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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1293551
審判番号 不服2013-21146  
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-30 
確定日 2014-11-06 
事件の表示 特願2010-284653「ヘキサクロロシランからのシリコン含有膜の堆積」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月21日出願公開、特開2011- 82557〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2004年9月20日(優先権主張2003年9月30日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2006-533856号の一部を平成22年12月21日に新たな特許出願としたものであって、平成25年4月8日付けの拒絶理由に対して、同年6月17日に手続補正がなされるとともに、意見書が提出され、同年7月22日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年10月30日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同日に手続補正がなされ、平成26年8月27日に上申書が提出されたものである。

2.補正の却下の決定
【補正の却下の決定の結論】
平成25年10月30日になされた手続補正を却下する。

【理由】
(1)補正の内容
平成25年10月30日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし17を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし16に補正するものであり、そのうちの補正前の請求項1及び補正後の請求項1は、以下のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
基板ホルダーに鉛直に積み重られた一群の基板を処理システムのバッチタイプ処理チャンバーに供給することを有しており、各基板はシリコン表面を有しており、
一群の基板を加熱することと、
各基板のシリコン表面にHCD処理ガスを露出することと、
HCD処理ガスの熱分解によって各基板のシリコン表面上にシリコン含有膜を堆積することとを有しており、シリコン含有膜の堆積は、各基板のシリコン表面の結晶格子の伸張によって起こる、シリコン含有膜を一群の基板上に堆積する方法。」

(補正後)
「【請求項1】
基板ホルダーに鉛直に積み重られた一群の基板を処理システムのバッチタイプ処理チャンバーに供給することを有しており、各基板は半導体デバイスのソース及びドレイン領域の各々に対応したシリコン表面と前記シリコン表面を露出する開口を備えたマスクとを有しており、
一群の基板を加熱することと、
各基板の露出されたシリコン表面にHCD処理ガスを露出することと、
HCD処理ガスの熱分解によって各基板の前記露出されたシリコン表面上にシリコン含有膜を選択的に堆積することとを有しており、シリコン含有膜の前記選択的な堆積は、各基板の前記露出されたシリコン表面の結晶格子の伸張によって起こり、前記選択的に堆積されたシリコン含有膜から前記マスクを除去した場合にはかさ高なソース及びドレイン領域を持つシリコン・オン・インシュレーターデバイスが製造されるような選択的な堆積である、シリコン含有膜を一群の基板上に堆積する方法。」

(2)補正事項の整理
本件補正のうち、補正前の請求項1についての補正を整理すると、次のとおりである。
(補正事項a)
補正前の請求項1の「各基板はシリコン表面を有しており、」を、補正後の請求項1の「各基板は半導体デバイスのソース及びドレイン領域の各々に対応したシリコン表面と前記シリコン表面を露出する開口を備えたマスクとを有しており、」と補正したこと。

(補正事項b)
補正前の請求項1の「各基板のシリコン表面にHCD処理ガスを露出することと、」を、補正後の請求項1の「各基板の露出されたシリコン表面にHCD処理ガスを露出することと、」と補正したこと。

(補正事項c)
補正前の請求項1の「HCD処理ガスの熱分解によって各基板のシリコン表面上にシリコン含有膜を堆積することとを有しており、」を、補正後の請求項1の「HCD処理ガスの熱分解によって各基板の前記露出されたシリコン表面上にシリコン含有膜を選択的に堆積することとを有しており、」と補正したこと。

(補正事項d)
補正前の請求項1の「シリコン含有膜の堆積は、各基板のシリコン表面の結晶格子の伸張によって起こる、」を、補正後の請求項1の「シリコン含有膜の前記選択的な堆積は、各基板の前記露出されたシリコン表面の結晶格子の伸張によって起こり、前記選択的に堆積されたシリコン含有膜から前記マスクを除去した場合にはかさ高なソース及びドレイン領域を持つシリコン・オン・インシュレーターデバイスが製造されるような選択的な堆積である、」と補正したこと。

(3)補正の目的の適否についての検討
上記補正事項のうち、補正事項a及びdについて検討する。
(3-1)補正事項aについて
補正事項aのうち「半導体デバイスのソース及びドレイン領域の各々に対応した」との補正事項は、半導体デバイスに関する事項を追加する補正であって、補正前の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、補正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものとは認められない。
また、補正事項aのうち「前記シリコン表面を露出する開口を備えたマスクと」との補正事項は、半導体デバイスに関する事項を追加する補正であって、補正前の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、補正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものとは認められない。
したがって、補正事項aは、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項(以下「特許法第17条の2第4項」という。)第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。
また、補正事項aが、特許法第17条の2第4項のその他のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
したがって、補正事項aは、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(3-2)補正事項bについて
補正事項bのうち「前記選択的に堆積されたシリコン含有膜から前記マスクを除去した場合にはかさ高なソース及びドレイン領域を持つシリコン・オン・インシュレーターデバイスが製造されるような選択的な堆積である、」との補正事項は、半導体デバイスに関する事項を追加する補正であって、補正前の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、補正前の請求項に記載された発明特定事項を限定するものとは認められない。
また、補正事項bが、特許法第17条の2第4項のその他のいずれの号に掲げる事項を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
したがって、補正事項bは、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていない。

(4)補正の却下の決定についてのむすび
以上、検討したとおりであるから、他の補正事項について検討するまでもなく、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
平成25年10月30日になされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし17に係る発明は、平成25年6月17日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載されている事項により特定されるとおりのものであって、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記2.(1)の補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

4.引用刊行物に記載された事項及び発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開平7-17796号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図1とともに、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付与したものである(以下、同じ。)。

「【0011】
【発明の構成】本発明の単結晶シリコン膜の製造方法において、クロロポリシランをシリコン源として用いる。クロロポリシランはSi_(n)Cl_(2n+2) (n≧2) なる式で示される化合物である。nの上限は特に限定されないが、通常は5以下 (n≦5) である。クロロポリシランは、nが5以下では室温で無色液状であるが、nが6以上になると固体となる。また、クロロポリシランは、nが一つづつ増すごとにその常圧沸点が数十℃づつ高くなる。
【0012】従って、シリコン源の気化に要する加熱温度を考慮すると、n=2または3のクロロポリシラン、、即ち、ヘキサクロロジシラン(Si_(2)Cl_(6) 、沸点146 ℃) またはオクタクロロトリシラン(Si_(3)Cl_(8) 、沸点215 ℃) が、蒸気圧が高く、比較的低温で気化可能であることから、シリコン源として特に好ましい。2種以上のクロロポリシランを使用することも可能であるが、装置が複雑になるので、通常は1種類でよい。
【0013】クロロポリシランは、例えば、四塩化珪素(SiCl_(4)) の製造に少量副生するものを蒸留により精製して用いてもよいが、特開平1-219012号公報に記載の塩化第一銅触媒の存在下で金属珪素を塩素ガスと反応させる方法、或いは特開平1-278411号各公報に記載の高級クロロポリシラン (上記一般式でn≧4) を塩素ガスと反応させてSi_(2)Cl_(6)やSi_(3)Cl_(8)を製造する方法により製造したものを利用してもよい。クロロポリシランは、蒸留により容易に高純度品を得ることができる。
【0014】基板は、成膜温度で熱的に安定で、表面が平滑であれば、単結晶のみならず、多結晶、さらには非晶質の基板を使用することもできる。使用可能な基板の例を挙げると、単結晶基板として、単結晶Si、単結晶MgO 、単結晶Al_(2)O_(3) 、単結晶SrTiO_(3)等、多結晶基板としては多結晶Si、多結晶Ge等、非晶質基板としては、石英ガラス、アモルファス合金、さらには表面にアモルファスシリコン膜を有する基板などがある。基板はいずれも適当な研磨処理 (例、シリコンウェハーに利用されているような機械化学研磨) により鏡面研磨して平滑表面としておく。
【0015】本発明による単結晶シリコン膜の製造は、CVD法による従来の気相エピタキシャル膜と同様の操作によって実施できる。即ち、反応管内で基板を所定の成膜温度に加熱し、この反応管内に原料ガス (気化したクロロポリシランを含有するガス) を供給し、クロロポリシランを加熱基板と接触させればよい。
【0016】クロロポリシランは、加熱基板と接触すると、熱分解によりシリコンと塩素ガスとに分解する。また、雰囲気中に水素が存在する場合には、水素還元を受けて、シリコンと塩化水素ガスとに分解する反応も起こる。いずれの分解反応でも、分解で生成したシリコンは基板上に堆積して、シリコン膜が形成される。」
「【0022】
【実施例】図1に示したCVD装置によって、クロロポリシランの分解により各種基板上に単結晶シリコン膜を成膜した。使用した装置は、石英製の矩形反応管1 (20×40×600 mm) 内に、基板2を載せるためのグラファイトサセプター3が収容されたものであった。サセプター3は加熱手段4 (平面放射型赤外線加熱装置) により所定温度に加熱され、反応管は冷却管5により外部冷却される。
【0023】反応管への原料ガスの供給は、シリコン源のクロロポリシランを収容した原料気化容器6 (油浴7により一定温度に加温) 、水素ガス供給源に接続された流量計8および9、アルゴンガス供給源に接続された流量計10からなる原料ガス供給系より行われる。水素ガスの一部を原料気化容器に吹き込み、気化したクロロポリシランを水素ガスに同伴させて反応管に送りこんだ。原料ガス中のクロロポリ
シランの濃度は、原料気化容器の温度およびこの容器に吹き込む水素ガスの流量により調整される。」

(2)そうすると、引用刊行物には、以下の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認められる。

「単結晶シリコンからなる基板を載せたグラファイトサセプターを反応管に収容し、
前記反応管内で、前記基板を所定の成膜温度に加熱し、
前記反応管内に原料ガスであるヘキサクロロジシランを供給し、前記ヘキサクロロジシランを加熱された前記基板と接触させ、
熱分解により前記ヘキサクロロジシランをシリコンと塩素ガスとに分解し、
前記分解で生成した前記シリコンを前記基板上に堆積させて、単結晶シリコン膜を形成する、
単結晶シリコン膜の製造方法。」

5.対比
(1)刊行物発明の「単結晶シリコンからなる基板」は、本願発明の「シリコン表面を有して」いる「基板」に相当する。

(2)刊行物発明の「ヘキサクロロジシラン」は、本願発明の「HCD処理ガス」に相当する。なお、本願の願書に最初に添付された外国語明細書の段落【0001】の「The present invention relates to semiconductor processing, and more particularly, to a process and a processing tool for depositing silicon-containing films on a substrate using a hexachlorodisilane(HCD) process gas.」という記載からみて、当該外国語明細書の翻訳文の段落【0001】の「本発明は半導体プロセスに関し、特にヘキサクロロシラン(HCD)処理ガスを使用してシリコン含有膜を基板上に堆積するためのプロセスと処理装置とに関する。」における「ヘキサクロロシラン」は、「ヘキサクロロジシラン」の誤訳であると認められる。(当該外国語明細書の翻訳文の他の箇所についても同様である。)

(3)刊行物発明の「ヘキサクロロジシランを加熱された」「前記基板と接触させ」ることは、本願発明の「基板のシリコン表面にHCD処理ガスを露出すること」に相当する。

(4)刊行物発明の「単結晶シリコン膜」は、本願発明の「シリコン含有膜」に相当する。そして、刊行物発明において、「分解で生成した」「シリコンを」「単結晶シリコンからなる」「基板上に堆積させて、単結晶シリコン膜を形成する」際に、当該「単結晶シリコン膜」は、「単結晶シリコンからなる」「基板」表面のシリコンの結晶格子が伸張することによって堆積・形成されることは明らかである。

(5)刊行物発明の「単結晶シリコン膜の製造方法」と、本願発明の「シリコン含有膜を一群の基板上に堆積する方法」とは、「シリコン含有膜を基板上に堆積する方法」という点で共通する。

(6)そうすると、本願発明と刊行物発明とは、
「基板はシリコン表面を有しており、
前記基板を加熱することと、
前記基板のシリコン表面にHCD処理ガスを露出することと、
HCD処理ガスの熱分解によって前記基板のシリコン表面上にシリコン含有膜を堆積することとを有しており、前記シリコン含有膜の堆積は、前記基板のシリコン表面の結晶格子の伸張によって起こる、シリコン含有膜を基板上に堆積する方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)本願発明では、「基板ホルダーに鉛直に積み重られた一群の基板を処理システムのバッチタイプ処理チャンバーに供給することを有して」いるのに対して、刊行物発明では、そのような特定がなされていない点。

6.判断
(1)以下、相違点について、以下、検討する。
減圧CVD装置のような薄膜堆積装置として、バッチタイプの処理チャンバ-を用いること、そして、このようなタイプの処理チャンバ-に基板を供給する際に、当該基板を、基板ホルダーに鉛直に積み重ねることは、以下の周知例に記載されているように従来から周知である。

(ア)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開2003-179075号公報(以下「周知例1」という。)には、図1及び2とともに、以下の事項が記載されている。
「【0011】
【実施例】(実施例1)以下本発明の実施例を説明するが、本発明が以下の実施例に限定される物では無い。
【0012】図1(a)?(e)はMIS型電界効果トランジスタを形成する多結晶シリコン薄膜トランジスタの製造プロセスを断面で示した図で有る。
【0013】本実施例1では基板101として235mm口の石英ガラスを用いた。しかし、600℃4?5時間の熱環境に耐え得る基板で有るならば、基板の種類や大きさは無論問われない。まず有機洗浄又は酸洗浄された基板101に下地保護膜102を形成する。本実施例1では常圧気相化学堆積法(APCVD法)にて二酸化硅素膜(SiO_(2)膜)を2000オングストローム堆積した。下地保護膜102としてはSiO_(2)膜に代り窒化硅素膜(SiNx)等も可能で有り、その形成方法もプラズマCVD法(PECVD法)やスパッター法など工程温度が600℃以下のあらゆる形成手段が有効で有る。続いて、ソース・ドレイン領域103を形成する。
【0014】(図1(a))本実施例1ではn型半導体装置の作成を試みた為、不純物として燐を選び、LPCVD法でホスフィン(PH_(3))とモノシラン(SiH_(4))を原料ガスとして燐を含んだ多結晶シリコン膜を堆積した後、パターニングに依り、ソース・ドレイン領域103を形成した。燐を含んだ多結晶シリコン膜の堆積温度は600℃で、堆積速度30オングストローム/minで1500オングストロームの膜厚に堆積して、ソース・ドレイン領域を作成した。
【0015】次にLPCVD法で後にチャンネル部を構成するに至るシリコン膜104を堆積する。(図1(b))本実施例1で使用したLPCVD装置の概要を図2に示す。LPCVD装置は反応室201の容積として184.5l有し、基板202は反応室中央付近に水平に設置される。原料ガス及びヘリウム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガスは必要に応じて反応室下部より反応室201内に導入され、反応室上部より排気される。石英ガラスで作られた反応室の外側には3ゾーンに分れたヒーター203が設けられて居り、それらを独立に調整する事で反応室内中央部付近に所望の温度で均熱帯を形成する。この均熱帯は約350mmの高さで広がり、その範囲内での温度のずれは、例えば600℃に設定した時0.2℃以内で有る。従って挿入基板間の間隔を5mmとすれば、1バッチで70枚の基板処理が可能で有る。」

(イ)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開2003-178992号公報(以下「周知例2」という。)には、図1とともに、以下の事項が記載されている。
「【0013】
【発明の実施の形態】[第1の実施形態]本発明がなされる前の予備的考察において、上記ボトム領域で形成された膜厚面内均一性が5?6%のボロンドープポリシリコン膜は、ウェハ中心部で厚く、外側にいくほど薄くなっていく傾向が見られた。これは、ボロンが有する成膜速度を増加させる触媒効果を考慮すると、ボトム領域ウェハ外側部分では三塩化ホウ素ガスは十分に分解しておらず、ウェハ内側方向に拡散していく際に除々に分解していることが考えられる。ウェハ面内温度分布による影響も原因として挙げられるが、成膜前温度安定化時間やボトム領域下方ダミーウェハの有無に対する膜厚面内均一性の依存性が無いことから、それは考えにくい。これらの結果から、三塩化ホウ素をボトム領域に達するまでに十分分解させることが、ボトム領域の膜厚面内均一性を改善する上で重要であるといえる。本発明は、このような考察に基づいてなされたものである。
【0014】反応ガスとしてモノシラン(SiH_(4))と三塩化ホウ素(BCl_(3))とを使用して、反応炉内でボートに複数枚のウェハを垂直方向に積層支持した状態で、炉体下部よりガスを導入し垂直方向に上昇させ、そのガスを用いて、熱CVD法により、前記ウェハ上に、ボロンドープシリコン薄膜、すなわち、ボロンドープアモルファスシリコン薄膜またはボロンドープポリシリコン薄膜を形成するホットウォール式のバッチ式縦型減圧CVD装置の構造概略図を図1に示す。」
「【0016】複数枚のウェハ4が中心をそろえて垂直方向に積層して装填された石英製のボート3はインナーチューブ2内に設置され、反応ガスにさらされた時に、気相中およびウェハ4表面での反応により、ウェハ4上に薄膜が形成される。断熱板5は、ウェハ4が存在する位置範囲内の温度を均一化するためのものである。また、図1中、9はボート回転軸である。」

(ウ)本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された特開2003-151737号公報(以下「周知例3」という。)には、図2とともに、以下の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】周知のように、半導体集積回路製造プロセスでは、酸化・拡散処理装置、気相エピタキシャル成長装置、減圧CVD装置(LPCVD装置)、アニール装置などの種々のICプロセス装置が使用されている。そして、これらでは、ICを形成する(ICを形成中又は形成しようとする)シリコンウェハ(以下、単にウェハという)の加熱処理を行うための加熱装置が備えられている。
【0003】図2は、従来技術を説明するためのものであって、加熱装置として抵抗加熱によるヒータを備えた縦型減圧CVD装置の一例を示す模式的構成説明図である。減圧CVDでは、一般に、温度400?800℃で、0.1?30Torr(約0.013kPa?4.0kPa)の圧力下で成膜が行われる。
【0004】このバッチ式の縦型減圧CVD装置は、図2に示すように、空断面円形で上部がドーム状をなす石英製の反応容器51と、この反応容器51内に配され、円筒状をなす石英製の内管54と、さらにこの内管54の内側に配され、ウェハ52を多数枚(例えば100?150枚程度)縦に並べて搭載するウェハ搭載ボード53と、マニホールド56とを備えている。さらに、この縦型減圧CVD装置は、反応容器51の外側に本例ではこれを囲繞する状態で同心状に配設された円筒状をなすヒータ55を備えている。前記反応容器51、内管54、ウェハ搭載ボード53及びヒータ55は、軸線を同じにして設けられる。マニホールド56には、反応容器51と内管54が載置されるとともに、ウェハ搭載ボード53が図示しない保温筒を介して載置されるようになっている。また、マニホールド56は、内管54の内側に反応ガスなどを導入するガスインジェクタ57a,57bを備えるとともに、反応後のガスあるいは未反応ガスを反応容器51から排出させるガス排気口58を有している。」

そうすると、刊行物発明において、「反応管」に換えて、従来から周知の「バッチタイプ処理チャンバ-」を使用することより、本願発明のように、「基板ホルダーに鉛直に積み重られた一群の基板を処理システムのバッチタイプ処理チャンバーに供給する」構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、上記相違点は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものである。

(2)以上検討したとおり、本願発明と刊行物発明との相違点は、当業者が容易になし得た範囲に含まれる程度のものにすぎず、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-05 
結審通知日 2014-09-09 
審決日 2014-09-24 
出願番号 特願2010-284653(P2010-284653)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 徹  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 小野田 誠
恩田 春香
発明の名称 ヘキサクロロシランからのシリコン含有膜の堆積  
代理人 鈴江 正二  
代理人 河野 哲  
代理人 特許業務法人スズエ国際特許事務所  
代理人 村松 貞男  
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