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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01M
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1293016
審判番号 不服2013-9370  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-22 
確定日 2014-10-15 
事件の表示 特願2008-306144「ケース流路部品具備の燃料電池流路板」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月20日出願公開、特開2010-114052〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年12月1日(パリ条約による優先権主張、2008年11月4日、台湾(TW))の出願であって、平成24年1月26日付けで拒絶理由が通知され、同年4月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月27日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年10月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成25年1月31日付けで上記平成24年10月25日付け手続補正書による手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年5月22日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付で手続補正書が提出され、その後、当審から同年8月26日付けで審尋を行い、期間を指定して請求人の意見を求めたところ、請求人からの回答書の提出はなかったものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年5月22日付けの手続補正書による手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成25年5月22日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、平成24年4月24日付けの手続補正書により補正された本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし26を補正して、本件補正後の請求項1ないし26とするものであって、以下のとおり本件補正前の請求項1を本件補正後の請求項1とする補正(以下、「本件補正1」という。)を含む。

(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】
ケース流路部品具備の燃料電池流路板において、
流路板であって、その一面は反応流体を受け取る流路面とされ、もう一面は不反応面とされ、該流路板には第1マニホールド、第2マニホールドが設けられ、該流路面に少なくとも一つの流路が設けられ、該流路は第1流路口で該第1マニホールドに接続され、第2流路口で第2マニホールドに接続され、該第1流路口と該第2流路口はそれぞれ傾斜面を具えた、上記流路板と、
ケース流路部品であって、略7字形を呈し、該ケース流路部品は平行な第1板と第2板を具え、該第1板と該第2板の間は連接板で連接され、該連接板に少なくとも一つの貫通孔が設けられ、該ケース流路部品と該流路板が結合される時、該第1板が該流路面と接触し、該第2板が該不反応面と接触し、且つ該第1マニホールドが該貫通孔により該第1流路口と連通し、該第2板はL形板体とされ、その形状は該流路板の不反応面に設置された第1溝に対応する、上記ケース流路部品と、
を包含したことを特徴とする、ケース流路部品具備の燃料電池流路板。」

(2) 本件補正後の請求項1(当審注:下線は審判請求人が補正箇所を示したものである。)
「【請求項1】
ケース流路部品具備の燃料電池流路板において、
流路板であって、その一面は反応流体を受け取る流路面とされ、もう一面は不反応面とされ、該流路板には第1マニホールド、第2マニホールドが設けられ、該流路面に少なくとも一つの流路が設けられ、該流路は第1流路口で該第1マニホールドに接続され、第2流路口で第2マニホールドに接続され、該第1流路口と該第2流路口はそれぞれ傾斜面を具えた、上記流路板と、
ケース流路部品であって、略7字形を呈し、該ケース流路部品は平行な第1板と第2板を具え、該第1板と該第2板の間は連接板で連接され、該連接板に少なくとも一つの貫通孔が設けられ、該ケース流路部品と該流路板が結合される時、該第1板が該流路面と接触し、該第2板が該不反応面と接触し、且つ該第1マニホールドが該貫通孔により該第1流路口と連通し、該連接板は該第1板及び該第2板と非垂直で、これにより該少なくとも一つの貫通孔が該第1マニホールドに延伸される、上記ケース流路部品と、
を包含したことを特徴とする、ケース流路部品具備の燃料電池流路板。」

2 本件補正1の内容
本件補正1は、本件補正前の請求項1の「該第2板はL形板体とされ、その形状は該流路板の不反応面に設置された第1溝に対応する」を、「該連接板は該第1板及び該第2板と非垂直で、これにより該少なくとも一つの貫通孔が該第1マニホールドに延伸される」とするものであって、「該第2板はL形板体とされ、その形状は該流路板の不反応面に設置された第1溝に対応する」との発明特定事項を削除し、「該連接板は該第1板及び該第2板と非垂直で、これにより該少なくとも一つの貫通孔が該第1マニホールドに延伸される」との発明特定事項を追加するものである。

3 補正の適否
(1) 新規事項の追加の有無について
本件補正1によって追加された発明特定事項である「該連接板は該第1板及び該第2板と非垂直で、これにより該少なくとも一つの貫通孔が該第1マニホールドに延伸される」ことについては、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本願当初明細書等」という。)の段落【0030】及び図10に記載されている。
したがって、本件補正1は、本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、本件補正1は、本願当初明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(2) 補正の目的要件について
ア 上記2のとおり、本件補正1は、本件補正前の請求項1の「該第2板はL形板体とされ、その形状は該流路板の不反応面に設置された第1溝に対応する」との発明特定事項を削除するものであるから、特許請求の範囲を拡張しており、特許請求の範囲の減縮に該当するものとはいえない。
したがって、本件補正1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。

イ また、本件補正1は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、同第3号に掲げる誤記の訂正、同第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものにも該当しない。

ウ したがって、本件補正1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。

(3) まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1ないし26に係る発明は、平成24年4月24日付けの手続補正書によって補正された請求項1ないし26に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2 1(1)のとおりである。

第4 原査定の理由の概要
原査定の理由とされた、平成24年7月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は以下のとおりである。

この出願の請求項1ないし26に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2004-349014号公報
刊行物2:特開2004-342342号公報
刊行物3:特開平8-180883号公報
刊行物4:特開2005-174908号公報
刊行物5:特開2003-197249号公報

第5 刊行物の記載事項(当審注:下線は当審が付与した。)
1 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2004-349014号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
(1) 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、電極にガスを供給するガス流路および前記ガス流路と連通するマニホルド孔を有する導電性セパレータを備えた燃料電池に関する。

(2) 「【0002】
【従来の技術】
高分子電解質型燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。高分子電解質型燃料電池は、一般にプロトン伝導性を有する高分子電解質膜、電極および導電性セパレータを具備する。電極は拡散層と触媒反応層とをあわせたものからなる。触媒反応層は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜の両側に形成されており、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分としている。そして、触媒反応層の外面に、燃料ガスおよび酸化剤ガスの通気性と電子伝導性をあわせ持つ拡散層が形成されている。
【0003】
供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスが外部にリークし、あるいは二種類のガスが互いに混合しないように、電極の周囲には、高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。このガスシール材やガスケットは、予め電極および高分子電解質膜と一体化して組み立てられ、これを、MEA(電解質膜電極接合体)と呼ぶ。」

(3) 「【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1にかかる導電性セパレータの一例を概念的に示す斜視図であり、表面に燃料ガス流路が形成されている例を示す。
図1より、導電性セパレータ11は、燃料ガス流路16a、燃料ガス用マニホルド孔12a、酸化剤ガス用マニホルド孔12bおよび冷却水用マニホルド孔19を有する板材18と、燃料ガス用マニホルド孔12aと連通する燃料ガス流路16aの端部を覆うカバープレート13からなる。
【0016】
燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する燃料ガス流路16aは、導電性セパレータ11のMEAと接触する面に設けられている。燃料ガス流路16aの両端部は、板材18の対角位置にあり、燃料ガス用マニホルド孔12aは、燃料ガス流路16aの端部に隣接して形成されている。
燃料ガス流路16aの端部を有する板材18のマニホルド孔隣接部15は、板材18の周縁部上面より窪んでおり、その窪みにカバープレート13が嵌合している。

(4) 「【0017】
カバープレート13は、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材を具備する凹形状を有しており、前記支持部材でマニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されている。すなわち、カバープレート13は、接着剤などを用いることなく、板材18に直に固定されている。そして、カバープレート13の上面と、板材18周縁部の上面とは、面一になっている。
導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面には、燃料ガスを供給する燃料ガス流路用溝または冷却水を流す冷却水流路用溝が形成されている。
【0018】
図2に、図1の導電性セパレータのII-II線断面図を示す。
図2に示されるように、カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなる。背面部22には、ガス流路用溝17と燃料ガス用マニホルド孔12aとを連通させるガス流通用貫通孔14が形成されており、その孔を通して燃料ガスの供給、排出を行うことができる。
【0019】
ここでは、断面が凹型のカバープレートを例にとって説明したが、マニホルド孔隣接部15を挟み込むことが可能な形状であれば、カバープレートの形状は特に限定されない。マニホルド孔隣接部15の形状に合わせて、例えば、断面がU字型、V字型の形状を有するカバープレートであってもよい。また、マニホルド孔隣接部15に溝を形成し、カバープレート13に前記溝と係合するリブを形成して、双方をはめ合わせて固定してもよい。」

(5) 「【図1】


図1には、板材18が、一対の燃料ガス用マニホルド孔12a、一対の酸化剤ガス用マニホルド孔12b及び一対の冷却水用マニホルド孔19を有していること、及び、一対の燃料ガス用マニホルド孔12aが、燃料ガス流路16aの両端部にそれぞれ隣接して形成されていることが見て取れる。

(6) 「【図2】


図2は、「同導電セパレータのII-II線断面図」(【図面の簡単な説明】)、すなわち、図1のII-II線断面図であって(以下、刊行物1の図2で示されている断面、すなわち、カバープレート13を板材18にはめ込む方向に平行であって、かつ、導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面に垂直な断面を、単に「断面」という。)、カバープレート13の断面が、凹型の形状を有しており、一対の支持部材21が、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向していることが見て取れる。

2 刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2004-342342号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
(1) 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高分子固体電解質膜を用いる燃料電池に関するもので、特に燃料に水素、酸化剤ガスに酸素や空気を用いる高分子固体電解質型燃料電池や、液体燃料を変換することなく直接燃料電池本体へ供給して発電を行う事ができる液体燃料直接型燃料電池、例えば、液体燃料としてメタノール水溶液、酸化剤ガスとして空気を使用するような直接メタノール型燃料電池等に適用可能である。」

(2) 「【0013】
本発明の課題
(目的)は、セルスタックの大型化、コストの増大を伴うことなく、マニホールドから流路溝へ至る流路の連絡部分で酸化剤ガスや燃料(ガス又は液体)の混入を防止でき、かつ、それらをスムーズにセパレータ流路溝に導入することができ、燃料電池の高出力化、低コスト化に寄与できるセパレータ構造を提供することにある。」

(3) 「【0020】
図1に示した実施の形態を更に詳細に説明する。
図2(a)に本発明のセパレータの断面部分を示す。なお、正極側、負極側ともに同様の説明が可能な為、共通化して図示してある。
燃料(ガス又は液体)を供給するマニホールド部分51から燃料を流路溝52へ導く連絡部分53に、あるいは、酸化剤ガスを供給するセパレータのマニホールド部分61から酸化剤ガスを流路溝62へ導く連絡部分63に、たわみ防止部材(補強部材)55,65が収まるようにセパレータのマニホールド51、61から流路溝52、62へ至る流路の連絡部分53、63の一部が掘り下げられ、一部が流路溝52,62に対して傾斜した形状でマニホールド51、61に通じている。
しかも、その傾斜は、流路溝52、62から燃料または酸化剤ガスの流入方向と流路溝52,62から燃料又は酸化剤ガスの流出方向(図中矢印で記載)に向かって傾斜が設けられている。
そして、たわみ防止部材55,65を前記掘り下げ部分に配置することにより、図2(a)に示すように、流路溝における流れ方向に対して傾斜した流路が形成される。」

(4) 「【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、セルスタックの大型化、コストの増大を伴うことなく、マニホールドから流路溝へ至る流路の連絡部分で酸化剤ガスや燃料(ガス又は液体)の混入を防止でき、かつ、それらをスムーズにセパレータ流路溝に導入又は排出することができるため、燃料電池の高出力化、低コスト化に寄与できる。」

第6 当審の判断
1 引用発明
(1) 上記第5 1(1)及び(3)の記載から、刊行物1に記載の「導電性セパレータ11」は、「燃料電池の導電性セパレータ」であるといえる。

(2) 上記第5 1(2)の「MEA(電解質膜電極接合体)」との記載、及び、上記第5 1(3)ないし(4)の「導電性セパレータ11」についての記載、並びに、同(5)の認定事項から、導電性セパレータ11は、燃料ガス流路16a、一対の燃料ガス用マニホルド孔12a、一対の酸化剤ガス用マニホルド孔12b及び一対の冷却水用マニホルド孔19を有する板材18と、一対の燃料ガス用マニホルド孔12aと連通する燃料ガス流路16aの端部を覆うカバープレート13からなり(段落【0015】、図1)、
燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する燃料ガス流路16aは、導電性セパレータ11のMEA(電解質膜電極接合体)と接触する面に設けられており、一対の燃料ガス用マニホルド孔12aは、燃料ガス流路16aの両端部にそれぞれ隣接して形成され(段落【0016】、図1)、
導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面には、燃料ガスを供給する燃料ガス流路用溝または冷却水を流す冷却水流路用溝が形成されること(段落【0017】)が記載されているといえる。

(3) 上記第5 1(3)の「燃料ガス流路16aの端部を有する板材18のマニホルド孔隣接部15」(段落【0016】)との記載、及び、上記第5 1(4)の「カバープレート13」についての記載、並びに、同(6)の認定事項から、カバープレート13は、燃料ガス流路16aの端部を有する板材18のマニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材を具備する凹形状を有しており、前記一対の支持部材でマニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されており(段落【0017】、図2)、また、カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなり、背面部22には、ガス流路用溝17と燃料ガス用マニホルド孔12aとを連通させるガス流通用貫通孔14が形成されており、その孔を通して燃料ガスの供給、排出を行うことができ(段落【0018】)、
さらに、マニホルド孔隣接部15に溝を形成し、カバープレート13に前記溝と係合するリブを形成して、双方をはめ合わせて固定してもよいこと(段落【0019】)が記載されているといえる。

(4) 以上から、刊行物1には、
「燃料電池の導電性セパレータ11であって、燃料ガス流路16a、一対の燃料ガス用マニホルド孔12a、一対の酸化剤ガス用マニホルド孔12b及び一対の冷却水用マニホルド孔19を有する板材18と、前記一対の燃料ガス用マニホルド孔12aと連通する燃料ガス流路16aの端部を覆うカバープレート13からなり、
燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する前記燃料ガス流路16aは、前記導電性セパレータ11のMEA(電解質膜電極接合体)と接触する面に設けられており、前記一対の燃料ガス用マニホルド孔12aは、前記燃料ガス流路16aの両端部にそれぞれ隣接して形成され、
前記導電性セパレータ11の前記燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面には、燃料ガスを供給する燃料ガス流路用溝又は冷却水を流す冷却水流路用溝が形成されており、
前記カバープレート13は、前記燃料ガス流路16aの端部を有する前記板材18のマニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、前記一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなり、前記カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、前記一対の支持部材21で前記マニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、前記マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されており、前記背面部22には、前記ガス流路用溝17と前記一対の燃料ガス用マニホルド孔12aとを連通させるガス流通用貫通孔14が形成されており、その孔を通して燃料ガスの供給、排出を行うことができ、
前記マニホルド孔隣接部15に溝を形成し、前記カバープレート13に前記溝と係合するリブを形成して、双方をはめ合わせて固定してもよい燃料電池の導電性セパレータ。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

2 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「板材18」は、「燃料ガス流路16a」を有しており、他方、本願発明の「流路板」は、「その一面は反応流体を受け取る流路面とされ」「該流路面に少なくとも一つの流路が設けられ」ている。
ここで、刊行物1の段落【0002】には、「高分子電解質型燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。」と記載されているから、引用発明の「燃料ガス」は、水素を含有するものであって、電気化学的に反応するものである。
また、引用発明の「燃料ガス」は、「燃料ガス流路6a」を流れるものであるから、流体といえる。
他方、本願明細書の段落【0002】には、「プロトン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell:PEMFC)は高分子薄膜燃料電池とも称され、最も基本的な構造は、図1に示されるような単一セルとされる。燃料電池セル10は、MEA(膜・電極接合体:Membrane Electrode Assembly)110、二つのガス拡散層(Gas Diffusion Layer:GDL)105及び107、及び二つの流路板(fluid flow plate)101及び102を包含する。ガス拡散層105及び107は流路板101及び102の間に挟持される。MEA110はガス拡散層105及び107の間に挟持される。流路板101及び102内にはそれぞれ独立した流路(flow channel)103及び104があり、これにより燃料電池が必要な反応流体(reactant fluid)及び反応後の残余流体の分布と伝送を行う。陽極側(anode side)に分布し伝送される流体は水素ガス(hydrogen)或いは加湿した水素ガス(humid hydrogen)とされ、もう一側の陰極側(cathode side)に分布し伝送される流体は加湿した酸素ガス(humid oxygen)或いは加湿した空気(humid air)及び反応後の残余流体及び発生する水である。」(当審注:下線は当審が付与した。以下、同じ。)、同段落【0003】には、「MEA110もまた陽極側と陰極側に分けられ、陽極側は酸化反応を行ない、陰極側は還元反応を行ない、陽極側の水素ガスがMEAに隣接する触媒106(或いは108、一般にはパラジウム或いはパラジウム合金とされる)に接触する時、水素ガス分子が解離して水素イオンと電子となり、そのうち電子は陽極と陰極を繋ぐ電橋を通り、電橋と直列に接続された負荷を通り、陽極より陰極に流れる。水素イオンは直接陽極よりプロトン交換膜を透過して陰極に到達し、特に、このプロトン交換膜109は湿度を有する薄膜であり、水素イオンが水分子を伴い透過することのみ許容し、その他の気体分子は透過させない特性を有する。陰極端において触媒108(或いは106)の作用下で、電橋を通り到達した電子と酸素が結合して酸素イオンとなり、並びにプロトン交換膜109を透過した水素イオンと水分子を合成し、これがいわゆる電気化学(electrochemical)の酸化と還元の反応過程である。」と記載されているから、水素ガスあるいは加湿した水素ガス、及び、加湿した酸素ガスあるいは加湿した空気は、いずれも本願発明の「反応流体」であって、この「反応流体」は、電気化学の酸化又は還元反応をするものであり、また、流路板内の流路を伝送されるものである。
そうすると、引用発明の「燃料ガス」は、本願発明の「反応流体」に相当する。
また、引用発明の「板材18」「燃料ガス流路16a」は、本願発明の「流路板」「少なくとも一つの流路」に、それぞれ相当する。

(2) 引用発明の「燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する前記燃料ガス流路16a」は、「前記導電性セパレータ11のMEA(電解質膜電極接合体)と接触する面に設けられ」ており、ここで、「導電性セパレータ11」は、「板材18」と、「カバープレート13」からなるものであるから、「燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する前記燃料ガス流路16a」は、「板材18」の「MEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」に設けられているものと認められる。
そうすると、引用発明の「板材18」の「MEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」は、燃料ガスを受け取る面であるといえる。
したがって、引用発明の「板材18」の「前記導電性セパレータ11のMEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」は、本願発明の「反応流体を受け取る流路面」に相当する。

(3) 引用発明の「一対の燃料ガス用マニホルド孔12a」のうち、一方の「燃料ガス用マニホルド孔12a」は、本願発明の「第1マニホールド」に相当し、他方の「燃料ガス用マニホルド孔12a」は、本願発明の「第2マニホールド」に相当する。

(4) 引用発明の「一対の燃料ガス用マニホルド孔12a」は、「前記燃料ガス流路16aの両端部にそれぞれ隣接して形成されて」いるから、「燃料ガス流路16a」は、その一方の端部で、一方の「燃料ガス用マニホルド孔12a」に接続され、その他方の端部で、他方の「燃料ガス用マニホルド孔12a」に接続されているものと認められる。
そうすると、引用発明の「燃料ガス流路16a」の一方の端部は、本願発明の「第1流路口」に相当し、引用発明の「燃料ガス流路16a」の他方の端部は、本願発明の「第2流路口」に相当する。

(5) 上記(1)ないし(4)から、引用発明の「燃料ガス流路16a、一対の燃料ガス用マニホルド孔12a、酸化剤ガス用マニホルド孔12bおよび冷却水用マニホルド孔19を有する板材18」は、本願発明の「流路板」に相当し、また、引用発明の「燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する燃料ガス流路16aは、導電性セパレータ11のMEA(電解質膜電極接合体)と接触する面に設けられており、一対の燃料ガス用マニホルド孔12aは、燃料ガス流路16aの両端部にそれぞれ隣接して形成され、」ることは、本願発明の「流路板であって、その一面は反応流体を受け取る流路面とされ、」「該流路板には第1マニホールド、第2マニホールドが設けられ、該流路面に少なくとも一つの流路が設けられ、該流路は第1流路口で該第1マニホールドに接続され、第2流路口で第2マニホールドに接続され、」ることに相当する。

(6) 本願発明の「ケース流路部品」は、「流路板」と「結合される」ものであるところ、引用発明の「カバープレート13」は、「前記一対の燃料ガス用マニホルド孔12aと連通する燃料ガス流路16aの端部を覆う」ものであって、「前記燃料ガス流路16aの端部を有する前記板材18のマニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、前記一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなり、前記カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、前記一対の支持部材21で前記マニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、前記マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されて」いるから、引用発明の「カバープレート13」も、「板材18」と結合されるものであるといえる。
したがって、引用発明の「カバープレート13」は、本願発明の「ケース流路部品」に相当する。

(7) 引用発明の「カバープレート13」は、「前記燃料ガス流路16aの端部を有する前記板材18のマニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、前記一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなり、前記カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、前記一対の支持部材21で前記マニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、前記マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されて」いるものであるから、「一対の支持部材21」は、それぞれ板状の部材であって、「板材18」の上下面に接しており、「背面部22」で連接されているといえる。
そうすると、引用発明の「一対の支持部材21」のうち、一方の「支持部材21」は、「板材18」の「MEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」に接しているものと認められる。
また、引用発明の「一対の支持部材21」のうち、一方の「支持部材21」は、本願発明の「第1板」に相当し、他方の「支持部材21」は、本願発明の「第2板」に相当し、引用発明の「背面部22」は、本願発明の「連接板」に相当する。

(8) 引用発明は、「前記背面部22には、前記ガス流路用溝17と前記一対の燃料ガス用マニホルド孔12aとを連通させるガス流通用貫通孔14が形成されており、その孔を通して燃料ガスの供給、排出を行うことができ」るものであり、他方、本願発明は、「該連接板に少なくとも一つの貫通孔が設けられ」、「該第1マニホールドが該貫通孔により該第1流路口と連通し」ているから、引用発明の「ガス流通用貫通孔14」は、本願発明の「貫通孔」に相当する。

(9) 上記(6)ないし(8)から、引用発明の「燃料ガス用マニホルド孔12aと連通する燃料ガス流路16aの端部を覆うカバープレート13」は、本願発明の「ケース流路部品」に相当し、また、引用発明の「カバープレート13は、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材を具備する凹形状を有しており、前記支持部材でマニホルド孔隣接部15を挟み込むことにより、マニホルド孔隣接部15に嵌合した状態で固定されており、カバープレート13の断面は、凹型の形状を有しており、マニホルド孔隣接部15の上下面とそれぞれ対向する一対の支持部材21と、一対の支持部材21の一端を連結する背面部22とからなり、背面部22には、ガス流路用溝17と燃料ガス用マニホルド孔12aとを連通させるガス流通用貫通孔14が形成されており、その孔を通して燃料ガスの供給、排出を行うことができ、」は、本願発明の「ケース流路部品であって、該ケース流路部品は第1板と第2板を具え、該第1板と該第2板の間は連接板で連接され、該連接板に少なくとも一つの貫通孔が設けられ、該ケース流路部品と該流路板が結合される時、該第1板が該流路面と接触し、」「且つ該第1マニホールドが該貫通孔により該第1流路口と連通し、」に相当する。

(10) 引用発明の「燃料電池の導電性セパレータ11」は、「板材18」と、「カバープレート13」からなっているから、「カバープレート13」を具備しているといえ、他方、本願発明の「ケース流路部品具備の燃料電池流路板」は「流路板」と「ケース流路部品」を包含している。
そうすると、引用発明の「燃料電池の導電性セパレータ11」は、本願発明の「ケース流路部品具備の燃料電池流路板」に相当する。

(11) 以上から、本願発明と引用発明との一致点と相違点は、以下のとおりである。
ア 一致点
「ケース流路部品具備の燃料電池流路板において、
流路板であって、その一面は反応流体を受け取る流路面とされ、該流路板には第1マニホールド、第2マニホールドが設けられ、該流路面に少なくとも一つの流路が設けられ、該流路は第1流路口で該第1マニホールドに接続され、第2流路口で第2マニホールドに接続された、上記流路板と、
ケース流路部品であって、該ケース流路部品は第1板と第2板を具え、該第1板と該第2板の間は連接板で連接され、該連接板に少なくとも一つの貫通孔が設けられ、該ケース流路部品と該流路板が結合される時、該第1板が該流路面と接触し、且つ該第1マニホールドが該貫通孔により該第1流路口と連通する、上記ケース流路部品と、
を包含した、ケース流路部品具備の燃料電池流路板。」

イ 相違点
(ア) 相違点1
本願発明は、「流路板」の「もう一面は不反応面とされ」ており、「該第2板が該不反応面と接触し」ているのに対して、引用発明は、「導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面には、燃料ガスを供給する燃料ガス流路用溝又は冷却水を流す冷却水流路用溝が形成されて」いるものの、そのような構成を備えているかどうか不明な点。

(イ) 相違点2
本願発明は、「該第1流路口と該第2流路口はそれぞれ傾斜面を具え」ているのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点

(ウ) 相違点3
本願発明の「ケース流路部品」は、「略7字形を呈し」、「平行な第1板と第2板を具え」ているのに対し、引用発明の「カバープレート13の断面は、凹型の形状を有して」いる点

(エ) 相違点4
本願発明の「ケース流路部品」の「該第2板はL形板体とされ、その形状は該流路板の不反応面に設置された第1溝に対応する」のに対し、引用発明は、「マニホルド孔隣接部15に溝を形成し、カバープレート13に前記溝と係合するリブを形成して、双方をはめ合わせて固定してもよい」構成を備えている点

3 相違点についての判断
(1) 相違点1について
本願発明の「流路板」の「もう一面」とは、「反応流体を受け取る流路面」とは反対側の面であって、当該「流路面」には、「少なくとも一つの流路が設けられ」ているところ、引用発明の「導電性セパレータ11」は、「板材18」と、「カバープレート13」からなるものであって、「導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面」は、「板材18」の「燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面」といえるから、引用発明の「導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面」は、本願発明の「流路板」の「もう一面」に相当する。
ここで、引用発明は、「導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面には、燃料ガスを供給する燃料ガス流路用溝又は冷却水を流す冷却水流路用溝が形成されて」いるところ、「板材18」は、「一対の冷却水用マニホルド孔19」を有している。
そうすると、引用発明において、「導電性セパレータ11の燃料ガス流路16aが形成された面と反対側の面」に、「冷却水を流す冷却水流路用溝」が形成されている場合が必ずあり、そして、この場合、当該「反対側の面」は、反応流体を受け取る流路面とはならないから、本願発明の「不反応面」に相当する。
したがって、相違点1は、実質的な相違点ではない。

(2) 相違点2について
上記第5 2の記載から、刊行物2には、燃料電池のセパレータにおける、流路溝のマニホールドとの連結において、流路溝から燃料ガスの流入方向と流出方向に向かって傾斜を設けることによって、燃料ガスをスムーズに導入又は排出できることが記載されている。
そして、引用発明においても、「ガス流路用溝17」の端部で燃料ガスがスムーズに流れた方が良いことは、当業者にとって自明の事項であるから、引用発明に、刊行物2に記載された構成を採用することによって、「ガス流路用溝17」における「一対の燃料ガス用マニホルド孔12a」との連結部分において、「ガス流路用溝17」から燃料ガスの流入方向と流出方向に向かって傾斜を設けることによって、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

(3) 相違点3について
ア まず、本願発明における「略7字形」とは、「ケース流路部品」のどの部分の形状を特定しているのか必ずしも明確とはいえないので、本願当初明細書等を参照するに、明細書段落【0020】の「本発明の設計はケース流路部品40を取付けた燃料電池流路板30とされる。図4に示されるように、該ケース流路部品40は略U形或いは7形とされ、平行な第1板401と第2板403を具え、該第1板401と該第2板403の間は連接板402により連接されている。」との記載、図面の簡単な説明の欄の、同段落【0035】の「【図4】本発明のケース流路部品の立体図である。」「【図8】本発明のケース流路部品具備の燃料電池流路板の第1変化例の部分断面図である。」との記載、図4及び図8の図示から、本願発明における「略7字形」とは、「ケース流路部品」における、ケース流路部品を流路板にはめ込む方向に平行であって、かつ、流路板の流路面に垂直な断面(刊行物1の「断面」に相当)形状を特定しているものと認められる。

イ 以上を踏まえて検討するに、刊行物1の段落【0019】には、カバープレート13の断面形状について、「ここでは、断面が凹型のカバープレートを例にとって説明したが、マニホルド孔隣接部15を挟み込むことが可能な形状であれば、カバープレートの形状は特に限定されない。」と記載されており、カバープレートが、マニホルド孔隣接部を挟み込むことが可能であれば、その形状は特に限定されないとの技術思想が開示されているといえる。また、刊行物1の図2において、「一対の支持部材21」は、平行になっていることが見て取れる。
そうすると、引用発明において、凹型における一対の支持部材のうち、一方の長さを他方の長さよりも長くすること、すなわち、略7字形を呈する断面形状とすること、及び、一対の支持部材21を平行にすることは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る設計事項にすぎない。

ウ 以上から、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

(4) 相違点4について
ア 本願発明の「第2板」は、「L形板体とされ」ているところ、「L形」とは、どの部分の形状を特定しているのか必ずしも明確とはいえないので、本願当初明細書等を参酌するに、明細書段落【0028】の「 図8は図7の変化例であり、図7との異なるところは、該第2板403がL形板とされ、その形状は流路板30の不反応面308に設置された溝502に合わせたものとされ、これにより図8では該第2板403は流路板30に嵌め込まれ並びにそれと緊密に接触、結合される。」との記載、及び図8の記載から、「L形」とは、「第2板」の断面形状を特定しているものと認められる。

イ 以上を踏まえて検討するに、引用発明において、カバープレート13に形成するリブは、マニホルド孔隣接部15に形成した溝と係合するものであるから、カバープレート13からマニホルド孔隣接部15に向かって突出している突起であるといえる。
そして、上記(2)のとおり、引用発明の「板材18」の「MEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」には、「燃料ガスを供給し、生成ガスを排出する燃料ガス流路16a」が設けられているから、この面にリブと係合させる溝を形成すると、リブによって溝の一部又は全部が塞がれて、燃料ガスが流れにくくなるものと認められる。
そうすると、引用発明において、「前記マニホルド孔隣接部15に溝を形成し、前記カバープレート13に前記溝と係合するリブを形成して、双方をはめ合わせて固定」する構成とするには、「板材18」の「燃料ガス流路16a」が形成されている面とは反対側の面、すなわち、「板材18」の「MEA(電解質膜電極接合体)と接触する面」とは反対側の面に溝を形成し、この面に接する、他方の「支持部材21」にリブを形成するのが自然である。
ここで、他方の「支持部材21」に形成するリブの配置については、カバープレート13の着脱の容易性、装着時の安定性等を考慮して適宜配置するものであるから、他方の「支持部材21」の端部全域に渡ってリブを配置して、L形の断面形状とすること、すなわち、他方の「支持部材21」をL形板体とすることは、当業者であれば適宜なし得る設計事項である。

ウ 以上から、引用発明において、相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

(5) そして、本願発明の効果も、引用発明及び刊行物2に記載された事項が有する効果の総和を超えるものではなく、当業者が予測し得る範囲のものである。

(6) したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、その余の請求項について判断するまでもなく、原査定の理由により拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-13 
結審通知日 2014-05-20 
審決日 2014-06-02 
出願番号 特願2008-306144(P2008-306144)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H01M)
P 1 8・ 573- Z (H01M)
P 1 8・ 574- Z (H01M)
P 1 8・ 571- Z (H01M)
P 1 8・ 121- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡部 朋也  
特許庁審判長 木村 孔一
特許庁審判官 河本 充雄
小川 進
発明の名称 ケース流路部品具備の燃料電池流路板  
代理人 あいわ特許業務法人  
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