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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1294436 |
審判番号 | 不服2013-21181 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-30 |
確定日 | 2014-11-27 |
事件の表示 | 特願2008- 45841「通信端末」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月10日出願公開、特開2009-206711〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成20年2月27日の出願であって、平成25年7月25日付けで拒絶査定がなされ、同年10月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年1月15日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「近距離無線通信部と、 前記近距離無線通信部で受信される他の通信端末のローバッテリ状態を報知する報知部と、 を備えることを特徴とする通信端末。」 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-208697号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。 (1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 機能を実現するためのプロトコルを近距離無線通信機能付き携帯端末との間で接続しているときに当該携帯端末から当該携帯端末の電池残量を取得する近距離無線通信手段と、 ユーザが警告情報を直接認識することが可能な報知手段とを備えてなる近距離無線通信機能付き車載装置であって、 前記近距離無線通信手段がプロトコルを近距離無線通信機能付き携帯端末との間で接続しているときに当該携帯端末から取得した当該携帯端末の電池残量が閾値以下になって初めて警告情報を前記報知手段から報知させる制御手段を備えたことを特徴とする近距離無線通信機能付き車載装置。」 (2)「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 …… 【0005】 本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、近距離無線通信機能付き携帯端末の電池残量が閾値以下に低下した旨をユーザに適切に知らせることができ、利便性を高めることができる近距離無線通信機能付き車載装置及び近距離無線通信システムを提供することにある。」 (3)「【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 (第1の実施形態) 以下、本発明の第1の実施形態として、近距離無線通信機能付き車載装置としてBluetooth通信機能付き車載ハンズフリー装置(以下、単に車載ハンズフリー装置と称する)を適用すると共に近距離無線通信機能付き携帯端末としてBluetooth通信機能付き携帯電話機(以下、単に携帯電話機と称する)を適用し、ハンズフリープロファイル(HFP)を両者の間で接続する場合について、図1及び図2を参照して説明する。 【0017】 図1は、車載ハンズフリーシステムの構成を機能ブロック図として示している。車載ハンズフリーシステム1(本発明でいう近距離無線通信システ ム)は、携帯電話機2と車載ハンズフリー装置3とがBluetooth通信可能に構成されている。携帯電話機2は、充電式の電池(例えばリチウム電池)の電力を動作電力として動作し、他の携帯電話機や固定電話機との間で携帯電話網を介して携帯電話通信を行うことが可能に構成されている。 【0018】 車載ハンズフリー装置3は、制御部4(本発明でいう制御手段)、電源制御部5、表示部6(本発明でいう報知手段)及びBluetoothユニット7(本発明でいう近距離無線通信手段)を備えて構成されている。制御部4は、CPU、RAM及びROMなどを備えて構成されており、制御プログラムを実行することにより車載ハンズフリー装置3の動作全般を制御する。 …… 【0023】 車載ハンズフリー装置3において、制御部4は、ACCスイッチからACCオン信号が電源制御部5に入力されて起動すると、Bluetoothユニット7がハンズフリープロファイルを携帯電話機2との間で接続しているか否かを判定する(ステップS1)。ここで、制御部4は、携帯電話機2がBluetooth通信圏内でBluetooth通信可能な状態であり、Bluetoothユニット7がハンズフリープロファイルを携帯電話機2との間で接続している旨を検出すると(ステップS1にて「YES」)、ハンズフリープロファイルを接続しているときに携帯電話機2から通知された当該携帯電話機2の電池残量を識別し(ステップS2)、携帯電話機2から通知された当該携帯電話機2の電池残量が予め設定されている閾値以下に低下したか否かを判定する(ステップS3)。この場合、閾値は、予め製品出荷の段階で設定される値やユーザが任意に設定する値であれば良いが、ユーザが任意に設定する場合には、例えばこれ以降の携帯電話機2が次回の充電までに正常動作を継続可能と想定される電池容量より大きな値であれば良 い。 【0024】 次いで、制御部4は、携帯電話機2から通知された当該携帯電話機2の電池残量が閾値以下に低下した旨を検出すると(ステップS3にて「YE S」)、例えば「携帯電話機の電池残量が低下しています ハンズフリー待受機能を停止しますか?」などの当該携帯電話機2の電池残量が閾値以下に低下した旨を知らせると共にハンズフリープロファイルを切断するか否か (ハンズフリー待受機能を停止するか否か)を問う表示画面を表示部6に表示させる(本発明でいう警告情報を報知させると共に問合情報を報知させ る)(ステップS4)。これにより、ユーザは、携帯電話機2の電池残量が閾値以下に低下した旨を知ることができると共に、ハンズフリープロファイルを切断するか否かを選択することができる。」 したがって、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 携帯電話機の電池残量を取得する近距離無線通信手段と、 当該携帯電話機の電池残量が閾値以下に低下した旨を検出すると、例えば「携帯電話機の電池残量が低下しています」などの当該携帯電話機の電池残量が閾値以下に低下した旨を知らせる表示画面を報知手段である表示部に表示させる 車載ハンズフリー装置。 3.対比 引用発明は「車載ハンズフリー装置」であり、それによって通話を行うものであるから、通信端末といえる。 引用発明は「近距離無線通信手段」を有しているので、近距離無線通信部を備える点で、本願発明と共通する。 引用発明の「報知手段である表示部」は、「携帯電話機の電池残量が低下しています」などの携帯電話機の電池残量が閾値以下に低下した旨を知らせる表示画面を表示するものであり、「携帯電話機」は「車載ハンズフリー装置」に対して他の通信端末といえるので、他の通信端末のローバッテリ状態を報知する点で、本願発明の「報知部」と共通する。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。 近距離無線通信部と、 他の通信端末のローバッテリ状態を報知する報知部と、 を備えることを特徴とする通信端末。 また次の点で相違する。 相違点 本願発明は、他の通信端末のローバッテリ状態が、近距離無線通信部で受信されるものであるのに対して、引用発明では、近距離無線通信手段によって取得(受信)する他の通信端末といえる携帯電話機の電池残量が、閾値以下に低下した旨を検出することによるものである点。 4.相違点に対する判断 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-114889号公報に は、ローバッテリ状態といえる蓄電池の起電力が所定の値以下に減少した場合に、起電力が低下したことを示す情報である電力低下情報を、装置間で送受信することが記載されている。(【請求項5】、段落【0060】及び 【0061】等) 引用発明においても、上記電力低下情報を装置間で送受信することと同様に、電池残量が閾値以下に低下した旨の検出を、通信端末といえる「車載ハンズフリー装置」ではなく、他の通信端末といえる「携帯電話機」で行い、ローバッテリ状態といえる電池残量が閾値以下に低下したことを送信し、それを「車載ハンズフリー装置」で受信することに困難な点はないから、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-17 |
結審通知日 | 2014-09-30 |
審決日 | 2014-10-14 |
出願番号 | 特願2008-45841(P2008-45841) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山中 実、齋藤 哲 |
特許庁審判長 |
近藤 聡 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 吉田 隆之 |
発明の名称 | 通信端末 |
代理人 | 大倉 昭人 |
代理人 | 杉村 憲司 |