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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
管理番号 1294727
審判番号 不服2013-7551  
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-24 
確定日 2014-12-03 
事件の表示 特願2005-226794「表示装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日出願公開、特開2007- 41389〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年8月4日の出願であって、平成24年12月27日付けで拒絶査定がなされた。
本件は、これを不服として、平成25年4月24日に請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に補正がなされ、その後、当審において、同年12月20日付けで拒絶の理由が通知され、平成26年3月20日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされ、さらに、同年4月4日付けで拒絶の理由(最後)が通知され、同年6月19日付けで意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。

第2 平成26年6月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年6月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を、特許請求の範囲の限定的減縮を目的として下記の通りに補正したものである。
「【請求項1】
表面に複数の接続端子が形成された表示パネルと、
前記表示パネルの接続端子に対応して形成された複数の接続端子を有するフレキシブル配線基板と、
前記表示パネルの接続端子と前記フレキシブル配線基板の対応する接続端子とを電気的及び機械的に接続する異方性導電接着剤層と、
を備える表示装置であって、
前記異方性導電接着剤層は、絶縁性樹脂と、該絶縁性樹脂中に分散された複数の導電性粒子と、を含み、
前記複数の導電性粒子は、第1粒子部と、該第1粒子部を覆う単一の層により形成された第1導電層と、前記第1導電層を完全に覆う絶縁性被膜とを含む第1粒子と、第2粒子部と、該第2粒子部を覆う第2導電層とを含む第2粒子と、を含み、
前記複数の導電性粒子は、前記表示パネル又は前記フレキシブル配線基板の隣接する接続端子の間で連なる前記導電性粒子の列となっており、前記導電性粒子のうち少なくとも1つの、前記絶縁性を有する一部の表面が介在する、
ことを特徴とする表示装置。」

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2(以下単に「特許法第17条の2」という。)第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

2 本件補正発明
本件補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された上記のとおりのものである。(「第2」[理由]「1」参照。)

3 引用刊行物
(1)引用刊行物1
これに対して、当審における平成26年4月4日付けの拒絶の理由で引用された、本願の出願前である平成6年4月15日に頒布された「特開平6-102523号公報」(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。ただし、下線は当審で付した。
a 記載事項ア
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば、携帯用ワープロやパソコン等に用いられる液晶表示装置に関し、特に、液晶表示パネルの電極端子とTCP(テープキャリヤーパッケージ)の端子とを接続する異方導電膜を改良した液晶表示装置に関する。」
b 記載事項イ
「【0017】
【実施例】以下、この発明を図示の実施例により詳細に説明する。
【0018】図1に示すように、この実施例の液晶表示装置の液晶表示パネルBの電極端子7は、液晶表示パネルガラス8にITO(インヂウム・チィン・オキサイド)を蒸着し、エッチング加工したものとした。また、上記電極端子7のピッチを85μmとした。
【0019】一方、上記液晶表示パネルBに信号を送る信号送信装置からの信号を上記液晶表示パネルBに伝達するためのテープキャリアパッケージAとしては、ユーピレックスフィルム5(75μm厚)に銅箔を貼りエッチング加工したものを用いた。上記エッチング加工された銅箔は、表面にスズメッキが施されて、電極ピッチが85μmの端子6となる。
【0020】上記液晶表示パネルBの電極端子7と、上記テープキャリアパッケージAの端子6とを接続する異方導電膜1は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを、約1:1の割合で混合して作製した混合樹脂2に、導電粒子3に絶縁被膜11をコーティングした絶縁被覆導電粒子4と、絶縁被覆を施していない導電粒子3とを3:1の割合で混合したものを添加したものである。上記絶縁被覆導電粒子4と導電粒子3とを加えた重量は、上記混合樹脂2の重量に対して15%になるようにしている。つまり、上記粒子4,3は、上記混合樹脂2に対して15wt%(ウェイトパーセント)になるようにブレンドされている。
【0021】上記異方導電膜1は、液晶表示パネルBの電極端子7と上記テープキャリアパッケージAの端子6との間に挟んで、上記端子6の上からパルスヒート熱圧着機にて200℃,30kg/cm^(2)の熱圧着条件にて熱圧着を行った。
【0022】上記異方導電膜1を上記普通の熱圧着条件で熱圧着することによって、図1に示すように、上記異方導電膜1の導電粒子3が、液晶表示パネルBの電極端子7と、この電極端子7に接続すべきテープキャリヤーパッケージAの端子6と間で挟まれて、上記電極端子7と上記端子6との電気的接続を確実に実現する。また、上記異方導電膜1の絶縁被覆導電粒子4が、電気的に接続すべきでない端子間(たとえば、電極端子7と7との間や端子6と6との間あるいは、対向していない電極端子7と端子6との間)に介在して、上記端子間の電気的絶縁を十分に維持する。 したがって、この実施例によれば、上記電極端子7,7間のピッチが小さくなっても、上記電極端子7,7間のリークの発生を防止できると共に、上記電極端子7と端子6との間の導通不良が発生することを防止できる。
【0023】したがって、この実施例によれば、カラー表示のために、上記電極端子7の本数を増加し、液晶表示パネルBのデータ線側のピッチが10本/mm?12本/mmまで小さくなっても、リークやオープンを招くことがない確実な端子接続ができる液晶表示装置を実現できる。」
c 記載事項ウ
「【0032】したがって、この発明によれば、カラー表示のために、電極端子の本数を増加し、液晶表示パネルのデータ線側のピッチが小さくなっても、従来例と異なり、リークやオープンを招くことがない確実な端子接続ができる液晶表示装置を実現できる。」
d 記載事項エ
「【図1】



e 引用例記載の発明
上記記載事項ア乃至上記記載事項エからすると、引用例には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「リークを招くことがない確実な端子接続をするために、液晶表示パネルBの電極端子7と、テープキャリアパッケージAの端子6とを接続する異方導電膜1は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して作製した混合樹脂2に、導電粒子3に絶縁被膜11をコーティングした絶縁被覆導電粒子4と、絶縁被覆を施していない導電粒子3とを混合したものを添加したものである液晶表示装置。」

(2)引用刊行物2
また、当審における平成26年4月4日付けの拒絶の理由で引用された、本願の出願前である平成6年12月22日に頒布された「特開平6-349339号公報」(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
a 記載事項オ
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回路基板上に配された多数の微細導電パターンに対し、夫々対応する他の導電パターン若しくは他の集積回路(IC)等の電子部品のリード等を接続するのに適用して好適な異方性導電膜に関する。」
b 記載事項カ
「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明異方性導電膜は例えば図1に示す如く、絶縁性接着剤1中に導電性粒子2及び絶縁性粒子3を分散してなり、圧力方向にのみ導電性を有し、それ以外の方向では絶縁性を示す異方性導電膜において、この絶縁性粒子3の熱膨張係数が、この導電性粒子2の熱膨張係数と同等であるものである。
【0009】本発明異方性導電膜は上述において例えば図2に示す如く、この導電性粒子2が合成樹脂の粒子核材2aの表面に導電層2bを設けたものである。
【0010】また本発明異方性導電膜は上述において、この絶縁性粒子3がこの導電性粒子2の合成樹脂の粒子核材2aと同じものである。
【0011】
【作用】斯る本発明によれば絶縁性接着剤1中に導電性粒子2及び絶縁性粒子3を分散するようにしたので、導電粒子2のみ複数個連なることがなくなり配線パターン間にショート部を生ずる危険性が少なくなると共にこの導電性粒子2及び絶縁性粒子3の夫々の熱膨張係数を同等としたので温度変化があっても導電不良を生ずることがない。」
c 記載事項キ
「【0031】この結果表1に示す如く実施例1?7、比較例1?3においては隣接配線パターン間のショート部は発生しなかった。これは図3に示す如く導電性粒子2のみが複数個連なることがなく、この連なる粒子の内少なくとも1個が絶縁性粒子3であることによるものと考えられる。」
d 記載事項ク
「【0036】以上述べた如く本例によれば絶縁性接着材1中に導電性粒子2及び絶縁性粒子3を分散するようにしたので、導電性粒子2のみが複数個連なることがなくなり配線パターン間5,5(又は7,7)にショート部を生ずる危険性が少なくなる利益があると共にこの導電性粒子2及び絶縁性粒子3の夫々の熱膨張係数を同等としたので温度変化があっても導電不良を生ずることがない利益がある。」
e 記載事項ケ
「【図3】



(3)引用刊行物3
さらに、当審における平成26年4月4日付けの拒絶の理由で引用された、本願の出願前である平成11年8月27日に頒布された「特開平11-232929号公報」(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。
a 記載事項コ
「【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、半導体チップをフェイスダウン方式で回路基板に実装する場合等に接着剤として使用される異方性導電樹脂、および上記異方性導電樹脂を有する半導体装置に関する。」
b 記載事項サ
「【0009】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】すなわち、本願発明の側面によって提供される異方性導電樹脂は、絶縁性樹脂中に導電性粒子および絶縁性粒子が分散してなる異方性導電樹脂であることを特徴としている。
【0011】本願発明では、異方性導電樹脂の母材である絶縁性樹脂中に、導電性粒子だけでなく、絶縁性粒子をも分散させている。絶縁性粒子が添加された異方性導電樹脂を介して回路基板と半導体チップとが接続されると、回路基板上で隣接する配線パターン間や半導体チップ上で隣接するバンプ電極間のピッチが微細な場合でも、導電性粒子のみが配線パターン間やバンプ電極間に複数個連なることはない。配線パターン間等に複数個連なった粒子の中に絶縁性粒子が含まれることにより、ショート部が生じないようになる。」
c 記載事項シ
「【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】図1は、本願発明に係る異方性導電樹脂の一実施例を示す断面図である。異方性導電樹脂1は、絶縁性樹脂2であるエポキシ樹脂を母材とする粘液状接着剤である。エポキシ樹脂内部には、導電性粒子3および絶縁性粒子4が分散している。導電性粒子3は、金属球のほか、樹脂性ボールの表面にニッケルメッキを施したもの、そのニッケルメッキの上にさらに金メッキを施したもの等が使用される。絶縁性粒子4は、低吸湿剤であるSiO_(2)(シリカ)やセラミックスが使用される。
【0022】半導体チップ10と回路基板20とを異方性導電樹脂1で接着する工程の一例を図2および図3によって説明する。
【0023】図2に示されるように、回路基板20上には配線パターン21が形成されており、半導体チップ10上にはバンプ電極11が形成されている。半導体チップ10と回路基板20とを接着する場合には、まず、回路基板20上の配線パターン21の配置領域の内側に異方性導電樹脂1を塗布する。塗布が終了したら、半導体チップ10上に形成されたバンプ電極11を配線パターン21に対面させる。押圧装置25で半導体チップ10を回路基板20に押しつけると、バンプ電極11は配線パターン21に近づいていき、異方性導電樹脂1が回路基板20と半導体チップ10間で圧縮されて水平方向に広がる。図3に示されるように、異方性導電樹脂1がバンプ電極11と配線パターン21との間に進入するとともに、バンプ電極11、配線パターン21の形成箇所の外側の領域にまで広がり、半導体チップ10と回路基板20とは、異方性導電樹脂1によって広い面積で接着されることになる。
【0024】図4は、本願発明に係る異方性導電樹脂1を介して半導体チップ10と回路基板20とが接着している状態の一実施例を示す要部断面図である。同図に示されるように、半導体チップ10と回路基板20との間に介在している異方性導電樹脂1は、絶縁性樹脂2を母材とし、導電性粒子3および絶縁性粒子4を有している。配線パターン21とバンプ電極11とに挟まれた導電性粒子3および絶縁性粒子4は圧縮され、配線パターン21とバンプ電極11とに挟まれていない粒子3,4は絶縁性樹脂2内で分散している。圧縮された導電性粒子3によって、配線パターン21とバンプ電極11との間が電気的に接続され、配線パターン21とバンプ電極11との間以外は電気的に絶縁されることになる。
【0025】異方性導電樹脂1は、導電性粒子3だけではなく絶縁性粒子4をも有している。複数の導電性粒子3のみが配線パターン21,21間やバンプ電極11,11間に連なることがなくなるので、ショート部が生じるようなことはない。さらに絶縁性粒子4が低吸湿剤でもあるため、絶縁性樹脂2は水分を吸収しにくくなる。異方性導電性樹脂1内には接着性を低下させる要因となる水分が少なくなるので、半導体チップ10と回路基板20とは剥離することなく、長期にわたって安定して接着される。」
d 記載事項ス
「【図4】



4 本件補正発明と引用発明の対比
ここで、本件補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「液晶表示パネルB」、「液晶表示パネルBの電極端子7」、「テープキャリアパッケージA」、「テープキャリアパッケージAの端子6」及び「異方導電膜1」は、それぞれ本件補正発明の「表示パネル」、「表示パネル」に「形成された」「接続端子」、「フレキシブル配線基板」、「フレキシブル配線基板」が「有する」「接続端子」及び「異方性導電接着剤層」に相当する。
また、引用文献1の図1及び技術常識から、引用発明において、「液晶表示パネルBの電極端子7」及び「テープキャリアパッケージAの端子6」がいずれも複数あることは明らかである。
そうすると、引用発明の「液晶表示パネルBの電極端子7と、テープキャリアパッケージAの端子6とを接続する異方導電膜1」を備える構成は、本件補正発明の「表面に複数の接続端子が形成された表示パネルと、前記表示パネルの接続端子に対応して形成された複数の接続端子を有するフレキシブル配線基板と、前記表示パネルの接続端子と前記フレキシブル配線基板の対応する接続端子とを電気的及び機械的に接続する異方性導電接着剤層と、を備える」構成に相当する。
(2)引用発明の「熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して作製した混合樹脂2」、「絶縁被覆導電粒子4と」「導電粒子3とを混合したもの」、「絶縁被覆導電粒子4」及び「導電粒子3」は、それぞれ本件補正発明の「絶縁性樹脂」、「導電性粒子」、「第1粒子」及び「第2粒子」に相当する。
また、引用発明の「導電粒子3に絶縁被膜11をコーティングした絶縁被覆導電粒子4」と、本件補正発明の「第1粒子部と、該第1粒子部を覆う単一の層により形成された第1導電層と、前記第1導電層を完全に覆う絶縁性被膜とを含む第1粒子」は、「第1導電粒子を完全に覆う絶縁性被膜を含む第1粒子」で共通する。
さらに、引用発明の「絶縁被覆を施していない導電粒子3」と、本願発明1の「第2粒子部と、該第2粒子部を覆う第2導電層とを含む第2粒子」は、「第2導電粒子を含む第2粒子」で共通する。
そうすると、引用発明の「異方導電膜1は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して作製した混合樹脂2に、導電粒子3に絶縁被膜11をコーティングした絶縁被覆導電粒子4と、絶縁被覆を施していない導電粒子3とを混合したものを添加したものである」構成と、本件補正発明の「異方性導電接着剤層は、絶縁性樹脂と、該絶縁性樹脂中に分散された複数の導電性粒子と、を含み、前記複数の導電性粒子は、第1粒子部と、該第1粒子部を覆う単一の層により形成された第1導電層と、前記第1導電層を完全に覆う絶縁性被膜とを含む第1粒子と、第2粒子部と、該第2粒子部を覆う第2導電層とを含む第2粒子と、を含」む構成とは、「異方性導電接着剤層は、絶縁性樹脂と、該絶縁性樹脂中に分散された複数の導電性粒子と、を含み、前記複数の導電性粒子は、第1導電粒子を完全に覆う絶縁性被膜を含む第1粒子と、第2導電粒子を含む第2粒子と、を含」む構成で共通する。
(3)引用発明の「液晶表示装置」は、本件補正発明の「表示装置」に相当する。

上記(1)乃至(3)の対比から、本件補正発明と引用発明は、
「表面に複数の接続端子が形成された表示パネルと、
前記表示パネルの接続端子に対応して形成された複数の接続端子を有するフレキシブル配線基板と、
前記表示パネルの接続端子と前記フレキシブル配線基板の対応する接続端子とを電気的及び機械的に接続する異方性導電接着剤層と、
を備える表示装置であって、
前記異方性導電接着剤層は、絶縁性樹脂と、該絶縁性樹脂中に分散された複数の導電性粒子と、を含み、
前記複数の導電性粒子は、第1導電粒子を完全に覆う絶縁性被膜を含む第1粒子と、第2導電粒子を含む第2粒子と、を含む表示装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
A 本件補正発明は、第1導電粒子が、第1粒子部と、該第1粒子部を覆う単一の層により形成された第1導電層とを含み、第2導電粒子が、第2粒子部と、該第2粒子部を覆う第2導電層とを含むのに対し、引用発明は、第1導電粒子及び第2導電粒子が粒子部を導電層で覆ったものか不明である点。

B 本件補正発明は、複数の導電性粒子は、表示パネル又はフレキシブル配線基板の隣接する接続端子の間で連なる前記導電性粒子の列となっており、前記導電性粒子のうち少なくとも1つの、絶縁性を有する一部の表面が介在するの対し、引用発明は、そのような構成を有するか不明である点。

5 当審の判断
以下、上記A及びBの相違点について検討する。
(Aの相違点について)
異方性導電性接着剤の導電性粒子を、粒子部、及び、粒子部を覆う単一の層により形成された導電層から形成することは周知技術(特開2002-358026号公報の【0070】、特開平9-68713号公報の【0018】、特開2002-258768号公報の【0038】参照。)である。
そして、コアの粒子部を導電層で覆い、さらに絶縁層で覆ったものも周知(特開平7-105716号公報の【0016】?【0017】及び図1、国際公開第2005/045851号の第5頁第23行?第6頁第16行及びFIG.2参照。)であることを参酌すると、引用発明の導電粒子3に対して上記周知技術を採用し、本件補正発明の上記Aの相違点に係る発明を構成することは、当業者が容易になし得たことである。

(Bの相違点について)
配線パターン間がショートする危険性を少なくするために、導電性粒子2(本件補正発明の「第2粒子」に相当。)及び絶縁性粒子3(本件補正発明の「第1粒子」に相当。)が分散された異方性導電膜(本件補正発明の「異方性導電接着剤層」に相当。)において、隣接配線パターン間5,5(又は7,7)で、導電性粒子及び絶縁性粒子が列となっており、その列に絶縁性粒子が介在することが、引用例2(上記記載事項カの【0008】、及び、上記記載事項キ乃至ケ参照。)に、隣接する配線パターン間にショート部を発生させないように、導電性粒子3(本件補正発明の「第2粒子」に相当。)及び絶縁性粒子4(本件補正発明の「第1粒子」に相当。)が分散された異方性導電樹脂1(本件補正発明の「異方性導電接着剤層」に相当。)において、配線パターン21,21間で、導電性粒子3及び絶縁性粒子4が列となっており、その列に絶縁性粒子4が介在することが、引用例3(上記記載事項サの【0011】、上記記載事項シの【0025】、及び、上記記載事項ス参照。)に、それぞれ記載されている。
そして、引用発明と引用例2,3記載の事項は、いずれもリークを招くことがない確実な端子接続をするためのものであって、異方導電膜として、導電粒子と絶縁粒子を用いる点で共通するものであるから、引用発明の異方導電膜に対して、導電粒子及び絶縁被覆導電粒子が列となっており、その列に絶縁被覆導電粒子が介在するようにして、本件補正発明の上記Bの相違点に係る発明を構成することは、当業者が容易になし得たことである。

上記A及びBの相違点については上記のとおりであり、本件補正発明によってもたらされる効果は、引用発明、引用例2、3記載の事項、及び、周知技術から当業者が予測できる範囲内のものと認められる。
よって、本件補正発明は、引用発明、引用例2、3記載の事項、及び、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 本件補正についての補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年6月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年3月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの以下のものである。
「【請求項1】
表面に複数の接続端子が形成された表示パネルと、
前記表示パネルの接続端子に対応して形成された複数の接続端子を有するフレキシブル配線基板と、
前記表示パネルの接続端子と前記フレキシブル配線基板の対応する接続端子とを電気的及び機械的に接続する異方性導電接着剤層と、
を備える表示装置であって、
前記異方性導電接着剤層は、絶縁性樹脂と、該絶縁性樹脂中に分散された複数の導電性粒子と、を含み、
前記複数の導電性粒子は、第1粒子部と、該第1粒子部を覆う第1導電層と、前記第1導電層を完全に覆う絶縁性被膜とを含む第1粒子と、第2粒子部と、該第2粒子部を覆う第2導電層とを含む第2粒子と、を含み、
前記複数の導電性粒子は、前記表示パネル又は前記フレキシブル配線基板の隣接する接続端子の間で連なる前記導電性粒子の列となっており、前記導電性粒子のうち少なくとも1つの、前記絶縁性を有する一部の表面が介在する、
ことを特徴とする表示装置。」

2 引用刊行物及び引用発明
当審における平成26年4月4日付けの拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物及びその記載事項、ならびに引用発明は、上記「第2」[理由]「3」に記載したとおりである。

3 本願発明と引用発明との対比及び判断
本願発明は、本件補正発明から、その構成要素である「第1粒子部を覆う」「第1導電層」に関し、「単一の層により形成された」構成を省いたものである。
ここで、本願発明の発明特定事項を全て含み、上記構成要素を限定した本件補正発明が、上記「第2」[理由]「5」に記載した通り、引用発明、引用例2、3記載の事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用例2、3記載の事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2、3記載の事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-07-10 
結審通知日 2014-07-11 
審決日 2014-07-23 
出願番号 特願2005-226794(P2005-226794)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (G09F)
P 1 8・ 121- WZ (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田辺 正樹  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 土屋 知久
伊藤 昌哉
発明の名称 表示装置及びその製造方法  
代理人 有原 幸一  
代理人 奥山 尚一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 河村 英文  
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