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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F03D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F03D
管理番号 1294504
審判番号 不服2011-21718  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-07 
確定日 2014-12-12 
事件の表示 特願2008-538838「風力タービン設備のタワーの振動を減衰する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月10日国際公開、WO2007/053031、平成21年 4月 2日国内公表、特表2009-513881〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2006年10月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年11月1日、ノルウェー)を国際出願日とする出願であって、平成23年5月27日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成23年6月7日)、これに対し、平成23年10月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審より平成24年7月5日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成24年7月10日)、これに対し、平成24年11月8日付で意見書が提出されたものである。


2.本願
平成23年10月7日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-12には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
フロートセルと、
該フロートセルの上方に配置されたタワーと、
該タワー上に搭載され、風向きに関連して回転可能であり、タービンブレードを有する風力タービンに取り付けられた発電機と、
固定具すなわち海底の基礎に接続された固定ライン機構と
を備えたフロート式風力タービン設備のタワーの剛体セルの移動である振動を減衰する方法であって、
該方法は、
前記風力タービンの一定の電力範囲又はRPM範囲においてコントローラにより前記タービンブレードのブレード角を制御することによって、前記風力タービンに対する相対風速の変化に応じて前記発電機を制御することと、
前記風力タービンの前記一定の電力範囲又は前記RPM範囲での前記コントローラの制御に加えて、前記タワーの固有振動が打ち消されるように、タワー速度ドットΔZに基づいて前記タービンブレードの前記ブレード角に増分Δβが加えられることによって前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigを減衰することと
を含み、
周波数ωeigを有するタワー上部の水平な変位ΔZの振動は、前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの伝達関数Hstab(s)を有するスタビライザにより減衰され、
該スタビライザにはローパスフィルタが設けられ、該ローパスフィルタは、前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigより大きい範囲の振動数において前記スタビライザが前記ブレード角に影響しないように配置される方法。
【請求項2】
前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの前記伝達関数Hstab(s)と、
前記ブレード角βと前記タワー速度との間の伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)と
は、ループ伝達関数Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-bであるようなものであり、
これは、
【数1】
Hstab(jωeig)=-b/K・e^(-jφ)を意味し、「b」は、前記ブレードのモーメント特性及びスラスト特性に依存する変数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの間の前記伝達関数Hstab(s)と、
前記ブレード角βと前記タワー速度との間の伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)と
は、ループ伝達関数Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-1であるようなものであり、
これは、
【数2】
Hstab(jωeig)=-1/K・e^(-jφ)を意味する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スタビライザには、低周波数において増幅が提供されないことを保証するハイパスフィルタが設けられる、請求項1?3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スタビライザには、位相補償フィルタが設けられ、
前記スタビライザの位相歪みは、前記ブレード角の増分Δβが前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigに起因するタワー上部の水平な変位ΔZの振動を減衰するようなものであるように、前記位相補償フィルタが調整される、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記タービンブレードのそれぞれのブレード角βは、個々に制御される、請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
フロートセルと、
該フロートセルの上方に配置されたタワーと、
該タワー上に搭載され、風向きに関連して回転可能であり、タービンブレードを有する風力タービンに取り付けられた発電機と、
固定具すなわち海底の基礎に接続された固定ライン機構と
を備えたフロート式風力タービン設備の前記タービンブレードのブレード角を制御するブレード角コントローラであって、
該ブレード角コントローラは、
前記風力タービンの一定の電力範囲又はRPM範囲においてコントローラにより前記タービンブレードのブレード角を制御することによって、前記風力タービンに対する相対風速の変化に応じて前記発電機を制御し、
前記風力タービンの前記一定の電力範囲又は前記RPM範囲での前記コントローラの制御に加えて、前記タワーの剛体セルの移動の固有振動が打ち消されるように、タワー速度ドットΔZに基づいて前記タービンブレードの前記ブレード角に増分Δβが加えられることによって前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigを減衰させ、
周波数ωeigを有するタワー上部の水平な変位ΔZの振動は、前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの伝達関数Hstab(s)を有するスタビライザにより減衰され、
該スタビライザにはローパスフィルタが設けられ、該ローパスフィルタは、前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigより大きい範囲の振動数において前記スタビライザが前記ブレード角に影響しないように配置されるブレード角コントローラ。
【請求項8】
前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの前記伝達関数Hstab(s)と、
前記ブレード角βと前記タワー速度との間の伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)と
は、ループ伝達関数Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-bであるようなものであり、
これは、
【数3】
Hstab(jωeig)=-b/K・e^(-jφ)を意味し、「b」は、前記ブレードのモーメント特性及びスラスト特性に依存する変数である、請求項7に記載のブレード角コントローラ。
【請求項9】
前記タワー速度ドットΔZと前記ブレード角の増分Δβとの間の前記伝達関数Hstab(s)と、
前記ブレード角βと前記タワー速度との間の伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)と
は、ループ伝達関数Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-1であるようなものであり、
これは、
【数4】
Hstab(jωeig)=-1/K・e^(-jφ)を意味する、請求項7または8に記載のブレード角コントローラ。
【請求項10】
前記スタビライザには、低周波数において増幅が提供されないことを保証するハイパスフィルタが設けられる、請求項7?9のいずれか一項に記載のブレード角コントローラ。
【請求項11】
前記スタビライザには、位相補償フィルタが設けられ、
前記スタビライザの位相歪みは、前記ブレード角の増分Δβが前記タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigに起因するタワー上部の水平な変位ΔZの振動を減衰するようなものであるように、前記位相補償フィルタが調整される、請求項7?10のいずれか一項に記載のブレード角コントローラ。
【請求項12】
前記タービンブレードのそれぞれのブレード角βは、個々に制御される、請求項7?11のいずれか一項に記載のブレード角コントローラ。」


3.拒絶の理由
平成24年7月5日付で通知した当審の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。

『この出願は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、本願は、フロート式風力タービン設備のタワーの剛体セルの移動である振動を減衰するものであるが、フロート式風力タービン設備に関し、特に発明を特定する限定が特許請求の範囲には無く、又、明細書中にも構成を限定する記載がないから、本願の方法を用いれば如何なる風力タービン設備でも振動を減衰することができることとなるが、様々な構成を採用し得るフロート式風力タービン設備(形状・構造・材質が異なっても何故一種類の方法で対処できるのか不明。風車部分が水平軸風車でも垂直軸風車でも何故一種類の方法で対処できるのか不明。風車の羽根の数が異なっても何故一種類の方法で対処できるのか不明。)が、何故本願の方法で振動が減衰できるのか(何故如何なるタイプのフロート式風力タービン設備にも対応できるのか)、その物理的根拠が不明であり、明細書等には何ら開示が無く不明である。
更に、フロート式風力タービン設備の振動には、サージ、スウェイ、ヒーブ、ロール、ピッチ、及びヨー(【0005】)、うねり、非線形波力、風速の変動、潮力等(【0006】)が影響を及ぼすが、何故本願の方法で様々な振動に影響を及ぼす要因全てに対処できるのか何ら開示が無く不明である。
更に、本願は、タービンブレードのブレード角を制御することによって振動を減衰するものと考えられるが、例えば風車が水平軸風車の場合、伝達関数から得られた結果を用いてブレード角をどの様に制御するのか具体的手段(ブレードをどの様に動かすか)が開示が無く不明であり、しかも、ブレードを制御する際、風車のブレード全てを制御するのか一部だけ制御するのか、何ら開示が無く不明である。なお、垂直軸風車であっても同様に不明である。
更に、本願は【0011】に記載された解析を基にしているものと解されるが、【0011】に記載された事項は、風力タービンが地上に設置された場合を前提としており、この場合、風力タービンは風の影響は受けても波の影響は受けない(即ち地上に固定されている)から、【0011】を前提にしたものが何故本願の洋上の風力タービンの制御方法に適用できるのか、その物理的根拠が不明である。
更に、本願が目的とするタワー振動の減衰は、特定の周波数即ちタワー振動の固有周波数ωeigに等しい周波数を有する振動βのみを減衰することを目的とするのか否か不明であり、仮に特定の周波数のみを減衰するとすれば、洋上のフロート式風力タービン設備の振動は、風力のみならず波力も原因となるから、何故特定の周波数に等しい周波数を有する振動のみを減衰するのか、その物理的根拠が不明であり、しかも、その特定周波数の振動のみを減衰して何故風力タービン設備全体の振動が減衰するのか不明である。
更に、伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)とあるが、具体的にどの様な関数であるのか何ら開示が無く不明であり、伝達関数Hstab(s)とあるが、具体的にどの様な関数であるのか何ら開示が無く不明であり、しかもこれら伝達関数を風力タービンのブレードに具体的にどの様に適用するのか何ら開示が無く不明であり、(1.1)式において、右辺にK・e^(jψ)とあるが、ψについて明細書等には何等定義が無く、何を表すのか全く不明である。
更に、【0031】に(2.3)式が示されているが、これら3つの式が何を表しているのか不明(特に第2式、第3式)である。』


4.当審の判断
(1)フロート式風力タービン設備に関し、特に構成を限定する記載がないから、本願の方法を用いれば如何なる風力タービン設備でも振動を減衰することができることとなるが、例えば、形状・構造・材質が異なっても、水平軸風車でも垂直軸風車でも、風車の羽根の数が異なっても、何故一種類の本願の方法で振動が減衰できるのか、その物理的根拠が不明であり、明細書等には何ら開示が無く不明である。明細書中には、確かに伝達関数Hstab(s)とは開示があるが、当該伝達関数が具体的に示されてはおらず、また、型式が異なれば当然にブレードの具体的な制御方法も異なるはずであるが、当該ブレードの制御方法は何ら開示が無く不明である。したがって、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2)フロート式風力タービン設備の振動には、サージ、スウェイ、ヒーブ、ロール、ピッチ、及びヨー、うねり、非線形波力、風速の変動、潮力等が影響を及ぼすが、何故本願の方法で様々な振動に影響を及ぼす要因全てに対処できるのか何ら開示が無く不明である。即ち、フロート式風力タービン設備に振動を与えるのは、風のみならず、波や海流も振動を与え、これら風、波、海流等は常に定まった一方向からフロート式風力タービン設備に向かうものではなく、複雑な複数の流れがフロート式風力タービン設備に向かい、サージ、スウェイ、ヒーブ、ロール、ピッチ、及びヨーが与えられるから、これら振動に対処するためには、どの様なセンサを用いて各振動を検出し、センサ出力にどの様にして優先順位付けや重み付けをしてタービンブレードのブレード角を制御するのか何ら開示が無く不明である。したがって、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(3)風車について何等限定が無いから、水平軸風車と垂直軸風車が考えられる。
風車が水平軸風車の場合、伝達関数から得られた結果を用いてブレード角をどの様に制御するのか具体的手段、即ちブレードをどの様に動かすか開示が無く不明である。しかも、ブレードを制御する際、風車のブレード全てを制御するのか一部だけ制御するのか不明であり、全てを制御する場合、全てのブレードに同じ制御を行うのか個別に制御するのか不明であり、個別に行うとき、具体的にどの様に制御を行うのか不明であり、一部だけ制御する場合、当該一部をどの様な基準で選択してどの様な制御を行うのか不明である。したがって、タービンブレードのブレード角を制御することによってフロート式風力タービン設備の振動を減衰することができるのか不明である。
風車が垂直軸風車の場合も同様に、伝達関数から得られた結果を用いてブレード角をどの様に制御するのか具体的手段、即ちブレードをどの様に動かすか開示が無く不明であり、また、垂直軸風車は垂直軸の周りをブレードが回転するから、回転に伴ってブレードの制御を変えなければならないが、どの様に制御を変えるのか開示が無く不明である。しかも、ブレードを制御する際、風車のブレード全てを制御するのか一部だけ制御するのか不明であり、全てを制御する場合、全てのブレードに同じ制御を行うのか個別に制御するのか不明であり、個別に行うとき、具体的にどの様に制御を行うのか不明であり、一部だけ制御する場合、当該一部をどの様な基準で選択してどの様な制御を行うのか不明である。
したがって、タービンブレードのブレード角を制御することによってフロート式風力タービン設備の振動を減衰することができるのか不明である。
したがって、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(4)発明の詳細な説明には、特定の周波数即ちタワー振動の固有周波数ωeigに等しい周波数を有する振動βのみを減衰することを目的として示されているが、フロート式風力タービン設備は、フロートセル、タワー、風力タービン、発電機、固定ライン機構からなっており、何故フロート式風力タービン設備ではなくタワー振動の固有周波数ωeigのみを減衰して風力タービン設備全体の振動が減衰するのか不明である。しかも、特許請求の範囲には、タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigと記載されており、発明の詳細な説明の記載と整合性が取れておらず、出願時の技術常識に照らしても、タワーの剛体セルの移動の固有振動数ωeigまで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないので、当該事項は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。したがって、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。

(5)伝達関数Hβ-ΔZ_dot(s)とあるが、具体的にどの様な関数であるのか何ら開示が無く不明であり、この伝達関数が固有振動数ωeigやタワーと具体的にどの様な関係にあるのか開示が無く不明であり、また、伝達関数Hstab(s)とあるが、具体的にどの様な関数であるのか何ら開示が無く不明であり、この伝達関数が固有振動数ωeigやブレードと具体的にどの様な関係にあるのか開示が無く不明である。また、Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-b、Hβ-ΔZ_dot(jωeig)・Hstab(jωeig)=-1は、所定の信号に逆位相の信号を与えると所定の信号がキャンセルできることを示すのみであり、通常ノイズ等を減衰させるために用いる手段であるが、それ以上具体的にブレードをどの様に制御するかは何ら開示が無く不明である。また、(1.1)式は、位相を表す一般式であり、本願発明の具体的内容を何等表すものではないから、(1.1)式から発明を把握することはできず、発明の構成は不明である。したがって、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

したがって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1-12に記載された事項を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、又、請求項1-12に記載された事項は、発明の詳細な説明を参照しても構成が不明であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、又、請求項1-12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

なお、請求人は、平成24年12月20日付ファクスにおいて、
『本願発明は、あらゆる方向のタワー設備の移動を減衰するものではなく、各種移動が混合してあらゆる方向に移動するタワー設備について、風に対して平行な向きの移動を減衰するものです。』
と主張している。
風に対して平行な向きの移動とは、平成24年11月28日付面接における代理人の説明に基づけば、水平軸風車の場合、タービンのシャフト方向の風による移動を意味するものであるが、当初明細書等には、タワー設備の風に対して平行な向きの移動のみを減衰する点は一切記載が無い。しかも、上記主張は、海面上において、タワー設備に対して風が所定の一方向のみから吹き、その際波・海流等海が影響を及ぼさないという条件でなければ成り立たない減衰のための条件であるが、このような条件が成り立つ海は存在せず、仮に風に対して平行な向きの移動のみを減衰しようとすれば、タワー設備に対して吹く風の内、どの方角から吹いてきた風がタワー設備を風に対して平行な向きに移動させるのか判別しなければならないが、何ら開示が無く不明であり、又、タービンのシャフト方向の風とタービンのシャフト方向以外の風が混ざって吹いてきた場合、ブレードをどの様に制御するか何ら開示が無く不明である。垂直軸風車の場合、風に対して平行な向きの移動とは360度全方向になるが、当初明細書等にはタワー設備の風に対して平行な向きの移動のみを減衰する点は一切記載が無く、この場合ブレードをどの様に制御すれば風に対して平行な向きの移動を減衰できるのか何ら開示が無く不明である。したがって、請求人の上記主張は採用できない。


5.むすび
したがって、請求項1-12に記載された事項は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
 
審理終結日 2013-03-04 
結審通知日 2013-03-05 
審決日 2013-03-25 
出願番号 特願2008-538838(P2008-538838)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (F03D)
P 1 8・ 536- WZ (F03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 竜一  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 槙原 進
藤井 昇
発明の名称 風力タービン設備のタワーの振動を減衰する方法  
代理人 曾我 道治  
代理人 田口 雅啓  
代理人 梶並 順  

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