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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1294523
審判番号 不服2001-20311  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-13 
確定日 2005-12-08 
事件の表示 平成 9年特許願第167602号「遊技機用制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月19日出願公開、特開平11- 9797〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年6月24日の出願であって、平成13年7月26日付の拒絶理由に対し平成13年9月20日付で手続補正がなされ、平成13年10月16日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年11月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。
2.平成13年11月13日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年11月13日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】遊技機の作動を制御する制御素子が配設された制御基板と、その制御基板を覆う箱状のカバーとを含む遊技機用制御装置であって、
前記制御基板上に配設された特定の制御素子の外面に、識別情報を示すコードが付されているとともに、
前記カバーに、前記特定の制御素子の外面と平行に対峙する対峙面を有する凹状部が設けられており、カバーの内の少なくとも前記対峙面が透明に形成されているとともに前記特定の制御素子の外面と当接した状態になっており、かつ、前記凹状部に蓋体が取り付けられていることを特徴とする遊技機用制御装置。」と補正された。
前記補正は、補正前(平成13年9月20日付で手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「カバーの内の少なくとも前記対峙面が透明に形成されており、かつ、前記凹状部に蓋体が取り付けられていることを」を「カバーの内の少なくとも前記対峙面が透明に形成されているとともに前記特定の制御素子の外面と当接した状態になっており、かつ、前記凹状部に蓋体が取り付けられていること」と限定するものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-229216号公報(平成8年3月19日付けの手続補正書に記載。以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
(記載事項1)
「【請求項1】中央処理装置や記憶素子等の電子部品を用いて遊技内容を制御する制御部を有する遊技機において、
前記制御部には、前記電子部品を配置した一段構成のプリント基板を収納する収納ケースの少なくとも前記電子部品と対面する面の一部又は全部に内部が見える観察窓を形成すると共に、その観察窓から前記制御部の内部に付した番号を視認し得ることを特徴とする遊技機。」(第5頁左下欄第11?18行の特許請求の範囲)
(記載事項2)
「【0003】ところで、遊技内容の制御は、中央処理装置(以下CPUと称する)や記憶素子等の電子部品により行われる。即ち、遊技内容は、記憶素子である、例えばROMにその動作プログラムが記憶されている。したがって、ROMの交換や回路の変更等により、電子技術者であれば、法律の規制による検定を受けたパチンコ遊技機の遊技内容を、賭博性の高いものに簡易に改造することができる。このため、かかる不正を防止し、ROMの交換等による改造をすることができないように、パチンコ遊技機の電子部品を収納するケースは、封印紙により封印されている。」(第5頁右下欄第3?13行)
(記載事項3)
「【0009】図1は、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機1の制御部3の拡大斜視図である。図1において、制御部3は、後述する封印紙が貼られたCPUやROM等の電子部品と、該電子部品が配置されているプリント基板10と、電子部品やプリント基板を収納する上部蓋11aと底板11bとから構成される収納ケース11とを含む。12は、収納ケース11内部のプリント基板10に配置されたCPUやROM等の異常の有無を検査するために上部蓋11aの一部に設けられた透明な観察窓である。13は、制御部3の収納ケース11を封印する封印紙である。尚、14は、制御部3と図示しないスピーカやランプ等とを結ぶための接続線である。また、前記収納ケース11の上部蓋11aは、プリント基板10の電子部品が配置された側の面に対面するものであり、底板11bとでプリント基板10を収納する形状であれば、どのような形状であっても良い。」(第6頁左欄第37行?右欄第2行)
(記載事項4)
「【0010】図3は、制御部3内のプリント基板10に取り付けられた電子部品の部分拡大斜視図である。図3において、21はCPU、22はROM、23はROMを取り付けるソケット、24はRAMである。また、25a,25b,25cは、電子部品の真正を証明するための封印紙である。尚、図3では、説明の便宜上、CPU21、ROM22、RAM24の一部に番号を付した封印紙25a?25cが貼ってあるが、封印紙の形状や貼り方は、これに限るものではなく、例えば、幅広の封印紙を用いてCPU21やROM22等の足全体に封印してもよいし、CPU21やROM22等の全体を包むようにして封印してもよい。このように、CPU21やROM22等の足が見えないように封印すると、遊技内容を不正に改造しようとしても、例えばROM22のアドレスを変えようとアドレスピンの配線を変更しても、かかる構造をすることが困難になる。
【0011】今、例えば、遊技場の経営者が回路を変更したり、ROM22を交換したりして、検定を受けたパチンコ遊技機1の遊技内容を不正に改造し、CPU21やROM22等に貼られた封印紙25a?25cが破られていたり、偽造した封印紙25a?25cが貼られていたとする。このような遊技内容の不正改造が行われた場合、制御部3の上部蓋11aを取り外さなくても、即ち、収納ケース11に貼られた封印紙13を破ることなく、観察窓12から内部を覗くことによって、CPU21等に貼られた封印紙25a?25cの異常の有無や封印番号を簡易に検査し、それによって真正な電子部品が使用されているか否か、即ち、不正改造が行われたか否かを簡易に知ることができる。
【0012】以上説明したように上記の実施形態によれば、遊技内容を制御する制御部3の収納ケース11に貼られた封印紙13を破ることなく、制御部3内のCPU21やROM22等に不正改造が行われているか否かを迅速且つ容易に検査することができる。」(第6頁右欄第3?36行)
(記載事項5)
「【0013】尚、上記の実施形態では、上部蓋11aの一部にやや大きめの観察窓12を設けたが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、封印を施した電子部品のみを検査することができるような小さなものでもよいし、」(第6頁右欄第37?41行)
(記載事項6)
「【0014】更に、上記実施形態では、電子部品の真正を証明するために封印紙25a?25cによる封印について説明したが、封印手段は、例えば封印鉛等による封印であってもよい。また、電子部品の真正を証明するために封印紙以外の証明手段、例えば、当該電子部品に貼付される特徴的なラベルであっても良い。」(第6頁右欄第48行?第7頁左欄第3行)
(記載事項7)
「【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電子部品を配置したプリント基板を収納する収納ケースの電子部品と対面する面の一部又は全部に内部が見える観察窓とし、その観察窓から制御部の内部に付した番号を視認し得るようにしたので、収納ケースに収納されたプリント基板上に配置された電子部品の異常や状態を、電子部品を収納ケースに収納したままで、内部に付した番号を確認することによりケースの外側から簡易に検査することができる。」(第7頁左欄第4?13行)
よって、前記記載事項1?7及び図面の記載、並びに、「プリント基板10の電子部品が配置された側の面」(記載事項3)とROM22の外面とが平行であることが明らかであることを勘案すれば、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技機1の作動を制御するROM22が配設されたプリント基板10と、そのプリント基板10を覆う箱状の上部蓋11aとを含む制御部3であって、
前記プリント基板10上に配設された特定のROM22の外面に、封印番号を付した封印紙25bが貼られるとともに、
前記上部蓋11aに、前記特定のROM22の外面と平行に対面する観察窓12が設けられており、上部蓋11aの内の少なくとも前記観察窓12が透明に形成されている制御部3。」
(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明に記載の発明とを比較すると、後者の、a「パチンコ遊技機1」、b「ROM22」、c「プリント基板10」、d「上部蓋11a」、e「制御部3」、f「対面」、g「観察窓12」は、前者のa「遊技機」、b「制御素子」、c「制御基板」、d「カバー」、e「遊技機用制御装置」、f「対峙」、g「対峙面」に相当する。
また、「CPU21、ROM22、RAM24の一部に番号を付した封印紙25a?25cが貼ってある」(記載事項4)、「CPU21等に貼られた封印紙25a?25cの・・・封印番号を簡易に検査し、それによって真正な電子部品が使用されているか否か・・・を簡易に知ることができる。」(記載事項4)、及び「観察窓から制御部の内部に付した番号を視認し得るようにしたので、・・・電子部品の異常や状態を・・・内部に付した番号を確認することにより・・・簡易に検査することができる。」(記載事項7)の記載、並びに、第3図において、プリント基板10上の電子部品(CPU21、ROM22、ソケット23、RAM24)毎に異なった封印番号が付された封印紙が貼られていることから、ROM22に対応した封印番号が用いられていることは明らかである。よって、引用発明の「封印番号」は、本願補正発明の「識別情報」に相当する。
よって、両者は、
「遊技機の作動を制御する制御素子が配設された制御基板と、その制御基板を覆う箱状のカバーとを含む遊技機用制御装置であって、
前記制御基板上に配設された特定の制御素子の外面に、識別情報が付されているとともに、
前記カバーに、前記特定の制御素子の外面と平行に対峙する対峙面が設けられており、カバーの内の少なくとも前記対峙面が透明に形成されている遊技機用制御装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点
本願補正発明では、識別情報がコードであり、カバーに対峙面を有する凹状部が設けられており、対峙面が特定の制御素子の外面と当接した状態になっており、対峙面を有する凹状部に蓋体が取り付けられているのに対し、引用発明では、識別情報が封印番号であり、カバーに凹状部は設けられておらず、対峙面が特定の制御素子の外面と当接した状態になっておらず、対峙面に蓋体が取り付けられていない点。
(4)判断
前記相違点について検討する。
識別情報として、半導体素子にバーコードを付することは周知技術(以下、「周知技術A」という。)(例えば、特開平5-107304号公報、特表平5-501153号公報参照。)であるし、カバー(表示部ケース3)に対峙面(透明板から成る視認窓11)を有する凹状部を設けて対峙面が被観察部(体温表示部6)と当接させる構成も周知技術(以下、「周知技術B」という。)(例えば、実公平4-30510号公報(第2頁左欄第19行?第3頁左欄第18行、第4図(a))参照。)であるし、開口部に蓋体を取り付けて、内部を確認したいときに、蓋体を開けて覗き見ることも周知技術(以下、「周知技術C」という。)(例えば、特開平5-131048号公報(第9頁左欄第46行?右欄第32行、図14?16)、特開平5-285266号公報(第5頁右欄第33?43行、図12)参照。)である。そして、バーコードリーダーでバーコードを読み取る場合には、バーコードとバーコードリーダーが近接した位置にあることが必要なことは明らかであるから、引用発明において、識別情報として周知技術Aの如くバーコードを採用するにあたって、周知技術Bの如くカバーに対峙面を有する凹状部を設けて対峙面を被観察部である制御素子の外面と当接させ、さらに、前記周知技術Cの如く蓋体を設ける設計変更を加味することは、当業者が容易に想到できることである。
(5)本願補正発明の作用効果について
本願補正発明の奏する効果は、引用発明に前記周知技術A?Cを適用したものから当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願補正発明は、引用例記載の発明、及び前記周知技術A?Cに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(6)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
3.本願発明について
(1)本願発明
平成13年11月13日付の手続補正は上記のとおり却下された。よって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年9月20日付手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】遊技機の作動を制御する制御素子が配設された制御基板と、その制御基板を覆う箱状のカバーとを含む遊技機用制御装置であって、
前記制御基板上に配設された特定の制御素子の外面に、識別情報を示すコードが付されているとともに、
前記カバーに、前記特定の制御素子の外面と平行に対峙する対峙面を有する凹状部が設けられており、カバーの内の少なくとも前記対峙面が透明に形成されており、かつ、前記凹状部に蓋体が取り付けられていることを特徴とする遊技機用制御装置。」
(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「カバー」の限定事項である「いるとともに前記特定の制御素子の外面と当接した状態になって」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例及び周知技術A?Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例及び周知技術A?Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載の発明、及び、周知技術A?Cに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-04 
結審通知日 2005-10-11 
審決日 2005-10-25 
出願番号 特願平9-167602
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 篠崎 正
川島 陵司
発明の名称 遊技機用制御装置  
代理人 石田 喜樹  

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