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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1293119
審判番号 不服2013-23622  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-02 
確定日 2014-10-24 
事件の表示 特願2006-138575「半透過型液晶表示装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月29日出願公開、特開2007-310112〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成18年5月18日の出願であって、平成23年10月3日、及び平成24年11月26日に手続補正がなされ、平成25年8月27日付けで前記平成24年11月26日の手続補正は却下されると同時に拒絶の査定がなされ、これに対し、同年12月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

2.平成25年12月2日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「略一定の間隔をもって対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶層と、
前記第1基板上で複数の画素領域の各々に対して形成されたスイッチング素子と、
前記第1基板上で前記スイッチング素子を覆うように形成された層間絶縁膜とを備え、
前記画素領域の各々は透過領域と反射領域に分割されていて、前記透過領域では前記層間絶縁膜上に透過電極が形成され、前記反射領域では前記層間絶縁膜上に反射電極が形成されている半透過型液晶表示装置において、
前記層間絶縁膜が、その表面において、前記画素領域の各々における前記透過領域と前記反射領域との間に段差を有しており、
前記反射領域において、前記層間絶縁膜は、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有していると共に、前記スイッチング素子に達し、階段状の側面を有するコンタクトホールを有しており、
前記透過電極が、前記層間絶縁膜の表面上で前記コンタクトホールまで延在していると共に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続されており、
前記反射電極が、前記透過電極の前記反射領域に属する部分を除いて前記層間絶縁膜上に直接形成されていると共に、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねられており、
前記反射電極と前記透過電極が、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置。」
と補正された。(下線は審決で付した。以下同じ。)
上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「コンタクトホール」に関し、「階段状の側面を有する」と限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、前記に記載された事項により特定されるところ、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された「特開2004-20907号公報 」(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
・「本発明を適用した反射透過併用型の液晶表示装置におけるTFT基板1の平面構造を図1に示すと、このTFT基板1には、後述するTFTによって制御される複数の画素2がマトリクス状に配設されるとともに、これら画素2の周縁部と部分的に重なるように、TFTに走査信号を供給するためのゲート線3と、TFTに表示信号を供給するための信号線4とが互いに直交するように設けられている。」(段落【0025】)
・「画素2には、反射表示を行うための反射表示領域Aと、透過表示を行うための透過表示領域Bとが設けられている。図1に示す液晶表示装置においては、透過表示の表示品質向上を図るために、透過表示に寄与する透過表示領域を従来に比べて広く確保した構造をとる。すなわち、従来の液晶表示装置では反射表示領域Aに周囲を囲まれた状態で透過表示領域Bが設けられるが、本発明の液晶表示装置は、画素2を一方向(ここでは信号線4方向)で分割するように透過表示領域Bと反射表示領域Aとが設けられており、画素2における反射表示領域Aと透過表示領域Bとの境界線が1つとされる。すなわち、本発明の液晶表示装置は、透過表示領域Bと隣接する信号線4との間、及び透過表示領域Bと一方のゲート線3との間に反射表示領域Aが介在しない構造とされる。」(段落【0027】)
・「次に、本発明の液晶表示装置の図1中のC-C’線における断面構造、すなわち、画素2の略中央を通り、且つ信号線4に平行な断面構造について図2を参照しながら説明する。この液晶表示装置は、先に述べたTFT基板1と、カラーフィルタ基板5とが対向して配設され、これらの間に液晶層6が挟持された構造とされる。」(段落【0028】)
・「カラーフィルタ基板5は、ガラス等からなる透明絶縁基板7のTFT基板1と対向する側の面にカラーフィルタ8と、ITO等からなる対向電極9とをこの順に有する。カラーフィルタ8は、顔料や染料によって各色に着色された樹脂層であり、例えばR,G,Bの各色のフィルタ層が組み合わされて構成されている。」(段落【0029】)
・「TFT基板1の反射表示領域Aにあっては、ガラス等の透明基材からなる透明絶縁基板12上に、画素2に表示信号を供給するためのスイッチング素子であるTFT13と、詳細を後述する何層かの絶縁膜を介してTFT13上に形成される反射凹凸形成層14と、この反射凹凸形成層14上に形成される平坦化層15aと、ITO膜16aを介して平坦化層15上に形成される反射電極17とを備えている。反射凹凸形成層14は、反射電極17に凹凸を形成して光の拡散性を持たせ、良好な画質を得るための層である。平坦化層15aは、反射凹凸形成層14による凹凸を緩和して、反射表示品質のさらなる向上を図るために設けられる層である。」(段落【0032】)
・「この図2に示すTFT13は、いわゆるボトムゲート構造であり、透明絶縁基板12上に形成されたゲート電極18と、ゲート電極18の上面に重ねられた例えば窒化シリコン膜19a及び酸化シリコン膜19bの積層膜からなるゲート絶縁膜19と、ゲート絶縁膜19上に重ねられた半導体薄膜20とを有し、半導体薄膜20の両脇がN^(+)拡散領域とされている。ゲート電極18は、ゲート線3の一部を延在させたものであり、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)等の金属又は合金がスパッタリング等の方法によって成膜されてなる。」(段落【0034】)
・「半導体薄膜20の一方のN^(+)拡散領域には、第1の層間絶縁膜21及び第2の層間絶縁膜22に形成されたコンタクトホールを介してソース電極28が接続される。ソース電極28には信号線4が接続され、データ信号が入力される。また、半導体薄膜20の他方のN^(+)拡散領域には、第1の層間絶縁膜21及び第2の層間絶縁膜22に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極29が接続される。ドレイン電極29は、接続電極と接続され、さらにコンタクト部を介して画素2と電気的に接続される。接続電極は、ゲート絶縁膜19を介してCs線23との間に補助容量Cを形成している。半導体薄膜20は、例えばCVD法等によって得られる低温ポリシリコンからなる薄膜であり、ゲート絶縁膜19を介してゲート電極18と整合する位置に形成される。」(段落【0035】)
・「本発明のTFT基板1の透過表示領域Bにおいては、反射表示領域Aを構成する膜のうち平坦化層15a及びITO膜16aの一部が、透明絶縁基板12上に延在されて絶縁平坦化層15及び透明電極16として形成されている。なお、反射表示領域Aを構成するゲート絶縁膜19、第1の層間絶縁膜21、第2の層間絶縁膜22、反射凹凸形成層14、及び反射電極17は、透過表示領域Bにおいては除去されている。」(段落【0037】)
また、上記の段落【0032】、【0034】、【0035】、【0037】、及び図2の記載から、以下の事項が示されている。
・「平坦化層15aは、その表面において、画素2の各々における透過表示領域Bと反射表示領域Aとの間に段差を有している。」
・「反射表示領域Aにおいて、平坦化層15aは、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有している。」
・「コンタクト部は、反射表示領域Aに形成されている。」
・「透明電極16が、平坦化層15aの表面上でコンタクト部ホールまで延在していると共に、前記コンタクト部を介してTFT13に電気的に接続されている。」
これらの記載事項、及び図示事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「TFT基板1と、カラーフィルタ基板5とが対向して配設され、これらの間に液晶層6が挟持された構造とされる反射透過併用型の液晶表示装置において、
TFT基板1には、TFT13によって制御される複数の画素2がマトリクス状に配設され、
画素2には、反射表示を行うための反射表示領域Aと、透過表示を行うための透過表示領域Bとが設けられており、
カラーフィルタ基板5は、透明絶縁基板7のTFT基板1と対向する側の面にカラーフィルタ8と、ITO等からなる対向電極9とをこの順に有し、
TFT基板1の反射表示領域Aにあっては、透明絶縁基板12上に、画素2に表示信号を供給するためのTFT13と、何層かの絶縁膜を介してTFT13上に形成される反射凹凸形成層14と、この反射凹凸形成層14上に形成される平坦化層15aと、ITO膜16aを介して平坦化層15上に形成される反射電極17とを備えており、
平坦化層15aは、その表面において、画素2の各々における透過表示領域Bと反射表示領域Aとの間に段差を有しており、
反射表示領域Aにおいて、平坦化層15aは、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有しており、
透明電極16が、平坦化層15aの表面上でコンタクト部ホールまで延在していると共に、前記コンタクト部を介してTFT13に電気的に接続され、
コンタクト部は、反射表示領域Aに形成され、
TFT基板1の透過表示領域Bにおいては、反射表示領域Aを構成する膜のうち平坦化層15a及びITO膜16aの一部が、透明絶縁基板12上に延在されて絶縁平坦化層15及び透明電極16として形成され、反射表示領域Aを構成するゲート絶縁膜19、第1の層間絶縁膜21、第2の層間絶縁膜22、反射凹凸形成層14、及び反射電極17は、透過表示領域Bにおいては除去されている反射透過併用型の液晶表示装置。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
後者における「透明絶縁基板12」は、その機能、作用等からみて、前者における「第1基板」に相当し、以下同様に、「透明絶縁基板7」は「第2基板」に、「液晶層6」は「液晶層」に、「『TFT13』、及び『ドレイン電極29』」は「スイッチング素子」に、「『平坦化層15a』、及び『絶縁平坦化層15』」は「層間絶縁膜」に、「透過表示領域B」は「透過領域」に、「反射表示領域A」は「反射領域」に、「『ITO膜16a』、及び『透明電極16』」は「透過電極」に、「反射電極17」は「反射電極」に、「コンタクト部」は「コンタクトホール」に、「反射透過併用型の液晶表示装置」は「半透過型液晶表示装置」に、それぞれ相当する。
また、後者は、透明絶縁基板12を備えたTFT基板1と、透明絶縁基板7を備えたカラーフィルタ基板5とが対向して配設され、これらの間に液晶層6が挟持された構造であるから、「透明絶縁基板12及び透明絶縁基板7は、略一定の間隔をもって対向して配置される」といえ、「液晶層6は、透明絶縁基板12及び透明絶縁基板7の間に配置された」といえる。
また、後者は、画素2には、反射表示を行うための反射表示領域Aが設けられており、TFT基板1の反射表示領域Aにあっては、透明絶縁基板12上に、画素2に表示信号を供給するためのTFT13を備えているから、「透明絶縁基板12上で複数の画素領域の各々に対して形成されたTFT13を備えている」といえる。
また、後者は、透明絶縁基板12上に、画素2に表示信号を供給するためのTFT13と、何層かの絶縁膜を介してTFT13上に形成される反射凹凸形成層14と、この反射凹凸形成層14上に形成される平坦化層15aとを備えているから、「透明絶縁基板12上でTFT13を覆うように形成された平坦化層15aとを備えている」といえる。
また、後者は、画素2には、反射表示を行うための反射表示領域Aと、透過表示を行うための透過表示領域Bとが設けられており、TFT基板1の反射表示領域Aにあっては、透明絶縁基板12上に、画素2に表示信号を供給するためのTFT13と、何層かの絶縁膜を介してTFT13上に形成される反射凹凸形成層14と、この反射凹凸形成層14上に形成される平坦化層15aと、ITO膜16aを介して平坦化層15上に形成される反射電極17とを備えており、TFT基板1の透過表示領域Bにおいては、反射表示領域Aを構成する膜のうち平坦化層15a及びITO膜16aの一部が、透明絶縁基板12上に延在されて絶縁平坦化層15及び透明電極16として形成され、反射表示領域Aを構成するゲート絶縁膜19、第1の層間絶縁膜21、第2の層間絶縁膜22、反射凹凸形成層14、及び反射電極17は、透過表示領域Bにおいては除去されているから、「画素領域の各々は透過表示領域Bと反射表示領域Aに分割されていて、前記透過表示領域Bでは絶縁平坦化層15上に透明電極16が形成され、前記反射表示領域A反射領域では平坦化層15a上に反射電極17が形成されている」といえる。
また、後者は、反射表示領域Aにあっては、ITO膜16aを介して平坦化層15上に形成される反射電極17とを備えているから、「反射電極17が、ITO膜16aの反射表示領域Aに属する部分上に直接重ねられており、前記反射電極17と前記ITO膜16aが、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されている」といえる。
したがって、両者は、
「略一定の間隔をもって対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶層と、
前記第1基板上で複数の画素領域の各々に対して形成されたスイッチング素子と、
前記第1基板上で前記スイッチング素子を覆うように形成された層間絶縁膜とを備え、
前記画素領域の各々は透過領域と反射領域に分割されていて、前記透過領域では前記層間絶縁膜上に透過電極が形成され、前記反射領域では前記層間絶縁膜上に反射電極が形成されている半透過型液晶表示装置において、
前記層間絶縁膜が、その表面において、前記画素領域の各々における前記透過領域と前記反射領域との間に段差を有しており、
前記反射領域において、前記層間絶縁膜は、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有していると共に、前記スイッチング素子に達するコンタクトホールを有しており、
前記透過電極が、前記層間絶縁膜の表面上で前記コンタクトホールまで延在していると共に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続されており、
前記反射電極が、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねられており、
前記反射電極と前記透過電極が、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
コンタクトホールが、本願補正発明は、「階段状の側面を有する」のに対し、引用発明は、そのようなものではない点。
[相違点2]
反射電極が、本願補正発明は、「透過電極の反射領域に属する部分を除いて層間絶縁膜上に直接形成されている」のに対し、引用発明は、そのようなものでない点。

(4)判断
上記相違点について以下検討する。
ア.相違点1について
一般に液晶表示装置において、コンタクトホールにおける電極の接続を良好とするために、コンタクトホールを階段状の側面を有するものとすることは、本願の出願時点で周知の技術事項(例えば、特開平11-52419号公報の【0065】、及び図3(b)、並びに特開昭62-14622号公報の第5頁左上欄第11?15行参照。)である。
そして、引用発明と上記周知の技術事項とは、液晶表示装置という共通の技術分野に属するものである。また、引用発明においても、当然コンタクトホールにおける電極の接続を良好にしなければならないことであるから、コンタクトホールにおける電極の接続を良好とすることは、内在する自明の課題である。
してみると、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することにより、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ.相違点2について
一般に半透過型液晶表示装置において、反射電極が、透過電極の反射領域に属する部分を除いて層間絶縁膜上に直接形成されると共に、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねることは、本願の出願時点で常套手段である(例えば、特開2004-212532号公報の段落【0032】、【0033】、【0042】、及び図7、並びに特開2005-258410号公報の段落【0015】?【0018】、【0028】、及び図4、7、8参照。)。
そして、引用発明と上記常套手段とは、半透過型液晶表示装置という共通の技術分野に属するものであり、また、引用発明において、反射電極17を平坦化層15a上に形成する場合、平坦化層15aに直接成形するか否かのいずれかであって、そのいずれを選択するかは当業者が当該引用発明を実施する際に適宜定めるべき設計的事項であるところ、本願明細書をみても、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項に格別の技術的意義があるものとは認められない。
してみると、引用発明に上記常套手段を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明において、上記常套手段を適用することにより、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願補正発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明、上記周知の技術事項、及び上記常套手段から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願補正発明は、引用発明、上記周知の技術事項、及び上記常套手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願の発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年10月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「略一定の間隔をもって対向して配置される第1基板及び第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶層と、
前記第1基板上で複数の画素領域の各々に対して形成されたスイッチング素子と、
前記第1基板上で前記スイッチング素子を覆うように形成された層間絶縁膜とを備え、
前記画素領域の各々は透過領域と反射領域に分割されていて、前記透過領域では前記層間絶縁膜上に透過電極が形成され、前記反射領域では前記層間絶縁膜上に反射電極が形成されている半透過型液晶表示装置において、
前記層間絶縁膜が、その表面において、前記画素領域の各々における前記透過領域と前記反射領域との間に段差を有しており、
前記反射領域において、前記層間絶縁膜は、その表面に光反射効果を高めるための凹凸を有していると共に、前記スイッチング素子に達するコンタクトホールを有しており、
前記透過電極が、前記層間絶縁膜の表面上で前記コンタクトホールまで延在していると共に、前記コンタクトホールを介して前記スイッチング素子に電気的に接続されており、
前記反射電極が、前記透過電極の前記反射領域に属する部分を除いて前記層間絶縁膜上に直接形成されていると共に、前記透過電極の前記反射領域に属する部分上に直接重ねられており、
前記反射電極と前記透過電極が、それらの重なり合った部分で相互に電気的に接続されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は、上記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、実質的に上記「2.(1)補正後の本願の発明」で検討した本願補正発明の「コンタクトホール」に関し、「階段状の側面を有する」との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明と引用発明とを対比した場合の相違点は、上記「2.(3)対比」で挙げた相違点2のみとなるから、上記「2.(4)判断」における検討内容を踏まえれば、本願発明は、引用発明、及び上記常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、及び上記常套手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-08-28 
結審通知日 2014-08-29 
審決日 2014-09-09 
出願番号 特願2006-138575(P2006-138575)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 磯野 光司  
特許庁審判長 江成 克己
特許庁審判官 畑井 順一
黒瀬 雅一
発明の名称 半透過型液晶表示装置及びその製造方法  
代理人 浜田 治雄  

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