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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C07C
管理番号 1293133
審判番号 不服2013-4298  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-05 
確定日 2014-10-20 
事件の表示 特願2004-554088「抗腫瘍特性を有する1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンおよび誘導体の新規な製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月10日国際公開、WO2004/047716、平成18年 3月 9日国内公表、特表2006-508149〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

この出願は,2003年11月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年11月28日ブラジル(BR))を国際出願日とする出願であって,以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成22年 6月 3日付け 拒絶理由通知書
平成22年10月14日 意見書・手続補正書
平成23年 9月26日付け 拒絶理由通知書
平成24年 2月 3日 意見書・手続補正書
平成24年10月30日付け 拒絶査定
平成25年 3月 5日 審判請求書・手続補正書
平成25年 4月 9日 手続補正書(方式)
平成25年 9月11日付け 審尋
平成26年 3月17日 回答書

第2 平成25年3月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成25年3月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正

平成25年3月5日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,本件補正前の請求項11ないし41を削除し,補正後の請求項11を追加すると共に,これらに伴い補正前の請求項42ないし44につき,請求項番号を繰り上げ,請求項引用箇所の記載を整合させたものである。

具体的には,
「【請求項11】請求項1?10のいずれかに記載の製造方法により調製された,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンである化合物。」を追加し,

本件補正前の「【請求項44】治療有効量の請求項1-38のいずれかに記載の方法によって得られる化合物または請求項39-41のいずれかに記載の1種以上の化合物ならびに1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物。」を,
「【請求項14】治療有効量の請求項1-10のいずれかに記載の方法によって得られた化合物ならびに1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物。」とする補正を含むものである。なお,下線は補正箇所を示す。

2 本件補正の適否

(1)目的外補正について

補正後の請求項11は,「請求項1?10のいずれかに記載の製造方法により調製された,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンである化合物」を発明特定事項とするものであるが,補正前の特許請求の範囲には,「1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンである化合物」を発明特定事項とする請求項は存在しておらず,補正後の請求項11は,補正前の特許請求の範囲を減縮したものとは認められない。

そうすると,補正後の請求項11についての補正は,請求項を追加する補正であり,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項各号に規定する,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明のいずれの事項を目的とするものでない。

したがって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に規定する要件を満たしておらず,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件違反について

本件補正が平成18年改正前特許法第17条の2第4項各号に規定する要件を満たしていないことは上述のとおりであるが,本件補正の内,補正前の請求項44についてする補正は,請求項44に記載した発明を特定するために必要と認める事項である「化合物」を,「請求項1-38のいずれかに記載の方法によって得られる化合物または請求項39-41のいずれかに記載の1種以上の」化合物,すなわち,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス[3-メトキシ-4-(3-メチル-ブト-2-エニルオキシ)フェニル]ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-イリデン-マロニトリルまたは1,5-ビス(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの1種以上の化合物から,「請求項1-10のいずれかに記載の方法によって得られた」化合物,すなわち,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンに限定するものである。
そして,その補正前の請求項44に記載された発明と補正後の請求項14に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の前記請求項14に記載されている事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という。なお,本件補正後の明細書を,以下,「本願補正明細書」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについても,以下検討する。

(2-1)本願補正発明

本願補正発明は,請求項1ないし10を引用して特定されていることから,請求項1の記載を踏まえて書き下すと,本願補正発明は以下のとおりである。

「治療有効量の,超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られた化合物ならびに1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物。」

(2-2)刊行物及びその記載事項

ア 刊行物

Cancer Letters,Vol.97,(1995),p.33-37(原査定における引用文献1。以下,「刊行物1」という。)

イ 刊行物の記載事項

本願優先日前に頒布された刊行物である刊行物1には,以下の事項が記載されている。なお,刊行物1につき提示した翻訳は,当審の訳である。

1a「Anticancer and antioxidant activity of synthetic chalcones and related compounds」(33頁 標題)
(翻訳)「合成カルコン類及び関連化合物の抗癌及び抗酸化活性」

1b「Abstract
Nineteen synthetic chalcones and ten structurally related compounds were investigated for their cytotoxic, tumour reducing and antioxidant activities. Methyl and hydroxyl substituted chalcones were found to be cytotoxic in vitro whereas only hydroxy substituted chalcones could reduce ascites tumour in animals. Although most of the compounds analysed showed antioxidant activity, hydroxy and methyl substituted compounds were found to be the most potent antioxidants.」(33頁 要約)
(翻訳)「要約
19の合成カルコン類及び10の構造的関連化合物につき,細胞毒性,腫瘍抑制及び抗酸化活性を調べた。メチル及びヒドロキシ置換カルコン類はインビトロで細胞毒性があるのに対し,ヒドロキシ置換カルコン類だけが動物において腹水腫瘍を抑制できた。分析した化合物の殆どは抗酸化活性を示したが,ヒドロキシ及びメチル置換化合物が最も強力な抗酸化物質であることが分かった。」

1c「

」(34頁 表1)
(翻訳)「表1
カルコン類及び関連化合物のインビトロ細胞毒性
化合物 R,及びR'置換基 細胞毒性(%)
番号 DLA Ehelich
・・ ・・・・・ ・・・・
30 4-OH,3-OCH_(3),4'-OH,3'-OCH_(3) 12 0
・・ ・・・・・ ・・・・
評価を,インビトロで3時間,試験化合物50μg/mlで腫瘍細胞を培養することにより産生される細胞毒性として表す。」

1d「

」(36頁 右欄 表4)
(翻訳)「表4
カルコン類及び関連化合物の抗酸化活性
化合物 50%抑制を引き起こす濃度μg/ml
番号 スーパーオキシド産生 脂質過酸化反応
・・ ・・・・・ ・・・・
30 6.7 7.2 」

(2-3)刊行物1に記載された発明

刊行物1は,「合成カルコン類及び関連化合物の抗癌及び抗酸化活性」(1a)に関し記載するものであり,刊行物の表1(1c)には,合成カルコン類及び関連化合物の一つとして,化合物30の化学構造式


」R=4-OH,3-OCH_(3),R’=4’-OH,3’-OCH_(3)が記載されており,この化学名は,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンである。
表1には,化合物30はDLA腫瘍細胞に対し12%細胞毒性があることも記載され,化合物30は腫瘍細胞に対する細胞毒性を有することが記載されているといえる。
さらに,刊行物1の表4(1d)には,カルコン類及び関連化合物の抗酸化活性について,化合物30は,スーパーオキシド産生を50%抑制する濃度が6.7μg/ml,脂質過酸化反応を50%抑制する濃度が7.2μg/mlであることが記載されており,化合物30は抗酸化活性を有することが記載されているといえる。

そうすると,刊行物1には,

「腫瘍細胞に対する細胞毒性及び抗酸化活性を有する,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン。」

の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-4)本願補正発明と引用発明との対比

本願補正発明の「超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られた化合物」について,この「超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法」によって得られる化合物は,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンであるといえる。
そうすると,本願補正発明の「超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られた化合物」と,引用発明である「腫瘍細胞に対する細胞毒性及び抗酸化活性を有する,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン」とは,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンである点で,共通する。

したがって,両者は,

「化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン。」

である点で一致し,以下の点で一応相違するといえる。

(ア) 化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンが,本願補正発明では,超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られたものであるのに対し,引用発明では,そのような製造方法によって得られたものか明らかでない点。(以下,「相違点(ア)」という。)

(イ) 化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンを,本願補正発明では,治療有効量で用い1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物としているのに対し,引用発明では,医薬組成物としていない点。(以下,「相違点(イ)」という。)

(2-5)相違点についての判断

ア 相違点について

(ア)相違点(ア)について

刊行物1には,引用発明の化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンが,どのような製造方法で製造されたのか,明記されていない。
しかしながら,製造する目的化合物が同じであれば,製造方法が異なろうと,製造して得られる化合物自体は同じである。
そうすると,引用発明の化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンがいかなる製造方法で製造されたものであろうと,得られる化合物は1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンに他ならず,他方,本願補正発明の,超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られる化合物も,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンに他ならないことから,両者に実質的な相違はない。

また,本願補正発明は「・・・を含む医薬組成物」であるから,そもそも,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン以外のものを含むものを排除していない。

さらに,製造方法の相違により,たとえ,製造された化合物の純度が相違するとしても,刊行物1は,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンを含め合成カルコン類及び関連化合物の抗癌及び抗酸化活性を調べようとするものであり(1b),通常,化合物の活性を正確に調べようとして,化合物の純度の高いものを得ようとすることは,当業者であれば当然考えることである。
そして,化合物の純度を高めるため,濾過,抽出,結晶化,カラムクロマトグラフィ等それ自体公知の精製方法を,化合物にあわせ適切に選択し組み合せて適用し,所望の純度になるよう繰り返すことは,以下に示す刊行物A,Bの記載を待つまでもなく,本願優先日前,周知技術であった。
そうすると,引用発明において,化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの抗癌及び抗酸化活性を正確に調べようと,化合物の純度の高いものを得るべく,上記周知技術を適用し純度の高い化合物を得ることは,当業者が容易になし得たことである。そして,このようにして得られた純度の高い化合物と,本願補正発明の「超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られた化合物」との間で,実質的な相違は認められない。

刊行物A:特開昭63-154658号公報
「ここに記載された化合物および中間体の単離および精製は,所望により,適当な分離または精製方法,例えば濾過,抽出,結晶化,カラムクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィーもしくは厚層クロマトグラフィー,またはこれらの方法の組合わせにより実施され得る。」(20頁右上欄5から10行)
「残留物を,第1展開としてヘキサン-酢酸エチル(80:20)を用いて繰り返し薄層クロマトグラフィーにより精製することにより,41311Fの回収出発材料および1.1449の極性の強い生成物の混合物が得られた。」(32頁左下欄9から14行)

刊行物B:特開昭63-119468号公報
「第1工程から第4工程で得られる化合物は自体公知の単離精製手段,例えば濃縮,減圧濃縮,減圧蒸留,液性変換,転溶,溶媒抽出,結晶化,再結晶,クロマトグラフィー等により単離精製することができる。」(6頁左下欄5から9行)

(イ)相違点(イ)について

引用発明の化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンは,腫瘍細胞に対する細胞毒性及び抗酸化活性を有するものである。
一般に,ある化合物が薬理学的特性を有する場合,その化合物を有効成分する医薬として用いようとし,その化合物と医薬的に許容し得る担体とを含む医薬組成物とすることは,以下に示す刊行物C,Dの記載を待つまでもなく,本願優先日前,周知技術であった。
そうすると,引用発明の化合物1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンは,腫瘍細胞に対する細胞毒性及び抗酸化活性という薬理学的特性を有するものであるから,上記周知技術を適用し,該化合物を有効成分とする医薬として用いようとし,この化合物と医薬的に許容し得る担体とを含む医薬組成物とすることは,当業者が容易になし得たことである。

刊行物C:特開平11-506733号公報
「【特許請求の範囲】
1.下記に示す化合物の安全で有効な量を含むことを特徴とする癌,腫瘍,ウイルス感染の治療に用いられる医薬組成物。(化学式省略)・・・
ここで,R1は任意に置換されたアルキル,シクロアルキル(例えば,シクロペンチルまたはシクロヘキシル),アリールまたはハロアリール(例えば,フェニルまたは2,4-ジクロロフェニル)またはアラルキル(例えば,ベンジル)であり,およびそれらの化合物の塩および金属錯体およびエーテルまたはエステル,および毒性のない,薬剤学的に許容可能な有機および無機酸両方との酸付加塩である。
2.薬剤学的に許容可能な担体および,安全で有効な量の2-(2,4-ジクロロフェニル)-1,3-ビス(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールおよびそれに相応する2-および4-クロロフェニル類似体および2,4-ジフルオロフェニル類似体,および2-(2,4-ジフルオロフェニル)-1,3-ビス(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)プロパン-2-オールおよび薬剤学的に許容可能な有機および無機酸両方との酸付加塩からなる群から選ばれる1,3-ビス-トリアゾリル-2-プロパノールとを含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。」

刊行物D:特開平10-330355号公報
「【請求項5】 請求項1又は2記載の一般式(I) を有する少なくとも1種の有機セレン化合物,又はその医薬として許容できる酸性又は塩基性の塩の1種を,活性成分として含み,任意に医薬として許容できる賦形剤,担体又は溶剤に混合されることを特徴とする,抗酸化活性を著しく有する,医薬組成物。」

イ 本願補正発明の効果について

本願補正発明の効果は,刊行物1の記載事項及び本願優先日前の周知技術から予測される範囲内のものであり,格別顕著なものではない。

(2-6)独立特許要件のまとめ

したがって,本願補正発明は,その優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明及び本願優先日前の周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,請求項14についての補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しない。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり,本件補正は,請求項11についての補正が,平成18年改正前特許法第17条の2第4項の規定に違反し,また,請求項14についての補正が,同法第126条第5項の規定に適合しないから,本件補正は,その余の点を検討するまでもなく,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

平成25年3月5日付けの手続補正は,上記のとおり却下されることとなったので,この出願の請求項1ないし44に係る発明は,平成24年2月3日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて,特許請求の範囲の請求項1ないし44に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,その請求項44に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,引用して特定される請求項1の記載を踏まえて書き下すと,次のとおりのものである。

「治療有効量の,超音波照射下でバニリンおよびアセトンを接触させることを含む1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの製造方法によって得られる化合物または請求項39-41のいずれかに記載の1種以上の化合物ならびに1種以上の医薬的に許容しうる担体を含む医薬組成物。」

2 原査定の拒絶の理由の概要

本願発明についての原査定の拒絶の理由の概要は,本願発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものを含むものである。

Cancer Letters,Vol.97,(1995),p.33-37(「第2 2(2)(2-2)ア」に示した刊行物1と同じ)以下,この刊行物を「刊行物1」と続けて用いる。

3 刊行物の記載事項

前記「第2 2(2)(2-2)イ」に記載したとおりである。

4 刊行物1に記載された発明

前記「第2 2(2)(2-3)」に記載したとおりである。

5 対比・判断

本願発明は,上記「第2 2(2)(2-4),(2-5)」で検討した本願補正発明における「請求項1-10のいずれかに記載の方法によって得られた化合物」すなわち1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンも含まれる,「請求項1-38のいずれかに記載の方法によって得られる化合物または請求項39-41のいずれかに記載の1種以上の化合物」すなわち1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス[3-メトキシ-4-(3-メチル-ブト-2-エニルオキシ)フェニル]ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オン,1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-イリデン-マロニトリルまたは1,5-ビス(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンの1種以上の化合物とする発明であるから,本願補正発明を包含する発明である。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を減縮したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 2(2)(2-4),(2-5)」に記載したとおり,この優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,この優先日前に頒布された刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり,本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余について言及するまでもなく,この出願は,拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-29 
結審通知日 2014-05-30 
審決日 2014-06-10 
出願番号 特願2004-554088(P2004-554088)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (C07C)
P 1 8・ 537- Z (C07C)
P 1 8・ 113- Z (C07C)
P 1 8・ 121- Z (C07C)
P 1 8・ 575- Z (C07C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉江 渉岡山 太一郎野口 勝彦  
特許庁審判長 井上 雅博
特許庁審判官 門前 浩一
齊藤 真由美
発明の名称 抗腫瘍特性を有する1,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-ペンタ-1,4-ジエン-3-オンおよび誘導体の新規な製造方法  
代理人 品川 永敏  
代理人 田村 恭生  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 呉 英燦  
代理人 鮫島 睦  
代理人 新田 昌宏  
代理人 大貫 敏史  

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