• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16C
管理番号 1292415
審判番号 不服2013-20229  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-17 
確定日 2014-10-02 
事件の表示 特願2009-199748「多列組合せアンギュラ玉軸受」拒絶査定不服審判事件〔平成23年3月17日出願公開、特開2011-52714〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年8月31日の出願であって、平成25年7月22日付け(発送日:7月30日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年10月17日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成25年10月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
平成25年10月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「4個以上のアンギュラ玉軸受を軸方向に配列してなり、モータビルトインタイプの工作機械主軸を支持する偶数列の多列組合せアンギュラ玉軸受において、
前記アンギュラ玉軸受の各外輪は前記主軸のハウジングに内嵌され、
軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径が軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径よりも小さく、
前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角は、前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角よりも小さく、且つ、
前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を20°以下、前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を15°以上とし、
軸方向外側から数えて同じ位置の前記アンギュラ玉軸受は、前記接触角及び前記玉ピッチ円直径を同一とし、
少なくとも前記軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の玉は、セラミック材料からなることを特徴とする多列組合せアンギュラ玉軸受。」
と補正された。
なお、下線は補正箇所であり、請求人が付したとおりのものである。
上記記載の内「前記玉ピッチ円直径」(補正箇所)とあるが、請求項1の他の記載、明細書の記載を参酌すると、「前記玉ピッチ円径」の誤記であることは明らかであるので、以下、当該記載を「前記玉ピッチ円径」として判断する。

本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「アンギュラ玉軸受」について、当該「アンギュラ玉軸受」が「4」個以上の「偶数列」に組合されたものであって、「モータビルトインタイプ」の工作機械主軸を支持するものであること、更に、当該「アンギュラ玉軸受」は「アンギュラ玉軸受の各外輪は前記主軸のハウジングに内嵌され」ること及び「軸方向外側から数えて同じ位置の前記アンギュラ玉軸受は、前記接触角及び前記玉ピッチ円径を同一とし」たことを限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に日本国内において頒布された特開2006-322496号公報(以下「刊行物」という。)には、「多列アンギュラ玉軸受」に関し、次の事項が記載されている。
以下、下線は当審で付与するものである。

(1)引用発明
ア.「【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械主軸の支持や、一般産業機械に用いられる多列アンギュラ玉軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作機械主軸の支持に用いられる多列アンギュラ玉軸受では、主軸回転精度および剛性を得るために予圧を与えた状態で使用される。主軸軸受の配列としては、図8(A)のような通常のDB配列(2列)とする場合のほかに、主軸剛性を高めるために図8(B)?(D)のようなDTBT配列(4列)とする場合が多い。
DTBT配列のうち、図8(B)に示す配置は、軸受間に間座が無い配列であり、図8(C)の例は軸受間の間座が短い配列、図8(D)の例は中央に長い間座を設けた配列である。」

イ.「【0011】
この他に、多列アンギュラ玉軸受における内側列の異常昇温を抑える手法として、例えば図8(D)のように間座を設けることも行われているが、この場合、軸長が長くなる、間座のコストが掛かる、部品点数が増える等の問題がある。
また、内側列の軸受の転動体径や軌道径を小さくすることにより、多列アンギュラ玉軸受における内側列の異常昇温を抑えることも行われているが、設計仕様の異なる2種類の軸受を製作する必要があり、コストが掛かるという問題がある。」

ウ.「【図面の簡単な説明】
【0036】
・・・略・・・
【図8】(A)はDB配列(2列)のアンギュラ玉軸受の断面図、(B)?(D)はDTBT配列(4列)の多列アンギュラ玉軸受の各従来例の断面図である。」

上記記載事項イの「内側列の軸受の転動体径や軌道径を小さくする」とは、外側列の軌道径に比して小さくすることであるから、このアンギュラ玉軸受は、内側列の異常昇温を抑えるために、外側列の軌道径よりも内側列の軌道径を小さくするものである。
また、内側と外側とを比較する以上、このアンギュラ玉軸受は少なくとも3個であることは明らかであり、更にいえば、記載事項アに記載のとおり、工作機械の主軸の支持に用いられるアンギュラ玉軸受は4個の偶数列のもの(図8(B)?(D)参照)が、周知であるから、記載事項イのアンギュラ玉軸受として、軸方向にDTBT配列される4個の偶数列のものを把握することができる。
なお、上記「内側」、「外側」が軸方向に関するものであることも言うまでもない。
ところで、記載事項イの「設計仕様の異なる2種類の軸受」との記載からみて、このアンギュラ玉軸受は、2種類の設計仕様により製作されるものであるところ、当該2種類が、軸方向内側のアンギュラ玉軸受、同外側のアンギュラ玉軸受のことであるのは明らかであり、且つ、上記のとおり軸方向4個の配列のものでは、内側の2個、外側の2個が、それぞれの設計仕様で製作されるものである。
即ち、アンギュラ玉軸受の軌道径は、内側の2個と外側の2個とが、それぞれ同一である。

上記記載事項、図示内容及び認定事項を総合して、記載事項イに記載された従来技術のアンギュラ玉軸受を本願補正発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「4個のアンギュラ玉軸受を軸方向に配列してなり、工作機械用主軸を保持する偶数列の多列組合せアンギュラ玉軸受において、
軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の軌道径が軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の軌道径よりも小さく、
軸方向内側2個、軸方向外側2個の軌道径がそれぞれ同一である、
多列組合せアンギュラ玉軸受。」

(2)刊行物記載の技術事項
エ.「【0015】
この発明の他の多列アンギュラ玉軸受は、軸方向に配列された3個以上のアンギュラ玉軸受の内輪を軸方向に押圧することにより軸受に予圧を与えたものにおいて、軸方向外側の軸受に比べて、軸方向内側の軸受の接触角を小さくしたものである。
このように軸方向内側の軸受の接触角を小さくした場合も、軸受温度の上昇時に軸方向内側の軸受での隙間の詰まりを軽減させることができて、軸受予圧の増加を抑え、発熱を小さくすることができる。この場合も、軸受のみで効果を得ることができて、余分な部品コトスが掛からない。接触角の違いは、例えば外輪の溝径を僅かに変化させることで与えても良く、その場合、内輪、保持器、転動体等の同一設計とできて、コスト増を抑えることができる。」

オ.「【0016】
上記接触角の差は3?5°とするのが好ましい。接触角の差が3°未満であると、上記隙間の詰まり軽減の効果が十分には得られず、また5°を超えると、主動剛性に影響を与える可能性があるからである。」

カ.「【0020】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図1はこの実施形態の多列アンギュラ玉軸受の断面図を示し、図2は同多列アンギュラ玉軸受が用いられる主軸装置の断面図を示す。図2の主軸装置1は、軸受ハウジング2内において、主軸3の前端側を多列アンギュラ玉軸受4で、主軸3の後端側を単列のアンギュラ玉軸受5で回転自在に支持したものである。主軸3の中間部に設けられたモータ6により主軸3が回転駆動される。多列アンギュラ玉軸受4の各内輪14は、内輪固定ナット7の締め付けにより、主軸3の段部3aと内輪固定ナット7との間で主軸3に締め付け固定されている。多列アンギュラ玉軸受4の各外輪15は、外輪押え蓋8をボルト(図示せず)等で軸受ハウジング2に締め付けることにより、外輪押え蓋8と軸受ハウジング2の段部2aとの間で締め付け固定されている。これらの締め付けと、各軸受5の間に介在させる内輪間座31および外輪間座32(図2)の寸法差により、多列アンギュラ玉軸受4には定位置予圧が与えられる。なお、間座31,32を設けずに、内外輪の幅寸法の差で定位置予圧を与えるようにしても良い。
・・・略・・・
【0022】
モータ6は、主軸3に固定されたロータ12と、このロータ12に対向して軸受ハウジング2の内周に設けられたステータ13とでなる。
なお、図2では、多列アンギュラ玉軸受4を各軸受間に間座を介在させたものとしているが、図1のように各軸受4A?4D間に間座が介在しないものとしても良い。
【0023】
多列アンギュラ玉軸受4は、4個の軸受4A?4Dが軸方向にDTBT配列されたものである。すなわち、中央2列の内側軸受4B,4Cは互いに背面合わせとなるDB配列とされ、また一方の内側軸受4Bに隣接する軸方向外側の軸受4Aは軸受4Bと同じ向きに配列され、さらに他方の内側軸受4Cに隣接する軸方向外側の軸受4Dは軸受4Cと同じ向きに配列されている。」

キ.「【0031】
なお、上記実施形態では、軸方向外側の軸受4A,4Dと軸方向内側の軸受4B,4Cとの外径寸法を異ならせたが、外径寸法は同じとし、接触角につき、軸方向外側の軸受4A,4Dに比べて、軸方向内側である中央2列の軸受4B,4Cが小さいものとしても良い。ここでは、接触角の差を3?5°としている。
このように、軸方向外側の軸受4A,4Dに比べて、軸方向内側である中央2列の軸受4B,4Cの接触角を小さく(接触角の差3?5°)した場合も、軸受温度の上昇時に軸方向内側の軸受4B,4Cでの隙間の詰まりを軽減させることができて、軸受予圧の増加を抑え、発熱を小さくすることができる。」

ク.「【0033】
また、第1の実施形態、つまり軸方向外側の軸受4A,4Dと軸方向内側の軸受4B,4Cとの外径寸法を異ならせた多列アンギュラ玉軸受において、上記のように、さらに接触角の差を設けても良い。」

上記記載事項カからみて、刊行物1に記載されたアンギュラ玉軸受は、モータビルトインタイプの工作機械主軸の支持に用いられるものである。
また、記載事項エ、キのとおり、軸方向内側の中央2列の軸受4B,4Cの接触角は、軸方向外側の軸受4A,4Dより小さいものであり、記載事項カのとおり、4個の軸受4A?4Dは軸方向にDTBT配列され、中央2列の内側軸受4B,4Cは互いに背面合わせとなるDB配列であり、接触角は、内側の軸受2個と外側の軸受2個というように、内・外でまとめて定義されており、特に、接触角の差だけが規定されている点からみても、内側軸受の接触角と外側の接触角は、内・外それぞれで同じ角度のものと解され、又、そのように解しても、何ら矛盾はない。
そして、4個のアンギュラ玉軸受が軸方向に配列されているから、軸方向内側の2個は、軸方向外側から数えて同じ位置にあることは言うまでもなく、結局、刊行物1には、軸方向外側から数えて同じ位置のアンギュラ玉軸受は接触角を同一とすることも記載されている。
以上をまとめると、刊行物には、引用発明の他に、次の技術事項(以下「刊行物記載の技術事項」という。)が記載されている。

「発熱を小さくするために、モータビルトインタイプの工作機械主軸を支持するアンギュラ玉軸受において、軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の接触角を、軸方向外側に配置されるアンギュラ玉軸受の接触角よりも小さくし、軸方向外側から数えて同じ位置のアンギュラ玉軸受の接触角を同一とすること。」

3.発明の対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、その技術的意味からみて、引用発明の「軌道径」は本願補正発明の「玉ピッチ円径」に相当する。
また、引用発明の内側のアンギュラ玉軸受について、引用発明は4個のアンギュラ玉軸受を軸方向に配列したものであるから、引用発明の「軸方向内側2個、軸方向外側2個の軌道径がそれぞれ同一である」ことは、本願補正発明の「軸方向外側から数えて同じ位置の前記アンギュラ玉軸受は」、「前記玉ピッチ円径を同一とする」ことに相当する。

したがって、本願補正発明の用語に倣って整理すると、本願補正発明と引用発明とは、
「4個以上のアンギュラ玉軸受を軸方向に配列してなり、工作機械用主軸を保持する偶数列の多列組合せアンギュラ玉軸受において、
軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径が軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径よりも小さく、
軸方向外側から数えて同じ位置の前記アンギュラ玉軸受は、前記玉ピッチ円径を同一とする、
多列組合せアンギュラ玉軸受。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明では、「モータビルトインタイプの」工作機械主軸を支持する多列組合せアンギュラ玉軸受であって、「前記アンギュラ玉軸受の各外輪は前記主軸のハウジングに内嵌され」るのに対して、引用発明では、工作機械主軸を支持する多列組合せアンギュラ玉軸受であるものの、工作機械のタイプが不明であり、また、アンギュラ玉軸受の外輪と主軸のハウジングとの関係が不明である点。
[相違点2]
本願補正発明では、「前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角は、前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角よりも小さく、且つ、前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を20°以下、前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を15°以上とし」、「軸方向外側から数えて同じ位置の前記アンギュラ玉軸受は、前記接触角を同一とし」ているのに対して、引用発明では、アンギュラ玉軸受の接触角は不明である点。
[相違点3]
本願補正発明では、「少なくとも前記軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の玉は、セラミック材料からなる」のに対して、引用発明では、アンギュラ玉軸受の玉の材料は不明である点。

4.当審の判断
(1)相違点1について
モータビルトインタイプの工作機械主軸を支持するアンギュラ玉軸受の外輪を主軸のハウジングに内嵌させることは、例えば、特開2009-2504号公報(段落【0024】、【0028】、【0029】参照)、特開2008-133887号公報(段落【0002】、【0003】参照)、特開2008-87097号公報(段落【0009】、【0012】参照)に記載されるように、当該技術分野において、周知の技術事項であるから、引用発明のアンギュラ玉軸受をモータビルトインタイプの工作機械主軸の支持に適用し、外輪を主軸のハウジングに内嵌させるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
刊行物には、上記2.(2)のとおり、刊行物記載の技術事項(発熱を小さくするために、モータビルトインタイプの工作機械主軸を支持するアンギュラ玉軸受において、軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の接触角を、軸方向外側に配置されるアンギュラ玉軸受の接触角よりも小さくし、軸方向外側から数えて同じ位置のアンギュラ玉軸受の接触角を同一とすること。)が記載されている。当該技術事項は、上記相違点2の「前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を20°以下、前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を15°以上」とするという接触角の具体的な角度を除く、相違点2に係る特定事項である。
ここで、接触角の具体的数値について検討するに、本願明細書を参酌しても、外側のアンギュラ玉軸受の接触角を20°以下、内側のアンギュラ玉軸受の接触角を15°以上とすることに、格別な技術的・臨界的意義を確認することができず、また、特開2008-19943号公報(段落【0011】、【0023】参照)、特開2006-329265号公報(段落【0018】参照)の記載からみてアンギュラ玉軸受で採用される普通の数値範囲であり、接触角の数値範囲は、当業者が実験等により最適化・好適化として設定し得たものと認められる。
ところで、刊行物には、軸受部分の発熱を小さくするために上記刊行物記載の技術事項を併用しても良いことが記載されており(上記記載事項ク)、引用発明は異常昇温を抑えるという課題があるから、引用発明に刊行物記載の技術事項を適用することは当業者が容易に想到し得ることであって、さらに、上記のとおり、その際、内側の接触角を15°以上、外側の接触角を20°以下とすることは、当業者が適宜設定し得たことである。
したがって、上記相違点2に係る構成とすることは刊行物記載の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。

(3)相違点3について
アンギュラ玉軸受の玉をセラミックス材料からなるものとすることは、例えば、特開2006-29473号公報(段落【0002】、【0017】参照)、特開2006-329265号公報(段落【0015】、【0016】参照)、特開2008-19943号公報(段落【0005】参照)に記載されるように、当該技術分野において、周知の技術事項であるから、引用発明の軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の玉について、セラミック材料からなるものとして、上記記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)作用効果について
本願補正発明が奏する作用効果は、引用発明、刊行物記載の技術事項及び周知の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものとは言えない。

(5)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年10月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成25年6月24日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「3個以上のアンギュラ玉軸受を軸方向に配列してなり、工作機械主軸を支持する多列組合せアンギュラ玉軸受において、
軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径が軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の玉ピッチ円径よりも小さく、
前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角は、前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角よりも小さく、且つ、
前記軸方向外側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を20°以下、前記軸方向内側に配置される前記アンギュラ玉軸受の接触角を15°以上とし、
少なくとも前記軸方向内側に配置されるアンギュラ玉軸受の玉は、セラミック材料からなることを特徴とする多列組合せアンギュラ玉軸受。」

2.引用刊行物とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物とその記載事項等は、上記第2の2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記第2の1.で検討した本願補正発明から、「アンギュラ玉軸受」についての限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含む本願補正発明が、上記第2の3.及び4.に記載したとおり、引用発明、刊行物記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、刊行物記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-01 
結審通知日 2014-08-05 
審決日 2014-08-18 
出願番号 特願2009-199748(P2009-199748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16C)
P 1 8・ 575- Z (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬川 裕  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 中川 隆司
森川 元嗣
発明の名称 多列組合せアンギュラ玉軸受  
代理人 本多 弘徳  
代理人 濱田 百合子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ