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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1292486 |
審判番号 | 不服2013-20456 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-21 |
確定日 | 2014-10-21 |
事件の表示 | 特願2008-331442「携帯端末機器、通信システム及び表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 8日出願公開、特開2010-152746、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
【第1】手続の経緯 本願は,平成20年12月25日の出願であって,手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成25年 4月23日(起案日) 意見書提出 :平成25年 7月 1日 補正書提出 :平成25年 7月 1日 拒絶査定 :平成25年 7月18日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成25年10月21日 補正書提出 :平成25年10月21日 前置報告 :平成25年11月 8日 【第2】補正の却下の決定(当審の判断) 平成25年10月21日付けの補正(以下「本件補正」という。)について次のとおり決定する。 《結論》 平成25年10月21日付けの補正を却下する。 《理由》 [1]補正の内容 本件補正は,特許請求の範囲についてする補正であって、補正前請求項1を補正後請求項1とする補正(以下、「補正1」という)を含み,その補正前後の請求項1は下記のとおりである(下線部は本件補正で変更された箇所を示す。) 記(補正後請求項1) 【請求項1】 他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 表示部と、 前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有し、 前記制御部は、前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広いにもかかわらず、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合には、前記リンクの大きさを前記規定される大きさとする、或いは前記規定される大きさより小さくする ことを特徴とする携帯端末機器。 記(補正前請求項1) 他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 表示部と、 前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有し、 前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない ことを特徴とする携帯端末機器。 上記「補正1」は、制御部についての補正前特定事項である 「前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない」(以下、「補正前特定事項D」という)を、 「前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広いにもかかわらず、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合には、前記リンクの大きさを前記規定される大きさとする、或いは前記規定される大きさより小さくする」(以下、「補正後特定事項D’」という)に変更する補正である。 [2]補正の範囲(第17条の2第3項)について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。 その理由の詳細は、以下のとおりである。 ア 出願当初の特許請求の範囲、明細書の記載 上記「補正後特定事項D’」に関連する、出願当初の特許請求の範囲、明細書の記載は、以下のとおりであり、特に着目する部分に下線を施した。 【請求項1】 他のウェブページを特定する特定情報を含むウェブページの情報と、前記ウェブページに含まれる前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページに含まれる前記特定情報の表示態様を制御する制御部と、 前記制御部により表示態様が制御された前記他のウェブページを特定する特定情報を含むウェブページを表示する表示部と、を有することを特徴とする携帯端末機器。 【請求項2】 前記制御部は、前記他のウェブページの閲覧状況に係る情報に基づいて、前記特定情報の大きさを変更することにより前記特定情報の前記表示態様を制御することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。 【請求項3】 前記制御部は、前記特定情報を前記表示部に表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合に、少なくとも一部の前記特定情報の大きさを前記受信部が受信した前記ウェブページの情報で規定されている大きさよりも小さくすることにより前記特定情報の前記表示態様を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末機器。 【0059】 CPU22は、ステップS34からステップS38で、リンク情報をAグループ、Bグループ、Cグループの3つに分けたら、ステップS40に進む。CPU22は、ステップS40として、Aグループのリンク情報の文字サイズ情報を文字サイズ大に置換し、ステップS42に進む。次に、CPU22は、ステップS42として、Bグループのリンク情報の文字サイズ情報を文字サイズ中に置換し、ステップS44に進む。次に、CPU22は、ステップS44として、Cグループのリンク情報の文字サイズ情報を文字サイズ小に置換し、ステップS46に進む。 【0060】 次に、CPU22は、ステップS46として、ステップS40からステップS44によりリンク情報の文字サイズが変更されたウェブページを表示部32に表示させ、処理を終了する。 【0061】 このように、サーバ8及び携帯端末機器10は、ウェブページに含まれるリンク情報の文字の大きさを、リンク情報が示すウェブページの閲覧回数によって変えることで、例えば、図7-1に示すように、表示部に均一な大きさで表示されていたリンク情報を、図7-2に示すように、表示する大きさを閲覧回数のグループによって異なる大きさにすることができる。本実施形態では、より閲覧回数の多いウェブページのリンク情報を他のリンク情報より大きく表示し、強調することで、操作者は、各ウェブページを閲覧しなくても、どのリンク情報の先のウェブページが操作者にとって有用なものかを判定することができる。 【0062】 また、操作者にとって重要度が低いと思われるウェブページのリンク情報は表示を小さくすることで、表示部に表示できる情報量を多くすることができる。また、操作者にとって重要度が低い部分を小さくしているため、表示部には、操作者に必要な情報をより多く表示することができる。また、・・・(以下略) 【0063】 なお、上記実施形態では、文字の大きさを大、中、小とするようにしたが、本発明においては文字の大きさは、特に限定されない。また、特定情報を表示部に表示する際に必要な領域が表示部の表示領域より広い場合に、文字を標準の大きさより大きくせず、閲覧回数が少なくなるにつれて、徐々に小さくするようにすることが好ましい。このように、文字を大きくしないことで、表示部に表示できる情報量をより多くすることができる。 【0066】 また、特定情報は・・・例えば、閲覧回数が多い特定情報から少ない特定情報になるに従って徐々に表示を小さくするようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、閲覧回数が多いリンク情報つまり特定情報ほど大きく表示させるようにしたが、・・・(以下略) 【0074】 また、上述した特定情報の表示態様の制御は、ウェブページが表示部よりも大きい場合、つまり、ウェブページ全体を閲覧するためには、画面をスクロールする必要がある場合のみ行い、ウェブページ全体を表示部に表示させることが出来る場合は、表示態様の制御を行わないようにしてもよい。これにより、画面をスクロールさせる場合は、そのスクロール量を少なくすることができ、かつ、特定情報を必要以上に小さくしてしまうことを抑制することができる。 イ 上記「補正後特定事項D’」が、出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項であるか、について 出願当初の特許請求の範囲、明細書(上記ア)には、 「ウェブページに含まれるリンク情報の文字の大きさを、リンク情報が示すウェブページの閲覧回数によって変える」(【0061】)ことを制御部の基本的動作としつつ、 特定条件、すなわち、「リンク情報を表示部に表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合」(【0063】)という特定条件下においては、 ・「文字を標準の大きさより大きくせず、閲覧回数が少なくなるにつれて、徐々に小さくする」(段落【0063】)ようにすること、 ・「少なくとも一部の前記特定情報の大きさを前記受信部が受信した前記ウェブページの情報で規定されている大きさよりも小さくする」(請求項3)ようにする(特定条件下の動作)こと、が記載されていて、 当該特定条件における「表示部の表示可能領域」「より広い」とするのは、「リンク情報を表示部に表示する際に必要な表示領域」である。 そして、「リンク情報を表示部に表示する際に必要な表示領域」とは、リンク情報がウェブページに記述され埋め込まれているものであることからすれば、「リンク情報が記述されたウェブページ全体を表示する際に必要な表示領域」をいうものと理解され、上記特定条件である「リンク情報を表示部に表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合」とは、すなわち、段落【0074】の「ウェブページが表示部よりも大きく、ウェブページ全体を閲覧するためには、画面をスクロールする必要がある場合」をいうものと理解される。 これに対して、上記「補正後特定事項D’」は、 「前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広い」場合であって、「前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合」という条件下においては、「前記リンクの大きさを前記規定される大きさとする、或いは前記規定される大きさより小さくする」ような動作とすることを特定するものと理解されるところ、 後半の「前記リンクの大きさを前記規定される大きさとする、或いは前記規定される大きさより小さくする」とする動作自体は、上記段落【0063】や上記請求項3に記載されている上記特定条件下の動作から導かれる技術的事項ということができる。 しかしながら、上記「補正後特定事項D’」において、そのような動作をするとする上記条件は、「前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広い」であって、 「表示部の表示可能領域」「より広い」とするのは、「リンクの前記規定される大きさ」、すなわち、「リンク自体の大きさ」であって、これが、出願当初の特許請求の範囲、明細書に記載した上記「リンク情報を表示部に表示する際に必要な表示領域」(ウェブページ全体を表示する際に必要な表示領域)と異なるものであることは明らかである。 すなわち、「リンク自体の大きさ」が「表示部の表示可能領域」より広い場合という条件は、出願当初の特許請求の範囲、明細書に記載した上記「特定条件」とは異なるものである。 そして、かかる条件が、出願当初の特許請求の範囲、明細書に記載した上記「特定条件」から導かれる技術的事項でもない。 また、上記「補正後特定事項D’」で規定する上記条件は、上記アで摘示した記載事項以外の、出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面にも記載されておらず、また、それらから導くこともできない。 したがって、上記「補正後特定事項D’」が出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項であるとはいえない。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、上記「補正前特定事項D」を「補正後特定事項D’」とする上記「補正1」を含む本件補正は、出願当初の特許請求の範囲、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないもの、ではない。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [3]補正の目的(第17条の2第5項第1号?第4号)について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についてする上記「補正1」を含むところ、 本件補正後の上記「補正後特定事項D’」が、 「前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広い」場合であって、「前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合」という条件下においては、「前記リンクの大きさを前記規定される大きさとする、或いは前記規定される大きさより小さくする」ような動作とすることを特定するものと理解されることは、前記のとおりであるところ、 前半の条件のうちの「前記リンクの前記規定される大きさが前記表示部の表示可能領域より広い」場合という条件(前者)は、 本件補正前の「補正前特定事項D」における「前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合」という条件(後者)とは異なるものであることは、前記[2]でみたとおりであり、 補正後の上記条件(前者)が補正前の上記条件(後者)を更に特定したものとはいえないことは明らかである(前記[2]での検討からも明らかである。)。 すなわち、上記「補正1」は、補正前請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したものとはいえず、したがって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 そして、上記「補正1」が、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできないことは明らかである。 〈まとめ〉 本件補正は特許請求の範囲についてする補正を含むところ、その補正は、第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするもののいずれにも該当しない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 【第3】本願発明 平成25年10月21日付けの補正は上記のとおり却下する。 本願の請求項1から請求項6までに係る発明は、本願特許請求の範囲,明細書及び図面(平成25年7月1日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲,明細書及び図面)の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1から請求項6までに記載した事項により特定される下記のとおりのものである。 以下,本願の請求項1,2,・・・に係る発明を,「本願発明1」,「本願発明2」,・・・などという。 記(本願発明) 【請求項1】 他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 表示部と、 前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有し、 前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない ことを特徴とする携帯端末機器。 【請求項2】 前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報は、該他のウェブページへのアクセス数であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。 【請求項3】 前記他のウェブページに対するアクセス数は、設定された期間におけるアクセス数であることを特徴とする請求項2に記載の携帯端末機器。 【請求項4】 前記設定された期間は、前記ウェブページの情報の送信要求をサーバが受信した時点を起点として遡った期間であることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末機器。 【請求項5】 前記請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯端末機器と、 前記携帯端末機器と通信回線を介して接続され、前記携帯端末機器に前記他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記ウェブページに含まれる前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを送信する送信部を備えるサーバとを有することを特徴とする通信システム。 【請求項6】 表示部により他のウェブページを特定するURLへのリンクを含むウェブページを表示する表示ステップと、 受信部により他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報を受信する受信ステップと、 前記受信ステップにおいて受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて前記表示ステップにおいて表示される前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させる制御ステップと、を有し、 前記制御ステップにおいて、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない ことを特徴とする表示方法。 【第4】当審の判断 [1]原査定 原査定の理由は,概略,以下のとおりである。 〈査定の理由〉 本願の請求項1?3及び6に係る発明は,いずれも,下記の刊行物1に記載された発明、及び周知技術(下記参照)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 できない。 記(刊行物一覧) 刊行物1:特開2002-259441号公報 〈周知技術を示す刊行物〉 刊行物2:特開2008-58954号公報 刊行物3:特開2001-202077号公報 [2]引用刊行物の記載の摘示 刊行物1:特開2002-259441号公報 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である上記刊行物1には,以下の記載(下線は,注目箇所を示すために当審で施したものである。)がある。 〈要約〉 【要約】 【課題】 コンピュータユーザが最も頻繁且つ最新に使用するハイパーリンクを判定できる方法を提供する。 【解決手段】 ハイパーテキストを表示する方法が開示される。この方法は、文書へのハイパーテキストによるアクセス(300)を追跡することと(310)、追跡に基づいて卓越性評価をハイパーテキストに割り当てること(320)とを含み、ここでの卓越性の評価は、ユーザによるアクセスの頻度およびユーザによるアクセスの最新性に基づく。ハイパーテキストのビジュアルキューは、卓越性評価に従って、表示が変更される(330)。 〈技術分野、従来技術〉 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般的にコンピュータリンクの図形表現を編成(organize)する技術に関し、より詳しくは、ハイパーテキストの使用の最新性と頻度を反映する手法で、ハイパーテキストの表示外観を変更するための方式に関する。 【0002】 【従来の技術】1つのコンピュータが1つ以上の他のコンピュータに接続しているときに、コンピュータのユーザは、これらの他のコンピュータにアクセスする。このようなアクセスを提供する1つの方法は、ハイパーテキストを介してなされる。ハイパーテキストは、ハイパーリンクを含むテキストである。ハイパーリンクは、他のコンピュータまたは他の領域に置かれたHTML(Hypertext Markup Language)に基づく文書へのアクセスを提供する、コンピュータで使用される手段である。 〈課題を解決するための手段〉 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の一実施形態では、ハイパーテキストを表示する方法が開示される。この方法は、文書へのハイパーテキストによるアクセスを追跡することと、追跡に基づいて卓越性評価をハイパーテキストに割り当てることとを含み、ここでの卓越性の評価は、ユーザによるアクセスの頻度と、ユーザによるアクセスの最新性(recency)に基づく。ハイパーテキストのビジュアルキューは、卓越性評価に従って、その表示が変更される。 〈実施の形態(図1?図8)〉 【0013】 【発明の実施の形態】図1には、本発明を利用するコンピュータネットワークまたはシステムのブロック図の例が示される。ユーザコンピュータ100が接続され、またはネットワークに共に接続される場合は、それぞれはさまざまな方法で、さまざまな目的のために、ネットワークに接続されている。接続の1つの方法の例では、複数のユーザコンピュータ100は、ネットワークサーバ110に接続される。システムアドミニストレータ120は、通常、多くのシステム設定とパラメータを制御する。ユーザコンピュータ100が接続されると、ユーザは、文書共有システムを介して、文書、ピクチャ、チャート、グラフ、タイムライン、その他の図形をしばしば共有する。 【0014】ユーザコンピュータ100間で文書と他の項目の共有を容易にするために、ハイパーテキストがしばしば利用される。ハイパーテキストは、ある文書または項目を表示し、その項目へのハイパーリンクを含むテキストである。ハイパーリンクは、1つのコンピュータユーザ100が希望する文書または項目をネットワークサーバ110から検索できるようにするプログラミングの手法(device)である。 【0015】図2には、従来の技術のコンピュータ画面の表示200が図示され、ほとんどのユーザは、単一のコンピュータディスプレイの画面上で多くのハイパーリンク210に出会う。しかし、ユーザは、通常、挙げられているハイパーリンクの数個にアクセスするだけである。その結果、ユーザが頻繁に使用するコンピュータ画面の表示200上で希望するハイパーリンクを探すのは、時間浪費となりうる。 【0016】図3には、本発明の一実施形態のステップが示される。ユーザコンピュータ100(図1)上のユーザは、ハイパーテキストを使って文書または他の項目にアクセスする(ステップ300)。ハイパーテキストを介した項目への各アクセスは追跡(トラッキング)される(ステップ310)。すなわち、アクセスの履歴が記録される。卓越性評価は、この追跡の結果に基づいて各ハイパーテキストリンクに割り当てられる(ステップ320)。追跡は、従来の方法で行われる。例えば、アクセスの最新性を追跡する方法は、通常のワードプロセッシングソフトウェアで具体化されているように、当該技術分野では周知である(例えばあるワードプロセッサでは、最近利用したファイルが一覧表示される)。加えて、いくつかの従来の特許技術には、アクセスの頻度を追跡するための技法が開示されている。ハイパーテキストの表示は、ユーザコンピュータ100上で、卓越性評価に従って変更される(ステップ330)。卓越性評価は、ユーザによるハイパーリンクへのアクセスの頻度とアクセスの最新性の両方に基づいている。既知の技法であればどれでも、評価を割り当てるために使用できる。例えば、各リンクのアクセス頻度のカウントを含むルックアップテーブル、最新のアクセスに対応する日付、およびその結果としての卓越性評価が利用できる。ユーザまたはシステムアドミニストレータは、これらのパラメータを制御でき、それによってカスタマイズされた測定ができる。本発明の一実施形態は、単一のユーザによる上述のようなハイパーテキストによるアクセスの追跡のための手段を提供し、そのユーザが最も頻繁、最新にアクセスしたリンクに従ってカスタマイズすることを可能にする。本発明の他の実施形態は、複数のユーザ、通常はシステム管理機能によるハイパーテキストによるアクセスの追跡のための手段を提供する。その実施形態では、卓越性評価は、ユーザのグループ全体によるアクセスの頻度と最新性に基づき、それによって表示をグループの必要性にカスタマイズすることができる。さらに他の実施形態は、複数のコンピュータシステムにおける個々のユーザ、通常はシステム管理機能によるハイパーテキストによるアクセスの追跡のための手段を提供する。そこでは、卓越性評価は、各ユーザによるアクセスの頻度と最新性に基づき、それによって表示をグループ内の個々の各ユーザごとにカスタマイズする。 【0017】略 【0018】図4には、本発明の一実施形態の結果表示400が図示されている。典型的なハイパーリンクのフォントスタイルとサイズ410が、結果の表示400の一部で用いられてもよい。この実施形態では、標準タイプのハイパーリンク410よりも高い卓越性評価のあるハイパーテキスト420は、ボールド(太字)のタイプフェースによって視覚的に表現(ビジュアルにキュー)される。さらにより高い卓越性評価のあるハイパーテキスト430は、より大きなフォントサイズを有する。最も低い卓越性評価のあるリンク440は、より小さいフォントサイズで表示される。このように、ビジュアルキューは、フォントサイズ、フォントスタイル、色、ボールド、下線、空間的仕切、またはハイパーテキストの優先順位づけ、およびこれらの変更の組み合わせから成る。 〈実施の形態(図9)〉 【0023】本発明は、インターネットを利用するコンピュータシステムに組み込むこともできる。図9が示すように、ユーザコンピュータ900は、インターネットサーバ910に接触し、ハイパーテキストを使用してウェブサイト920へアクセスする。インターネットサーバ910は、ローカルメモリ上の一般にクッキーと呼ばれる一連のデータ930を、ユーザコンピュータ900上に格納することがある。クッキー930は、ウェブサイト920にアクセスされる度に預けられる、各アクセスの日付と時間を含めた情報をしばしば含む。従って、ハイパーテキストの使用を介したウェブサイト920のアクセスの頻度と最新性を計算することは、既述の実施形態と同様に可能である。上述したように、頻度と最新性の追跡は、従来の方式で実行でき、既存の技法のいずれでも、評価を作成し、割り当てるために使用できる。例えば、評価を作成するためには、各リンクのアクセスの頻度のカウントを含むルックアップテーブル、最新のアクセスの対応する日付、およびその結果の卓越性評価が使用できる。インターネットサーバ910は、ユーザによるウェブサイト920への2度目以降(subsequent)の訪問で、クッキー930にアクセスし、データ930を解釈し、データからアクセスの頻度と最新性に基づいた卓越性評価をハイパーテキストへ割り当てることができる。ユーザコンピュータ900上のハイパーテキストの2度目以降の訪問時の表示は、既に述べたように、卓越性評価に従ってビジュアルキューを変えることによって変更することができる。インターネットサーバ910だけでなく、ウェブブラウザが当該データを解釈するように構成され、それによって頻度と最新性のパラメータが、インターネットサーバのアドミニストレータまたはコンピュータユーザのどちらか、あるいはその両方によって制御できるようにするのも好ましい。 〈実施の形態(図10)〉 【0024】最後に図10には、インターネットに関連して本発明を利用する複数ユーザのコンピュータシステムの実施形態が示されている。多数のユーザコンピュータ1000がネットワークサーバ1010に接続され、ローカルエリアネットワーク1020を形成する。システムアドミニストレータ1030は、通常、サーバ1010の制御とシステム設定を保持する。ユーザコンピュータ1000がウェブサイト1040にアクセスすると、コミュニケーションがハイパーリンクを介して引き起こされ(instigate)、図示されているようにネットワークサーバ1010を介して通信が行われ、またはネットワークサーバ1010を介して通信がバイパスされる。一度ウェブサイト1040がアクセスされると、インターネットサーバ1050は、システム構成に応じて、ネットワークサーバ1010またはユーザコンピュータ1000に接触(contact)する。クッキーへのアクセス、結果として生じる卓越性評価の計算、および卓越性評価のハイパーテキストへの割り当ては、卓越性評価に従ったハイパーテキストの表示上のビジュアルキューの変化に加えて、図9について上述したことと本質的には同一である。図10に関する本発明の目的についての基本的な差異は、クッキーをユーザコンピュータ1000の代わりにローカルエリアネットワークサーバ1010上に、またはその制御下に置くことができることである。その結果、システムアドミニストレータ1030は、インターネットサーバアドミニストレータまたなコンピュータユーザの代わりに、頻度と最新性のパラメータを制御することができる。上記の実施形態において記載したように、卓越性評価は、ユーザのグループ全体のアクセスの頻度と最新性、または個々のユーザに基づくことができ、それによって、表示をグループの必要性または個々の各ユーザの必要性にカスタマイズすることができる。 [3]刊行物1に記載された発明(以下,「引用発明」という。) ア 基本技術 要約、【0005】,【0015】,【0016】等によれば、刊行物1には、基本的技術として、 アクセスの頻度に基づく卓越性の評価を各ハイパーテキストリンクに割り当てること、 (→引用発明のp) ハイパーテキストリンクを含むハイパーテキストの表示を、卓越性評価に従って変更すること、 を備える技術が示されている。 (なお、要約、【0005】には、「卓越性の評価」を「ハイパーテキストに割り当てる」とあるが、正確には、「卓越性の評価」を「各ハイパーテキストリンクに割り当てる」であることは、【0016】に「卓越性評価は、この追跡の結果に基づいて各ハイパーテキストリンクに割り当てられる」とあることから明らかである。) かかる技術を、図1のシステムに適用したものが図1?図8の実施の形態として示され、これをベースに、インターネットを利用するコンピュータシステムに組み込んだ図9の実施の形態、更に、インターネットを利用する複数ユーザのコンピュータシステムに組み込んだ図10の実施の形態が示されており、 引用発明は、主に、図9・図10のコンピュータシステムを基礎として認定する。認定に当たっては、これと共通する図1?図8のものも参照する。 イ 表示の変更 【0015】?【0018】,図2?図4(特に【0016】,【0018】)によれば、 「ハイパーテキストの表示は、ユーザコンピュータ100上で、卓越性評価に従って変更される(ステップ330)」(【0016】)、すなわち、ユーザコンピュータが、卓越性評価に従ってハイパーテキストの表示を変更する、とされ、その変更は、ユーザの「コンピュータ画面」(【0015】)に表示されるハイパーテキストが、高い卓越性評価のあるハイパーテキストリンクが通常に表示(図2、従来技術)されるフォントサイズより大きなフォントサイズで表示(図4)されるように変更して表示される。 これらのことと、上記アを総合すれば、 ユーザコンピュータが、卓越性評価に従って、ユーザのコンピュータ画面に表示される「ハイパーテキストのハイパーテキストリンクの表示を変更する」ようにされ、その変更は、高い卓越性評価のあるハイパーテキストリンクが通常に表示(図2)されるフォントサイズより大きなフォントサイズで表示(図4)するように変更して表示される。 (→引用発明のq) ウ アクセスの頻度に基づく卓越性の評価、割り当て ウ-1 図9の実施の形態 図9の実施の形態(【0023】)では、「図9が示すように、ユーザコンピュータ900は、インターネットサーバ910に接触し、ハイパーテキストを使用してウェブサイト920へアクセスする」とされ、これは、 「ユーザコンピュータ900は、インターネットサーバ910に接触し、ハイパーテキストのハイパーテキストリンクを使用してウェブサイト920へアクセスする」と読め、 このとき、「インターネットサーバ910は、ユーザによるウェブサイト920への2度目以降(subsequent)の訪問で」、「ユーザコンピュータ900上に格納」される「クッキー930にアクセスし、データ930を解釈し、データからアクセスの頻度と最新性に基づいた卓越性評価をハイパーテキストへ割り当てることができる。ユーザコンピュータ900上のハイパーテキストの2度目以降の訪問時の表示は、既に述べたように、卓越性評価に従ってビジュアルキューを変えることによって変更することができる」とあり、このことから、 インターネットサーバ910は、ユーザコンピュータ900上に格納されるクッキー930にアクセスしこれを解釈してこのデータからアクセスの頻度に基づいた卓越性評価を、ハイパーテキストのハイパーテキストリンクであって、ウェブサイト920へアクセスするためのハイパーテキストリンクへ割り当てる、と理解される。 以上から、 「ユーザコンピュータ900が、インターネットサーバ910に接触し、ハイパーテキストのハイパーテキストリンクを使用してウェブサイト920へアクセスする構成の図9に示すコンピュータシステムにおいて、 インターネットサーバ910が、ユーザコンピュータ900上に格納されるクッキー930にアクセスしこれを解釈してこのデータからアクセスの頻度に基づいた卓越性評価を、ハイパーテキストの(ウェブサイト920へアクセスするための)ハイパーテキストリンクへ割り当てるようにするもの」が認められる。 (→引用発明のr1) ウ-2 図10の実施の形態 図10の実施の形態は、「多数のユーザコンピュータ1000がネットワークサーバ1010に接続され、ローカルエリアネットワーク1020を形成」し、「ユーザコンピュータ1000がウェブサイト1040にアクセスすると、コミュニケーションがハイパーリンクを介して引き起こされ(instigate)、図示されているようにネットワークサーバ1010を介して通信が行われ、またはネットワークサーバ1010を介して通信がバイパスされ」(【0024】)るものであって、上記ウ-1を考慮すれば、 「多数のユーザコンピュータ1000がネットワークサーバ1010に接続され、ローカルエリアネットワーク1020を形成し、ユーザコンピュータ1000がハイパーテキストのハイパーテキストリンクを使用して、ネットワークサーバ1010を介してウェブサイト1040へアクセスする構成のコンピュータシステム」ということができる。 (→引用発明のr2) そして、「クッキーへのアクセス、結果として生じる卓越性評価の計算、および卓越性評価のハイパーテキストへの割り当て」、「卓越性評価に従ったハイパーテキストの表示上のビジュアルキューの変化」は図9と同じであり、「クッキー」が「ユーザコンピュータ1000」ではなく「ローカルエリアネットワークサーバ1010上に、またはその制御下に置く」とする点が図9と異なるとする(【0024】)。 これらのことと上記ウ-1を考慮すれば、 「インターネットサーバ1050が、ローカルエリアネットワークサーバ1010上のクッキー930にアクセスしこれを解釈してこのデータからアクセスの頻度に基づいた卓越性評価を、ハイパーテキストの(ウェブサイト1040へアクセスするための)ハイパーテキストリンクへ割り当てるようにするもの」が認められる。 (→引用発明のr2) エ 引用発明 以上を総合すると,刊行物1に記載された発明(引用発明)として 以下の発明を認めることができる。 記(引用発明) p :アクセスの頻度に基づく卓越性の評価を各ハイパーテキストリンクに割り当て、 q :ユーザコンピュータが、卓越性評価に従って、ユーザのコンピュータ画面に表示されるハイパーテキストのハイパーテキストリンクの表示を変更するようにされ、その変更は、高い卓越性評価のあるハイパーテキストリンクが通常に表示(図2)されるフォントサイズより大きなフォントサイズで表示(図4)するように変更して表示されるようにするものであって、 r :アクセスの頻度に基づく卓越性の評価、割り当ては、 r1:ユーザコンピュータ900が、インターネットサーバ910に接触し、ハイパーテキストのハイパーテキストリンクを使用してウェブサイト920へアクセスする構成の図9に示すコンピュータシステムにおいては、 インターネットサーバ910が、ユーザコンピュータ900上に格納されるクッキー930にアクセスしこれを解釈してこのデータからアクセスの頻度に基づいた卓越性評価を、ハイパーテキストの(ウェブサイト920へアクセスするための)ハイパーテキストリンクへ割り当てるようにし、 r2:多数のユーザコンピュータ1000がネットワークサーバ1010に接続され、ローカルエリアネットワーク1020を形成し、ユーザコンピュータ1000がハイパーテキストのハイパーテキストリンクを使用して、ネットワークサーバ1010を介してウェブサイト1040へアクセスする構成のコンピュータシステムにおいては、 インターネットサーバ1050が、ローカルエリアネットワークサーバ1010上のクッキー930にアクセスしこれを解釈してこのデータからアクセスの頻度に基づいた卓越性評価を、ハイパーテキストの(ウェブサイト1040へアクセスするための)ハイパーテキストリンクへ割り当てるようにする、 コンピュータシステム。 [4]本願各発明について まず,独立請求項である請求項1に係る発明(本願発明1)について検討する。 [4-1]本願発明1について (1)本願発明1の分説 本願発明1は【第3】に記載したとおりであるところ,構成要件に分説すれば,以下のようである。 本願発明1(分説) A :他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 B :表示部と、 C :前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有し、 D :前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない ことを特徴とする E :携帯端末機器。 (2)本願発明1と引用発明との対比,一致点・相違点 本願発明1である携帯端末機器と、引用発明のコンピュータシステムにおける「ユーザコンピュータ」(r1の900、r2の1000)とを対比する。 ア 要件E「携帯端末機器」について 引用発明の「ユーザコンピュータ」(r1の900、r2の1000)は、「携帯端末機器」とはしていない。 両者とも「装置」といえる点で共通するといい得るものの、上記の相違が認められる。 イ 要件A、Bについて A「他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、」 要件B「表示部と」(を有し) 刊行物1の図4に示されるハイパーテキストのハイパーテキストリンクは「URL」とまではいえないが、引用発明のr1,r2では、「ハイパーテキストのハイパーテキストリンク」を使用してインターネット上のウェブサイト(920,1040)へアクセスしている。すなわち、r1,r2の「ハイパーテキストのハイパーテキストリンク」は、該リンクが指し示すのがインターネット上のウェブページ(ウェブサイト)が存在する場所であり、それは、通常、「URL」で記述されるものである。したがって、当業者は、かかる「ハイパーテキストリンク」を「URL」と普通に想定する。 そして、r1,r2で「ユーザコンピュータ」が、かかる「ハイパーテキストリンク」が記述されこれを含む「ハイパーテキストの情報」を取得していることも明かであるところ、当該「ハイパーテキスト」も(インターネット上の)「ウェブページ」の「ハイパーテキスト」と普通に想定され得るものである。そして、これが、上記「ハイパーテキストリンク」が指し示す「ウェブサイト」とは異なる「他のウェブサイト」であることは明かである。 そうすると、引用発明の「ユーザコンピュータ」も「他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報」を受信しているということができる。 また、同「ユーザコンピュータ」がq「卓越性評価に従ってユーザのコンピュータ画面に表示されるハイパーテキストのハイパーテキストリンクの表示を変更するようにされ」るから、 引用発明も「表示部」を有していることは明らかであり、 同「卓越性の評価」は、 r「アクセスの頻度に基づく卓越性の評価」であって、 r1では「インターネットサーバ910」が、r2では「インターネットサーバ1050」が、「(ウェブサイト(920,1040)へアクセスするための)ハイパーテキストのハイパーテキストリンクへ割り当てる」ものであるから、 要件Aの「前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報」といい得るものである。 そして、かかる「アクセスの頻度に基づく卓越性の評価」(「前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報」)にしたがって、「ユーザコンピュータ」がq「卓越性評価に従ってユーザのコンピュータ画面に表示されるハイパーテキストのハイパーテキストリンクの表示を変更するようにされ」るのであるから、「ユーザコンピュータ」が、これを受信していることも明らかである。 引用発明の「ユーザコンピュータ」は、上述のように「受信」していることから、「受信部」を有しているということができる。 以上によれば、引用発明の「ユーザコンピュータ」(r1の900、r2の1000)も、「他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部」を有しているということができ、要件A,Bにおいて本願発明1と相違しない。 ウ 要件Cについて C「前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有し、」 引用発明のq「ユーザコンピュータ」は、「卓越性評価に従って、ユーザのコンピュータ画面に表示されるハイパーテキストのハイパーテキストリンクの表示を変更するようにされ、その変更は、高い卓越性評価のあるハイパーテキストリンクが通常に表示(図2)されるフォントサイズより大きなフォントサイズで表示(図4)するように変更して表示されるようにする」ところ、 下線を施した「高い卓越性評価のあるハイパーテキストリンクが通常に表示(図2)されるフォントサイズより大きなフォントサイズで表示(図4)する」構成は、要件Cの「前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する」に相当する構成といえ、 また、引用発明も、そのように変更表示するための「制御部」を有しているともいうことができる。 これらのことと、上記イでの検討結果を合わせれば、引用発明の「ユーザコンピュータ」も、要件Cで規定される「制御部」を有しているといえ、要件Cにおいても、本願発明1と相違しない。 エ 要件Dについて 引用発明は、要件Dにおける「前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない」に相当する構成を備えていない。 すなわち、引用発明は、要件Dを備えず、この点本願発明1と相違する。 オ 一致点・相違点 以上の対比結果によれば,本願発明1と引用発明の一致点,相違点は次のとおりであることが認められる。 [一致点] A 他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記URLによって特定される前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報とを受信する受信部と、 B 表示部と、 C 前記受信部により受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて、前記ウェブページを、当該ウェブページに含まれる前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させた状態で前記表示部に表示する制御部と、を有する E’装置。 [相違点] [相違点1] 上記E’の装置が, 本願発明1では,携帯端末機器である のに対して, 引用発明では,ユーザコンピュータである点。 [相違点2] 本願発明1では、 D 前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない とするのに対して、 引用発明では、制御部がそのようにするとはしていない点。 (3)判断(容易想到性) 〈相違点の克服〉 引用発明を基点として, [相違点1の克服] 引用発明の,「ユーザコンピュータ」を、「携帯端末機器」とし(以下,[相違点1の克服]という), [相違点2の克服] 引用発明の,Cの「制御部」について、 D「前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない」とする(以下,[相違点2の克服]という)ことで, 本願発明1に達する。 〈相違点の判断〉 上記[相違点2の克服]の容易想到性について検討する。 原査定で周知技術を示す刊行物として挙げられた刊行物2、刊行物3には,下記の記載が認められる。 記(刊行物2:特開2008-58954号公報) 【0005】 ところが、上記従来の構成では、以下の問題が生ずる。すなわち、文字列の表示領域の大きさが固定されているため、文字数が多い場合および見やすくするために文字サイズを大きくした場合には、当該表示領域に文字列がすべて入りきらない可能性がある。また、表示すべき文字の数が少なく、文字の表示領域が余っている場合であっても、その領域を画像の表示領域に割り当てられないため、表示領域を有効利用できないという問題が生じる。 【0058】 再配置制御部51は、表示用画像形成部5の各部を制御し、後述するように、余白領域を利用して、画像と文字列とが同一の表示画面内に収まるように画像または文字列、もしくはその両方の位置または大きさを調節し、表示用画像を形成する。換言すれば、再配置制御部51は、画像表示領域および/または文字列表示領域の、位置または大きさを初期状態から変更する。この再配置制御部51は、形成した表示用画像を画像形成制御部4へ出力する。 【0084】 図6は、図5に示す付随文字列(換言すれば、文字列表示領域64)のサイズを大きくした状態を示す概略図である。同図に示すように、付随文字列のサイズを大きくした場合には、付随文字列は表示画面9aからはみ出ることがある。このような付随文字列のサイズ変更は、ユーザの指示に従って行われる。付随文字列が表示画面9aからはみ出た場合には、付随文字列の一部は、ユーザによって視認されなくなる。また、図示しないが、画像表示領域63と文字列表示領域64とが重なる場合には、対象画像または付随文字列の一部が視認されなくなる。このような場合に、表示用画像形成部5は、画像表示領域63と文字列表示領域64との相対位置を調節する。 【0168】 (相対位置調節の具体例) 次に、文字列表示領域および画像表示領域の相対位置調節の具体例について、図5?図6および図15?図19を参照しつつ説明する。図15は、図6に示す状態から、付随文字列を縦書きに変更し、かつ文字列表示領域の位置を変更することで、文字列表示領域が表示画面に収まるように配置変更した状態を示す図である。図16は、図6に示す状態から、画像表示領域を上方向に移動し、付随文字列を2行表示することで、文字列表示領域が表示画面に収まるように配置変更した状態を示す図である。 記(刊行物3:特開2001-202077号公報) 【要約】 【課題】 表示装置に表示する情報の内容に応じて、当該表示装置で表示する情報量を視認性が悪化しない範囲で最大限に大きくするという表示制御を自動的に行うこと。 【解決手段】 ステップS102で判定した受信テキストデータの情報量が基準情報量N以下の場合、並びにテキストデータ中の文字の最大画数が第1の基準画数M1より大きい場合は、表示用フォントサイズを16×16ドット(標準表示サイズ)に設定する(ステップS108)。テキストデータが英数文字、仮名文字のみより成る場合、並びにテキストデータ中の文字の最大画数が第2の基準画数M2以下の場合は、表示用フォントサイズを10×10ドットに設定する(ステップS110)。テキストデータ中の文字の最大画数が第1の基準画数M1以下で第2の基準画数M2より大きい場合は、表示に使用するフォントサイズを12×12ドットに設定する(ステップS109)。 刊行物2には、文字を見やすくするために文字のサイズを大きくした場合であって、表示領域に文字列のすべてを表示できなくなる場合には、余白を利用して、文字列表示領域や画像表示領域の配置位置、大きさを変更して、同一の表示画面内に収まるようにすること、が示され、 刊行物3には、情報の表示サイズを視認性が悪化しない範囲で最大限に大きくする技術、が示されているが、 いずれも、1画面に収まる範囲内で文字を大きくして視認性を良好にするという技術思想を示すに止まるものであり、もともと1画面に収まらない場合において文字の大きさの変更制御をどのようにするかを特定する要件Dとは異なる技術思想である。 したがって、引用発明に刊行物2・3記載の技術を適用したとしても、{「前記制御部は、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域」とならない程度に、前記大きさを変更する、という構成に至るのであって、}要件Dを備えるものとはならない。 よって、刊行物2・3を根拠に上記[相違点2の克服]が当業者の容易想到ということはできない。 また、他に、上記[相違点2の克服]が当業者の容易想到であるとする根拠もない。 〈まとめ(判断)〉 以上のとおりであるから、本願発明1は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。 [4-2]本願発明2?5について 本願発明2?5は、いずれも、本願発明1を引用する本願発明1に従属する発明であって、本願発明1の全ての要件を備える発明である。 したがって、上記[4-1](3)で示したと同様の理由により、本願発明2?5は、いずれも、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。 [4-3]本願発明6について 本願発明6は、下記のとおりの方法の発明であって、上記[4-1]で既に検討した“もの”の発明である本願発明1が「携帯端末機器」であることを要件としているのに対して、本願発明6はこれを要件とはしていない点を除いて、実質的に本願発明1と同じ発明である。 したがって、上記[4-1](3)で示したと同様の理由により、本願発明6も、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。 記(本願発明6) 【請求項6】 表示部により他のウェブページを特定するURLへのリンクを含むウェブページを表示する表示ステップと、 受信部により他のウェブページを特定するURLを含むウェブページの情報と、前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報を受信する受信ステップと、 前記受信ステップにおいて受信された前記他のウェブページの閲覧状態に係る情報に基づいて前記表示ステップにおいて表示される前記他のウェブページのURLへのリンクの大きさを前記ウェブページの情報で規定される大きさから変化させる制御ステップと、を有し、 前記制御ステップにおいて、前記リンクを表示する際に必要な表示領域が前記表示部の表示可能領域より広い領域を必要とする場合には、前記閲覧状態に係る情報に基づき前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくする場合であっても、前記リンクの大きさを前記規定される大きさに比して大きくしない ことを特徴とする表示方法。 【第5】むすび 以上のとおり,本願の請求項1?6に係る発明は,いずれも,刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2014-10-09 |
出願番号 | 特願2008-331442(P2008-331442) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 林 毅 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
乾 雅浩 山田 正文 |
発明の名称 | 携帯端末機器、通信システム及び表示方法 |
代理人 | 酒井 宏明 |