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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1293448
審判番号 不服2013-2860  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-02-13 
確定日 2014-10-29 
事件の表示 特願2007-276624「映像処理方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 5月22日出願公開、特開2008-116941〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は,平成19年10月24日(パリ条約による優先権主張2006年10月25日,大韓民国)の出願であって,特許請求の範囲について平成24年8月31日付けで補正がなされ,同年10月10日付け(送達:同年同月16日)で拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年2月13日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。
その後,当審より,平成25年9月2日付け審尋書により審尋をしたところ,同年12月3日付け回答書の提出があった。

2.補正却下の決定
本件補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲の請求項1を,次のとおり補正するものである。
(補正前)
「入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する段階,および,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数と,前記入力映像を構成するピクセルの位置とに応じて前記入力映像の輝度を調節する段階を含む,
映像処理方法。」
(補正後)
「入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する段階,および,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数と,前記入力映像を構成するピクセルの位置とに応じて前記入力映像の輝度を調節する段階を含み,
前記複数の階調写像関数のそれぞれは,前記入力映像を表示するディスプレイ装置の少なくとも1つの電力減少率に対応して予め設けられる,
映像処理方法。」(下線は,補正箇所。)

(2)補正の適否
まず,本件補正後の請求項1における「前記複数の階調写像関数のそれぞれは,前記入力映像を表示するディスプレイ装置の少なくとも1つの電力減少率に対応して予め設けられる」との事項(以下,「補正事項」という。)が,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるか否かについて検討する。
上記補正事項中の「少なくとも1つの電力減少率」が,「1つの電力減少率」以外にも「複数(2つ以上)の電力減少率」を包含することは明らかであるから,上記補正事項は,複数の階調写像関数のそれぞれ(例えば,図6に記載された6つの階調写像関数)が電力減少率の数だけ(例えば,2つの電力減少率の場合には12の階調写像関数が)設けられているとの技術事項を含んでいる。
一方,上記補正事項の根拠として請求人は,審判請求書において,「なお,上記補正は,例えば本願明細書の段落0035?0036の記載等に基づくものです。」(3頁9?10行)と主張しているところ,該段落0035?0036の記載は次のとおりである。
「【0035】
再び図1を参照すれば,輝度調節部120は電力モードおよび入力映像が属する映像範疇に応じて入力映像の輝度を調節する。ここで,電力モードは映像処理装置100が適用されるディスプレイ装置の電力消耗の程度を示す。例えば,正常電力モードはディスプレイ装置が最大電力を使用していることを示し,低電力モードはディスプレイ装置が一定水準で消費電力を減少したことを表すことができる。もちろん,電力減少率に応じて低電力モードも多段階の電力モードで区分することができる。例えば,電力減少率が30%である場合を第1低電力モードにし,電力減少率が60%である場合を第2低電力モードにすることができる。
【0036】
輝度調節部120は,低電力モードにおける効果的な映像再現のために,入力映像が属する映像範疇に対応する階調写像関数(Tone Mapping Function;TMF)を使用できる。TMFは,低電力モードで各映像範疇に属する映像の輝度を調節するための最適化されたパターンを示す関数であって,入力輝度値に対応する出力輝度値を提供する。TMFは,事前実験によって輝度調節部120に設定され得る。」
上記段落0035?0036の記載を検討するに,低電力モードを多段階として電力減少率を複数設けることは記載されているものの,階調写像関数(TMF)を多段階の低電力モードに応じて複数設けることまでが記載または示唆されているとは認められない。
また,本願明細書の他の記載を参酌しても同様である。
してみると,「前記複数の階調写像関数のそれぞれは,前記入力映像を表示するディスプレイ装置の少なくとも1つの電力減少率に対応して予め設けられる」と補正することは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものである。

(3)まとめ
以上のとおり,本件補正は,当初明細書等の記載の範囲内においてしたものではない。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成24年8月31日付けで補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ,その請求項1に係る発明は次のとおりである。
「入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する段階,および,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数と,前記入力映像を構成するピクセルの位置とに応じて前記入力映像の輝度を調節する段階を含む,
映像処理方法。」(以下,「本願発明」という。)

(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,概略,本願発明は,優先日前に国内又は外国において頒布された刊行物である引用例1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた,というものである。

(3)引用例記載の事項・引用発明
A.引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先日前に国内又は外国において頒布された刊行物である特開2006-146178号公報(発明の名称:適応コントラスト向上のための伝達曲線の発生方法 出願人:ジェネシス・マイクロチップ・インコーポレーテッド 公開日:平成18年6月8日,以下,「引用例1」という。)には,次の事項(a)ないし(c)が図面とともに記載されている。
(a)「【0008】
液晶ディスプレイ(LCD)ベースのディスプレイまたは陰極線管(CRT)ベースのディスプレイのようなディジタルディスプレイ装置が入力画像を受け取るとき,見るために画像が表示される前に,入力画像のコントラストを向上させることが望ましい。適応コントラスト向上とは,出力画像のコントラストを向上させるために,入力画像の輝度スペクトルを分析し,特定の輝度範囲における輝度を増加または減少させる一般的なアプローチを指す。これを達成するために,まず,入力輝度範囲にわたって分布する輝度レベル(輝度スペクトル)に対応するピクセルの個数を数えることによって,その入力画像について輝度ヒストグラムが構築される。それから,出力輝度レベルが伝達曲線に従ってアサインされ,ここで伝達曲線は,入力輝度レベルおよび出力輝度レベル間のマッピングである。」(段落【0008】)

(b)「【0012】
以下の記載において,画像を分類するために3つの輝度範囲が用いられる。すなわち,低輝度,中輝度,および高輝度である。図1cは,本発明のある実施形態による3つの例示的輝度範囲11,12および13を示す。輝度範囲群はユーザ定義可能であり,スムーズなコントラスト向上を図るために重複されえる。例として,0%から40%の低輝度範囲,20%から70%の中輝度範囲,および60%から100%の高輝度範囲がうまく働くことが判った。輝度範囲群が具体的に選択されると,画像はそれから,もしその画像ピクセルの「ほとんど」が対応する輝度範囲に入るなら,低輝度(つまり低明度),中輝度(つまり中間明度),または高輝度(つまり高明度)として記述され,ここで「ほとんど」とは,所定のスレッショルドの割合によって定量化される。例として,約50%から95%の範囲にあるスレッショルドの割合がうまく働くと判った。例えば,0%から40%の低輝度範囲,および70%に設定されたスレッショルド割合が与えられると,そのピクセルの少なくとも70%が0%から40%の輝度範囲にある画像は,低輝度画像として認められる。実験により,改善されるべき特定の画像群の集合について,輝度範囲およびスレッショルド割合の最適化が可能になる。」(段落【0012】)

(c)「【0020】
図5は,本発明のある実施形態による画像のコントラストを適応的に向上させる方法を示すフローチャートである。まず,輝度ヒストグラムが入力画像について構築される(101)。もし大部分のピクセルが低輝度を有するとヒストグラムが示す(102)なら,図2bで示される伝達曲線のような,画像中の高輝度ピクセルの輝度を増し(103),かつ画像中の中輝度および低輝度ピクセルを実質的に変えない伝達曲線が用いられる。そうでない場合,もし大部分のピクセルが高輝度を有するとヒストグラムが示す(104)なら,図3bで示される伝達曲線のような,画像中の低輝度ピクセルの輝度を減らし(105),かつ画像中の高輝度および中輝度ピクセルを実質的に変えない伝達曲線が用いられる。そうでない場合,もし大部分のピクセルが中輝度を有するとヒストグラムが示す(106)なら,図4bで示される伝達曲線のような,高輝度ピクセルの輝度を増し(107),低輝度ピクセルの輝度を減らし,かつ画像中の中輝度ピクセルの輝度を実質的に変えない伝達曲線が用いられる。もし入力画像が低輝度,高輝度または中輝度の3つのカテゴリーに入らないなら,入力画像ピクセルの輝度レベルは,変化されない(108)。
【0021】
本発明のある有利な局面は,大きく改善された画像コントラストである。出力画像の平均明度は,わずかに低くなりえるが,出力画像は目にはより鮮明に映る。輝度を増すときに,大部分が暗い画像中の明るいピクセルに焦点を合わせることは,明るいピクセルの過補償を可能にする。これは,少数の明るいピクセルによって表される比較的小さい画像領域に限定された,細部のロスにつながりえるが,その結果は,改善されたコントラストを持つ画像となる。たいていの応用例において,特に動く画像(ビデオストリームのような)において,そのような細部のロスは目に付かないので,改善された画像コントラストとトレードオフにされえる。同様に,大部分が明るい画像中のより暗いピクセルの輝度レベルを減らすことは,暗いピクセルによって表される小さい領域に限定された,細部の小さなロスにつながりえるが,そのような暗いピクセルの抑圧は,改善された画像コントラストを生む。」(段落【0020】?【0021】)

上記記載(b)及び【図1c】より,
ア 「入力画像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力画像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表すカテゴリーのうちの所定のカテゴリーに分類する段階」との技術事項が読み取れる。
上記記載(c)及び【図5】より,
イ 「それぞれの伝達曲線が前記入力画像を入力して出力画像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表すカテゴリーのそれぞれに対応する複数の伝達曲線のうち,前記所定のカテゴリーに対応する伝達曲線に応じて前記入力画像の輝度レベルを変化させる段階」との技術事項が読み取れる。
上記記載(a)より,引用例1記載の方法は,「画像の適応コントラスト向上のための方法」と言える。

以上を総合勘案すると,引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「入力画像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力画像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表すカテゴリーのうちの所定のカテゴリーに分類する段階,及び,
それぞれの伝達曲線が前記入力画像を入力して出力画像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表すカテゴリーのそれぞれに対応する複数の伝達曲線のうち,前記所定のカテゴリーに対応する伝達曲線に応じて前記入力画像の輝度レベルを変化させる段階を含む,
画像の適応コントラスト向上のための方法。」(以下,「引用発明1」という。)

B.引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先日前に国内又は外国において頒布された刊行物である特開2005-77638号公報(発明の名称:映像表示装置,投射型表示装置 出願人:セイコーエプソン株式会社 公開日:平成17年3月24日,以下,「引用例2」という。)には,次の事項(a)が図面とともに記載されている。

(a)「【0006】
すなわち,上記の目的を達成するために,本発明の映像表示装置は,信号処理によって映像の階調を変調可能な信号処理手段を備え,上記信号処理手段は,画面中央部と画面周辺部で映像の変調量(即ち,画像処理の程度)を異ならせることを特徴とする。
本構成によれば,画面中央部では画質を優先し,画面周辺部では画質よりも明るさ調節に重きをおいて画像処理を行なうなど,画像処理にメリハリをつけることで,映像の明るさと映像の再現性の双方を最適に調節することができる。具体的には,画面中央部に比べて画面周辺部の映像を大きく変調することで,視聴者にとって主だった情報を高い再現性で表現するとともに,画面の明るさ感を簡単に調節することができる。この場合,画面全体としての映像の連続性を確保するために,上記信号処理手段は,上記映像の変調量を画面内で略連続的に変化させることが望ましい。」(段落【0006】)
上記記載(a)及び【図5】,【図6】を総合勘案すると,引用例2には次の発明が記載されているものと認められる。

「入力映像を構成するピクセルの位置に応じて前記入力映像の輝度を調節する映像処理方法。」(以下,「引用発明2」という。)

(4)対比
本願発明と引用発明1とを,主たる構成要件毎に順次対比する。
引用発明1における「入力画像」,「カテゴリー」,「伝達曲線」,「出力画像」,「輝度レベルを変化させる」は,本願発明の「入力映像」,「映像範疇」,「階調写像関数」,「出力映像」,「輝度を調節する」にそれぞれ相当する。
引用発明1の「画像の適応コントラスト向上のための方法」は,入力画像の輝度レベルを変化させる処理を行う方法であって「映像処理方法」と言い得るものである。
してみると,両者の一致点及び相違点は,以下のとおりである。

(一致点)
「入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する段階,及び,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数に応じて前記入力映像の輝度を調節する段階を含む,
映像処理方法。」

(相違点)
「入力映像の輝度を調節する段階」に関し,本願発明では階調写像関数と「入力映像を構成するピクセルの位置」とに応じて調節するのに対し,引用発明1では階調写像関数(伝達曲線)に応じて調節するにとどまる点。

(5)判断
上記相違点について検討する。
まず,「(3)引用例記載の事項・引用発明」の「B.引用例2」に記したように,引用例2には,「入力映像を構成するピクセルの位置に応じて前記入力映像の輝度を調節する映像処理方法。」なる引用発明2が記載されており,さらに,そのような輝度調整による作用効果に関して「画面中央部では画質を優先し,画面周辺部では画質よりも明るさ調節に重きをおいて画像処理を行なうなど,画像処理にメリハリをつけることで,映像の明るさと映像の再現性の双方を最適に調節することができる。具体的には,画面中央部に比べて画面周辺部の映像を大きく変調することで,視聴者にとって主だった情報を高い再現性で表現するとともに,画面の明るさ感を簡単に調節することができる。」(段落【0006】)と記載されている。
そうすると,引用発明1においても同様の作用効果を得るために引用発明2を適用して,本願発明のように,入力映像の輝度を調節する際に,階調写像関数(伝達曲線)と「入力映像を構成するピクセルの位置」とに応じて調節するようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明1,2から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

(6)回答書の補正案について
なお,請求人は,前記平成25年12月3日付け回答書において,
「〔請求項1〕
入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する段階,および,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数と,前記入力映像を構成するピクセルの位置とに応じて前記入力映像の輝度を調節する段階を含み,
前記輝度を調節する段階は,対象ピクセルをGDPまたはGLPに分類し,前記GLPに分類されたピクセルに対して,初期ローカルコントラスト率と最終ローカルコントラスト率を同一にするように輝度値増減量が設定される,
映像処理方法。
〔請求項2〕
入力映像の輝度ヒストグラムの特徴に応じて,前記入力映像を,予め決定された複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のうちの所定の映像範疇に分類する分類部,および,
それぞれの階調写像関数が前記入力映像を入力して出力映像を出力する関数であって,前記複数の互いに異なる輝度分布特性を表す映像範疇のそれぞれに対応する複数の階調写像関数のうち,前記所定の映像範疇に対応する階調写像関数と,前記入力映像を構成するピクセルの位置とに応じて前記入力映像の輝度を調節する輝度調節部を含み,
前記輝度を調節する段階は,対象ピクセルをGDPまたはGLPに分類し,前記GLPに分類されたピクセルに対して,初期ローカルコントラスト率と最終ローカルコントラスト率を同一にするように輝度値増減量が設定される,
映像処理装置。」(下線は,補正箇所。)
との補正案を提示しているが,当該補正案の補正事項は,本件補正によって補正された請求項1,2に記載の発明特定事項から,「前記複数の階調写像関数のそれぞれは,前記入力映像を表示するディスプレイ装置の少なくとも1つの電力減少率に対応して予め設けられる」という発明特定事項を削除するとともに,「前記輝度を調節する段階は,対象ピクセルをGDPまたはGLPに分類し,前記GLPに分類されたピクセルに対して,初期ローカルコントラスト率と最終ローカルコントラスト率を同一にするように輝度値増減量が設定される」という「コントラスト調整」に関する事項を付加することにより発明の特別な技術的特徴を変更するものであるから,審理の対象として受け入れることはできない。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明1,2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-05-28 
結審通知日 2014-06-03 
審決日 2014-06-16 
出願番号 特願2007-276624(P2007-276624)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 新川 圭二
樋口 信宏
発明の名称 映像処理方法および装置  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  

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