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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1292552
審判番号 不服2013-15396  
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-08 
確定日 2014-10-10 
事件の表示 特願2011- 95418「反射レンズを備えたパワー発光ダイパッケージ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月 8日出願公開、特開2011-176347〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、平成17年6月3日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 平成16年6月4日、米国)に出願した特願2007-515655号(以下「原出願」という。)の一部を平成23年4月21日に新たな特許出願としたものであって、平成23年4月26日付けで手続補正がなされ、平成24年10月9日付けで拒絶理由が通知され、平成25年3月11日付けで手続補正がなされたが、同年4月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月8日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成25年8月8日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、補正前(平成25年3月11日付け手続補正後のもの)の特許請求の範囲の請求項1として
「複数のリードを含むリードフレームであって、前記リードフレームの一部が取り付けパッドを画定するリードフレームと、
前記取り付けパッドの上に搭載された発光デバイスと、
前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体は、前記成形体の上面を貫く中心開口を含み、前記中心開口を含む前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む前記中心開口より小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体と、
前記成形体に結合されたレンズと、
を備え、
前記レンズは、前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分、及び、前記成形体の前記開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備える、
発光ダイパッケージ。」
とあったものを、補正後の特許請求の範囲の請求項1として
「複数のリードを含むリードフレームであって、前記リードフレームの一部が取り付けパッドを画定するリードフレームと、
前記取り付けパッドの上に搭載された発光デバイスと、
前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体は、前記成形体の上面を貫く中心開口を含み、前記中心開口を含む前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む前記中心開口より小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体と、
前記成形体に封止剤材料を介して結合され、且つ、前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分、及び、前記成形体の前記開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備えた複合レンズと、
を備える
発光ダイパッケージ。」
と補正することを含むものである。
そして、本件補正は、補正前の請求項1の「前記成形体に結合されたレンズと、を備え、前記レンズは、・・・を備える」を、「前記成形体に封止剤材料を介して結合され、且つ、・・・を備えた複合レンズと」に補正して、補正後の請求項1とする補正事項(以下「本件補正事項」という。)を含むものである。

2 補正の目的
上記1のとおり、本件補正事項は、レンズ(複合レンズ)と成形体の間に封止剤材料を介するとの新たな構成を付加するものであって、本件補正事項は、本件補正前の上記「成形体に結合されたレンズ」との特定事項を減縮するものとはいえないから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。
また、本件補正の目的は、同法第17条の2第4項第1号、第3号、第4号の、請求項の削除、誤記の訂正、明りようでない記載の釈明、のいずれにも該当しない。

3 補正却下の決定のむすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
4 付言
なお、以下に検討するとおり、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、特許を受けることができないものであるから、本件補正を認める余地はない。
(1)刊行物の記載
ア 原査定の拒絶理由に引用された、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開平3-11771号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同じ)。
(ア)「実装装置によって自動的に実装可能でありかつ少なくとも1つの光送信器および(または)受信器(8)を含む少なくとも1つの基体(1)と、放射光および(または)受信光を成形するための少なくとも1つの光学装置(9)と、この少なくとも1つの光学装置(9)を調整して固定するための調整補助具(2?4、10、11、12、15、22、26、28)とを有することを特徴とする表面実装可能なオプトデバイス。」(特許請求の範囲)

(イ)「第2図a?cおよび第3図a?cは基体1の製作を説明するための概略図である。電気端子6、7は、半導体基体8を取付けその半導体基体8と電気端子6とのボンディングワイヤ結合を行う間、所謂リードフレーム技術によって一緒に保持される。ボンディングワイヤ結合が行われた後に、半導体基体8、ボンディングワイヤおよび電気端子6、7の一部分が例えば熱硬化性プラスチックまたは熱可塑性プラスチックの如きプラスチックによって一体注型される。最初にリードフレームがプラスチック例えば熱可塑性プラスチックをコーティングされ、その後窪み5の内部に半導体基体8が配置され得るようにしてもよい。次に窪み5が注型樹脂を注入される。基体1の被覆体には例えば孔3の如き調整補助具が設けられる。電気端子6、7は、第2図に示される如く基体1の被覆体から鶴翼状に突出するように基体1の被覆体を突出した後に折曲げられ得るか、または第3図に示される如く基体1の被覆体を突出した後に下方に折曲げられさらに基体1の被覆体の中心部に向かって折曲げられ得る。」(4頁左上欄18行?右上欄18行)

(ウ)「第4図ないし第23図は本発明によるオプトデバイスの種々の実施例を示す、第4図は反射器5内に光送信器8を備えた基体1を示す、基体1の孔3内には光学装置9の突起が嵌合している。光学装置9はこの突起とは一体成形されている。光学装置9としては完全注型体が使用され得る。光学装置9としては例えば所定の屈折率を有するガラスレンズが使用され得る。しかしながら、光学装置9としては、光送信器および(または)光受信器8によって送信または受信される光を何らかの方法で成形し、束線化しまたは形成するような他の装置も使用され得る。本発明においては、光学装置9としては耐久性には限界があっても高温度には耐え得る材料を使用することが可能である。例えば光学装置9としては(レンズに対してガラス透明度を増すためにまたはディスプレイに対して白色度を増すために入れられる)ポリカーボネートが使用され得る。光学装置9としてはポッカン(Pocan)(ポリブチレン-テレフタレート)の如き価格的に手頃なプラスチックも使用され得る。このようなプラスチックは例えば150℃以下の耐久温度に耐える。
第4図の光学装置9は例えば収束レンズとして形成されている。この第4図において、平行光は束線光に変換されて、方向転換させられる。窪み(反射器)5および(または)光学装置9を形成することによって種々の放射特性および(または)受信特性が得られる。それゆえ、任意の適用例に対して、僅かな個数の基体1を使用するのに最も適するケース形状が製作され得る。」(4頁左下欄12行?5頁左上欄1行)

(エ)図2及び4は、次のものである。


(オ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえて(エ)の図2及び4をみると、電気端子7上に、半導体基体8が搭載され、基体1は、電気端子7上の半導体基体8を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有し、光学装置9は上側に配置された凹面(上側に向かって凸レンズ)を有することがみてとれる。

(カ)上記(ア)ないし(オ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「実装装置によって自動的に実装可能でありかつ少なくとも1つの光送信器および(または)受信器を含む少なくとも1つの基体と、放射光および(または)受信光を成形するための少なくとも1つの光学装置と、この少なくとも1つの光学装置を調整して固定するための調整補助具とを有する表面実装可能なオプトデバイスにおいて、
前記基体は、前記半導体基体、ボンディングワイヤおよび電気端子6、7の一部分がプラスチックによって一体注型されて製作され、
前記電気端子7上に、半導体基体が搭載され、基体は、電気端子7上の半導体基体を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有し、光学装置は上側に配置された凹面(上側に向かって凸レンズ)を有するオプトデバイス。」

イ 原査定の拒絶理由に引用された、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特表2002-509362号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】本発明は、基体と、基体の切り欠き内に配置されたオプトエレクトロニクスの送信器及び又は受信器と、切り欠きを閉じる光学的な装置とを有している表面取り付け可能なオプトエレクトロニクス素子を製作する方法、及び表面取り付け可能なオプトエレクトロニクス素子に関する。」

(イ)「【0028】図2Aは大体において図1によって構成された基体1を示し、その際ケーシング3′が図1に示したケーシング3と異なっている点は、単に、ケーシング3′の表面5が切り欠き4を取り囲む後述するリング溝6を有していることだけである。図2Aに示されているように、導体バンド2の区分7,8は高温熱可塑性プラスチックケーシング3′によって取り囲まれており、切り欠き4の底側の範囲において接点接続区分9,10が切り欠き内に突入している。この場合接点接続区分9は切り欠き4の中央範囲にまで延長されている。
【0029】ケーシング3の内方の壁面13は斜面として構成されていて、反射器を形成している。ほぼ90%あるいはそれ以上の大きな拡散反射率を有するケーシング材料を選ぶことによって、この面13の大きな反射性が生じる。
【0030】導体バンドとケーシングとから成る構造体2,3′の完成後に、半導体チップ11がケーシング3′の切り欠き4内に取り付けられる。図2Aにおいてはこの取り付け段階は既に実施されている。半導体チップ11はこの場合導体バンド2の延長せしめられた接点接続区分9上に取り付けられ、この接点接続区分に接点接続されている。別の電気的な接点接続がワイヤ12を介して行われており、このワイヤは半導体チップ11から導体バンド2の対向する接点接続区分10に導かれている。半導体チップ11としては、例えば発光性のダイオードあるいは感光性の半導体素子を使用することができる。
【0031】半導体チップ11を取り付け、接点接続した後に、切り欠き4は図2Bに示すように、流動性の流し込み物質14を充てんされる。流し込み物質14としては例えばエポキシド樹脂を使用することができる。流し込み物質14及びケーシング材料はそれらの熱的な特性に関して互いに適合せしめられていて、素子のろう接の際に及び後の使用条件のもとで生ずることのあるような熱的な負荷が機械的な障害をもたらすことが阻止される。
【0032】流し込み物質の表面張力によって、流し込み物質表面15は凹みを形成し、換言すれば凹面となっている。
【0033】流し込み物質14の充てん高さは、凹みの形成の程度、次の段階(図2C)で切り欠き4上に載置されるべき光学的な装置の形状に関連しており、更に、場合により縁を越えてあふれ出る流し込み物質を捕集するために、ここに図示されているような環状のリング溝6のような手段がケーシング側において講じられているかに関連している。
【0034】図2Cは、続いて行われる切り欠き4上への光学的な装置の載置を示す。図2Cに示した例では、光学的な装置は平凸集光レンズ16の形に構成されている。切り欠き4に向いた側において、集光レンズ16は中央範囲に平らな基面17を有しており、この基面は移行斜面18を介して半径方向で外方に位置するリング形の支持面19に続いている。基面17は支持面19と共面である。
【0035】図2Bに示すように流し込み物質14を充てんされたケーシング3上にレンズ16を載置する場合、レンズ16はまず切り欠き4の上方に位置決めされ、軸方向で切り欠きに整向せしめられる。次いでレンズ16が熱可塑性プラスチックケーシング3′上に下ろされ、その際レンズ16の移行斜面18は傾斜した反射器内壁面13の上方範囲と自動定心作用をもって協働する。これによってケーシング3′に対するレンズ16の最終位置が達成され、この最終位置は先行する整向段階とはほぼ無関係であって、大体においてレンズ製作及びケーシング製作の相応する傾斜面範囲における寸法の正確さによって定められる。」
(ウ)図2Aないし2Cは次のものである。


(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「ケーシングの内方の壁面は斜面として構成され、
導体バンドとケーシングとから成る構造体の完成後に、半導体チップがケーシングの切り欠き内に取り付けられ、
前記半導体チップは導体バンドの延長せしめられた接点接続区分上に取り付けられ、この接点接続区分に接点接続され、
前記半導体チップとして、発光性のダイオードを使用することができ、
前記半導体チップを取り付け、接点接続した後に、切り欠きは流動性の流し込み物質を充てんされ、
前記流し込み物質を充てんされたケーシング上にレンズを載置するオプトエレクトロニクス素子。」

ウ 原査定の拒絶理由に引用された、原出願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2004/023522号(以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある(和訳は当審にて付した。)。
(ア)「A light emitting die package comprising: a substrate having traces for connecting to a light emitting diode assembly at a mounting pad; a reflector plate coupled to said substrate and substantially surrounding the mounting pad; and lens substantially covering the mounting pad.」(特許請求の範囲)
(「1つの発光ダイ・パッケージであって、
1つの取り付けパッドにおいて1つの発光ダイオード・アセンブリに接続される複数のトレースを有する1つの基板と、
前記基板に結合され、前記取り付けパッドを略囲む1つの反射板と、
前記取り付けパッドを略被うレンズとを備える、発光ダイ・パッケージ。)

(イ)「[0031] The substrate 20, in the illustrated embodiment, has a top surface 21, the top surface 21 including the electrical traces 22 and 24. The traces 22 and 24 provide electrical connections from the solder pads (for example top solder pads 26) to a mounting pad 28. The top solder pads 26 are portions of the traces 22 and 24 generally proximal to sides of the substrate 20. The top solder pads 26 are electrically connected to side solder pads 32. The mounting pad 28 is a portion of the top surface (including portions of the trace 22, the trace 24, or both) where the LED assembly 60 is mounted. Typically the mounting pad 28 is generally located proximal to center of the top surface 21. 」
([0031]図示された実施形態においては、基板20は、1つの上面21を有し、この上面21は電気的トレース22および24を含む。トレース22および24は、半田パッド(例えば、上部半田パッド26)から1つの取り付けパッド28までの複数の電気的接続を提供する。上部半田パッド26は、トレース22および24の部分であり、概して、基板20の複数の側に近い。上部半田パッド26は、複数の側面半田パッド32に電気的に接続されている。取り付けパッド28は、LEDアセンブリ60が取り付けけられる上面(トレース22、トレース24または両方を含む)の一部である。通常、取り付けパッド28は、概して、上面21の中心近くに位置する。)

(ウ)「[0040] The top heat sink 40 may include a reflective surface 42 substantially surrounding the LED assembly 60 mounted on the mounting pad 28 (of Figures 2A and 2C) . When the top heat sink 40 is used to dissipate heat generated by the LED in the die package 10, it can be "top-mounted" directly on to an external heat sink by an adhesive or solder joint to dissipate heat efficiently. In another embodiment, if heat has to be dissipated by either a compressible or non-compressible medium such as air or cooling fluid, the top heat sink 40 may be made to equip with cooling fins or any feature that will enhance heat transfer between the top heat sink 40 and the cooling medium. In both of these embodiments, the electrical terminals and the bottom heat sink 20 of the die package 10, can still be connected to its application printed circuit board(PCB) using, for example, the normal surface-mount-technology (SMT) method.
[0041] The reflective surface 42 reflects portions of light from the LED assembly 60 as illustrated by sample light rays 63. Other portions of the light are not reflected by the reflective surface 42 as illustrated by sample light ray 61. Illustrative light rays 61 and 63 are not meant to represent light traces often use in the optical arts. For efficient reflection of the light, the top heat sink 40 is preferably made from material that can be polished, coined, molded, or any combination of these. Alternatively, to achieve high reflectivity, the optical reflective surface 42 or the entire heat sink 40 can be plated or deposited with high reflective material such as silver, aluminum, or any substance that serves the purpose. For this reason, the top heat sink 40 is also referred to as a reflector plate 40. The reflector plate 40 is made of material having high thermal conductivity if and when required by the thermal performance of the package 10. In the illustrated embodiment, the reflective surface 42 is illustrated as a flat surface at an angle, for example 45 degrees, relative to the reflective plate's horizontal plane. The present invention is not limited to the illustrated embodiment. For example, the reflective surface 42 can be at a different angle relative to the reflective plate's horizontal plane. Alternatively, the reflective plate can have a parabolic, toroid or any other shape that helps to meet the desired spectral luminous performance of the package.
[0042] The reflective plate 40 includes a ledge 44 for supporting and coupling with the lens 50. The LED assembly 60 is encapsulated within the die package 10 (of Figures 1A and IB) using encapsulation material 46 such as, for example only, soft and elastic silicones or polymers. The encapsulation material 46 is preferably high temperature polymer with high light transmissivity and refractive index that matches or closely matches refractive index of the lens 50. The encapsulant 46 is preferably not affected by most wavelengths that alter its light transmissivity or clarity.
[0043] The lens 50 is made from material having high light transmissivity such as, for example only, glass, quartz, high temperature and transparent plastic, or a combination of these materials. The lens 50 is placed on top of and adheres to the encapsulation material 46. # The lens 50 is not rigidly bonded to the reflector 40. This "floating lens" design will ensure that the encapsulant 46 can expand and contract under high and low temperature conditions without problem. For instance, when the die package 10 is operating or being subjected to high temperature environment, encapsuiant 46 experiences greater volumetric expansion than the cavity space that contains it. By allowing the lens 50 to float up somewhat freely on top of the encapsulant 46, no encapsulant will be squeezed out of its cavity space. Likewise, when the die package 10 is subjected to cold temperature, the encapsulant 46 will contract more than the other components that make up the cavity space for the encapsulant 46; the lens will float freely on top of the encapsulant 46 as the latter shrinks and its level drops. Hence, the reliability of the die package 10 is maintained over a relatively large temperature ranges as the thermal stresses induced on its encapsulant 46 is reduced by the floating lens design.」
([0040]上部ヒート・シンク40は、取り付けパッド28(図2Aおよび2Cの)上に取り付けけられたLEDアセンブリ60を略囲む1つの反射面42を含みうる。上部ヒート・シンク40がダイ・パッケージ10中のLEDによって生成された熱を拡散するのに使われるとき、それは1つの外部ヒート・シンク上に1つの接着剤または半田接合によって直接”上部取り付け”され、熱を効果的に発散させ得る。別の実施形態において、もし熱が空気または冷却液のような圧縮性または非圧縮性媒体によって放散させられねばならないときには、上部ヒート・シンク40にフィンまたは上部ヒート・シンク40と冷却媒体熱との間で伝達を促進する任意の仕様を装備させてもよい。これらの実施形態の両方において、ダイ・パッケージ10の電気的端子と底部ヒート・シンク20は、例えば、標準の表面取り付け技術(SMT)方法を使ってその適用プリント回路ボード(PCB)に依然として接続可能である。
[0041]反射面42は、複数のサンプル光線63によって図示されるLEDアセンブリ60からの光の複数の部分を反射する。光の他の複数の部分は、サンプル光線61によって図示されるようには反射面42によって反射されない。説明用の光線61および63は、光学的技術でよく使われる光トレースを意味しない。光の効果的な反射のためには、上部ヒート・シンク40は、磨くことのできる材料、鋳造することのできる材料またはモールドすることのできる材料、またはこれらの組合せから作られることが好ましい。あるいは、高い反射率を実現するために、光学的な反射面42または全体ヒート・シンク40を、メッキするか、銀、アルミニウム、またはこの目的を果たす任意の物質のような高反射率材料で堆積することができる。このため、上部ヒート・シンク40はまた、1つの反射板40と呼ばれる。反射板40は、パッケージ10の熱的性能によって要求されるときには高熱導電性を有する材料から作られる。実施形態によって図示するように、反射板42は、例えば、反射板の水平面に関して45°の1つの角度をなす1つの平面として図示される。本発明は、説明用の実施形態に限定されるものではない。例えば、反射面42は、反射板の水平面に関して1つの異なる角度をなすようにできる。あるいは、反射板は、1つの放物線面、円錐曲線回転面またはパッケージの所望のスペクトル発光性能を満たす助けになる任意の他の形状を持つことができる。
[0042]反射板40は、レンズ50を支持し、それと結合する1つの棚44を含む。LEDアセンブリ60は、例えば、軟質プラスチック・シリコーンまたはポリマのようなエンカプセレーション材料46を使ってダイ・パッケージ10(図1Aおよび1B)内にカプセル化される。エンカプセレーション材料46は、高光伝導性およびレンズ50の屈折率に整合するか近似する屈折率を有する高温ポリマが好ましい。カプセル材46は、その光伝導性または透明度を変える複数の殆どの波長によって影響されないものが好ましい。
[0043]レンズ50は、例えば、ガラス、水晶、高温および透明プラスチック、またはこれらの材料の1つの組合せのような高光伝導性を有する材料からできている。レンズ50は、エンカプセレーション材料46の上に置かれ、これに接着される。レンズ50は、反射板40に固くは接着されない。この”浮動レンズ”設計により、エンカプセレーション材料46が問題なく高温または低温の状況下において膨張したり収縮したりする事が出来る。例えば、ダイ・パッケージ10が動作しているとき、または高温環境に曝されているとき、カプセル材は、それを含む空洞空間より大きな体積膨張を経験する。レンズ50にカプセル材の上で幾分自由に浮き上がらせることによって、その空洞空間からカプセル材が押出
されることがない。同様にして、ダイ・パッケージ10が低い温度に曝されたときには、カプセル材46はカプセル材用の空洞空間を形成している他の複数の構成要素よりよく収縮する。レンズは、カプセル材が収縮しそのレベルを下げる間、カプセル材46の上で自由に浮遊する。したがって、ダイ・パッケージ10の信頼性が、カプセル材に誘導される熱応力が浮動レンズ設計によって低減されるために1つの比較的大きな温度範囲に亘って維持される。)

(エ)図2Cないし3は次のものである。


(オ)上記(ア)ないし(エ)によれば、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「1つの発光ダイ・パッケージであって、
1つの取り付けパッドにおいて1つの発光ダイオード・アセンブリに接続される複数のトレースを有する1つの基板と、
前記基板に結合され、前記取り付けパッドを略囲む1つの反射板と、
前記取り付けパッドを略被うレンズと
を備える、発光ダイ・パッケージにおいて、
前記トレース22および24は、取り付けパッド28を提供し、
前記取り付けパッド28は、LEDアセンブリ(発光ダイオード・アセンブリ)が取り付けけられる上面の一部であり、
上部ヒート・シンクは、取り付けパッド28上に取り付けけられたLEDアセンブリを略囲む1つの反射面(反射板)を含み、
前記反射板は、反射板の水平面に関して45°の1つの角度をなす1つの平面であり、
前記反射板は、レンズを支持し、それと結合する1つの棚44を含み、
前記LEDアセンブリは、エンカプセレーション材料を使ってダイ・パッケージ内にカプセル化され、
前記レンズは、エンカプセレーション材料の上に置かれ、これに接着される発光ダイ・パッケージ。」

(2)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「基体」、「半導体基体」、「電気端子6、7」、「光学装置」及び「オプトデバイス」は、本願補正発明の「成形体」、「発光デバイス」、「(複数のリードを含む)リードフレーム」、「レンズ」及び「発光ダイパッケージ」にそれぞれ相当する。

(イ)引用発明1の「半導体基体」は電気端子7上に搭載されることに照らして、電気端子7の一部が取り付けパッドを画定するといえる。そうすると、引用発明は、電気端子6、7であって、電気端子7の一部が取り付けパッドを画定する電気端子6、7と、取り付けパッドの上に搭載された半導体基体との構成を備えるから、本願補正発明の「複数のリードを含むリードフレームであって、前記リードフレームの一部が取り付けパッドを画定するリードフレームと、前記取り付けパッドの上に搭載された発光デバイス」との構成を備える。

(ウ)引用発明1の「基体」は、「前記半導体基体、ボンディングワイヤおよび電気端子6、7の一部分がプラスチックによって一体注型されて製作」され、「電気端子7上の半導体基体を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有」するから、電気端子6、7の一部分と一体化された基体であって、基体の一部は、取り付けパット上の半導体基体を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有するといえる。そうすると、引用発明の「基体」は、本願補正発明の「前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体は、前記成形体の上面を貫く中心開口を含み、前記中心開口を含む前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む前記中心開口より小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体」と「前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体」である点で一致する。

(エ)引用発明1の「光学装置」は、「上側に配置された凹面(上側に向かって凸レンズ)を有する」から、本願補正発明の「前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分、及び、前記成形体の前記開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備えた複合レンズ」と「前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分を備えたレンズ」である点で一致する。

(オ)以上によれば、両者は、
「複数のリードを含むリードフレームであって、前記リードフレームの一部が取り付けパッドを画定するリードフレームと、
前記取り付けパッドの上に搭載された発光デバイスと、
前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体と、
前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分を備えたレンズと、
を備える発光ダイパッケージ。」
である点で一致し、下記aないしcの点で相違するものと認められる。

a 本願補正発明の「成形体」は、「成形体の上面を貫く中心開口を含み」、「成形体」の「傾斜側面」は「前記中心開口より小径の開口までテーパ状になる」のに対して、引用発明1の「基体」は、中心開口を含むか明らかではなく、また、「基体」の傾斜側面が「中心開口より小径」の開口までテーパ状になるか明らかではない点(以下「相違点1」という。)。

b 本願補正発明の「複合レンズ」は、「成形体に封止剤材料を介して結合され」るのに対して、引用発明1の「レンズ」は、「基体」に封止剤材料を介して結合されるとはされない点(以下「相違点2」という。)。

c 本願補正発明の「レンズ」は、「複合レンズ」であって、「成形体の開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備え」るのに対して、引用発明1の「レンズ」は、「複合レンズ」ではなく、「基体の開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備え」るとはされない点(以下「相違点3」という。)。

イ 判断
(ア)上記相違点1について検討する。
引用発明1の基体は、電気端子7上の半導体基体を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面と棚44を有し、光学装置は上側に配置された凹面(上側に向かって凸レンズ)を有するものであるから、光学装置を有することができる範囲において、テーパ状になる傾斜側面及び棚44に関して、適宜の形状とすることができるものである。
そして、本願明細書及び図面からは、成形体の上面を貫く中心開口を設けることの目的及び効果についての記載はみてとれないから、上記中心開口が格別の技術的意義を有する構成とは認められない。
そうすると、本願補正発明の上記中心開口は設計的事項であるということができ、引用発明1の基体との上記中心開口に係る形状の差異は、当業者が設計上適宜なし得る程度のことと認められる。

(イ)上記相違点2について検討する。
引用発明2は、流し込み物質を充てん(封止)されたケーシング上にレンズを載置するものであり、引用発明3は、レンズはエンカプセレーション(封止)材料の上に置かれ、これに接着されるのものであるから、ケーシングに充填した封止体を介してレンズを載置・接着する技術は従来周知であるといえる。
そうすると、引用発明1の基体は、電気端子7上の半導体基体を取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有しているところ、当該基体に流し込み物質(エンカプセレーション)材料を充てんし、その上にレンズを載置する構成となし、上記相違点2に係る構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。

(ウ)上記相違点3について検討する。
基体の開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備える複合レンズは従来周知であり(例えば、実願平3-13012号(実開平4-109556号)のCD-ROMの図2、4、及び、特表2002-543594号公報の図2参照)、引用発明1の光学装置を、第2の凹面を有する第2の部分を備える複合レンズとなし、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことに格別の困難があるものとは認められない。

ウ 小括
以上の検討によれば、本件補正発明は、引用発明1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第3 進歩性について
1 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、上記第2、1において本件補正前として示した特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2、1において、補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
上記第2、4(1)のとおりである。

3 対比・判断
本願発明と引用発明1とを対比すると、上記第2、4(2)アの検討を踏まえれば、一致点と相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
「複数のリードを含むリードフレームであって、前記リードフレームの一部が取り付けパッドを画定するリードフレームと、
前記取り付けパッドの上に搭載された発光デバイスと、
前記リードフレームの一部と一体化された成形体であって、前記成形体の一部は前記取り付けパット上の前記発光デバイスを取り囲む小径の開口までテーパ状になる傾斜側面を有する成形体と、
前記成形体の上側に配置された第1の凹面を有する第1の部分を備えたレンズと、
を備える発光ダイパッケージ。」

[相違点]
a 本願補正発明の「成形体」は、「成形体の上面を貫く中心開口を含み」、「成形体」の「傾斜側面」は「前記中心開口より小径の開口までテーパ状になる」のに対して、引用発明1の「基体」は、中心開口を含むか明らかではなく、また、「基体」の傾斜側面が「中心開口より小径」の開口までテーパ状になるか明らかではない点。

b 本願補正発明の「レンズ」は、「複合レンズ」であって、「成形体の開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備え」るのに対して、引用発明1の「レンズ」は、「複合レンズ」ではなく、「基体の開口内に配置された第2の凹面を有する第2の部分を備え」るとはされない点。

すなわち、引用発明1と本願発明との相違点である上記a及びbの各相違点は、上記第2、4(2)アで検討した相違点1及び3と同じ内容である。

したがって、上記第2、4(2)イ(ア)及び(ウ)での検討と同様の理由により、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-19 
結審通知日 2014-05-20 
審決日 2014-06-02 
出願番号 特願2011-95418(P2011-95418)
審決分類 P 1 8・ 573- Z (H01L)
P 1 8・ 572- Z (H01L)
P 1 8・ 571- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 574- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 道祖土 新吾  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 松川 直樹
星野 浩一
発明の名称 反射レンズを備えたパワー発光ダイパッケージ  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  

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