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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03C
管理番号 1294555
審判番号 不服2002-24865  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-26 
確定日 2005-12-07 
事件の表示 平成7年特許願第169732号「ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成9年1月21日出願公開、特開平9-22096〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年7月5日の出願であって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成14年10月9日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める。
「現像、定着、水洗の処理工程を有し、且つ該水洗工程の水洗槽の最深部の深さが水洗工程の全ライン長の3分の1以下である黒白ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機を用いて、水洗槽を2個以上とし、全処理時間(Dry to Dry)を20秒以上150秒以下とするか自動現像機のラインスピードを800mm/分以上とするかの少なくとも一方を採用して処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。」(以下「本願発明1」という。)
2.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、刊行物5及び刊行物1ないし4には下記の事項がそれぞれ記載されている。
(刊行物5:特開平3-209247号公報の記載事項)
(1)「現像液を保持する第1の手段と、定着液を保持する第2の手段と、第1および最終ステーションを含む複数の洗浄ステーションと、洗浄液を該複数の洗浄ステーションを通って感光材料の搬送方向とは逆の方向に向けるための手段とを有する洗浄システムと、感光材料を乾燥させるためのドライヤーと、・・・感光材料を・・・搬送させる手段と、補充用現像液を第1の保持手段へ保持供給させる第1の手段と、補充用定着液を第2の保持手段へ保持供給させる第2の手段と、補充用洗浄液を洗浄システムの最終ステーションへ保持供給させる第3の手段と、を具備し、洗浄システムへ供給される補充用洗浄液の量が被処理感光材料の1平方フィート当たり約50ml(538.2ml/m^(2))未満であることを特徴とするシートまたはウェブ状感光材料の処理方法。」(特許請求の範囲第1項)
(2)「第4図は処理装置10を通る感光材料通路174を説明するものである。・・・現像液中での距離d_(1)における浸漬時間を20-60秒・・・定着液中での距離d_(2)における浸漬時間を24-72秒・・・洗浄液中での距離d_(3)における浸漬時間を34-101秒・・・ドライヤー78でのに距離d_(4)における通過時間を42-128秒・・・に調整することができる。フィルムまたは紙は乾燥未現像フィルムまたは紙から乾燥現像フィルムまたは紙への生産速度が2分30秒を以て行われることが好ましい。この2分30秒の生産速度を達成するための処理条件は以下の通りである。・・・現像液に100°Fで25秒、定着液に85-100°Fで30秒、洗浄液に100°Fで42秒浸漬され、ついで120°Fで53秒エアーの吹き付けがおこなわれる。」(第10頁右下欄第17行目?第11頁右上欄第6行目)
(3)「第16a図は処理装置10を流れる洗浄液の流れの好ましい具体例である。補充用洗浄液を保持し洗浄システムの複数のステーション138、140、142へ供給するための好ましい手段がここに示されている。」(第15頁左下欄第6行目?第10行目)
(4)「第1の洗浄浴138、最終洗浄浴142を含む洗浄液の複数の浴138、140、142に通過させ、洗浄液を上記複数の浴138、140、142に対し感光材料の搬送方向とは逆の方向に循環させ、補充用洗浄液を処理されるべき感光材料の1平方フィート当たり50ml以下の量で上記最終洗浄浴142に供給することからなる。上述のように本発明の洗浄システムの好ましい例によればフィルム又は紙1平方フィート当たり僅か40ml(430.6ml/m^(2))の補充用水が用いられ記録保管用フィルム品質を確保することができる。」(第16頁右上欄第14行目?左下欄第5行目)
(5)「本発明で処理し得る感光材料は、グラフィックアート、印刷、医学、工業、情報等の分野にて画像化、再生のために用いられる公知のいかなるものでもよい。」(第16頁左下欄第6行目?第9行目)
(6)第4図、及び第16a図には、浅型の洗浄タンク138、140、142が記載されている。
(刊行物5記載の発明)
上記の記載事項から刊行物5には、以下の発明(以下、「刊行物5発明」という。)が記載されている。
「現像液を保持する第1の手段と、定着液を保持する第2の手段と、複数の洗浄ステーションを有し、洗浄ステーションが第4図、及び第16a図に示される、洗浄タンク138、140、142を有する処理装置を用いて、洗浄システムへ供給される補充用洗浄液の量が被処理感光材料の1平方フィート当たり約50ml(538.2ml/m^(2))未満である感光材料の処理方法。」
(刊行物1:特開平3-182747号公報の記載事項)
(1)「支持体の両面に各々少なくとも1層の親水性コロイド層を有し、該親水性コロイド層がゼラチンから成り、かつゼラチン付量が支持体の片側当たり3.5g/m^(2)以下であるハロゲン化銀写真感光材料を、水洗及び/または安定化処理を有する工程により処理する処理方法であって、自動現像機を用いて処理するとともに、水洗及び/または安定化浴中の水洗及び/または安定化液循環の吐出液量を1分間につき水洗及び/または安定化浴液量の30?200%にし、かつ該吐出液の流速を1分間につき20m以上にすることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。」(特許請求の範囲第1項)
(2)「本発明の処理方法における被処理感光材料のラインスピードは、好ましくは1000mm/分以上、より好ましくは1500mm/分以上、更に好ましくは1800mm/分以上である。」(第8頁左下欄第19行目?右下欄第2行目)
(3)「処理時間いわゆるDry to Dry時間が、60秒以下であることが好ましい。」(第9頁左上欄第1行目?第2行目)
(4)「本発明の処理方法において、水洗及び/または安定化処理における補充液の液量は、被処理感光材料1m^(2)当たり3l以下であることが好ましい。ここで3l以下という場合、液量がゼロ、即ち液補充を行わないことも含む。」(第9頁左下欄第1行目?第5行目)
(5)「補充量を少なくする方法としては、古くより多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明に適用すれば定着後の感光材料はだんだんと清浄な方向、つまり定着液で汚れていない処理液の方に順次接触して処理されていくので、更に効率の良い水洗または安定化がなされる。」(第10頁左下欄第20行目?右下欄第6行目)
(5)「本発明の処理方法を採用したときには、水洗水の補充液量が被処理感光材料の1m^(2)当たり3l以下であっても水洗効果が充分であることがわかる。またラインスピードが1000mm/分以上である場合、本発明の効果が著しいことがわかる。」(第18頁左上欄第19行目?右上欄第4行目)
(6)表-2には、ラインスピードが800mm/分、1800mm/分、水洗水の補充量が0.2?3.2l/m^(2)で処理した場合、残色が少なく、保存性も良いことが記載されている。(第19頁上欄)
(刊行物2:特開平4-323647号公報の記載事項)
(1)「支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層及び該乳剤層の上部に少なくとも1層の保護層を有するハロゲン化銀写真感光材料を露光後自動現像処理装置を用いて現像処理する方法に於て、該保護層のゼラチン塗布量が0.5g/m^(2)以下で、かつ、乳剤層を含めた全ゼラチン塗布量が2.5g/m^(2)以下から成り、かつ該ハロゲン化銀写真感光材料を現像処理する自動現像処理装置の乾燥処理部に於て・・・乾燥することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法。」(【請求項1】)
(2)「全処理時間が15?60秒で、かつ自動現像処理装置のラインスピードが1500mm/min以上であることを特徴とする請求項第1?3項に記載のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法。」(【請求項4】)
(3)「水洗水の補充量は、1200ml/m^(2)以下(0を含む)であってもよい。水洗水(又は安定化液)の補充量が0の場合とは、いわゆる溜水水洗方式による水洗法を意味する。補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。」(【0071】)
(刊行物3:特開平6-332124号公報の記載事項)
(1)「支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層及びその反対側の面に親水性コロイドをバインダーとする非感光性親水性コロイド層を有し、該非感光性親水性コロイド層より支持体から遠い位置に疎水性ポリマー層を有し、現像処理時水洗工程終了時の非感光性親水性コロイド層の塗設されている面の含水量が親水性コロイドバインダー1gあたり0.2g以下であるハロゲン化銀感光材料を自動現像機で処理し1m^(2)当り水洗水を500ml以下とすることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。」(【請求項1】)
(2)「自動現像機の水洗工程が多段水洗又は多室水洗であることを特徴とする請求項1のハロゲン化銀感光材料の処理方法。」(【請求項3】)
(3)「水洗水の補充量を少なくする方法として、古くより多段向流方式(例えば2段、3段など)が知られている。この多段向流方式を本発明に適用すれば定着後の感光材料は徐々に清浄な方向、つまり定着液で汚れていない処理液の方に順次接触して処理されていくので、さらに効率の良い水洗がなされる。」(【0051】)
(4)「本発明の感材/処理システムでDry to Dryで100秒以下の現像処理をするときには、迅速処理特有の現像ムラを防止するために特開昭63-151943号公報に記載されているようなゴム材質のローラーを現像タンク出口のローラーに適用することや、特開昭63-151944号公報に記載されているように現像液タンク内の現像液攪拌のための吐出流速を10m/分以上にすることや、さらには、特開昭63-264758号公報に記載されているように、少なくとも現像処理中は待機中より強い攪拌をすることがより好ましい。さらに迅速処理のためには、特に定着液タンクのローラーの構成は、定着速度を速めるために、対向ローラーであることがより好ましい。対向ローラーで構成することによって、ローラーの本数を少なくでき、処理タンクを小さくできる。すなわち自現機をよりコンパクトにすることが可能となる。」(【0057)】
(刊行物4:特開平6-118583号公報の記載事項)
(1)「自動現像機を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を少なくとも現像して定着する工程を含む工程で処理したのち、水洗および/または安定化する工程で処理する方法において、前記水洗処理に用いる水洗水および/または安定化処理に用いる安定化液の補充液量が、ハロゲン化銀写真感光材料1m^(2)当たり0または10リットル以下であって、前記水洗水および/または安定化液に防菌・防ばい剤を含有させ、前記水洗および/または安定化処理に使用した後の液を、処理槽とは異なる別槽に貯留し、前記貯留槽内の液を酸化処理したのち排出するハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。」(【請求項1】)
(2)「水洗水の補充量は、感材1m^(2)当たり10リットル以下、好ましくは5リットル以下、さらに好ましくは3リットル以下(0も含む。すなわち、ため水水洗)とすればよい。」(【0083】)
(3)「水洗水の補充量を少なくする方法として、古くより知られている多段向流方式(例えば2段、3段)を本発明に適用することもでき、定着後の感光材料は段々と清浄な方向、つまり定着液で汚れていない水洗水の方に順次接触していくので、効率のよい水洗が可能になる。」(【0088】)
(4)「本発明における現像時間は、5秒から3分、好ましくは8秒から2分であるが、その現像温度は18℃?50℃が好ましく、20℃?40℃がより好ましい。また定着温度と時間は約18℃?約50℃で5秒?3分が好ましく、20℃?40℃で6秒?2分がより好ましい。水洗(ないし安定浴)の温度と時間は0?50℃で6秒?3分が好ましく、10℃?40℃で6秒?2分がより好ましい。現像、定着および水洗(ないし安定化)された写真材料は水洗水をしぼり切る、すなわちスクイズローラーを経て乾燥される。乾燥は約40℃?約100℃で行なわれ、乾燥時間は周囲の状態によって適宜変えられるが、通常は約5秒?3分でよく、特により好ましくは40?80℃で約5秒?2分である。」(【0131】?【0133】)
(5)「自現機における感材の線速は11.4mm/秒とした。現像は34℃で30秒、定着は33℃で28.4秒、水洗は17℃で27.5秒、乾燥は50℃で36秒とした。現像液の補充液量は75ml/[大全サイズ(20×24インチ)1枚当たり]、定着液の補充量は100ml/[大全サイズ1枚当たり]、水洗水の補充液量は0.5l/[大全サイズ1枚当たり]とした。」(【0138】)
3.対比
本願発明1と刊行物5発明とを比較する。
(ア)刊行物5発明の「現像液を保持する第1の手段と、定着液を保持する第2の手段と、複数の洗浄ステーション」を有する「処理装置」、「洗浄タンク138、140、142」及び「感光材料」は、それぞれ、本願発明1の「現像、定着、水洗の処理工程」を有する「自動現像機」、「水洗槽を2個以上」及び「ハロゲン化銀写真感光材料」に相当する。
(イ)刊行物5には、現像液中での浸漬時間を20-60秒、定着液中での浸漬時間を24-72秒、洗浄液中での浸漬時間を34-101秒、ドライヤー78での通過時間を42-128秒に調整することができ、フィルムまたは紙は乾燥未現像フィルムまたは紙から乾燥現像フィルムまたは紙への生産速度が2分30秒で行われることが好ましいと記載されており(上記摘記事項(2))、乾燥未現像感光材料から乾燥現像感光材料への生産速度は、各工程の処理時間を合計して120-361秒であり、好ましくは、2分30秒、つまり150秒で行われる。
そして、刊行物5に記載された「乾燥未現像感光材料から乾燥現像感光材料への生産速度」とは、本願発明1の「全処理時間(Dry to Dry)」に相当するから、刊行物5に記載された好ましい全処理時間は、本願発明1の「20秒以上150秒以下」の範囲に含まれるものである。
(ウ)刊行物5には、処理し得る感光材料は、グラフィックアート、印刷、医学等の分野で用いられるものであることが記載されており、これらの感光材料には、黒白であるものが含まれることから、刊行物5発明は、黒白ハロゲン化銀写真感光材料を処理することも念頭に置いた発明といえる。
したがって、本願発明1と刊行物5発明との間には、下記のような一致点及び相違点がある。
(一致点)
現像、定着、水洗の処理工程を有し、黒白ハロゲン化銀写真感光材料用自動現像機を用いて、水洗槽を2個以上とし、全処理時間(Dry to Dry)を20秒以上150秒以下として処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法である点。
(相違点)
本願発明1では、水洗工程の水洗槽の最深部の深さが水洗工程の全ライン長の3分の1以下であるのに対して、刊行物5発明では、洗浄ステーションが第4図、及び第16a図に示される、浅いバット型の洗浄タンク138、140、142を有するものの、感光材料が水洗水に入る位置から出る位置までの長さである全ライン長と、水洗槽の最深部深さとの比率が明記されていない点。
4.判断
(相違点について)
刊行物5の第4図及び第16a図には、全ライン長と、水洗槽の最深部深さとの比率が明記されていないものの、洗浄タンク138、140、142は、洗浄液中での距離(d_(3))の長さよりも、短い深さを有しており、水洗槽の最深部の深さが水洗工程の全ライン長の3分の1以下とすることに、格別の困難性があるとはいえない。
すなわち、上記相違点に係る構成を採用する意義として、本願明細書には「多槽水洗方式にすると、全処理時間の短縮化、つまり迅速処理の妨げとなりかねない。そのため、本発明では水洗槽中の搬送を水洗部の最深部の深さが水洗部の全ライン長の3分の1以下である(以下、この搬送方式を水平搬送と称する)。なお、本発明で言う水洗部の全ライン長とは、最初に水洗水に感光材料が入った瞬間から感光材料の最後端が水洗水から出る瞬間までを言う。」(【0015】)と記載されていることから、水洗槽の最深部の深さを水洗部の全ライン長の3分の1以下とするのは、水洗槽に入った感光材料の最深部の深さを浅くして、一つの水洗槽中の移動距離を短くし、多槽水洗方式にしても迅速処理の妨げとならないようにするためであるといえる。さらに、本願明細書の実施例では、水洗槽を改造し、多段向流方式で水平搬送方式にしたことは記載されているが、具体的に水洗槽の深さが、全ライン長の何分の一であるかは不明であるから、「3分の1」という上限には、上記のとおり多段水洗方式としても、所望の全処理時間の短縮が図れるという以上の意義があるとはいえない。
一方、刊行物5に記載の発明も、上記のように、洗浄タンクを洗浄液中での距離(d_(3))の長さよりも充分に短い深さとし、全処理時間150秒の迅速処理を可能としたものである。
次に、本願発明1の効果について検討する。
刊行物5には、「洗浄システムの好ましい例によればフィルム又は紙1平方フィート当たり僅か40ml(430.6ml/m^(2))の補充用水が用いられ記録保管用フィルム品質を確保することができる。」(上記摘記事項(4)参照。)ことが記載されおり、刊行物5発明の処理方法で現像処理した感光材料の画質は、当然確保できているものといえるから、本願明細書に記載された感光材料の仕上がり性能が保証されるという効果は、予測し得たものといえる。
さらに、本願発明1で、全処理時間を20?150秒又はラインスピードを800mm/分以上とすることと2個以上の深さの浅い水洗槽を組み合わせたことによる作用として、実施例で確認された具体的な感光材料の仕上がり性能について、本願明細書の【表1】及び【表2】の試験No.1と2、試験No.3と4とをそれぞれ比較して検討してみる。
まず、ラインスピードが2400mm/分、全処理時間50秒の処理条件2の試験No.3と4は、未改造機種1の場合、経時後のスライム汚れ、黒色汚れ、及び残色性のいずれもが△であるのに対して、多段向流方式で水平搬送方式の改造機2では、いずれも評価が○であることから、ラインスピードを速く、あるいは全処理時間を短くした場合は、多層水洗方式の水平搬送方式で水洗を行うことで効果が奏されることが覗える。
しかしながら、刊行物1ないし4にも記載されるように、全処理時間あるいはラインスピードが、本願発明と同程度の迅速処理で、水洗水補充量を少なくした各種ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法では、水洗を多段向流方式とすることで、段階的にきれいな水で水洗され効率の良い水洗が可能であることは周知技術である。また、刊行物1ないし4には、処理槽の深さについては明記されていないが、多段向流方式とした場合、現像槽や定着槽よりも浅い水洗槽を複数並べ、水洗槽の深さが水洗工程の全ライン長より浅くなるようにすることは、本願出願前の常套手段である(例えば、特開平4-268553号公報の図1、特開平5-66540号公報の図1、特開平4-151654号公報の第1図を参照。)から、上記のとおり周知の浅い水洗槽を並べた多段向流方式を採用した場合、効率よい水洗が行われ、スライム汚れ、黒色汚れ等が少なくなることは、予測し得たものといえる。
次に、ラインスピードが750mm/分、全処理時間が90秒の処理条件1の試験No.1と2は、未改造機種1、改造機種2のいずれでも残色性が△であることから、残色性は、水洗槽の構造よりもラインスピードあるいは全処理時間によっていることが覗える。
しかしながら、刊行物1には、ラインスピードあるいは全処理時間が、本願発明と同程度の迅速処理で、水洗水補充量を少なくしたハロゲン化銀写真感光材料の処理方法であり、ラインスピードが1000mm/分以上である場合、効果が著しいと記載され(上記摘記事項(5)参照。)、表-2で、水洗水補充量が0.5l/m^(2)と同じ量である実験No.28と29とを比較すると、ラインスピードが1800mm/分のものが、800mm/分のものより残色が少ないことが示されていから、残色性についての効果も、刊行物1の記載から予測し得たものといえる。
そうしてみると、上記本願発明1の効果は、刊行物1ないし4の記載から予測し得たものであり、所定の全処理時間又はラインスピードと、多槽方式で水洗槽を浅くすることを組み合わせることにより、相乗的な効果が奏されているともいえない。
5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、刊行物5及び刊行物1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2ないし5ないしについての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-22 
結審通知日 2005-10-04 
審決日 2005-10-17 
出願番号 特願平7-169732
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 磯貝 香苗  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 阿久津 弘
秋月 美紀子
発明の名称 ハロゲン化銀写真感光材料の処理方法  

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