操作により、操作前の一の状態に対応するボタンの色を、操作後の他の状態に対応するボタンの色に変えて表示している。
すなわち、刊行物1発明の「上記メニューボタンは、ユーザ操作により3状態をとることが可能であり、ある状態から他の状態になると、ある状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色から他の状態に対応する副映像ストリームとして作成されたボタンの色に変えて表示し」と、本願補正発明の「上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示」は、「上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するものを、操作後の他の状態に対応するものにして表示」するという点で、共通する。
しかし、操作前の一の状態に対応するものを、操作後の他の状態に対応するものにして表示する際に、刊行物1発明のメニューボタンは、(3-2)にて検討したように、メニューの背景となる主映像ストリームとメニューボタン描画用の副映像ストリームという画像から構成されるので、刊行物1発明は、主映像ストリームと副映像ストリームという画像から構成されるボタン画像データのうち、副映像ストリームであるボタンの色のみを変え、主映像ストリームについては変えないで表示するのに対し、本願補正発明は、ボタン画像データを入れ替えて表示する点で相違する。

(3-5)本願補正発明の「上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する」について

刊行物1発明は、「メニューボタンが対応する状態の色で表示される際に、メニューボタンに対応する効果音データを、メニューボタンの表示と同時に再生する」ものである。
刊行物1発明の「メニューボタン」は、(3-2)にて検討したように、本願補正発明の「画像データ」に相当し、刊行物1発明の「メニューボタンが対応する状態の色で表示される」は、メニューボタンがある状態の画像データを表示することであるから、本願補正発明の「上記画像データが表示される」に相当する。
また、刊行物1発明の「メニューボタンに対応する効果音データ」は、メニューボタンの様々な状態に応じて効果音データが異なることであり、メニューボタンが画像データに相当し、画像データごとに異なる効果音データであるので、本願補正発明の「上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データ」に相当する。
そして、刊行物1発明の「メニューボタンの表示と同時に再生する」は、本願補正発明の「上記画像データの表示と同時に再生する」に相当する。
そうすると、刊行物1発明の「メニューボタンが対応する状態の色で表示される際に、メニューボタンに対応する効果音データを、メニューボタンの表示と同時に再生する」と、本願補正発明の「上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する」は、「上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、上記画像データの表示と同時に再生する」という点で、共通する。
しかし、上記効果音データを、上記画像データの表示と同時に再生することについて、刊行物1発明は、本願補正発明のように、入力されたプログラムコードに基づいているかどうかについては特定されていない点で相違する。

(3-6)本願補正発明の「再生装置」について

刊行物1発明は、「ディジタルビデオディスク再生装置」についての発明であり、再生装置という点で、本願補正発明の「再生装置」に相当する。

以上のことから、本願補正発明と刊行物1発明の一致点、相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「動画データを再生する手段と、
上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段と、
上記画像データに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、ユーザの上記操作に従い、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データのうちの操作前の一の状態に対応するものを、操作後の他の状態に対応するものにして表示し、
上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、上記画像データの表示と同時に再生する再生装置。」

[相違点]

(1)ユーザの操作に従い、操作前の一の状態に対応するものを、操作後の他の状態に対応するものにして表示する際に、本願補正発明は、ボタン画像データを入れ替えて表示するのに対し、刊行物1発明は、主映像ストリームと副映像ストリームという画像から構成されるボタン画像データのうち、副映像ストリームであるボタンの色のみを変え、主映像ストリームについては変えないで表示する点。

(2)効果音データを、画像データの表示と同時に再生する際に、本願補正発明は、入力されたプログラムコードに基づいているのに対し、刊行物1発明は、そのようなものは特定されていない点。

相違点(1)について

本願出願時において、ユーザの操作に従い、操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示することは、周知のこと(例えば、特開2000-243029号公報を参照。段落【0334】?【0338】及び図54、55では、操作前の状態に対応するボタン画像データを操作後の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示する構成が開示されている。)である。
刊行物1発明では、副映像ストリームである各ボタンの色を変えて表示し、主映像ストリームについては変えないものであるが、ボタンがどのような状態であるかを区別しやすくするためのものであり、刊行物1発明において、上記周知技術に接した当業者であれば、副映像ストリームであるボタンの色のみを変えるのではなく、ボタン画像データそのものを入れ替えて表示するように設計することも普通に想定できることであり、その場合に、周知技術のように、操作前の一の状態に対応するボタン画像データを、操作後の他の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示するようにしたことは、容易に考えられることである。
したがって、刊行物1発明のような、主映像ストリームと副映像ストリームという画像から構成されるボタン画像データのうち、副映像ストリームであるボタンの色のみを変え、主映像ストリームについては変えないで表示することに代えて、周知技術のように、操作前の状態に対応するボタン画像データを操作後の状態に対応するボタン画像データに入れ替えて表示するようにしたことは、容易に想到できるといえる。

相違点(2)について

本願出願時において、ボタン画像が表示される際に、HTMLファイルなどのようなプログラムコードを利用して、何らかの実行処理をすることは、周知のこと(例えば、相違点(1)についてで提示した特開2000-243029号公報を参照。段落【0334】?【0338】及び図54、55では、ボタン画像を利用した実行処理において、HTMLを利用して、実行されるスクリプトを記述している。)である。
そうすると、刊行物1発明において、上記周知技術に接した当業者であれば、ボタン画像データを表示し、効果音データの実行処理をする際に、周知技術を利用して、HTMLファイルなどのようなプログラムコードを利用するようにしたことは、容易に考えられることである。
したがって、刊行物1発明のような、効果音データを、画像データの表示と同時に再生する場合において、入力されたプログラムコードに基づいて再生するようにしたことは、容易に想到できるといえる。

よって、各相違点については、格別のものではなく、補正後発明に関する作用・効果も、刊行物1発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、補正後発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について

1.本願発明

上記のとおり、平成25年9月4日付けの手続補正は却下されたので、本件出願の請求項1ないし36に係る発明は、平成24年9月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし36に記載されたとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「動画データを再生する手段と、
上記動画データの再生の際に、ユーザに対して操作を促す操作画面を構成する画像データを表示する手段と、
上記画像データに対応する効果音データを再生する手段と
を有し、
上記画像データはボタンを表示するボタン画像データであって、上記ボタンの3種類の状態にそれぞれ対応する第1、第2および第3のボタン画像データをユーザの上記操作に従い差し替えて表示し、
上記画像データが表示される際に、上記画像データごとに割り当てられた上記効果音データを、入力されたプログラムコードに基づいて、上記画像データの表示と同時に再生する再生装置。」

2.刊行物発明

刊行物1発明は、上記第2.3.(2)で認定したとおりである。

3.対比・判断

そこで、本願発明と刊行物1発明とを対比するに、本願発明は、補正後発明から、本件補正に係る構成を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した補正後発明が、上記第2.3.で検討したとおり、刊行物1発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、補正後発明から、本件補正に係る構成を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-29 
結審通知日 2014-08-05 
審決日 2014-08-18 
出願番号 特願2010-278510(P2010-278510)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 572- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 章子  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
小池 正彦
発明の名称 再生装置、再生方法、記録装置、記録方法および記録媒体  
代理人 杉浦 拓真  
代理人 杉浦 正知  

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