• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1294544
審判番号 不服2002-16914  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-04 
確定日 2005-12-08 
事件の表示 平成 8年特許願第229706号「電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 3月17日出願公開、特開平10- 71113号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年8月30日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年12月13日付け手続補正書により補正された明細書又は図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「電動送風機及び集塵室を内蔵する掃除機本体と、該掃除機本体にホースを介し接続されるホース手元操作部と、一端側が前記ホース手元操作部に接続され、他端側が吸込口体に接続される延長管とを有し、
前記延長管の一端側には、該延長管と前記ホース手元操作部とを接続した時に、前記ホース手元操作部の外観形状と前記延長管の一端側の外観形状とが連続するようなカバー体を一体に設け、
前記カバー体の内側には、前記延長管軸方向のホース手元操作部側に向かって開口した開口部を設け、前記ホース手元操作部と前記延長管とを接続した状態で、前記開口部が前記手元操作部により塞がれる構造としたことを特徴とする電気掃除機。」
【2】引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-54784号公報(以下、「引用例」という。)には、下記の事項が図面と共に記載されている。
[1]『【0001】【産業上の利用分野】本発明は、電気掃除機の延長管に係り、両端のホース継手及び吸口体との嵌合部を除く筒部の共用化が容易でリサイクルに優れるものに関する。
【0002】【従来の技術】従来のアルミ素材を用いた電気掃除機の延長管には、アルミ材により一体で形成されているものがある。
【0003】【発明が解決しようとする課題】従来のアルミ材により一体で形成されている延長管では、形状がホース継手、吸口体の嵌合部により決められるため、適用の範囲が限られ、また、リサイクルにおいても限られた範囲のものとなっていた。』(公報第2頁第1欄第13?26行参照)
[2]『【0007】【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いることにより説明する。延長管1は、アルミ素材による円筒部2と、前記円筒部2に取付けられた両端のホース継手側嵌合部3及び、吸口体側嵌合部4により構成している。』(公報第2頁第1欄第41?45行参照)
[3]『ホース継手側嵌合部3には、ホース継手11に備えた・・・(中略)・・・クランプ13を受ける溝14を形成しホース継手11と延長管1を固定している。この固定状態でホース継手11の外観形状とホース継手側嵌合部3の形状が同一となるようにホース継手側嵌合部3に、カバー15を設置している。』(同第2頁第2欄第2?8行参照)
[4]『【0009】以上のように構成した延長管1は、・・・(中略)・・・ホース継手及び吸口体との嵌合状態において段差のない同形状にて嵌合することができる。』(同第2頁第2欄第16?22行参照)
[5]図1には、延長管1の縦断面図が示されており、また、図2には、延長管1のホース継手11及び吸口体5との嵌合状態の側面図が示されており、更に、図3には、図2のホース継手嵌合部3の縦断面図が示されている。
引用例には、上記[1],[2]の記載および図1,2からみて、両端にホース継手側嵌合部3および吸口体側嵌合部4を備えた「電気掃除機の延長管1」が記載されており、この「電気掃除機の延長管1」の両端には、「ホース継手11及び吸口体5が嵌合」されるように構成されている。
そして、この「電気掃除機の延長管1」は、上記[3],[4]の記載および図3からみて、そのホース継手側嵌合部3とホース継手11との「固定状態でホース継手11の外観形状とホース継手側嵌合部3の形状が同一となるようにホース継手側嵌合部3に、カバー15を設置して」おり、カバー15を設置したホース継手側嵌合部3は、「ホース継手11との嵌合状態において段差のない同形状にて嵌合」し、図3に明示されているように、カバー15の一端側がホース継手11の端面によって覆われる構造となっている。
また、上記「カバー15」は、図1,3に示されているハッチングの向きの違いからみて、延長管1のホース継手側嵌合部3とは別部材で構成されていて、何らかの固着手段によって該ホース継手側嵌合部3に結合されているものと解される。
更に、家庭で用いられているような一般的な電気掃除機において、その掃除機本体に電動送風機及び集塵室を内蔵すること、および延長管に嵌合接続されるホース継手がホースを介し掃除機本体に接続されることは、極めて普通の構成である。
以上のことから、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「電動送風機及び集塵室を内蔵する掃除機本体と、該掃除機本体にホースを介し接続されるホース継手11と、一端側が前記ホース継手11に接続され、他端側が吸口体5に接続される延長管1とを有し、
前記延長管1の一端側には、該延長管1と前記ホース継手11とを接続した時に、前記ホース継手11の外観形状と前記延長管1の一端側の外観形状とが連続するようなカバー15を別体に設け、
前記ホース継手11と前記延長管1とを接続した状態で、前記カバー15の一端側が前記ホース継手11により覆われる構造とした電気掃除機」
【3】対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明における「ホース継手11」は、本願発明の「ホース手元操作部」あるいは「手元操作部」に、以下順に、「吸口体5」は「吸込口体」に、「延長管1」は「延長管」に、そして「カバー15」は「カバー体」に、それぞれ相当しており、また、本願発明と引用発明とは、ホース手元操作部と延長管とを接続した状態で、カバー体の一端側が手元操作部により覆われる構造である点で共通しているものと認められる。
したがって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「電動送風機及び集塵室を内蔵する掃除機本体と、該掃除機本体にホースを介し接続されるホース手元操作部と、一端側が前記ホース手元操作部に接続され、他端側が吸込口体に接続される延長管とを有し、
前記延長管の一端側には、該延長管と前記ホース手元操作部とを接続した時に、前記ホース手元操作部の外観形状と前記延長管の一端側の外観形状とが連続するようなカバー体を設け、
前記ホース手元操作部と前記延長管とを接続した状態で、前記カバー体の一端側が前記手元操作部により覆われる構造とした電気掃除機。」
〈相違点〉
延長管の一端側に設けたカバー体が、本願発明では、延長管の一端側に一体に設けられ、その内側に、前記延長管軸方向のホース手元操作部側に向かって開口した開口部を設け、ホース手元操作部と前記延長管とを接続した状態で、前記開口部が前記手元操作部により塞がれる構造としているのに対して、引用発明では、延長管の一端側に別体に設けられ、開口部が設けられていない点。
【4】当審の判断
上記相違点について検討する。
一般に、管状体と相手側の管状体とを接続するに当たって、その相手側の管状体の外観形状と当該管状体の一端側の外観形状とが連続するように構成しようという意匠上の意図から、当該管状体の一端側に相手側の管状体の外観形状に合わせた構造体を付設するような場合、その付設する構造体についての例えば強度の向上、重量の軽減等の設計上の観点あるいは金型の抜き易さ等の成形上の観点から、その構造体を当該管状体の一端側に一体に設けるように構成するとともに、その構造体の内側に、管状体軸方向の相手側の管状体側に向かって開口するような開口部を設けるようなことは、例えばプラスチックあるいは金属等の成形技術の分野において、周知の手段である。
また、引用発明においても、ホース手元操作部と延長管とを接続した状態で、カバー体の一端側が手元操作部により覆われる構造になっている。
したがって、引用発明において延長管の一端側に別体に設けられたカバー体を、上記周知の手段に倣って、延長管の一端側に一体に設け、その内側に、延長管軸方向のホース手元操作部側に向かって開口する開口部を設け、ホース手元操作部と前記延長管とを接続した状態で、前記開口部が前記手元操作部により塞がれる構造とする程度のことは、当業者の容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の効果も、引用発明および周知の手段から当業者であれば予測できる範囲のものであって、格別なものとはいえない。
【4】むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に当業者が引用発明および周知の手段に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-04 
結審通知日 2005-10-11 
審決日 2005-10-24 
出願番号 特願平8-229706
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 増沢 誠一
下原 浩嗣
発明の名称 電気掃除機  
代理人 作田 康夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ