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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A47L
管理番号 1293921
審判番号 訂正2014-390137  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2014-09-12 
確定日 2014-11-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4546015号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4546015号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第4546015号(以下「本件特許」という。)は、2001年3月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2000年3月31日 (GB)英国)を国際出願日として出願された特願2001-572220号であって、その請求項1?8に係る発明について平成22年7月9日に特許権の設定登録がされ、平成26年9月12日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨
1 本件審判請求の趣旨は、特許第4546015号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。

2 請求人が求めている訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。
(1)請求項1?8からなる一群の請求項に係る訂正
訂正の目的:誤訳の訂正
訂正事項1:
特許請求の範囲の請求項1に「これらは相互に平行に配置され」とあるのを「これらは相互に並列に配置され」に訂正する。
(請求項1の記載を直接・間接に引用する請求項2?8からなる一群の請求項についても同様に訂正する。)
訂正事項2:
願書に添付した明細書の段落【0004】に「これらは相互に平行に配置され」とあるのを、「これらは相互に並列に配置され」に訂正する。
(2)明細書の段落【0002】に係る訂正
訂正の目的:誤訳の訂正
訂正事項3:
願書に添付した明細書の段落【0002】に「これらが相互に平行に配置されている」とあるのを、「これらが相互に並列に配置されている」に訂正する。

第3 当審の判断
1 はじめに
本件特許に係る出願(特願2001-572220号)は、特許法第184条の4第1項の「外国語特許出願」である国際出願PCT/GB2001/001199(以下「本件国際出願」という。)が、同法第184条の3第1項の規定により特許出願とみなされたものである。
したがって、本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5項を適用する際の「外国語書面出願」及び「外国語書面」は、同法第184条の19の規定により、それぞれ「第184条の4第1項の外国語特許出願」及び「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となるので、同法第126条第5項で規定する「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、「第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」となる。すなわち、本件訂正審判に係る訂正事項のうち、特許法第126条1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とするものについて、同条第5項を適用する際の「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」は、国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面となる(「国際出願日における本件国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」を、以下単に「基準明細書」という。)。
以下、これを踏まえて検討する。

2 訂正事項1について
(1)訂正の目的及び新規事項の追加について
基準明細書における、本件特許の請求項1の「上流サイクロン分離器及び複数の下流サイクロン分離器を備えていて、これらは相互に平行に配置され」という記載に対応する箇所には、次の記載がある。
「an upstream cyclonic separator and a plurality of downstream cyclonic separators arranged in parallel with one another」(本件国際出願の国際公開公報であるWO2001/074493のClaims1参照)
ここで、“in parallel”という英語は、「(1)[・・・と]並行に[with];[・・・と]同時に[with].(2)『電気』[・・・と]並列(接続)に[with](←→in series).」(研究社新英和大辞典 第5版 1533頁)、「(1)『電気』並列(接続)で.(2)同時に.」(小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版 1972頁)という意味である。また、「これらは相互に平行に配置され」という記載では、請求項1の「各々の下流サイクロン分離器の縦軸は、上流サイクロン分離器の縦軸に対して傾けられていて」という記載と技術的な矛盾が生じることとなる。
そうすると、訂正事項1は、“in parallel”の誤訳である「平行」を、本来の意味である「並列」に訂正し、特許請求の範囲の請求項1に「これらは相互に平行に配置され」とあるのを「これらは相互に並列に配置され」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものといえる。また、基準明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項の規定に適合するものである。
(2)特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1は、基準明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正後の発明の独立特許要件について
訂正事項1により、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

3 訂正事項2について
(1)訂正の目的及び新規事項の追加について
基準明細書における、本件特許明細書の「上流サイクロン分離器及び複数の下流サイクロン分離器を備えていて、これらは相互に平行に配置され」(【0004】)という記載に対応する箇所には、次の記載がある。
「an upstream cyclonic separator and a plurality of downstream cyclonic separators arranged in parallel with one another」(WO2001/074493の第2頁第2?3行参照)
“in parallel”という英語の意味は上記2(1)で述べたとおりである。また、「これらは相互に平行に配置され」という記載では、請求項1の「各々の下流サイクロン分離器の縦軸は、上流サイクロン分離器の縦軸に対して傾けられていて」という記載と技術的な矛盾が生じることとなる。
そうすると、訂正事項2は、“in parallel”の誤訳である「平行」を、本来の意味である「並列」に訂正し、明細書の段落【0004】に「これらは相互に平行に配置され」とあるのを「これらは相互に並列に配置され」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものといえる。また、基準明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項の規定に適合するものである。
(2)特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2は、基準明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正後の発明の独立特許要件について
訂正事項2により、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

4 訂正事項3について
(1)訂正の目的及び新規事項の追加について
基準明細書における、本件特許明細書の「電気掃除機に、複数のより小さい下流サイクロン分離器と結合した上流サイクロン分離器と、前記下流サイクロン分離器とが備えられていて、これらが相互に平行に配置されていることも知られている。」(【0002】)という記載に対応する箇所には、次の記載がある。
「It is also known to provide, in vacuum cleaning apparatus, an upstream cyclonic separator in combination with a plurality of smaller, downstream cyclonic separators, the downstream cyclonic separators being arranged in parallel with one another.」(WO2001/074493の第1頁第10?13行参照)
“in parallel”という英語の意味は上記2(1)で述べたとおりであるから、訂正事項3は、“in parallel”の誤訳である「平行」を、本来の意味である「並列」に訂正し、明細書の段落【0002】に「これらが相互に平行に配置されている」とあるのを「これらが相互に並列に配置されている」に訂正しようとするものである。
よって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものといえる。また、基準明細書に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから、同法同条第5項の規定に適合するものである。
(2)特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項3は、基準明細書の記載についての誤訳を訂正するものであって、訂正の前後で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正後の発明の独立特許要件について
訂正事項3により、訂正後の特許請求の範囲の請求項1?8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする理由は見出せないから、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
流体の流れから粒子を分離する装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】空気の流れからごみ及びほこりの粒子を分離する装置を組み込んだ家庭用電気掃除機において、上流サイクロン分離器及び複数の下流サイクロン分離器を備えていて、これらは相互に並列に配置され、各々の下流サイクロン分離器は、一部が、上流サイクロン分離器の内部に突き出ていて、各々の下流サイクロン分離器の縦軸は、上流サイクロン分離器の縦軸に対して傾けられていて、下方向で相互に近づいていることを特徴とする家庭用電気掃除機。
【請求項2】前記上流サイクロン分離器は、それに対する接線方向もしくは渦巻状の入口を有する、ほぼ円筒形のチャンバを備えていることを特徴とする請求項1に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項3】前記上流サイクロン分離器は、それに対する接線方向もしくは渦巻状の入口を有する、外側に向かってテーパが付けられたチャンバを備えていることを特徴とする請求項1に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項4】前記上流サイクロン分離器は、それに対する接線方向もしくは渦巻状の入口を有する、内側に向かってテーパが付けられたチャンバを備えていることを特徴とする請求項1に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項5】各々の下流サイクロン分離器は、円錐台形状のテーパが付けられたサイクロンを備えていることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項6】各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さのほぼ3分の1に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ていることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項7】各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さのほぼ半分に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ていることを特徴とする請求項6に記載の家庭用電気掃除機。
【請求項8】各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さのほぼ3分の2に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ていることを特徴とする請求項7に記載の家庭用電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の流れから粒子を分離する装置に関する。本発明は、特に、しかしもっぱらにではなく、気流から、粒子、例えば、ごみやほこりの粒子を分離する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
サイクロン分離器を用いて、流体の流れから、粒子、例えば、ごみやほこりの粒子を分離することは、よく知られている。既知のサイクロン分離器は、例えば、電気掃除機に用いられ、けばや比較的大きい粒子を分離するための低効率サイクロンと、この低効率サイクロンの下流に配置され、気流の中で引きずられたままであった細かい粒子を分離するための高効率サイクロンとを備えていることも知られていた(例えば、欧州特許第0 042 723B号を参照せよ)。電気掃除機に、複数のより小さい下流サイクロン分離器と結合した上流サイクロン分離器と、前記下流サイクロン分離器とが備えられていて、これらが相互に並列に配置されていることも知られている。このタイプの配置は、デービスに対する米国特許第3,425,192号に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電気掃除機への応用において、特に、家庭用電気掃除機への応用において、この器具は、器具の性能を損なわない範囲で、できる限り小型にされることが望ましい。また、できる限り効率的であること(すなわち、できる限り高い割合で、気流から非常に細かいほこりの粒子を分離すること)は、器具に内蔵された分離装置の効率のために望ましい。従って、本発明の目的は、流体の流れから粒子を分離する改良された装置を提供することである。本発明の更なる目的は、改良された分離効率または圧力降下を有し、かつ小型の構成を有する流体の流れから粒子を分離する装置を提供することである。発明の更なる目的は、流体の流れから粒子を分離する、家庭用電気掃除機に用いるのに適した改良された装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、流体の流れから粒子を分離する装置を提供し、この装置は、上流サイクロン分離器及び複数の下流サイクロン分離器を備えていて、これらは相互に並列に配置され、各々の下流サイクロン分離器は、少なくとも一部が、上流サイクロン分離器の内部に突き出ている。
【0005】
本発明の配置は、同時に複数設けられたサイクロンによって達成可能な高い分離効率を活用し、また、同時に、上流及び下流サイクロン分離器の組合せが、小型化を可能にしている。これは、この装置を、家庭用電気掃除機のような器具に利用することを可能にする。
【0006】
各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さの少なくとも3分の1に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ているのが好ましい。各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さの少なくとも半分に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ているのが更に好ましい。各々の下流サイクロン分離器は、それぞれの下流サイクロン分離器の長さの少なくとも3分の2に等しい距離だけ、上流サイクロン分離器の内部に突き出ているのが更に好ましい。好ましい実施形態においては、各々の下流サイクロン分離器は、ほぼ完全に、上流サイクロン分離器の中に配置されている。これらの配置は、便利かつ小型なパッケージという解決を生む。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付の図を参照して説明する。
【0008】
図1に、本発明の基本原理を示す。図1に示したように、流体の流れから粒子を分離する装置10は、上端面14及び底面16を有する上流サイクロン12を備えている。側壁18は、上端面14と底面16の間に広がっている。側壁18は、円錐台形(frusto-conical)であり、これにより、上流サイクロン12は、上端面14から離れるに従って、外側に向かってテーパ(taper)が付けられている。接線方向の吸気口20が、上端面14に隣接する側壁18に設けられている。この接線方向の吸気口20は、粒子を含んだ流体を、上流サイクロン12の内部における、側壁18の接線方向に送ることができ、これにより、上流サイクロン12の内部に、渦を巻く流れを引き起こす。この装置10を用いることが想定される多くの応用において、流体は空気であり、粒子は家庭の環境で見つかるような、ごみやほこりである。
【0009】
上流サイクロン12は、上端面14の中心に(図示していない)排気口を有していて、この排気口は、上流サイクロン12の内部に通じている。排気口は、ほぼ円筒形のパイプを備えていて、このパイプは、上流サイクロン12の上端面14から垂直に上向きに伸びている。排気口は、対称かつ均一な4つの導入管24に分かれる。各導入管24は、上流サイクロン12から排気口を通って流れてきた流体の流れの4分の1を受け取るように、寸法および配置が決められている。
【0010】
各導入管24は、下流サイクロン26に通じている。各下流サイクロン26は、上側円筒部28を有していて、ここに、それぞれの導入管24が、接線方向から通じている。円錐台形のサイクロン部30が、各上側円筒部28から垂れ下がっていて、そこから離れた位置に、円錐の開口32が開いている。各下流サイクロン26は、(図示していない)縦軸を有していて、この縦軸を中心として、それぞれの上側円筒部28及び円錐台形のサイクロン部30が配置されている。4つの下流サイクロン26は、垂直に対して傾けられていて、これらの縦軸は、下方向で相互に近づいている。従って、円錐の開口32は、相互に接近していて、かつ、上流サイクロン12の縦軸を中心に対称な配置となっている。
【0011】
各々の円錐台形のサイクロン部30は、上流サイクロン12の上端面14を通り抜けている。上端面14には、4つの適切な寸法の開口31が設けられている。各々の円錐台形のサイクロン部30は、それぞれの開口31の縁に固定されていて、かつ、それらの間は密閉されている。
【0012】
円筒形の収集器34が、上流サイクロン12の中に配置されている。円筒形の収集器34は、上流サイクロン12の底面16と、円錐台形のサイクロン部30との間に伸びていて、僅かに円錐の開口32を越えた位置で、下流サイクロン26の円錐台形のサイクロン部30に接している。図1には示していないが、円筒形の収集器34は、上面を有しており、この面を、円錐台形のサイクロン部30の下端が通り抜けていて、円筒形の収集器34の内部と、残りの上流サイクロン12の内部との間は密閉されている。
【0013】
4つの下流サイクロン26の各々は、それぞれの上側円筒部28の中心に設置された導出管36を有している。この導出管36は、合流点38で合流し、合同排気口40を形成している。接線方向の吸気口20から装置10に導入された流体は、合同排気口40から排出される。いくつかの応用において、例えば、電気掃除機への応用において、合同排気口40は、既知の方法で真空源に接続されている。
【0014】
上述した装置10は、以下の方法で動作する。粒子を引きずっている流体の流れは、接線方向の吸気口20から装置10に導入される。接線方向の吸気口20の方向によって、流体の流れは、上流サイクロン12の中で、らせん形の経路をたどり、その結果、底面16の方へ下降する。導入された流体の流れに引きずられた比較的大きい粒子は、上流サイクロン12の内部の底面16に隣接する低部に堆積する。より小さい粒子が引きずられたままの流体の流れは、内側へ進み、そして、上流サイクロン12の上端面14に向かって上昇する。流体の流れは、(図示していない)排気口経由で上流サイクロン12から排出され、前記排気口に沿って進み、やがて4つの別々の流体の流れに分割され、導入管24に沿って下流サイクロン26に向かって進む。流体の流れの各部分は、それぞれの下流サイクロン26の上側円筒部28に達すると、導入管24が接線方向になっているので、再び、その中で、らせん形の経路をたどる。流体の流れは、それから更に、らせん形の経路をたどって、下流サイクロン26の円錐台形のサイクロン部30を下り、この期間に、多くの細かい粒子が、流体の流れから分離される。分離された細かい粒子は、円筒形の収集器34の中に堆積し、同時に、粒子を含まない流体が、下流サイクロン26から導出管36経由で排出される。別々の流体の流れは、合流点38で再び合流し、装置10から合同排気口40経由で排出される。
【0015】
この実施形態において、下流サイクロン26は、各下流サイクロン26の長さの約3分の1が上流サイクロン12の中に位置する程度まで、上流サイクロン12の内部に突き出ている。この配置は、小型かつ効率的なので、寸法を、できる限り小さくする必要がある応用例に用いるのに適している。このような応用例としては、家庭用電気掃除機があり、この電気掃除機においては、寸法及び重量を考慮することが、かなり重要である。このような応用例において、合同排気口40は真空源に連結され、かつ接線方向の吸気口20は、電気掃除機の汚れた空気の吸気口に連結される。シリンダ型の(cylinder)電気掃除機において、汚れた空気の吸気口は、ホースと棒の組合せの形をとる。直立型の電気掃除機において、汚れた空気の吸気口は、電気掃除機全体の一部を形成するクリーナーヘッドの形をとる。これらの配置は、もちろん、直立型の電気掃除機における、シリンダモードでの操作への変換のために、なされてもよい。電気掃除機の操作モードは、上述した装置に対して影響を与えない。
【0016】
全ての電気掃除機への応用において、上述した装置10は、分離された粒子を定期的に空にすることが必要である。これを行うための1つの方法は、空にする目的のために、底面16を、側壁18から取り外し可能にすることである。この場合、円筒形の収集器34が、主に、底面16に隣接する円筒形の壁で形成されるならば、特に有利である。従って、円筒形の収集器34の内部は、底面16によって、その下端の境界を定められている。これは、円筒形の収集器34と、残りの上流サイクロン12との両方を、同時に空にすることを可能にする。その代りに、上流サイクロン12を、上端面14と底面16の間の、なるべく上端面14の近くの位置で分離可能にしておいてもよい。分離する位置は、上端面14と、接線方向の吸気口20を組み込んでいる側壁18の一部とを、下流サイクロン26と共に、円筒形の収集器34と一体になった残りの側壁18から分離できる位置にすると都合がよい。
【0017】
図2a及び2bに、本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態において、上流サイクロン112は、やはり、上端面114及び底面116を有している。側壁118が円筒形なので、上流サイクロン112の全体の形もまた円筒形である。接線方向の吸気口120は、やはり、上流サイクロン112の上端面114に隣接して設けられている。
【0018】
この第2の実施形態においては、下流サイクロン126が、2つだけ設けられている。従って、上流サイクロン112からの排気口122は、2本のみの別々の導入管124に分割されている。各導入管124は、それぞれの下流サイクロン126の上側円筒部128に、接線方向から連絡している。
【0019】
この実施形態において、各下流サイクロンの縦軸142は、上流サイクロン122の縦軸144と平行になっている。各下流サイクロン126は、円錐台形のサイクロン部130から垂れ下がっている、ほぼ円筒形の収集器134を有している。各々の円筒形の収集器134は、円錐の開口132のすぐ上の円錐台形のサイクロン部130から下方向に、上流サイクロン112の底面116まで伸びている。また、各下流サイクロン126は、導出管136を有していて、これは、それぞれの上側円筒部128の中心に位置していて、他の導出管136と合流して、合同排気口140を形成している。
【0020】
図2a及び2bに示した装置110の動作は、図1に示した装置10の動作と似ている。分離しなければならない粒子を引きずっている流体は、接線方向の吸気口120経由でサイクロン112に導入される。この流体は、らせん形の経路をたどって上流サイクロン112の円筒形の側壁118を下り、より大きい粒子が、上流サイクロン112内の底面116に隣接する位置に堆積する。部分的にきれいにされた流体は、次に、上流サイクロン112から排気口122経由で排出され、そして、この流体の流れは、2つの別々の流体の流れに分割される。別々の流体の流れの各々は、次に、下流サイクロン126に導入され、この中で、流体の流れは、上側円筒部128及び円錐台形のサイクロン部130の周囲のらせん形の経路をたどり、この間、流体の流れは、高い角速度まで加速される。この方法で、細かい粒子が、流体の流れから分離され、円筒形の収集器134内に堆積する。きれいにされた流体の流れは、導出管136及びこれに続く合同排気口140経由で、下流サイクロン126から排出される。
【0021】
図2aから分かるように、下流サイクロン126は、上端面114を貫通して上流サイクロン112内に突き出ている。この配置は、各下流サイクロン126の長さの約3分の2が上流サイクロン112の内部に位置する程度まで、下流サイクロン126が上流サイクロン112内に突き出ている。この配置は、非常に小型かつ有益であり、上流サイクロン112の効率が、影響がある程度まで損なわれることはない。その他の点において、装置110は、図1に示し、かつ上述した装置10と同様である。
【0022】
図3a及び3bに、本発明の第3の実施形態を示す。この実施形態においては、図1に示した実施形態と同様に、装置210は、上流サイクロン212及び4つの下流サイクロン226を有している。また、図1に示したように、下流サイクロン226の縦軸242は、上流サイクロン212の縦軸244に対して傾けられている。図1に示した実施形態と、図3a及び3bに示した実施形態との間の更なる類似点は、4つの下流サイクロン226の全てが、円錐の開口232を有していて、これらが、単一の円筒形の収集器234によって囲まれ、かつ密閉されていることである。
【0023】
図1に示した装置10と、図3a及び3bに示した装置210との間には、2つの大きな相違点がある。図3a及び3bに示した装置210においては、上流サイクロン212の側壁218は円錐台形であり、上端面214から底面216の方へ至るにつれて、内側に向かってテーパが付けられている。すなわち、上流サイクロン212の内部は、ほぼ内側に向かってテーパが付けられた形状をしている。
【0024】
図1に示した装置10と、図3a及び3bに示した装置210との間の第2の相違点は、図3a及び3bに示した装置210においては、各下流サイクロン226の約半分が上流サイクロン212の中に位置する程度まで、各下流サイクロン226が上流サイクロン212の内部に突き出ている点である。これは、上流サイクロン212の内側に向かってテーパが付けられた形状と相まって、この装置210に、更に小型で経済的な配置をもたらしている。
【0025】
装置210の動作は、詳細に前述した装置の動作と似ている。
【0026】
図4a及び4bに、本発明による装置の第4の実施形態を示す。この実施形態において、装置310は、上端面314及び底面316を有する上流サイクロン312を備えている。底面316は、中心の円形部316aと、この中心の円形部316aから上方向に伸びている円錐台形の部分316bとを備えている。円筒形の側壁318が、底面316の円錐台形の部分316bと、上端面314との間に伸びている。接線方向の吸気口320は、図4aに示したように、伸ばされた形を有している。
【0027】
上流サイクロン312は、上端面314の中心に配置された排気口322を有している。この排気口322は、上端面314の直下で、かつ、その中心に配置された円筒形のチャンバ322aを備えている。垂れ下がっている管322bは、前記チャンバ322aと連絡していて、そこから底面316の方へ伸びている。垂れ下がっている管322bは、その下端が開いていて、上流サイクロン312の内部と連絡している。
【0028】
9個の下流サイクロン326が、チャンバ322aの周囲であって、かつ上流サイクロン312の上端面314の直下に、等間隔に配置されている。導入管324は、チャンバ322aと、各下流サイクロン326の上側円筒部328との間に伸びている。各下流サイクロン326の上側円筒部328は、その上端が、上流サイクロン312の上端面314によって閉じられている。前述した実施形態と同様に、各導入管324は、各下流サイクロン326に導入される流体が、接線方向から導入されるように、それぞれの上側円筒部328と連絡している。各導入管324の上流端は、チャンバ322aと連絡していて、接線方向の排気管を形成している(図4bを参照せよ)。
【0029】
各下流サイクロン326は、円錐台形のサイクロン部330を有していて、これは、その上側円筒部328から垂れ下がっている。各々の円錐台形のサイクロン部330の下端には、円錐の開口332が設けられている。収集器334は、全ての円錐の開口332を囲み、かつ密閉していて、これにより、9個全ての下流サイクロン326は、収集器334の内部に、分離された粒子を堆積することができる。収集器334は、形がほぼ円錐台形であり、上面334aを有していて、この上面334aは、下流サイクロン326の円錐台形のサイクロン部330の下端を受けている。従って、円錐台形のサイクロン部330は、収集器334の内部に移行している。また、上面334aは、収集器334の内部を、残りの上流サイクロン312の内部から分離している。
【0030】
各下流サイクロン326は、その上側円筒部328の中心に配置された導出管336を有している。各導出管336は、上流サイクロン312の上端面314を貫通している。前記の実施形態と同様に、導出管336は合流点338で合流し、合同排気口340を形成している。
【0031】
装置310の動作は、前述した装置と似ている。粒子を引きずっている流体は、接線方向の吸気口320経由で装置310に導入される。流体(及び引きずられた粒子)は、上流サイクロン312の内部の周囲で、ほぼらせん形の経路をたどり、側壁318を下って、底面316の方に向かう。より大きい粒子が、上流サイクロン312の内部の、収集器334の円錐台形の壁と底面316の円錐台形の部分316bとの間で、流体の流れから分離され、かつ集められる。部分的にきれいにされた流体の流れは、内側に進み、そして下流サイクロン326の間を上方向に進み、やがて、上流サイクロン312から、排気口322の垂れ下がっている管322b経由で排出される。流体の流れは、次にチャンバ322aに導入され、上流サイクロン312の縦軸を中心として、ある程度回転し、導入管324を経由して9個のほぼ同等の流体の流れに分割される。各々の流体の流れは、次に、下流サイクロン326のうちの1つの上側円筒部328に導入される。それぞれの下流サイクロン326の中で、流体の流れは、ほぼらせん形の経路をたどり、円錐台形のサイクロン部330を下り、円錐の開口332に至るまでに角速度が増加する。細かい粒子が、この処理の間に、流体の流れから分離され、これらの粒子は、収集器334内に堆積する。同時に、きれいにされた流体の流れが、導出管336経由で、下流サイクロン326から排出される。9個の個々の流体の流れは、合流点338で再び合流し、合同排気口340経由で装置310から排出される。
【0032】
図4aに明示したように、各下流サイクロン326は、完全に、上流サイクロン312の中に配置されている。この配置は、特に、小型で、シリンダ型の電気掃除機のようなものへの応用に有益である。いくつかの特徴は、特に有利である。底面316が円錐台形の部分を有しているので、装置310全体を、垂直に対して傾けることが可能になっており、かつ、これによって過度に装置の全体の高さが損なわれることはない。また、収集器334の円錐台形という形状は、大きい粒子及び破片を集めるための、上流サイクロン312の内部の部分の容積を増加させている。これは、電気掃除機への応用において、装置310を、空にすることを要求されることなく、かなりの時間、使うことを可能にする。
【0033】
前記の実施形態と同様に、図4a及び4bに示した装置310は、単に、上流サイクロン312の一部(収集器334と一体になった側壁318の大部分であれば都合がよい)を取り外すことによって、空にすることができる。
【0034】
図5a及び5bに、第5の実施形態を示す。これは、図4a及び4bに示し、かつ上述した第4の実施形態と非常に似ている。実に、第4と第5の実施形態の間の唯一の相違点は、下流サイクロン426内で分離された粒子が堆積する収集器434の形状である。第4の実施形態の一部を形成していた収集器334は、形状がほぼ円錐形であったのに対して、第5の実施形態の一部を形成している収集器434は、形状がほぼ環状である。この収集器434は、外壁434a及び内壁434bを有していて、これらは、上流サイクロン412の底面416から上方向に伸びている。下流サイクロン426は、外壁434aと内壁434bの間の環状のすきまの中へ、外壁434a及び内壁434bの最上端より下の高さまで突き出ている。容器434の下流サイクロン426間の最上面は、下流サイクロン426が貫通するように配置された蓋部434cによって閉じられている。下流サイクロン426が図5aに示したような配置にされるとき、(図示していない)密封材が蓋部434c上に設けられ、下流サイクロン426の外面と協働する。この装置は、図4a及び4bの装置の動作と非常に似た方法で動作するが、図5a及び5bの下流サイクロン426内で分離されたごみやほこりが、図4a及び4bの円錐形の収集器334の代りに、環状の収集器434の中に集められる点が異なっている。容器434を空にすることが必要になったら、下流サイクロン426が容器434の内部から引き出され、かつ内壁434b及び外壁434aと一体になった上流サイクロン412が逆さにされ、これにより蓄積されたごみやほこりが適切な方法で処理される。
【0035】
前述した4つの実施形態から、本発明が、上流サイクロンの形状、或いは下流サイクロンがその内部に突き出ている範囲によって限定されないことは明らかである。更に、上述した装置を空にするために、都合がよい、いかなる方法を用いてもよい。また、当業者にとっては、流体の流れを分割し、かつ再び合流させる手段が、発明の基本的な様相に対して、本質的な影響を与えないことは明らかである。従って、これら、及び、他の様相の、説明した実施形態に対する修正及び変形は、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による装置の概略を示す斜視図である。
【図2a】本発明の第2の実施形態による装置の縦断面図である。
【図2b】図2aのラインII-IIに沿った断面図である。
【図3a】本発明の第3の実施形態による装置の縦断面図である。
【図3b】図3aのラインIII-IIIに沿った断面図である。
【図4a】本発明の第4の実施形態による装置の縦断面図であり、図4bのラインIV-IVが記入されている。
【図4b】図4aのラインIV-IVに沿った横断面図である。
【図5a】本発明の第5の実施形態による装置の縦断面図であり、図5bのラインV-Vが記入されている。
【図5b】図5aのラインV-Vに沿った横断面図である。
【符号の説明】
10、110、210、310 装置
12、112、212、312 上流サイクロン分離器
26、126、226、326 下流サイクロン分離器
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2014-10-28 
出願番号 特願2001-572220(P2001-572220)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A47L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 茂夫  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 山崎 勝司
千壽 哲郎
登録日 2010-07-09 
登録番号 特許第4546015号(P4546015)
発明の名称 流体の流れから粒子を分離する装置  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 鈴木 博子  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 鈴木 博子  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 井野 砂里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 井野 砂里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 倉澤 伊知郎  
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