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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1294444
審判番号 不服2014-2665  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-12 
確定日 2014-11-27 
事件の表示 特願2012-154173「配線基板及び半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日出願公開、特開2012-231167〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成20年10月3日(優先権主張 2007年10月5日 日本国(JP))に出願された特願2008-259027号の一部を平成24年7月9日に新たな出願としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。

上申書 :平成24年 7月26日
拒絶理由通知 :平成25年 5月 7日(起案日)
意見書 :平成25年 7月 4日
手続補正 :平成25年 7月 4日
拒絶査定 :平成25年12月 5日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年 2月12日
手続補正 :平成26年 2月12日
上申書 :平成26年 5月16日

第2 平成26年2月12日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年2月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正

平成26年2月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、請求項2については、本件補正前に、
「 【請求項2】
誘電体層と、断面において表面、底面及び両側面を有する配線層とが積層され、一方の面が半導体素子搭載面であり、該一方の面に対向する他方の面が外部接続端子面である配線基板の、
該外部接続端子面の誘電体層の表面が粗化面に形成されていること、
該配線層の側面及び底面が該誘電体層に接すると共に、該誘電体層に接する配線層の側面及び底面が粗化面に形成され、該配線層の表面が該誘電体層の表面から露出している、ことを特徴とする配線基板。」
とあったところを、

本件補正後、
「 【請求項2】
誘電体層と、断面において表面、底面及び両側面を有する配線層とが積層され、一方の面が半導体素子搭載面であり、該一方の面に対向する他方の面が外部接続端子面である配線基板の、
該外部接続端子面の誘電体層の表面の全面が粗化面に形成されていること、
該配線層の側面及び底面が該誘電体層に接すると共に、該誘電体層に接する配線層の側面及び底面が粗化面に形成され、該配線層の表面が該誘電体層の表面から露出している、ことを特徴とする配線基板。」
とするものである。

上記請求項2についての補正は、発明特定事項である「粗化面に形成されている」「外部接続端子面の誘電体層の表面」についてその「全面」と限定したものである。
本件補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-244104号公報(平成17年9月8日公開、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【0001】
本発明は、コア基板を有さない配線基板の製造方法に関する。」

(2)「【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コア基板を有さず、高分子材料からなる誘電体層と導体層とが交互に積層された配線基板を効率的に得ることが可能な製造方法を提供することを課題とする。」

(3)「【0008】
上記課題を解決するため、本発明の配線基板の製造方法では、
製造時における補強のための支持基板として用いる金属板の第一主表面に、該金属板に対して選択エッチング性を有する金属薄膜層を被膜する被膜工程と、
前記被膜工程後に、前記金属薄膜層の第一主表面に、金属端子パッドをなす導体パターンを形成した上で、高分子材料からなる誘電体層と金属導体層とを交互に積層して配線積層部を形成する積層工程と、
前記積層工程後に、前記金属板を選択エッチングにより除去し、次いで、前記金属薄膜層を選択エッチングにより除去することで、前記金属薄膜層の第一主表面側に形成された前記導体パターンを露出させるエッチング工程と、
をこの順で行うことを特徴とする。」

(4)「【0012】
また、本発明の配線基板の製造方法においては、金属薄膜層の第一主表面に、金属薄膜層に対して選択エッチング性を有し、且つ表面粗化処理の可能な薄膜層が被膜されてなるとともに、該薄膜層はその第一主表面に粗化処理が施されていることを特徴とすることができる。これによれば、金属薄膜層とその上に積層形成されるビルドアップ層との密着性が悪い場合には、金属薄膜層の第一主表面に薄膜層を形成し、その表面を粗化することで、金属薄膜層上に積層されるビルドアップ層との密着性を高めることが可能となる。」

(5)「【0013】
以下、本発明の実施の形態について述べる。図1は本発明の配線基板の製造方法によって形成された配線基板100の断面を示すものである。なお、はんだバンプFB上には、別途形成された電子部品ICが搭載されている。以下、図2?図4を用いて図1に示す配線基板100の製造方法の一実施形態について説明する。
【0014】
図2の工程1にて、支持基板としての役割を果たす金属板2の第一主表面MP1に、例えば片面のスパッタリング処理によって、金属薄膜層3を被膜する(被膜工程)。ここで、金属板2は、エッチング処理によって除去可能な金属材料で形成される必要があり、例えばCu、Cu合金、SUS(JIS規格)、Ni、Fe-Ni合金、Al、Al合金、インバー、インバー合金等を用いることができる。また、金属薄膜層3は、金属板2に対する選択エッチング性を有し、且つ配線基板製造時の各種熱処理によって金属板2と合金化されにくい金属材料、例えばTi,Cr,Al,Ag,Sn等のうちの少なくとも1つ以上からなるものを用いることができる。本実施形態においては、金属板として銅板(Cu)、金属薄膜層としてTiを用いるものとする。
【0015】
次に工程2に示すように、金属薄膜層3の第一主表面MP2に、紫外線感光性のドライフィルムレジスト4をラミネート(貼り合わせ)した上で、紫外線照射による露光、現像を用いてパターニング処理する。そして、パターニングされたドライフィルムレジスト4をマスクとして用い、金属端子パッドとなるべき導体パターン11(第一金属導体層M1)を形成する。このとき形成される導体パターン11は、後述する金属薄膜層3のエッチング処理におけるエッチング液に対して耐性を有する必要があり、例えば銅、ニッケル、金、錫、銀、パラジウム等を用いることができる。本実施形態においては、電解めっき処理により、Cuを主成分とする導体パターンを形成するものとする。
【0016】
工程3では、工程2でマスクとして用いたドライフィルムレジスト4をエッチング除去する。このとき、エッチング処理前に導体パターン11の露出表面に対し、粗化処理を行っておけば、工程4にて該導体パターン11上に積層される樹脂フィルム30と該導体パターン11との密着性の向上を図ることができる。
【0017】
続いて図3に示す工程4にて、第一金属導体層M1の上層に熱硬化性を有する樹脂フィルム30をラミネートし、硬化処理を施すことで第一誘電体層B1を形成する。そして樹脂フィルム30の所定位置に、例えばレーザを用いて穿孔し、ビア用の開口部(以下、ビア孔ともいう)を形成しておく。なお、樹脂フィルム30は、例えばエポキシを主成分とする材料にて構成することができ、周知の真空ラミネーション法により形成することができる。」

(6)「【0019】
工程6では、上述の工程2?工程5を繰り返し、誘電体層および金属導体層を順次積層することにより、ビルドアップ層(配線積層部)10を形成する(積層工程)。なお、該ビルドアップ層10における最表層は、本実施形態においては、ソルダーレジスト層SR(第四誘電体層B4)が形成される。ソルダーレジスト層SRには、開口部が形成されており、その直下に形成される導体パターン14(第四金属導体層M4)が露出している。このとき、該導体層パターン14は、金属端子パッドとなるべき導体パターンである。」

(7)「【0026】
本実施形態においては、金属薄膜層3とビルドアップ層10との密着力が弱い場合がある。このような場合には、金属板2は配線基板製造時の支持基板として機能を果たし得ない可能性がある。この層間の密着力を強化する手段としては、層表面の粗化処理がある。ただし、金属薄膜層3がTi等からなる場合は、その性質上、その表面の粗化処理は困難である。このような場合は、工程1において、金属薄膜層3の被膜形成後、その直上に薄膜層3´を粗化処理の容易な材質、例えばCuなどで形成し、その第一主表面を粗化処理しておけばよい。これにより、薄膜層3´とビルドアップ層10との密着面は、良好な密着強度を得ることができる。なお、この薄膜層3´は、工程7における金属薄膜層3のエッチング除去後に、エッチング除去される必要がある。ただし、薄膜層3´が導体パターン11の主成分と同じCuよりなる場合は、薄膜層3´のエッチング処理により、導体パターン11の一部もエッチングされる可能性がある。しかし、薄膜層3´は薄く形成されるため、エッチング液の選択次第で、導体パターン11の過度のエッチングを抑えることは容易である。また、逆に、導体パターン11の露出面が多少エッチングされていた方が、金属端子パッドを形成する際に、パッド導体形成位置の特定が行い易いという点で、かえって有効である。」

上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。

(a)引用例には、コア基板を有さない配線基板の製造方法、及び該配線基板の製造方法によって形成された「配線基板」が記載されている(摘示事項(1)、(5))。

(b)「配線基板」は、誘電体層と導体層とが積層されたものである(摘示事項(2))。

(c)配線基板100の断面において、導体パターン11(第一金属導体層M1)は、上面、下面及び両側面を有する(図1)。

(d)配線基板100の上面は、半導体素子搭載面である(図1)。

(e)配線基板100の下面は、半導体素子搭載面に対向する(図1)から、外部接続端子面であることは、明らかである。

(f)薄膜層3´の第一主表面を粗化処理した場合(摘示事項(7))、薄膜層3´の粗化面が外部接続端子面の第一誘電体層B1の下面に転写されることは、明らかである。

(g)導体パターン11(第一金属導体層M1)の上面及び両側面は、第一誘電体層B1に接すると共に、導体パターン11(第一金属導体層M1)の下面は、第一誘電体層B1の下面から露出する(図1)。

(h)導体パターン11の露出表面に対し粗化処理を行った場合(摘示事項(5))、導体パターン11(第一金属導体層M1)の上面は、粗化面に形成される。

以上を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「配線基板であって、
誘電体層と導体層とが積層されたものであり、
配線基板100の断面において、導体パターン11(第一金属導体層M1)は、上面、下面及び両側面を有し、
配線基板100の上面は、半導体素子搭載面であり、
配線基板100の下面は、外部接続端子面であり、
外部接続端子面の第一誘電体層B1の下面が粗化面に形成され、
導体パターン11(第一金属導体層M1)の上面及び両側面は、第一誘電体層B1に接すると共に、導体パターン11(第一金属導体層M1)の下面は、第一誘電体層B1の下面から露出し、
導体パターン11(第一金属導体層M1)の上面は、粗化面に形成される配線基板。」

3.対比

そこで、本件補正発明と引用発明とを対比する。

(1)配線基板
引用発明の「導体パターン11(第一金属導体層M1)」は、「配線層」といえる。引用発明の配線基板100を下方から見ると、配線基板100の断面において、導体パターン11(第一金属導体層M1)の「上面」、「下面」は、それぞれ、「底面」、「表面」といえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「誘電体層と、断面において表面、底面及び両側面を有する配線層とが積層され、一方の面が半導体素子搭載面であり、該一方の面に対向する他方の面が外部接続端子面である配線基板」である点で一致する。

(2)外部接続端子面
引用発明の配線基板100を下方から見ると、外部接続端子面の第一誘電体層B1の「下面」は、「表面」といえる。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「該外部接続端子面の誘電体層の表面が粗化面に形成されている」点で一致する。
もっとも、本件補正発明は、「粗化面に形成されている」「外部接続端子面の誘電体層の表面」についてその「全面」と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点で相違する。

(3)配線層
本件補正発明と引用発明とは、「該配線層の側面及び底面が該誘電体層に接すると共に、該誘電体層に接する配線層の底面が粗化面に形成され、該配線層の表面が該誘電体層の表面から露出している」点で一致する。
もっとも、「該誘電体層に接する配線層の側面」について、本件補正発明は、「粗化面に形成されている」のに対し、引用発明は、粗化面に形成されていない点で相違する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>

「誘電体層と、断面において表面、底面及び両側面を有する配線層とが積層され、一方の面が半導体素子搭載面であり、該一方の面に対向する他方の面が外部接続端子面である配線基板の、
該外部接続端子面の誘電体層の表面が粗化面に形成されており、
該配線層の側面及び底面が該誘電体層に接すると共に、該誘電体層に接する配線層の底面が粗化面に形成され、該配線層の表面が該誘電体層の表面から露出している配線基板。」の点。

そして、次の点で相違する。

<相違点>

(1)本件補正発明は、「粗化面に形成されている」「外部接続端子面の誘電体層の表面」についてその「全面」と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

(2)「該誘電体層に接する配線層の側面」について、本件補正発明は、「粗化面に形成されている」のに対し、引用発明は、粗化面に形成されていない点。

4.判断

そこで、上記相違点について検討する。

相違点(1)について
引用発明の「配線基板」を製造する時の支持基板である金属板2の第一主表面に被膜した金属薄膜層3と、引用発明の「誘電体層と導体層とが積層されたもの」であるビルドアップ層10との密着力が弱い場合に、金属薄膜層3の直上に薄膜層3´を形成し、その第一主表面を粗化処理することにより、薄膜層3´とビルドアップ層10との密着面は、良好な密着強度を得ることができる(摘示事項(7))。その際、金属薄膜層3の第一主表面の一部のみに薄膜層3´を形成すべき事情、及び、薄膜層3´の第一主表面の一部のみを粗化処理すべき事情は見当たらないから、金属薄膜層3の第一主表面の全面に薄膜層3´を形成し、薄膜層3´の第一主表面の全面を粗化処理すると解するのが自然である。薄膜層3´の粗化面は、引用発明の「外部接続端子面の第一誘電体層B1の下面(表面)」に転写されるから、引用発明において、外部接続端子面の第一誘電体層B1の下面の全面が粗化面に形成されると解するのが自然であり、相違点(1)は、実質的な相違点ではない。

相違点(2)について
ビルドアップ層を形成する際に、配線側壁/樹脂境界の密着強度を高めるために、配線側壁を粗化することは周知である(例えば、特開平11-330695号公報、特開平10-242639号公報参照)。
したがって、引用発明において、ビルドアップ層を形成する際に、導体パターン11(第一金属導体層M1)の側面/第一誘電体層B1境界の密着強度を高めるために、導体パターン11(第一金属導体層M1)の側面を粗化面に形成するようにすることは、当業者が容易に想到し得る。

効果についてみても、上記構成の変更に伴って当然に予測される程度のことであって、格別顕著なものがあるとは認められない。

したがって、本件補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明

平成26年2月12日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成25年7月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項2として記載したとおりのものである。

2.引用例

原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]3.及び4.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である「粗化面に形成されている」「外部接続端子面の誘電体層の表面」についてその「全面」との構成を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-09-29 
結審通知日 2014-09-30 
審決日 2014-10-14 
出願番号 特願2012-154173(P2012-154173)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂本 薫昭  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 酒井 朋広
関谷 隆一
発明の名称 配線基板及び半導体装置  
代理人 島田 哲郎  
代理人 青木 篤  
代理人 樋口 外治  

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