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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1294156 |
審判番号 | 不服2013-6188 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-04 |
確定日 | 2014-11-19 |
事件の表示 | 特願2007-337479「ユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年11月13日出願公開、特開2008-276737〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年12月27日(パリ条約による優先権主張2007年4月25日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成24年5月24日付けで拒絶理由の通知がなされ、同年8月28日付けで手続補正書の提出がなされ、同年11月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成25年4月4日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書の提出がなされ、当審において、同年9月13日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、同年12月13日付けで回答書の提出がなされたものである。 第2 平成25年4月4日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成25年4月4日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成25年4月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項を含むものである。 そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。 <補正前の請求項1> 「電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法において、 ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報を確認するために、装置とユーザーとの相互作用をモニタリングするステップと、 前記確認された情報に基づいてキー情報を決定するステップと、 前記キー情報に基づいてユーザーの潜在的な関心情報の利用可能なソースを探索するステップとを含み、 前記確認された情報は、前記確認された情報と連結された閉鎖字幕情報を有し、 前記キー情報を決定するステップは、前記閉鎖字幕をテキストに変換し、前記変換されたテキストで不用語が除去された結果から決定する ことを特徴とする電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法。」 <補正後の請求項1> 「電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法において、 ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報を確認するために、前記装置と前記ユーザーとの相互作用をモニタリングするステップと、 前記確認された情報に基づいてキー情報を決定するステップと、 前記キー情報に基づいて前記ユーザーの潜在的な関心情報の利用可能なソースを探索するステップとを含み、 前記確認された情報は、前記装置を通じて前記ユーザーによるアクセスのために選択されたコンテンツに関わる閉鎖字幕情報を含み、 前記キー情報を決定するステップは、 前記閉鎖字幕情報をテキストに変換するステップと、 前記テキストで不用語を除去するステップと、 前記ユーザーの関心キーワード及びキーフレーズを決定するために前記テキストを分析するステップとを含むことを特徴とする電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法。」 2.本件補正に対する判断 本件補正では、補正前の請求項1に記載した発明の「確認された情報」を「前記確認された情報と連結された閉鎖字幕情報を有」するものから「前記装置を通じて前記ユーザーによるアクセスのために選択されたコンテンツに関わる閉鎖字幕情報を含」むものに限定し、「キー情報を決定するステップ」を「前記閉鎖字幕をテキストに変換し、前記変換されたテキストで不用語が除去された結果から決定する」ものから「前記閉鎖字幕情報をテキストに変換するステップと、前記テキストで不用語を除去するステップと、前記ユーザーの関心キーワード及びキーフレーズを決定するために前記テキストを分析するステップとを含む」ものに限定したものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 2.1 補正後の発明 本件補正発明は、上記「1.」の<補正後の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2.2 引用文献 (1)引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-186426号公報(以下、「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。 A.「【0001】 本発明は、ユーザが映像視聴中または視聴後に内容を確認および検索する手間を軽減するために映像情報に含まれる内容に関連する情報を検索および表示する情報検索表示装置、情報検索表示方法および情報検索表示プログラムに関するものである。」 B.「【0015】 図1は、第1の実施の形態にかかる情報検索表示装置100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報検索表示装置100は、関連情報検索部110と、入力部121と、検索要求取得部122と、表示制御部123と、表示部124とを備えている。また、第1の実施の形態にかかる情報検索表示装置100は、ハードディスクドライブ装置(HDD:Hard Disk Drive)に視聴履歴記憶部130と、嗜好キーワード記憶部131と、検索履歴記憶部132と、映像情報記憶部140とを備えている。視聴履歴記憶部130、嗜好キーワード記憶部131、検索履歴記憶部132が、本発明におけるユーザ嗜好情報記憶手段に相当する。 【0016】 第1の実施の形態にかかる情報検索表示装置100は、インターネット101に接続され、後述する検索部115により、インターネット101に接続された検索システムから関連情報を検索する。 【0017】 関連情報検索部110は、ユーザによる映像情報に関連する情報の検索要求に応じて、映像情報の関連情報の検索処理を実行し、検索結果を嗜好キーワード記憶部131および検索履歴記憶部132に記憶するものであり、メタデータ取得部111と、音声認識部112と、画像認識部113と、検索キーワード生成部114と、検索部115と、意味解析部116と、検索結果選択部117とを備えている。 【0018】 メタデータ取得部111は、映像情報に付与されているメタデータを、映像情報から取得し、テキストデータとして出力する。ここで、メタデータとは、映像を提供する放送事業者等により予め埋め込まれた映像情報に関連する情報をいい、例えば、番組のタイトル、番組のジャンル、番組の概要、番組の制作日などが該当する。 【0019】 音声認識部112は、映像情報中の音声または音楽を認識し、認識された音声または認識された音楽の曲名をテキストデータとして出力する。画像認識部113は、映像中の人物、建物、テロップなどの部分画像を認識し、認識した部分画像の範囲と認識結果の内容を表すテキストデータを出力する。 【0020】 検索キーワード生成部114は、メタデータ取得部111、音声認識部112、画像認識部113によって出力されたテキストデータを単語に分割し、検索時に使用する検索キーワードを生成する。 【0021】 検索部115は、検索キーワード生成部114が生成した検索キーワードを使用して、検索キーワードを含む情報または検索キーワードに関連する情報を、ネットワークに接続されたデータベースまたはインターネット等により接続された検索システムから検索する。 【0022】 意味解析部116は、検索部115が検索した関連情報を解析し、番組の文脈にあった意味属性を付与する。 【0023】 検索結果選択部117は、意味解析部116が解析し、意味属性を付与した関連情報から、視聴履歴記憶部130、嗜好キーワード記憶部131、検索履歴記憶部132に記憶されているユーザ嗜好情報を参照してユーザ嗜好情報に関連する関連情報を選択する。 【0024】 入力部121は、ユーザが検索要求を入力するための操作端末であり、例えば、テレビのリモコンなどが該当する。入力部121は、ユーザを識別するユーザ認証手段を備えている。例えば、個々のユーザが固有の端末を所持することによりユーザを識別するように構成してもよいし、端末にパスワード入力などの一般的なユーザ認証手段を備えるように構成してもよい。 【0025】 検索要求取得部122は、ユーザが入力部121から入力した検索要求を受け取り、関連情報検索部110に送信する。表示部124は、映像情報や、映像情報を基に検索した関連情報を表示する。表示制御部123は、表示部124への映像情報や関連情報の表示の制御を行う。 【0026】 視聴履歴記憶部130は、ユーザによる映像情報の視聴の履歴を記憶する。図2は、視聴履歴記憶部130の構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、視聴履歴記憶部130は、視聴したユーザ、視聴した日付、視聴した時刻、視聴したチャンネル、視聴した番組名を格納している。 【0027】 嗜好キーワード記憶部131は、ユーザの嗜好を表すキーワードを記憶する。図3は、嗜好キーワード記憶部131の構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、嗜好キーワード記憶部131は、ユーザごとに、ユーザの嗜好を表すキーワードを格納している。キーワードとしては、例えば、“野球”、“時代劇”、“ニュース”、“料理”、“グルメ”などの番組のジャンルや、出演者名などの項目を格納する。 【0028】 嗜好キーワード記憶部131は、ユーザが入力部121により指定したキーワードを登録するように構成してもよいし、ユーザが番組を視聴したときや、関連情報を検索したときに、番組名や関連情報からキーワードを抽出して、自動的に登録するように構成してもよい。」 C.「【0032】 映像情報記憶部140は、放送された映像を録画した映像情報などを記憶する。映像情報には、静止画像、動画像、音声、音楽、テキスト記述されたメタデータが含まれる。」 D.「【0033】 次に、このように構成された第1の実施の形態にかかる情報検索表示装置100による情報検索表示処理について説明する。図5は、第1の実施の形態にかかる情報検索表示装置100おいて、関連情報を検索し表示する処理の全体の流れを示すフローチャートである。 【0034】 まず、ユーザが入力部121から関連情報の検索要求を入力すると、検索要求取得部122が、入力部121から関連情報の検索要求を受付ける(ステップS501)。次に、関連情報検索部110により関連情報検索処理が実行され(ステップS502)、表示制御部123により、関連情報表示処理が実行される(ステップS503)。関連情報検索処理、関連情報表示処理の詳細については後述する。 【0035】 図6は、図5において示したステップS502の関連情報検索処理の流れを示すフローチャートである。以下、関連情報検索処理の詳細について説明する。 【0036】 まず、メタデータ取得部111が、検索が要求された映像情報から、当該映像情報に付与されているメタデータをテキストデータとして取得する(ステップS601)。次に、音声認識部112が、映像情報に含まれる音声を認識し、認識結果をテキストデータとして取得する(ステップS602)。音声認識の方法としては、音声を周波数分析し、単語辞書等を参照しながら音素認識、単語認識、文認識を行う方法など、一般的な音声認識のいずれにより構成してもよい。 【0037】 次に、画像認識部113が、映像情報に含まれる人物、建物、テロップなどの部分画像を認識し、認識した部分画像の範囲とともに、認識結果をテキストデータとして取得する(ステップS603)。ここで、画像認識には、画像内に存在する物体が何であるかを認識するパターン認識と、画像内に存在する文字を認識する文字認識の両方を含む。画像認識の方法としては、最短距離法、相互相関法、フーリエ位相相関法などの一般的な画像認識方法のいずれにより構成してもよい。 【0038】 次に、検索キーワード生成部114が、メタデータ取得部111、音声認識部112、画像認識部113がそれぞれ取得したテキストデータを単語に分割し、検索に使用する検索キーワードを生成する(ステップS604)。例えば、一般的な形態素解析技術を適用し、テキストデータを形態素に分割し、自立語を抽出して検索キーワードとするように構成することができる。また、メタデータ取得部111、音声認識部112、画像認識部113が取得したテキストデータをそのまま検索キーワードとするように構成してもよい。なお、これは一例であり、関連情報を検索するために意味のある検索キーワードをテキストデータから抽出する方法であればあらゆる方法を適用することができる。 【0039】 次に、検索キーワード生成部114が生成した検索キーワードを指定して、検索部115が、インターネットに接続された検索システムに対して検索処理を実行する(ステップS605)。なお、検索の対象はインターネットに接続された検索システムに限るものではなく、あるキーワードに対する関連情報を取得できるものであれば、あらゆる情報格納手段を対象とすることができる。例えば、インターネット以外の通信回線により接続された検索システムや、ネットワークに接続され、様々な情報を格納した社内または社外のデータベースを検索の対象とするように構成してもよい。」 上記A.には、引用文献1が、映像視聴中の内容を検索するユーザの手間を軽減するため、映像情報に含まれる内容に関連する情報を検索および表示する情報検索表示方法に関するものであることが記載されている。 そこで、引用文献1において、ユーザが視聴中に検索する内容、ユーザによる検索要求、検索要求された映像情報に関連する情報の特定、特定された情報による検索について、上記A.?D.の記載を確認する。 ユーザが視聴中に検索する内容について 上記A.には、「ユーザが映像視聴中または視聴後に内容を確認および検索する手間を軽減するために映像情報に含まれる内容に関連する情報を検索および表示」することが記載されているので、ユーザが視聴中に検索する内容は、視聴中の映像情報に含まれる内容であるといえる。 よって、引用文献1には、「視聴中の映像情報に含まれる内容を検索する方法」の発明が記載されている。 ユーザからの検索要求について 上記B.には、「入力部121は、ユーザが検索要求を入力するための操作端末であり、例えば、テレビのリモコンなどが該当する。」、及び「検索要求取得部122は、ユーザが入力部121から入力した検索要求を受け取り、関連情報検索部110に送信する。」が記載されている。 よって、引用文献1には、「検索要求取得部が、視聴中に入力部から検索要求を受け取」ることが記載されている。 検索要求された映像情報に関連する情報の特定について 上記D.には、「メタデータ取得部111が、検索が要求された映像情報から、当該映像情報に付与されているメタデータをテキストデータとして取得する(ステップS601)。」、及び、「検索キーワード生成部114が、メタデータ取得部111、音声認識部112、画像認識部113がそれぞれ取得したテキストデータを単語に分割し、検索に使用する検索キーワードを生成する(ステップS604)。例えば、一般的な形態素解析技術を適用し、テキストデータを形態素に分割し、自立語を抽出して検索キーワードとするように構成することができる。また、メタデータ取得部111、音声認識部112、画像認識部113が取得したテキストデータをそのまま検索キーワードとするように構成してもよい。」が記載されている。 よって、引用文献1には、「メタデータ取得部が、検索要求された映像情報から、当該映像情報に付与されているメタデータをテキストデータとして取得」すること、及び、「検索キーワード生成部が、取得したテキストデータを形態素に分割し、自立語を抽出して検索キーワードを生成」することが記載されている。 特定された情報による検索について 上記D.には、「検索キーワード生成部114が生成した検索キーワードを指定して、検索部115が、インターネットに接続された検索システムに対して検索処理を実行する(ステップS605)。」が記載されている。 よって、引用文献1には、「検索部が、生成した検索キーワードを指定して、インターネットに接続された検索システムに対して検索処理を実行する」ことが記載されている。 よって、上記A.乃至D.及び関連図面の記載から、引用文献1には、実質的に下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「視聴中の映像情報に含まれる内容を検索する方法において、 検索要求取得部が、視聴中に入力部から検索要求を受け取り、 メタデータ取得部が、前記検索要求された映像情報から、当該映像情報に付与されているメタデータをテキストデータとして取得し、 検索キーワード生成部が、前記取得したテキストデータを形態素に分割し、自立語を抽出して検索キーワードを生成し、 検索部が、前記生成した検索キーワードを指定して、インターネットに接続された検索システムに対して検索処理を実行する 方法。」 (2)引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-242661号公報(以下、「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。 E.「【0030】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。図2に、請求項1の関連情報検索装置を適用した情報提供端末装置の実施形態を示す。図2に示した情報提供端末装置は、図8に示したリンク解析部414に代えて、特徴抽出処理部210と請求項1で述べた検索手段112に相当する検索制御部220とを備えて構成されており、特徴抽出処理部210が、後述する特徴抽出と評価処理を行い、評価結果として得られた特徴量を検索制御部220の処理に供する構成となっている。 【0031】また、この検索制御部220は、ネットワーク制御部403を介してネットワークに接続されており、受け取った特徴量に基づいて、情報提供端末装置内に備えられたローカル検索サーバ202あるいはネットワークに接続された外部の文書検索サーバ203および画像検索サーバ204に対する検索処理を行う構成となっている。」 F.【0034】図3に示したテキスト評価部211において、テキスト抽出部221は、請求項1で述べた情報抽出手段111の一部の機能を果たすものであり、再生制御部411から受け取ったテキスト情報に関する再生位置情報に基づいて、例えば、情報蓄積部407にテキスト情報ファイルとして保持された提供情報から再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出し、テキスト解析部222の処理に供する構成となっている。」 G.「【0045】同様に、映画やニュースなどのビデオ情報が提供対象の情報である場合は、再生制御部411により、動画像情報と音声情報とに関する再生位置情報がそれぞれ送出され、動画像評価部213および音声評価部214による特徴評価処理が行われる。更に、クローズドキャプションと呼ばれるテキスト情報が添付されたビデオ情報の場合は、動画像情報および音声情報についての特徴評価処理に加えて、再生制御部411により、テキスト情報に関する再生位置情報が送出され、テキスト評価部211により特徴評価処理も合わせて行われる。 【0046】また、上述したようにして、提供情報を構成する部分情報のいずれかに対応して、テキスト解析部222によって得られた特徴量を受け取った場合に、検索制御部220は、ローカル検索サーバ202あるいは外部の文書検索サーバ203に対する検索処理を行い、例えば、形態素の出現頻度分布が類似している文書や出現頻度の高い形態素に関する詳細情報などを表すテキスト情報を関連情報として検索し、関連情報表示制御部230に送出すればよい。」 H.「【0049】このようにして、映画やニュース映像の配信サービスやプッシュ技術を適用した情報提供サービスなどによって、利用者が受動的に情報提供を受けている場合に、利用者に現時点で提供されている情報に関連する情報を自動的にかつ動的に検索し、得られた関連情報を利用中のサービスによる提供情報と合わせて、利用者に提供することができる。 【0050】この場合は、現時点に利用者に提供されている情報に関する関連情報を、各検索サーバで利用可能なデータベースから検索するので、データベースに登録された最新の情報を得ることが可能である。また、上述した特徴抽出処理部210、検索制御部220および関連情報表示制御部230の各部の機能は、ソフトウェアによって実現可能であり、これらの各部の機能を果たすプログラムをフロッピー(登録商標)ディスクやCD-ROMなどの記憶媒体に記録して、頒布することも可能である。」 上記E.には、特徴抽出処理部210が特徴抽出と評価処理を行い、検索制御部220は前記特徴量に基づいてネットワークに接続された外部の画像検索サーバ204に対する検索処理を行うことが記載されている。 上記F.には、特徴抽出処理部内のテキスト評価部211が、再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出して形態素解析を行い特徴量を求めることが記載されている。 上記G.には、クローズドキャプションが添付されたビデオ情報の場合は、テキスト評価部211はクローズドキャプションのテキスト情報により特徴評価を行い、検索制御部220は、受け取った特徴量により外部の文書検索サーバ203に対する検索処理を行うことが記載されている。 上記H.には、利用者が受動的に情報提供を受けている場合に、現時点で提供されている情報に関連する情報を自動的にかつ動的に検索し、得られた関連情報を利用中のサービスによる提供情報と合わせて、利用者に提供することが記載されている。 よって、上記E.?H.の記載から、引用文献2には、実質的に下記の事項が記載されている。 「クローズドキャプションが添付されたビデオ情報の再生時に、再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出して特徴量を求め、求めた特徴量により外部のサーバに対して検索処理を行わせることで、現時点で提供されているビデオ情報に関連する情報を自動的にかつ動的に検索すること。」 2.3 対比 (1)本件補正発明と引用発明との対応関係について あ.引用発明は、入力部、検索要求取得部、メタデータ取得部、検索キーワード生成部、検索部から構成された何らかの電子装置により実行されることは明らかであり、また、引用発明の検索は、ユーザーがキーボード等を用いて直接キーワードを入力して検索を行うものではないものの、「検索要求された映像情報」から生成された検索キーワードにより検索が行われるので、ユーザーにとって結果的に関心のある情報が検索結果に含まれるようにするものである。 よって、本件補正発明と引用発明は、下記の相違点を除いて、「電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法」である点で共通している。 い.引用発明の「検索要求された映像情報」の「映像情報」は、ユーザーによりあらかじめアクセスされることによって視聴中となった映像情報であるから、本件補正発明の「ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報」に相当する。 う.引用発明の「テキストデータ」の取得は、「検索要求された映像情報」に付与されたメタデータを確認してテキストデータの取得が行われるものであるから、本件補正発明の「ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報を確認する」ことに相当し、引用発明の取得した「テキストデータ」は、本件補正発明の「確認された情報」に相当する。 また、引用発明では、「テキストデータ」から「検索キーワード」が生成されるので、引用発明の「検索キーワード」は、本件補正発明の「キー情報」に相当するものであり、さらに、引用発明も「確認された情報に基づいてキー情報を決定するステップ」を有しているといえる。 え.引用発明は、「検索キーワード」を指定して「インターネットに接続された検索システムに対して検索処理」が実行されるものであり、また、上記あ.に記載したように「ユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する」ものであるから、本件補正発明と引用発明は、下記の相違点を除いて、「前記キー情報に基づいて前記ユーザーの潜在的な関心情報の利用可能なソースを探索するステップ」を有している点で共通しているといえる。 (2)本件補正発明と引用発明の一致点について 上記の対応関係から、本件補正発明と引用発明は、下記の点で一致する。 「電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法において、 確認された情報に基づいてキー情報を決定するステップと、 前記キー情報に基づいて前記ユーザーの潜在的な関心情報の利用可能なソースを探索するステップとを含むことを特徴とする電子装置のユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法。」 (3)本件補正発明と引用発明の相違点について 本件補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。 (相違点1) 本件補正発明は、「ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報を確認するために、前記装置と前記ユーザーとの相互作用をモニタリングするステップ」を有しているのに対し、引用発明はそのようなステップを有していない点。 (相違点2) 「確認された情報」について、本件補正発明は、「前記装置を通じて前記ユーザーによるアクセスのために選択されたコンテンツに関わる閉鎖字幕情報を含」むものであるのに対し、引用発明は「閉鎖字幕情報」を含むものではない点。 (相違点3) 「キー情報を決定するステップ」について、本件補正発明は、「前記閉鎖字幕情報をテキストに変換するステップと、前記テキストで不用語を除去するステップと、前記ユーザーの関心キーワード及びキーフレーズを決定するために前記テキストを分析するステップとを含む」ものであるのに対し、引用発明はそのような処理を行っていない点。 2.4 当審の判断 (1)相違点1乃至3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、上記2.2.(2)に記載したように、 「クローズドキャプションが添付されたビデオ情報の再生時に、再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出して特徴量を求め、求めた特徴量により外部のサーバに対して検索処理を行わせることで、現時点で提供されているビデオ情報に関連する情報を自動的にかつ動的に検索すること。」 が記載されている。 そして、上記「クローズドキャプション」は「閉鎖字幕情報」を意味するものであり、また、「自動的にかつ動的に検索する」を実施するために、ユーザーの指示を受けること無く、視聴中のビデオ情報をモニタすることで、クローズドキャプションからテキスト情報の抽出が行われるものであるといえることから、上記「クローズドキャプションが添付されたビデオ情報の再生時に、再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出して特徴量を求め」ることは、ユーザーがアクセスして視聴しているビデオ情報を確認するために、ビデオ情報に添付された閉鎖字幕情報をモニタリングし、確認されたビデオ情報の閉鎖字幕情報から検索に用いるキーを決定するものであると認められる。 また、引用文献1の記載事項である上記C.には、映像情報記憶部140が放送された映像情報を録画することが記載されていることから、引用発明の「視聴中の映像情報」には録画した映像情報を再生したもの、即ち、ビデオ情報を再生したものが含まれることになるので、引用発明と引用文献2に記載された事項とは、ビデオ情報を再生したものから、ビデオ情報に関連する情報を検索するものである点で共通している。 そして、情報検索の分野では、形態素解析した結果から不要語を除いて検索のためのキーワードを決定することは、例えば、特開平6-309362号公報(段落【0047】には、質問文を形態素辞書により単語に分割し、不要語辞書を用いてキーワードとして不要な単語を除くことが記載されている)、特開2004-178167号公報(段落【0024】には、質問文の形態素解析を行い、形態素のうち不要語を削除しキーワードに決定して検索式を作成することが記載されている)に記載されているように周知技術であり、また、検索のためのキーとしてフレーズをキーフレーズとして抽出することも、特開平11-296530号公報(段落【0044】には、テキスト文書から検索で使用するキーフレーズを抽出処理機能により抽出することが記載されている)、特開2001-331512号公報(段落【0012】には、キーフレーズ抽出ルールによって文書からキーフレーズを抽出することが記載されている)に記載されているように周知技術である。 してみると、引用文献2に接した当業者であれば、引用発明の映像情報にクローズドキャプションが添付されたビデオ情報を含ませるとともに、視聴中(ビデオ情報の再生時)に、再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出してユーザーの視聴のモニタリングを行い、抽出したテキスト情報から検索キーワードを生成することに、格別の困難性は認められない。また、その際に、不要語を除いて検索キーワードを生成すること、検索のための情報としてキーワードだけでなくキーフレーズを生成することは、上記周知技術から当業者が適宜なし得たものである。 よって、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用することで、相違点1の「ユーザーによりあらかじめアクセスされた情報を確認するために、前記装置と前記ユーザーとの相互作用をモニタリングするステップ」を有するものとすること、相違点2の「確認された情報」に「前記装置を通じて前記ユーザーによるアクセスのために選択されたコンテンツに関わる閉鎖字幕情報を含」むものとすること、及び、相違点3の 「前記閉鎖字幕情報をテキストに変換するステップと、前記テキストで不用語を除去するステップと、前記ユーザーの関心キーワード及びキーフレーズを決定するために前記テキストを分析するステップとを含む」ものとすることは、当業者が容易に推考できたものである。 (2)本件補正発明の作用効果について そして、本件補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献2の記載事項、及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 なお、審判請求人は、回答書において、特許請求の範囲の請求項1の「分析するステップ」を「前記分析するステップは、プログラムの開始以後にn秒間捕捉された単語及び句のうち頻度が高いものを前記ユーザの関心キーワード及びキーフレーズとして決定し、前記nは予め決定された値であること」に限定した補正案を提示している。 しかしながら、引用文献2には、上記2.2.(2)に記載したように、「再生完了位置の近傍のテキスト情報を抽出して特徴量を求め」ることが記載され、テキストを抽出するための該近傍の期間をどの程度に設定するかは設計的事項であり、また、キーワード等を決定するために頻度を考慮することは引用文献を示すまでもなく周知技術にすぎない。 してみると、審判請求人に補正案のとおりに補正する用意があるとしても、該補正案では進歩性を肯定することはできないため、当審よりさらなる通知をすべき特別な事情を見出すことはできない。 2.5 むすび よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献2の記載事項、及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 補正却下の決定を踏まえた検討 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年8月28日付けの手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2.引用文献 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項、引用発明、及び引用文献2の記載事項は、上記「第2」「2.」「2.2」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2」「2.」で検討した本件補正発明における限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに特定の点に限定を施したものに相当する本件補正発明が、上記「第2」「2.」「2.4」に記載したとおり、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献2の記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献2の記載事項、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明、引用文献1の記載事項、引用文献2の記載事項、及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本件は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-06-19 |
結審通知日 | 2014-06-24 |
審決日 | 2014-07-07 |
出願番号 | 特願2007-337479(P2007-337479) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩田 淳、高瀬 勤 |
特許庁審判長 |
山崎 達也 |
特許庁審判官 |
飯田 清司 田中 秀人 |
発明の名称 | ユーザーの潜在的な関心情報へのアクセスを提供する方法及びシステム |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |