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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1293478
審判番号 不服2013-16608  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-28 
確定日 2014-10-27 
事件の表示 特願2008- 69457「フォトマスク及びそれを用いるイメージセンサの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月 9日出願公開,特開2008-244478〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成20年3月18日(パリ条約による優先権主張2007年3月19日,大韓民国)の出願であって,平成24年8月30日付けで拒絶の理由が通知され,同年11月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが,平成25年5月1日付けで拒絶査定がなされ,その後,同年8月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され,同年11月25日付けで審尋を行い,平成26年2月21日に回答書が提出されたものである。

2 本願発明
平成25年8月28日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は,補正前の請求項23,29,35の「透光パターンの数」を,それぞれ補正後に「透光パターンの個数」と補正するものであるから,特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とした補正といえる。
そして,本件補正が,特許法第17条の2第3項の規定に違反することがないことは明らかである。
したがって,本件補正は適法なものといえるから,本願の請求項1-37に係る発明は,平成25年8月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-37に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ,そのうち請求項1,12に係る発明(以下「本願発明1」,「本願発明12」という。)は,次のとおりのものである。

「【請求項1】
イメージセンサのロジック回路領域とピクセル領域の双方の基板上に絶縁膜を形成するステップと,
前記絶縁膜上にフォトレジストを塗布するステップと,
前記フォトレジストをパターニングして,前記ピクセル領域の絶縁膜を露出させる一方,前記ロジック回路領域の絶縁膜は露出させないステップであって,前記ピクセル領域と前記ロジック回路領域との境界部分において,前記ロジック回路領域から前記ピクセル領域へ進むにしたがって,フォトレジストパターンの厚さを徐々に小さくするサブステップを含むステップと,
前記フォトレジストパターンと前記絶縁膜とのエッチング率を実質的に同一にして,前記絶縁膜及び前記フォトレジストパターンをエッチバックするステップと
を含む方法。」

「【請求項12】
ロジック回路領域と,ピクセル領域と,前記ロジック回路領域と前記ピクセル領域との間に位置している境界領域とを持つ基板と,
前記ロジック回路領域と前記境界領域と前記ピクセル領域とにわたって形成された絶縁膜であって,約0.4゜?約15゜の範囲にある傾斜により前記境界領域の絶縁膜の厚さが徐々に小さくなっている,絶縁膜と
を備えたイメージセンサ。」

3 引用例とその記載事項,及び,引用発明
ア 引用例1:特開2004-71931号公報
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である引用例1には,「固体撮像素子及びその製造方法」(発明の名称)について,図1ないし図4とともに,次の記載がある。(なお,下線は当合議体において付したものである。以下同じ。)

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板に光電変換素子とゲート素子を含む複数の単位画素を2次元アレイ状に配列した撮像画素領域部と,前記撮像画素領域部の駆動制御及び撮像信号に対する信号処理を行う周辺回路部とを設け,さらに前記半導体基板上に複数層の配線層と絶縁膜よりなる複数配線層を設けるとともに,前記複数配線層上の少なくとも撮像画素領域部に対応する領域に前記光電変換素子への入射光を制御する光学構造部材を設けた固体撮像素子において,
前記撮像画素領域部上の複数配線層は,前記周辺回路部上の複数配線層に対して少ない層数で形成され,前記周辺回路部上の複数配線層よりも膜厚の小さい撮像画素領域部上の複数配線層上に前記光学構造部材が配置されている,
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】 前記光学構造部材の上面の位置が前記周辺回路部の上面の位置よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
【請求項3】 前記光学構造部材は,オンチップマイクロレンズを含むことを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
【請求項4】 前記光学構造部材は,オンチップ光学フィルタを含むことを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
【請求項5】 前記複数配線層の上層絶縁膜は,前記撮像画素領域部と周辺回路部との境界部で段差を有することを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
【請求項6】 前記段差が所定のテーパ角度を有して形成されていることを特徴とする請求項5記載の固体撮像素子。
【請求項7】 前記段差のテーパ角度が60°以下であることを特徴とする請求項6記載の固体撮像素子。
【請求項8】 半導体基板に光電変換素子とゲート素子を含む複数の単位画素を2次元アレイ状に配列した撮像画素領域部と,前記撮像画素領域部の駆動制御及び撮像信号に対する信号処理を行う周辺回路部とを設け,さらに前記半導体基板上に複数層の配線層と絶縁膜よりなる複数配線層を設けるとともに,前記複数配線層上の少なくとも撮像画素領域部に対応する領域に前記光電変換素子への入射光を制御する光学構造部材を設けた固体撮像素子の製造方法において,
前記半導体基板に撮像画素領域部及び周辺回路部を構成する各素子を形成する工程と,
前記半導体基板上に撮像画素領域部及び周辺回路部とで共通する下層の複数配線層を形成する工程と,
前記下層の複数配線層上に周辺回路部に固有の上層の複数配線層を形成する工程と,
前記上層の複数配線層の形成時に形成された撮像画素領域部上の絶縁膜を除去することにより,撮像画素領域部と周辺回路部との境界部に段差を形成する工程と,
前記撮像画素領域部上の複数配線層上に前記光学構造部材を設ける工程と,
を有することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
【請求項9】 前記段差を所定のテーパ角度をもって形成することを特徴とする請求項8記載の固体撮像素子の製造方法。」

(1b)「【0018】
次に,このような固体撮像素子の製造方法について説明する。
まず,シリコン基板130に対し,イオン注入と熱拡散によりp型半導体層のpウェル領域,あるいはn型半導体層のnウェル領域を形成する。その後,素子分離領域を形成し,各種MOSトランジスタのしきい値を決めるためのイオン注入を行い,ポリシリコン等でゲート電極層などを形成する。
次いで,レジスト塗布,パターニングを行い,リンなどのn型半導体層を形成するイオンを,例えば0.8MeVのエネルギ,2×1013cm^(-2)のドーズ量で,イオン注入法によりシリコン基板130に打ち込み,フォトダイオードを形成する。
次いで,PSGなどの酸化シリコン材料で層間絶縁膜を形成し,コンタクトホールを開口してタングステン等の電極材を埋め込み,コンタクトを形成する。
次いで,アルミ等の導電膜を,例えば400nm堆積し,パターニングを行い,1層目の信号線を形成する。
次いで,コンタクト形成と絶縁層及び配線層の形成を繰り返し,所望の層数の多層配線層を形成する。
【0019】
ところで,一般に増幅型固体撮像素子では,水平方向と垂直方向の信号線を形成するために,最低でも2層の配線が必要である。また,撮像画素領域部の周辺に配置されている信号処理回路や画素の微細化のためには3層の多層配線が効果的であるし,さらに複雑な信号処理を行う回路を混載するためには4層以上の多層配線が有効であり,配線層数は製品の種類によって異なる。
たとえばアルミで3層配線を形成する場合には,フォトダイオードから3層目配線までの高さは5μm程度が普通である。
そこで本例では,図示のように,撮像画素領域部100Aは3層,周辺回路部100Cは5層とし,3層目までは撮像画素領域部100Aと周辺回路部100Cの両方に配線パターンを形成し,それ以降の上層配線は周辺回路部100Cのみに配線パターンを形成する。
【0020】
その後,撮像画素領域部100Aのみの上層配線部の絶縁膜をエッチングによって除去する。なお,本例では,撮像画素領域部100A以外を覆うレジストパターンを形成してから,ドライエッチングにより5層目と4層目の絶縁膜を除去するものとする。このエッチングには,マグネトロン型プラズマエッチング装置を用い,エッチング条件はエッチングガスC4 F8 /O2_( )/Ar=20/20/200sccm,マイクロ波パワー1.5kW,圧力10Pa,ウエハー温度20°Cとした。この条件により,段差部140のテーパ角度は,上述のように約80°となった。なお,本例において,テーパ角度とは段差部140と水平面(基板面)とのなす角度を言うものとする。
この後,従来の方法でSiNなどのパッシベーション膜(平坦化膜)を堆積する。」

(1c)「【0022】
図2は,本発明の第2の実施の形態例による増幅型固体撮像素子の積層構造を示す断面図である。
上述した第1の実施の形態例では,従来の課題となっている周辺回路部には多層化した配線層を用いることを可能とする一方で,撮像画素領域部については上部の光学構造部材をフォトダイオードの受光面に近い位置に形成することができるため,感度の高い固体撮像素子が形成できるが,周辺回路部と撮像画素領域部との境界の段差部分には撮像画素領域部として使用できない無駄な部分があり,それだけチップサイズが大きくなってしまうことや,価格の高いカラーフィルタなどの塗布材料の使用量が多くなるという課題がある。
そこで,本発明の第2の実施の形態例では,このような周辺回路部と撮像画素領域部との間の段差による無駄な領域を減少できる構成について提供するものである。
【0023】
図2に示す増幅型固体撮像素子において,素子構造は図1に示すものと同様であるので,共通する要素については同一符号を付して説明は省略する。
本例の相違点は,上述した段差部140とテーパ角度の異なる段差部141を設けることにより,撮像画素領域部100Aと周辺回路部100Cとの間隔を短縮できるようにしたものである。
すなわち,上述した段差部140は,80°と垂直に近かったが,図2に示す段差部141では,テーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善した。
【0024】
このような段差部141を形成する方法としては,各配線層の形成後,撮像画素領域部100Aの上層配線部の絶縁膜をエッチングする際に,レジストの側壁のテーパ角度を45°とし,エッチングを行う。
このエッチングには,マグネトロン型プラズマエッチング装置を用い,エッチング条件はエッチングガスCH2 F2 /O2 =20/50sccm,マイクロ波パワー1.5kW,圧力10Pa,ウエハー温度20°Cとした。この条件では,絶縁膜と同時にレジスト側壁もエッチングされて徐々に後退するので,段差部141のテーパ角度は約30°となる。
なお,このようなテーパ角度としては,60°以下にすることで,一定の効果が期待できるものと解される。」

(1d)「【0029】
また,本発明の固体撮像素子の製造方法によれば,撮像画素領域部及び周辺回路部とで共通する下層の複数配線層を形成した後,その上に周辺回路部に固有の上層の複数配線層を形成し,さらに,撮像画素領域部上の絶縁膜を除去することにより,撮像画素領域部と周辺回路部との境界部に段差を形成することで,撮像画素領域部上の配線層数を削減して複数配線層の膜厚を小さくし,周辺回路部では配線層数を多くして複数配線層の膜厚を大きくした固体撮像素子を容易に作製することができるので,撮像画素領域部ではフォトダイオードの受光面とオンチップマイクロレンズや光学フィルタとの間の距離が縮小され,複数配線に起因するシェーディングや混色を抑制し,撮像感度や画質の向上を図ることができ,周辺回路部では配線層をより多層化して集積化を図り,高機能化や小型化を促進することができる固体撮像素子を低コストで提供することが可能となる。」

イ 引用発明
(ア)引用例1の上記摘記(1c)の「【0023】
図2に示す増幅型固体撮像素子において,素子構造は図1に示すものと同様であるので,共通する要素については同一符号を付して説明は省略する。
本例の相違点は,上述した段差部140とテーパ角度の異なる段差部141を設けることにより,撮像画素領域部100Aと周辺回路部100Cとの間隔を短縮できるようにしたものである。」との記載から,引用例1の図2に示される「第2の実施の形態例」の説明においては,図1に示される「第1の実施の形態例」の説明と共通する要素については,説明が省略されているものと理解できる。

(イ)したがって,上記摘記(1b)及び(1c)の記載事項を総合すれば,引用例1には,「第2の実施の形態例」として,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

・引用発明
「(a)シリコン基板130に対し,イオン注入と熱拡散によりp型半導体層のpウェル領域,あるいはn型半導体層のnウェル領域を形成し,素子分離領域を形成し,各種MOSトランジスタのしきい値を決めるためのイオン注入を行い,ゲート電極層などを形成し,レジスト塗布,パターニングを行い,リンなどのn型半導体層を形成するイオンを,イオン注入法によりシリコン基板130に打ち込み,フォトダイオードを形成する工程と,
(b)PSGなどの酸化シリコン材料で層間絶縁膜を形成し,コンタクトホールを開口して電極材を埋め込み,コンタクトを形成し,導電膜を堆積し,パターニングを行い,1層目の信号線を形成し,コンタクト形成と絶縁層及び配線層の形成を繰り返し,所望の層数の多層配線層を形成する工程であって,
配線層数を,撮像画素領域部100Aは3層,周辺回路部100Cは5層とし,3層目までは撮像画素領域部100Aと周辺回路部100Cの両方に配線パターンを形成し,それ以降の上層配線は周辺回路部100Cのみに配線パターンを形成する工程と,
(c)撮像画素領域部100A以外を覆うレジストパターンを形成する工程であって,
前記レジストの側壁のテーパ角度が45°である工程と,
(d)ドライエッチングにより5層目と4層目の絶縁膜を除去するものとする工程であって,
前記ドライエッチングは,絶縁膜と同時にレジスト側壁もエッチングされて徐々に後退するものであって,段差部141のテーパ角度が約30°となる条件である工程と,
を含む固体撮像素子の製造方法。」

4 本願発明1の進歩性について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明との対応関係
引用発明の「固体撮像素子」及び「撮像画素領域部100A」は,それぞれ本願発明1の「イメージセンサ」及び「ピクセル領域」に相当する。
また,引用発明の「周辺回路部100C」と,本願発明1の「ロジック回路領域」とは,「回路領域」である点で一致する。

イ 引用発明の「レジスト」は,本願発明1の「フォトレジスト」に相当する。したがって,引用発明の「レジストの側壁のテーパ角度が45°である」は,本願発明1の「前記ロジック回路領域から前記ピクセル領域へ進むにしたがって,フォトレジストパターンの厚さを徐々に小さくする」に相当する。

ウ 引用発明の「『絶縁膜と同時にレジスト側壁もエッチングされて徐々に後退する』『ドライエッチング』」は,本願発明1の「前記絶縁膜及び前記フォトレジストパターンをエッチバック」に相当する。

エ 一致点と相違点
上記ア-ウの対応関係に基づくと,本願発明1と引用発明の一致点と相違点は次のとおりである。

<一致点>
「イメージセンサの回路領域とピクセル領域の双方の基板上に絶縁膜を形成するステップと,
前記絶縁膜上にフォトレジストを塗布するステップと,
前記フォトレジストをパターニングして,前記ピクセル領域の絶縁膜を露出させる一方,前記回路領域の絶縁膜は露出させないステップであって,前記ピクセル領域と前記回路領域との境界部分において,前記回路領域から前記ピクセル領域へ進むにしたがって,フォトレジストパターンの厚さを徐々に小さくするサブステップを含むステップと,
前記絶縁膜及び前記フォトレジストパターンをエッチバックするステップと
を含む方法。」

<相違点>
・相違点1
本願発明1の「回路領域」が「ロジック回路領域」であるのに対して,引用発明では,このような特定がされていない点。

・相違点2
本願発明1では,フォトレジストパターンと絶縁膜とのエッチング率を「実質的に同一」にしているのに対して,引用発明では,このように特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
・相違点1について
引用例1の上記摘記(1a)の「前記撮像画素領域部の駆動制御及び撮像信号に対する信号処理を行う周辺回路部」との記載から,引用発明の「周辺回路部」が,撮像画素領域部の駆動制御及び撮像信号に対する信号処理を行うことが理解できる。
そして,下記の周知例1の記載からも明らかなように,固体撮像素子の撮像領域に隣接してロジック回路領域を形成することは周知の構造である。
そうすると,引用発明において,「撮像画素領域部100A」に隣接する,撮像画素領域部の駆動制御及び撮像信号に対する信号処理を行う「周辺回路部100C」を,ロジック回路領域とすること,すなわち,上記相違点1について本願発明1の構成となすことは,当業者が適宜なし得たことである。

・周知例1:特開2006-196769号公報
(周1a)「【背景技術】
【0002】
近年,画素部と周辺のCMOSロジック回路部とからなるCMOSイメージセンサなどの固体撮像装置が知られている。このようなCMOS型の固体撮像装置を形成するプロセスとしては,画素部におけるトランジスタと,周辺のCMOSロジック回路部におけるトランジスタとを,別々の工程で形成することが一般に知られている。(特許文献1)
【0003】
一般に,画素部領域とCMOSロジック回路領域(以下,CMOS回路領域という)とに,nチャネルを有するn型トランジスタをそれぞれ形成するためには,半導体基板上にp型半導体ウェル領域を形成することが必要である。図10に示すように,画素部領域310上に,光電変換部となるフォトダイオード335とともに単位画素を構成する複数のn型トランジスタ336を作るためのp型半導体ウェル領域317,318を形成する場合には,CMOS回路領域330上にフォトリソグラフィによりマスクを形成する。そして,画素部領域310のp型半導体ウェル領域316に対して,ボロン(B)等のp型不純物イオンの打ち込みをそれぞれ選択的に行い,p型半導体ウェル領域317,318を形成する。」

(周1b)図10は,周知例1に記載された従来のCMOS固体撮像装置の,画素部と周辺回路部を含む断面図であって,同図から,画素領域310と,CMOSロジック回路領域330とが隣接していることを見て取ることができる。

・相違点2について
ア 本願発明1は,フォトレジストパターンと絶縁膜とのエッチング率を「実質的に同一」にすることを,発明特定事項として含む。
そして,本願明細書の【0027】には,「エッチバック後,境界部分Bにおける,エッチングされた絶縁膜210’の傾斜角は,パターニングされたフォトレジスト220の傾斜角が実質そのまま転写されて,非常に低い傾斜角を有する。」と記載されている。
そうすると,本願発明1のエッチング率を「実質的に同一」にするとは,エッチバック後,境界部分Bにおける,エッチングされた絶縁膜210’の傾斜角が,パターニングされたフォトレジスト220の傾斜角を実質そのまま転写したものとなるように,フォトレジストパターンのエッチング率と,絶縁膜のエッチング率とを定めることを意味しているものと理解することができる。

イ エッチング率を「実質的に同一」として,フォトレジストパターンの形状を転写する方法は,下記の周知例2-4の記載からも明らかなように周知である。
一方,引用例1の上記摘記(1c)の「すなわち,上述した段差部140は,80°と垂直に近かったが,図2に示す段差部141では,テーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善した。」及び「このような段差部141を形成する方法としては,各配線層の形成後,撮像画素領域部100Aの上層配線部の絶縁膜をエッチングする際に,レジストの側壁のテーパ角度を45°とし,エッチングを行う。」との記載から,引用発明は,段差部のテーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善することを目的とした発明であると理解できる。
そうすると,引用発明において,段差部で約30°のテーパ角度を得るために,引用発明で用いられている,側壁のテーパ角度が45°であるレジストを形成し,絶縁膜と同時に前記レジスト側壁も徐々に後退するようにエッチングをする方法に替えて,前記周知の方法を用いること,すなわち,フォトレジストパターンと絶縁膜とのエッチング率を「実質的に同一」として,フォトレジストパターンの形状を絶縁膜に転写することによって,所望の段差部のテーパ角度を得ることは当業者が適宜なし得たことである。
そして,上記相違点2の構成に基づいて,本願発明1が奏する効果も,当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

ウ なお,審判請求人は,回答書において,本願発明1を「1-A: イメージセンサのロジック回路領域とピクセル領域の双方の基板上に絶縁膜を形成するステップと,
1-B: 前記絶縁膜上にフォトレジストを塗布するステップと,
1-C: 前記フォトレジストをパターニングして,前記ピクセル領域の絶縁膜を露出させる一方,前記ロジック回路領域の絶縁膜は露出させないステップであって,前記ピクセル領域と前記ロジック回路領域との境界部分において,前記ロジック回路領域から前記ピクセル領域へ進むにしたがって,フォトレジストパターンの厚さを徐々に小さくするサブステップを含むステップと,
1-D: 前記フォトレジストパターンと前記絶縁膜とのエッチング率を実質的に同一にして,前記絶縁膜及び前記フォトレジストパターンをエッチバックするステップと
を含む方法。」と分説した上で,「上記特徴1-Dを有する請求項1の方法によれば,同特徴に応じて,フォトダイオード上の不要な絶縁膜の厚さを減らして,受光効率を増大させることができるとともに,絶縁膜のエッチング時に,ピクセル領域とロジック回路領域との境界部分における傾斜角を非常に緩やかに形成して,後続のカラーフィルタ及びマイクロレンズの処理の際,薄膜の蒸着均一度を増大させるなど,工程マージンを向上させることができます(段落[0011],[0041])。
このような上記特徴1-Dに応じた効果は,上記特徴1-Dを開示していない引用文献1及び5?9には期待できないものです。」と,本願発明1の効果を主張するので,この点について検討する。
審判請求人が,主張の根拠とする上記段落[0011],[0041]には,次の記載がある。
(明1)「【0011】
そこで,本発明は,上記のような従来技術の問題を解決するためになされたものであって,その目的は,フォトダイオード上の絶縁膜をエッチングするとき,エッチングの境界部分の傾斜を最大限に小さくして,後続の工程マージンの向上に適切なイメージセンサの製造方法を提供することにある。」
(明2)「【0041】
本発明は,フォトダイオード上の不要な絶縁膜の厚さを減らして,受光効率を増大させる。また,絶縁膜のエッチング時,ピクセル領域とロジック回路領域との境界部分における傾斜角を非常に緩やかに形成して,後続のカラーフィルタ及びマイクロレンズの処理の際,薄膜の蒸着均一度を増大させるなど,工程マージンを増大できる効果がある。」
一方,本願発明1は,「後続のカラーフィルタ及びマイクロレンズの処理」及び「薄膜の蒸着」を発明特定事項として備えていないから,前記(明2)に記載された効果のうち,「後続のカラーフィルタ及びマイクロレンズの処理の際,薄膜の蒸着均一度を増大させる」という具体的な効果は,本願発明1の効果としては認めることができない。
そうすると,上記(明1)及び(明2)の記載からは,本願発明1について,ピクセル領域とロジック回路領域との境界部分における傾斜角を小さく(緩やかに)形成することで,後続の工程マージンを向上するという効果を得ることができるという技術的事項を理解することができるに留まるものといえる。
一方,引用例1の上記摘記(1c)には,「すなわち,上述した段差部140は,80°と垂直に近かったが,図2に示す段差部141では,テーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善した。」と記載されている。
そして,引用例1の上記摘記(1c)の前記「テーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすること」及び「塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善」は,それぞれ上記摘記(明1)及び(明2)に記載された技術的事項の前記「ピクセル領域とロジック回路領域との境界部分における傾斜角を小さく(緩やかに)形成すること」及び「後続の工程マージンを向上」に相当するものと認められる。
そうすると,引用発明は本願発明1と同様な効果を奏するものと認められるから,審判請求人の前記主張は採用することができない。

エ したがって,引用発明において,上記相違点2について本願発明の構成を採用することは当業者にとって容易である。

・周知例2:国際公開第01/69316号
(周2a)「(実施例2)
実施例2は,図2に示す露光量制御用フォトマスク(B)およびその製造方法について説明する。
マスク基板3上に酸化膜などの透明材料5を堆積する。次にレジストを堆積する。該レジストに対し場所ごとに照射強度を変える,もしくは照射強度を一定にして照射回数や照射時間を変え,照射量を制御して照射を行い,その後現像してレジストの厚みを曲面状凹凸部に形成する。前記レジストと下地の絶縁体材料のエッチング比率を同じにして,エッチバックを行い,レジストの形状を下地の絶縁体材料5に転写する。」(第9頁第4-12行)

・周知例3:特開2004-117788号公報
(周3a)「【0027】
ドライエッチングはフォトレジスト形状を,基板材をエッチングして転写するものである。正確にフォトレジスト形状を転写するには,フォトレジストと基板材のドライエッチングレートが完全に一致していることが重要である。ドライエッチングにおけるエッチング反応は,a)イオン衝撃による物理的エッチング,b)活性中性粒子と被エッチング材との化学反応による化学的エッチング,c)物理的エッチングと化学的エッチングの複合作用によるエッチングに分けられる。一般に,物理的エッチングは材料に対する選択性が小さい(材料によるエッチングレートの差が小さい),化学的エッチングは材料に対する選択性が大きい。そのため,化学的エッチングレートを主とするエッチングを行うのではなく,物理的エッチングが主となる方法を用いることが望ましく,誘導結合型エッチング装置やイオンミリング装置等を使用することが良い。」

・周知例4:特開平9-45968号公報
(周4a)「【0038】以下に,第3の実施形態に示す超伝導薄膜を用いた回路の製造方法を図7に基づいて説明する。単結晶誘電体基板10表面に超伝導材料をヘテロエピタキシャル成長させて,第1単結晶超伝導薄膜20を形成する(図7-a)。次に前記第1単結晶超伝導薄膜20をパターンエッチして第1,第2,第3回路構成要素21,22,23を形成する(図7-b)。次に第1単結晶超伝導薄膜20とエッチングレートの等しいエッチバック部材70を第1単結晶超伝導薄膜20の膜厚程度に,かつその表面が平坦となるように塗布する(図7-c)。
【0039】次にエッチバック部材70において得るべき第3,第4傾斜面25,25,26,26に対応する形状の傾斜面を有する凹部71,71を形成する(図7-d)。次に第1,第3回路構成要素21,23表面が露出するまでエッチバック部材70を除去すると,凹部71に対応する第1単結晶超伝導薄膜20も同時にエッチング除去が開始する。最終的には,凹部71,71の形状が第1単結晶超伝導薄膜20に転写され,第3,第4傾斜面25,25,26,26を有する凹部20a,20aが形成される(図7-e)。」

(周4b)「【0042】以下に,エッチバック部材70に傾斜面を有する凹部71および凸部72を形成する方法を述べる。一般にレジストのパターニング法としては,まず基板にポジレジストを塗布し,このポジレジストに,透明部と不透明部のあるマスクをあて,これを通して紫外線を照射する。ポジレジストにおいて,感光された部分(マスクの透明部分に対応する部分)は現像の際に除去され,感光されていない部分(マスクの不透明部分に対応する部分)は現像の際に基板上にそのまま残る。
【0043】このようにして,ポジレジストがパターニングされる。そして本実施形態では,エッチバック部材70としてポジレジストを用い,図示しないマスクにおいて凹部71,71の底部に対応する位置に矩形状透明部を設ける。傾斜面に対応する位置においては,後工程の紫外線照射量が,上記矩形状透明部の辺側から傾斜面が形成されなくなる部分に対応する位置に向かって徐々に減少するように複数の縞状透明部を設ける。
【0044】こうすることにより,エッチバック部材70に凹部71,71を形成できる。同様にして凸部72,72も形成できる。ここで,ネガレジストを使用してもよい。この場合,ポジレジストとは逆に,紫外線が照射して感光された部分が基板上に残ることになる。上述の第2の実施形態において,第1傾斜面24,24を第1単結晶超伝導薄膜20に形成する際に,第3実施形態で述べたような傾斜面を有する凹部71および凸部72の形成方法を用いてもよい。」

(3)小括
以上検討したとおり,相違点1-2にかかる本願発明1の構成は,当業者が容易に想到し得たものであるから,本願発明1は,引用発明に周知の技術を勘案することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 本願発明12の進歩性について
(1)対比
ア 本願発明12と引用発明との対応関係
引用発明の「固体撮像素子」及び「撮像画素領域部100A」は,それぞれ本願発明12の「イメージセンサ」及び「ピクセル領域」に相当する。
また,引用発明の「周辺回路部100C」と,本願発明12の「ロジック回路領域」とは,「回路領域」である点で一致する。

イ 引用発明の「段差部141のテーパ角度が約30°」は,本願発明12の「傾斜により前記境界領域の絶縁膜の厚さが徐々に小さくなっている」に相当する。

ウ 一致点と相違点
上記ア-イの対応関係に基づくと,本願発明12と引用発明の一致点と相違点は次のとおりである。

<一致点>
「回路領域と,ピクセル領域と,前記回路領域と前記ピクセル領域との間に位置している境界領域とを持つ基板と,
前記回路領域と前記境界領域と前記ピクセル領域とにわたって形成された絶縁膜であって,傾斜により前記境界領域の絶縁膜の厚さが徐々に小さくなっている,絶縁膜と
を備えたイメージセンサ。」

<相違点>
・相違点3
本願発明12の「回路領域」が「ロジック回路領域」であるのに対して,引用発明では,このような特定がされていない点。

・相違点4
本願発明12では,約0.4゜?約15゜の範囲にある傾斜により前記境界領域の絶縁膜の厚さが徐々に小さくなっているのに対して,引用発明では,段差部141のテーパ角度が約30°である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
・相違点3について
上記「相違点1について」と同様の理由により,相違点3について本願発明12の構成となすことは,当業者が適宜なし得たことである。

・相違点4について
引用例1の上記摘記(1c)の「すなわち,上述した段差部140は,80°と垂直に近かったが,図2に示す段差部141では,テーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善した。」及び「この条件では,絶縁膜と同時にレジスト側壁もエッチングされて徐々に後退するので,段差部141のテーパ角度は約30°となる。なお,このようなテーパ角度としては,60°以下にすることで,一定の効果が期待できるものと解される。」との記載から,引用発明は,段差部141のテーパ角度を下げて段差を滑らかな形状にすることにより,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態を改善するものであり,前記段差部のテーパ角度は,60°以下で小さければ小さい程,塗布ムラや段差での塗布膜厚の遷移状態が改善されるであろうことは当業者であれば直ちに理解することといえる。
一方,本願発明12の発明特定事項である,上記「約0.4゜?約15゜の範囲」の上限である「約15゜」という数値に臨界的な意義があるとは,本願の明細書または図面の記載からは認めることはできない。
そうすると,引用発明おいて,段差部141のテーパ角度を引用発明の「約30°」よりも小さくして,例えば「約0.4゜?約15゜の範囲」に含まれる傾斜とすることは,当業者が適宜なし得たことである。
そして,上記相違点4の構成に基づいて,本願発明12が奏する効果も,当業者が予測する範囲内のものにすぎない。
したがって,引用発明において,上記相違点4について本願発明12の構成を採用することは当業者にとって容易である。

(3)小括
以上検討したとおり,相違点3-4にかかる本願発明12の構成は,当業者が容易に想到し得たものであるから,本願発明12は,引用発明に周知の技術を勘案することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり,本願発明1及び本願発明12は,引用例1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-06-03 
結審通知日 2014-06-06 
審決日 2014-06-17 
出願番号 特願2008-69457(P2008-69457)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石坂 博明  
特許庁審判長 小野田 誠
特許庁審判官 加藤 浩一
恩田 春香
発明の名称 フォトマスク及びそれを用いるイメージセンサの製造方法  
代理人 奥山 尚一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 河村 英文  
代理人 田中 祐  
代理人 有原 幸一  
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