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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1294277
審判番号 不服2014-4051  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-03 
確定日 2014-12-09 
事件の表示 特願2009-105502「フレキシブル積層板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月11日出願公開、特開2010-258162、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年4月23日の出願であって、平成25年11月29日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年12月3日)、これに対し、平成26年3月3日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。なお、平成25年5月13日付けの手続補正は、原審において、平成25年11月29日付けで決定をもって却下された。

第2 平成26年3月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。) の適否
1 本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
絶縁性フィルムの外面に金属箔を重ねて熱圧着するフレキシブル積層板の製造方法であって、前記金属箔が、前記絶縁性フィルムの外面と重ねられる面のJIS B0601-1994で規定される凹凸間平均間隔Smが2?5μmの範囲であると共に、このSmと、JIS B0601-1994で規定される十点平均粗さRzとの比Sm/Rzの値が0.4?1.6の範囲であり、前記絶縁性フィルムが、熱硬化性ポリイミド樹脂で構成される内層の両側の外面側に熱可塑性ポリイミド樹脂で構成される外層が積層した構造を有するポリイミドフィルムであることを特徴とするフレキシブル積層板の製造方法。」
と補正(下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)することを含むものである。

上記補正は、発明を特定するために必要な事項である「Sm/Rzの値」について「0.4?1.6」とその数値範囲を限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2006-222185号公報(以下「刊行物1」という。)には、「ポリイミド系フレキシブルプリント配線板」に関して、次の事項が記載されている。(下線は、当審が付したものである。)

ア 「【背景技術】
【0002】
銅箔上に絶縁性のポリイミド系樹脂層が接着剤層を介することなく直接に設けられてなるフレキシブル銅張積層板は、二層フレキシブル銅張積層板と呼ばれ、大きく分けて二種類の製造方法がある。一つはキャスティング法と呼ばれる方法であり、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミン類とをジメチルアセトアミド等の溶媒中で付加重合させることにより得られるポリアミック酸ワニスを、高い接着強度を得るための表面粗化処理が施された銅箔上に塗布し乾燥してポリアミック酸層とし、更に加熱することによりイミド化して、銅箔上にポリイミド系樹脂層を形成することにより製造する。
もう一つは、ラミネート法と呼ばれる方法であり、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に表面粗化処理が施された銅箔を重ねて加熱圧着して製造する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(省略)
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するものであり、銅箔とポリイミド系樹脂層との間の接着強度に優れ、絶縁信頼性、配線パターン形成時のエッチング特性、屈曲特性に優れたポリイミド系フレキシブル銅張積層板用銅箔を提供し、該銅箔をポリイミド系樹脂層と積層したフレキシブルに優れたポリイミド系フレキシブルプリント銅張積層板を提供し、かつ、該銅張積層板を加工したフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とするものである。

ウ 「【課題を解決するための手段】
【0011】
(省略)
【0012】
本発明の第1は、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔であって、該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はNi量にして0.03?3.0mg/dm^(2)含有するNi層又は/及びNi合金層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する表面処理銅箔である。
【0013】
本発明の第2は、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔であって、該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はCr量にして0.03?1.0mg/dm^(2)含有するクロメート層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する表面処理銅箔である。
【0014】
本発明の第3は、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔であって、該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はCr量にして0.03?1.0mg/dm^(2)含有するCr層又は/Cr合金層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する表面処理銅箔である。
【0015】
本発明の第4は、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔であって、該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はNi量にして0.03?3.0mg/dm^(2)含有するNi層又は/及びNi合金層の上に、Cr量にして0.03?1.0mg/dm^(2)含有するクロメート層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する表面処理銅箔である。
【0016】
本発明の第5は、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔であって、該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はNi量にして0.03?3.0mg/dm^(2)含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03?1.0mg/dm^(2)含有するCr層又は/及びCr合金層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する表面処理銅箔である。
【0017】
前記粒状の結晶組織からなるポリイミド系フレキシブル銅張積層板用銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面を粗化処理して平均粒計1μm以下の銅粒層が形成され、該銅粒層表面に表面処理層が形成されることが好ましい。
【0018】
(省略)
【0019】
前記粒状の結晶組織からなる銅箔は厚さが0.5?70μmの電解銅箔又は圧延銅箔であることが好ましく、前記粒状の結晶組織からなる銅箔が電解銅箔である場合には、その表面粗さが10点平均粗さRzで2.5μm以下であり、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上である粒状の結晶組織からなる電解銅箔であることが好適である。一方、前記粒状の結晶組織からなる銅箔が圧延銅箔である場合には、その表面粗さが10点平均粗さRzで1.0μm以下である粒状の結晶組織からなる圧延銅箔であることが好ましい。
【0020】
本発明の第6は、前記表面処理銅箔を用いて作成したポリイミド系フレキシブル銅張積層板であり、該銅張積層板を加工したフレキシブルプリント配線板である。」

エ 「【0076】
実施例及び比較例で作成した表面処理銅箔に、ポリアミック酸ワニスを塗布し、発泡が起こらないように段階的に乾燥した後、窒素雰囲気下において330℃(30分間)でイミド化することにより、25μm厚のポリイミド系フレキシブル銅張積層板を作成し、銅箔にパターン加工を施した。その結果、実施例で作成した表面処理銅箔では高ピール強度を維持しつつ、配線ピッチL/S=25/25のファインパターンを形成することができた、また、絶縁信頼性も確保された。
なお、比較例においても実施例と同じ条件で配線ピッチL/S=25/25のファインパターンを形成したが、何れもピール強度が不足し、満足するポリイミド系フレキシブルプリント配線板を作成することができなかった。」

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「ポリイミド系樹脂層に電解銅箔を積層するフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、電解銅箔が、ポリイミド系樹脂層と接触する片側表面の表面粗さが10点平均粗さRzで2.5μm以下であり、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上であるフレキシブルプリント配線板の製造方法。」

(2)また、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2007-196671号公報(以下「刊行物2」という。)には、「銅張り板」に関して、次の事項が記載されている。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器分野で使用されるフレキシブルプリント配線板、COF、TAB等の材料として好適な銅張り板に関するものであり、更に詳しくはポリイミドフィルムを基材として、その片面或いは両面に銅を有するエッチング後の寸法変化率が小さい銅張り板に関するものである。」

イ 「【0021】
銅張り板に接着剤を介して有する銅板に使用する銅箔としては、接着側の銅の表面粗さ(Rz)が0.1?10μmの銅箔であるものが好ましい。これより表面粗さが粗いとフレキシブルプリント配線板として高周波信号領域での使用時に、表皮効果により電流が流れにくくなり高周波領域での使用が困難になる。ここでいう表面粗さ(Rz)とはJISB 0601-1994「表面粗さの定義と表示」の5.1「十点平均粗さの定義」に規定されたRzのことである。
【0022】
(省略)
【0023】
上記のようなポリイミドフィルムの片面あるいは両面に、接着剤を介して、あるいは接着剤無しで銅板を形成する。接着剤を用いる場合、接着剤はエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、及びポリイミド系接着剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの接着剤には、柔軟性を持たせる目的で各種ゴム、可塑剤、硬化剤、リン系等の難燃剤、その他の各種添加物が付与されていてもよい。また、ポリイミド系接着剤の樹脂成分としては主として熱可塑性ポリイミドが用いられることが多いが、熱硬化性ポリイミドでもよい。また、ポリイミド系接着剤としては熱可塑性のポリイミドフィルムを接着剤として使用しても良い。」

ウ 「【0046】
(実施例1)
合成例1で製膜したポリイミドフィルムを用い、この片面に合成例9の接着剤を塗布し、150℃×5分間加熱乾燥し、乾燥膜厚10μmの接着剤層を形成した。この片面接着剤付きポリイミドフィルムと表面粗さ(Rz)が1.5μmの1/2オンス銅箔(古河サーキットフォイル(株)製、F0-WS18)とを、熱ロールラミネート機を用いてラミネート温度160℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で熱ラミネートを行い、片面フレキシブル銅張板を作製した。得られた銅張り板を使用して、銅全面エッチング前後での寸法変化率を測定したところ、寸法変化率は-0.004%であった。」

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「フレキシブルプリント配線板」は前者の「フレキシブル積層板」に相当し、以下同様に、「電解銅箔」は「金属箔」に、「ポリイミド系樹脂層と接触する片側表面」は「重ねられる面」にそれぞれ相当する。

また、前者の「前記絶縁性フィルムの外面と重ねられる面のJIS B0601-1994で規定される凹凸間平均間隔Smが2?5μmの範囲であると共に、このSmと、JIS B0601-1994で規定される十点平均粗さRzとの比Sm/Rzの値が0.4?1.6の範囲」との事項に関して、本願明細書の「この金属箔2の表面粗さの調整は、例えば金属箔2の表面粗化時の処理時間や処理速度を調整することにより制御することが可能である。」(段落【0017】)との記載に照らせば、後者の「ポリイミド系樹脂層と接触する片側表面の表面粗さが10点平均粗さRzで2.5μm以下であり、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上であり」と前者の「前記絶縁性フィルムの外面と重ねられる面のJIS B0601-1994で規定される凹凸間平均間隔Smが2?5μmの範囲であると共に、このSmと、JIS B0601-1994で規定される十点平均粗さRzとの比Sm/Rzの値が0.4?1.6の範囲であ」ることは、「重ねられる面が表面粗化面である」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「フレキシブル積層板の製造方法であって、金属箔が、重ねられる面が表面粗化面であるフレキシブル積層板の製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
本願補正発明は、「絶縁性フィルムの外面に金属箔を重ねて熱圧着する」ものであって、金属箔の「前記絶縁性フィルムの外面と」重ねられる面「のJIS B0601-1994で規定される凹凸間平均間隔Smが2?5μmの範囲であると共に、このSmと、JIS B0601-1994で規定される十点平均粗さRzとの比Sm/Rzの値が0.4?1.6の範囲」であり、「前記絶縁性フィルムが、熱硬化性ポリイミド樹脂で構成される内層の両側の外面側に熱可塑性ポリイミド樹脂で構成される外層が積層した構造を有するポリイミドフィルム」であるのに対し、
引用発明は、ポリイミド系樹脂層に電解銅箔を積層するものであって、電解銅箔のポリイミド系樹脂層と接触する片側表面の表面粗さが10点平均粗さRzで2.5μm以下であり、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上であるとともに、ポリイミド系樹脂層の積層構造が不明である点。

4 当審の判断
そこで、相違点を検討する。
(1)刊行物1には、フレキシブル銅張積層板の製造方法には大きく分けて二種類あり、一つは、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミン類とをジメチルアセトアミド等の溶媒中で付加重合させることにより得られるポリアミック酸ワニスを、表面粗化処理が施された銅箔上に塗布し乾燥してポリアミック酸層とし、更に加熱することによりイミド化して、銅箔上にポリイミド系樹脂層を形成するキャスティング法と呼ばれる方法であり、もう一つは、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に表面粗化処理が施された銅箔を重ねて加熱圧着して製造するラミネート法があることが記載されている(前記「2」の「(1)」の「ア」)。そして、刊行物1の「実施例及び比較例で作成した表面処理銅箔に、ポリアミック酸ワニスを塗布し、発泡が起こらないように段階的に乾燥した後、窒素雰囲気下において330℃(30分間)でイミド化することにより、25μm厚のポリイミド系フレキシブル銅張積層板を作成し、銅箔にパターン加工を施した。」(同「エ」)との記載からみて、引用発明の「ポリイミド系樹脂層に電解銅箔を積層するフレキシブルプリント配線板」はキャスティング法により製造されることが分かる。

また、引用発明の電解銅箔の「ポリイミド系樹脂層と接触する片側表面」は、刊行物1の「該表面処理銅箔は、粒状の結晶組織からなる銅箔の少なくともポリイミド系樹脂層と接触する片側表面に表面処理層が形成されており、該表面処理層はNi量にして0.03?3.0mg/dm^(2)含有するNi層又は/及びNi合金層であり、ポリイミド系樹脂層に積層してフレキシブル銅張積層板を構成する」(段落【0012】)との記載や、刊行物1の段落【0013】ないし段落【0019】の記載からみて、所定の表面処理層が形成されてポリイミド系樹脂層に積層されるものである。

一方、刊行物2には、ポリイミドフィルムの片面或いは両面に、主として熱可塑性ポリイミドが用いられたポリイミド系接着剤を介して、表面粗さ(Rz)が0.1?10μmの銅箔銅板をラミネート法により製造することが記載されている。

また、本願の出願前に、絶縁性フィルムの外面に金属箔を重ねて熱圧着してフレキシブル積層板を製造することは、周知技術(例えば、特開2008-62448号公報の段落【0048】ないし段落【0050】参照。)である。

そうしてみると、引用発明の「電解銅箔が、ポリイミド系樹脂層と接触する片側表面の表面粗さが10点平均粗さRzで2.5μm以下であり、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上である」との事項は、キャスティング法により製造され、しかも、所定の表面処理層を形成することを前提としたものであるから、刊行物2に記載された事項及び上記周知技術は、上記前提において異なり、これらを踏まえても、引用発明の上記事項にラミネート法を適用して「熱圧着する」ことは、当業者が容易に想到し得たということができない。

(2)また、刊行物1の「素地山の最小ピーク間距離」と本願補正発明の「凹凸間平均間隔Sm」とは異なる指標であるが、字句どおりに解釈すると、素地山の最小ピーク間距離が5μm以上である場合、素地山の平均間隔は5μmより小さくなることはないから、刊行物1の「素地山の最小ピーク間距離が5μm以上」は、本願補正発明の「凹凸間平均間隔Sm」を用いれば、5μm≦凹凸間平均間隔Smとなる。また、刊行物1には、10点平均粗さRzが2.5μm以下となること(段落【0019】)が記載されているから、両者により、本願補正発明の「Sm/Rz」(に相当する値)の範囲を算出してみると、2≦Sm/Rzとなる。
そうすると、引用発明は、本願補正発明の「Sm/Rz」(に相当する値)の範囲として、「0.4?1.6の範囲」をとり得ることができないと解される。

(3)以上から、引用発明において、刊行物2に記載された事項及び上記周知技術を適用して、相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということができない。

(4)また、本願補正発明は、銅箔引き剥がし強度及び吸湿後半田耐性について効果を奏するものであるところ、本願補正発明が奏する上記効果は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術から、当業者が予測できる範囲内のものということができない。

(5)したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2に記載された事項及び前記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

よって、本件補正のうち請求項1についてする補正事項は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

そして、本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明について
本件補正は、上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2014-11-27 
出願番号 特願2009-105502(P2009-105502)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (H05K)
P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 誠二郎  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 冨岡 和人
森川 元嗣
発明の名称 フレキシブル積層板の製造方法  
代理人 西川 惠清  

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